失踪宣告の申立てができるか事前確認する方法

1失踪宣告の要件は長期間生死不明と申立て

①失踪宣告は普通失踪と特別失踪(危難失踪)がある

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告には、2種類があります。

普通失踪と特別失踪(危難失踪)です。

一般的に失踪宣告といった場合、普通失踪を指しています。

特別失踪(危難失踪)とは「戦地に行った者」「沈没した船舶に乗っていた者」「その他死亡の原因となる災難に遭遇した者」などを対象にする失踪宣告です。

②失踪宣告の要件は長期間生死不明と申立て

死亡したことが確認できないのに、死亡と見なされます。

死亡と見なされるという強い法的効果があります。

失踪宣告が認められるためには、次の要件があります。

(1)生死不明のまま一定期間継続していること

(2)失踪宣告の申立てがあること

失踪宣告の申立てをしても、要件を満たしていないと失踪宣告はされません。

失踪宣告の申立てをする前に、申立人は事前確認をします。

③事前確認は家族ができる範囲の調査でいい

失踪宣告の申立人がする事前確認は、完璧な調査をする必要はありません。

もともと完璧な調査ができると、考えられていません。

行方不明者の家族などの申立人は、捜査機関ではないからです。

できる範囲の調査をすれば、支障はありません。

失踪宣告の申立てをした後に、家庭裁判所はあらためて調査をします。

家庭裁判所は、捜査機関ではありません。

家庭裁判所による補充調査のため、調査の端緒を提供します。

家庭裁判所による補充調査によって、生存の痕跡が見つかることは珍しくありません。

家庭裁判所は、家族では調査できない機関に対して公的に調査をすることができるからです。

家庭裁判所による補充調査によって、生存の痕跡が見つかること制度上当然です。

生存の痕跡が見つかると、失踪宣告の申立ては取り下げるように言われます。

失踪宣告の申立てを取り下げるだけで、ペナルティーはありません。

2失踪宣告の申立てができるか事前確認する方法

①生死不明期間を事前確認する方法

(1)最後に生存の痕跡があった時期を確認する

失踪宣告を受けるには、行方不明者が生死不明のまま一定期間継続していることが条件です。

生死不明期間の起算点は、最後に生存の痕跡があった日です。

家族が行方不明になったと主張するだけでは、確認とは言えません。

生死不明期間の起算点は、正確な日付が分からないことがほとんどです。

例えば、家族が確認できる生存の痕跡として、次のものを確認します。

・最後に電話・メール・SNSで連絡が取れた

・最後にあった

・最後に学校や職場に行った

・最後に銀行口座の利用履歴がある

・最後に公共料金の支払いがあった

家庭裁判所による補充調査のため、調査の端緒を提供します。

(2)行方不明になった時期の幅を確認する

家族であっても、行方不明になった日を具体的に特定することは、困難です。

連絡が取れなくなった時期を確認します。

例えば、〇〇年〇〇月ごろまで連絡が取れた、〇〇年〇〇月ごろまで出勤していたなどで差し支えありません。

生死不明期間の起算点は、ある程度の幅があることは通常です。

(3)失踪期間が経過しているか確認する

失踪期間とは、失踪宣告が認められるための生死不明の期間です。

普通失踪の失踪期間は、7年です。

特別失踪(危難失踪) の失踪期間は、1年です。

最後に生存が確認されてから、失踪期間が経過しているか確認します。

失踪期間が経過した正確な日付は、分からないのが通常です。

もともと生死不明期間の起算点が不明確だからです。

(4)家族による事前確認は完璧でなくていい

家族による事前確認には、限界があります。

失踪宣告を受ける前は生きている扱いだから、家族であっても照会に応じてもらえないからです。

家族ができる範囲で事前調査をすれば、問題はありません。

もともと家族には、完璧な調査はできません。

家族がすることは、家庭裁判所に調査の端緒を提供することです。

家庭裁判所が補充調査をするから、支障はありません。

②行方不明の事実を事前確認する方法

(1)住民票が職権消除されているか確認する

職権消除とは、住民基本台帳法に基づいて本人申請なしで住民票が削除されることです。

市区町村の調査で居住が確認できないと判断された場合、住民票は職権で消除されます。

実際にその住所に住んでいないにも関わらず住民票が残ったままだと、行政記録の正確性を維持できないからです。

職権消除されると、住民票と戸籍の附票に職権消除されたことが記載されます。

家族は住民票や戸籍の附票を取得して、職権消除の記載があるか確認することができます。

職権消除は、行方不明の事実を裏付ける重要な証拠です。

職権消除をする際に、市区町村が行方不明を確認しているからです。

(2)住民票上の住所に居住していないことを確認する

行方不明の事実を確認する場合、まず住民票上の住所に居住していない事実を確認します。

住民票上の住所地を訪れて、居住実態がないことを確認します。

大家や管理会社が退去を把握している場合、居住実態がないことを示しています。

居住実態がないことは、生存の痕跡がないことを示す端緒になります。

(3)郵便物が返戻されるか確認する

本人宛に郵便物を送ると、郵便が返戻されることがあります。

差し出した郵便物には、「あて所に尋ねあたりません」とスタンプが押してあるはずです。

郵便局が配達を試みたのに、その宛先で所在が確認できなかったと言えます。

「あて所に尋ねあたりません」で返戻された郵便物は、所在が確認できないことの客観的な証拠です。

「あて所に尋ねあたりません」で返戻された郵便物は、失踪を証する資料の一部にすることができます。

(4)社会生活の痕跡がないか確認する

行方不明者が社会生活をしていれば、さまざまな痕跡があるはずです。

社会生活の痕跡が途絶えているか、確認します。

例えば、次の点を確認して社会生活の痕跡が途絶えているか、確認します。

・学校に登校していない

・職場に出勤していない

・銀行口座の利用が止まっている

・公共料金の支払いが途絶えている

社会生活の痕跡が途絶えている場合、生存の痕跡がないことを示す端緒になります。

(5)友人知人と連絡が取れていないことを確認する

家族だけでなく友人知人など本人に関わりがあった人と連絡が取れていない場合、行方不明の継続性を裏付ける材料になります。

複数の友人知人の証言が一致していると、資料として信用力が高まります。

(6)生活基盤が失われているか確認する

行方不明者が生活基盤が失われていれば、行方不明が継続している重要な資料になります。

例えば、次の点を確認して生活基盤が失われているか、確認します。

・自宅の賃貸借契約が更新されていない

・公共料金の契約が停止している

・携帯電話がつながらない

・車検や保険の契約が更新されていない

上記の事実は、生活基盤が失われて生活実態がないことの重要な資料になります。

③利害関係人であるか事前確認する方法

失踪宣告の申立てをする人は、行方不明者に利害関係がある人に限定されています。

利害関係がある人とは、法律上の利害関係人です。

事実上の利害関係人は、申立人になることはできません。

失踪宣告には、行方不明者を死亡扱いにする重大な法的効果があるからです。

次の人には、法律上の利害関係があると考えられます。

・配偶者

・行方不明者が被相続人になるときの相続人

・行方不明者が共同相続人になるときの他の相続人

・受遺者

・不動産の共有者

・行方不明者の保証人

法律上の利害関係がない人は、失踪宣告の申立てをすることができません。

④必要書類を準備できるか事前確認する方法

失踪宣告の申立てをするには、次の書類を準備します。

(1)行方不明者の戸籍謄本

(2)行方不明者の戸籍の附票

(3)失踪を証する資料

(4)利害関係を証する資料

提出する資料で重要なのが、失踪を証する資料です。

家庭裁判所による補充調査の端緒になるからです。

失踪宣告の申立てをするにあたって、捜索願や行方不明者届を出すことは必須ではありません。

捜索願や行方不明者届を提出していれば、重要な資料として提出することができます。

捜索願や行方不明者届を提出していなくても警察が受理してくれなくても、失踪宣告の申立てをすることができます。

失踪宣告の申立てで必要なのは、失踪を証する資料だからです。

3失踪宣告の申立てができないときの選択肢

①不在者財産管理人制度を利用

不在者財産管理人とは、行方不明者の財産を管理する人です。

不在者財産管理人制度を利用する場合、行方不明者は生きている扱いです。

不在者財産管理人は、行方不明者のために法的な手続をすることができます。

不在者財産管理人は、家庭裁判所の許可を得て遺産分割協議をすることができます。

不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではありません。

たとえ家族が望んでも、行方不明者に不利益な遺産分割協議をすることはできません。

②行方不明共有者持分取得制度

行方不明共有者持分取得制度とは、共有関係を整理する制度です。

共有不動産を売却や管理をする場合、共有者全員の協力が必要です。

一部の共有者が行方不明である場合、売却や管理が進まなくなります。

行方不明共有者持分取得制度を利用すると、行方不明共有者の持分を時価で取得することができます。

行方不明共有者持分取得制度とは、裁判所の関与で持分を時価で買い取る制度です。

行方不明共有者の持分を買取って、売却や管理をしやすくすることができます。

③相続人申告登記でペナルティー回避

令和6年4月1日から、相続登記は義務になりました。

相続登記の義務を履行していない場合、ペナルティーの対象になります。

相続人申告登記とは、相続人が法務局に対し自分が相続人であることを申告する制度です。

相続登記をしていなくても相続人申告登記をした場合、相続登記の義務を履行したと扱われます。

相続人申告登記をすると、ペナルティーを回避することができます。

相続人申告登記をしても、不動産の名義変更の効果はありません。

遺産分割協議が成立した後で、あらためて相続登記が必要です。

④失踪宣告の準備をして申立て

失踪宣告の申立てができるか事前確認をした結果、今すぐ申立てができないかもしれません。

失踪宣告の申立てに、期限はありません。

法律上失踪宣告の申立てができても、家族の合意が得られないことがあります。

充分な準備をして、失踪宣告の申立てをすることが重要です。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

相続手続で不安がある方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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