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1共有持分の放棄は単独行為でも登記は共同申請
①共有持分の放棄に他の共有者の同意は不要
共有持分の放棄は、相手方のない単独行為と考えられています。
他の共有者の同意や承諾なく、単独で共有持分の放棄をすることができます。
他の共有者に対して通知をしなくても、共有持分の放棄は有効です。
共有持分の放棄について、法律上決められた特定の書式はありません。
実務的には、放棄した共有持分が他の共有者に帰属したことを伝えるため、配達証明付き内容証明郵便などで通知することが一般的です。
②共有持分の放棄で他の共有者に移転
共有持分が放棄されたら、放棄された共有持分は他の共有者に帰属します。

共有者が複数の場合、放棄された共有持分は他の共有者の共有持分に応じて帰属します。

不動産の共有者が大勢の場合、共有持分の帰属計算が複雑になります。
③共有持分を放棄しても登記は自動で変更されない
他の共有者の同意や承諾なく、単独で共有持分を放棄することができます。
共有持分を放棄すると、共有持分は自動で他の共有者に帰属します。
共有持分が自動で他の共有者に帰属しても、登記は自動で変更されません。
登記名義の変更には、当事者からの申請が必要です。
当事者からの申請がないと、登記簿は従前の共有者のまま記録が残ります。
④共有持分移転の登記は共同申請
共有持分を放棄した場合、放棄した共有持分について共有持分移転の登記をします。
共有持分の放棄による共有持分移転の登記は、単独で申請することはできません。
共有持分の放棄による共有持分移転の登記は、権利者と義務者による共同申請です。
権利者は、他の共有者全員です。
義務者は、共有持分を放棄した人です。
共有持分の放棄は単独行為でも、登記手続は共同申請です。
他の共有者に対して通知をしなくても、共有持分の放棄は有効です。
他の共有者に対して通知をしないと、登記手続に協力してもらいにくくなるでしょう。
⑤協力が得られないと訴訟が必要
共有持分を放棄したのに、登記手続に協力してもらえないことがあります。
他の共有者が登記に協力しなくても、共有持分の放棄そのものが無効になるわけではありません。
登記手続に協力してもらえない場合であっても、共有持分を放棄した人が勝手に登記名義を外すことはできません。
登記手続に協力してもらえない場合、登記手続を求める訴訟を提起することになります。
登記義務者は、登記権利者に対して登記引取請求権を有しているからです。
裁判所の判断によって、登記手続に必要な意思表示をしたものと扱うための手続です。
裁判所による勝訴判決などを得て、単独で判決などに基づいて共有持分移転の登記をすることができます。
共有名義を解消するために、訴訟まで発展する可能性があります。
相続で不動産を分けられないと、安易にとりあえず共有にすることがあります。
親族間の相続問題が訴訟まで発展することになることに、相続人全員が留意する必要があります。
⑥共有持分の放棄による共有持分移転登記で登録免許税
共有持分の放棄による共有持分移転の登記で、登録免許税が課されます。
登録免許税は、固定資産評価額を基に税率をかけて計算します。
共有持分の放棄による共有持分移転の登記の税率は、原則として1000分の20です。
例えば1億円の不動産の共有持分10分の1を移転する場合、移転する持分の価額は1000万円です。
登録免許税は、20万円です。
2登記を変更しないと解決しない
①登記を変更しないと第三者に主張できない
共有持分が放棄されたら、放棄された共有持分は他の共有者に帰属します。
共有持分を放棄したら、共有者でなくなります。
共有持分を放棄したことは、第三者からは分かりません。
登記を変更しなくても、共有者でなくなっています。
登記を変更しなくても、共有持分の放棄が無効になるわけではないからです。
登記を変更しないと、依然として第三者から共有者のひとりに見えます。
第三者は共有持分を放棄したのか放棄していないのか、知る由がないからです。
登記を変更しないと、第三者に対して共有者でなくなったと主張できません。
②登記を変更しないと固定資産税が課され続ける
不動産を保有していると、固定資産税が課されます。
固定資産税は、毎年1月1日現在の所有者に課されます。
登記を変更しないと、市町村に対して共有者でなくなったと主張できません。
登記手続に協力してもらえない場合、裁判手続をすることになります。
裁判手続中は、登記はそのままのはずです。
登記を変更しないまま1月1日になると、新たに固定資産税が課されます。
固定資産税は、台帳課税主義を採用しています。
課税台帳に登載されたら、固定資産税から逃れられません。
登記を変更しないと、課税対象者になります。
共有持分を放棄して共有者でなくなっても、固定資産税が課され続けます。
登記を変更しないと、依然として市町村から共有者のひとりに見えるからです。
登記を変更しないと、固定資産税から逃れられません。
③登記を変更しないと近隣からの請求
不動産を保有していると、不動産を適切に管理して近隣に迷惑をかけない責任があります。
例えばブロック塀が倒れて通行人がけがをした場合、損害賠償を求められるおそれがあります。
登記を変更しないと、けがをした通行人に対して共有者でなくなったと主張できません。
登記を変更しないと、損害賠償などから逃れられなくなる可能性があります。
④共有持分を放棄した証明資料が必要になる
登記を変更しないと、依然として登記簿上は共有者のひとりに見えます。
共有持分を放棄した場合、共有者でなくなります。
共有持分を放棄していない場合、共有者のままです。
証拠がないと、共有持分を放棄したのか放棄していないのか確認できなくなります。
将来共有者でないことを主張するため、共有持分を放棄した証明資料を保管し続ける必要があります。
他の共有者が共有持分を放棄したのか放棄していないのか覚えているとは限らないからです。
⑤共有持分を放棄した人に相続発生
共有持分を放棄した場合、放棄した共有持分は他の共有者に帰属します。
他の共有者に帰属したのに登記を変更していないと、登記簿上は共有者のままです。
放棄した共有持分は他の共有者に帰属したから、共有持分は相続財産ではないはずです。
相続人が財産調査をすると、相続財産であるように見えます。
共有持分を放棄して相続財産でないことを確認する必要があります。
共有持分を放棄した証明資料が散逸すると、共有者なのか共有者でないのか分からなくなります。
他の共有者は、共有者なのか共有者でないのか正確に覚えているとは限りません。
共有する不動産を売却などしたいとき、手続に関与するのか分からなくなります。
共有持分を放棄した人に相続発生すると、共有のトラブルに相続人を巻き込むことになります。
3共有持分の放棄で注意すること
①共有持分の放棄で贈与税の対象になる可能性
共有持分を放棄すると、放棄した共有持分は他の共有者全員に帰属します。
放棄した共有持分の移転は、税法上贈与と見なされます。
移転した持分の価額によっては、贈与税の対象になります。
②共有持分の放棄は不動産取得税の対象
不動産取得税とは、不動産を取得したときに1回だけ課される税金です。
有償で取得しても無償で取得しても、不動産取得税が課されます。
遺産分割協議で不動産を取得する相続人を決めた場合、不動産取得税はかかりません。
遺産分割協議で共有すると決めた後、共有持分を放棄することがあります。
共有持分を放棄した場合、不動産取得税の対象になります。
③共有持分の放棄で農地法の許可は不要
共有する不動産が農地であることがあります。
農地を売買や贈与などで名義変更をする場合、原則として農地法の許可が必要です。
共有持分の放棄で共有持分が他の共有者に移転する場合、農地法の許可は不要です。
共有持分の放棄は、売買や贈与などと法律上の性質が異なるからです。
共有持分の放棄は、単独行為と考えられています。
共有持分が他の共有者に移転するのは、法律による効果です。
法律による当然の効果だから、農地法の許可は不要です。
4共有持分を放棄すればいいと考えて共有にしない
①とりあえず共有にするのはリスクが大きい
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
相続人全員の話し合いがつかない場合、とりあえず共有にすることがあります。
とりあえず共有にすることは、遺産分割の問題を解決しません。
とりあえず共有にしても後から放棄すればいいと考えるのは、共有にする理由になりません。
共有持分の放棄をしても、登記手続には他の共有者全員の協力が必要だからです。
他の共有者全員の協力が得られなかったら、訴訟に発展します。
最初から共有にしなければ、共有持分を放棄した後の登記手続をめぐる訴訟にはなりません。
②不動産を受け取らない遺産分割協議ができる
相続人全員の合意ができれば、どのような財産の分け方でもすることができます。
一部の相続人が不動産を受け取らない合意をすることができます。
せっかく相続できるのだから共有で相続しようと、考えることがあります。
不動産を共有すると、共有者は不動産の管理や処分に関わることになります。
後になって共有持分を放棄するなら、はじめから遺産分割協議で取得しない判断がおすすめです。
遺産分割協議で不動産を受け取らない合意をしたら、その後の管理や処分に関わる必要がありません。
最初から共有にしなければ、共有持分を放棄した後の登記手続をめぐる訴訟にはなりません。
欲しくない不動産を取得しないことは、遺産の分け方を決めるうえでの一つの選択です。
5遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット
遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。
合意がきちんと文書になっているからこそトラブルが防止できるといえます。
書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。
せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。
トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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