公正証書遺言作成には証人2人の立会いが必要

1公正証書遺言作成には証人2人の立会いが必要

①証人は遺言者の判断能力を確認する

公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に伝え公証人が書面に取りまとめる遺言書です。

証人2人に確認してもらって、作ります。

公正証書遺言作成には、証人2人の立会いが必要です。

証人2人は公正証書遺言に立会い、遺言者が判断能力を有するか確認します。

遺言者が適切に受け答えができない場合、判断能力がないと考えられます。

判断能力がないのに遺言書を作成しても、無効の遺言書です。

遺言者が相当に高齢である場合、認知症が疑われることがあります。

遺言者の判断能力の有無について、証人の証言が重要な証拠になる可能性があります。

②証人は遺言書作成手続の適正性を担保する

証人2人は公正証書遺言に立会い、遺言書作成手続を見守ります。

遺言書作成手続が適切であることを確認します。

証人2人が署名押印をすることで、形式的にも手続の正当性が担保されます。

証人は、遺言書の有効性と信頼性を支える重要な役割を果たします。

③公正証書遺言の証人になれる人

公正証書遺言は、証人2人に確認してもらって作ります。

証人になる人に、特別な資格はありません。

証人は、遺言書の内容をチェックする人です。

遺言書の内容をチェックする判断能力が必要です。

相続に無関係な人で、かつ、秘密を守ってくれる人が適任です。

証人2人が無関係な人だから、遺言書の公正さが保持されます。

④証人の責任

証人に守秘義務を定めた法律はありません。

遺言書に記載されている事柄は、プライベートな事柄です。

遺言書は、秘密保持の必要性が非常に高い文書です。

法律で守秘義務が定められなくても、秘密保持の倫理的義務があります。

公証役場でも、証人には秘密保持義務があると説明されます。

証人は、遺言書の内容をチェックする人です。

相続が発生した後、相続人が遺言書の内容に不満を持つことがあります。

遺言書に不満がある相続人は、遺言書の成立について問題があると言うかもしれません。

・遺言書は本人の真意ではなかった。

・本人は認知症で正常な判断をすることができなかった

一部の相続人が上記の主張をした場合、相続人間で大きなトラブルになります。

ときには、遺言書の有効無効を争って裁判の場に持ち込まれます。

公正証書遺言は、証人2人に確認してもらって作成します。

公正証書遺言の作成時にどのようであったか証言を求められるでしょう。

原則として、証言の拒絶はできません。

万が一、証人の故意や過失で問題点を見逃した場合、相続人から損害賠償を求められるかもしれません。

⑤証人2人の立会いがないと公正証書遺言が無効になる

公正証書遺言作成には、証人2人の立会いが必要です。

証人2人の立会いがないと、公正証書遺言が無効になります。

公正証書遺言が無効になると、遺言者が望む遺産分割は難しくなります。

遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要になるからです。

2公正証書遺言の証人になれない人

①未成年者

未成年者は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができません。

充分に判断することができないので、遺言書の内容を確認したとは言えません。

証人になれない人なのに証人として立ち会った遺言書は、無効になります。

未成年者は判断能力が不充分だから、証人になれません。

②相続人・受遺者になる予定の人とその人の配偶者や直系血族

 遺言者は、遺言書で相続人や相続人以外の人に自分の財産を遺贈することができます。

受遺者とは、財産の遺贈を受ける人です。

相続人・受遺者は、遺言の内容に利害関係がある人です。

相続人・受遺者の配偶者や直系血族は、相続人・受遺者に近い関係の人です。

利害関係がある人に準じて、考えられます。

遺言に利害関係がある人は、遺言の内容に強い関心があるでしょう。

利害関係がある人は、自分に有利な遺言をしてもらいたいと考えます。

証人として立ち会った場合、遺言の内容に何らかの影響を与えるかもしれません。

遺言者が真意による遺言をすることが難しくなるおそれがあります。

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

遺言者の真意を損なうことは許されません。

遺言者が真意による遺言をすることができるようにするため、証人になれない人が定められています。

証人になれない人なのに証人として立ち会った遺言書は、無効になります。

相続人・受遺者になる予定の人など利害関係がある人は遺言書の公正を保持するため、証人になれません。

③公証人の配偶者、4親等内の親族、書記、使用人

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。

証人は、遺言書の内容をチェックする人です。

公証人に近い関係の人が証人になった場合、チェックしにくいでしょう。

遺言書の内容をチェックする人なのに、チェック機能が働かないおそれがあります。

遺言内容を公証人に取りまとめてもらって、きちんと証人に確認してもらっているから公正証書遺言には高い信頼性があります。

証人になれない人なのに証人として立ち会った遺言書は、無効になります。

公証人の近い関係の人はチェック機能が働きにくくなるから、証人になれません。

④欠格事由はなくても慎重に選定

遺言者の孫は、直系血族です。

直系血族だから、孫は証人になることはできません。

孫の配偶者は、相続人になることはありません。

孫の配偶者は、直系血族ではありません。

孫の配偶者は、証人になれない人に該当しません。

証人になれない人ではないけど、おすすめはできません。

孫の配偶者は、利害関係人に近い関係の立場だからです。

遺言書の内容に不満がある相続人がいた場合、トラブルになるおそれがあります。

孫の配偶者に証人になってもらった場合、トラブルに巻き込むかもしれません。

証人になれない人に該当しないけど、慎重に選定する方がいいでしょう。

⑤証人2人を準備できないときは

公正証書遺言を作成する場合、司法書士などの専門家にサポートしてもらうことが一般的です。

専門家に相談していた場合、適切なアドバイスを受けることができます。

遺言書文案作成の段階からサポートを受けていると、将来のトラブルの芽を摘むことができるからです。

自分で証人を用意することができない場合、司法書士などの専門家に依頼することができます。

司法書士などの専門家には、守秘義務があります。

遺言の内容が外部に漏れる心配はありません。

司法書士などの専門家に証人を依頼した場合、遺言書作成日のスケジュール調整をしてくれます。

証人が立ち会えないから遺言書が作れない事態は、基本的に考えられません。

⑥専門家を証人にすると安心

司法書士などの専門家には、職業上の守秘義務が徹底されています。

遺言内容をもれる心配が低く、プライバシーが確保されます。

万が一遺言書作成手続に疑義が生じても、専門家として中立的に状況説明をすることができます。

適切に証言することで、公正証書遺言の有効性を担保することができます。

第三者性や中立性の観点から、相続人間のトラブル予防に役立ちます。

専門家を証人にすると、安心感が高まります。

⑦証人と遺言執行者は兼任できる

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

証人と遺言執行者は、兼任できます。

司法書士などの専門家に証人と遺言執行者を依頼することは、よくあります。

一緒に依頼すると、一貫してサポートを受けることができるから一層安心です。

⑧証人の報酬は1万円前後が多い

親族に証人を依頼しようとすると、欠格に該当することが多いでしょう。

第三者に証人を依頼する場合、報酬が発生します。

証人1人の報酬は、1回1万円前後が多いです。

⑨証人選任の失敗事例

ケース(1)証人になれない人を証人にした

証人になれない人を証人にすると、公正証書遺言は無効になります。

公証人は証人になれない人ではないか、厳重に確認します。

遺言者が適切に情報開示しないと、見落としにつながります。

ケース(2)証人2人の立会いがなかった

証人2人の立会いがないと、公正証書遺言は無効になります。

証人が途中で中座すると、立会い欠如になります。

ケース(3)口が軽い証人で遺言内容が漏洩

証人選びを軽く見ると、深刻なトラブルになります。

一部の相続人に偏った遺言書の場合に、生前からトラブルに発展します。

ケース(4)スケジュールの調整不足で延期

証人の責任をよく理解していないと、直前でキャンセルすることがあります。

証人2人の立会いなしで、公正証書遺言は作成できません。

証人の責任を充分理解している専門家がおすすめです。

3公正証書遺言作成時に証人がやるべきこと

①遺言者の本人確認

遺言者が本人であることを確認します。

遺言者の顔と本人確認書類を照合します。

②遺言者の判断能力の確認

遺言者が認知症などではなく、正常な判断能力があることを確認します。

遺言者が自由意思に基づいて、遺言をしていることを見届けます。

証人は、遺言内容に関与しません。

中立的立場から手続に、立ち会います。

③遺言内容の読み上げに立会い

遺言者の口授に基づいて作成した遺言内容を公証人が読み上げます。

公証人が遺言内容を読み上げる場面に立会い、遺言者が承認する様子を確認します。

④公正証書遺言原本に署名押印

公正証書遺言原本の末尾に、証人2人が署名押印をします。

証人は、朱肉を使う認印で押印することができます。

スタンプ印を使うことはできません。

証人は印章を忘れないようにしましょう。

証人は、必ず署名します。

証人は遺言者とちがい、署名できないときの例外がないからです。

⑤証人の本人確認書類の提示

証人は、運転免許証やマイナンバーカードなど本人確認書類を提示します。

4公正証書遺言の作成手順

手順①遺言内容の検討

財産の内容、相続人の構成、遺言の目的などを整理します。

必要に応じて、司法書士や税理士などの専門家に相談します。

この段階で、相続人の遺留分や相続税など影響を考慮しておくことがおすすめです。

手順②公証人と打合せ

公証役場に連絡し、遺言内容の概要を伝えます。

遺言書作成を司法書士などの専門家にサポートしてもらう場合、司法書士に担当してもらえます。

手順③必要書類の準備

遺言内容に応じて、公証人から必要書類が指示されます。

この段階で、証人を決めておくことがおすすめです。

証人の本人確認書類を用意します。

司法書士などの専門家にサポートしてもらう場合、司法書士に証人を準備してもらうことができます。

手順④遺言書の文案確認

遺言内容の概要に基づいて、公正証書遺言の文案が示されます。

この段階で、公証人、証人2人、遺言者のスケジュール調整をします。

手順⑤公正証書遺言作成当日

遺言者本人と証人2人が公証役場に出向きます。

証人は、印章と本人確認書類をを持参します。

口述内容に基づいて、公証人が書面に取りまとめます。

証人2人が立会い、手続が適切に行われたことを確認します。

証人は、途中で席をはずすことはできません。

途中で席を外すと、証人2人の立会いがないと判断されるからです。

遺言者と証人2人が公正証書遺言原本に、署名押印します。

公正証書遺言作成当日は、15~30分程度で終了します。

公証役場に出向くことが難しい場合、公証人に出張してもらうことができます。

手順⑥公正証書遺言原本は公証役場で保管

公正証書遺言は、公証役場で厳重保管されます。

公正証書遺言作成後、遺言書の正本と謄本が渡されます。

5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は被相続人の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

家族がトラブルに巻き込まれることを望む人はいないでしょう。

遺言書があることでトラブルになるのは、ごく稀なケースです。

遺言書がないからトラブルになるのはたくさんあります。

そのうえ、遺言書1枚あれば、相続手続きは格段にラクになります。

家族を幸せにするために遺言書を作ると考えましょう。

実際、家族の絆のためには遺言書が必要だと納得した方は遺言書を作成します。

家族の喜ぶ顔のためにやるべきことはやったと安心される方はどなたも晴れやかなお顔です。

家族の幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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