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1公正証書遺言のデジタル化で変わったこと
①公正証書の原本が電子データになった
公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に伝え公証人が取りまとめる遺言書です。
従来は書面に取りまとめていたところ、電子データで取りまとめることになりました。
遺言書を手書きで作っていたところ、パソコンで作成するようになったという意味ではありません。
公正証書遺言は、従来からパソコンなどで作成しています。
公正証書遺言がデジタル化されても、自筆証書遺言の本文は手書きで作成します。
公正証書遺言と自筆証書遺言は、方式がちがう遺言書です。
公正証書遺言を作成した場合、遺言書原本は電子データが原則です。
遺言者が紙にするか電子データにするか、選択する制度ではありません。
電子データで取りまとめることが困難な事情があるときだけ、紙で作成されます。
②署名・押印がタッチペンでサインになった
公正証書遺言を作成する際、従来は遺言者と証人2人が署名し押印をしていました。
公正証書の原本が電子データになったことで、紙に署名するのではなくタッチパネルにタッチペンで署名することになりました。
押印は、不要になりました。
タッチパネルにタッチペンで手書きできない人は、公証人がその旨を記録します。
公証人はタッチペンで署名することに加えて、官職証明書による電子署名を行います。
③ウェブ会議方式で公正証書遺言が作成できるようになった
公正証書遺言を作成する方法は、従来は公証役場に出向いて作成か公証人が出張して作成の2通りでした。
ウェブ会議方式とは、インターネットのテレビ電話を利用して面談を行う方式です。
ウェブ会議方式を利用すると、公証人による本人確認や意思確認を自宅などで行うことができます。
ウェブ会議方式は、公正証書遺言を作成するときの新たな選択肢です。
今までどおり、公証役場へ出向く方法や公証人に出張してもらう方法を選択することができます。
④正本や謄本を電子データで受け取れるようになった
公正証書遺言を作成した後は、遺言書原本は公証役場で厳重に保管されます。
遺言者本人には、正本と謄本が渡されます。
従来は、正本と謄本は紙で渡されていました。
公正証書の原本が電子データになったことで、正本と謄本は電子データによる受取を選択することができるようになりました。
従来どおり、紙で受け取ることも選択できます。
電子データで受け取っても、相続手続先の対応状況によっては使えない可能性があります。

⑤デジタル化でも変わらないこと
(1)公証人と証人2人の確認は緩和されない
公正証書遺言がデジタル化されても、厳格な確認は変わりません。
公証人は、本人確認と本人の意思確認を行います。
公正証書遺言がデジタル化されても、公証人の確認は緩和されません。
公正証書遺言作成に際して、証人2人が確認します。
公正証書遺言がデジタル化されても、証人2人の確認は緩和されません。
公正証書遺言の効力が争われにくいのは、公証人と証人2人が関与しているからです。
公正証書遺言作成における確認は、従来どおり厳格に行われます。
(2)遺言書の内容は充分に検討する必要
遺言内容は、遺言者が充分に検討する必要があるのは従来どおりです。
大きく偏った遺言内容であった場合、相続人間でトラブルになる可能性があります。
有効な遺言書を作成するだけで、遺留分を奪うことはできません。
遺留分とは、相続人に認められた最低限の権利です。
被相続人に近い関係の相続人に認められます。
相続人間のトラブルを防止するため、遺留分に配慮した遺言内容がおすすめです。
(3)遺言能力の有無で争いになる可能性
相当高齢で遺言書を作成する場合、遺言能力の有無が問題になることがあります。
遺言能力とは、遺言書に書いた内容を理解し遺言の結果のメリットデメリットを充分に判断できる能力です。
認知症などで遺言能力が認められない場合、遺言書は無効になります。
認知症と診断されても、遺言能力なしと言い切ることはできません。
認知症の程度と遺言内容の複雑さなどから総合的に判断されるからです。
遺言能力の有無が懸念される場合、医師の診断書や認知機能検査結果などを整理しておくことが重要です。
2公正証書遺言のデジタル化でウェブ会議方式
①ウェブ会議方式は公証人が認めるとき
遺言者が希望すれば、必ずウェブ会議方式で公正証書遺言を作成できるわけではありません。
遺言者が希望しても、ウェブ会議方式が必要か適切か公証人が判断するからです。
ウェブ会議方式であっても、公証人は厳格な確認をする必要があります。
遺言内容について充分な理解をしているのか疑問がある場合、より慎重に確認する必要があります。
家族や第三者から強く勧められて遺言書を作成する場合、より丁寧な確認をする必要があります。
相続人間で遺言書の有効性が争われる可能性がある場合、ウェブ会議方式が認められない可能性があります。
②パソコンやタッチパネルなどの機材の準備
ウェブ会議方式で公正証書遺言を作成する場合、遺言者側で機材を準備する必要があります。
必要な機材の動作要件は、日本公証人連合会のホームページで確認することができます。
主な要件は、次のとおりです。
・ウェブ会議中インターネットに接続されていること
・Microsoft Teamsが利用可能であること
・Microsoft Teams使用中に同じパソコンでメールを即時に受信可能であること
・タッチパネルとタッチペンが利用可能であること
・ウェブカメラ、マイク、スピーカーが利用可能であること
・ウェブカメラが利用して部屋全体を映すことが可能であること
機材が準備できても、ウェブ会議方式が認められるわけではありません。
ウェブ会議方式が認められるのは、公証人が適切と判断したときだからです。
③ウェブ会議方式で遺言内容を伝えることができる
公証人が送る招待メールから、ウェブ会議に参加します。
公正証書遺言を作成する場合、遺言内容を公証人に伝える必要があります。
遺言者は、ウェブ会議方式で遺言内容を伝えることができます。
④ウェブ会議方式で読み聞かせと承認
公証人は、遺言内容を取りまとめます。
公正証書遺言の内容を読み聞かせたり閲覧させたりして、間違いがないか確認してもらいます。
公証人は、ウェブ会議方式で公正証書遺言の内容を読み聞かせ承認を受けることができます。
公証人と列席者が映像と音声で、相手の状態を相互に確認します。
⑤遺言者本人がタッチパネルとタッチペンで署名
公証人から、電子サイン依頼メールが届きます。
ウェブ会議で使用しているパソコン上で、即時に受信してメールを開きます。
スマートフォンなどのメールアプリで確認するだけでは、不足です。
電子サイン依頼メールを受け取ったらリンクから、署名を開始します。
原則として遺言者本人がパソコンを操作して、署名をする位置まで移動します。
遺言者本人がタッチパネルとタッチペンを利用して、署名します。
証人2人も続いて、同様に署名します。
ウェブ会議方式では、公証人と証人2人が遺言者の署名をする様子を見守る必要があります。
スマートフォンやタブレットなどで同時確認ができない場合、ウェブ会議方式は利用できません。
招待メールやサイン依頼メールを同一のパソコンで受信することで、遺言者本人が操作していることを確認します。
遺言者本人が操作していることで、手続の一体性を確認できるからです。

⑥ウェブ会議中は子どもなどは立ち会えない
公正証書遺言を作成する場合、子どもなどの推定相続人は同席することはできません。
子どもなどの推定相続人は、遺言内容に利害関係があるからです。
公正証書遺言作成を開始するまでの事前準備は、子どもなどの推定相続人がサポートをすることができます。
公正証書遺言作成を開始前に部屋の中を映して、利害関係人がいないか確認されます。
子どもなどが同席すると、遺言者が自由な意思で真意を述べられなくなるおそれがあります。
たとえパソコンを操作するためであっても、同席はできません。
3ウェブ会議方式と公証人出張方式を比較する
①ウェブ会議方式は機材の準備と操作が必要
ウェブ会議方式で公正証書遺言を作成する場合、遺言者側で機材を準備する必要があります。
パソコンなどの機材は、遺言者本人が自分で操作します。
公正証書遺言を作成する事前準備などは、子どもなどに手伝ってもらうことができます。
ウェブ会議中、子どもなどは立ち会えません。
不意にエラーなどが出ても、遺言者本人が自分で操作する必要があります。
②公証人出張方式は公証人が機材を持参する
公証人出張方式で公正証書遺言を作成する場合、公証人が機材を持参します。
パソコンなどの機材は、公証人が操作してくれます。
不意にエラーなどが出ても、公証人が復旧してくれます。
復旧ができなくても、公証人の判断で紙の公正証書遺言を作成するなどの対応することができます。
③パソコンなどの操作に不安があれば出張方式が進めやすい
パソコンやメールの操作に不安がある場合、公証人に出張してもらう方法が安心です。
公証人が面談するから、公証人が面前でサポートすることができるからです。
公証人出張方式は、通信環境の不安がなくなります。
④公証人出張方式は手数料加算がある
公証人出張方式は、利便性と引き換えに手数料が加算されます。
手数料加算の他に、公証人の日当と交通費実費を負担する必要があります。
ウェブ会議方式は、通常の公正証書作成手数料のみです。
ウェブ会議方式を利用するために、加算手数料はありません。
パソコンなどの操作の負担と公証人に対する手数料負担を比べて、選択するといいでしょう。
公証人に対する手数料は、公証役場で計算してもらうことができます。
4遺言書作成を司法書士に依頼するメリット
遺言書は、遺言者の意思を示すものです。
自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。
いろいろ言い訳を考えて先延ばしします。
先延ばしした結果、認知症などで遺言書を作れなくなって、その先には家族のもめごとが待っています。
家族がトラブルに巻き込まれることを望む人はいないでしょう。
死んだ後のことを考えるのは不愉快などと言えるのは、判断力がしっかりしている証拠ですから、まず遺言書を書くことをおすすめします。
遺言書があることでトラブルになるのは、ごく稀なケースです。
遺言書がないからトラブルになるのはたくさんあります。
そのうえ、遺言書1枚あれば、相続手続きは格段にラクになります。
状況が変われば、遺言書は何度でも書き直すことができます。
家族を幸せにするために遺言書を作ると考えましょう。
遺言書の書き直しのご相談もお受けしています。
家族の喜ぶ顔のためにやるべきことはやったと安心される方はどなたも晴れやかなお顔です。
家族の幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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