事実婚・内縁関係を証明するには

1事実婚・内縁関係は戸籍謄本で証明できない

①法律婚は戸籍謄本で一目瞭然

法律上婚姻関係と認められるためには、婚姻届を提出する必要があります。

婚姻届を提出すると、戸籍に記載されます。

法律婚は、戸籍謄本で証明することができます。

事実婚・内縁関係とは、婚姻届を出さない夫婦関係です。

婚姻届を提出しないから、戸籍には何も記載されません。

事実婚・内縁関係は、戸籍謄本で証明できません。

②第三者は資料で判断する

事実婚・内縁関係の当事者は、当然、夫婦であると認識しているでしょう。

夫婦だから分かってもらえると、誤解しがちです。

第三者は、事実婚・内縁関係を資料で判断します。

事実婚・内縁関係は、当事者が積極的に証明する必要があります。

事実婚・内縁関係には、戸籍謄本のような決定的証拠はありません。

客観的資料を積み重ねて、証明する必要があります。

③事実婚・内縁関係と認められる条件

条件(1)婚姻意思があること

婚姻意思があることとは、お互いに夫婦として共同生活を営む意思があることです。

形式的な届出の有無ではなく、実質的な夫婦である意思が重視されます。

条件(2)同一世帯で共同生活の実態があること

同一世帯で共同生活の実態があることとは、社会通念上夫婦と認められる生活実態があることです。

次の事項が重視されます。

・同居していること

・家計の共同があること

・協力扶助があること

条件(3)社会的承認があること

社会的承認があることとは、社会的に夫婦と認識されていることです。

周囲から夫婦であると認められ、対外的に夫婦であると振舞っていることです。

④決定的証拠がないから複数資料で補強する

事実婚・内縁関係には、決定的証拠がありません。

客観的資料を複数積み重ねて、証明します。

事実婚・内縁関係は、複数の資料によって3つの条件を総合的に判断されます。

単独の資料だけで、事実婚・内縁関係が認められるのは難しいでしょう。

単独の資料は、決定打にはならないからです。

複数の資料で相互に補強するほど、説得力が高まります。

一部の条件が弱くても、他の条件や資料で補強することができます。

やみくもに、たくさんの資料を準備する必要はありません。

第三者は、客観的に確認できる資料を重視するからです。

公的機関が確認した資料は、強い証拠力があります。

当事者だけで作成した資料は、補助的な役割を果たします。

事実婚・内縁関係と認められる条件を客観的に証明できるように、資料を準備します。

社会的承認があることは、公的な資料や準公的な資料が見込めません。

弱い証拠力だからこそ、さまざまな角度から承認されていることをバランスよく示す必要があります。

できるだけ証拠力のある資料をバランスよく、複数準備することがおすすめです。

過去の生活実態に基づく資料は、散逸していることも多いでしょう。

現在準備できる資料を組み合わせて、説明することが重要です。

⑤事実婚・内縁を証明するシーン

シーン(1)健康保険の扶養家族に入る

シーン(2)国民年金3号被保険者になる

シーン(3)遺族年金を受け取る

シーン(4)未支給年金を受け取る

シーン(5)公営住宅の入居

2事実婚・内縁関係で婚姻意思を証明するには

①パートナーシップ宣誓書

事実婚・内縁関係が認められるには、婚姻意思が認められる必要があります。

婚姻意思がないと、単なる同棲になるからです。

当事者が婚姻意思があると思っているだけでは、証明になりません。

パートナーシップ宣誓制度とは、お互いを人生のパートナーであると宣誓する制度です。

自治体がパートナーシップ宣誓を受付けたことを証明します。

パートナーシップ宣誓には、法的な効力はありません。

パートナーシップ宣誓書は公的な書類だから、高い証拠力があります。

自治体によっては、事実婚・内縁関係の人は制度利用ができないことがあります。

②婚姻契約公正証書

婚姻契約公正証書とは、夫婦が結婚生活に関する取り決めを公正証書にしたものです。

婚姻契約公正証書では、お互いをパートナーとする意思を明確にします。

生活費の負担や共有財産の範囲などを盛り込むことができます。

公正証書とは、公証人が作成する公文書です。

公正証書は、公証人が本人確認のうえ本人の意思を確認して作成します。

婚姻契約公正証書を作成しても、法律婚の効力を変えることはできません。

公正証書には、高い信頼性と高い証拠力があります。

③結婚証明書

結婚証明書とは、結婚式で新郎新婦が結婚する証明としてサインする書類です。

結婚証明書は単なる結婚式の演出のひとつで、公的書類ではありません。

ゲストの前でサインすることで、結婚の誓いを形に残すことができます。

婚姻届とちがい、法的効力はありません。

結婚証明書は公的書類ではないから、結婚証明書だけでは弱い証拠です。

④婚姻意思は後から証明できない

事実婚・内縁関係は、過去の事実の積み重ねで証明します。

事実婚・内縁配偶者が死亡した後、婚姻意思を証明することは難しくなります。

3事実婚・内縁関係で同一世帯で共同生活の実態を証明するには

①住民票で同一世帯を証明できる

事実婚・内縁関係が認められるには、同一世帯で共同生活の実態を認められる必要があります。

住民票は、世帯ごとに作成されます。

世帯とは、同一の住居に居住し、かつ、生計を共にする人の集まりと考えられています。

事実婚・内縁関係であっても、それぞれが世帯主で別の住民票になっていることがあります。

それぞれが世帯主で別の住民票になっていると、共同生活の実態が認められにくいでしょう。

例えば、シェアハウスで暮らしている人は、同一住所であっても共同生活の実態はありません。

事実婚・内縁関係であれば、共同生活をしているでしょう。

希望すれば、住民票を同一世帯にしてもらうことができます。

住民票は公的書類だから、高い証拠力があります。

②住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」

住民票を確認すると、世帯主から見た続柄が記載されます。

同一世帯であっても、事実婚・内縁関係であるか分かりません。

例えば、友人同士でルームシェアをする場合や単なる同棲の場合、事実婚・内縁関係はありません。

住民票の世帯主から見て、同居人であると言えます。

事実婚・内縁関係がある場合、同居人ではなく「夫(未届)」「妻(未届)」が適切でしょう。

住民票の異動届を提出して、続柄を「夫(未届)」「妻(未届)」にしてもらうことができます。

住民票の異動届を提出する際に、事実婚・内縁関係の実態を説明する必要があります。

自治体によっては口頭の説明だけでなく、次の資料を準備すると納得してもらいやすいでしょう。

・不動産の賃貸借契約書

・生活費の共同が分かる書類

・パートナーシップ宣誓書

・婚姻契約公正証書

自治体から事実婚・内縁関係が認められたら、続柄が「夫(未届)」「妻(未届)」に変更されます。

平成24年2月10日総行住17号で総務省自治行政局長から「住民基本台帳事務処理要領の一部改正について(通知)」が発出されています。

「未届(夫)」「未届(妻)」と記載できないと言われた場合、できない理由を確認するといいでしょう。

住民票は公的書類だから、高い証拠力があります。

③住民票で長期間の同居を証明できる

事実婚・内縁関係が認められるには、共同生活の実態が重視されます。

共同生活が短期間である場合、事実婚・内縁関係とは認められにくいでしょう。

共同生活が長期間安定的に継続している場合、法律婚の夫婦と同様の生活実態があると認められやすくなります。

住民票を取得すると、共同生活の期間が判明します。

共同生活の期間は決定的な証拠にはなりませんが、長期間の共同生活の事実は補強証拠になります。

④賃貸借契約書の記載

事実婚・内縁関係が認められるために、賃貸借契約書は有効です。

賃貸借契約書は、生活の本拠を共有していることを示すことができます。

同一住所で共同生活をしていることを客観的に示すことができるからです。

連名で賃貸借契約をしている場合や互いに連帯保証人になっている契約は、高い証拠力があります。

賃貸借契約書の同居人欄に記載があり、住民票の続柄と整合性があるといいでしょう。

⑤家賃・公共料金・通信費の支払記録

共同生活をしている場合、生計同一の証明が重要です。

共同口座から引き落としをしている場合、生計同一をしていると言えます。

同一のクレジットカードや銀行口座を利用している場合、経済的結びつきを示すことができます。

長期間の支払いをしている場合、安定的な共同生活を証明することができます。

⑥社会保障や扶養関係

健康保険の扶養家族になっている場合、保険者から扶養関係が認められたと言えます。

遺族年金の支給を受けている場合、日本年金機構から遺族と認められたと言えます。

ひとつひとつの証拠力は弱くても、たくさんの証拠があると強力な証拠になります。

⑦共同生活の実態は婚姻意思の補強証拠になる

当事者が婚姻意思があると思っていると、共同生活をするようになるでしょう。

共同生活の実態を証明することは、婚姻意思があることの補強証拠になります。

4事実婚・内縁関係で社会的承認があることを証明するには

①民生委員発行の事実婚証明書

民生委員とは、厚生労働大臣から嘱託された地方公務員です。

地域の身近な相談にのり、行政や専門機関につなぐパイプ役です。

地域の民生委員に依頼すると、事実婚証明書を発行してくれることがあります。

事実婚証明書を発行してくれるか、民生委員の考えによります。

民生委員が確認した事実関係によって、証拠力が強くなることも弱くなることもあります。

②勤務先で家族扱い

勤務先で家族扱いを受けている場合、第三者である勤務先が家族と認めていると言えます。

勤務先で家族扱いを受ける場合、一定の審査があるから証拠力が比較的強いと言えるでしょう。

例えば、事実婚・内縁の配偶者を対象にして、扶養手当が支給されていることがあります。

扶養手当が支給されている給与明細書は、社会的承認がある資料として有効です。

勤務先の慶弔規程に基づいて、配偶者と扱われることがあります。

結婚祝い金の支給、配偶者として弔慰金の支給などがあれば、社会的承認がある資料として有効です。

勤務先に、緊急連絡先を登録するでしょう。

緊急連絡先は、勤務先が最も信頼できる家族と扱う対象です。

社内システムの緊急連絡先欄に登録されている記録は、社会的承認がある資料として有効です。

③親族からの上申書

親族から家族扱いを受けている場合、身近な第三者である親族が家族と認めていると言えます。

身近な第三者である親族が明確に夫婦と認めている上申書は、社会的承認がある資料として有効です。

親族の集まりに夫婦として参加している事実は、社会的承認の外形として非常に有効です。

結婚式や葬儀に夫婦参加をする場合、夫婦で記帳しているでしょう。

お盆や正月などへの夫婦参加をする場合、家族写真に写っていることがあります。

夫婦の記帳や家族写真は、社会的承認がある資料として有効です。

④社会的承認は婚姻意思の補強証拠になる

当事者が婚姻意思があると思っていると、社会的承認を求めるようになるでしょう。

社会的承認を証明することは、婚姻意思があることの補強証拠になります。

5事実婚・内縁関係を証明しても相続できない

①相続人は法律上の配偶者のみ

被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は必ず相続人になります。

相続人になる配偶者は、法律上の配偶者のみです。

事実婚・内縁関係の配偶者は、相続人になることはできません。

事実婚・内縁関係を証明できても、相続では限界があります。

②特別縁故者は家庭裁判所が判断

被相続人に相続人がいない場合、原則として相続財産は国庫に帰属します。

被相続人に特別な縁故がある人がいる場合、国庫に帰属させるより特別縁故者に分与する方が適切なことがあります。

特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故がある人です。

事実婚・内縁関係の配偶者は、特別縁故者に認められる可能性があります。

特別縁故者であるか家庭裁判所が判断するから、財産が分与されるか不確定です。

特別縁故者に期待するより、遺言書を作成して遺贈がおすすめです。

遺言書で遺贈すれば、確実だからです。

6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

家族のさまざまな事情から、事実婚・内縁を選択する人がいます。

事実婚・内縁関係であっても、元気であれば不自由が少なくなっています。

事実婚・内縁の配偶者が死亡した場合、相続人になることはできません。

事実婚・内縁の配偶者に財産を受け継いでもらいたい場合、生前から準備しておくことが重要です。

遺言書は、遺言書の意思を示すものです。

遺言書は遺言者の死後に効力を生じるものなので、厳格な書き方ルールがあります。

厳格な書き方ルールに合わない遺言は、無効になります。

せっかく遺言書を作成するのであれば、公証人が関与する公正証書遺言がおすすめです。

公証人は、法律の専門家です。

公正証書遺言は公証人が文書にするから、書き方ルール違反で無効になることは考えられません。

公正証書遺言を作成する場合、事前に公証役場との打ち合わせが必要になります。

何の準備もせず公証役場に出向いても、遺言書作成をすることはできません。

公正証書遺言の作成は、司法書士などの専門家に依頼することができます。

司法書士などの専門家は、公証役場などの打ち合わせをして遺言書作成をサポートします。

司法書士などの専門家に依頼することで、スムーズに遺言書作成をすることができます。

事実婚・内縁の配偶者に財産を受け継いでもらいたい人は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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