相続放棄申述受理通知書

1相続放棄申述受理通知書とは

①相続放棄申述受理通知書は相続放棄を認めた通知

相続放棄は、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという家庭裁判所に対する申立てです。

家庭裁判所は、提出された書類を審査して相続放棄を認めるか認めないか判断します。

相続放棄を認める場合、本人に対して、相続放棄申述受理通知書を送ります。

相続放棄申述受理通知書は、相続放棄を認めましたよという本人あてのお知らせです。

家庭裁判所は、相続放棄を認めた場合、本人にだけ通知をします。

家庭裁判所から、他の相続人や債権者などに自主的に相続放棄を認めましたと通知することはありません。

②相続放棄申述受理通知書は再発行はされない

相続放棄申述受理通知書は、相続放棄を認めましたよという本人あてのお知らせです。

いったんお知らせをしたらお知らせは完了するので、再発行はされません。

たとえ相続放棄をした本人から依頼があっても、再発行はされません。

相続放棄申述受理通知書を紛失してしまっても、相続放棄は無効になりません。

相続放棄申述受理通知書は、家庭裁判所から相続放棄の申立てをした人に対するお知らせに過ぎないからです。

③相続放棄申述受理通知書はA4の紙1枚

相続放棄申述受理通知書は、家庭裁判所から相続放棄の申立てをした人に対するお知らせです。

裁判所が身近でないことから、何か大げさな仕様があると予想しているかもしれません。

戸籍謄本や住民票のような地模様の入った紙ではなく、見慣れたコピー紙に印刷されています。

家庭裁判所にとっては、単なるお知らせに過ぎません。

簡素な通知書であるから、拍子抜けするかもしれません。

相続放棄が認められたことをお知らせする重要な書類です。

④相続放棄申述受理通知書は普通郵便で届く

相続放棄申述受理通知書は、相続放棄が認められたことをお知らせする重要な書類です。

家庭裁判所にとっては、単なるお知らせに過ぎません。

相続放棄申述受理通知書は、書留や本人限定郵便などではなく普通郵便で届きます。

気を付けていないとDMなどに紛れてしまうかもしれません。

相続放棄申述受理通知書は、相続放棄の申立ての書類を作成した司法書士などの専門家に代わりに受け取ってもらうことができます。

⑤相続放棄照会書に回答してから1~2週間で届く

家庭裁判所に相続放棄をする申立てをした場合、申立てをした人に対して相続放棄照会書が届きます。

相続放棄照会書は、相続放棄の意思確認のための裁判所からのお尋ねです。

相続放棄をした場合、相続ができなくなるから慎重に判断します。

相続放棄の申立てと照会書に対する回答を見て、相続放棄を認めるか判断します。

相続放棄照会書に対する回答書を提出してから、1~2週間ほどで相続放棄申述受理通知書が届きます。

家庭裁判所によっては、相続放棄照会書を送らずに判断している場合があります。

相続放棄をする申立てをした後1~2週間経過しても相続放棄照会書が届かない場合、家庭裁判所に問い合わせをするといいでしょう。

2相続放棄申述受理通知書と相続放棄申述受理証明書のちがい

相続放棄申述受理通知書は、相続放棄を認めましたよという本人あてのお知らせです。

家庭裁判所は、相続放棄を認めた場合、本人にだけ通知をします。

債権者や他の相続人などに、自発的に連絡することはありません。

債権者などから見るとは、通常、知らないうちに相続放棄の手続がされていて、知らないうちに相続放棄が認められていることになります。

相続放棄をしたことを知らないから、被相続人にお金を貸していた人は相続人に返してもらおうと考えます。

被相続人にお金を貸していた人から返済を請求されたとしても、相続放棄をしたのだから通常支払う必要はないはずです。

債権者などに見せるため、家庭裁判所で相続放棄を認めてもらったことを証明してもらうことができます。

相続放棄申述受理証明書は、家庭裁判所で相続放棄を認めてもらったことの証明書です。

相続人でないことを証明するために使います。

多くの場合、相続放棄申述受理通知書を渡せば足りるでしょう。

銀行などの金融機関は、相続放棄申述受理通知書では足りず、相続放棄申述受理証明書の提出を求めてきます。

請求があってから、取り寄せることで差し支えないでしょう。

金融機関などの利害関係人は、自分で相続放棄申述受理証明書を取り寄せることができます。

3相続放棄申述受理通知書が必要になる場合

①相続放棄をしたことを証明する

相続放棄が認められても、家庭裁判所から債権者に連絡されません。

被相続人の債権者は何も知らないから、相続人に借金を払ってもらおうとします。

相続放棄をした人は相続人ではないから、被相続人の借金を返済する必要はありません。

債権者に相続放棄申述受理通知書を提示することで、相続放棄をしたことを分かってもらうことができます。

②相続登記など相続手続で使用する

相続放棄が認められても、家庭裁判所から他の相続人や相続手続先に連絡されません。

他の相続人が相続手続をする場合、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本や相続人の現在戸籍を提出します。

相続放棄が認められても、戸籍には記載されません。

相続手続先は、相続放棄をしたことは連絡されません。

相続手続先に相続放棄申述受理通知書を提示することで、相続放棄をしたことを分かってもらうことができます。

他の相続人が相続登記をする場合、戸籍謄本から相続放棄をしたことが分かりません。

法務局に対して相続放棄申述受理通知書を提示することで、相続放棄をしたことを分かってもらうことができます。

相続放棄申述受理通知書は、家庭裁判所によって書いてある内容が違います。

法務局から見て相続登記を認めることができるだけの情報が記載されている場合も不足している場合もあります。

相続放棄申述受理通知書は、相続放棄を認めましたよという本人あてのお知らせだからです。

相続登記を提出する場合、法務局から見て相続登記を認めることができるだけの情報が記載されているのであれば相続放棄申述受理通知書を提出することができます。

内容に不足がある場合、相続放棄申述受理通知書では足りず相続放棄申述受理証明書を取り寄せる必要があります。

③事件番号を確認する

相続放棄の申立てを受け付けしたら、家庭裁判所は事件番号を付けます。

家庭裁判所は、事件番号で事件を管理しています。

債権者や他の相続人が相続放棄申述受理証明書の発行を申請する場合、申請書に事件番号を記載する必要があります。

相続放棄申述受理通知書には、必ず事件番号が記載されています。

債権者や他の相続人が相続放棄申述受理証明書を取り寄せる場合、事件番号を知らせてあげると親切でしょう。

事件番号を知らせてあげなかった場合でも、相続放棄申述受理証明書の発行を申請することができなくなるわけではありません。

事件番号が分からない場合、債権者や他の相続人は相続放棄の有無の照会をすることができます。

相続放棄の有無の照会とは、相続放棄をしたか調べてもらう手続のことです。

相続放棄の有無の照会で、事件番号を知ることができます。

債権者や他の相続人は、事件番号を調べてもらってから相続放棄申述受理証明書の発行を申請することができます。

4相続放棄申述受理通知書を受け取っても相続放棄が無効になる場合がある

法律で定められた一定の条件にあてはまるときは、単純承認したとみなされます。

単純承認とは、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継ぐものです。

単純承認とみなされたら、相続放棄はできません。

相続放棄はできないのに、家庭裁判所に相続放棄の手続をして、相続放棄が認められても無効です。

家庭裁判所が事情を分からずに相続放棄を認めてしまっても、後から無効になります。

単純承認したとみなされる行為は、法律で定められています。

相続財産を処分した場合、単純承認したとみなされます。

相続財産の名義変更をした、相続財産である銀行の預貯金を引き出して使ってしまった場合が典型的です。

単に、引き出しただけであれば、処分とは言えないことが多いでしょう。

引き出したうえ、自分の口座に送金して保管すると、「処分した」と評価される可能性が高くなります。

相続財産の分け方について、相続人全員で合意をした場合も、相続財産を「処分した」場合に当たります。

5相続放棄を司法書士に依頼するメリット

実は、相続放棄はその相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続放棄は撤回ができないので、慎重に判断する必要があります。

せっかく、相続放棄が認められても、相続財産を処分した判断されたら無効になりかねません。

このような行為をしてしまわないように、予め知識を付けておく必要があります。

相続放棄を自分で手続きしたい人の中には、相続放棄が無効になることまで考えていない場合が多いです。

司法書士は、相続放棄が無効にならないようにサポートしています。

せっかく手続しても、相続放棄が無効になったら意味がありません。

相続放棄を考えている方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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