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任意後見受任者は任意後見人になる予定の人

2025-05-09

1任意後見受任者は任意後見人になる予定の人

①信頼できる人と契約する

認知症や精神障害や知的障害などで判断能力が低下すると、物事の良しあしを適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人もいるでしょう。

任意後見とは、将来に備えて信頼できる人にサポートを依頼する契約です。

任意後見は、だれと契約するのか本人が自分で決めることができます。

任意後見受任者は、任意後見人になる予定の人です。

物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなった後に、任意後見人がサポートします。

自分の財産管理などを依頼するから、信頼できる人と契約します。

多くの場合、本人の子どもなど近い関係の家族でしょう。

法定後見では家庭裁判所が成年後見人を選びます。

家族が選ばれるのは、20%程度と少数です。

任意後見受任者は、任意後見契約でサポートを依頼された人です。

②任意後見契約は公正証書で作成

任意後見契約は、判断能力が低下したときにサポートを依頼する契約です。

重要な契約だから、公正証書で契約をしなければなりません。

公正証書は、公証人に作ってもらう文書です。

単なる口約束や個人間の契約書では、効力がありません。

公証人は、法律の専門家です。

法律の専門家が当事者の意思確認をして、公正証書を作成します。

任意後見契約は、公正証書で作成します。

③任意後見契約をするだけでは効力がない

任意後見は、将来に備えて信頼できる人にサポートを依頼する契約です。

契約だから、物事のメリットデメリットを充分に判断できるときに締結します。

任意後見契約を締結するだけでは、効力がありません。

任意後見契約をしたときは、物事のメリットデメリットを充分に判断できるはずです。

物事のメリットデメリットを充分に判断できる間、サポートは必要ないでしょう。

物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなったら、サポートが必要になります。

サポートが必要ないから、任意後見契約は効力がありません。

任意後見受任者は、サポートが必要になったときに任意後見人になる予定の人です。

任意後見契約をするだけでは、任意後見受任者は本人を代理することはできません。

④任意後見受任者になれない人

自分が信頼する人に任意後見契約でサポートを依頼することができます。

自分が決めた人にサポートを依頼できるのは、任意後見の大きなメリットです。

サポートを依頼できるときに、特別な資格や条件は不要です。

次の人は、成年後見人になれません。

(1)未成年者

(2)後見人を解任されたことのある人

(3)破産者で復権していない人

(4)本人に訴訟をした人と訴訟をした人の配偶者、直系血族

(5)行方不明の人

任意後見契約をするときに未成年であっても、サポートを開始するときに成年になっていれば成年後見人になることができます。

⑤任意後見受任者を選ぶときのポイント

任意後見受任者は、自分で選ぶことができます。

任意後見受任者を選ぶときのポイントは、次のとおりです。

(1)信頼できる人

任意後見契約で、財産管理や身上監護を依頼します。

重要な契約だから、信頼できる人であることが重要です。

任意後見受任者を選ぶときのポイント1つ目は、信頼できる人です。

(2)専門知識がある人

依頼したい内容が財産管理中心である場合、専門知識が必要になります。

司法書士などの専門家を選任することを検討するといいでしょう。

任意後見受任者を選ぶときのポイント2つ目は、専門知識がある人です。

(3)年齢

本人より若い人を選任するといいでしょう。

後見事務が継続する必要があるからです。

任意後見受任者を選ぶときのポイント3つ目は、年齢です。

(4)近くに住んでいる人

近くに住んでいる人を選任すると、きめ細かなサポートを期待できます。

任意後見受任者を選ぶときのポイント4つ目は、近くに住んでいる人です。

(5)コミュニケーションができる人

物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなってから、サポートを開始します。

本人の意向や考えを尊重できる人であることが重要になります。

任意後見受任者を選ぶときのポイント5つ目は、コミュニケーションができる人です。

(6)誠実な人

任意後見契約は、財産管理や身上監護を依頼します。

任意後見事務には、大きな責任が伴います。

任意後見受任者は、誠実な人を選ぶことが大切です。

任意後見受任者を選ぶときのポイント6つ目は、誠実な人です。

⑥任意後見受任者が死亡届

本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できるまま、死亡することがあります。

任意後見受任者は、死亡届をすることができます。

親族以外の任意後見受任者が、死亡届を提出することができます。

⑦任意後見受任者は無報酬

本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できる間、サポートは必要ないでしょう。

任意後見受任者は、やることがありません。

任意後見受任者は、無報酬です。

物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなったら、サポートが必要になります。

任意後見受任者は、任意後見人としてサポートを開始します。

任意後見人の報酬は、任意後見契約で決めておきます。

任意後見人が家族である場合、任意後見人の報酬は無報酬にすることがあるでしょう。

責任を持ってサポートをしてもらうため、いくらかの報酬を支払った方がいいかもしれません。

家族以外の専門家にサポートを依頼する場合、任意後見人の報酬の目安は次のとおりです。

・資産1000万円以下 月額3万円程度

・資産5000万円以下 月額4~5万円程度

・資産5000万円以上 月額5~6万円程度

任意後見受任者は、無報酬です。

2任意後見受任者はサポートができない

①任意後見人になってからサポート開始

任意後見契約をするだけでは、任意後見契約に効力はありません。

本人は物事のメリットデメリットを充分に判断できるはずだからです。

任意後見受任者のサポートは、不要です。

任意後見受任者は、サポートができません。

サポートを開始するのは、任意後見人になってからです。

②任意後見監督人選任により任意後見受任者は任意後見人になる

任意後見受任者は、サポートができません。

サポートを開始するのは、任意後見人になってからです。

任意後見受任者が任意後見人になるのは、任意後見監督人が選任されたときです。

任意後見監督人が選任されると、任意後見契約に効力が発生します。

任意後見契約に効力が発生すると、任意後見受任者は任意後見人になります。

任意後見人になると、サポートを開始します。

任意後見人は、任意後見監督人に監督されます。

任意後見監督人は、家庭裁判所に監督されます。

家庭裁判所は任意後見監督人を監督することで、任意後見人を間接的に監督します。

任意後見監督人選任により、任意後見受任者は任意後見人になります。

③任意後見監督人は不要にできない

任意後見監督人は、任意後見人を監督する人です。

監督と聞くと、日常生活を監視されるイメージがあるかもしれません。

任意後見監督人をなしにしたいと言う声をよく聞きます。

任意後見制度では、任意後見監督人は必ず置かれます。

任意後見制度では、任意後見監督人をなしにするわけにはいきません。

家庭裁判所が任意後見監督人を選任することが、任意後見の始まりだからです。

任意後見監督人は、不要にできません。

④任意後見受任者が任意後見監督人選任の申立て

物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなったら、家庭裁判所に任意後見監督人を選任してもらいます。

任意後見監督人選任の申立てができるのは、次の人です。

(1)本人

(2)配偶者

(3)4親等内の親族

(4)任意後見受任者

任意後見監督人選任の申立先は、本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。

任意後見受任者が任意後見監督人選任の申立てをすることができます。

3任意後見受任者が任意後見契約を解除できる

①任意後見監督人選任前は一方的に解除できる

任意後見契約をするだけでは、任意後見契約に効力はありません。

任意後見契約に効力が発生するまで、任意後見契約は自由に解除することができます。

本人の同意がなくても、一方的に解除することができます。

任意後見監督人選任前は、任意後見受任者は任意後見契約を一方的に解除できます。

②任意後見契約解除は公正証書で

任意後見契約は、公正証書で契約します。

任意後見契約は、公正証書で解除することができます。

(1)合意解除をする場合

任意後見契約合意解除書に、本人と任意後見人が署名押印します。

公証人の認証を受けます。

(2) 一方的解除をする場合

本人か任意後見人が、任意後見契約解除通知書に解除する人が署名押印します。

公証人の認証を受けます。

解除書を配達証明付き内容証明郵便で相手方に通知します。

任意後見契約解除は、公正証書で行います。

③任意後見監督人選任後は家庭裁判所の許可が必要

物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなったら、任意後見監督人選任されます。

任意後見監督人が選任された後は、本人の判断能力が低下しています。

判断能力が低下したのに、サポートする人がいなくなると本人は困ります。

任意後見契約を解除するためには、家庭裁判所の許可が必要です。

家庭裁判所は正当な理由がある場合に限り、任意後見契約を解除を許可します。

正当な理由とは、任意後見人の事務が困難と認められる理由です。

具体的には、次のような理由です。

・病気などで療養に専念したい。

・遠方に転居した。

・本人や本人の家族と任意後見人の信頼関係がなくなった。

家庭裁判所の許可を得てから、相手方に意思表示をして契約を終了させます。

任意後見監督人選任後は、家庭裁判所の許可が必要です。

④任意後見契約解除で終了の登記

任意後見契約をした場合、公証人が登記申請をしてくれます。

任意後見契約を解除した場合、終了登記は自分でする必要があります。

任意後見がスタート前でもスタート後でも、終了登記は必要です。

終了登記は、本人の住所地や本籍地に関係なくすべて東京法務局後見登録課が扱います。

任意後見契約解除で、終了の登記が必要になります。

4任意後見受任者と任意後見人のちがい

ちがい①法的地位

任意後見受任者は、任意後見人になる予定の人です。

任意後見人は、本人をサポートする人です。

ちがい1つ目は、法的地位です。

ちがい②任意後見契約の効力

任意後見契約をするだけでは、任意後見契約に効力はありません。

任意後見受任者は、任意後見契約に効力が発生する前の段階です。

物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなったら、任意後見契約に効力が発生します。

任意後見人は、任意後見契約に効力が発生した後の段階です。

ちがい2つ目は、任意後見契約の効力です。

ちがい③代理権行使の有無

任意後見契約に効力が発生する前、本人は物事のメリットデメリットを充分に判断できるはずです。

任意後見受任者は、本人をサポートする必要がありません。

任意後見受任者は、本人を代理することができません。

任意後見契約に効力が発生した後、本人は物事のメリットデメリットを充分に判断できません。

任意後見人は、本人をサポートする必要があります。

任意後見人は、本人を代理します。

ちがい3つ目は、代理権行使の有無です。

ちがい④任意後見契約の解除方法

任意後見受任者は、いつでも一方的に任意後見契約を解除することができます。

任意後見人は、任意後見契約を解除するため家庭裁判所の許可が必要です。

ちがい3つ目は、任意後見契約の解除方法です。

5任意後見契約を司法書士に依頼するメリット

任意後見制度は、あらかじめ契約で「必要になったら後見人になってください」とお願いしておく制度です。

認知症が進んでから、任意後見契約をすることはできません。

重度の認知症になった後は、成年後見(法定後見)をするしかなくなります。

成年後見(法定後見)では、家庭裁判所が成年後見人を決めます。

任意後見契約では、本人の選んだ人に後見人になってもらうことができます。

家族以外の人が成年後見人になることが不安である人にとって、任意後見制度は有力な選択肢になるでしょう。

任意後見制度の活用を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

任意後見人になれる人なれない人

2025-04-28

1任意後見契約でサポートを依頼する

①信頼できる人と任意後見契約

認知症や精神障害や知的障害などで判断能力が低下すると、物事の良しあしを適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人も、いるでしょう。

任意後見とは、将来に備えて信頼できる人にサポートを依頼する契約です。

任意後見は、だれと契約するのか本人が自分で決めることができます。

任意後見契約をした場合、物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなった後にサポートしてもらいます。

自分の財産管理などを依頼するから、だれと契約するかが重要です。

多くの場合、本人の子どもなど近い関係の家族でしょう。

家庭裁判所で成年後見開始の審判をしてもらう場合、成年後見人は家庭裁判所が決めます。

家族が成年後見人に選ばれるのは、わずか20パーセント程度です。

任意後見契約では、本人が選んだ人にサポートを依頼することができます。

②任意後見と法定後見のちがい

成年後見には、2種類あります。

任意後見と法定後見です

任意後見とは、将来に備えてサポートを依頼する契約です。

法定後見とは、判断能力が低下した後で家庭裁判所がサポートする人を決める制度です。

任意後見契約で、本人が選んだ人にサポートを依頼することができます。

将来に備えて準備する人は、多くありません。

任意後見を利用する人は、あまり多くありません。

成年後見を利用する人は、ほとんどが法定後見です。

単に、成年後見と言ったら法定後見を指していることがほとんどです。

2任意後見人になれる人なれない人

①任意後見人を家族に依頼

任意後見人になるために、特別な資格は不要です。

原則として、だれでも任意後見人になることができます。

家族間には今まで培ってきた信頼関係があるでしょう。

本人の家族は、任意後見人になることができます。

任意後見は、判断能力が低下した後の財産管理を依頼します。

重要な財産を預けるから、深い信頼関係があると安心です。

実際にも、任意後見契約の70%は家族にサポートを依頼しています。

任意後見人を家族に、依頼することができます。

②任意後見人になれない人

サポートを依頼できるときに、特別な資格や条件は不要です。

次の人は、成年後見人になれません。

(1)未成年者

未成年者は、判断能力が低いと言えます。

任意後見人として、サポートするのにふさわしくありません。

任意後見契約をするときに未成年であっても、サポートを開始するときに成年になっていれば成年後見人になることができます。

(2)後見人を解任されたことのある人

後見人を解任された人は、過去に不適切な行為をした人でしょう。

任意後見人として、信頼性が低いと言えます。

(3)破産者で復権していない人

破産した人は、経済的信用を失っています。

任意後見人として、財産管理をするのにふさわしくありません。

(4)本人に訴訟をした人と訴訟をした人の配偶者、直系血族

訴訟をした人は、利害対立が表面化した人です。

任意後見人として、公平な後見事務が期待できません。

(5)行方不明の人

連絡が取れない人は、サポートを適切に行えないと言えます。

③家族以外の専門家に任意後見人を依頼

任意後見では、サポートする人を自分で選ぶことができます。

信頼できる家族を選んでもいいし家族以外の専門家を選んでも構いません。

家族を任意後見人にできるのは、任意後見の大きなメリットです。

あえて家族以外の専門家にサポートを依頼した方がいいケースがあります。

家族以外の専門家が任意後見人になることができます。

例えば、次のケースでは家族以外の専門家を任意後見人にした方がいいでしょう。

・家族間で信頼関係がないケース

・家族の協力体制が不充分なケース

・多額の財産や管理が複雑な財産があるケース

・家族に健康上の問題があるケース

・家族間の公平性を重視したいケース

家族以外の専門家に、任意後見人を依頼することができます。

家族以外の専門家に任意後見人を依頼する場合、報酬を支払う必要があります。

家族以外の専門家にサポートを依頼する場合、任意後見人の報酬の目安は次のとおりです。

・資産1000万円以下 月額3万円程度

・資産5000万円以下 月額4~5万円程度

・資産5000万円以上 月額5~6万円程度

④契約締結だけで任意後見人になれない

任意後見は、サポートを依頼する契約です。

本人が元気なうちに、将来に備えて任意後見契約をします。

本人の判断能力が低下した後で、任意後見契約をすることはできません。

重度の認知症など判断能力がないと、有効に契約を締結することができないからです。

任意後見契約を締結した時点では、本人は充分な判断能力があるはずです。

本人は元気だから、サポートは必要ありません。

任意後見契約を締結するだけでは、任意後見契約に効力がありません。

本人の判断能力が低下したら、サポートが必要になります。

任意後見契約でサポートをするためには、次の条件を満たす必要があります。

・本人の判断能力の低下

・家庭裁判所が任意後見監督人の選任

本人の判断能力の低下したら、家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てをします。

家庭裁判所が任意後見監督人を選任したら、任意後見契約に効力が発生します。

任意後見契約に効力が発生したら、任意後見人がサポートを開始します。

任意後見監督人は、任意後見人を監督する人です。

任意後見監督人が監督するから、サポートが公平性と透明性が維持されます。

任意後見人が不正なくサポートをするため、任意後見監督人は重要な役割を果たします。

本人の利益を守るため、任意後見監督人は重要な存在です。

任意後見監督人なしで、任意後見はスタートしません。

契約締結だけで、任意後見人になれません。

3任意後見人を選ぶときのポイント

①信頼できる人

任意後見契約で、財産管理や身上監護を依頼します。

重要な契約だから、信頼できる人であることが重要です。

任意後見受任者を選ぶときのポイント1つ目は、信頼できる人です。

②専門知識がある人

依頼したい内容が財産管理中心である場合、専門知識が必要になります。

司法書士などの専門家を選任することを検討するといいでしょう。

任意後見受任者を選ぶときのポイント2つ目は、専門知識がある人です。

③年齢

本人より若い人を選任するといいでしょう。

後見事務が継続する必要があるからです。

任意後見受任者を選ぶときのポイント3つ目は、年齢です。

④近くに住んでいる人

近くに住んでいる人を選任すると、きめ細かなサポートを期待できます。

任意後見受任者を選ぶときのポイント4つ目は、近くに住んでいる人です。

⑤コミュニケーションができる人

物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなってから、サポートを開始します。

本人の意向や考えを尊重できる人であることが重要になります。

任意後見受任者を選ぶときのポイント5つ目は、コミュニケーションができる人です。

⑥誠実な人

任意後見契約は、財産管理や身上監護を依頼します。

任意後見事務には、大きな責任が伴います。

任意後見受任者は、誠実な人を選ぶことが大切です。

任意後見受任者を選ぶときのポイント6つ目は、誠実な人です。

4任意後見契約をするときの注意点

注意①任意後見契約は解除できる

任意後見契約を締結するだけでは、契約に効力がありません。

判断能力がいつ低下するか、人によってそれぞれでしょう。

任意後見契約に効力がない間は、いつでも一方的に解除することができます。

本人の判断能力がしっかりしている間は、本人の同意なく解除することができます。

任意後見契約が解除されていも、契約にかかった費用は返金されません。

注意点の対策は、信頼できる人と契約し契約内容をよく納得しておくことです。

注意点1つ目は、任意後見契約を解除される点です。

注意②判断能力低下に気づいてもらえない

任意後見契約を締結しても、サポートは開始しません。

任意後見契約を締結したときは、判断能力が充分あるはずだからです。

自分で判断できるから、サポートは不要です。

本人の判断能力が低下したら、任意後見契約に効力が発生します。

本人の判断能力が低下したら、家庭裁判所に申立てをします。

判断能力が低下したのに、自分で家庭裁判所に申立てをすることは難しいでしょう。

判断能力低下に気づいてもらえないと、任意後見がスタートしません。

任意後見契約をしたのに、サポートを受けられなくなります。

注意点の対策は、別途、財産管理契約や見守り契約を締結することです。

例えば、月〇回の訪問などがあると、気がついてもらう体制を作ることができます。

注意点2つ目は、判断低下に気づいてもらえない点です。

注意③任意後見人辞任に家庭裁判所の許可

任意後見人は、本人をサポートする人です。

判断能力が低下したのに、サポートする人を失うと本人はとても困ります。

本人は、ひとりで何も判断することができないからです。

本人の利益を守るため、軽々しく辞任することはできません。

正当理由があるときだけ、家庭裁判所の許可を得て辞任することができます。

正当理由とは、例えば次のような理由です。

・任意後見人が高齢でサポートができない

・任意後見人が病気になったので療養に専念したい

・遠方に転居するので、サポートができない

・本人や本人の家族とトラブルになった

注意点3つ目は、任意後見人辞任に家庭裁判所の許可な点です。

注意④死後事務を依頼できない

任意後見契約は、本人が死亡したら終了します。

任意後見契約で、本人が死亡した後のことを依頼することはできません。

死後事務とは、死亡した後に発生する手続です。

例えば、死後事務には、次の事務があります。

・病院や施設の費用の支払い

・家賃や地代の支払い

・通夜や告別式などの手続

・行政などへの手続

・契約などの解約

注意点の対策は、別途、死後事務委任契約をすることです。

死後事務委任契約で、死亡した後に発生する手続を依頼することができます。

死後事務委任契約は、民法によって認められています。

死後事務委任契約で、どんなことをやってもらいたいのか詳細に記載することが重要です。

死後事務委任契約をしておくと、家族に面倒をかけなくて済みます。

注意点4つ目は、死後事務を依頼できない点です。

5任意後見契約を司法書士に依頼するメリット

任意後見契約はあれこれ自分で決められなくなる前に、自分らしい生き方を自分で決めて、自分らしく生きようという制度です。

前向きに生きていくためにみんながサポートしますが、メリットもデメリットもたくさんあります。

ひとりで判断できるうちに、メリットとデメリットを確認して、自分らしい生き方、自分らしい好み、自分らしい趣味を家族や周囲の人と共有しましょう。

特に、不動産は重要な財産であることが多いので、処分や管理についての意見共有は重要です。

任意後見契約をする人は年々増加していますが、多くの方は良く知らない状況です。

任意後見契約をする前から司法書士などの専門家に相談し、その内容を周囲の人と共有しましょう。

任意後見契約の認知度があまり高くなく、契約について誤解や不理解でトラブルを起こしたり、トラブルに巻き込まれたりする事例が多く起きています。

任意後見契約でサポートをお願いする人もサポートをする予定の人も安易に考えず、司法書士などの専門家に相談し、家族と意見共有することをおすすめします。

公正証書で任意後見契約

2025-04-11

1任意後見契約はサポートを依頼する契約

①信頼できる人と契約する

認知症や精神障害や知的障害などで判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人もいるでしょう。

任意後見とは、将来に備えて信頼できる人にサポートを依頼する契約です。

任意後見は契約だから、だれと契約するのか本人が自分で決めることができます。

任意後見契約をした場合、物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなった後にサポートしてもらいます。

自分の財産管理などを依頼するから、信頼できる人と契約します。

多くの場合、本人の子どもなど近い関係の家族でしょう。

家庭裁判所で成年後見開始の審判をしてもらう場合、成年後見人は家庭裁判所が決めます。

家庭裁判所が成年後見人を決める場合、家族が成年後見人に選ばれるのは20パーセント程度です。

任意後見契約では、本人が選んだ人にサポートを依頼することができます。

②判断能力が充分なうちに契約する

任意後見とは、将来に備えて信頼できる人にサポートを依頼する契約です。

任意後見契約は契約だから、本人が物事のメリットデメリットを充分に判断する必要があります。

認知症や精神障害などで判断能力を失った場合、契約は無効になります。

本人が物事のメリットデメリットを充分に判断する必要があります。

認知症や精神障害などで判断能力を失った場合、任意後見契約をすることができなくなります。

物事のメリットデメリットを充分に判断できない場合、家庭裁判所で成年後見開始の審判をしてもらうことになります。

③公正証書で契約する

任意後見契約は、物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなった後にサポートしてもらう契約です。

重要な契約だから、公正証書で契約をしなければなりません。

公正証書は、公証人に作ってもらう文書です。

単なる口約束や個人間の契約書では、効力がありません。

2公正証書で任意後見契約

①公正証書は公証人に作ってもらう文書

任意後見は、将来に備えて信頼できる人にサポートを依頼する契約です。

任意後見契約は、公正証書でする必要があります。

公正証書は、公証人に作ってもらう文書です。

公証人は、法律の専門家です。

法律の専門家が当事者の意思を確認して作成します。

公正証書で契約した場合、契約当事者が自分の意思で契約したことが推定されます。

公正証書は、公証役場で厳重に保管されます。

公正証書は厳重に保管されていますから、トラブル防止に役立ちます。

②公証役場で任意後見契約

任意後見契約は、公正証書でする必要があります。

公正証書を作成していない場合、任意後見契約に効力はありません。

公正証書は、公証人に作ってもらう文書です。

公正証書を作ってもらう場合、原則として、公証役場に出向く必要があります。

公証役場は、公証人が執務する役所です。

愛知県内であれば、11か所あります。

名古屋市内には、葵町公証役場、熱田公証役場、名古屋駅前公証役場の3か所です。

身体が不自由などの理由で公証役場に出向くことができない場合、公証人に自宅や病院などに出張してもらうことができます。

③任意後見契約に証人は不要

任意後見は、将来に備えて信頼できる人にサポートを依頼する契約です。

サポートをお願いする人とサポートする人で契約します。

任意後見契約をする場合、証人は不要です。

公正証書遺言を作成する場合、証人が2人必要になります。

任意後見契約を公正証書で作成するときに、証人は必要ありません。

④公正証書作成は手数料がかかる

任意後見契約は、公正証書でする必要があります。

公正証書は、公証人に作ってもらう文書です。

公証人に公正証書を作成してもらう場合、手数料を払わなければなりません。

任意後見契約を公正証書にする作成手数料は、1契約あたり1万1000円です。

契約書の枚数が増えると、1枚あたり250円加算されます。

任意後見契約を公正証書で作成したとき、登記がされます。

戸籍には、何も記録されません。

後見登記は、公証人から嘱託されます。

登記嘱託手数料として1400円、印紙代2600円、郵便料は600円程度かかります。

公正証書の正本と謄本の作成手数料は、1枚あたり250円かかります。

公証役場に出向いて公正証書を作成する場合、おおむね2万円程度かかります。

身体が不自由などの理由で公証役場に出向くことができない場合、公証人に自宅や病院などに出張してもらうことができます。

公証人の出張日当を負担しなければなりません。

公証人の出張日当は、半日で1万円、1日で2万円です。

公証人の交通費は、実費で請求されます。

3任意後見契約をするときに決めること

①サポートをする人

任意後見は、将来に備えて信頼できる人にサポートを依頼する契約です。

だれにサポートをしてもらうか自分で決めることができます。

サポートをお願いする人とサポートする人で契約します。

②やってもらいたいこと

任意後見は、将来に備えてやってもらいたいことを決めてサポートを依頼する契約です。

任意後見契約で決めた内容以外のことは、サポートしてもらうことができません。

具体的には、次のような内容を決めておきます。

(1)預貯金の管理

(2)年金の受け取り

(3)税金や公共料金の支払い

(4)不動産の売却、管理、収益不動産の入居者との契約

(5)遺産分割協議や相続放棄の代理

(6)介護施設等の入居契約や入居費用の支払い

(7)介護サービス・医療の契約や費用の支払い

(8)要介護認定の申請

自宅を売却して介護施設に入りたい場合、任意後見人が自宅を売却することを決めておく必要があります。

任意後見契約に不動産の売却の権限が書いていない場合、自宅の売却が必要になっても任意後見人は何もできません。

任意後見人に自宅を売却してもらいたくない場合、任意後見契約で売却権限を与えないでおくことができます。

任意後見契約は、やってもらうことを自分で決めることができます。

法定後見と違い、自分らしく生きるため自分で決めておきます。

③その他の契約内容

任意後見契約でサポートを依頼する場合、サポートする人に報酬を払うことができます。

サポートする人に報酬を払う場合、報酬の額や支払方法は任意後見契約で決めておきます。

報酬の支払いは、義務ではありません。

任意後見契約で無報酬と決めておくことができます。

本人の子どもなどと任意後見契約をする場合、無報酬と定めることは割とよくあります。

4任意後見契約を公正証書で作成する方法

①契約内容を決める

任意後見契約をする場合、サポートする人と契約をします。

サポートする人を自分で決めることができます。

だれと契約するのか契約の相手方を決めます。

任意後見契約は、サポート内容を自分で決めることができます。

どんな内容をサポートしてもらうのかサポート内容を決めます。

サポートする人とサポート内容が決まったら、契約内容を書面に取りまとめます。

自分で書面に取りまとめてもいいし、司法書士などの専門家に依頼することもできます。

②公証役場と打合せ

任意後見契約は、公正証書でする必要があります。

公正証書は、公証人に作ってもらう文書です。

公証人は、法令に違反する文書を公正証書にすることはできません。

公証人は、公序良俗に違反する文書を公正証書にすることはできません。

任意後見契約の案文は、あらかじめ公証人に点検してもらいます。

任意後見契約の案文を司法書士などの専門家に作ってもらった場合、公証役場との打ち合わせは代わりに担当してもらうことができます。

③公証人の予約

公正証書を作ってもらう場合、原則として、公証役場に出向く必要があります。

いきなり窓口へ出向いても、公証人が出張しているかもしれません。

公証人の予約が必要です。

忙しい公証役場では、予約が1か月先になることがあります。

④任意後見契約を公正証書で作成

任意後見契約を公正証書で作成する当日、契約当事者が公証役場に出向きます。

契約当日は、契約書の内容を読み上げて問題がないか確認します。

事前に公証人と打合せをしてあるので、スムーズに終わるでしょう。

任意後見契約にかかる時間は、10~15分程度です。

公証役場の手数料を払ったら、終了です。

5任意後見契約で注意すべきポイント

①判断能力を失うと契約できない

任意後見とは、将来に備えて信頼できる人にサポートを依頼する契約です。

サポートする人を自分で決めます。

サポートしてもらうことを自分で決めます。

本人が認知症などで物事のメリットデメリットを充分に判断できない場合、任意後見契約をすることはできません。

本人が充分に判断できない場合、自分で決めていないからです。

本人の判断能力を失って判断ができない場合、契約書を作成しても無効の契約です。

公証人は、無効の契約を公正証書にすることはできません。

本人が認知症などで物事のメリットデメリットを充分に判断できない場合、任意後見契約を締結することはできません。

②任意後見のスタートは家庭裁判所で手続

任意後見契約は、本人の判断能力が充分にあるときに締結します。

判断能力を失うと契約できないと、任意後見契約を締結できないからです。

任意後見契約を締結した時点では、任意後見人はサポートを依頼されただけでサポートをしません。

任意後見人がサポートを開始するのは、本人が判断能力を失ったときです。

本人が判断能力を失ったとき、家庭裁判所に任意後見監督人を選んでもらいます。

任意後見監督人が監督を始めたとき、任意後見人はサポートを開始します。

任意後見監督人の仕事は、監視というよりサポートです。

任意後見監督人は、任意後見人の相談相手です。

任意後見監督人は、任意後見人をサポートする人です。

任意後見人は、任意後見監督人にサポートしてもらえます。

任意後見監督人は、家庭裁判所にサポートしてもらえます。

任意後見監督人と家庭裁判所のサポートがあるから、任意後見人は安心して本人をサポートできます。

③任意後見契約で依頼できないことがある

任意後見契約では、サポートしてもらうことを自分で決めることができます。

任意後見契約で、依頼できないことがあります。

例えば、次のことは依頼できません。

(1)事実行為

食事の世話や着替えの手伝いなどの行為は、任意後見で依頼できません。

介護サービスの契約をして、サービスの一環として食事の世話や着替えの手伝いなどをしてもらうように手配をすることができます。

(2)身分行為

結婚や養子縁組は、任意後見で依頼できません。

本人の意思が重視される行為だからです。

(3)医療同意

医師から説明を受け医療行為に対して承諾することは、任意後見で依頼できません。

尊厳死などを希望する場合、尊厳死公正証書を作成するなどの方法があります。

(4)財産の積極的運用

本人が収益不動産を保有している場合、大規模修繕などの積極的な投資が必要になることがあります。

任意後見契約で、積極的な資産運用は依頼できません。

収益不動産について積極的資産運用をしてもらいたい場合、家族信託契約をした方がいいでしょう。

(5)死後の事務

任意後見契約は、本人が生きている間サポートを依頼する契約です。

本人が死亡した時点で、サポートは終了になります。

本人の死亡後の遺体の引取や葬儀について依頼したい場合、死後事務委任契約をしておく必要があります。

6任意後見契約を司法書士に依頼するメリット

任意後見制度は、あらかじめ契約で「必要になったら後見人になってください」とお願いしておく制度です。

認知症が進んでから任意後見契約をすることはできません。

重度の認知症になった後は、成年後見(法定後見)をするしかなくなります。

成年後見(法定後見)では、家庭裁判所が成年後見人を決めます。

家族が成年後見人になれることも家族以外の専門家が選ばれることもあります。

任意後見契約では、本人の選んだ人に後見人になってもらうことができます。

家族以外の人が成年後見人になることが不安である人にとって、任意後見制度は有力な選択肢になるでしょう。

任意後見契約は締結して終わりではありません。

本人が自分らしく生きるために、みんなでサポートする制度です。

任意後見制度の活用を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

任意後見人を家族に依頼

2025-04-06

1任意後見契約でサポートを依頼する

①信頼できる人と任意後見契約

認知症や精神障害や知的障害などで判断能力が低下すると、物事の良しあしを適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人もいるでしょう。

任意後見とは、将来に備えて信頼できる人にサポートを依頼する契約です。

任意後見は、だれと契約するのか本人が自分で決めることができます。

任意後見契約をした場合、物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなった後にサポートしてもらいます。

自分の財産管理などを依頼するから、信頼できる人と契約します。

多くの場合、本人の子どもなど近い関係の家族でしょう。

家庭裁判所で成年後見開始の審判をしてもらう場合、成年後見人は家庭裁判所が決めます。

家族が成年後見人に選ばれるのは、わずか20パーセント程度です。

任意後見契約では、本人が選んだ人にサポートを依頼することができます。

②サポート内容は自分で決める

任意後見は、サポートを依頼する契約です。

サポート内容は、契約書にはっきり記載します。

サポート内容がはっきりしていないと、サポートする人が困ります。

サポートする人が勝手にやったことと、判断されるからです。

任意後見契約の内容は、登記簿に記録されます。

サポートする人の権限は、登記簿謄本で証明することができます。

サポート内容は、自分で決めることができます。

③任意後見人の報酬は契約で決める

任意後見人の報酬は、任意後見契約ではっきりさせます。

家族が任意後見人になる場合、合意によって無報酬にすることもできます。

任意後見契約をすると、費用負担が少なくできるのがメリットです。

任意後見人の報酬は、契約で決めることができます。

④元気なときに任意後見契約

本人が元気なときに、任意後見契約を締結します。

任意後見は、契約だからです。

契約当事者が判断能力を失った場合、有効に契約をすることができません。

任意後見契約締結には、公証人が関与します。

公証人が契約内容を読み聞かせ、意思確認をします。

判断能力を失っていると、適切な受け答えができないでしょう。

元気なときに、任意後見契約をします。

⑤任意後見契約は解除変更ができる

任意後見契約は、解除することができます。

本人の判断能力がはっきりしているうちは、本人の同意はなくても解除ができます。

委任契約は、一方的に解約できるからです。

任意後見契約を解除する場合、公証人の認証を受けた書面による必要があります。

任意後見契約は、内容を変更することができます。

本人の判断能力がはっきりしているうちは、当事者双方の合意で変更することができます。

任意後見契約を変更する場合、公正証書による必要があります。

任意後見契約は、解除変更ができます。

2任意後見人を家族に依頼

手順①任意後見契約の内容の検討

本人とサポートをする人で、契約内容を検討します。

契約内容を自分で考えるのが難しい場合、司法書士などの専門家にサポートしてもらうことができます。

任意後見契約締結の手順1つ目は、任意後見契約の内容の検討です。

手順②任意後見契約の文案作成

任意後見契約書の文案を作成します。

どのようなことをサポートして欲しいのか、契約書ではっきりさせます。

任意後見契約締結の手順2つ目は、任意後見契約の文案作成です。

手順③必要書類の準備

本人は、次の書類を準備します。

(1)印鑑証明書

(2)実印

(3)戸籍謄本

(4)住民票

サポートをする家族は、次の書類を準備します。

(1)印鑑証明書

(2)実印

(3)住民票

任意後見契約締結の手順3つ目は、必要書類の準備です。

手順④公証役場と打合せ

手順②で作成した契約文案を提示して、公証人と打合せをします。

公証役場に出向いて打ち合わせをする場合、公証人を予約します。

任意後見契約締結の手順4つ目は、公証役場と打合せです。

手順⑤任意後見契約を締結

公証役場に出向いて、任意後見契約を締結します。

公証役場に出向くことが難しい場合は、公証人に出張してもらうことができます。

任意後見契約を締結すると、公証人が登記を嘱託します。

任意後見契約締結の手順5つ目は、任意後見契約の締結です。

3家族が任意後見人になるメリット

メリット①家族間の信頼関係がある

家族間には今まで培ってきた信頼関係があるでしょう。

任意後見は、判断能力が低下した後の財産管理を依頼します。

重要な財産を預けるから、深い信頼関係があると安心です。

メリット1つ目は、家族間の信頼関係がある点です。

メリット②本人の生活状況を把握している

家族間ではお互いの生活状況を把握しているでしょう。

任意後見は、判断能力が低下した後の身上監護を依頼します。

身上監護とは、本人の日常生活や健康管理、介護など生活全般について重要な決定をすることです。

例えば、次のようなことです。

・医療に関する同意

・住居の確保に関すること

・施設入所に関すること

・介護や生活維持に関すること

任意後見人が適切に身上監護を行うためには、本人の生活状況を把握することが大切です。

メリット2つ目は、本人の生活状況を把握している点です。

メリット③意思疎通がスムーズ

家族間の意思疎通がスムーズであれば、本人の状況変化にも対応しやすいでしょう。

メリット3つ目は、意思疎通がスムーズな点です。

メリット④本人の希望をよく知っている

任意後見人は、本人のサポート役です。

本人の希望に沿ったサポートが望ましいでしょう。

家族が任意後見人になった場合、本人の希望を生かしたサポートが実現できます。

メリット4つ目は、本人の希望をよく知っている点です。

メリット⑤費用を抑制できる

任意後見人の報酬は、任意後見契約で自由に決めることができます。

任意後見人が家族以外の専門家である場合、報酬を支払う必要があります。

家族が任意後見人になる場合、無報酬にする合意ができます。

メリット5つ目は、費用を抑制できる点です。

4家族が任意後見人になる注意点

注意①任意後見監督人は不要にできない

任意後見契約をするだけでは、任意後見はスタートしません。

本人が元気なときに、任意後見契約を締結するからです。

任意後見契約をしたときは本人は元気だから、サポートは不要のはずです。

任意後見がスタートするのは、本人の判断能力が低下したときです。

本人の判断能力が低下した場合、家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てをします。

任意後見監督人が選任されたら、任意後見がスタートします。

任意後見人は、任意後見監督人に監督されます。

任意後見監督人は、家庭裁判所に監督されます。

みんなで監督するから、適切に本人をサポートすることができます。

任意後見監督人は、不要にできません。

家族が任意後見人であっても、公平性や透明性を確保する必要があるからです。

成年後見監督人の報酬の目安は、次のとおりです。

・資産5000万円以下 月額2万円

・資産5000万円以上 月額3万円

注意点1つ目は、任意後見監督人は不要にできない点です。

注意②家族間でトラブル

家族が任意後見人になると、他の家族が不満を覚えることがあります。

任意後見人が本人の財産管理をするからです。

本人の財産をほしいままに使っているように、見えるかもしれません。

注意点2つ目は、家族間でトラブルの可能性がある点です。

注意③感情的な判断

家族が任意後見人になる場合、法律の専門知識が少ないでしょう。

家族だからこそ、感情的な判断をするおそれがあります。

身上監護においては、本人の利益を最優先する必要があります。

家族以外の専門家を任意後見人にした場合、感情的な判断は避けられるでしょう。

注意点3つ目は、感情的な判断をする可能性がある点です。

注意④任意後見人辞任には家庭裁判所の許可

任意後見人は、本人をサポートする人です。

任意後見人は、自由に辞任することはできません。

判断能力が低下した人がサポートする人を失うと、とても困るからです。

基本的に、本人が死ぬまで任意後見人を続ける必要があります。

任意後見人が辞任するには、正当理由と家庭裁判所の許可が必要です。

例えば、次のような理由は正当理由として認められやすいでしょう。

・病気などで療養に専念したい。

・遠方に転居した、転勤になった。

・本人や本人の家族と信頼関係がなくなった。

正当理由があると言えるかどうかは、家庭裁判所が判断します。

家族が勝手に決めつけて、辞任をさせることはできません。

注意点4つ目は、任意後見人辞任には家庭裁判所の許可が必要な点です。

注意⑤家族以外にした方がいいケースがある

任意後見では、本人が選んだ人にサポートを依頼します。

家族を任意後見人にできるのは、任意後見の大きなメリットです。

あえて家族以外の専門家にサポートを依頼した方がいいケースがあります。

例えば、次のケースでは家族以外の専門家を任意後見人にした方がいいでしょう。

・家族間で信頼関係がないケース

・家族の協力体制が不充分なケース

・多額の財産や管理が複雑な財産があるケース

・家族に健康上の問題があるケース

・家族間の公平性を重視したいケース

注意点5つ目は、任意後見人を家族以外にした方がいいケースがある点です。

5任意後見制度と他の制度の比較

①家族信託と任意後見のちがい

・利用開始時期

任意後見 判断能力低下前に契約するが、判断能力低下後に開始

家族信託 契約締結後すぐに開始

・財産管理の柔軟性

任意後見 投資などの積極的運用はできない

家族信託 財産の管理運用方針を柔軟に決定

     投資などの積極的運用を可能にできる

・身上監護

任意後見 可能

家族信託 対応できない

・家庭裁判所の関与

任意後見 任意後見人選任し監督

家族信託 関与なし

・費用負担

任意後見 任意後見監督人へ報酬支払

家族信託 費用負担が少ない

・相続対策

任意後見 遺言書作成で対応

家族信託 相続対策にできる

任意後見は、本人の生活支援や財産管理を重視する人におすすめです。

家族信託は、生前から死亡後までの柔軟な財産管理や相続対策を重視する人におすすめです。

②法定後見と任意後見のちがい

・利用開始時期

任意後見 判断能力低下前に契約するが、判断能力低下後に開始

法定後見 判断能力低下後に家庭裁判所に申立て

・後見人の選定

任意後見 本人が自由に選任

法定後見 家庭裁判所が選任

     家族に決定権なし

・後見人の権限

任意後見 本人の希望を生かして契約で決定

法定後見 包括的かつ広範囲

・不利益な契約

任意後見 取消ができない

法定後見 後見人が取消

・後見監督人

任意後見 不要にできない

法定後見 家庭裁判所の判断

・居住用不動産の売却

任意後見 契約内容で決定

法定後見 家庭裁判所の許可が必要

本人の判断能力がすでに低下している場合、任意後見契約を締結することはできません。

任意後見契約は、判断能力があるうちに将来の準備をしたい人におすすめです。

6任意後見契約を司法書士に依頼するメリット

任意後見は、あらかじめ「必要になったら後見人になってください」とお願いしておく契約です。

認知症が進んでから、任意後見契約をすることはできません。

重度の認知症になった後は、成年後見(法定後見)をするしかなくなります。

成年後見(法定後見)では、家庭裁判所が成年後見人を決めます。

80%のケースで、家族以外の専門家が選ばれます。

任意後見契約では、本人の選んだ人に後見人になってもらうことができます。

家族以外の人が成年後見人になることが不安である人にとって、任意後見制度は有力な選択肢になるでしょう。

本人が自分らしく生きるために、みんなでサポートする制度です。

任意後見制度の活用を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

同性婚の財産管理で任意後見契約

2025-03-28

1同性婚は法律上「他人」扱い

①同性婚は法律上認められない

現在のところ日本では、同性婚は認められていません。

法律婚が認められるのは、異性婚のみです。

残念ながら、同性婚は法律上「他人」扱いです。

同性婚は、法律上認められません。

②パートナーシップ制度は法律上の効力がない

パートナーシップ制度とは、法律上の婚姻と異なる形態のカップルについて各自治体が婚姻に相当する関係と認め証明書を発行する制度です。

愛知県では、2024年4月からファミリーシップ宣誓制度が施行されました。

名古屋市では、2022年12月からファミリーシップ宣誓制度が施行されました。

すべての自治体で、施行されているわけではありません。

パートナーシップ制度が施行されている自治体では、パートナーシップ宣誓をすることができます。

自治体から、パートナーシップ宣誓受領証を発行してもらうことができます。

パートナーシップ宣誓受領証を提示することで、婚姻に相当する関係と認めてもらいやすくなるでしょう。

同性婚は、法律上「他人」扱いです。

パートナーシップ宣誓をしても、法律上の効力はありません。

③婚姻契約を締結しても法律上は「他人」扱い

現在のところ同性婚は、法律上の効力がありません。

後々のトラブルを避けるため、婚姻契約を締結することがあります。

口約束だけでは、言った言わないになるからです。

婚姻契約をすることは、当事者にとって大きな意味があるでしょう。

当事者以外の第三者に対しても、婚姻に相当する関係であることを認められやすくなるでしょう。

婚姻契約をしても、法律上は「他人」扱いです。

2同性婚の財産管理で任意後見契約

①任意後見契約で財産管理を依頼する

元気なとき、自分の財産は自分で管理します。

高齢になると、物事のメリットデメリットを適切に判断することができなくなります。

成年後見は、物事のメリットデメリットを適切に判断することができなくなった人をサポートする制度です。

任意後見契約をして、財産管理などのサポートを依頼することができます。

②任意後見は信頼できる人と契約

任意後見は、信頼できる人とする契約です。

自分の財産を適切に管理してくれる人は、信頼できる人でないと不安になります。

任意後見は、自分の財産を適切に管理してくれる人を自分で選ぶことができます。

同性婚パートナー、家族、専門家などと任意後見契約をすることができます。

任意後見契約をする相手は、自分で決めることができるからです。

法定後見は家庭裁判所が選ぶから、サポートする人を自分で選べる点は大きなメリットです。

任意後見は、信頼できる人とする契約です。

③サポート内容は自分で決める

任意後見は、サポートを依頼する契約です。

どのようなことをサポートして欲しいのか、契約書ではっきりさせます。

本人の希望を反映させて、契約書を作ることができます。

任意後見に効力が発生するのは、本人の判断能力が低下した後です。

どんなことを依頼したのか、はっきりしていないとサポートする人が困ります。

サポートする人が勝手にやったことと、判断されるからです。

サポートして欲しいことは、契約書にはっきり記載します。

契約書の内容は、登記簿に記録されます。

サポートする人の権限は、登記簿謄本で証明することができます。

サポート内容は、自分で決めることができます。

④任意後見人の報酬は契約で決める

任意後見人の報酬は、任意後見契約ではっきりさせます。

家族や同性婚パートナーが任意後見人になる場合、合意によって無報酬にすることもできます。

任意後見契約をすると、費用負担が少なくできるのがメリットです。

任意後見人の報酬は、契約で決めることができます。

⑤元気なときに任意後見契約

本人が元気なときに、任意後見契約を締結します。

任意後見は、契約だからです。

契約当事者が判断能力を失った場合、有効に契約をすることができません。

任意後見契約締結には、公証人が関与します。

公証人が契約内容を読み聞かせ、意思確認をします。

判断能力を失っていると、適切な受け答えができないでしょう。

元気なときに、任意後見契約をします。

⑥公正証書で任意後見契約

任意後見契約は、公正証書で契約する必要があります。

公正証書とは、公証人が作成する公文書です。

公証人が関与して作られるから、高い信頼性があります。

任意後見契約は、判断能力が低下した後で財産管理を依頼する契約です。

重要な契約だから、公正証書で契約する必要があります。

公正証書で、任意後見契約をします。

3任意後見契約締結の手順

手順①任意後見契約の内容の検討

本人とサポートをする人で、契約内容を検討します。

契約内容を自分で考えるのが難しい場合、司法書士などの専門家にサポートしてもらうことができます。

任意後見契約締結の手順1つ目は、任意後見契約の内容の検討です。

手順②任意後見契約の文案作成

任意後見契約書の文案を作成します。

どのようなことをサポートして欲しいのか、契約書ではっきりさせます。

任意後見契約締結の手順2つ目は、任意後見契約の文案作成です。

手順③必要書類の準備

本人は、次の書類を準備します。

(1)印鑑証明書

(2)実印

(3)戸籍謄本

(4)住民票

サポートをする人は、次の書類を準備します。

(1)印鑑証明書

(2)実印

(3)住民票

同性婚カップルが任意後見契約をする場合、お互いにパートナーをサポートする契約をするでしょう。

当事者双方がお互いに書類を準備します。

任意後見契約締結の手順3つ目は、必要書類の準備です。

手順④公証役場と打合せ

手順②で作成した契約文案を提示して、公証人と打合せをします。

公証役場に出向いて打ち合わせをする場合、公証人を予約します。

任意後見契約締結の手順4つ目は、公証役場と打合せです。

手順⑤任意後見契約を締結

公証役場に出向いて、任意後見契約を締結します。

公証役場に出向くことが難しい場合は、公証人に出張してもらうことができます。

任意後見契約を締結すると、公証人が登記を嘱託します。

任意後見契約締結の手順5つ目は、任意後見契約の締結です。

4任意後見契約の注意点

注意①任意後見監督人選任で効力発生

任意後見契約をしただけでは、財産管理をすることはできません。

本人が元気なときに、任意後見契約を締結するからです。

本人は元気だから、サポートは不要のはずです。

サポートが必要になるのは、本人の判断能力が低下した後です。

本人の判断能力が低下した場合、家庭裁判所に対して任意後見監督人の選任を申立てます。

家庭裁判所が任意後見監督人を選任したら、任意後見がスタートします。

任意後見人は、任意後見監督人の監督を受けます。

任意後見監督人は、家庭裁判所の監督を受けます。

みんなで本人をサポートするから、安心して任意後見制度を利用することができます。

任意後見契約の注意点1つ目は、任意後見監督人選任で効力発生することです。

注意②任意後見契約と一緒に財産管理契約

任意後見がスタートするのは、本人の判断能力が低下した後です。

本人の判断能力が充分あっても、病気などで外出が不自由になることがあります。

本人の判断能力が充分ある場合、任意後見契約に基づいてサポートをすることができません。

身体が不自由になったときに備えて、財産管理委任契約をすることができます。

本人の判断能力が充分ある間は、財産管理委任契約でサポートします。

本人の判断能力が失われたら、任意後見契約でサポートします。

任意後見契約の注意点2つ目は、任意後見契約と一緒に財産管理契約をすることです。

注意③任意後見契約をしても遺言書

任意後見契約は、財産管理を依頼する契約です。

任意後見契約は、本人が死亡すると終了します。

本人が死亡した後は、本人の財産は相続人が引き継ぐからです。

同性婚パートナーは、相続人ではありません。

婚姻に相当する関係と認めてもらっても、法律上の配偶者ではないからです。

遺言書を作成すれば、自分の財産を同性婚パートナーに引き継ぐことができます。

遺言書で、遺贈することができるからです。

協力して財産を築いてきたなら、パートナーに財産を引き継がせたいでしょう。

対策をしないと、財産を引き継がせることができません。

任意後見契約の注意点3つ目は、任意後見契約をしても遺言書を作成することです。

5成年後見(法定後見)のデメリット

デメリット①成年後見開始の申立てができない

成年後見には、2種類あります。

法定後見と任意後見です。

法定後見は、判断能力を失った後に家庭裁判所がサポートをする人を決める制度です。

任意後見は、判断能力を失う前にサポートを依頼する契約です。

任意後見を利用する人は、多くはありません。

成年後見と言うと、圧倒的に法定後見です。

何も準備しないまま判断能力を失ってしまったら、成年後見開始の申立てをします。

本人の配偶者は、成年後見開始の申立てをすることができます。

同性婚パートナーは法律上の配偶者ではないから、申立てをすることができません。

本人にサポートが必要であっても、成年後見開始の申立てをすることができません。

成年後見(法定後見)のデメリット1つ目は、同性婚パートナーが成年後見開始の申立てができないことです。

デメリット②成年後見人は家庭裁判所が決める

成年後見開始の申立てを受け付けたら、家庭裁判所を成年後見人を選任します。

成年後見人は、弁護士など見知らぬ専門家がほとんどです。

実際のところ、80%程度は見知らぬ専門家です。

家族や同性婚パートナーが成年後見人に選ばれることは少ないでしょう。

成年後見開始の申立てにおいて、成年後見人候補者を立てることができます。

成年後見人候補者を選ぶか見知らぬ専門家を選ぶか、家庭裁判所は自由に決定することができます。

家庭裁判所が選任した成年後見人に、異議を述べることはできません。

成年後見(法定後見)のデメリット2つ目は、成年後見人は家庭裁判所が決めることです。

デメリット③成年後見人に報酬の支払い

弁護士など専門家が成年後見人になる場合、ボランティアではありません。

本人の財産から、成年後見人報酬を支払う必要があります。

ときには成年後見人の他に、成年後見監督人が選任されることがあります。

本人の財産から、成年後見監督人報酬を支払う必要があります。

成年後見(法定後見)のデメリット3つ目は、成年後見人に報酬の支払う必要があることです。

デメリット④成年後見人を解任しても成年後見はやめられない

成年後見が開始したら、原則として本人が死亡するまで成年後見が続きます。

家庭裁判所が選任した成年後見人に、異議を述べることはできません。

見知らぬ成年後見人だから、成年後見をやめることはできません。

成年後見人が辞任しても解任されても、新しい成年後見人が選任されます。

成年後見(法定後見)のデメリット4つ目は、成年後見人を解任しても成年後見はやめられないことです。

6任意後見契約を司法書士に依頼するメリット

任意後見契約はあれこれ自分で決められなくなる前に、自分らしい生き方を自分で決めて、自分らしく生きようという制度です。

前向きに生きていくためにみんながサポートしますが、メリットもデメリットもたくさんあります。

ひとりで判断できるうちに、メリットとデメリットを確認して、自分らしい生き方、自分らしい好み、自分らしい趣味を家族や周囲の人と共有しましょう。

特に、不動産は重要な財産であることが多いので、処分や管理についての意見共有は重要です。

任意後見契約をする人は年々増加していますが、多くの方は良く知らない状況です。

任意後見契約をする前から司法書士などの専門家に相談し、その内容を周囲の人と共有しましょう。

任意後見契約の認知度があまり高くなく、契約について誤解や不理解でトラブルを起こしたり、トラブルに巻き込まれたりする事例が多く起きています。

任意後見契約でサポートをお願いする人もサポートをする予定の人も安易に考えず、司法書士などの専門家に相談し、家族と意見共有することをおすすめします。

任意後見監督人は不要にできない

2025-03-11

1任意後見監督人は必ず存在

任意後見は、任意後見監督人が選任されてからスタートします。

日常生活を監視されるイメージから、任意後見監督人に不安を感じる人もいるかもしれません。

任意後見監督人をなしにしたいと言う方もたくさんいます。

成年後見(法定後見)制度では、家庭裁判所の判断で成年後見監督人が置かれることも置かれないこともあります。

任意後見制度では、任意後見監督人は必ず置かれます。

任意後見制度では、任意後見監督人をなしにするわけにはいかないのです。

家庭裁判所が任意後見監督人を選任することが、任意後見の始まりだからです。

2任意後見監督人とは

任意後見制度は、あらかじめ契約で「必要になったら後見人になってください」とお願いしておく制度です。

成年後見(法定後見)制度では、家庭裁判所の判断で成年後見人が選ばれます。

本人や家族の知らない専門家が選ばれるのがおよそ80%です。

任意後見契約をする人の多くは、家族に後見人になってもらいたい人です。

任意後見監督人は、任意後見制度を利用する際、任意後見人を監督する人です。

任意後見人が不正をしないかきちんと監督するのが仕事です。

任意後見人が不正をしないかきちんと監督すると聞くと、反発を感じて任意後見監督人をなしにしたいと思うかもしれません。

任意後見人は、多くの場合、本人の家族です。

本人の家族が法律の専門家であることはあまりないでしょう。

客観的には不正と判断されることを知識不足によってやってしまうことがあります。

後見事務の範囲を逸脱してしまう可能性があります。

任意後見契約から逸脱していても、任意後見人が気付かないかもしれません。

法律の知識がないから、不安になりながら任意後見事務をすることになります。

後見事務に不安がある場合、家庭裁判所に相談することは大切です。

家庭裁判所はあまり身近な役所ではないため、気軽に相談するのは難しいでしょう。

任意後見監督人は、任意後見人の相談相手です。

任意後見人にとって、家庭裁判所より任意後見監督人の方が話しやすいでしょう。

任意後見監督人は、任意後見人から相談に応じることで、任意後見人が不正なく事務を行うように監督したと言えるのです。

任意後見監督人は、任意後見人を見張る人というよりはサポートする人です。

任意後見監督人は、任意後見人が任意後見契約どおり適切に事務を行うようにサポートし、家庭裁判所に報告します。

家庭裁判所は、任意後見監督人の監督をしています。

3任意後見監督人の職務

①任意後見人の監督

任意後見人は、本人の財産管理をします。

任意後見監督人は、任意後見人が本人の財産を適切に管理しているか監督します。

任意後見人に判断が難しいことの相談を受けます。

任意後見監督人がする監督とは、任意後見人を見張りいうよりはサポートです。

②家庭裁判所へ報告

任意後見人は、任意後見監督人に監督されます。

任意後見監督人は、家庭裁判所に監督されます。

家庭裁判所は任意後見監督人を監督することで、任意後見人を監督します。

任意後見監督人は、家庭裁判所に対して後見事務を報告します。

任意後見監督人が家庭裁判所に報告できるように、任意後見人は任意後見監督人に報告をしなければなりません。

③任意後見人の代理をする

任意後見人が事故などで必要な職務ができない場合があります。

任意後見監督人は、任意後見人の代理で必要な処分をします。

任意後見人と本人で、利益相反になる場合があります。

利益相反とは、一方がソンすると他方がトクする関係のことです。

本人がソンすると任意後見人がトクする関係になる場合、任意後見人は本人を代理することができません。

典型的には、遺産分割協議です。

本人と任意後見人が相続人になる場合、利益相反になります。

利益相反になるから、遺産分割協議ができません。

任意後見監督人が、本人を代理して遺産分割協議をします。

別途、特別代理人を選任する必要はありません。

4任意後見監督人は原則専門家で報酬1~2万円程度

任意後見監督人を家庭裁判所に選んでもらうことで、任意後見はスタートします。

任意後見監督人の候補者を立てることはできますが、家庭裁判所は候補者を選ぶことも候補者を選ばないこともできます。

任意後見監督人に選ばれるのは、原則として、家族以外の専門家です。

家庭裁判所が選んだ任意後見監督人に不服を言うことはできません。

候補者と別の人であっても任意後見監督人選任の申立てを取り下げることはできません。

任意後見監督人になれないのは次の人です。

①任意後見受任者や任意後見人の配偶者

②任意後見受任者や任意後見人の直系血族

③任意後見受任者や任意後見人の兄弟姉妹

任意後見受任者や任意後見人の家族は、任意後見監督人にふさわしくないという意味です。

任意後見監督人は任意後見人が不正なく事務を行うように監督する人です。

任意後見人が不正をした場合、指摘して不正をたださなければなりません。

任意後見監督人が家族の場合、任意後見人の不正を見つけてもわざと見逃すかもしれません。

多くの場合で任意後見人が本人の家族だから、任意後見監督人は専門家がふさわしいといえます。

任意後見受任者や任意後見人の家族から利益を得ている人もふさわしくありません。

任意後見受任者や任意後見人の家族から利益を得ている場合、利益を失うことをおそれて不正をわざと見逃すかもしれないからです。

任意後見受任者や任意後見人の家族の顧問税理士などは、任意後見受任者や任意後見人の家族から報酬を得ている人です。

報酬を失うことをおそれて、適切な職務執行ができないおそれがあります。

たとえ、不正を見逃すようなことをしなかったとしても、客観的には適切な職務執行をしていないのではないかと疑われます。

任意後見人の財産管理方針に他の家族が賛同できない場合に、疑いがより強まります。

ふさわしくない任意後見監督人の存在が、家族のトラブルを大きくすることになります。

任意後見監督人の候補者を立てるときは、ふさわしい人物を推薦しましょう。

任意後見監督人が家族以外の専門家の場合、本人の財産から報酬を支払う必要があります。

任意後見人の報酬は任意後見契約の中で決めることができます。

任意後見人が家族の場合、無報酬のことも多いものです。

任意後見監督人の報酬は、家庭裁判所が任意後見契約の内容に応じて決定します。

管理財産の規模が5000万円までなら、おおむね1~2万円程度です。

5000万円超なら、おおむね2~3万円程度です。

5任意後見監督人選任の申立て

家庭裁判所が任意後見監督人を選任するためには、原則として本人の同意が必要です。

任意後見監督人を家庭裁判所に選んでもらうことで、任意後見はスタートするからです。

任意後見監督人選任の申立てをすることができるのは、次の人です。

①本人

②配偶者

③4親等内の親族

④任意後見受任者

任意後見監督人選任の申立先は、本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで調べることができます。

任意後見監督人選任の申立書に添付する書類は、次のとおりです。

①本人の戸籍謄本

②任意後見契約公正証書の写し

③本人の成年後見登記事項証明書

④診断書(家庭裁判所指定様式のもの)

⑤本人の財産状況の分かる資料

不動産があれば、登記事項証明書、固定資産評価証明書

預貯金であれば、通帳の写し、残高証明書

⑥任意後見監督人の候補者の住民票

⑦収支予定表

⑧事情説明書

任意後見監督人を選任する前に、任意後見人になる人に家庭裁判所の面談調査があります。

任意後見人が適切でない場合、法定後見の申立をするようにすすめられます。

6任意後見監督人は簡単に辞任解任できない

①任意後見監督人は正当理由があるときだけ辞任できる

任意後見監督人が辞任することができるのは、正当理由があると認められたときだけです。

任意後見監督人の職務が嫌になったからやめたいとか、仕事が忙しくなったからやめたいなどの理由は認められません。

正当な理由があって家庭裁判所に認められた場合のみ、辞任することができます。

正当な理由とは、多くは、任意後見監督人が重病で療養に専念したいとか、高齢になったので職務ができないなどです。

②任意後見監督人は正当理由があるときだけ家庭裁判所が解任できる

任意後見監督人は、正当理由があれば家庭裁判所が解任します。

任意後見人が解任するのではありません。

任意後見監督人と意見が合わないとか、任意後見監督人が気に入らないなどの理由では、正当理由があると認められません。

家庭裁判所に申立てをして、正当理由があると認められた場合、家庭裁判所が解任します。

申立てがなくても、家庭裁判所は職権で解任することができます。

任意後見監督人に不正な行為や著しい不行跡など重大な理由があるときだけ、解任が認められます。

7任意後見契約を司法書士に依頼するメリット

任意後見制度は、あらかじめ契約で「必要になったら後見人になってください」とお願いしておく制度です。

認知症が進んでから任意後見契約をすることはできません。

重度の認知症になった後は、成年後見(法定後見)をするしかなくなります。

成年後見(法定後見)では、家庭裁判所が成年後見人を決めます。

家族が成年後見人になれることも家族以外の専門家が選ばれることもあります。

任意後見契約では、本人の選んだ人に後見人になってもらうことができます。

家族以外の人が成年後見人になることが不安である人にとって、任意後見制度は有力な選択肢になるでしょう。

一方で、任意後見制度では、必ず任意後見監督人がいます。

監督という言葉の響きから、不安に思ったり反発を感じる人もいます。

任意後見人が不正などをしないように監督する人と説明されることが多いからでしょう。

せっかく家族が後見人になるのに、あれこれ外部の人が口を出すのかという気持ちになるのかもしれません。

任意後見監督人は任意後見人のサポート役も担っています。

家庭裁判所に相談するより、ちょっと聞きたいといった場合には頼りになることが多いでしょう。

任意後見契約は締結して終わりではありません。

本人が自分らしく生きるために、みんなでサポートする制度です。

任意後見制度の活用を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

成年後見人になれる人なれない人

2024-12-13

1成年後見人に資格は不要

①だれでも成年後見人になれる

成年後見人は、認知症などの人をサポートする人です。

認知症になると、物事のメリットデメリットを適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人もいるでしょう。

物事のメリットデメリットを適切に判断することができないと、自分で契約などの法律行為をすることができません。

成年後見人は認知症などの人をサポートして、代わりに契約などの法律行為をします。

成年後見人になるために、資格は不要です。

原則として、だれでも成年後見人になることができます。

子どもや配偶者などの親族が成年後見人になることができます。

だれでも、成年後見人になることができます。

②成年後見人になれない人

成年後見人になれない人は、法律で決められています。

次の人は、成年後見人になれません。

(1)未成年者

(2)後見人を解任されたことのある人

(3)破産者で復権していない人

(4)本人に訴訟をした人と訴訟をした人の配偶者、直系血族

(5)行方不明の人

③成年後見人にふさわしい人

成年後見人は、認知症などの人をサポートする人です。

認知症の人は、自分で物事のメリットデメリットを判断することができなくなっています。

成年後見人が不適切な事務を行っても、自分で指摘することはできません。

成年後見は、適切に成年後見事務を行うことができる人である必要があります。

不正なく成年後見人の職務を行える人が成年後見人にふさわしい人です。

2家族が成年後見人に選任されるのは20%以下

①成年後見人は家庭裁判所が選任

成年後見人になるために、資格は不要です。

原則として、だれでも成年後見人になることができます。

成年後見人になれない人は、先に説明したとおりです。

成年後見人になれない人でなければ、希望どおりに成年後見人になれるわけではありません。

成年後見人は、家庭裁判所が選任するからです。

成年後見開始の申立てをするときに、家族を成年後見人の候補者に立てることができます。

候補者である家族を選任することも、家族以外の専門家を選任することもあります。

成年後見人の候補者である家族を不適格と判断すれば、家族以外の専門家を選任するでしょう。

家族が成年後見人に選任されるためには、家庭裁判所にふさわしい人を認められることが重要です。

家族が成年後見人に選任されるのは、20%以下です。

成年後見人は、家庭裁判所が選任します。

②家庭裁判所の判断に異議を述べることはできない

成年後見人は、家族が選ばれることも家族以外の専門家が選ばれることもあります。

家族を成年後見人の候補者に立てても、家庭裁判所は見知らぬ専門家を選任することがあります。

家族が成年後見人に選ばれなかった場合、家庭裁判所に異議を述べることはできません。

見知らぬ専門家が選ばれた場合、家庭裁判所に家族を選んで欲しいということはできません。

選ばれた人が家族でないからなどの理由で、成年後見開始の申立てを取り下げることはできません。

家庭裁判所の判断に、異議を述べることはできません。

③成年後見人の解任はハードルが高い

成年後見人は、家庭裁判所が選任します。

家族が成年後見人に選任されるのは、20%以下です。

多くの場合、家族以外の専門家が選任されます。

家族以外の専門家が選任されたら、解任すればいいと思うかもしれません。

成年後見人を家族が解任することはできません。

成年後見人を解任するのは、家庭裁判所です。

家族と意見が合わないからなど理不尽な理由で、家庭裁判所は解任することはありません。

成年後見人は、認知症などの人をサポートする人です。

適切にサポートをしているのであれば、解任されることはないでしょう。

・成年後見人(法定後見人)の愛想がよくないから、代えて欲しい

・成年後見人(法定後見人)が家族でないから、代えて欲しい

・成年後見人(法定後見人)の後見方針に賛成できないから、代えて欲しい

・成年後見人(法定後見人)が気に入らないから、代えて欲しい

上記の理由は、本人のサポートとは無関係です。

本人のサポートと無関係な理由で、解任されることはありません。

例えば、次の理由がある場合、成年後見の任務に適さないと言えるでしょう。

成年後見人に適さない場合、家庭裁判所の判断で解任されます。

・財産管理が不適当である

・成年後見人(法定後見人)としての義務違反

・成年後見人(法定後見人)が病気療養のため、職務ができない

・成年後見人(法定後見人)が遠方に転居したため、職務ができない

④成年後見人を解任しても成年後見は解除できない

成年後見人の解任には、高いハードルがあります。

厳しい条件をクリアすれば、成年後見人が解任されるかもしれません。

成年後見人が解任されたら、新しい成年後見人が選任されます。

成年後見制度の利用をやめたわけではないからです。

成年後見人が死亡しても解任されても辞任しても、新しい成年後見人が選任されます。

成年後見制度は、原則として、やめることができません。

成年後見人を解任しても、成年後見は解除できません。

3家族が成年後見人に選任される条件

条件①本人の財産が少ない

本人の資産が1000万円を超す場合、家族が後見人に選ばれにくい傾向があります。

本人の資産が多いと、後見事務が複雑になりやすいからです。

本人の財産が少ないと、家族が成年後見人に選任されやすくなります。

条件②本人の財産が多くても後見制度支援信託

本人の資産が1000万円を超す場合、後見制度支援信託の希望をすることができます。

後見制度支援信託とは、成年後見制度を利用する人のための信託です。

日常生活費以外を信託銀行に預け、定期的に成年後見人管理の口座に振り込んでもらいます。

後見制度支援信託を利用している場合、成年後見人だけの判断で引き出すことはできません。

家庭裁判所に引出しの事情を説明し、家庭裁判所の許可を受ける必要があります。

家庭裁判所の許可書がないと、信託銀行は引出しに応じてくれません。

家庭裁判所の許可が必要だから、本人の財産を確実に守ることができます。

本人の財産が多くても後見制度支援信託を利用する希望があると、家族が成年後見人に選任されやすくなります。

条件③管理が複雑な財産がない

本人の財産が預貯金のみで各種支払いのみの場合、財産管理は簡単です。

本人が収益不動産を保有していることがあります。

財産管理の一環として、収益不動産の管理業務をしなければなりません。

複雑な財産管理を必要とされる場合、家族が成年後見人に選ばれにくい傾向にあります。

管理が複雑な財産がないと、家族が成年後見人に選任されやすくなります。

条件④申立てまでの財産管理が適切

成年後見開始の申立てをする場合、本人の通帳のコピーを提出します。

本人が自分で財産管理をすることが難しくなった場合、家族が代わりに管理していたでしょう。

本人の通帳やキャッシュカードを管理して、引出しをしていたかもしれません。

多くの場合、本人の通帳やキャッシュカードを管理していた家族が成年後見人の候補者でしょう。

通帳のコピーを見て、候補者の財産管理状況がチェックされます。

適切な財産管理がされていれば、成年後見人としてふさわしいと判断されるでしょう。

説明がつかない引出しが複数見つかると、資質に疑問符が付くでしょう。

成年後見開始の申立てまでの財産管理が適切なら、家族が成年後見人に選任されやすくなります。

条件⑤他の家族が賛成

成年後見人の候補者や他の家族に対して、意見聴取があることがあります。

他の家族が何も知らない状態で、家庭裁判所から書類が来るとびっくりします。

他の家族に対して意見聴取をしないで欲しいなどの要望があっても、家庭裁判所は受け付けてくれません。

家庭裁判所が意見聴取が必要だと判断すれば、他の家族にも意見聴取をします。

家族の中で反対意見が出る場合、候補者が成年後見人に選ばれるのは難しいでしょう。

成年後見人になると、本人の財産を自由気ままに使えると誤解していることがあります。

成年後見人候補者に財産まるごと奪われると考えてしまうでしょう。

自由気ままに使えると誤解していると、家族が成年後見人になることに反対意見を出すでしょう。

成年後見人は、認知症などの人をサポートする人です。

家族全員に成年後見制度について、情報共有することが重要です。

誤解が解ければ、成年後見人になることに賛成してもらえるでしょう。

他の家族が賛成していると、家族が成年後見人に選任されやすくなります。

条件⑥家庭裁判所の候補者面談で良い印象

成年後見開始の申立てをすると、家庭裁判所で受理面接があります。

家庭裁判所の受理面接では、成年後見人として適切な人物であるかチェックされます。

家庭裁判所から成年後見人として適切な人物だと思ってもらう必要があります。

家庭裁判所の面接にしっかり対応できるように準備しておくといいでしょう。

家庭裁判所の候補者面談で良い印象を与えられると、家族が成年後見人に選任されやすくなります。

4任意後見人は自分で選べる

①任意後見と法定後見

成年後見には、2種類あります。

法定後見と任意後見です。

任意後見は、認知症などになったときに備えてサポートを依頼する契約です。

本人が元気なうちに、信頼できる家族と契約します。

法定後見は、認知症になってしまった後で家庭裁判所に成年後見人を選んでもらう制度です。

任意後見と法定後見を比べた場合、任意後見はわずかな件数です。

単に、成年後見といった場合、法定後見を指していることがほとんどです。

成年後見には、任意後見と法定後見の2種類があります。

②配偶者や子どもと任意後見契約

任意後見は、サポートを依頼する契約です。

本人が信頼する家族に、サポートを依頼するでしょう。

サポートする人は、本人の配偶者や子どもなど自由に選ぶことができます。

配偶者や子どもと、任意後見契約をすることができます。

③任意後見契約は公正証書で

任意後見契約は、認知症などになった後にサポートしてもらう契約です。

重要な契約だから、公正証書で契約をしなければなりません。

公正証書は、公証人に作ってもらう文書です。

単なる口約束や個人間の契約書では、効力がありません。

任意後見契約は、公正証書で契約する必要があります。

④任意後見監督人選任でサポート開始

任意後見契約をするだけで、家族はサポートすることはできません。

任意後見契約をした時点では、契約のメリットデメリットを適切に判断できるはずだからです。

適切に判断できるから、サポートする必要ありません。

任意後見契約をした後、物事のメリットデメリットを適切に判断できなくなることがあるでしょう。

適切に判断ができなくなったとき、サポートが必要になります。

物事のメリットデメリットを適切に判断できなくなったら、家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てをします。

任意後見人がサポートを開始するのは、任意後見監督人が職務を開始してからです。

任意後見人は、任意後見監督人に監督されます。

任意後見監督人は、家庭裁判所に監督されます。

家庭裁判所は任意後見監督人を監督することで、任意後見人を監督します。

任意後見監督人選任で、サポートを開始します。

5任意後見契約を司法書士に依頼するメリット

任意後見制度は、あらかじめ契約で「必要になったら後見人になってください」とお願いしておく制度です。

認知症が進んでから、任意後見契約をすることはできません。

重度の認知症になった後は、成年後見(法定後見)をするしかなくなります。

成年後見(法定後見)では、家庭裁判所が成年後見人を決めます。

家族が成年後見人になれることも家族以外の専門家が選ばれることもあります。

任意後見契約では、本人の選んだ人に後見人になってもらうことができます。

家族以外の人が成年後見人になることが不安である人にとって、任意後見制度は有力な選択肢になるでしょう。

任意後見監督人は、任意後見人のサポート役も担っています。

家庭裁判所に相談するより、ちょっと聞きたいといった場合には頼りになることが多いでしょう。

任意後見契約は、締結して終わりではありません。

本人が自分らしく生きるために、みんなでサポートする制度です。

任意後見制度の活用を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

成年後見人の報酬は本人の財産から

2024-12-09

1成年後見人は認知症の人をサポートする人

①任意後見人は自分で選ぶ

認知症や精神障害や知的障害などで判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人もいるでしょう。

成年後見人は、認知症などで物事の良しあしを適切に判断できなくなった人をサポートする人です。

成年後見には、2種類あります。

任意後見と法定後見です。

成年後見のほとんどは、法定後見です。

成年後見人と言ったら、法定後見人であることがほとんどです。

任意後見は、サポートを依頼する契約です。

あらかじめ認知症になったときに備えて、信頼できる人にサポートを依頼することができます。

認知症になったときに備えてサポートを依頼する契約を任意後見契約と言います。

任意後見契約でサポートを依頼された人が任意後見人です。

任意後見では、サポートをする人を自分で選びます。

本人が信頼できる人を自分で選んで、サポートを依頼します。

②成年後見(法定後見)人は家庭裁判所が選ぶ

任意後見は、サポートを依頼する契約です。

物事のメリットデメリットを充分に判断することができるときだけ、契約をすることができます。

元気なときに将来に備えて、サポートを依頼します。

自分が元気なときは、明日も元気で将来もずっと元気だと思いがちです。

将来に備えないまま、認知症になってしまうことがあります。

認知症になると物事の良しあしを適切に判断することができなくなります。

認知症などでサポートが必要なのに、放置することはできません。

認知症の人のために家庭裁判所に申立てをして、サポートする人を付けてもらいます。

法定後見とは、家庭裁判所がサポートする人を選任する制度です。

家庭裁判所が選任した人が成年後見(法定後見)人です。

本人の家族が選ばれることもあるし、司法書士などの専門家が選ばれることもあります。

申立てをするときに、本人の家族を成年後見人の候補者に立てることができます。

候補者を選ぶか選ばないかは、家庭裁判所次第です。

家族が成年後見人にが選ばれるのは、およそ30%くらいです。

成年後見(法定後見)では、サポートする人を家庭裁判所が選びます。

2成年後見人の報酬は本人の財産から

①任意後見人の報酬は契約で決める

任意後見は、サポートを依頼する契約です。

サポートを依頼する場合、公正証書で契約します。

任意後見契約では、任意後見人にやってもらいたいことを決めて契約します。

任意後見人の報酬は、任意後見契約で決めておきます。

任意後見契約は、本人が信頼する人にサポートを依頼する契約です。

本人が信頼する人は、本人の子どもなど信頼できる家族であることが多いでしょう。

任意後見契約に報酬の定めがあっても、請求するのは任意後見人の自由です。

家族が任意後見人になる場合、請求しないことも多いでしょう。

任意後見契約に、無報酬の定めをおくことがあります。

任意後見は契約だから、当事者が合意できれば無報酬でも差し支えありません。

司法書士などの専門家が任意後見人になる場合、報酬を支払うことになります。

本人の財産規模や財産の内容にもよりますが、月額3~6万円程度になることが多いでしょう。

任意後見人に報酬を払う場合、本人の財産から支払います。

②任意後見監督人の報酬は家庭裁判所が決める

任意後見契約は、本人が元気なときに締結します。

物事のメリットデメリットを充分に判断することができなくなったら、契約などの法律行為はできなくなるからです。

任意後見契約をした時点は、本人は元気だからサポートは必要ありません。

本人が認知症などになって判断能力が低下したときに、サポートが必要になります。

本人の判断能力が低下してサポートが必要になった場合、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申立てます。

家庭裁判所が任意後見監督人を選任したら、任意後見人がサポートを開始します。

任意後見監督人が選任されるまで、任意後見はスタートしません。

任意後見人がサポートをしている場合、任意後見人は必ず存在します。

任意後見監督人を不要にすることはできません。

任意後見は、本人が信頼できる人にサポートを依頼します。

任意後見人は、本人の家族などが多いでしょう。

任意後見監督人は、原則として司法書士などの専門家が選任されます。

司法書士などの専門家が任意後見監督人になる場合、報酬を支払うことになります。

任意後見監督人の報酬は、家庭裁判所が決定します。

本人の財産規模や財産の内容にもよりますが、月額1~2万円程度になることが多いでしょう。

任意後見監督人に報酬を払う場合、本人の財産から支払います。

③成年後見(法定後見) 人の報酬は家庭裁判所が決める

将来に備えないまま認知症になってしまった場合、サポートする人は家庭裁判所が決定します。

本人の家族が選ばれることも、司法書士などの専門家が選ばれることもあります。

成年後見人の報酬は、報酬付与の申立てによって家庭裁判所が決定します。

成年後見人が家族であっても司法書士などの専門家であっても、家庭裁判所が決定します。

家庭裁判所の決定なしで報酬と称して、お金を引き出すことはできません。

成年後見人は、報酬付与の申立てをするか自由に決定します。

家族が成年後見人になった場合、報酬付与の申立てをしないことがあります。

家族が成年後見人になった場合、当然に無報酬であることはありません。

家庭裁判所の決定に従い、家族である成年後見人が報酬を受け取ることができます。

成年後見人に報酬を払う場合、本人の財産から支払います。

④報酬が払えないとき成年後見利用支援事業で助成

成年後見人の報酬は、本人の財産から支払います。

本人の財産がごくわずかであることがあります。

本人の財産から成年後見人の報酬が払えないかもしれません。

認知症になると物事の良しあしを適切に判断することができなくなります。

認知症などでサポートが必要なのに、放置することはできません。

たとえ本人が生活保護受給者であっても、サポートは必要になります。

認知症などでサポートが必要なのに、放置することはできないからです。

全国の自治体で成年後見制度利用支援事業の助成制度を利用するといいでしょう。

所得などの条件を満たした場合、成年後見人や成年後見監督人の報酬が助成されます。

助成を受ける条件は、自治体によって異なります。

認知症の人の住所地の市区町村役場で相談するといいでしょう。

3成年後見(法定後見)開始の申立費用は申立人が負担

①専門家のサポート費用は申立人の負担

法定後見は、家庭裁判所がサポートする人を選任する制度です。

家庭裁判所に申立てをして、成年後見人を選任してもらいます。

成年後見開始の申立てをする場合、家庭裁判所に次の費用を納入します。

(1)収入印紙800円

(2)後見登記手数料 収入印紙2600円

(3)予納郵券 3500円程度

成年後見開始の申立ては、認知症の人のためにされるものです。

家庭裁判所に納入する費用は、認知症の人に請求することができます。

成年後見開始の申立ては、多くの場合、専門家のサポートを受けて申立てをします。

専門家は、申立人のためにサポートをしています。

認知症の人の利益のためのサポートではありません。

申立人の知識や手間を補うためのサポートだからです。

専門家のサポート費用は、申立人が負担します。

②鑑定費用は本人の負担

成年後見開始の申立書を受け付けた後、家庭裁判所で審査がされます。

認知症の人に判断能力が充分あるのであれば、後見を開始する必要はありません。

認知症の人が判断能力を喪失しているのであれば、後見を開始する必要があります。

本人の判断能力がどの程度であるのか、申立書の書類だけでは分からないことがあります。

家庭裁判所は、本人の判断能力の程度を医学的に判断するため鑑定を行います。

鑑定は、本人の判断能力について医学的判断をする手続です。

主治医が鑑定を担当するケースや主治医が紹介した医師が担当するケースがあります。

鑑定を行う場合、追加で費用がかかります。

鑑定費用は、鑑定を行う医師が決定します。

大部分の医師は、5~10万円で鑑定を引き受けています。

鑑定費用は、本人に請求することができます。

4成年後見開始の申立てを司法書士に依頼するメリット

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人もいるでしょう。

ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

判断能力が低下すると、本人自身も不安になりますし、家族も不安になります。

成年後見に限らず、制度にはメリットデメリットがあります。

本人にとって気にならないデメリットもあります。

家族がサポートすれば問題のないデメリットもあるでしょう。

他の制度を活用すれば、差支えがないものもあります。

本人や家族の意見共有が重要です。

身のまわりの不自由を補うために、身近な家族がお世話をすることが多くなるでしょう。

成年後見の申立をする場合、家庭裁判所へ手続が必要です。

身のまわりのお世話をしている家族が本人の判断能力の低下に気づくことが多いです。

身のまわりのお世話をしながら、たくさんの書類を用意して煩雑な手続をするのは負担が大きいでしょう。

司法書士は、裁判所に提出する書類作成もサポートしております。

成年後見開始の申立てが必要なのに忙しくて手続をすすめられない方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

登記されていないことの証明書を郵送請求

2024-11-06

1成年後見は登記される

①成年後見は本人をサポートする制度

高齢になると、認知症などになる人が増加します。

認知症になると、記憶があいまいになります。

物事のメリットデメリットを適切に判断することが難しくなります。

ひとりで判断することが心細くなったり不安になったりするでしょう。

成年後見は、物事のメリットデメリットを適切に判断することが難しくなった人をサポートする制度です。

自分が不利益になることに気づかないまま、契約などをするかもしれません。

自分に不必要であることが分からないまま、購入するかもしれません。

ひとりで判断することが不安になると、悪質な業者に付け込まれるかもしれません。

本人が被害を受けないように、成年後見人がサポートします。

成年後見人は、本人に代わって判断します。

本人の財産は、成年後見人が管理します。

本人の財産管理を任されるから、成年後見人には大きな権限があります。

成年後見は、本人をサポートする制度です。

②任意後見は公証人が登記嘱託

成年後見には、2種類あります。

任意後見と法定後見です。

任意後見とは、将来に備えてサポートを依頼する契約です。

サポートする人は、本人が自分で選ぶことができます。

任意後見契約の最大のメリットは、サポートする人を自分で選ぶことができる点でしょう。

重度の認知症になると、契約のメリットデメリットを充分に判断することができなくなります。

契約するためには、本人が契約のメリットデメリットを充分に判断する能力が必要です。

本人が元気なうちに将来に備えて、任意後見契約をします。

任意後見契約をしても、本人が元気なうちはサポートする必要がありません。

物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなった後に、任意後見契約の効力が発生します。

重要な契約だから、公正証書で契約をしなければなりません。

公正証書は、公証人に作ってもらう文書です。

単なる口約束や個人間の契約書では、効力がありません。

公正証書で任意後見契約を締結したら、契約の内容は登記されます。

公証人が自動的に登記を嘱託します。

③法定後見は裁判所書記官が登記嘱託

重度の認知症になると、物事のメリットデメリットを適切に判断することができなくなります。

物事のメリットデメリットを適切に判断できなくなった後で、法律行為が必要になることがあります。

例えば、認知症の人が相続人になる相続が発生することがあります。

認知症の人は、ひとりで遺産分割協議をすることはできません。

遺産分割協議をするためには、物事のメリットデメリットを適切に判断する能力が必要になるからです。

認知症の人を含めずに遺産分割協議をしても、無効です。

遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要になるからです。

法定後見では、家庭裁判所が認知症の人をサポートする人を選任します。

サポートする人を選任してもらうことを成年後見開始の申立てと言います。

家庭裁判所が成年後見開始の審判をします。

成年後見開始の審判が確定したら、審判の内容は登記されます。

家庭裁判所の書記官が自動的に登記を嘱託します。

④登記されていないことを証明してもらえる

任意後見制度を利用している場合、成年後見登記事項証明書で明らかにすることができます。

法定後見制度を利用している場合、成年後見登記事項証明書で明らかにすることができます。

任意後見も成年後見も、登記されているからです。

成年後見制度を利用していない人は、登記されていません。

登記されていない人は、登記されていないことを証明してもらうことができます。

登記されていないことの証明書は、成年後見制度を利用していないことの証明書です。

2登記されていないことの証明書を郵送請求

①登記されていないことの証明申請書はダウンロードできる

登記されていないことの証明書を取得する場合、登記されていないことの証明申請書を提出します。

登記されていないことの証明申請書は、法務局のホームページからダウンロードすることができます。

A4縦長の紙に印刷して、使うことができます。

登記されていないことの証明申請書は、勝手に拡大縮小することはできません。

拡大縮小した申請書は、やり直しになります。

②請求できる人と添付書類

自分や家族が成年後見を利用しているか利用していないか、他の人に知られたくないでしょう。

登記されていないことの証明書を請求できる人は、制限されています。

請求できる人と添付書類は、次のとおりです。

(1)本人が請求

・本人確認書類

マイナンバーカードの表、運転免許証の表裏のコピーなどを提出します。

本人確認書類として住民票などを提出する場合、市区町村役場で発行された書類をそのまま提出します。

(2)4親等内の親族が請求

・本人確認書類

・戸籍謄本

請求人が4親等内の親族であることが分かる戸籍謄本を提出します。

提出する戸籍謄本が現在戸籍である場合、発行から3か月以内の期限があります。

現在戸籍ではなく除籍謄本や原戸籍謄本の場合、有効期限はありません。

4親等内の親族とは、4親等内の血族と3親等内の姻族です。

本人確認書類は、親族の書類が必要です。

(3)本人や4親族の代理人が請求

・委任状

・本人確認書類

本人や4親等内の親族が代理人を立てて、登記されていないことの証明書を請求することができます。

代理人に委任したことが分かる委任状が必要です。

委任状は、法務局のホームページからダウンロードすることができます。

本人確認書類は、代理人の書類が必要です。

③登記されていないことの証明申請書と委任状は押印不要

登記されていないことの証明申請書と委任状の記載例は、先に示したとおりです。

登記されていないことの証明申請書と委任状は、どちらも押印不要です。

委任する人も代理人も、押印不要です。

④発行手数料300円は収入印紙で納入

登記されていないことの証明書を取得するためには、発行手数料を納入する必要があります。

発行手数料は、証明書1通につき300円です。

登記されていないことの証明申請書に、収入印紙300円分を貼り付けて納入します。

貼り付けるだけで、消印は押しません。

登記されていないことの証明申請書を受け付けた後、法務局の人が消印を押すからです。

収入印紙は、次のところで購入することができます。

(1)郵便局郵便窓口

(2)法務局印紙売りさばき窓口

(3)コンビニエンスストア

大きな郵便局や法務局であれば、300円の額面の収入印紙を購入することができるでしょう。

小さな郵便局やコンビニエンスストアなどでは、品切れしていることが多いものです。

200円と100円など、複数の収入印紙を貼り付けて納入することができます。

⑤郵送請求は東京法務局後見登録課のみ

登記されていないことの証明書は、郵送で請求することができます。

郵送請求は、東京法務局のみの受付です。

郵送請求するときの請求先は、次のとおりです。

郵送先

〒102-8226

東京都千代田区九段南1-1-15

九段第2合同庁舎

東京法務局 民事行政部

後見登録課 あて

⑥必要書類は原本還付してもらえる

本人確認書類として、住民票を提出することができます。

4親等内の親族が請求する場合、4親等内の親族であることが分かる戸籍謄本を提出する必要があります。

住民票や戸籍謄本は、市区町村役場で発行されたものをそのまま提出します。

添付書類は、何もしなければ原本還付されません。

添付書類の原本還付を希望する場合、添付書類と添付書類のコピーを一緒に提出します。

コピーに「原本に相違ありません」と記載して、申請人が記名し押印をします。

法務局で内容に間違いがないか確認して、問題がなければ原本還付してくれます。

⑦返信用封筒を一緒に送る

登記されていないことの証明書を郵送請求する場合、郵送で送り返してもらえます。

郵送請求するときに、返信用の封筒と切手を一緒に送ります。

普通郵便であっても、差し支えありません。

できれば、レターパックなど記録される郵便が安心です。

3登記されていないことの証明書を郵送請求するときの注意点

①東京法務局以外は郵送請求を受け付けてもらえない

登記されていないことの証明書の郵送請求ができるのは、東京法務局のみです。

窓口請求ができるのなら、各地の法務局本局で請求することができます。

例えば、愛知県内には、14か所の法務局があります。

登記されていないことの証明書の発行請求ができるのは、名古屋市中区三の丸の名古屋法務局本局だけです。

名古屋市内であっても、熱田出張所や名東出張所で発行請求をすることはできません。

本人や請求人の住所・本籍による制限はありません。

名古屋法務局は、窓口請求のみの対応です。

名古屋法務局に郵送請求をしても、受け付けてもらえません。

郵送請求を受け付けるのは、東京法務局のみだからです。

東京法務局以外は、郵送請求を受け付けてもらえません。

②登記されていないことの証明申請書はそのまま複写される

登記されていないことの証明申請書の下半分に、証明を受ける方欄があります。

証明を受ける方欄は、証明書にそのまま複写されます。

点画がはっきりとした楷書で書くことをおすすめします。

流麗な字で書くと、証明書の字が分からないと言われてしまう可能性があるからです。

氏名の字は、普段は略字を書いているかもしれません。

省略することなく、戸籍や住民票の字をそのまま書くことをおすすめします。

住所や本籍も同様に、戸籍や住民票の表現をそのまま記載します。

「番地」「番」などを省略することはおすすめできません。

③郵送請求は時間がかかる

登記されていないことの証明書を郵送請求する場合、1週間程度時間がかかります。

東京法務局に請求が殺到している場合、2週間以上かかることがあります。

急ぐのであれば、窓口請求がおすすめです。

窓口請求なら、即日交付してもらえるからです。

④平成12年3月31日以前は身分証明書で証明

成年後見制度は、平成12年4月1日にスタートしました。

平成12年3月31日以前、禁治産者、準禁治産者で、戸籍に記録されていました。

平成12年3月31日以前の期間について証明してもらいたい場合、登記されていないことの証明書では証明してもらうことができません。

禁治産者、準禁治産者は戸籍に記録されていたから、市区町村役場で証明してもらうことができます。

禁治産者、準禁治産者でないことは、身分証明書(身元証明書)で証明してもらいます。

資格の登録や許認可申請において、成年被後見人ではないことを証明するため登記されていないことの証明書を提出します。

禁治産者、準禁治産者でないことを証明するため身分証明書(身元証明書) を提出します。

登記されていないことの証明書と身分証明書(身元証明書)の両方が必要になります。

4オンライン請求には電子証明書が必要

登記されていないことの証明書は、窓口請求や郵送請求の他にオンラインで請求することができます。

オンラインで請求することができるものの、おすすめできる方法ではありません。

登記されていないことの証明申請には、電子署名をする必要があるからです。

電子証明書を取得するのに、手間と時間がかかります。

電子証明書は、氏名と住所の情報が確認できるものに限られています。

基本型証明書や司法書士電子証明書は、住所の確認ができないため使うことができません。

5成年後見開始の申立てを司法書士に依頼するメリット

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人もいるでしょう。

ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

本人自身も不安になりますし、家族も不安になります。

身のまわりの不自由を補うために、身近な家族がお世話をすることが多くなるでしょう。

成年後見の申立ては家庭裁判所へ手続が必要です。

身のまわりのお世話をしている家族が本人の判断能力の低下に気づくことが多いです。

たくさんの書類を用意して、煩雑な手続をするのは負担が大きいでしょう。

司法書士は、裁判所に提出する書類作成もサポートしております。

成年後見開始の申立てが必要なのに忙しくて手続をすすめられない方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

登記されていないことの証明書とは

2024-09-29

1 成年後見は本人をサポートする制度

①成年後見は任意後見と法定後見の2種類

認知症や精神障害や知的障害などになると、判断能力が低下します。

物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人もいるでしょう。

成年後見は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができなくなった人をサポートする制度です。

成年後見には、2種類あります。

任意後見と法定後見です。

任意後見と法定後見は、手続の方法がちがいます。

成年後見には、任意後見と法定後見の2種類があります。

②任意後見は当事者の契約

任意後見は、当事者の契約です。

あらかじめ契約で「必要になったら任意後見人になってください」とお願いしておきます。

任意後見人になってもらう人は、自分で決めることができます。

認知症や精神障害や知的障害などで判断能力が低下ときに備えて、信頼できる人にお願いをしておきます。

契約をした時点では、任意後見人は何もすることはありません。

本人が自分でいろいろなことを判断できるからです。

本人が自分で決めることができなくなったとき、任意後見がスタートします。

本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなったとき、家庭裁判所は任意後見監督人を選任します。

任意後見監督人が選任された後、任意後見がスタートします。

任意後見は、当事者の契約です。

③法定後見は家庭裁判所の決定

法定後見は、判断能力が低下した人を保護するため家庭裁判所がサポートする人を決める制度です。

法定後見は、3種類に分かれています。

(1)補助

(2)保佐

(3)後見

法定後見でサポートしてもらう人は、それぞれ(1)被補助人(2)被保佐人(3)成年被後見人と言います。

(1)被補助人は判断能力が不十分な方

(2)被保佐人は判断能力が著しく不十分な方

(3)成年被後見人は判断能力が欠けているのが通常の方

法定後見は、本人の判断能力の程度や心配の度合いに応じて3種類の制度があるということです。

2登記されていないことの証明書とは

①成年後見は登記される

成年後見は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができなくなった人をサポートする制度です。

成年後見制度を利用している人は、自分で判断することができません。

後見人などの保護者が本人のために、契約などの法律行為をします。

本人のために契約するとは言うものの、そのための権限があるのか分かりません。

成年後見制度を利用している人は、登記されています。

後見人などの保護者の権限内容や任意後見契約の内容は、登記事項証明書で確認することができます。

成年後見を利用すると、登記されます。

②成年後見制度を利用していない人は登記されていないことの証明書

成年後見制度を利用していない人は、登記されていません。

成年後見制度を利用していないことを証明してもらうことができます。

登記されていないことの証明書とは、成年後見制度を利用していないことの証明書です。

③登記されていないことの証明書が必要になるとき

登記されていないことの証明書は、さまざまな資格の登録申請で必要になります。

例えば、弁護士、司法書士、行政書士などの登録手続きです。

成年後見制度を利用する人は、物事の良しあしが適切に判断することができません。

資格登録申請において、成年被後見人ではないことを証明する必要があります。

成年被後見人ではないことを証明するため、登記されていないことの証明書を提出します。

〇〇業許可、○○営業許可などの許認可申請でも、同様です。

成年被後見人ではないことを証明するため、登記されていないことの証明書を提出します。

④平成12年3月31日以前は身分証明書で証明

成年後見制度は、平成12年4月1日にスタートしました。

平成12年3月31日以前、禁治産者、準禁治産者で、戸籍に記録されていました。

平成12年3月31日以前の期間について証明してもらいたい場合、登記されていないことの証明書では証明してもらうことができません。

禁治産者、準禁治産者は戸籍に記録されていたから、市区町村役場で証明してもらうことができます。

禁治産者、準禁治産者でないことは、身分証明書(身元証明書)で証明してもらいます。

資格の登録や許認可申請において、成年被後見人ではないことを証明するため登記されていないことの証明書を提出します。

禁治産者、準禁治産者でないことを証明するため身分証明書(身元証明書) を提出します。

登記されていないことの証明書と身分証明書(身元証明書)の両方が必要になります。

3登記されていないことの証明書の取得方法

①申請書はダウンロードできる

登記されていないことの証明申請書は、法務局のホームページに出ています。

ホームページからダウンロードして使うことができます。

②申請できる人

登記されていないことの証明申請書を提出することができるのは、次の人です。

(1)証明対象者本人

(2))証明対象者本人の4親等内の親族

(3)上記(1)(2)の人から委任を受けた人

③申請書の提出先

登記されていないことの証明申請書の提出先は、次のとおりです。

(1)東京法務局後見登録課

(2)全国の法務局、地方法務局本局の戸籍課

愛知県であれば、名古屋法務局本局のみです。

名古屋市内には、熱田出張所や名東出張所があります。

熱田出張所や名東出張所では、登記されていないことの証明書の申請書は受け付けてもらえません。

名古屋市外にある各支局でも、登記されていないことの証明書の申請書は受け付けてもらえません。

④郵送で申請できる

登記されていないことの証明申請書の提出先は、愛知県であれば、名古屋法務局本局のみです。

名古屋法務局本局に、出向くのは難しい人もいるでしょう。

登記されていないことの証明書の申請書は、郵送で提出することができます。

郵送で提出する場合は、東京法務局後見登録課のみの対応です。

郵送先

〒102-8226

東京都千代田区九段南1-1-15

九段第2合同庁舎

東京法務局 民事行政部

後見登録課 あて

名古屋法務局本局に郵送しても、受け付けてもらえません。

⑤本人が申請するときの必要書類

本人が申請する場合、登記されていないことの証明申請書には、次の書類を添付します。

(1)本人確認書類

運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード等です。

郵送請求をする場合、コピーを提出します。

⑥4親等内の親族が申請するときの必要書類

4親等内の親族が申請する場合、登記されていないことの証明申請書には、次の書類を添付します。

(1) 4親等内の親族の本人確認書類

運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード等です。

(2) 4親等内の親族であることが分かる書類

発行から3か月以内の戸籍謄本や住民票です。

住民票には、続柄の記載が必要です。

⑦代理人に依頼するときの必要書類

登記されていないことの証明申請書の提出を代理人に依頼する場合、上記に追加して次の書類が必要です。

(1) 代理人の本人確認書類

運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード等です。

(2)委任状

(3)代理人が法人の場合、代表者資格証明書

代表者資格証明書は、発行から3か月以内のものが必要です。

登記されていないことの証明申請書に会社法人番号を記載した場合、代表者資格証明書の提出を省略することができます。

⑧手数料300円は収入印紙で納入

登記されていないことの証明申請書の手数料は、1通につき300円です。

手数料は、収入印紙を貼り付けて納入します。

収入印紙は、貼り付けるだけで割印はしません。

名古屋法務局本局で手続をする場合、収入印紙は2階の収入印紙売りさばき窓口で購入することができます。

⑨登記されていないことの証明申請書は押印不要

登記されていないことの証明申請書は、申請人も代理人も押印不要です。

代理人が登記されていないことの証明申請書を提出する場合、委任状を提出します。

委任状への押印も廃止されました。

4成年後見開始の申立てを司法書士に依頼するメリット

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人もいるでしょう。

ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

本人自身も不安になりますし、家族も不安になります。

身のまわりの不自由を補うために、身近な家族がお世話をすることが多くなるでしょう。

成年後見の申立ては家庭裁判所へ手続が必要です。

身のまわりのお世話をしている家族が本人の判断能力の低下に気づくことが多いです。

身のまわりのお世話をしながら、たくさんの書類を用意して煩雑な手続をするのは負担が大きいでしょう。

司法書士は、裁判所に提出する書類作成もサポートしております。

成年後見開始の申立てが必要なのに忙しくて手続をすすめられない方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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