相続手続は司法書士に依頼できる

1相続手続は司法書士に依頼できる

①相続人調査は司法書士に依頼できる

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どももいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続が発生した場合、たくさんの相続手続をすることになります。

相続手続の最初の難関は、相続人調査です。

家族にとってだれが相続人になるか当然のことでしょう。

相続手続先に対しては、客観的に証明しなければなりません。

相続人を客観的に証明するとは、戸籍謄本で証明することです。

戸籍には、その人に身分事項がすべて記載されているからです。

相続人を客観的に証明するため、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を用意しなければなりません。

戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場に請求します。

遠方の市区町村役場に郵送で戸籍謄本を請求するのは、手間がかかります。

古い戸籍は、活字ではなく手書きで記載されています。

現在と書き方ルールがちがううえに手書きで記載されているから、戸籍謄本の解読は骨が折れる作業です。

手間と時間がかかる相続人調査は、司法書士に依頼することができます。

②相続財産調査は司法書士に依頼できる

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人が相続します。

被相続人は、いろいろなのものを持っていたでしょう。

相続財産は、プラスの財産だけではありません。

マイナスの財産も相続財産になります。

相続人と被相続人が別居していた場合、被相続人の財産状況を詳しく知っていることはあまりないでしょう。

預貯金は、通帳やキャッシュカード、金融機関などからの通知を探します。

手がかりが見つかったら、金融機関に口座の有無を照会します。

不動産は、権利書や固定資産税の領収書を探します。

手がかりが見つかったら、市区町村役場に名寄帳を請求します。

機密性の高い個人情報であることを考慮して、名古屋市など名寄帳を発行していない市区町村役場もあります。

名古屋市では、課税明細書と資産明細書で代用します。

株式は、証券会社や信託銀行からのお手紙や株主総会招集通知や配当通知を探します。

手がかりが見つかったら、金融機関に連絡をして残高証明書を請求します。

証券保管振替機構に対して登録済加入者情報の開示請求をして調べることもできます。

借金は、契約書、借入明細書や督促状を探します。

手がかりが見つかったら、貸主に連絡をして残高証明書を請求します。

信用情報機関に照会すると詳しく確認することができます。

(1)消費者金融からのお借入  日本信用情報機構(JICC)

(2)クレジット会社からのお借入 株式会社シー・アイ・シー(CIC)

(3)銀行からのお借入       全国銀行協会全国銀行個人信用情報センター

相続財産は、財産ごとに別々の期間に照会して調べていきます。

照会しても、すぐに返事はもらえないことが少なくありません。

根気良く手続をするのは、気が遠くなる作業です。

手間と時間がかかる相続財産調査は、司法書士に依頼することができます。

③相続放棄は司法書士に依頼できる

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続財産には、プラスの財産とマイナスの財産があります。

相続財産がわずかなプラスの財産と莫大なマイナスの財産である場合、そのまま相続すると相続人の人生が破綻します。

相続人は、相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する申立てをします。

相続放棄の申立ては、3か月の期限があります。

この申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。

相続があったことを知ってから3か月以内の期間のことを熟慮期間と言います。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

相続放棄のチャンスは、1回限りです。

相続放棄の手続は、司法書士に依頼することができます。

④遺産分割協議書の作成は司法書士に依頼できる

相続が発生したら、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続財産は、相続人全員の話し合いによる合意で分け方を決定します。

相続人全員の分け方の合意ができたら、合意内容を書面に取りまとめます。

相続財産の分け方について、相続人全員の合意内容を取りまとめた書面が遺産分割協議書です。

相続人全員の合意ができたら、相続手続を進めます。

遺産分割協議書は、相続手続のため相続手続先の人にも分かるように記載することが大切です。

遺産分割協議書の記載が不適切である場合、相続手続を進めることができません。

相続手続をスムーズに進めるため、遺産分割協議書作成は、司法書士に依頼することができます。

⑤相続登記は司法書士に依頼できる

相続財産に不動産が含まれることがあります。

不動産の名義変更が相続登記です。

不動産は重要な財産であることが多いから、相続登記は厳格に審査されます。

一般的に言って、相続登記は手間のかかる難しい手続です。

些細なミスであれば、やり直しをすることで相続登記を通してもらえます。

重大なミスであればやり直しは認められず、いったん取下げて再提出になります。

一般の人が些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

手間のかかる難しい相続登記は、司法書士に依頼することができます。

2裁判所の書類作成は司法書士に依頼できる

①遺言書の検認は司法書士に依頼できる

被相続人が遺言書を作成していることがあります。

公正証書遺言か自筆証書遺言のいずれかを作成される人がほとんどです。

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。

公正証書遺言は、安心確実な遺言書です。

公正証書遺言は、検認を受ける必要はありません。

検認とは、家庭裁判所で遺言書を点検してもらうことです。

自筆証書遺言は、遺言者が自分で書いて作った遺言書のことです。

自筆証書遺言は、手軽です。

自筆証書遺言を法務局に提出して、保管してもらうことができます。

法務局保管の自筆証書遺言は、検認を受ける必要はありません。

法務局保管でない自筆証書遺言は、検認を受ける必要はあります。

法務局保管でない自筆証書遺言を預かっている人や見つけた人は、家庭裁判所に対して自筆証書遺言検認の申立てをします。

遺言書の検認の書類作成は、司法書士に依頼することができます。

②成年後見人選任の申立ては司法書士に依頼できる

相続財産の分け方は、相続人全員の話し合いによる合意で決定します。

相続人の中に認知症の人がいることがあります。

認知症の人は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができません。

物事のメリットデメリットを充分に判断することができない人が自分で相続財産の分け方を合意することはできません。

認知症の人を除いて相続財産の分け方を合意しても、無効の合意です。

認知症の人が遺産分割協議書に記名し押印しても、無効の書類です。

認知症の人は物事のメリットデメリットを充分に判断することができないから、サポートする人をつける必要があります。

成年後見人は、認知症の人をサポートする人です。

成年後見人は、認知症の人の代わりに相続財産の分け方の話し合いをします。

成年後見人は、認知症の人の代わりに遺産分割協議書に記名し押印します。

成年後見人は、家庭裁判所が選任します。

認知症の人や家族は、家庭裁判所に対して成年後見人選任の申立てをすることができます。

成年後見人選任の申立書の作成は、司法書士に依頼することができます。

③不在者財産管理人選任の申立ては司法書士に依頼できる

相続財産の分け方を決定するためには、相続人全員の話し合いによる合意が不可欠です。

相続人の中に行方不明の人がいることがあります。

行方不明の人は、自分で話し合いをすることができません。

行方不明の人を除いて相続財産の分け方を合意しても、無効の合意です。

行方不明の人は自分で話し合いをすることができないから、代わりの人が話し合いに参加します。

不在者財産管理人は、行方不明の人の代わりの人です。

不在者財産管理人は、行方不明の人の代わりに遺産分割協議書に記名し押印します。

不在者財産管理人は、家庭裁判所が選任します。

行方不明の人の家族は、家庭裁判所に対して不在者財産管理人選任の申立てをすることができます。

不在者財産管理人選任の申立書の作成は、司法書士に依頼することができます。

④特別代理人選任の申立ては司法書士に依頼できる

物事のメリットデメリットを充分に判断することができない人が自分で相続財産の分け方を合意することはできません。

未成年者が契約などの法律行為をする場合、親などの親権者が代わりに手続をします。

未成年者が相続人になる場合、親などの親権者も相続人になっているでしょう。

未成年者と親などの親権者が相続人になる場合、親などの親権者は子どもを代理することはできません。

未成年者と親などの親権者が相続人になる場合、利益相反になるからです。

利益相反とは、一方がトクをすると他方がソンをする関係です。

親がトクをすると子どもがソンをするから、親などの親権者は子どもを代理することはできません。

親などの親権者が子どもを代理することができない場合、代わりの人が話し合いに参加します。

特別代理人は、未成年者の代わりの人です。

特別代理人は未成年者の代わりに遺産分割協議書に記名し押印します。

特別代理人は、家庭裁判所が選任します。

未成年者の家族は、家庭裁判所に対して特別代理人選任の申立てをすることができます。

特別代理人選任の申立書の作成は、司法書士に依頼することができます。

3相続手続で司法書士に依頼できないこと

①相続人間に争いがあるときは弁護士

相続手続で司法書士に依頼できることはたくさんあります。

相続手続の過程で紛争に発展した場合、司法書士に依頼することができません。

紛争に発展した場合、代理人となることができるのは弁護士だけです。

司法書士は、相続人に代わって交渉をすることができません。

司法書士は、遺産分割調停の代理人になることもできません。

②相続税申告は税理士

被相続人が資産家である場合、相続税申告が必要になることがあります。

相続材申告が必要になるのは、10%未満の富裕層です。

相続税申告は、司法書士に依頼することはできません。

税務申告の代理は、税理士の業務範囲です。

4相続手続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生したら、ご遺族は大きな悲しみに包まれます。

大きい悲しみのなかで、相続財産を調査するのは身体的にも精神的にも大きな負担になります。

このような負担の大きい財産調査を司法書士などの専門家に依頼すれば、ご遺族のお疲れも軽減されるでしょう。

また、その後の相続手続きもスムーズになります。

被相続人の財産は、相続人もあまり詳しく知らないという例が意外と多いものです。

悲しみの中で被相続人の築いてきた財産をたどるのは切なく、苦しい作業になります。

また、調査のためには銀行などの金融機関から、相続が発生したことの証明として戸籍等の提出が求められます。

このような戸籍等の取り寄せも含め、手続きをおまかせいただけます。

お仕事や家事でお忙しい方や高齢、療養中などで手続きが難しい方は、手続きを丸ごとおまかせできます。

ご家族にお世話が必要な方がいて、頻繁に家を空けられない方からのご相談もお受けしております。

財産調査でお疲れが出る前に、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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