Archive for the ‘遺言書作成’ Category

不動産を相続させるときの遺言書の書き方

2024-09-19

1遺言書があると相続人の話し合いが不要

①分けにくい財産があると相続人全員の話し合いは難航する

相続財産にはいろいろな財産が含まれています。

不動産のように分けにくい財産もあるし、金銭のように分けやすい財産もあります。

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

相続財産の大部分が不動産のような分けにくい財産の場合、相続財産の分け方についての合意が難しくなるでしょう。

②関係の薄い相続人がいると相続人全員の話し合いは難航する

相続人になる人は法律で決まっています。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人に離婚歴がある場合、元配偶者が引き取った子どもは、子どもとして相続人になります。

被相続人自身も、長期間疎遠にしていたかもしれません。

被相続人の配偶者が子どもの存在を知らなかったかもしれません。

絶縁していても行方不明になっていても、相続人です。

相続財産の分け方を決めるためには、相続人全員の合意が必要です。

相続が発生してからお互いの存在を知ったような場合、話し合いが難しくなります。

関係の薄い相続人がいる合、相続財産の分け方についての合意が難しくなるでしょう。

③遺言書で財産の行き先を決めておく

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

何も対策していなかったら、相続人全員で相続財産の分け方についての合意が不可欠です。

遺産分割協議はそうでなくても、トラブルになりやすい手続です。

話し合いが難航すると、トラブルに発展するおそれがあります。

難航するおそれがある場合、遺言書を作成することがおすすめです。

遺言書があれば、遺言書の内容とおり分ければいいからです。

2土地を相続させるときの遺言書の記載例

①単独所有の土地の記載例

遺言者は、次のとおり遺言する。

第1条

次の財産を、相続人○○に、相続させる。

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 200㎡

②土地の共有持分の記載例

遺言者は、次のとおり遺言する。

第2条

次の財産を、相続人○○に、相続させる。

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 200㎡

持分 4分の1

③公衆用道路の記載例

遺言者は、次のとおり遺言する。

第3条

次の財産を、相続人○○に、相続させる。

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 公衆用道路

地積 3㎡

持分 10分の1

公衆用道路も土地のひとつです。

通常の宅地などと同様に、登記簿があります。

登記簿の記載を書き写せば問題ありません。

公衆用道路は、付近住民と共有していることが多いでしょう。

共有持分を一緒に記載します。

3建物を相続させるときの遺言書の記載例

遺言者は、次のとおり遺言する。

第4条

次の財産を、相続人○○に、相続させる。

所在 ○○市○○町○丁目

家屋番号 ○番○

種類 居宅

構造 木造瓦葺2階建

床面積 1階 50.00㎡ 2階 50.00㎡

4敷地権付きマンションを相続させるときの遺言書の記載例

遺言者は、次のとおり遺言する。

第5条

次の財産を、相続人○○に、相続させる。

(一棟の建物の表示)

所在 ○○市○○町○丁目○番地○

建物の名称 ○○○○マンション

(専有部分の建物の表示)

家屋番号 ○○町○丁目○番○の○

建物の名称 ○○○

種類 居宅

構造 鉄筋コンクリート造1階建

床面積 ○階部分 ○○.○○㎡

価格 金○○○○万円

(敷地権の表示)

符号 1

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 ○○○.○○㎡

(敷地権の種類)

所有権

(敷地権の割合)

持分 ○○○○○○分の○○○○○○

符号 2

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 ○○○.○○㎡

(敷地権の種類)

所有権

(敷地権の割合)

持分 ○○○○○○分の○○○○○○

5不動産を相続させるときの遺言書の書き方のポイント

①不動産を相続したら相続登記

不動産を相続したら、不動産の名義を変更します。

相続による不動産の名義変更を相続登記と言います。

不動産は重要な財産であることが多いので、相続登記は法務局が厳格に審査します。

遺言書の内容に従って相続登記をする場合、遺言書を法務局に提出します。

遺言書の書き方が不適切な場合、名義変更が認められません。

不動産を相続させるために遺言書を作成する場合、相続登記ができるように書くことが重要です。

②不動産は登記簿謄本を書き写す

対象の不動産は、客観的に特定します。

客観的に分からない場合、法務局は不動産を特定できないからです。

「自宅」などの記載は、客観的に特定できるとは言えません。

家族にとっては、自宅は当然のことでしょう。

法務局など第三者にとっては、自宅はどこにあるどの不動産なのか分からないからです。

不動産の所在は自宅住所と異なることが多いので、登記簿謄本を書き写しましょう。

固定資産税の課税明細書は、登記簿謄本と異なる表記がされていることや内容が省略されている場合があります。

登記簿謄本の記載を見て、書き写します。

③土地は所在、地番、地目、地積で特定する

「自宅」などの記載は、客観的に特定できるとは言えません。

自宅に住所があるのだから、住所を書けばいいだろうと考えがちです。

土地の所在は、土地の所在する場所を表すものです。

登記簿を調べると、住所地に複数の土地が所在していることがあります。

複数の土地がある場合、地番が異なります。

地番は、土地についている番号です。

同一の所在で同一の地番の土地が複数あることはありません。

登記簿謄本の記載を見て、土地の所在と土地の地番を書き写します。

念のため、地目と地積を書き写して特定します。

④建物は所在、家屋番号、種類、構造、床面積で特定する

「自宅」などの記載は、客観的に特定できるとは言えません。

人によっては、自宅が複数あることがあります。

建物の場合も、住所と建物の所在は別物です。

広い土地に建物が複数あることはよくあることです。

複数の建物がある場合、家屋番号が異なります。

家屋番号は、建物についている番号です。

建物が建っている主たる土地の地番と同じ番号が付けられることが多いです。

同一の所在で同一の家屋番号の建物が複数あることはありません。

登記簿謄本の記載を見て、建物の所在と建物の建物を書き写します。

念のため、種類、構造、床面積を書き写して特定します。

⑤敷地権付きマンションは特定するための項目が多い

マンションには、2種類あります。

敷地権付きマンションと敷地権がないマンションです。

分譲マンションのように1棟の建物の一部を独立して所有できる建物を区分建物と言います。

区分建物が建っている土地が敷地です。

敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利を一体化して処分するようにしたのが、敷地権付区分建物です。

敷地権付区分建物の場合、マンションを売買するとき敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利は一緒についてきます。

敷地を使う権利だけ取引することやお部屋だけ担保に差し出すことはできません。

敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利は、命運を共にする運命共同体です。

新しいマンションのほとんどは、敷地権付区分建物です。

敷地権付区分建物を特定するためには、次の項目を記載します。

(1)一棟の建物の表示

家屋番号、種類、構造、床面積で特定する

(2)専有部分の建物の表示

家屋番号、建物の名称、種類、構造、床面積で特定する

(3)敷地権の表示

土地の符号、所在、地番、地目、地積で特定する

マンションを特定するためには、たくさんの項目を記載しなければなりません。

⑥敷地権がないマンションは土地と建物を別々に特定する

古いマンションの中には、敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利を一体化して処分できるルールができる前に建てられた場合があります。

ルールができる前に建てられたマンションは、敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利を一体化していない場合があります。

土地と建物を特定する項目は、先に説明したとおりです。

土地は、所在、地番、地目、地積で特定します。

建物は、一棟の建物の表示として家屋番号、建物の名称、種類、構造、床面積を記載します。

専有部分の建物の表示として家屋番号、建物の名称、種類、構造、床面積を記載します。

土地は、マンションの所有者全員で共有しているでしょう。

共有持分の割合も記載します。

6遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

遺言書は遺言者の意思を示すものです。

遺言書の書き方ルールは民法という法律で、細かく決められています。

自分が死んだ後のことは考えたくないという気持ちから、先延ばししがちです。

いろいろ言い訳を考えてしまうかもしれません。

不動産は、分けにくい財産の代表例です。

目立った財産がないから、家族がもめ事を起こすことはないという言い訳はよく聞きます。

相続財産は自宅不動産だけの場合、目立った財産がない場合と言えるでしょう。

分けにくい不動産だけの場合、家族がトラブルになりやすいケースです。

家族がトラブルに巻き込まれることを望む人はいないでしょう。

死んだ後のことを考えるのは不愉快などと言えるのは、判断力がしっかりしている証拠ですから、まず遺言書を書くことをおすすめします。

トラブルにならない場合でも、遺言書があると相続手続は格段にラクになります。

状況が変われば、遺言書は何度でも書き直すことができます。

家族を幸せにするために遺言書を作ると考えましょう。

遺言書の書き直しのご相談もお受けしています。

家族の喜ぶ顔のためにやるべきことはやったと安心される方はどなたも晴れやかなお顔です。

家族の幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺言執行者と相続人は同一でいい

2024-09-19

1遺言執行者が遺言書の内容を実現する

①相続手続は遺言執行者におまかせできる

被相続人は、自分の財産を自由に処分することができます。

遺言書を作成して、自分が死亡後にだれに引き継いでもらうのか自由に決めることができます。

遺言書は、作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者がいると、相続手続は遺言執行者におまかせすることができます。

相続手続は、何度も経験することはありません。

だれにとっても初めてで、知らないことや分からないことばかりでしょう。

相続手続は、想像以上に手間と時間がかかります。

遺言執行者がいると、家族はラクができます。

手間と時間がかかる相続手続は、遺言執行者が負担してくれるからです。

相続手続は、遺言執行者におまかせできます。

②遺言執行者を指名しなくても遺言書は無効にならない

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書を確認したところ、遺言執行者について何も書いてないことがあります。

遺言書の内容を実現する人がいないと、遺言書が無意味なものに思えるかもしれません。

遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。

書き方ルールに違反した遺言書は、無効になります。

遺言書の書き方ルールに、遺言執行者を指名することはありません。

遺言書で遺言執行者を指名しなくても、遺言書が無効になることはありません。

③家庭裁判所で遺言執行者を選任してもらえる

遺言執行者がいると、相続手続は遺言執行者におまかせすることができます。

遺言執行者は、遺言書で指名することがほとんどです。

遺言執行者がいると、家族はラクができるからです。

遺言書の内容を実現してくれるから、遺言者にとっても安心です。

遺言書で遺言執行者を指名しても、指名された人が先に死亡することがあります。

遺言執行者を指名していなくても、遺言書は有効です。

遺言執行者がいない場合、家庭裁判所に対して遺言執行者選任の申立てをすることができます。

家庭裁判所に申立てをして、遺言執行者を選任してもらうことができます。

④子どもの認知は遺言執行者が届出

認知とは、婚姻関係にないカップルの間に生まれた子どもについて自分の子どもと認めることです。

認知をして、自分の子どもだと認めるのは一般的には父親です。

通常、母は出産の事実によって母親であることが確認できるからです。

父が生前に認知届を提出する他に、遺言で認知をすることができます。

子どもを認知する場合、市区町村役場に認知届を提出する必要があります。

父が生前に認知をする場合、自分で市区町村役場に持って行くことができます。

遺言で認知をする場合、認知届は遺言執行者が提出します。

遺言で認知をするためには、遺言執行者が欠かせません。

遺言で子どもを認知するときは、遺言執行者が市区町村役場に届出をします。

⑤相続人廃除は遺言執行者が申立て

相続人になる人は、法律で決められています。

例えば、被相続人に虐待をした人に、相続をさせたくないと考えるのは自然なことでしょう。

被相続人が相続させたくないと思って、他の相続人にすべての財産を相続させると遺言書を書くことがあります。

遺言書を作成したとしても、遺留分を奪うことはできません。

遺留分侵害額請求をしたら、相続財産のいくらかは虐待した相続人が受け継いでしまいます。

相続人廃除とは、被相続人の意思で相続人の資格を奪う制度です。

相続人の資格を奪うというのは、実質的には、遺留分を奪うことです。

被相続人が生前に廃除の申立てをする他に、遺言で廃除をすることができます。

遺言で廃除する場合、遺言執行者が家庭裁判所に申立てをします。

廃除は家庭裁判所に申立てをして、家庭裁判所が判断します。

遺言で廃除をするためには、遺言執行者が欠かせません。

遺言で相続人を廃除するときは、遺言執行者が家庭裁判所に申立てをします。

2遺言執行者は相続人と同一でいい

①遺言執行者になれる人なれない人

遺言執行者になれない人は、民法で決められています。

遺言執行者になれない人は、次のとおりです。

(1)未成年者

(2)破産者

遺言執行者は、遺言書で指名することができます。

遺言書を作成した時点で、未成年者であっても差し支えありません。

遺言執行者が欠格に該当するかどうかは、相続が発生した時点で判断します。

原則として、だれでも遺言執行者になることができます。

遺言執行者は、相続人や受遺者と同一で差し支えありません。

受遺者とは、遺言書で遺贈を受ける人です。

相続や遺贈で財産を受け取る人が遺言執行者になることができます。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書の内容を実現できる知識があって、相続手続をする時間がある人を指名するといいでしょう。

遺言執行者は、相続人や受遺者と同一で差し支えありません。

②遺言執行者は辞退できる

遺言執行者は、遺言書で指名することができます。

遺言書は、遺言者がひとりで作ります。

言わば、一方的に遺言執行者に指名することができます。

遺言書で遺言執行者に指名された場合、指名された人は就任する義務はありません。

指名された人が就任するか辞退するか選択することができます。

遺言書で遺言執行者に指名されても、遺言執行者への就任は辞退することができます。

遺言執行者への就任辞退は、理由を言う必要はありません。

  • 何となく、気が進まない
  • 遺言執行なんて、手間と時間がかかりそうだ
  • 相続手続に、自信がない
  • 相続人から、あれこれ言われそう

上記のような理由で、遺言執行者への就任を辞退することができます。

遺言執行者への就任を辞退する場合、すみやかに意思表示をしましょう。

遺言執行者が引き受けてくれるのか辞退するのか分からないと、相続人が困るからです。

遺言執行者への就任を辞退することができます。

③遺言執行者の辞任はハードルが高い

遺言執行者への就任を辞退するときに、理由を言う必要はありません。

遺言執行者への就任を辞退する理由は、自由です。

いったん遺言執行者に就任した後は、自由に辞任することはできません。

遺言執行者が辞任するときは、遺言執行者辞任の許可の申立てをします。

辞任するにあたって正当な理由があるときだけ、遺言執行者の辞任が許可されます。

正当な理由には、次のような理由があります。

  • 病気などで長期の療養が必要
  • 長期の出張
  • 遠隔地への転居

正当理由は、客観的に困難であることが重視されます。

  • 遺言執行が難しくて続けられない
  • 面倒でやる気がなくなった

上記のような理由は、客観的に困難とは認められないでしょう。

遺言執行者に就任する前は、自由に辞退することができます。

遺言執行者に就任した後は、自由に辞任することができません。

遺言執行者に就任した後の辞任は、ハードルが高くなります。

④包括的に遺言執行を依頼する

原則として、だれでも遺言執行者になることができます。

遺言執行者は相続人や受遺者と同一であっても、問題になりません。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者は、遺言執行のため相続手続します。

相続手続は、想像以上に手間と時間がかかります。

「遺言執行が難しくて続けられない」「面倒でやる気がなくなった」などの理由で、辞任は許可されないでしょう。

遺言執行者は、遺言執行を包括的に依頼することができます。

遺言執行は、法律知識が必要な手続が多いものです。

司法書士などの専門家に任せる方がスムーズでしょう。

遺言執行者に指名されたのが2019年7月1日以降作成の遺言書であれば、遺言執行者は自己の責任で司法書士などの専門家にその任務を任せることができます。

2019年7月1日以前作成の遺言書で遺言執行者に指名された場合、止むを得ない理由があれば司法書士などの専門家にその任務を任せることができます。

包括的に遺言執行を依頼する場合、相続人などの同意は不要です。

遺言執行者は、遺言執行を包括的に依頼することができます。

⑤特定の事務だけ専門家に依頼する

遺言執行者の事務は、多岐にわたります。

比較的簡単な事務と難しい事務があるでしょう。

例えば、不動産の名義変更は、相続手続の中でも難しい手間のかかる事務です。

遺言執行者は、自分の手に余る難しい事務だけ専門家に依頼することができます。

不動産の名義変更は、相続登記と言います。

相続登記だけ、司法書士に依頼することができます。

相続登記だけ司法書士に依頼する場合、相続人などの同意は不要です。

遺言執行者は、特定の事務だけ専門家に依頼することができます。

3遺言執行者と相続人が同一のときのデメリット

①遺言執行者になれなかった相続人が不満

遺言執行者として相続人を指名する場合、相続人の代表を指名するでしょう。

相続人の代表者として、相続人から注目を集めたいかもしれません。

遺言執行者に指名されなかった相続人が不満を覚えることがあります。

②相続財産の横領を疑われる

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

相続人全員のために、公平公正に職務を行います。

遺言書で相続財産の配分を決めるとき、一部の相続人に有利になっていることが多いでしょう。

受け取る財産が期待に足りないとき、遺言執行者の横領を疑うことがあります。

③遺言執行者に時間的負担が大きい

遺言執行者に指名されると、安易に就任を承諾することがあります。

遺言執行者は、相続人全員のため相続手続をします。

相続手続は想像以上に手間と時間がかかります。

相続手続先は、平日の昼間のみ業務を行っています。

仕事や家事で忙しい人にとって、時間的な負担が大きいでしょう。

④相続手続に時間がかかると相続人から不満

相続手続を何度もすることはありません。

だれにとっても初めてで、知らないことや分からないことでいっぱいです。

見慣れない言葉や聞き慣れない表現で、精神的負担は少なくありません。

仕事や家事で忙しい中、精神的負担の大きい事務を行うと疲れ果ててしまうでしょう。

遺言執行者がいると、他の相続人はラクです。

わずらわしい相続手続をおまかせして、待っているだけだからです。

待っているだけの相続人にとって、財産を手にするまでの時間は長いと感じるでしょう。

相続手続に時間がかかると、相続人から不満が出ます。

4遺言執行を司法書士に依頼するメリット

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

相続人が遺言書の内容に納得していて、手続に協力的であれば、必ずしも、遺言執行者を選任する必要はありません。

子どもの認知など遺言執行者しかできない手続がある場合、遺言執行者を選任しておかないと、相続人に余計な手間をかけさせることになります。

遺言執行者は、相続開始後すみやかに手続を進めることができる時間と知識がある人を選ぶことが重要です。

その意味でも、家族より司法書士などの専門家に遺言執行を依頼する人が増えています。

以前は、遺言執行者は止むを得ない場合だけ、他の人に職務を任せることができるとされていましたが、現在は、止むを得ないなどの理由は不要になりました。

遺言執行者に指名され、職務をしてみたところ、思ったよりタイヘンだという場合、自己の責任で司法書士などの専門家におまかせすることもできます。

今後も、専門家に依頼する人は増えていくでしょう。

遺言執行を司法書士などの専門家に依頼した場合、相続人は基本待っているだけなので、トラブルになることが少なくなるからです。

家族を笑顔にするためにも、遺言書作成と遺言執行者選任しましょう。

家族の幸せのためにも、遺言書作成と遺言執行者選任を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

配偶者居住権を遺贈するため遺言書作成

2024-09-16

1配偶者居住権で自宅に住み続ける条件

条件①配偶者であること

配偶者居住権とは、被相続人が所有していた家に住んでいた配偶者が一定期間無条件かつ無償で住み続けることができる権利です。

相続が発生してから配偶者が住む場所を失うことがないように、保護するために作られた権利です。

配偶者居住権を取得する配偶者は、法律上の配偶者のみです。

事実婚配偶者や内縁の配偶者は、配偶者居住権を取得することはできません。

法律上の配偶者でも、相続廃除された人や相続欠格になった人は配偶者居住権を取得することができません。

相続廃除された人や相続欠格になった人は、保護する必要がないからです。

配偶者居住権を取得する条件の1つ目は、法律上の配偶者であることです。

条件②被相続人の所有していた建物であること

配偶者居住権を設定する建物は、被相続人の所有していた建物でなければなりません。

被相続人の単独所有であるか、被相続人と配偶者の共有の場合のみ、配偶者居住権の対象にすることができます。

被相続人と配偶者以外の人と共有建物の場合、配偶者居住権は成立しません。

自宅が借家の場合、配偶者居住権は取得できません。

配偶者居住権を取得する条件の2つ目は、被相続人の所有していた建物であることです。

条件③相続開始時に無償で居住していたこと

配偶者居住権を設定するためには、配偶者が相続開始時に無償で居住していた事が必要です。

居住していたとは、生活の本拠にしていたことを指します。

自宅以外の別荘は、配偶者居住権の対象にはなりません。

生活の本拠とは、言えないからです。

配偶者が介護施設などに入所している場合、生活の本拠はその介護施設と言えるでしょう。

入院やショートステイなどで一時的に自宅を離れていたに過ぎない場合、自宅が生活の本拠と言えます。

相続が発生した時に生活の本拠の場合、配偶者居住権の対象にすることができます。

配偶者居住権を取得する条件の3つ目は、配偶者が相続開始時に無償で居住していたことです。

条件④配偶者居住権の設定をしたこと

配偶者短期居住権と違い、配偶者居住権は設定が必要です。

配偶者居住権は、要件を満たしたら自動的に権利があるというものではありません。

配偶者居住権を設定する方法は、次の4つです。

(1)遺贈

(2)死因贈与

(3)遺産分割協議

(4)遺産分割調停

上記のうち遺贈と死因贈与は、被相続人が生前に対策することができます。

相続人間のトラブル防止の観点から、生前に対策することがおすすめです。

配偶者居住権を取得する条件の4つ目は、配偶者居住権の設定をしたことです。

2配偶者居住権を遺贈するため遺言書作成

①配偶者居住権を設定するときの遺言書の書き方

記載例

遺言者△△は次のとおり、遺言をする。

1遺言者は、遺言者の所有する次の建物の配偶者居住権を遺言者の配偶者〇〇に遺贈する。

所在    名古屋市中区〇〇丁目〇〇番地〇〇

家屋番号 〇番〇

種類    居宅

構造    木造瓦葺

床面積  〇〇・〇〇平方メートル

2遺言者は、遺言者の所有する次の建物の負担付所有権を遺言者の長男◇◇に相続させる。

所在    名古屋市中区〇〇丁目〇〇番地〇〇

家屋番号 〇番〇

種類    居宅

構造    木造瓦葺

床面積  〇〇・〇〇平方メートル

3遺言者は、本遺言の遺言執行者として、□□を指定する。

   令和〇年〇月〇日

名古屋市中区〇〇丁目〇〇番地〇

  遺言者 △△  印

②遺言書には遺贈すると書く

配偶者居住権は、遺贈によって設定することができます。

遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を受け継いでもらうことです。

法律上の配偶者は、必ず、相続人になります。

「相続人◇◇に◇◇を相続させる」

相続人に財産や権利を受け継いでもらう場合、上記の書き方が一般的です。

配偶者居住権について書く場合、「配偶者〇〇に配偶者居住権を相続させる」と書いてしまいそうです。

「配偶者〇〇に建物〇〇の配偶者居住権を遺贈する」と書きます。

配偶者居住権は、法律上、遺贈されたとき取得すると決められているからです。

③「配偶者居住権を相続させる」でも登記ができる

遺言書の記載が「配偶者〇〇に配偶者居住権を相続させる」であった場合、遺言は無効にはなりません。

「配偶者〇〇に配偶者居住権を相続させる」の記載は、特段の事情がない限り、遺贈の趣旨である考えられます。

相続させると書いた遺言書で、配偶者居住権の設定登記を申請することができます。

遺言書の書き方は、厳格なルールがあります。

実際に遺言書を作成するときは、専門家のサポートを受ける方がいいでしょう。

確実で紛失等の心配のない公正証書遺言がおすすめです。

3配偶者居住権を設定するメリット

メリット①配偶者が自宅に住み続けることができる

相続財産の大部分が自宅不動産であるケースは、少なくありません。

相続人間でトラブルが起きると、自宅を売却して遺産分割をすることになるでしょう。

遺言書で配偶者居住権を遺贈しておくと、引き続き自宅で住み続けることができます。

メリット②金融資産も確保できる

配偶者が自宅の所有権を相続する場合、預貯金などの金融資産を受け継ぐことが難しくなります。

配偶者居住権を設定した場合、自宅は配偶者居住権と負担付所有権に分けられます。

配偶者居住権は、自宅そのものよりも評価額が低くなります。

配偶者が預貯金などの金融資産をより多く受け継ぐことができます。

メリット③配偶者居住権は第三者に主張できる

配偶者居住権を設定した場合、配偶者居住権設定登記をすることができます。

配偶者居住権設定登記があれば、第三者にも配偶者居住権を主張できます。

例えば、負担付所有権を取得した相続人が建物を売却した場合、建物の買主は建物を使いたいと考えるでしょう。

建物の買主が配偶者に対して、建物の明渡を請求することが考えられます。

あらかじめ配偶者居住権設定登記がある場合、配偶者は建物の明渡請求を拒むことができます。

建物の明渡を拒むことができることは、配偶者居住権の登記がしてあることの重要な効果です。

4配偶者居住権のデメリット

デメリット①配偶者居住権は配偶者だけのもの

配偶者居住権は、財産的価値があります。

配偶者居住権は、だれかに譲渡することも売却することもできません。

配偶者居住権は配偶者だけのものだからです。

配偶者は、勝手に第三者に使用させることはできません。

負担付所有権者の許可を得ずに建物を賃貸した場合、配偶者居住権消滅請求がされるリスクがあります。

配偶者居住権消滅請求がされた場合、配偶者は自宅から追い出されてしまいます。

配偶者が介護施設などに入所して自宅に住むことがなくなっても、配偶者居住権は存続します。

配偶者居住権は、配偶者だけのものです。

デメリット②建物の売却が難しい

配偶者は、配偶者居住権を第三者に売却することはできません。

負担付所有権者は、法律上は、配偶者の許可なく建物を売却することができます。

配偶者居住権の設定登記がされている建物を買い取っても、配偶者に明渡請求ができません。

配偶者居住権の設定登記がある場合、配偶者は権利主張をすることができるからです。

買い取っても、使うことができない建物を買う人はほとんどいないでしょう。

配偶者が介護施設などに入所して自宅に住むことがなくなった場合でも、配偶者居住権は消滅しません。

負担付所有権者と協力して建物を売却する場合、まず、配偶者居住権を外す必要があります。

配偶者居住権は、第三者に売却や譲渡ができません。

配偶者が負担付所有権者に対して、配偶者居住権を放棄することになります。

配偶者居住権を放棄するためには、配偶者が物事のメリットデメリットを充分に判断できる必要があります。

配偶者が物事のメリットデメリットを充分に判断できる間しか、配偶者居住権を放棄することはできないという意味です。

配偶者が認知症になった場合、自分で配偶者居住権を放棄することはできません。

配偶者居住権を放棄したら、負担付所有権は負担のない所有権になります。

配偶者居住権は、財産的価値があります。

客観的に見ると、財産的価値が移転したと言えます。

財産的価値の移転に対しては、多くの場合、高額な贈与税が課されます。

配偶sh亜居住権を設定した場合、建物の売却が難しくなります。

デメリット③固定資産税などの負担がある

固定資産税は、原則として、所有者が納税義務者です。

配偶者居住権を取得した配偶者は、建物の必要費を負担する必要があります。

負担付所有権を取得した相続人は、配偶者に固定資産税などの必要費を請求することができます。

配偶者居住権者は、固定資産税を負担する必要があります。

デメリット④増改築をするために所有者の同意が必要

配偶者居住権は、建物に住む権利です。

住むために必要な修繕をする権利はありますが、増改築をする権利はありません。

修繕のレベルを超える増改築をするためには、負担付所有権者の同意が必要です。

5配偶者居住権の遺贈を司法書士に依頼するメリット

配偶者居住権は、期間を定めることもできますが、原則として、配偶者の死亡まで存続します。

配偶者が死亡したら、配偶者居住権は消滅します。

配偶者の保有していた財産的価値が消滅することから、配偶者が死亡したときの相続税を減らすことができる点に注目が集まっています。

デメリットについては、あまり考慮されていません。

配偶者居住権は、配偶者だけの権利です。

配偶者居住権の譲渡ができません。

配偶者居住権の設定された建物は、取引されることは通常考えられません。

配偶者が介護施設などに入所したために自宅に住むことがなくなっても、配偶者居住権は消滅しません。

配偶者が自宅に住まなくなったため、自宅を売却しようとする場合、配偶者居住権があるため買い手が見つかりません。

配偶者居住権を外すためには、配偶者が配偶者居住権を放棄する必要があります。

配偶者居住権を放棄するためには、物事のメリットデメリットを判断できる能力が必要です。

将来、自宅を売却する可能性があるのなら、配偶者居住権を設定するのは慎重に判断するべきでしょう。

配偶者居住権を設定するのなら、認知症対策はセットで考えることが重要です。

高齢化社会になって、多くの方は長生きになりました。

長生きになったことは、認知症になるリスクが高くなったということです。

認知症対策がとても重要になっています。

配偶者居住権は、遺言書を適切に書くことで遺贈することができます。

遺言書を書く前に、配偶者居住権を遺贈することが本当に適切なのかを考えなければなりません。

配偶者居住権を設定するのがいいのか、別の方法をとった方がいいか、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

孫に農地を相続させたい

2024-09-09

1農地の名義変更に農地法の許可が必要

①農地の権利移動で農地法3条の許可が必要

農地は、食糧生産のために重要な役割を担っています。

勝手に手放したり勝手に農業をやめてしまうと、国の食糧生産に大きな影響があります。

農地の権利移動には、農地法第3条の許可が必要です。

許可が必要になる権利移動は、売買、贈与、賃貸などです。

農地法第3条の許可の要件は、次のとおりです。

(1) 全部効率利用要件

全部効率利用要件とは、農地の全部をつかって効率よく農業をすることです。

農地を耕作するのに充分な労働力が確保されているか技術があるか審査されます。

労働力が不足する場合、充分な能力がある機械があるか審査されます。

(2)農作業常時従事要件

農作業常時従事要件とは、農作業に常時従事することです。

常時とは、年間150日以上とされています。

住居と生計を同一する家族が満たせば認められます。

権利者本人だけでなく家族で助け合えば、要件を満たすことができます。

(3)下限面積要件

下限面積要件とは、農地を取得する人の耕作する面積の要件です。

下限面積は、5000平方メートルです。

すでに耕作している土地がある場合、合算して審査されます。

地域によっては、下限面積要件を緩和しています。

新規の就農者を増やしたいことがあるからです。

(4)地域調和要件

地域調和要件とは、地域の取組に協力的であることです。

地域の活動に支障がある場合、許可されにくくなります。

例えば、地域全体で無農薬栽培に取り組んでいる場合、協力しない人には許可されにくいでしょう。

②農地の転用で農地法4条の許可が必要

農地の転用とは、農地を農地以外の土地にすることです。

例えば、農地を宅地にして家を建てる場合、農地の転用に該当します。

農地の転用には、農地法第4条の許可が必要です。

③農地の転用と権利移動で農地法5条の許可が必要

農地の転用と権利移動をする場合があります。

例えば、農地を売却したうえで宅地にして家を建てる場合です。

農地の転用と権利移動をするには、農地法第5条の許可が必要です。

④許可がないと権利取得ができない

農地の権利移動には、農地法第3条の許可が必要です。

農地法の許可は、権利移動の効力発生要件です。

農地法の許可書が到達したときに、権利が移転します。

農地法の許可がないと、権利を取得することはできません。

2孫に農地を相続させることができる

①孫は相続人ではない

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②子どもが先に死亡すると孫は代襲相続人

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

子どもが相続人になる場合、孫は相続人ではありません。

相続人になるはずだった子どもが被相続人より先に死亡することがあります。

相続人になるはずだった子どもが被相続人より先に死亡した場合、子どもの子どもが代襲相続します。

子どもが先に死亡すると、孫は代襲相続人になります。

③孫と養子縁組をすると相続人になる

養子縁組とは、血縁関係がある親子とは別に法律上の親子関係を作る制度です。

被相続人は、孫と養子縁組をすることができます。

被相続人が養親で、孫が養子になります。

養子は、養親の子どもです。

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

養子は、相続人になります。

被相続人の実子と養子は、同じ子どもです。

被相続人に実子がいても、養子は相続人です。

養子は、養親の子どもだからです。

孫と養子縁組をした場合、孫は相続人になります。

④相続で農地を取得するときは3条の許可不要

相続人になる人は、法律で決まっています。

法律で決められた人だけが相続人になります。

相続できるのは、相続人だけです。

相続人が農地を取得する場合、農地法第3条の許可は不要です。

孫が相続人になる場合、孫が農地を取得するときに農地法第3条の許可は不要です。

農地法第3条の許可を得ずに農地を取得する場合、農地法第3条の3の定めにより届出が必要です。

農地法第3条の3の定めによる届出は、農業委員会に対して提出します。

提出期限は、相続があったことをしてから10か月以内です。

相続で農地を取得するときは、農地法第3条の許可は不要です。

3孫に農地を特定遺贈をすることができる

①相続人以外の人に特定遺贈ができる

孫が相続人でない場合、孫は相続することはできません。

孫に農地を受け継いでもらいたい場合、別の方法を考える必要があります。

被相続人は遺言書を作成して、自分の財産を遺贈することができます。

遺贈とは、遺言書によって相続人や相続人以外の人に財産を譲ってあげることです。

特定遺贈とは、財産を特定して譲ってあげることです。

遺言書に「財産○○を遺贈する」と具体的に書いてある場合です。

特定遺贈では、遺言書に書かれた財産を受け継ぐだけです。

他の財産を受け取ることはありません。

相続人以外の人に、特定遺贈ができます。

特定遺贈は、相続人にも相続人以外の人にもすることができるからです。

孫が相続人でなくても、特定遺贈をすることができます。

②相続人でない孫に特定遺贈するときは3条の許可が必要

遺贈は、遺言書で財産を受け継ぐことです。

遺贈は、相続ではありません。

相続人以外の人が特定遺贈で財産を受け継ぐことができます。

相続人以外の人が特定遺贈で農地を受け継ぐ場合、農地法第3条の許可が必要です。

相続人以外の人に特定遺贈をしたい場合、許可されるのか農業委員会に確認しておくといいでしょう。

農業委員会の許可が得られない場合、遺言の内容は実現できなくなります。

子どもが相続人になる場合、孫は相続人ではありません。

孫に相続させることはできません。

孫に遺贈することができます。

孫が特定遺贈で農地を受け継ぐ場合、農地法第3条の許可が必要です。

孫は、相続人以外の人だからです。

③相続人である孫に特定遺贈するときは3条の許可が不要

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

相続人になるはずだった子どもが被相続人より先に死亡した場合、子どもの子どもが代襲相続します。

子どもが先に死亡すると、孫は代襲相続人になります。

被相続人が孫と養子縁組をした場合、孫は被相続人の子どもです。

孫が被相続人の養子になった場合、孫は相続人になります。

遺言書を作成して、相続人に対して特定遺贈をすることができます。

相続人である孫に農地を特定遺贈をした場合、農地法第3条の許可が不要です。

農地法第3条の許可なしで、農地を取得することができます。

農地法第3条の許可なしで農地を取得したときは、農地法第3条の3の定めによる届出が必要です。

4孫に農地を全部包括遺贈することができる

①相続人以外の人に全部包括遺贈ができる

遺贈とは、遺言書によって相続人や相続人以外の人に財産を譲ってあげることです。

包括遺贈とは、財産を特定せずに譲ってあげることです。

全部包括遺贈は「財産すべてを包括遺贈する」と記載してある場合です。

全部包括遺贈をする場合、法定相続人や法定相続人以外の人に全財産を譲ってあげることができます。

孫が相続人でなくても、全部包括遺贈をすることができます。

②全部包括遺贈を受けると遺産分割協議の余地はない

全部包括遺贈を受けた場合、相続財産は相続人と共有することがありません。

相続が発生したときに、遺言書が効力を発します。

遺言書が効力を発したときに、全部包括受遺者が財産すべてを受け継ぎます。

全部包括受遺者は、遺産分割協議をする必要がありません。

相続人や全部包括受遺者が遺産分割協議を望んでも、遺産分割協議の余地がありません。

③孫に全部包括遺贈するときは3条の許可が不要

包括遺贈を受けた場合、相続人と同一の権利と義務があります。

包括遺贈で農地を受け継ぐ場合、農地法第3条の許可が不要です。

農地法第3条の許可なしで、農地を取得することができます。

農地法第3条の許可なしで農地を取得したときは、農地法第3条の3の定めによる届出が必要です。

5孫に一部包括遺贈することができる

①相続人以外の人に一部包括遺贈ができる

遺贈とは、遺言書によって相続人や相続人以外の人に財産を譲ってあげることです。

包括遺贈とは、割合だけ指定して譲ってあげることです。

一部包括遺贈は「財産の3分の1を包括遺贈する」と記載してある場合です。

包括遺贈では、何を遺贈するのか具体的財産は記載されていません。

②一部包括遺贈を受けたら遺産分割協議

一部包括遺贈は、指定した割合で財産を譲るものです。

一部包括遺贈を受けた場合、遺産分割協議に参加します。

包括受遺者が遺産分割協議に参加するのは、権利であるし義務でもあります。

遺言書は割合だけ書いてあるだけで、具体的な財産は記載されていないからです。

相続財産は、包括遺贈を受けた人と相続人全員で共有しています。

相続財産の分け方について、包括遺贈を受けた人と相続人全員で合意する必要があります。

包括受遺者がいるのに、相続人全員だけで遺産分割協議をしても無効です。

包括受遺者は、相続人と同一の権利義務が与えられているからです。

遺産分割協議の結果次第では、農地を受け取ることができないかもしれません。

一部包括遺贈を受けただけでは、何を受け取るのか決められていないからです。

一部包括遺贈を受けたら、遺産分割協議が必要です。

③孫に一部包括遺贈するときは3条の許可が不要

包括遺贈を受けた場合、相続人と同一の権利と義務があります。

包括遺贈で農地を受け継ぐ場合、農地法第3条の許可が不要です。

農地法第3条の許可なしで、農地を取得することができます。

農地法第3条の許可なしで農地を取得したときは、農地法第3条の3の定めによる届出が必要です。

④包括遺贈は負債も受け継ぐ

特定遺贈では、遺言書に書いてある特定の財産を受け継ぐだけです。

遺言書に書いていない他の財産を受け継ぐことはありません。

特定遺贈では、負債を受け継ぐことはありません。

包括遺贈を受けた場合、相続人と同一の権利と義務があります。

相続財産に負債がある場合、指定された割合で負債を引き継ぎます。

農業を営んでいる場合、多額の負債があることがあります。

包括遺贈を受ける場合、農地だけでなく多額の負債を引き継ぐことになります。

6孫に農地を贈与することができる

①孫に農地を生前贈与で3条の許可が必要

生前贈与をする場合、贈与する人と贈与を受ける人の合意が必要です。

農地を贈与の対象にすることができます。

贈与を受ける人は、親子でも親子以外の人でも差し支えありません。

農地を生前贈与する場合、農地法第3条の許可が必要です。

農地法の許可がないと、権利を取得することはできません。

孫に農地を生前贈与する場合、農地法第3条の許可が必要です。

②孫に農地を死因贈与で3条の許可が必要

贈与は、贈与する人と贈与を受ける人の契約です。

死因贈与は、贈与する人が死亡したときに効力が発生する贈与契約です。

農地を死因贈与の対象にすることができます。

農地を死因贈与する場合、農地法第3条の許可が必要です。

農地法の許可がないと、権利を取得することはできません。

孫に農地を死因贈与する場合、農地法第3条の許可が必要です。

7遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、被相続人の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

民法に遺言書を作ることができるのは、15歳以上と定められています。

死期が迫ってから、書くものではありません。

遺言書は被相続人の意思を示すことで、家族をトラブルから守るものです。

遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげるものです。

遺贈は簡単に考えがちですが、思いのほか複雑な制度です。

受け継いでもらう財産に不動産がある場合、譲ってもらう人だけでは登記申請ができません。

遺言執行者がいない場合、相続人全員の協力が必要です。

遺言書で遺言執行者を決めておきましょう。

遺言執行には、法的な知識が必要になります。

遺言の効力が発生したときに、遺言執行者からお断りをされてしまう心配があります。

遺言の効力が発生した後の場合、遺言執行者は家庭裁判所に決めてもらう必要があります。

不動産以外の財産であっても、遺言書の内容に納得していない相続人がいる場合、受遺者に引渡そうとしないこともあります。

せっかく遺言書を書くのですから、スムーズな手続を実現できるように配慮しましょう。

遺言執行者を選任することで、家族をトラブルから守ろうという気持ちを実現することができます。

お互いを思いやり幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺言書を見せてくれない

2024-08-30

1遺言者が遺言書を見せてくれない

①遺言者の生存中は遺言書に効力がない

被相続人は、自分の財産を自由に処分することができます。

被相続人は、遺言書を作成して自分の財産を自由に引き継いでもらうことができます。

遺言書を作成したと聞いたら、内容が気になることでしょう。

遺言書を作成しても、遺言者の生存中は効力がありません。

遺言書の効力が発生するのは、遺言者が死亡したときだからです。

②遺言者は遺言書を書き直しができる

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

遺言者の最終の意思が優先されます。

遺言者は、遺言書を書き直すことができます。

遺言書を作成した後に、事情が変わることがあるからです。

財産の状況が変わる場合、書き直しが必要になるでしょう。

新たに誕生した孫や曽孫に、財産を譲りたくなるかもしれません。

財産を相続させる予定だった相続人が先に死亡することがあります。

遺言書は、何度でも書き直しができます。

複数の遺言書がある場合で、内容が両立しない場合、日付の新しい遺言書が有効になります。

相続人らと遺言書の書き直しはしないと約束しても、無効の約束です。

遺言書を書き直しするにあたって、相続人などの同意を受けなければならないと言ったルールはありません。

③遺言者は見せる義務はない

遺言書を作成したと言うのに、遺言書を見せてくれないことがあります。

たとえ、相続人になる予定の人であっても秘密にしておきたい内容があるでしょう。

遺言者の生存中、遺言書を見ることはできません。

遺言書を書き直しした場合、相続人などに報告する必要はありません。

遺言書は遺言者がひとりで作成できるから、ひとりで書き直しをすることができます。

遺言者本人は、他の人に遺言書を見せる義務はありません。

遺言者が見せてくれない場合、相続が発生するまで見ることはできません。

2相続開始後に公正証書遺言を見せてくれない

①公正証書遺言は公証役場で厳重保管

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。

証人2人に確認してもらって作成します。

公正証書遺言を作成した後、原本は公証役場で厳重保管されます。

公正証書遺言を作成した場合、遺言書の正本と謄本が渡されます。

正本や謄本を紛失しても、原本は公証役場で厳重保管されています。

公正証書遺言原本は公証役場に厳重保管されるから、紛失や改ざんの心配がありません。

②公証役場で検索ができる

公正証書遺言を作った場合、公証役場はデータを管理しています。

公証役場で遺言の有無を調べてもらうことができます。

昭和64年1月1日以降に作った公正証書遺言、秘密証書遺言が対象です。

コンピューターに登録されているのは、次の事項です。

・遺言した人の名前

・公証人の名前

・公証役場の名前

・遺言書を作った日

調べてもらうための手数料は、無料です。

全国どこの公証役場でも、調べてもらうことができます。

まずは近くの公証役場に出向いて、調べてもらいましょう。

郵便で調べてもらうように、請求することはできません。

遺言者が生存中は、遺言者本人と遺言者本人の代理人だけが調べてもらうことができます。

たとえ、家族の人が調べてもらおうとしても、答えてもらえません。

③公証役場で謄本請求ができる

遺言書の有無は、近くの公証役場で検索してもらうことができます。

公証役場のコンピューターで公正証書遺言があると分かった場合でも、内容については教えてもらえません。

公正証書遺言原本は、遺言書を作成した公証役場で厳重保管されています。

遺言書を作成した公証役場に対して、謄本を請求することができます。

謄本を見ると、遺言書の内容を知ることができます。

遺言者が生存中は、遺言者本人と遺言者本人の代理人だけが請求することができます。

たとえ、家族の人が請求しても、答えてもらえません。

遺言者の死亡後は、法律上の利害関係がある人だけが請求できます。

遺言者の相続人は、利害関係がある人です。

謄本を請求する場合、所定の手数料がかかります。

3相続開始後に自筆証書遺言を見せてくれない

①自筆証書遺言は家庭裁判所に提出

相続が発生した後に遺品整理をしていると、自筆証書遺言が見つかることがあります。

自筆証書遺言を見つけた人や預かっていた人は、家庭裁判所に提出する必要があります。

遺言書を家庭裁判所に届出ることを遺言書検認の申立てと言います。

遺言書検認の申立てを受け付けたら、家庭裁判所は相続人全員を家庭裁判所に呼び出します。

封筒に入って封がされている遺言書は、相続人立会いで家庭裁判所で開封してもらいます。

勝手に開封すると、5万円以下のペナルテイーになるおそれがあります。

遺言書であることに気づかず開封してしまっても、遺言書は無効になりません。

慌てて小細工をせずに、正直にそのまま提出します。

②検認調書が作成される

遺言書の検認とは、家庭裁判所で遺言書の状態を確認してもらう手続です。

遺言書の有効無効を確認する手続ではありません。

検認手続では、遺言書のの状態や形、書き直しや訂正箇所、日付や署名がどうなっているか裁判所が確認します。

確認した内容は、検認調書に取りまとめられます。

検認期日以降に遺言の改ざんや変造があった場合、検認調書と照らし合わせて確認することができます。

検認調書を見ると分かってしまうから、改ざんや変造を予防することができます。

遺言書の検認手続は、遺言書の改ざんや変造を予防する手続です。

遺言書の検認手続で、検認調書が作成されます。

③検認調書の謄本請求ができる

遺言書検認の申立てを受け付けたら、家庭裁判所は相続人全員を家庭裁判所に呼び出します。

遺言書があることを相続人に知らせ、立会の機会を与えるためです。

遺言書の検認期日に呼び出しがあった場合、申立人以外の人は欠席して差し支えありません。

検認期日に出席しても欠席しても、財産を相続できなくなることはありません。

検認期日に出席すれば、遺言書の内容を見ることができるでしょう。

検認期日に欠席しても、検認調書の謄本を請求することができます。

検認調書には、提出された遺言書のコピーが付いています。

検認調書の謄本請求で、遺言書の内容を知ることができます。

④検認をしないと相続手続ができない

検認を受けても受けなくても、遺言書の効果に変わりはありません。

検認を受けても受けなくても、無効の遺言書は無効です。

検認を受けても受けなくても、有効の遺言書は有効です。

検認は遺言書の状態を確認してもらうことであって、遺言書が有効か無効かを判断してもらうことではないからです。

検認を受けても受けなくても遺言書の効果は変わりませんが、検認を受けていない遺言書で相続手続はできません。

検認の後、検認済証明書の交付を申請しましょう。

遺言書と検認済証明書を一緒にして、相続手続を行います。

⑤検認を怠ると欠格のおそれ

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

同時に、民法では相続人になれない人も決められています。

例えば、被相続人を殺した人が相続することは社会感情からみても許せない、相続する人としてふさわしくないということは納得できるでしょう。

相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度を相続欠格と言います。

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

相続人としても、遺言者の意思を実現させてあげたいでしょう。

相続人が遺言書を隠匿して不当な利益を得ようとする場合、相続する人としてふさわしくないと言えます。

自筆証書遺言を見つけた人は、家庭裁判所に提出して検認を受けなければなりません。

遺言書の検認を怠ると、遺言書の隠匿にあたると判断されるおそれがあります。

遺言書の内容が自分に不利な内容である場合、不当な利益を得ようとしたと言えるでしょう。

他の相続人が遺留分侵害額請求をするのを避ける目的がある場合、不当な利益を得ようとしたと言えるでしょう。

不当な利益を得る目的で遺言書を隠匿した場合、相続欠格になるおそれがあります。

4法務局保管の自筆証書遺言を見せてくれない

①法務局保管の自筆証書遺言は検認不要

自筆証書遺言を作成した後、自分で保管するのが原則です。

自筆証書遺言は、保管場所に困ります。

遺言書の保管場所を家族と共有していないと、相続が発生した後に遺言書を見つけてもらえないかもしれません。

遺言書の保管場所を家族と共有していると、遺言書を破棄されたり改ざんされたりする心配があります。

自筆証書遺言を法務局に提出して、保管してもらうことができます。

法務局で保管してもらっている自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認手続が不要です。

法務局保管の自筆証書遺言は、法務局で厳重保管されているからです。

②自筆証書保管事実証明書の交付請求ができる

自筆証書遺言を預かった場合、法務局はデータを管理しています。

法務局で遺言の有無を調べてもらうことができます。

遺言の有無を調べてもらうことができる法務局は、遺言書保管事務を扱っている法務局のみです。

名古屋市内であれば、名古屋法務局本局のみです。

熱田出張所や名東出張所では、遺言の有無を調べてもらうことができません。

遺言書保管事務を扱っている法務局は、法務局のホームページで調べることができます。

遺言書保管事務を扱っている法務局であれば、日本中どこの法務局でも請求することができます。

自筆証書遺言を預かっているか調べてもらうことを、遺言書保管事実証明書の交付請求と言います。

遺言者が生存中は、たとえ家族であっても交付請求をすることはできません。

遺言書保管事実証明書の交付請求には、所定の手数料がかかります。

郵送で請求する場合は、返信用の切手と封筒を添付します。

遺言者が自筆証書遺言を法務局に預けたとき、法務局は保管証を渡します。

保管証があれば、遺言書保管事実証明書の交付請求を省略することができます。

③遺言書情報証明書の交付請求ができる

遺言をした人が預けた遺言書は、預けた本人以外には返してはもらえません。

遺言をした遺言者本人が死亡した後は、相続人であっても返還されません。

その代わりに、遺言書の画像を印刷して交付するように請求することができます。

遺言書の画像を印刷して交付するように請求することを遺言書情報証明書の交付請求と言います。

遺言書情報証明書を見ると、遺言書の内容を知ることができます。

相続手続では、遺言書原本の代わりとして使うことができます。

相続人が遺言書情報証明書を受け取ったら、法務局から他の相続人全員に対して、遺言書を預かっていることが通知されます。

5遺言執行者には遺言書の開示義務がある

遺言書は作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書の内容を実現するために、必要な権限が与えられます。

遺言執行者が職務を開始した場合、相続人に遺言書の内容を通知をする義務があります。

遺言執行者がいる場合、遺言書の開示を求めることができます。

遺言書の内容によっては、相続人の遺留分が侵害されていることがあるでしょう。

遺留分侵害額請求をする機会を与えるためにも、遺言書の内容を知らせることは重要です。

遺言執行者には、遺言書の開示義務があります。

6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書がある場合、相続財産について、相続人全員で、分け方を合意する必要はありません。

もっともトラブルになりやすい遺産分割協議で、相続人全員で合意をしなくていいのは大きなメリットです。

せっかく遺言書を作成しても、遺族に見つけてもらえなければ意味がありません。

同時に、死亡する前に自分に都合の悪い遺言書を隠したり捨ててしまったりする心配があります。

さらに、遺言書には厳格な書き方ルールがあります。

ルールが守られていない遺言書は無効になります。

書き方のルールは守られていても、内容があいまいだったり、不適切であったために、実現できない遺言書も少なくありません。

せっかく遺言書を書くのであれば、家族を幸せにできる遺言書を確実に作りましょう。

司法書士は確実な遺言書を作るお手伝いをします。

家族のために適切で確実な遺言書を作りたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺言書なしで遺贈はできない

2024-08-23

1遺言書なしで遺贈はできない

①遺贈とは遺言書で財産を引き継いでもらうこと

遺贈とは、遺言書を作成して財産を引き継いでもらうことです。

相続人や相続人以外の人に、引き継いでもらうことができます。

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人になる人は、法律で決められています。

法律で決められた人以外の人が相続人になることはできません。

法律で決められた人以外の人が遺贈を受けることできます。

遺贈は、相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことができるからです。

遺言書を作成して、相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことができます。

②無効の遺言書で遺贈はできない

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

遺言書がなくても、相続人は被相続人の財産を相続します。

相続人以外の人は、相続することはできません。

相続できるのは、法律で決められた相続人だけだからです。

相続人以外の人は、遺贈を受けることができます。

遺贈は、遺言書に従って財産を引き継ぐことです。

遺言書なしで、遺贈を受けることはできません。

被相続人が遺言書のつもりで、書面を作っていることがあります。

遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。

書き方ルールに違反した遺言書は、無効です。

遺言書が無効になったら、遺贈をすることはできません。

遺贈は、遺言書に従って財産を引き継いでもらうことだからです。

無効の遺言書で、遺贈をすることはできません。

③口頭の遺言はハードルが高い

「私が死亡したら財産を譲る」と、被相続人が常々言っていることがあります。

財産を譲ってもらえると、期待してしまうでしょう。

遺言書作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作成することがほとんどです。

自筆証書遺言は、自分で書いて作る遺言書です。

遺言者がひとりで作ることができるから、手軽な遺言書です。

公正証書遺言は、遺言内容を伝えて公証人が取りまとめる遺言書です。

証人2人に確認してもらって作ります。

自筆証書遺言と公正証書遺言は、どちらも遺言内容は書面にします。

口頭で、自筆証書遺言や公正証書遺言を作ることはできません。

口頭で遺言をすることができないわけではありません。

遺言者に生命の危機が迫っているなどの事情がある場合、口頭で遺言をすることができます。

「私が死亡したら財産を譲る」と被相続人が常々言っていたなどの軽い事情で認められるものではありません。

実際に生命の危機が迫っているときに、遺言をすることはほとんどありません。

特殊な事情があるときに特別に遺言ができること自体、あまり知られていません。

遺言者に生命の危機が迫っているときの遺言は、20日以内に家庭裁判所に対して確認の審判が必要です。

期限までに確認がされなければ、遺言の効力がありません。

遺言者に生命の危機が迫っているときの遺言は、通常の遺言ができるようになってから6か月経過したら当然に無効になります。

口頭で遺言をすることは、非常に高いハードルがあります。

④公正証書遺言がおすすめ

遺言書なしで、遺贈をすることはできません。

せっかく遺言書を作成しても、遺言書が無効になったら遺贈をすることはできなくなります。

遺言者は、法律の知識がないことが多いでしょう。

専門家のアドバイスを受けずに遺言書を作成すると、書き方ルールに違反しがちです。

書き方ルールに違反した遺言書は、無効になります。

公正証書遺言は、公証人が書面に取りまとめます。

公証人は、法律の専門家です。

公正証書遺言は公証人が関与します。

書き方ルールに違反して、遺言書が無効になることは考えられません。

公正証書遺言原本は、公証役場で厳重に保管されます。

公証役場で厳重に保管されているから、改ざんや変造があり得ません。

仮に相続人間で改ざんや変造が疑われた場合、大きなトラブルになるでしょう。

公正証書遺言は改ざんや変造があり得ないから、相続人間のトラブルを減らすことができます。

せっかく遺言書を作成するのであれば、公正証書遺言がおすすめです。

2遺言書がないときは相続人が相続

①遺産分割協議は相続人全員の合意が必要

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

遺言書がある場合、遺言書のとおりに財産を分けることができます。

遺言書がない場合、相続人全員の話し合いで分け方を決定します。

「私が死亡したら財産を譲る」と、被相続人が常々言っていることがあります。

「私が死亡したら財産を譲る」と言った相手が相続人であることがあります。

他の相続人全員が被相続人の言葉に納得していれば、相続人全員の合意ができるでしょう。

一部の相続人が被相続人の言葉に納得できないことがあります。

納得できない相続人がいる場合、相続人全員の合意は難しいでしょう。

合意できない相続人がいる場合、相続財産の分け方を決めることはできません。

相続財産の分け方は、多数決で決めることはできないからです。

遺産分割協議の成立には、相続人全員の合意が必要です。

②相続人が相続した後に贈与ができる

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人になる人は、法律で決められています。

法律で決められた人以外の人は、相続人になりません。

相続人以外の人は、相続することはできません。

「私が死亡したら財産を譲る」と言った相手が相続人以外の人であることがあります。

相続人全員が合意しても、相続人以外の人は相続することはできません。

相続できるのは、相続人だけだからです。

相続人が一旦相続した後、贈与することはできます。

自分の財産は、自由に贈与することができるからです。

贈与する財産によっては、贈与税の対象になります。

贈与税は、想像以上に高額になりがちです。

3死因贈与は口頭でも成立

①死因贈与は契約

遺贈とは、遺言書を作成して財産を引き継いでもらうことです。

相続人や相続人以外の人に、財産を引き継いでもらうことができます。

財産を引き継いでもらう方法は、遺贈だけではありません。

財産の持ち主は、自分の財産を自由に贈与することができます。

贈与は、贈与する人と贈与を受ける人の契約です。

「私が死亡したら財産を贈与する」と言った約束も、有効です。

「私が死亡したら財産を贈与する」と言った約束を死因贈与と言います。

贈与を受ける人は、相続人であっても相続人以外の人であっても差し支えありません。

遺贈をするためには、遺言書が必要です。

遺言書なしに、遺贈をすることはできません。

贈与は贈与する人と贈与を受ける人の合意で成立します。

合意があれば成立するから、口頭の合意でも有効です。

贈与契約は、契約書などの書面作成を要件とはされていないからです。

②贈与契約書がないと信用されない

贈与契約は、口頭の合意でも成立します。

贈与する人が生きている場合、贈与をすぐに実行してくれるでしょう。

死因贈与は、贈与する人が死亡した後に実行される契約です。

贈与する義務は、贈与する人の相続人が相続します。

贈与する人の相続人は、贈与契約のことを知らないかもしれません。

贈与契約を知らない場合、贈与する人の相続人は贈与を実行しないでしょう。

贈与を実行してもらうためには、贈与契約があったことを立証する必要があります。

口頭の贈与契約は、立証が困難です。

贈与契約は口頭の合意でも成立しますが、おすすめできません。

口頭のみの贈与契約は、第三者に信用されないからです。

③死因贈与の実現には相続人全員の協力

「私が死亡したら財産を贈与する」と言った約束も、有効です。

約束してもらうだけでは、意味がありません。

贈与は自動で実現されるわけではないからです。

贈与すると約束してもらった財産は、相続人が管理しているでしょう。

贈与してもらうには、相続人全員の協力が必要です。

被相続人が贈与契約を知っていても、相続人は贈与契約に賛成できないかもしれません。

贈与契約に不満を持つ相続人は、贈与の実行に協力をしてくれないでしょう。

死因贈与の実現には、相続人全員の協力が必要です。

④死因贈与契約は公正証書がおすすめ

死因贈与は口頭でも成立しますが、おすすめできません。

相続人に、信用されないからです。

口頭で合意するだけよりは、贈与契約書を作成する方がいいでしょう。

単に私文書で作成するよりは、公正証書にするのがおすすめです。

公正証書で死因贈与契約をすることで、相続人らとのトラブルを減らすことができます。

死因贈与契約書の作成は、公正証書がおすすめです。

⑤死因贈与は生前に仮登記ができる

「私が死亡したら財産を贈与する」と約束した財産が不動産であることがあります。

死因贈与契約をした場合、生前に不動産に仮登記をすることができます。

仮登記とは、将来の登記の順位を保全する登記です。

通常の登記は、仮登記と比較して本登記と言います。

仮登記がされた後は、登記簿上に死因贈与を受ける人がいることが公示されます。

相続が発生した後、相続人が死因贈与契約を知らないことがあります。

相続人が相続して、すぐに売却することがあります。

仮に仮登記がない場合、死因贈与契約のことを知らずに不動産を売却してしまうでしょう。

売却したら、買主は直ちに所有権移転登記をします。

買主が所有権を主張するためには、所有権移転登記をする必要があるからです。

買主が所有権移転登記をした後で、死因贈与をされていたと文句を言うことはできません。

所有権を主張するためには、登記が必要だからです。

仮登記があれば、死因贈与を受ける人がいることが分かります。

仮登記があれば、事実上契約する人はいないでしょう。

死因贈与は、生前に仮登記ができます。

4遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

遺言書は遺言者の意思を示すことで、家族をトラブルから守るものです。

遺贈とは、遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげるものです。

遺贈は簡単に考えがちですが、思いのほか複雑な制度です。

遺言執行には法的な知識が必要になります。

遺言の効力が発生したときに、遺言執行者からお断りをされてしまう心配があります。

せっかく遺言書を書くのですから、スムーズな手続を実現できるように配慮しましょう。

お互いを思いやり幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺言執行者が遺贈義務者

2024-08-12

1遺言書を作成して遺贈

①遺言書で相続人や相続人以外の人に遺贈ができる

自分が生きている間、自分の財産を自由に処分することができます。

自分が死亡した後、自分の財産をだれに引き継いでもらうのか自由に決めることができます。

遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。

相続人になる人は、法律で決められています。

相続人は、相続することができるし遺贈を受けることができます。

相続人以外の人は、相続することはできません。

遺贈を受けることができます。

財産を引き継いでもらう場合、遺言書に基づいて相続手続をします。

相続手続先の人が分かるように、財産を引き継ぐ人と引き継ぐ財産を特定することが重要です。

遺言書を作成して、相続人や相続人以外の人に遺贈をすることができます。

②遺言執行者が遺言書の内容を実現する

遺言書は、作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現されるわけではないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書の内容を実現するため、必要な権限が与えられます。

遺言執行者がいる場合、相続人は遺言執行の妨害行為はできません。

遺言執行者が遺言書の内容を実現してくれます。

③受遺者・相続人を遺言執行者に選任できる

遺言執行者は、遺言書で選任することができます。

遺言書を作成する前に、遺言執行者に選任する人に承諾をもらっておくといいでしょう。

遺言書は、遺言執行者を選任しても選任しなくても有効です。

遺言執行者になるのに、特別な資格はありません。

次の人は、遺言執行者になることはできません。

(1)未成年者

(2)破産者

上記の人以外であれば、だれでも遺言執行者になることができます。

相続人を遺言執行者に選任しても、差し支えありません。

受遺者を遺言執行者に指名しても、問題はありません。

受遺者とは、遺贈を受ける人です。

遺言執行者になれないのは、未成年者と破産者だけだからです。

受遺者・相続人を遺言執行者に選任することができます。

2遺言執行者が遺贈義務者

①遺贈義務者とは遺贈を実行する義務を負う人

遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。

遺言書は、遺言者が死亡したときに効力が発生します。

遺言者は死亡した後だから、自分で遺贈を実行することができません。

だれかが遺贈を実行する必要があります。

遺贈義務者とは、遺贈を実行し実現する義務を負う人です。

②遺言執行者が遺贈を実行する

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書に遺贈することがある場合、遺言執行者が遺贈を実行し実現します。

遺言執行者は、遺贈義務者です。

③遺言執行者は家庭裁判所で選任してもらえる

相続手続は、何度も経験することはないでしょう。

だれにとっても不慣れで、分からないことがいっぱいです。

スムーズに手続できることは、あまりないでしょう。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者がいると、わずらわしい相続手続をおまかせすることができます。

遺言書で遺言執行者を選任していない場合、家庭裁判所に遺言執行者選任の申立てをすることができます。

遺言執行者は、家庭裁判所で選任してもらうことができます。

④遺言執行者がいないときは相続人が遺贈を実行する

遺言書は、遺言執行者を選任しても選任しなくても有効です。

遺言書で遺言執行者を選任しても、遺言執行者に就任する義務はありません。

遺言書で選任した遺言執行者から就任を辞退されることがあります。

遺言執行者がいない場合、相続人が遺贈を実行し実現します。

遺言執行者がいない場合、遺贈義務者は相続人です。

⑤遺言執行者と相続人がいないときは相続財産清算人

被相続人が天涯孤独である場合、法律で決められた相続人が存在しないことがあります。

相続人がまったくいない場合、家庭裁判所に相続財産清算人選任の申立てをすることができます。

相続財産清算人が選任された場合、相続財産清算人が遺贈を実行し実現します。

相続財産清算人が選任された場合、遺贈義務者は相続財産清算人です。

3遺贈義務者に引渡義務

①相続発生の状態で引渡し

遺贈義務者とは、遺贈を実行し実現する義務を負う人です。

遺贈義務者には、遺贈する財産を引き渡す義務があります。

受遺者から引き渡し請求があった場合、引渡を拒絶することはできません。

遺贈義務者は、相続が発生した時点の状態で引渡す義務があります。

相続が発生した時点で遺贈する財産がすでに損傷していた場合、そのままの状態で引渡せば義務を果たしたことになります。

相続が発生した時点ですでに損傷していた場合、修理する義務はありません。

修理費用を負担する必要はありません。

②相続発生後に損傷したら修理して引渡し

遺贈義務者は、相続が発生した時点の状態で引渡す義務があります。

相続発生後に損傷し修理が必要になった場合、修理する必要があります。

修理費用を負担しなければなりません。

4受遺者が相続人のときの遺贈登記

①申請人

遺言書に「遺贈する」とあれば、譲ってもらう人が相続人であっても相続人以外の人でも、遺贈で手続します。

遺贈登記は、権利者と義務者が共同で登記申請をします。

受遺者が相続人である場合、登記申請書に権利者と義務者を記載するだけで義務者の関与が不要です。

形式的には共同申請ですが、事実上、受遺者が単独申請をすることができます。

②添付書類

登記申請書に添付する書類は次のとおりです。

(1)遺言書

(2)検認証明書

(3)被相続人が死亡した記載のある戸籍謄本

(4) 被相続人の除票か戸籍の除附票

(5) 受遺者の住民票か戸籍の附票

(6) 登記委任状

(7) 不動産の固定資産税評価証明書

遺言書が公正証書遺言である場合は、検認証明書は不要です。

遺言書が自筆証書遺言である場合で、かつ、法務局で保管されていた場合は、検認証明書は不要です。

③登録免許税

(1)原則1000分の4

遺贈による所有権移転登記で相続人に対するものは、不動産の評価額の1000分の4です。

(2) 相続人が死亡している場合非課税

遺贈による所有権移転登記をする場合で、かつ、登記名義人になる人がすでに死亡している場合、

登録免許税は非課税になります。

「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と申請書に記載する必要があります。

(3)100万円以下の土地は非課税

不動産の価額が100万円以下の場合、登録免許税は非課税になります。

「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と申請書に記載する必要があります。

5受遺者が相続人以外で遺言執行者がいるときの遺贈登記

①申請人

遺贈登記は、権利者と義務者が共同で登記申請をします。

権利者は受遺者、義務者は遺贈義務者です。

遺言執行者がいる場合、遺贈義務者は遺言執行者です。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者は、受遺者であっても構いません。

遺言執行者は遺言の内容を実現するために必要な行為をする権限があります。

協力しない相続人が遺言執行を妨害した場合、原則として、妨害行為は無効になります。

遺贈登記は、受遺者と遺言執行者が共同で登記申請をします。

②添付書類

登記申請書に添付する書類は次のとおりです。

(1)遺言書

(2)検認証明書

(3)被相続人が死亡した記載のある戸籍謄本

(4) 被相続人の除票か戸籍の除附票

(5) 不動産の権利証

(6) 遺言執行者の印鑑証明書(発行後3か月以内)

(7) 受遺者の住民票か戸籍の附票

(8) 登記委任状

(9) 不動産の評価証明書

遺言書が公正証書遺言である場合は、検認証明書は不要です。

遺言書が自筆証書遺言である場合で、かつ、法務局で保管されていた場合は、検認証明書は不要です。

所有権移転登記をする場合、登記原因を証明する書類を提出する必要があります。

(1)遺言書(2)検認証明書(3)被相続人が死亡した記載のある戸籍謄本(4) 被相続人の除票か戸籍の除附票は、登記原因証明情報として提出します。

売買などで所有権移転登記をする場合、法務局報告形式の登記原因証明情報を提出する場合があります。

法務局報告形式の登記原因証明情報に登記義務者が押印することで、内容の真実性が確保できるとされているからです。

遺贈は登記義務者が内容を認めただけでは、真実性が確保されません。

遺贈の真実性の担保のため、遺言書や戸籍謄本の提出が欠かせません。

このため法務局報告形式の登記原因証明情報を利用することはできません。

登記申請を司法書士に依頼する場合、遺言執行者と受遺者から登記委任状を出せば済みます。

③登録免許税

遺贈による所有権移転登記で相続人以外の人に対するものは、不動産の評価額の1000分の20です。

6遺贈義務者が住所変更登記

不動産を持っている場合、住所や氏名が変わったら、その都度手続するのが原則です。

不動産を売却する予定がない場合、先延ばししていることは割とよくあります。

相続登記では、登記簿上の住所氏名と被相続人死亡時の住所氏名が異なっている場合、住所変更登記や氏名変更登記はする必要がありません。

遺贈の登記では、登記簿上の住所氏名と被相続人死亡時の住所氏名が異なっている場合、住所変更登記や氏名変更登記が必要です。

遺贈義務者が住所変更登記や氏名変更登記をする必要があります。

登記簿上の住所氏名と被相続人死亡時の住所氏名が異なっているのに、住所変更登記や氏名変更登記を申請せずに、遺贈登記を申請した場合、遺贈登記を取下げすることになります。

後から住所変更登記や氏名変更登記を出しても、認められません。

7特定遺贈の放棄は遺贈義務者へ通知

①特定遺贈の放棄は遺贈義務者へ通知

特定遺贈は、遺言書を作成して財産を引き継いでもらうことです。

遺言書は、遺言者がひとりで作ります。

相続人や財産を受け取る人の同意なく、一方的に遺言書を作ることができます。

財産を引き継ぐことができるとは言っても、ありがた迷惑であることがあります。

遺言書に書いてあるからと言っても、相続人に気兼ねすることがあります。

相続人とトラブルになりたくないから、ご辞退したいことがあるでしょう。

遺贈は、放棄することができます。

特定遺贈を放棄する場合、遺贈義務者に通知します。

遺言執行者がいる場合、遺言執行者が遺贈義務者です。

遺言執行者がいない場合、相続人が遺贈義務者です。

遺言執行者も相続人もいない場合、相続財産清算人が遺贈義務者です。

特定遺贈の放棄は、遺贈義務者へ通知します。

②特定遺贈は一部放棄ができる

特定遺贈は、遺言書を作成して特定された具体的な財産を引き継いでもらうことです。

特定遺贈は、一部の財産だけ受け取って他の財産を放棄することができます。

例えば「現金500万円と土地を遺贈する」遺言書があった場合、次の選択をすることができます。

(1)現金500万円と土地を受け取る

(2)現金500万円のうち100万円と土地を受け取る(現金400万円を放棄する)

(3)現金500万円のうち100万円だけ受け取る(現金400万円と土地を放棄する)

(4)何も受け取らない(特定遺贈すべてを放棄する)

具体的に分けることができるのであれば、一部だけ受け取ることができます。

特定遺贈は、一部だけ放棄することができます。

8不動産の名義変更を司法書士に依頼するメリット

大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。

やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。

不動産は重要な財産であることも多いので、登記手続は一般の方から見ると些細なことと思えるようなことでやり直しになることも多いです。

住所変更登記が必要になるか必要にならないかなどもそのひとつでしょう。

相続手続は一生のうち何度も経験するものではありません。

だれにとっても不慣れで手際よくできるものではありません。

相続手続で使われる言葉は、法律用語なので一般の方にとって、日常で聞き慣れないものでしょう。

司法書士は登記の専門家です。

相続手続も、登記手続も、丸ごとお任せいただけます。

相続手続でへとへとになる前に、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺言書で不動産を遺贈

2024-08-02

1不動産を遺贈するときの遺言書の書き方

①単独所有の土地を遺贈する遺言書の書き方

遺言者は、次のとおり遺言する。

第1条

次の財産を、○○に、遺贈する。

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 200㎡

②土地の共有持分を遺贈する遺言書の書き方

遺言者は、次のとおり遺言する。

第2条

次の財産を、○○に、遺贈する。

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 200㎡

持分 4分の1

③建物を遺贈する遺言書の書き方

遺言者は、次のとおり遺言する。

第3条

次の財産を、○○に、遺贈する。

所在 ○○市○○町○丁目

家屋番号 ○番○

種類 居宅

構造 木造瓦葺2階建

床面積 1階 50.00㎡ 2階 50.00㎡

④遺言書なしで遺贈はできない

遺贈とは、遺言書で財産を引き継いでもらうことです。

遺言書なしで、遺贈することはできません。

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作成することがほとんどです。

自筆証書遺言は、自分で書いて作る遺言書です。

自分ひとりで作ることができるから、気軽な遺言書です。

公正証書遺言は、遺言内容を伝えて公証人が取りまとめる遺言書です。

証人2人に確認してもらって作ります。

遺言者に法律の知識があることはあまりないでしょう。

遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。

書き方ルールに違反した遺言書は、無効になります。

遺言書のつもりで作成しても、書き方ルールに違反すると無効になります。

不動産を遺贈したいと思っていたに、無効の遺言書では実現できません。

公正証書遺言は、公証人が取りまとめます。

公証人は、法律の専門家です。

公証人が関与するから書き方ルールの違反で遺言書が無効になることは考えられません。

公正証書遺言を作成した後、公正証書遺言原本は公証役場で厳重保管されます。

遺言書を紛失することがありません。

紛失したら、遺贈を実現できなくなります。

遺言書が改ざんや変造されることがありません。

公正証書遺言は、安心確実な遺言書です。

遺言書なしで、遺贈はできません。

2不動産を遺贈したときの登記手続

①相続人に遺贈するときは事実上単独申請

遺贈とは、相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。

遺言書を作成して、相続人に遺贈をすることができます。

遺贈の登記は、登記権利者と登記義務者が共同で登記申請をします。

受遺者が相続人である場合、登記申請書に登記権利者と登記義務者を記載するだけで義務者の関与は不要です。

形式的には共同申請ですが、事実上、受遺者が単独申請をすることができます。

相続人に遺贈するときの登記申請では、不動産の権利証が不要です。

②遺言執行者がいるときは遺言執行者が申請

遺贈をする場合、遺言書を作成する必要があります。

遺言書は作成するだけでは、意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書の内容を実現するために、必要な権限が与えられます。

遺言執行者は、遺言書で指名することができます。

遺言執行者がいる場合、相続人は遺言執行を妨害することができません。

遺言執行者がいる場合、遺言執行者と遺贈を受ける人が共同で登記申請をします。

登記手続は、知識のない人にとって難しいことが多いでしょう。

多くの人は、司法書士などの専門家に依頼します。

司法書士などに依頼する場合、委任状を作成して交付します。

遺言執行者がいる場合、遺言執行者と遺贈を受ける人が委任状を渡します。

遺贈の登記申請で、相続人は関与する必要がありません。

相続人が遺言書の内容に不満があっても、遺言執行者が遺言書の内容を実現してくれます。

遺言執行者がいるときは、遺言執行者が申請人になります。

③遺言執行者がいないときは相続人全員の協力で

遺言執行者が選任されていない遺言書は、たびたび見かけます。

遺言執行者が選任されていても選任されていなくても、遺言書は有効です。

遺言書で遺言執行者が選任されていても、就任をご辞退をされることがあります。

遺言執行者が選任されていても、遺言執行者に就任する義務はないからです。

遺言執行者がいない場合、相続人全員の協力で遺言書の内容を実現します。

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

相続人の気持ちとしても、遺言者の意思を実現してあげたいでしょう。

不動産は、重要な財産であることが多いものです。

相続人以外の人に遺贈する場合、相続人が遺言書に不満を覚えることがあります。

遺言者の意思とは言え、財産を奪われるような気持ちになるかもしれません。

遺言書に不満がある相続人は、遺言書の内容の実現に協力してくれないでしょう。

遺言書を作成する場合、遺言執行者を選任しておくことがおすすめです。

④家庭裁判所に遺言執行者選任の申立て

遺言執行者が選任されていなくても、遺言書は有効です。

遺言執行者がいない場合、相続人全員の協力で遺言書の内容を実現します。

遺言書の内容を実現するために協力しない相続人がいると、手続が進まなくなります。

遺言執行者は、家庭裁判所に選任してもらうことができます。

遺言書で遺言執行者が選任されていない場合や就任をご辞退した場合、家庭裁判所に遺言執行者選任の申立てをすることができます。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者がいれば、わずらわしい相続手続をおまかせすることができます。

⑤登記はすみやかに

遺贈とは、相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。

相続できるのは、相続人だけです。

相続人は、相続できるし遺贈を受けることもできます。

遺言者が死亡したら、遺言書の効力が発生します。

不動産を遺贈した場合、不動産の名義変更をします。

遺贈の登記には、いつまでにやらなければならないと言った期限はありません。

遺贈の登記は先延ばしせず、すみやかに終わらせることをおすすめします。

登記がないと、権利主張ができないからです。

もしかしたら、遺言書の存在を知らない相続人が相続登記をして不動産を売却するかもしれません。

不動産を売買したら、買主はすぐに名義変更をします。

不動産の買主に名義変更がされてしまったら、遺言書に不動産を遺贈するとあっても、買主に文句は言えません。

登記がある人が、権利主張をすることができるからです。

登記があることが権利主張の条件になります。

権利主張の条件になることを対抗要件と言います。

被相続人の権利証が手元にあるから大丈夫と、のんびりしているかもしれません。

原則として、売買などで所有権移転登記をする場合、権利証が必要になります。

相続による所有権移転登記をする場合、権利証は、原則として、必要ありません。

相続人は、権利証なしで、相続による所有権移転登記ができます。

相続による所有権移転登記を済ませたら、相続人のために新しい権利証が作られます。

相続人は、新しい権利証を使って売買による所有権移転登記をすることができます。

被相続人の権利証が手元にあっても、安心はできません。

期限はなくても、すみやかに遺贈による所有権移転登記を済ませましょう。

3不動産の遺贈で税金がかかる

①不動産取得税

不動産取得税とは、不動産を取得したときに1回だけ課される税金です。

有償で取得しても無償で取得しても、課税されます。

登記をしても登記をしなくても、課税されます。

特定遺贈で相続人以外の人が不動産を取得した場合、不動産取得税が課されます。

特定遺贈で相続人が不動産を取得した場合、不動産取得税が課されません。

遺贈は、相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。

相続は、相続人が財産を引き継ぐことです。

相続で不動産を取得した場合、不動産取得税が課されません。

不動産取得税は、特定遺贈で相続人以外の人が不動産を取得した場合に課されます。

②譲渡所得税

個人が1年に得た所得に対して、所得税が課されます。

不動産の譲渡によって得た利益は、譲渡所得に分類されます。

不動産を長期間保有していた場合、取得したときより大きく値上がりしていることがあります。

含み益がある不動産を売却した場合、譲渡所得が発生します。

不動産を遺贈した場合、無償か著しく低額で譲渡するでしょう。

無償か著しく低額で譲渡したときに、譲渡所得が発生しないとしたら不公平です。

含み益を手にしているのに、租税回避ができることとなるからです。

含み益がある不動産を遺贈した場合、時価で譲渡したとみなして税金を計算します。

時価で譲渡したとみなされた結果、相続人に譲渡所得が発生します。

譲渡所得税は、相続人が納税します。

③登録免許税

遺贈を受けたら、不動産の名義変更をします。

遺贈を受けた場合にも、登録免許税を納める必要があります。

遺贈を受けた場合の税率は、次のとおりです。

(1)相続人が遺贈を受けた場合、1000分の4

(2)相続人以外の人が遺贈を受けた場合、1000分の20

相続人が遺贈を受けた場合、相続登記と同じ税率です。

登録免許税は、不動産の名義変更をするときに課されます。

④相続税

遺贈を受けた場合、贈与税でなく相続税が課されます。

相続税には、基礎控除があります。

基礎控除額は次の計算式で求めることができます。

基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の人数

相続財産が基礎控除額以内であれば、相続税は課されません。

相続税が課されるのは、全体の10%にも満たないわずかな富裕層です。

4農地の遺贈は農地法の許可

①相続人以外に遺贈は農地法の許可

農地は、食糧生産のために重要な役割を担っています。

勝手に手放したり勝手に農業をやめてしまうと、国の食糧生産に大きな影響があります。

農地の権利移動には、農地法第3条の許可が必要です。

遺贈する不動産が農地である場合、農地法第3条の許可が必要です。

農地法の許可は、権利移動の効力発生要件です。

農地法の許可書が到達したときに、権利が移転します。

農地法の許可がないと、権利を取得することはできません。

農業委員会の許可が得られない場合、遺言の内容は実現できなくなります。

相続人以外の人に遺贈する場合、農地法第3条の許可が必要です。

②相続人に遺贈は届出のみ

相続人になる人は、法律で決まっています。

法律で決められた人だけが相続人になります。

相続できるのは、相続人だけです。

相続で農地を取得する場合、農地法第3条の許可は不要です。

相続人や相続人以外の人に、遺贈することができます。

相続人が特定遺贈で農地を取得する場合、農地法第3条の許可は不要です。

農地法第3条の許可なしで、農地を取得することができます。

農地法第3条の許可なしで農地を取得したときは、農地法第3条の3の定めによる届出が必要です。

5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、被相続人の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

民法に遺言書を作ることができるのは、15歳以上と定められています。

死期が迫ってから、書くものではありません。

遺言書は被相続人の意思を示すことで、家族をトラブルから守るものです。

遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげるものです。

遺贈は簡単に考えがちですが、思いのほか複雑な制度です。

受け継いでもらう財産に不動産がある場合、譲ってもらう人だけでは登記申請ができません。

遺言執行者がいない場合、相続人全員の協力が必要です。

遺言書で遺言執行者を決めておきましょう。

遺言執行には、法的な知識が必要になります。

遺言の効力が発生したときに、遺言執行者からお断りをされてしまう心配があります。

遺言の効力が発生した後の場合、遺言執行者は家庭裁判所に決めてもらう必要があります。

不動産以外の財産であっても、遺言書の内容に納得していない相続人がいる場合、受遺者に引渡そうとしないこともあります。

せっかく遺言書を書くのですから、スムーズな手続を実現できるように配慮しましょう。

遺言執行者を選任することで、家族をトラブルから守ろうという気持ちを実現することができます。

お互いを思いやり幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺言書の内容は代襲相続できない

2024-07-14

1代襲相続とは

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

相続人になるはずだった人の子どもの子どもが相続することを再代襲相続と言います。

2遺贈する遺言は代襲相続できない

①遺贈とは

遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。

遺贈で財産を譲ってあげる人のことを遺贈者、譲ってもらう人を受遺者と言います。

相続では、法定相続人だけに譲ってあげることができます。

遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができます。

譲ってもらう人は自然人でもいいし、法人などの団体でも差し支えありません。

遺言書に「遺贈する」とあれば、譲ってもらう人が相続人であっても相続人以外の人でも、遺贈で手続します。

②死亡した受遺者の子どもは代襲相続できない

遺言書に「□□に財産□□を遺贈する」と書いてあるケースがあります。

遺言書によって財産を譲ってもらう人が遺言者より先に死亡している場合、遺言のその部分は無効になります。

□□が遺言者より先に死亡している場合、「□□に財産□□を遺贈する」は無効になります。

□□の子どもが□□に代わって財産を受け取ることはできません。

遺言は死亡時に効力が発生するので、死亡時に受取人が存在している必要があるからです。

遺言によって財産を受け取る権利は、本人限りです。

遺贈する遺言内容は、代襲相続ができません。

「□□に財産□□を遺贈する」は無効になりますから、財産□□は遺言書に記載がない財産になります。

③財産は相続人全員の共有財産

□□が遺言者より先に死亡している場合、「□□に財産□□を遺贈する」は無効になります。

「□□に財産□□を遺贈する」が無効になるから、財産□□は遺言書に記載のない財産になります。

遺言書に記載のない財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

どのような分け方をする場合でも、受遺者の親族などの同意は必要ありません。

④予備的遺言が有効

遺言書がある場合、相続手続がスムーズに進みます。

遺言書がある場合、相続財産は遺言書のとおりに分ければいいからです。

受遺者が先に死亡した場合、遺言書の記載が無効になります。

せっかく遺言書を作成しても、相続人全員で相続財産の分け方の話し合いが必要になります。

遺言書を作成する際に、一工夫が必要になります。

「□□に財産□□を遺贈する」の他に「受遺者□□が遺言者より先に死亡した場合、受遺者の子ども□□□に財産□□を遺贈する」と書くことができます。

「受遺者□□が遺言者より先に死亡した場合、受遺者の子ども□□□に財産□□を遺贈する」を予備的遺言と言います。

⑤相続発生時に生きていた受遺者は遺贈を受けることができる

被相続人が死亡したときに、受遺者が生きていたのに相続手続中に受遺者が死亡することがあります。

被相続人が死亡したときに受遺者が生きていた場合、「□□に財産□□を遺贈する」は有効です。

相続手続中に受遺者が死亡しても、遺言書の内容は無効になりません。

受遺者□□は死亡後であっても、財産□□を受け取ることができます。

受遺者□□が財産を受け取った後、受遺者□□の相続人が財産□□を相続します。

3相続させる遺言は代襲相続できない

①死亡した相続人の子どもは代襲相続人

代襲相続とは、相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することです。

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

被相続人の子どもが被相続人より先に死亡した場合、子どもの子どもが代襲相続をします。

②遺言書の内容は相続人の子どもが代襲相続できない

遺言書に「相続人〇〇に財産〇〇を相続させる」と書いてあるケースがあります。

遺言書によって財産を譲ってもらう人が遺言者より先に死亡している場合、遺言のその部分は無効になります。

相続人〇〇が遺言者より先に死亡している場合、「相続人〇〇に財産〇〇を相続させる」は無効になります。

相続人〇〇の子どもが相続人〇〇に代わって財産を受け取ることはできません。

遺言は死亡時に効力が発生するので、死亡時に受取人が存在している必要があるからです。

遺言によって財産を受け取る権利は、本人限りです。

相続させる遺言内容は、代襲相続ができません。

「相続人〇〇に財産〇〇を相続させる」は無効になりますから、財産〇〇は遺言書に記載がない財産になります。

③財産は相続人全員の共有財産

相続人〇〇が遺言者より先に死亡している場合、「相続人〇〇に財産〇〇を相続させる」は無効になります。

「相続人〇〇に財産〇〇を相続させる」が無効になるから、財産〇〇は遺言書に記載のない財産になります。

遺言書に記載のない財産は、相続人全員の共有財産です。

相続人〇〇の子どもは、代襲相続人になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

相続人〇〇の子どもは代襲相続人として、相続財産の分け方の話合いに参加します。

相続人全員の合意が得られた場合、財産〇〇を相続することができます。

④予備的遺言が有効

受遺者も相続人も先に死亡した場合、遺言書の記載が無効になります。

せっかく遺言書を作成しても、相続人全員で相続財産の分け方の話し合いが必要になります。

「〇〇に財産〇〇を相続させる」の他に「受遺者〇〇が遺言者より先に死亡した場合、相続人〇〇の子ども〇〇〇に財産〇〇を相続させる」と書くことができます。

予備的遺言をすることでスムーズな相続手続が実現できます。

⑤相続発生時に生きていた相続人は相続することができる

被相続人が死亡したときに、相続人が生きていたのに相続手続中に相続人が死亡することがあります。

被相続人が死亡したときに相続人が生きていた場合、遺言書の内容は有効です。

相続人〇〇は死亡後であっても、財産〇〇を受け取ることができます。

相続人〇〇が財産を受け取った後、相続人〇〇の相続人が財産〇〇を相続します。

4遺言書は書き換えができる

遺言書は遺言者の意思を示すものです。

遺言書の書き方ルールは民法という法律で、細かく決められています。

遺言書を書くこと自体を大げさに考えて、書いたら終わりと思われがちです。

民法には、いつでも、遺言書の撤回ができるとはっきり書いてあります。

遺言書は、新たな遺言書で書き換え(撤回)ができます。

書き直しをするのも遺言書なので、本人以外が書き直しをすることはできません。

他の人が代理で書き直すことはできませんし、相続人が撤回することもできません。

自筆証書遺言で、かつ、些細な書き間違いであれば、内容訂正する程度でも差し支えありません。

大きな修正をする場合は改めて作った方がいいでしょう。

一度書いたら書き直しがなくて済む場合もあります。

状況が変われば書き直しすることは、割とよくあることです。

新たに誕生した孫や曽孫に財産を譲りたい場合、新たに書き直すことができます。

遺言書で財産を相続させる子どもがお世話をしてくれないのであれば、お世話をしてくれる子どもに財産を相続させると書き直すことができます。

財産を受け取ってもらいたい人が先に死亡した場合、引き継いでもらう内容を大きく変更したいことがあるでしょう。

予備的遺言で対応しきれない場合や複雑になる場合、遺言書の書き換えがおすすめです。

何度も書き直すことで、よりいい遺言書にすることができます。

5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

いろいろ言い訳を考えて、先延ばしします。

先延ばしした結果、認知症などになると遺言書を作れなくなります。

その先には、家族のもめごとが待っています。

家族がトラブルに巻き込まれることを望む人はいないでしょう。

死んだ後のことを考えるのは不愉快などと言えるのは、判断力がしっかりしている証拠です。

まず、遺言書を書くことをおすすめします。

遺言書があることでトラブルになるのは、ごく稀なケースです。

遺言書がないから、トラブルになることはたくさんあります。

遺言書1枚あれば、相続手続きは格段にラクになります。

状況が変われば、遺言書は何度でも書き直すことができます。

家族をトラブルから守りたい人は、司法書士に遺言書作成を依頼することをおすすめします。

遺言書で延命治療は拒否できない

2024-06-21

1遺言書で延命治療は拒否できない

①遺言者の死亡時に遺言書の効力発生

病気やけがなどで回復の見込みがなくなった後も、治療が続けられることがあります。

延命治療とは、生命維持を目的に行われる治療です。

具体的には、人工呼吸器による呼吸管理や点滴や胃ろうなどによる栄養管理などの医療行為を指します。

延命治療には、苦痛を伴うことがあります。

意識を失った後も延命治療が続けられることで、自分らしさが失われると感じるかもしれません。

自分らしさを維持するため、延命治療を拒否したいというニーズがあります。

延命治療を拒否するために遺言書を作成するのは、意味がありません。

遺言書で、延命治療を拒否できません。

遺言書は、遺言者が死亡したときに効力が発生します。

遺言者が生きている間は、効力がありません。

延命治療は、生きている間に行われるものです。

遺言書は遺言者が死亡した後に効力が発生するから、延命治療を拒否することができません。

②遺言事項は法律で決められている

遺言書は、厳格な書き方ルールがあります。

遺言書に書くことで法律上意味がある事項は、法律で決められています。

遺言書に書くことで法律上意味がある事項を遺言事項と言います。

遺言事項は、次のとおりです。

(1)財産に関すること

(2)身分に関すること

(3)遺言執行に関すること

(4)それ以外のこと

延命治療は拒否することは、遺言事項にありません。

遺言書には、法律上意味がないことを書くことができます。

例えば、家族への感謝の気持ちや家族仲良く幸せに暮らして欲しいなどの気持ちです。

家族仲良く幸せに暮らして欲しい気持ちに、法的な拘束力はもちろんありません。

延命治療は拒否することを書いても、法的効力はありません。

③遺言書は死亡後に開封される

遺言書は、プライベートな内容が書かれています。

遺言者本人が積極的に家族に見せることは、あまりありません。

家族にとっても、遠慮して見ないことが多いでしょう。

封筒に入った自筆証書遺言は、相続発生後に家庭裁判所で開封してもらいます。

法務局保管の自筆証書遺言は、相続発生後に遺言書保管事実証明書や遺言書情報証明書の発行請求をすることができます。

公正証書遺言は、相続発生後に相続人が謄本請求をすることができます。

遺言者の生前は、家族が遺言書の内容を知らないことが大部分でしょう。

遺言書に延命治療を拒否すると書いても、生前に家族は気づきません。

家族から延命治療を拒否する希望を伝えてもらうことができません。

2尊厳死宣言公正証書で延命治療拒否を表示する

①尊厳死と安楽死はちがう

延命治療を拒否することを、安楽死や尊厳死と表現することがあります。

安楽死と尊厳死には、さまざまな見解があります。

大きな苦痛を伴いながら過剰な延命治療を受け続けることは、自分らしくないとも考えられます。

尊厳死は、過剰な延命治療を行わずに尊厳を保持しつつ自然な死を迎えるものです。

尊厳死は、死に至るまでの方法と言えます。

尊厳死を直接認める法律はありません。

日本医師会や学会などは、尊厳死を認める意見です。

安楽死は、激しい苦痛から解放されるために薬剤などを使って積極的に死を迎えるものです。

安楽死は、死を選択することと言えます。

尊厳死では、本人の意思と緩和ケアによる生命の質の確保が前提になります。

②延命治療の拒否は意思表示が重要

尊厳死では、本人の意思が重視されます。

多くの場合、延命治療を受けるか受けないか判断する場面において本人が意志表示をすることはできません。

意識がもうろうとしていたり話ができなかったりするためです。

延命治療の拒否を希望する場合、あらかじめ医師や家族に意思を伝えておく必要があります。

終末期における治療に関してする意思表示を一般的にリビングウィルと言います。

医師や家族が本人の希望を知らなかった場合、延命治療を選択するでしょう。

③公正証書は信用がある

公正証書は、公証人が作成する公文書です。

公証人は、法律の専門家です。

公正証書は公証人が関与して作られるから、高い信用力があります。

公証人の前で延命治療を拒否することを宣言し、公正証書にすることができます。

延命治療の拒否は、医師にとっても悩ましい問題です。

延命治療を行わないと、死期を早めることになるでしょう。

延命治療を行わない判断や延命治療を中止する決定について、家族が不満に思う可能性があります。

家族が本人の希望を知らなかった場合、医師に強く抗議するでしょう。

大きなトラブルに発展することをおそれて、延命治療を行うことになるでしょう。

公正証書を作成する場合、公証人が本人確認と本人の意思確認をします。

公正証書を作成した後は、公正証書原本は公証役場で厳重保管されます。

本人が尊厳死を希望する意思があることを公正証書で示すことができます。

公正証書には、高い信用があります。

④治療を続けるか医師が判断

現在の日本では、尊厳死は法制化されていません。

延命治療を拒否する意思表示をしても、治療をする判断は医師に委ねられています。

一部の医師が回復の見込みがなくなったと言っても、他の医師は回復の見込みがあると判断するかもしれません。

同じ治療をしても、救命治療であるか延命治療であるか区別することはできないでしょう。

尊厳死宣言公正証書を見せて意思表示をした場合、医師は本人の強い意志があると判断するでしょう。

日本医師会や学会などは、尊厳死を容認しています。

本人の強い意思を尊重する判断をしやすくなるでしょう。

日本尊厳死協会のアンケート結果によると、尊厳死宣言を示したことによる尊厳死の認容率は9割を超えています。

尊厳死宣言公正証書に法律上の効力はなくても、医師や家族に意思表示をする意味があると言えます。

3尊厳死宣言公正証書を作る方法

①尊厳死宣言公正証書の作成の流れ

尊厳死宣言公正証書の作成の流れは、次のとおりです。

(1)尊厳死宣言公正証書の原案作成

(2)公証役場に提出して打合せ

(3)公証人の面談予約

(4)尊厳死宣言公正証書の作成

(5)尊厳死宣言公正証書の正本と謄本の受領

公証役場の混雑状況によりますが、原案作成から公正証書作成まで1か月程度かかります。

②尊厳死宣言公正証書の必要書類

尊厳死宣言公正証書を作成する場合、次の書類のうちいずれかが必要になります。

(1)印鑑登録証明書と実印

(2)運転免許証と認印

(3)パスポートと認印

(4)マイナンバーカードと認印

(5)その他の顔写真入り公的証明書と認印

③公証役場に手数料がかかる

尊厳死宣言公正証書を作成する場合、公証役場に手数料を支払う必要があります。

手数料は、作成手数料と謄本代で15000円程度です。

公証役場に出向くことができない場合、公証人に出張してもらうことができます。

出張してもらうときは、10000円程度加算されます。

④尊厳死宣言公正証書の文例

4尊厳死宣言公正証書と公正証書遺言の同時作成がおすすめ

尊厳死宣言は、終末期の医療に対する意思決定です。

自分自身の生き方を考えているでしょう。

自分の財産は、生きている間は自分で自由に処分することができます。

自分が死亡した後、だれに引き継がせるか自由に決めることができます。

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

尊厳死宣言公正証書と公正証書遺言は、どちらも公証人の関与で作成します。

尊厳死宣言公正証書を作成するのなら、公正証書遺言を一緒に作成するといいでしょう。

公証役場と打合せをするのも公証役場に出向くのも、まとめて済ませることができるからです。

尊厳死宣言公正証書と公正証書遺言の同時作成がおすすめです。

5尊厳死宣言を司法書士に依頼するメリット

生前対策=相続「税」対策の誤解から、生前対策をする人はあまり多くありません。

争族対策として有効な遺言書ですら、死亡者全体からみると10%未満です。

尊厳死宣言は、人間としての尊厳を維持したいという希望を文書にしたものです。

家族は元気だったときの姿を知っているから、ベッドに横たわるだけの姿を見ると動揺します。

回復の見込みのない状態だと分かっていても、判断ができません。

大きな苦痛を伴うことを知っていても、どうするかを判断したくない気持ちになるでしょう。

何も判断したくない、判断を先延ばししたいという気持ちから、延命治療が続けられます。

延命治療が続けられれば、苦痛も続きます。

延命治療が続く間、本人も苦痛が続き、見ている家族も苦痛が続くのです。

家族は、後々になっても、本人を苦しめてしまったのではないかと後悔するのです。

尊厳死宣言は、自己決定権を尊重するものです。

自分がどのような治療や措置を受けたいのか、どのような治療や措置を受けたくないのか、どのような最期を迎えたいのか意思を示すものです。

家族は、本人の意思をかなえてあげることができると救われます。

自分自身のためにも、大切な家族のためにも、意思を示してあげましょう。

大切な家族に面倒をかけないために尊厳死宣言書を作成したい方は、すぐに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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