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相続登記で不動産番号

2023-12-11

1不動産番号で不動産を特定できる

①不動産番号は13桁の数字

不動産番号は、一筆の土地または一棟の建物ごとに付けられた番号です。

不動産番号は、13桁の数字です。

13桁の数字で、不動産を特定することができます。

不動産番号は、表示に関する登記事項のひとつです。

登記簿謄本を取得すると、表題部に記載されています。

②所在・地番や所在・家屋番号は分かりやすい

土地の登記簿謄本を取得すると、表題部に土地の所在と地番が記載されています。

地番とは、一筆の土地ごとに付けられた番号です。

土地の所在と地番を組み合わせて、土地を特定することができます。

建物の登記簿謄本を取得すると、表題部に建物の所在と家屋番号が記載されています。

家屋番号は、一棟の建物ごとに付けられた番号です。

建物の所在と家屋番号を組み合わせて、建物を特定することができます。

地番と番地は、別のものです。

番地は、住居表示です。

番地は、街を分かりやすく表示するために付けられた番号です。

地域によっては、地番と番地が同じことがあります。

土地の所在や建物の所在は、〇〇市〇〇区〇〇町〇丁目などと表現されます。

書類に取りまとめた場合、所在・地番や所在・家屋番号は分かりやすい書類になります。

③不動産番号で登記簿謄本を請求することができる

不動産番号で、不動産を特定することができます。

登記簿謄本は、インターネットを使って請求することができます。

不動産番号を記載するだけで、インターネット請求をすることができます。

13桁の数字を入力するだけなので、ラクに手続をすることができます。

不動産番号で登記簿謄本を請求できるのは、インターネットで請求する場合だけです。

法務局の窓口で請求する場合や申請書を郵送して請求する場合は、従来どおり、所在・地番や所在・家屋番号を記載します。

登記簿謄本は不要だけど、登記の内容を知りたいことがあるでしょう。

インターネットを使って、登記情報を取得することができます。

登記情報を取得する場合、不動産番号を記載するだけで請求することができます。

13桁の数字を間違えて入力すると、まったく別の不動産になってしまいます。

不要な登記簿謄本や登記情報を取得してしまうおそれがあります。

不動産番号はカンタンで便利な反面、分かりにくいのが欠点です。

④不動産番号がない不動産がある

インターネットを使って取得した登記簿謄本や登記情報には、必ず、不動産番号が記載されています。

登記簿は、コンピュータ化されている登記簿とコンピュータ化されていない登記簿があります。

コンピュータ化されていない登記簿の不動産には、不動産番号がありません。

コンピュータ化されていない登記簿は、インターネットで登記簿謄本を請求することができません。

⑤登記識別情報は不動産の所有者の証明

不動産について権利を取得した場合、原則として、権利証が発行されます。

権利証は、古いものは登記済証、現在では登記識別情報と言います。

オンライン指定庁になったときから、登記識別情報が発行されています。

登記識別情報は、12桁の数字とアルファベットの組み合わせです。

登記識別情報は、不動産の権利者であることの証明です。

不動産を売却するときや担保に差し出すとき、不動産に登記申請をします。

不動産の権利者が登記申請に関与していることの証明として、登記識別情報を法務局に提供します。

登記申請以外で、登記識別情報が必要になることはありません。

通常は、登記申請直前に開封して直ちに申請します。

登記識別情報を他人に知られると、権利書が奪われた場合と同じ危険があります。

登記識別情報は不動産の所有者の証明だから、他の人に知られないようにする必要があります。

2相続登記の申請書で不動産番号

①不動産を特定して相続登記

相続による不動産の名義変更を相続登記と言います。

相続登記をする場合、名義変更をする不動産を特定しなければなりません。

家族にとって自宅などは当然知っていることです。

法務局などの第三者には、どこにあるどの不動産なのか分からないからです。

申請の対象となる不動産を特定して、相続登記をします。

②不動産番号だけ記載して相続登記ができる

不動産番号のみ記載するときの記載例

不動産番号 1234567890123

不動産番号 2345678901234

不動産番号 3456789012345

不動産番号は、不動産を特定するための番号です。

相続登記をする場合、不動産を特定して登記申請をしなければなりません。

相続登記の申請書に、不動産番号を記載することができます。

不動産番号で不動産を特定することができるからです。

不動産番号だけ記載して、相続登記をすることができます。

③不動産番号と所在・地番の両方記載がおすすめ

(1)不動産番号と所在・地番の両方記載の記載例

不動産番号 1234567890123

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 200㎡

(2)不動産番号と所在・家屋番号の両方記載の記載例

不動産番号 2345678901234

所在 ○○市○○町○丁目

家屋番号 ○番○

種類 居宅

構造 木造瓦葺2階建

床面積 1階 100.00㎡ 2階 100.00㎡

不動産番号を記載すれば、不動産を特定することができます。

不動産番号は、13桁の数字です。

一目でどの不動産なのか分かりにくいのが欠点です。

13桁の数字を記載するときに間違えてしまっても、気がつきにくいでしょう。

関係ない不動産に相続登記を申請してしまうことがないように、所在・地番や所在・家屋番号を記載する方が安全です。

相続登記をする場合、不動産番号と所在・地番や所在・家屋番号の両方を記載することができます。

土地について申請する場合、次の事項を記載します。

(1)所在

(2)地番

(3)地目

(4)地積

建物について申請する場合、次の事項を記載します。

(1)所在

(2)家屋番号

(3)種類

(4)構造

(5)床面積

不動産番号を記載した方が法務局にとって審査しやすいでしょう。

法務局が相続登記を受付した場合、受付のお知らせが発行されます。

相続登記の申請に不動産番号と所在・地番や所在・家屋番号の両方を記載した場合、受付のお知らせにも両方記載されます。

受付のお知らせを見ることで、確実に登記申請をしたことが確認できます。

不動産番号と所在・地番や所在・家屋番号の両方を記載した場合、申請内容が一目瞭然です。

④不動産番号を間違えたら登記できない

不動産番号は、13桁の数字です。

一目でどの不動産なのか分かりにくいのが欠点です。

数字を間違えた場合、まったく別の不動産になります。

相続登記を申請しても、認められません。

不動産は重要な財産であることが多いから、厳格に審査されます。

軽微なミスであれば、申請を補正することができます。

相続登記の対象となる不動産を間違えた場合、軽微なミスとは言えません。

重大なミスでは、申請を補正することができません。

いったん登記申請を取り下げて、やり直しになります。

⑤敷地権付マンションは不動産番号だけでは不足

敷地権のあるマンションの記載例

(一棟の建物の表示)

所在 ○○市○○町○丁目○番地○

建物の名称 ○○○○マンション

(専有部分の建物の表示)

不動産番号 3456789012345

家屋番号 ○○町○丁目○番○の○

建物の名称 ○○○

種類 居宅

構造 鉄筋コンクリート造1階建

床面積 ○階部分 ○○.○○㎡

価格 金○○○○万円

(敷地権の表示)

符号 1

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 ○○○.○○㎡

(敷地権の種類)

所有権

(敷地権の割合)

持分 ○○○○○○分の○○○○○○

符号 2

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 ○○○.○○㎡

(敷地権の種類)

所有権

(敷地権の割合)

持分 ○○○○○○分の○○○○○○

分譲マンションのように1棟の建物の一部を独立して所有できる建物を区分建物と言います。

区分建物が建っている土地が、敷地です。

敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利を一体化して処分するようにしたのが、敷地権付区分建物です。

敷地権付区分建物の場合、マンションを売買するとき敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利は一緒についてきます。

敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利は、命運を共にする運命共同体です。

新しいマンションのほとんどは、敷地権付区分建物です。

敷地権付マンションは、お部屋の権利に不動産番号が付いています。

敷地権付マンションの相続登記は、敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利の名義変更です。

敷地権付マンションの相続登記をする場合、不動産番号だけでは不足です。

敷地を使う権利を含めて相続登記をするからです。

3相続登記の委任状に不動産番号

相続登記は、相続手続の中でも難しい手続です。

多くの人は、司法書士などの専門家に依頼します。

司法書士などの専門家に依頼する場合、法務局に委任状を提出します。

委任状は、代理人に依頼した内容を証明する書類です。

どの不動産について、どういう内容の登記を依頼したのか委任状で明らかにします。

委任状に不動産を記載する場合、不動産番号だけ記載することができます。

不動産番号だけ記載した場合、分かりにくいのが欠点です。

分かりやすさを考えるのであれば、不動産番号と所在・地番や所在・家屋番号の両方記載がおすすめです。

不動産番号の記載誤りがあった場合、適切な委任があったとは認められません。

多くの場合、いったん取下げてやり直しになるでしょう。

4遺産分割協議書に不動産番号は記載しなくてもよい

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

相続人全員の合意内容を取りまとめた文書が遺産分割協議書です。

遺産分割協議書は、相続人全員に確認してもらいます。

問題がなければ、相続人全員が記名し実印で押印します。

相続人全員が確認するときに、分かりやすい表現をするといいでしょう。

不動産番号で不動産を特定することができます。

相続人は13桁の数字を見て、どの不動産なのか分からないでしょう。

土地であれば、所在、地番、地目、地積を記載するといいでしょう。

建物であれば、所在、家屋番号、種類、構造、床面積を記載するといいでしょう。

13桁の数字を記載する場合、間違いやすいものです。

記載しても問題にはなりませんが、よく注意して間違いのないようにしましょう。

記載誤りが心配ならば、あえて記載する必要はありません。

5相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人は悲しむ暇もなく相続手続に追われます。

ほとんどの人は相続手続は不慣れで、聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。

インターネットの普及で多くの人は簡単に多くの情報を手にすることができるようになりました。

多くの情報の中には正しいものも、適切でないものも同じように混じっています。

相続登記もカンタンにできる、ひとりでできたという記事も散見されます。

不動産は、重要な財産であることも多いものです。

登記手続は、一般の方から見ると些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

法務局の登記手続案内を利用すれば、シンプルな事例の申請書類などは教えてもらえます。

通常と異なる事例に関しては、わざわざ説明してくれません。

司法書士などの専門家から見れば、トラブルのないスムーズな相続手続であっても、知識のない一般の方はへとへとになってしまいます。

住所がつながらない場合など、シンプルな事例とは言えない事情がある場合は申請を取下げて、やり直しになることが多いでしょう。

司法書士は登記の専門家です。

スムーズに相続登記を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

公正証書遺言で不動産の相続登記

2023-11-29

1遺言書の大部分は自筆証書遺言と公正証書遺言

遺言書の種類は、民法という法律で決められています。

大きく分けて普通方式の遺言と特別方式の遺言とあります。

普通方式の遺言は、次の3つです。

①自筆証書遺言

②公正証書遺言

③秘密証書遺言

特別方式の遺言は、次の4つです。

①死亡の危急に迫った者の遺言

②伝染病隔離者の遺言

③在船者の遺言

④船舶遭難者の遺言

特別方式の遺言は、生命の危機に迫っている人や航海中など交通できない人が作る特別の遺言です。

特別方式の遺言は、ごく稀な遺言と言えるでしょう。

多くの方にとって、遺言というと普通方式の遺言です。

なかでも、①自筆証書遺言②公正証書遺言のいずれかを作成される方がほとんどです。

2公正証書遺言は安心確実

①公正証書遺言は公証人が文書に取りまとめてくれる

公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。

遺言者が公証人に遺言内容を伝えて、証人2人に確認してもらって作ります。

公正証書遺言を作成する場合、原則として、公証役場に出向く必要があります。

遺言者が病気や障害などで公証役場に出向くことが困難なこともあるでしょう。

公証役場に出向くことが困難な場合、病院や自宅などへ公証人に出張してもらうことができます。

②公正証書遺言は無効になりにくい

公証人は、法律の専門家です。

公正証書遺言は、公証人が文書に取りまとめます。

遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。

書き方ルールに違反すると、遺言書は無効になります。

公正証書遺言は、公証人が関与します。

公証人は法律の専門家だから、書き方ルールの違反で無効になることは考えられません。

③遺言書原本は公証役場で厳重に保管される

公正証書遺言を作成した後、正本と謄本が渡されます。

公正証書遺言を使って相続手続をする場合、遺言公正証書の正本か謄本を使用します。

正本と謄本は同じ内容ですから、どちらでも相続手続に使うことができます。

正本や謄本は、紛失してしまっても差し支えありません。

遺言書原本は、公証役場で厳重に保管されています。

遺言書を作成した公証役場で手続をすれば、再発行してもらうことができます。

遺言書を作成した公証役場が分からない場合、平成元年以降に作成しているのであれば、公証役場で探してもらうことができます。

遺言書を作成した公証役場が見つかったら、遺言書を作成した公証役場で再発行してもらうことができます。

④公正証書遺言は家庭裁判所の検認手続は不要

遺言書の検認とは、家庭裁判所で遺言書の状態を確認してもらうことです。

公正証書遺言は、家庭裁判所で検認手続をする必要はありません。

公正証書遺言は遺言書作成後、公証役場で厳重に保管されています。

相続人などが改ざんすることはできません。

わざわざ家庭裁判所で遺言書の状態を確認してもらう必要はないからです。

3公正証書遺言で不動産の相続登記

①公正証書遺言があるときの相続登記の必要書類

登記申請書には、通常、相続関係説明図を添えます。

事例によっては追加書類が必要になる場合がありますが、おおむね、次の書類が必要です。

(1)被相続人の除籍謄本

(2)相続人の現在戸籍

(3)被相続人の住民票の除票か戸籍の除附票

(4)不動産を相続する人の住民票

(5)遺言書

(6)不動産の固定資産税評価証明書

遺言書がない場合、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

相続人全員の合意があることを確認するため、被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本が必要です。

遺言書がある場合、遺言書で財産の分け方が記載されているでしょう。

遺言書のとおりに分ければいいので、相続人全員の合意は不要です。

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を準備する必要はありません。

遺言書は、遺言者が死亡したときに効力を生じます。

遺言者が死亡したことの確認のため、被相続人の除籍謄本を提出します。

相続人になる人は、法律で決まっています。

相続できるのは、相続人だけです。

相続登記をする場合、相続人であることの確認が必要になります。

相続登記を申請する人が相続人であることの確認のため、相続人の現在戸籍を提出します。

②遺言執行者が相続登記

遺言書を書いただけでは、意味がありません。

遺言書の内容は自動的に実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書を作成する場合、遺言執行者を指名しておくと安心です。

遺言執行者がいない場合、相続人全員の協力が必要になるからです。

遺言書の内容に不満を持つ相続人がいた場合、遺言書の内容の実現に協力してくれないでしょう。

遺言執行者がいる場合、相続人の協力は不要です。

令和元年7月1日以降に作成された遺言書で遺言執行者が指名されている場合、遺言執行者が相続登記を申請することができます。

遺言執行者は、相続登記以外の相続手続をすることができます。

相続手続先がたくさんある場合、法定相続情報一覧図があると便利です。

遺言執行者は、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をすることができます。

わずらわしい相続手続を遺言執行者におまかせできるので、家族はラクになります。

4公正証書遺言で不動産の遺贈の登記

①遺言書に遺贈とあったら遺贈で手続

遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。

遺贈で財産を譲ってあげる人のことを遺贈者、譲ってもらう人を受遺者と言います。

相続では、法定相続人だけに譲ってあげることができます。

遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができます。

遺言書に「遺贈する」とあれば、譲ってもらう人が相続人であっても相続人以外の人でも、遺贈で手続します。

遺言書に「相続させる」とあっても、譲ってもらう人が相続人以外の場合、遺贈で手続します。

相続できるのは、相続人だけだからです。

遺贈登記は、権利者と義務者が共同で登記申請をします。

受遺者が相続人である場合、登記申請書に権利者と義務者を記載するだけで義務者の関与が不要です。

形式的には共同申請ですが、事実上、受遺者が単独申請をすることができます。

②公正証書遺言があるときの相続登記の必要書類

登記申請書に添付する書類は、次のとおりです。

(1)被相続人の除籍謄本

(2)被相続人の除票か戸籍の除附票

(3)受遺者の住民票か戸籍の附票

(4)不動産の権利証

(5)印鑑証明書

(6)遺言書

(7)不動産の固定資産税評価証明書

印鑑証明書は、発行後3か月以内のものが必要です。

印鑑証明書は、遺贈義務者のものが必要です。

遺言執行者がいる場合、遺贈義務者は遺言執行者です。

遺言執行者がいない場合、遺贈義務者は相続人全員です。

所有権移転登記をする場合、登記原因を証明する書類を提出する必要があります。

(1)遺言書(2)検認証明書(3)被相続人が死亡した記載のある戸籍謄本(4) 被相続人の除票か戸籍の除附票は、登記原因証明情報として提出します。

売買などで所有権移転登記をする場合、法務局報告形式の登記原因証明情報を提出する場合があります。

法務局報告形式の登記原因証明情報に登記義務者が押印することで、内容の真実性が確保できるとされているからです。

遺贈は登記義務者が内容を認めただけでは、真実性が確保されません。

遺贈の真実性の担保のため、遺言書や戸籍謄本の提出が欠かせません。

遺贈の登記では、法務局報告形式の登記原因証明情報を利用することはできません。

③遺言執行者が遺贈登記

遺贈登記は、権利者と義務者が共同で登記申請をします。

権利者は受遺者、義務者は遺贈義務者です。

遺言執行者がいる場合、遺贈義務者は遺言執行者です。

遺言執行者がいない場合、遺贈義務者は相続人全員です。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者は、受遺者であっても構いません。

遺言執行者は、遺言の内容を実現するために必要な行為をする権限があります。

協力しない相続人が遺言執行を妨害した場合、原則として、妨害行為は無効になります。

遺贈登記は、受遺者と遺言執行者が共同で登記申請をします。

④被相続人の住所氏名が登記簿上の住所氏名と違っていたら

不動産を持っている場合、住所や氏名が変わったら、その都度手続するのが原則です。

不動産を売却する予定がない場合、先延ばししていることは割とよくあります。

相続登記では、登記簿上の住所氏名と被相続人死亡時の住所氏名が異なっている場合、住所変更登記や氏名変更登記はする必要がありません。

遺贈の登記では、登記簿上の住所氏名と被相続人死亡時の住所氏名が異なっている場合、住所変更登記や氏名変更登記が必要です。

登記簿上の住所氏名と被相続人死亡時の住所氏名が異なっているのに、住所変更登記や氏名変更登記を申請せずに、遺贈登記を申請した場合、遺贈登記を取下げすることになります。

後から住所変更登記や氏名変更登記を出しても、認められません。

住所変更登記や氏名変更登記は、遺言執行者が申請することができます。

5相続登記を司法書士に依頼するメリット

大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。

やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。

不動産は重要な財産であることも多いので、登記手続は一般の方から見ると些細なことと思えるようなことでやり直しになることも多いです。

住所変更登記が必要になるか必要にならないかなどもそのひとつでしょう。

相続手続は、一生のうち何度も経験するものではありません。

だれにとっても不慣れで、手際よくできるものではないでしょう。

相続手続で使われる言葉は法律用語なので、一般の方にとって日常で聞き慣れないものでしょう。

司法書士は、登記の専門家です。

相続手続も、登記手続も、丸ごとお任せいただけます。

相続手続でへとへとになる前に、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続登記で実印と印鑑証明書

2023-11-03

1印鑑証明書とは

①市区町村役場に印鑑を登録することができる

15歳以上の人は、自分の印鑑を住民票のある市区町村役場に登録することができます。

印鑑証明書は、本人の登録した印鑑による印影であることを証明する書類です。

市区町村役場に登録した印鑑を実印と言います。

②印鑑証明書が必要になる理由

相続手続を進めようとすると、印鑑証明書を用意するように言われることがあります。

重要な契約や大切な場面では、本人の意思確認のために押印をしてもらうことが多くあります。

特に重要な場面では、実印で押印してもらいます。

実印は本人が大切に保管しているから実印で押印されている場合、本人の意思で押印されたと言えるでしょう。

実印で押印したことを証明するために、印鑑証明書が必要になります。

実印で押印し印鑑証明書を添付することで本人の意思であることが間違いないと第三者にも信用してもらえます。

2遺産分割協議書に実印と印鑑証明書が必要になる

①相続人全員の合意を証明するため実印と印鑑証明書が必要

相続が発生した後、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産は、相続人のひとりが勝手に処分することはできません。

相続財産の分け方について相続人全員で合意をする必要があります。

相続財産の分け方にについて相続人全員でする話し合いのことを遺産分割協議と言います。

相続財産の分け方について相続人全員で合意したら、確定して話し合いは終了になります。

相続人全員の合意ができたら、合意内容を文書に取りまとめます。

相続財産の分け方にについて相続人全員の合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書と言います。

全ての財産についてまとめて合意しなければならないといったことはありません。

一部の財産についてだけ合意をすることもできます。

遺産分割協議書は、相続人全員が記名して実印で押印します。

遺産分割協議書の押印が実印であることを証明するために、印鑑証明書を添付します。

相続人全員が実印で押印し印鑑証明書を添付することで、相続手続先に対して相続人全員の合意があることを証明することができます。

②遺産分割協議書を公正証書にすることができる

遺産分割協議書は、公証役場で公正証書にすることができます。

合意内容は公証人が確認をして公正証書にします。

公証人が内容を証明するから、あらためて、実印や印鑑証明書を用意する必要はありません。

③遺産分割調停調書による相続登記で実印と印鑑証明書が不要

相続財産の分け方について相続人全員で話し合いをしても、話し合いによる合意ができないことがあります。

話し合いがつかない場合、家庭裁判所の助力を借りて話し合いをします。

相続財産の分け方について家庭裁判所の助力を借りて話し合いをすることを遺産分割調停と言います。

相続人同士では感情的になってしまうことでも、第三者を交えて話し合いをするとまとまることがあります。

家庭裁判所の助力を借りて遺産分割の合意ができた場合、家庭裁判所が合意内容を書面に取りまとめます。

家庭裁判所が合意内容を取りまとめた文書を遺産分割調停調書と言います。

遺産分割調停調書は、家庭裁判所の証明文が記載されます。

家庭裁判所の証明文があるから、相続人全員が合意していることが分かります。

あらためて、実印や印鑑証明書を用意する必要はありません。

④未成年者は実印と印鑑証明書が使えない

市区町村役場に自分の印鑑を登録できるのは、15歳以上の人です。

15歳以上の人は、自分の実印と印鑑証明書を持つことができます。

未成年者は、有効に法律行為をすることができません。

未成年者が契約などの法律行為をする場合、通常、親などの親権者が代わりに行います。

親などの親権者と未成年者が同時に相続人である場合、親は未成年者を代理できません。

親などの親権者が未成年者を代理できない場合、特別代理人が未成年者を代理します。

遺産分割協議をすることは、契約などと同じく法律行為です。

未成年者は実印と印鑑証明書を取得しても、使うことができません。

未成年者が遺産分割協議をする場合、親などの親権者や特別代理人など代わりの人が合意します。

未成年者の代わりに合意した代わりの人が実印を押印し印鑑証明書を添付します。

3被相続人の住所不明で上申書を提出するとき実印と印鑑証明書が必要

①登記名義人と被相続人が確認できないと相続登記ができない

相続手続をするために登記簿を確認すると、被相続人の住所が古いままになっている場合があります。

登記簿には、被相続人の氏名と住所が書いてあります。

登記簿には、本籍は書いてありません。

戸籍謄本には、被相続人の氏名、本籍が書いてあります。

戸籍謄本には、住所は書いてありません。

戸籍謄本だけ提出した場合、法務局は同姓同名の人かもしれないと判断します。

登記簿に書いてある人が被相続人であるか分からないから、相続登記を認めてくれません。

相続登記を申請する場合、被相続人の住民票の除票と戸籍謄本を提出します。

住民票の除票には、本籍、死亡時の住所、被相続人の氏名が書いてあります。

登記簿に書いてある住所と氏名を住民票の除票で確認します。

登記簿に書いてある住所と氏名が住民票の除票と一致すれば、登記簿に書いてある人と住民票の除票の人が同一人物であると確認できます。

住民票の除票には、本籍、被相続人の氏名が書いてあります。

住民票の除票に書いてある本籍と氏名が戸籍謄本と一致すれば、住民票の除票の人と戸籍謄本の人が同一人物であると確認できます。

登記簿に書いてある人と住民票の除票の人が同一人物で、住民票の除票の人と戸籍謄本の人が同一人物であると確認ができます。

戸籍謄本に書いてある人が、被相続人です。

この確認ができるときに、相続登記を認めてもらえます。

②被相続人の住所の移り変わりを証明できれば実印と印鑑証明書が不要

登記簿の住所が古いままになっていると、住民票の除票の住所と一致しません。

住所が一致しないから法務局は別人であると判断します。

名前は同じだけど別の人に相続が発生したと判断するから、相続登記を認めてもらえません。

登記簿に書いてある人が被相続人であることを証明するために、被相続人の住所の移り変わりを証明しなければなりません。

被相続人の住所の移り変わりを証明する書類は、次のものがあります。

(1)住民票の除票

住民票の除票には、被相続人の氏名、本籍、死亡時の住所の他に、前住所が書いてあります。

住民票の除票に書いてある前住所と登記簿に書いてある住所が一致した場合、被相続人の住所の移り変わりを証明したと言えます。

(2)戸籍の附票

登記簿に書いてある住所が前住所より前の住所である場合があります。

戸籍の附票には、その戸籍が作られてからの住所の移り変わりが書いてあります。

戸籍が作られて以降であれば、前住所だけでなく前々住所も確認することができます。

戸籍の附票に書いてあるいずれかの住所と登記簿に書いてある住所が一致した場合、被相続人の住所の移り変わりを証明したと言えます。

(3) 権利証

戸籍の附票の保存期間は、現在は150年です。

令和元年6月20日以前は、たった5年でした。

平成26年6月20日以降に作られた戸籍の附票は、廃棄前に保存期間が延びたので保存されています。

令和元年6月20日以前に廃棄された場合、原則として、取得することはできません。

権利証は、不動産に権利があることを証明する書類です。

被相続人の住所の移り変わりを証明することはできないけど、権利者であることを証明することができます。

法務局は、登記簿に書いてある人が被相続人であると判断し、相続登記を認めてくれます。

③被相続人の住所の移り変わりを証明できないときは実印と印鑑証明書が必要

土地や建物は重要な財産であることが多いので、その権利証は大切に保管してあるでしょう。

権利証は、紛失しても再発行されません。

被相続人が保管していた場合、保管場所を共有していない家族が見つけられなくなります。

権利証が見つけられない場合、権利証を提出して権利者であることを証明することはできません。

権利証を提出することができない場合、相続人全員からの印鑑証明書付き上申書を提出します。

上申書は「不動産の所有者は被相続人に間違いありません」という法務局宛てのお願いです。

相続人全員とは、遺産分割協議に参加するべき人全員です。

その財産を相続する人だけではありません。

その財産を受け取らないけど他の財産を相続する人など遺産分割協議に参加するべき人全員から上申書を提出します。

遺産分割協議に参加するべき人全員が、実印で押印し印鑑証明書を添付します。

4住所証明書として印鑑証明書を提出することができる

登記簿には登記名義人の住所が登記されます。

相続登記で登記名義人になる人は、住所証明書を提出する必要があります。

住所証明書として、真っ先に思い浮かぶのは住民票でしょう。

市町村長や登記官などの公務員が職務上証明した書類であれば、住所証明書として認められます。

印鑑証明書は、住所証明書として認められています。

遺産分割協議書に添付した印鑑証明書が1枚あれば、住所証明書としても使うことができます。

印鑑証明書には、印鑑登録をした人の住所が記載されています。

印鑑証明書を取得してから長期間経過した場合、相続人が転居する場合や住居表示が実施される場合があります。

不動産を相続する人は、最新の住所が記載された住民票を提出する必要があります。

印鑑証明書の住所と住民票の住所が違う場合、法務局は別の人であると判断します。

同一人物であることを証明するために、住所の移り変わりを証明しなければなりません。

印鑑証明書の住所から住民票の住所までの住所の移り変わりを証明する書類が追加で必要になります。

住所の移り変わりを証明するより、あらためて取得し直す方が手間が少ないでしょう。

5相続登記で提出する印鑑証明書は有効期限はない

売買や贈与で所有権を移転する場合、印鑑証明書が必要になります。

発行後3か月以内の印鑑証明書を用意してくださいと言われたことがある場合もあるでしょう。

申請する登記の種類や内容によっては、確かに、発行後3か月以内の印鑑証明書が必要になる場合があります。

遺産分割協議書に添付する印鑑証明書については、発行後〇か月以内の印鑑証明書が必要といった定めはありません。

相続登記で提出する印鑑証明書については、取得後に何年経過していても問題はありません。

相続が発生する前に取得した印鑑証明書であっても差し支えありません。

相続登記で印鑑証明書を提出する場合、取得後、〇か月以内でなければ受付しませんといったことはありません。

何年も前に取得した印鑑証明書を提出しても、問題なく相続登記を受け付けてもらえます。

6印鑑証明書は原本還付してもらえる

相続手続には、たくさんの書類が必要になります。

相続登記の申請書には、たくさんの添付書類を提出します。

法務局に提出する相続登記の添付書類は、銀行などの相続手続でも必要になる書類です。

相続登記で提出した書類の多くは、請求すれば原本還付してもらうことができます。

原本還付がされる書類は、法令や先例で決められています。

登記のためだけに作られた書類は、原本還付をしてもらえません。

印鑑証明書は、請求すれば原本還付してもらうことができます。

添付書類の原本還付を希望する場合、原本還付してもらいたい書類をコピーします。

片面等倍でコピーします。

縮小するとコピーがないと扱われて、原本還付してもらえなくなるおそれがあります。

印鑑証明書は市区町村によってはマイナンバーカードを使ってコンビニエンスストアで取得することができます。

コンビニエンスストアで取得した印鑑証明書は、裏表両方をコピーする必要があります。

表面だけコピーを提出した場合、コピーがないと扱われて、原本還付してもらえなくなるおそれがあります。

原本還付をしてもらいたい添付書類のコピーの余白に「原本に相違ありません」と記載して、記名押印をします。

申請書に押印した印章と同一印で押印します。

添付書類のコピーの余白がない場合、コピーの裏に「原本に相違ありません」と記載して、記名押印をしても構いません。

7相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。

ほとんどの方は相続を何度も経験するものではありません。

だれもが手続に不慣れで聞き慣れない法律用語でへとへとになります。

一般的にいって、相続登記は難しい手間のかかる手続です。

不動産は重要な財産であることが多いので、一般の方からすると些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

本人が自分で申請している場合、些細なことであれば法務局の窓口まで出向いて申請書の記載を補正することができるケースがあります。

申請書の記載誤りがあると、委任状も記載誤りになります。

代理人に依頼して申請している場合、委任状の記載も一緒に補正する必要があります。

委任状の記載内容は、本人が依頼したことのはずだから、代理人が補正することを認めてもらえない場合が多いです。

申請書と委任状の記載が一致していない場合、適切な委任を受けていないと判断されます。

適切な委任を受けていない場合、申請書は受け付けてもらえません。

いったん申請を取り下げて、やり直しになります。

相続登記は簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があることもあります。

法務局の登記相談に行っても、何が良くないのか分からなかったというケースも多いです。

司法書士はこのような方をサポートしております。

相続登記を自分でやってみたけど、挫折した方の相談も受け付けております。

相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

数次相続があったときの相続登記

2023-10-25

1数次相続とは

①数次相続は相続手続中に相続人が死亡

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

共有財産になった相続財産は、相続人全員で話し合いによる分け方の合意が不可欠です。

相続財産の分け方について、話し合いがまとまる前に、相続人が死亡して新たな相続が発生することがあります。

最初の相続の手続中に相続人が死亡して、さらに相続が発生した状態を数次相続と言います。

数次相続は、どこまででも続きます。

どこまで続くかについて、法律上の制限はありません。

最初の相続を一次相続、相続人が死亡した相続を二次相続と言います。

二次相続の相続人が死亡すると、三次相続、さらに、四次相続、五次相続という場合もあります。

相続人が死亡して新たな相続が発生することを、まとめて、数次相続と言います。

②数次相続と代襲相続のちがい

数次相続も代襲相続も相続が複雑になる代表例です。

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

数次相続は、相続が発生した「後」に、相続人が死亡した場合です。

代襲相続は、相続が発生する「前」に、相続人になるはずだった人が死亡した場合です。

数次相続では、死亡した相続人の相続人が最初の相続の遺産分割協議に参加します。

代襲相続では、死亡した相続人の直系卑属が最初の相続の遺産分割協議に参加します。

数次相続と代襲相続では、遺産分割協議に参加する人が異なります。

遺産分割協議に参加すべき人が参加していない場合、相続財産の分け方の合意は無効になります。

遺産分割協議に参加すべきでない人が参加している場合、相続財産の分け方の合意は無効になります。

だれが話し合いに参加すべきか間違えると、せっかく合意をしても合意が無効になります。

慎重に判断しましょう。

2数次相続があったときの相続登記は原則相続ごとに

数次相続とは、最初の相続の手続中に相続人が死亡して、さらに相続が発生した状態です。

数次相続があったときの相続登記は、原則として、発生した相続ごとに順次申請します。

2回相続が発生しているのであれば2回相続登記をします。

3回相続が発生しているのであれば3回相続登記をします。

被相続人の数だけ相続登記をするのが原則です。

1件の申請書でまとめて登記申請をするためには、条件があります。

まとめて登記申請をする条件は「登記の目的」「登記原因」「申請人」が同一であることです。

「登記の目的」「登記原因」「申請人」が同一でない場合、原則として、まとめて登記をすることができません。

登記は、現在の権利関係を公示するだけでなく、権利変動の過程も公示しています。

権利変動の途中の事実を省略して、まとめて登記をすることはできません。

相続人がすでに死亡している場合、死亡した相続人名義で相続登記をすることができます。

登記申請をするときにはすでに死亡していたとしても、生前に相続していたからです。

生前に相続したことを公示するため、死亡した人名義で相続登記をすることができます。

3最終の相続人にまとめて相続登記ができる例外

①中間の相続人が一人だけ

数次相続があったときの相続登記は、被相続人の数だけ相続登記をするのが原則です。

複数の相続が発生した場合であって、かつ、中間の相続人が一人だけの場合、例外的に、最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。

相続は、戸籍を調べれば相続関係が判明します。

権利変動の途中の事実を省略して、まとめて登記をしても問題が少ないためと考えられています。

中間の相続人が一人であれば、何回相続が発生していても、まとめて相続登記をすることができます。

相続人が一人である必要があるのは、中間の相続人です。

最終の相続人が複数で共有する相続登記であっても、まとめて相続登記をすることができます。

②相続放棄で中間の相続人は一人だけ

相続が発生したときには複数の相続人がいたけれど、他の相続人全員が相続放棄をした場合があります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人ではなかった扱いです。

中間の相続人が一人だけとは、相続人が初めから一人しかいない場合だけではありません。

中間の相続において、他の相続人全員が家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、中間の相続人が一人だけになります。

中間の相続人が一人だけの場合、例外的に、最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。

③遺産分割協議で中間の相続人は一人だけ

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

中間の相続において、相続人のうち一人だけが相続する合意が成立することがあります。

相続人全員の合意で相続人のうち一人だけが相続する合意が成立した場合、中間の相続人が一人だけになります。

中間の相続人が一人だけの場合、例外的に、最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。

4数次相続で最終の相続人が一人になった場合

①遺産分割協議ができない場合

最終の相続人にまとめて相続登記をすることができるのは、中間の相続人が一人だけの場合です。

中間の相続人が一人だけの場合には、遺産分割協議によって相続人のうち一人だけが相続すると相続人全員で合意ができた場合を含みます。

中間の相続人が複数いる場合、遺産分割協議による合意ができないまま相続人が死亡して最終の相続人が一人になることがあります。

遺産分割協議による合意ができないまま最終の相続人が一人になった場合、遺産分割協議の余地はありません。

たとえ最終の相続人が死亡した相続人の相続人であっても、遺産分割協議はできません。

最終の相続人が一人になった場合、話し合いによる合意ができないからです。

遺産分割協議による合意をしていないから、相続人全員が法定相続分で共有する相続をしたと考えます。

法定相続分で相続人全員が相続したのだから、中間の相続人が一人だけではありません。

中間の相続人が複数だから、最終の相続人にまとめて相続登記ができません。

②数次相続で最終の相続人が複数なら遺産分割協議ができる

遺産分割協議による合意ができないまま最終の相続人が一人になった場合、遺産分割協議の余地はありません。

遺産分割協議による合意ができないまま最終の相続人が複数の場合、最終の相続人で遺産分割協議をすることができます。

遺産分割協議の結果、中間の相続人が一人であれば最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。

③遺産分割協議をしていない場合

最終の相続人にまとめて相続登記をすることができるのは、中間の相続人が一人だけの場合です。

中間の相続人が一人だけの場合には、遺産分割協議によって相続人のうち一人だけが相続すると相続人全員で合意ができた場合を含みます。

遺産分割協議による合意ができないまま最終の相続人が一人になった場合、遺産分割協議の余地はありません。

遺産分割協議による合意ができないまま最終の相続人が複数の場合、最終の相続人で遺産分割協議をすることができます。

遺産分割協議をしないで、他の相続人全員が特別受益証明書を作成することがあります。

他の相続人全員が特別受益証明書を作成したことで、最終の相続人が一人になることがあります。

たとえ最終の相続人が死亡した相続人の相続人であっても、遺産分割協議をしていません。

遺産分割協議による合意をしていないから、相続人全員が法定相続分で共有する相続をしたと考えます。

中間の相続人が複数だから、最終の相続人にまとめて相続登記ができません。

④遺産分割協議後に相続人が一人になった場合

遺産分割協議によって相続人のうち一人だけが相続すると相続人全員で合意ができた場合、中間の相続人が一人だけの場合と認められます。

中間の相続人が一人だけの場合、最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。

最終の相続人にまとめて相続登記をする場合、法務局に遺産分割協議書などを提出します。

法務局から見ると、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書がない場合、相続人全員で合意ができたのか分かりません。

遺産分割協議によって相続人のうち一人だけが相続すると相続人全員で合意ができたのに、合意内容を文書に取りまとめる前に相続人が死亡することがあります。

遺産分割協議の合意後に相続人が死亡した場合、生前に相続人がした合意は有効です。

遺産分割協議は、文書に取りまとめなくても有効だからです。

相続人全員で合意内容を文書に取りまとめていない場合、相続登記をしても認められることはありません。

遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書がない場合、相続人全員で合意ができたのか分からないからです。

遺産分割協議の合意後で遺産分割協議書作成前に相続人が死亡した場合、死亡した相続人の相続人が合意内容を証明することができます。

生存している相続人と死亡した相続人の相続人で、遺産分割協議の内容を証明することができます。

生存している相続人と死亡した相続人の相続人が同一人物である場合、一人で遺産分割協議の内容を証明することができます。

合意後に相続人が死亡した場合であっても生前に相続人がした合意は有効だから、中間の相続人が一人だけになります。

中間の相続人が一人だけの場合、例外的に、最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。

5中間の相続人が不動産を保有していた場合

中間の相続人が一人だけの場合、最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。

最初の被相続人の不動産について、まとめて相続登記をすることができます。

中間の相続人が固有の不動産を持っていることがあります。

最初の被相続人の不動産と中間の相続人の不動産について、まとめて相続登記をすることができません。

最初の被相続人の不動産と中間の相続人の不動産では、登記原因が違うからです。

6相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。

ほとんどの方は相続を何度も経験するものではないから、手続に不慣れで聞き慣れない法律用語でへとへとになります。

一般的にいって、相続登記は、その中でも難しい手間のかかる手続です。

不動産は重要な財産であることが多いので、一般の方からすると些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があることもあります。

数次相続が発生している場合、難易度は高くなります。

インターネットなどの情報では、どうしたらいいか分からないことも多いでしょう。

司法書士はこのような方をサポートしております。

相続登記を自分でやってみたけど、挫折した方の相談も受け付けております。

相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続登記義務化で相続人申告登記

2023-08-18

1相続登記は義務になる

①所有権移転登記は原則として権利

不動産に対する権利が変動した場合、登記をします。

権利が変動した場合で最もイメージしやすいものは、不動産を購入して所有権を取得した場合でしょう。

不動産を購入して所有権を取得した場合、購入したタイミングですぐに所有権移転登記をします。

登記をしていないと、不動産に対して権利主張をする人が現れた場合に負けてしまうからです。

不動産を購入して所有権を取得したはずなのに、見知らぬ人が不動産は自分のものだから明け渡して欲しいと言ってくるようなケースです。

登記がある場合、不動産は自分のものだから明け渡す必要はないと言い返すことができます。

登記がない場合、不動産を明け渡さなければならなくなるかもしれません。

せっかく不動産を購入したのに、不動産を明け渡さなければならなくなることは何としても避けたいはずです。

不動産は自分のものだと主張するために、購入したタイミングですぐに所有権移転登記をします。

所有権移転登記をしない場合、所有者は権利主張ができません。

所有権移転登記をしない場合、所有者が不利益を受けます。

所有権移転登記をすることは、所有者の権利であって義務ではありません。

②相続登記は義務

所有権移転登記をしない場合、所有者はソンをします。

不動産に対して権利主張をする人が現れた場合、所有者のはずなのに権利主張ができないからです。

不動産には、不便な場所にあるなどの理由で価値が低い土地が存在します。

所有者にとって利用価値が低い土地に対して権利主張をする人が現れた場合、所有者として権利主張する必要を感じないかもしれません。

相続登記は、手間のかかる手続です。

自分で相続登記をしようとするものの、多くの人は挫折します。

相続登記をする場合、登録免許税を納付しなければなりません。

相続登記を専門家に依頼する場合、専門家に報酬を支払う必要があります。

不動産の価値が低い場合、相続登記で手間と費用がもったいないと考える人が少なくありませんでした。

相続登記がされない場合、登記簿を見ても土地の所有者が分からなくなります。

所有者不明の土地の発生を防止するため、相続登記をすることは義務になりました。

③相続登記は3年以内に申請

相続が発生した場合、相続登記の申請義務が課せられました。

「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ当該所有権を取得したことを知った日」から3年以内に申請しなければなりません。

④令和6年4月1日以降に発生した相続が対象になる

相続登記の申請義務が課せられるのは、令和6年4月1日です。

令和6年4月1日以降に発生した相続は、当然に対象になります。

⑤令和6年4月1日以前に発生した相続が対象になる

ずっと以前に相続が発生したのに、相続登記を放置している例は少なくありません。

令和6年4月1日以前に発生した相続であっても、相続登記は義務になります。

⑥相続登記未了であればペナルティーが課せられる

相続登記は、3年以内に申請しなければなりません。

相続登記の申請義務を果たしていない場合、ペナルティーが課されます。

令和6年4月1日以前に発生した相続であっても、ペナルティーが課される予定です。

2相続登記義務化のペナルティーを回避する方法

①法定相続分で共有する相続登記

相続登記の申請義務を果たしていない場合、ペナルティーが課されます。

相続登記をするためには、登録免許税を納めなければなりません。

相続登記を専門家に依頼する場合、専門家に報酬を支払う必要があります。

そのうえペナルティーが課せられるのは、避けたいと考えるでしょう。

相続が発生した場合、被相続人のものは相続財産になります。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

多くの場合、相続人全員の合意で相続財産の分け方を決めます。

相続人全員の合意で相続財産の分け方を決めてから、相続登記をします。

相続人全員の合意で相続財産の分け方を決めることが難しいことがあります。

話し合いによる合意ができないまま長期間経過しているケースです。

相続財産は相続人全員の共有財産だから、相続人全員の法定相続分で相続登記をすることができます。

相続人全員の話し合いによる合意ができた場合、あらためて所有権移転登記をします。

手間と費用がかかることなどデメリットが大きいことから、あまりおすすめできません。

②相続人申告登記(相続人である旨の申出)

話し合いによる合意ができないまま長期間経過するケースは少なくありません。

相続登記は、3年以内に申請しなければなりません。

話し合いによる合意ができないまま3年以上経過した場合、一律にペナルティーを課すのは気の毒な面があります。

相続登記の義務化に伴うペナルティーを回避するため、相続人は相続が発生したことと相続人であることを申し出ることができます。

この申出を、相続人である旨の申出と言います。

相続人である旨の申出をしても、相続登記をしたことにはなりません。

単に、相続登記の義務化に伴うペナルティーを回避することができるに過ぎません。

③相続土地国庫帰属制度を活用する

相続土地国庫帰属制度とは、相続した土地の所有権を手放して国に引き取ってもらう制度です。

相続土地国庫帰属制度が始まる前に相続した人であっても、制度を利用することができます。

相続した土地の所有権を手放して国に引き取ってもらえば、相続登記の心配はしなくてよくなります。

宅地や雑種地だけでなく、山林、原野や農地を引き取ってもらうことができます。

農地の取引には、通常、農業委員会の許可等が必要になります。

相続土地国庫帰属制度を利用する場合、農業委員会の許可等は不要です。

土地であればどんな土地でも引き取ってもらえるわけではありません。

国の審査で認められた土地だけです。

審査してもらうのに、手数料がかかります。

審査で土地を引き取ってもらえると認められた場合、負担金の納付が必要です。

土地を国に引き取ってもらった場合、所有権移転登記は国がやってくれます。

国に所有権移転登記をする前提として、相続登記や住所変更登記が必要な場合は国が代わりにやってくれます。

④相続放棄をする

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

家庭裁判所で相続放棄が認めれた場合、はじめから相続人でなくなります。

相続人でないから、相続登記をする義務もなくなります。

3相続人申告登記は一時的なもの

①相続人申告登記で権利主張はできない

所有権移転登記をしない場合、所有者は権利主張ができません。

所有者が自分のものだと権利主張できることは、登記をすることの大きなメリットです。

相続人申告登記は、法務局に対する申出に過ぎません。

所有者が分からなくなることを防ぐための措置なので、所有者が権利主張することはできません。

②相続人である旨の申出は簡単な手続

相続人である旨の申出は、法務局に対する申出です。

登記名義人に相続が発生したことや申告した相続人の住所氏名などの簡単な事項を申し出するだけで済みます。

相続人である旨の申出には、被相続人と申出人の相続関係が分かるもののみです。

通常の相続登記では大量の戸籍謄本が必要になることと較べると簡単な手続です。

③相続人申告登記の登録免許税はかからない

相続人である旨の申出に登録免許税はかかりません。

相続人である旨の申出があった場合、登記官職権で登記されるからです。

④相続人である旨の申出の効果は申出人だけ

相続人である旨の申出をした場合、相続登記義務化に伴うペナルティーを回避することができます。

相続登記義務化に伴うペナルティーを回避することができるのは、申出をした人のみです。

多くの場合、相続人は複数いるでしょう。

一部の相続人だけが相続人である旨の申出をした場合、申出をした人のみペナルティーを回避できます。

他の相続人はペナルティーが課されるかもしれません。

一部の相続人は、他の相続人から委任を受けることができます。

委任を受けた相続人は他の相続人について、相続人である旨の申出をすることができます。

⑤相続人である旨の申出をしても相続登記は必要

不動産の登記名義人に相続が発生した場合、相続人は相続人である旨の申出をすることができます。

相続人である旨の申出をした場合、相続登記義務化に伴うペナルティーを回避することができます。

ペナルティーを回避することができるだけで、相続登記をしたわけではありません。

相続人である旨の申出をした後、相続人全員で相続財産の分け方を合意した場合、相続登記が必要です。

相続人全員で相続財産の分け方を合意した後、3年以内に相続登記をしなければなりません。

4相続登記を放置するとデメリットが大きい

①相続登記を放置すると遺産分割協議が難しくなる

相続登記をしないまま放置すると、相続人が死亡してしまうかもしれません。

すぐに相続登記をすれば、気ごころの知れた兄弟で話し合いをすれば済んだのに、放置したことで兄弟の配偶者や兄弟の子どもと話し合いをしなければならなくなります。

相続人が認知症などで判断ができなくなることがあります。

相続が発生したときは元気だったとしても、長期間放置しているうちに高齢になります。

相続人が高齢になると、認知症などを発症するリスクが高くなります。

相続人が行方不明などで連絡が取れなくなることがあります。

相続財産の分け方は相続人全員の話し合いによる合意が不可欠です。

行方不明だから、連絡を取れないからなどは、話し合いから除外していい理由になりません。

②相続登記を放置すると不動産活用ができなくなる

相続登記をしていないと、通常、売却ができません。

賃貸として貸し出す場合も、不動産を担保として差し出す場合も、相続登記は必要です。

特定の相続人が自分の持分を売ってしまうことがあります。

法定相続分で登記するのであれば、相続人は単独で登記ができます。

法定相続分で相続登記をした後、不動産の持分を売却することができます。

見知らぬ人が不動産を共有する場合、遠慮なく共有物分割請求などの権利主張をします。

③相続登記を放置すると手続費用が高くなる

相続登記には書類がたくさん必要になります。

役所から取り寄せる、戸籍や住民票などです。

長期間、相続登記を放置したことで相続人が死亡した場合、死亡した相続人の相続人を確定させる必要があります。

死亡した相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本が追加で必要になります。

単純に、集める戸籍謄本が増えるし、複雑になります。

5相続登記を司法書士に依頼するメリット

大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。

やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。

相続手続きは一生のうち何度も経験するものではないため、誰にとっても不慣れで手際よくできるものではありません。

相続手続きで使われる言葉は、法律用語なので一般の方にとって、日常で聞き慣れないものでしょう。

不動産は重要な財産であることも多いので、登記手続きは一般の方から見ると些細なことと思えるようなことでやり直しになることも多いです。

日常のお仕事や家事をこなしたうえに、これらのことがあると、疲労困憊になってしまうことも多いです。

司法書士などの専門家から見れば、トラブルのないスムーズな相続手続きであっても、多くの方はへとへとになってしまうものです。

相続手続きに疲れてイライラすると普段は温厚な人でも、トラブルを引き起こしかねません。

司法書士などの専門家はこのような方をサポートします。

相続手続でへとへとになったから先延ばしするより、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

共有名義にする相続登記を単独申請

2023-07-05

1相続財産の分け方を決める方法

①被相続人が遺言書で指定

被相続人が生前に遺言書を作成していることがあります。

遺言書で財産の分け方が指定してある場合、遺言書のとおりに分けることができます。

遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。

法律上の書き方ルールに合わない遺言は、無効になります。

被相続人が遺言書のつもりで書いた書面であっても、無効の遺言書で相続手続をすることはできません。

②相続人全員で遺産分割協議

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めることができます。

相続財産の分け方を決める場合は、多数決ではありません。

相続人全員の合意が必要です。

音信不通の相続人がいても行方不明の相続人がいても、相続人全員の合意がない場合は遺産分割協議は成立しません。

相続人全員が合意できた場合、合意内容を書面に取りまとめます。

合意内容に間違いがないことを確認して、相続人全員が記名し実印で押印します。

遺産分割協議書への押印が実印であることの証明として、印鑑証明書を添付します。

③法定相続分で相続人全員が共有

相続が発生した場合、だれが相続人になるのか民法で決められています。

法定相続分とは、相続財産に対する取得割合です。

相続人が取得する法定相続分も、民法で決められています。

遺産分割協議をする場合、法定相続分とは無関係に合意することができます。

相続人全員で合意できるのであれば、法定相続分に従う必要はないからです。

法定相続分は、相続人全員について決められています。

法定相続分で相続登記をする場合、相続人全員で共有する相続登記になります。

2法定相続分で共有する相続登記

①一部の相続人だけで登記申請ができる

登記申請をする場合、原則として、当事者全員が登記申請をします。

法定相続分で相続登記をする場合、原則として、相続人全員が登記申請人になります。

相続登記は、一部の相続人が登記申請をすることができます。

法定相続分による相続登記は、保存行為だからです。

保存行為とは、財産の現状を維持し財産の価値を保存する行為のことです。

財産の現状を維持し財産の価値を保存するため、相続登記は一部の相続人から申請することができます。

相続財産は、相続人全員で共有しています。

共有者全員のために、保存行為をします。

他の共有者の同意を得ることなく、保存行為をすることができます。

他の相続人が反対していても、法定相続分で相続登記をすることができます。

②自分の相続分だけ申請することはできない

法定相続分で相続登記をする場合、相続人全員で共有する相続登記です。

保存行為は、共有者全員のためにされる行為です。

一部の相続人だけが相続登記の申請人になる場合であっても、相続人全員のために登記申請をします。

自分の法定相続分だけ、登記申請をすることはできません。

③実印や印鑑証明書が不要

相続が発生した場合、だれが相続人になるのか民法で決められています。

相続人が取得する法定相続分も、民法で決められています。

法定相続分で共有する相続登記をする場合、民法で決められたとおりに登記をします。

相続人の合意は必要ありません。

合意内容を証明することは、ありません。

相続人全員の合意内容を証明するときは、相続人全員が記名し実印で押印します。

実印であることの証明として、印鑑証明書を添付します。

法定相続分で共有する相続登記をする場合、相続人全員の合意不要だから印鑑証明書も不要です。

④申請人以外の相続人は権利証が発行されない

法定相続分で共有する相続登記をする場合、原則として、相続人全員が登記申請人になります。

法定相続分で共有する相続登記は保存行為だから、一部の相続人だけが登記申請人になることができます。

一部の相続人だけが登記申請人になる場合、申請人になった相続人にだけ権利証が発行されます。

申請人にならなかった相続人は、権利者なのに権利証が発行されません。

申請人にならなかった相続人が、後から権利証を発行して欲しいと法務局などに申し出ることはできません。

不動産を売却するときや担保に差し出す場合、権利証が必要になります。

権利者なのに権利証がない場合、余計な費用や手間がかかります。

⑤登録免許税は申請時に一括納付

相続登記を申請する場合、登録免許税を納めます。

相続登記の登録免許税は、不動産の評価額の1000分の4です。

不動産の評価額によっては、無視できない金額になります。

登録免許税は、登記申請書を提出するときに収入印紙を貼付する方法で一括納入します。

一部の相続人が登録免許税の負担金を渋ると、家族のトラブルに発展するおそれがあります。

3相続登記後に相続放棄

法定相続分で共有する相続登記をする場合、一部の相続人だけが登記申請人になることができます。

一部の相続人だけが登記申請人になって相続登記をした場合、他の相続人は相続登記をしたことを知りません。

相続人の中には、相続放棄をする人がいることがあります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなかったと扱われます。

自分が相続登記をした後で、相続放棄をすることはできません。

相続登記をした場合、単純承認をしたとみなされます。

相続登記をしたことは、相続財産を処分したと言えるからです。

自分が知らないところで他の相続人が相続登記をした場合、単純承認にはなりません。

相続放棄をした人は相続財産を処分したとは言えないからです。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、相続放棄をした人にだけ通知されます。

家庭裁判所は自主的に他の相続人に通知することはありません。

法務局は、だれが相続放棄をしたか知ることはできません。

相続放棄をしたことを知らないまま相続登記をした場合、結果として、間違った相続登記がされます。

誤った相続登記をしてしまった場合、あらためて登記の内容を訂正しなければなりません。

一部の相続人だけが登記申請人になって相続登記をした場合、余計な手間と費用がかかるおそれがあります。

4相続登記後に遺産分割協議

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めることができます。

法定相続分で相続人全員が共有する登記をした後であっても、相続財産の分け方を決めることができます。

相続登記があっても相続登記後でも、相続人全員で合意できれば遺産分割協議は有効です。

遺産分割協議の内容と相続登記の内容は、異なる結果になるでしょう。

登記の内容を訂正する必要があります。

法定相続分で相続登記をした後に遺産分割協議が成立した場合、余計な手間と費用がかかります。

5不動産の共有はデメリットが大きい

①共有不動産の処分は共有者全員の同意が必要

共有不動産を処分する場合、共有者全員の同意が必要です。

不動産を処分するとは、不動産を売却する、第三者に賃貸する、担保に差し出すことなどです。

共有者がたくさんいる場合、共有者全員の合意が難しくなります。

共有者全員が合意できる場合であっても、合意するために時間がかかりがちになります。

②共有者に相続が発生する

共有不動産を処分する場合、共有者全員の同意が必要です。

共有者全員の合意が難しくなると、売却などの判断は先延ばししがちです。

先延ばししていると、共有者に相続が発生することがあります。

死亡した共有者の共有持分は、相続財産になります。

死亡した共有者の相続人全員の共有財産になります。

共有者全員の合意が難しくなっている不動産は、適切な管理ができていないかもしれません。

積極的に相続したがらないかもしれません。

死亡した共有者の相続人が法定相続分で共有することがあります。

共有持分が細分化して、相続されます。

何人もの共有者で相続が発生すると、共有者が多人数になり持分が細分化されます。

適切に管理されていない場合、だれにどれだけの持分があるのか分からなくなります。

③共有持分を売却する

共有不動産全体を処分する場合、共有者全員の同意が必要です。

共有者が持っている共有持分を処分する場合、共有者全員の同意は不要です。

共有者が持っている共有持分を買い取る業者がいます。

共有者が経済的に困っている場合、自分の共有持分を売却するかもしれません。

共有持分を買い取る業者は、ビジネスで共有持分を買い取っています。

利益を最大化するため、遠慮なく共有者としての権利を主張します。

6必ず法定相続分で共有する相続登記をするケース

①胎児名義で相続登記

胎児は相続が発生した時点で出生していないけど、すでに生まれたものと見なして相続権を認めています。

胎児は、生きて生まれてくることを条件に相続人になることができます。

胎児は相続人になることができるから、相続財産の共有者のひとりです。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めることができます。

相続人に胎児がいる場合、遺産分割協議はできません。

胎児が合意をすることができないからです。

相続人に赤ちゃんがいる場合、遺産分割協議をすることができます。

赤ちゃんは自分で合意することができないけど、親などの親権者が代わりに合意をすることができるからです。

胎児は、親などが代わりに合意することはできません。

親などが代わりに合意できるのは、生まれてきた後だけだからです。

多くの場合、出生してから遺産分割協議をして相続登記をします。

出生前に相続登記をしておきたい事情があれば、法定相続分で共有する相続登記をすることができます。

②債権者が勝手に相続登記

被相続人が多額のプラスの財産を残して死亡することがあります。

相続人が多額の借金を抱えている場合、お金を貸した人は相続した財産からお金を返してもらいたいと期待するでしょう。

債権者は債権の保全のため、債務者の財産を差し押さえることができます。

差押など強制執行の準備のため、相続登記を申請することができます。

差押などの強制執行をするためには、相続人名義である必要があるからです。

差押の後は、競売をして債権を回収します。

被相続人の債権者も、相続人の債権者も、代わりに相続登記を申請することができます。

税金などを滞納している場合、国や自治体などの役所が代わりに相続登記をすることもあります。

債務者がするべき登記申請を債権者が代わりに登記申請することを代位登記と言います。

債権者は債務者の事情などお構いなしで登記します。

相続人全員の話し合いによる合意がどうなったのか、待つことはありません。

たとえ、相続人全員の話し合いで特定の相続人が相続することが合意されていても、登記されていなければ代位登記ができます。

相続登記をしていなければ、相続人全員の合意内容と違うから消して欲しいなどの文句を言えません。

相続登記を先延ばししていると、代位登記をされるリスクが高くなります。

民間業者であっても、役所であっても、代位登記を事前に知らせてくれることもありません。

相続人の知らないうちに、相続人全員が法定相続分で共有する相続登記が入ります。

債務者だけ相続登記をすることはできないからです。

相続人がだれひとり知らないうちに、相続人全員が法定相続分で共有する相続登記がされるのです。

7相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。

ほとんどの方は相続を何度も経験するものではないから、手続に不慣れで聞き慣れない法律用語でへとへとになります。

相続財産の分け方は相続人全員の話し合いによる合意が不可欠です。

一般的にいって、相続登記は相続手続の中でも難しい手間のかかる手続です。

簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があることもあります。

法務局の登記相談に行っても、法定相続分による相続登記のデメリットは伝えてもらえません。

法定相続分による相続登記のメリットデメリットを充分に判断したうえで、手続の方法のみ相談に行くところだからです。

司法書士は単に申請書を書いているだけではありません。

このような手続のメリットデメリットを判断してサポートをしています。

相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

孫に不動産を相続させる

2023-06-12

1孫が相続人になることがある

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どももいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②孫が代襲相続人なら相続できる

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

相続人になるはずだった人の子どもの子どもが相続することを再代襲相続と言います。

代襲相続ができるのは、相続人になるはずだった人の子どもなど被代襲者の直系卑属だけです。

相続人になるはずだった人を被代襲者と言います。

被代襲者の子どもなど被代襲者の直系卑属以外は代襲相続ができません。

被代襲者の配偶者も、被代襲者の親などの直系尊属も、被代襲者の兄弟姉妹も、代襲相続ができません。

孫が代襲相続人の場合、相続することができます。

③子どもが相続放棄をしても孫は代襲相続しない

被相続人の子どもが相続放棄をした場合、孫は代襲相続しません。

子どもが相続放棄をした場合、代襲相続が発生しないからです。

被相続人の子どもが相続放棄をした場合、はじめから相続人でなかったとみなされます。

相続人でなくなるから、代襲相続もあり得ません。

子どもが相続放棄をした場合、孫は相続することができません。

④孫と養子縁組をしたら相続できる

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。

子どものいない夫婦が養子縁組をする、配偶者の連れ子と養子縁組するといったことは日常的に聞くことあります。

一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人が第三者の子どもと養子縁組をして養親になっている場合があります。

被相続人が養親になっている場合、養子は被相続人の子どもです。

被相続人に相続が発生した場合、養子は被相続人の子どもとして相続人になります。

被相続人が孫と養子縁組をして養親になっている場合があります。

養子は、被相続人の孫であると同時に被相続人の子どもです。

被相続人の血縁関係のある子どもと養子に違いはありません。

同じ被相続人の子どもです。

被相続人に相続が発生した場合、養子は被相続人の子どもとして相続人になります。

被相続人が孫と養子縁組をした場合、孫は相続人になります。

2孫に不動産を遺贈できる

①相続人以外の人に遺贈ができる

遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。

遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができます。

孫が相続人であれば、相続させることができるし遺贈することができます。

孫が相続人でなければ、相続させることができないけど遺贈することができます。

孫が相続人であっても相続人でなくても、遺贈をすることができます。

被相続人が遺言によって遺贈することで、不動産を受け継ぐことができます。

②遺言書で孫を遺言執行者に指名できる

遺言書は遺言者の意思を示したものです。

遺言書を書いただけでは、意味がありません。

遺言書を書いただけで、自動的に遺言内容が実現するわけではないからです。

遺言書の内容を実現する人が遺言執行者です。

相続人は遺言の内容を見たら、被相続人の意思を尊重し、実現してあげたいと思うでしょう。

相続人にとって不利な内容になっている場合、遺言の実現に協力してくれないこともあります。

協力してくれない場合に備えて、遺言執行者を選任しておくことが有効です。

遺言執行者は遺言の内容を実現するために必要な行為をする権限があります。

協力しない相続人が遺言執行を妨害した場合、原則として、妨害行為は無効になります。

遺言執行者はいてもいなくても、遺言書の効力に違いはありません。

孫に不動産を引き継いでもらいたい場合、孫を遺言執行者に指名することができます。

孫は遺言執行者として遺言書の内容を実現することができます。

③遺言書があっても遺留分侵害額請求ができる

被相続人は、原則として、自分の財産を誰に受け継がせるかは自由に決めることができます。

とはいえ、財産は被相続人が1人で築いたものではなく、家族の協力があって築くことができたもののはずです。

被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすると今まで協力してきた家族に酷な結果となることもあります。

このため、被相続人に近い関係の相続人には相続財産に対して最低限の権利が認められています。

相続財産に対して、認められる最低限の権利のことを遺留分と言います。

遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

孫に過大な分与をした場合、他の相続人の遺留分を侵害してしまうことがあります。

遺言書で他の相続人の遺留分を侵害した場合、遺留分を侵害された相続人は遺留分侵害額請求をすることができます。

遺言者が遺留分を侵害するような分与にならないように、配慮する必要があるでしょう。

相続が発生してから、遺留分侵害額請求をする場合、トラブルに発展していることが多いです。

家族がトラブルに巻き込まれるのを望む人はいないでしょう。

財産を分与する場合、トラブルのもとにならないように充分配慮しましょう。

④遺言書の内容は代襲相続ができない

遺言書に「相続人〇〇に財産〇〇を相続させる」「□□に財産□□を遺贈する」と書いてあるケースがあります。

相続人〇〇が遺言者より先に死亡している場合、「相続人〇〇に財産〇〇を相続させる」は無効になります。

□□が遺言者より先に死亡している場合、「□□に財産□□を遺贈する」は無効になります。

相続も、遺贈も、財産を譲ってもらう人が遺言者より先に死亡している場合、遺言のその部分は無効になります。

遺言は死亡時に効力が発生するので、死亡時に受取人が存在している必要があるからです。

「相続人〇〇に財産〇〇を相続させる」「□□に財産□□を遺贈する」は無効になりますから、財産〇〇や財産□□は遺言書に記載がない財産になります。

遺言書に記載がない財産は、相続人全員の共有財産になります。

相続人〇〇や□□の子どもが代襲相続をすることはできません。

相続財産は相続人全員の共有財産ですから、相続人全員で分け方の合意が不可欠です。

3遺言執行者は相続登記ができる

①孫が相続人のとき遺言執行者が相続登記をすることができる

「不動産〇〇を相続人〇〇に相続させる。」

被相続人が上記のような遺言書を作成している場合があります。

特定の財産を特定の相続人に相続させる遺言です。

孫が相続人である場合、相続登記をします。

特定の財産を特定の相続人に相続させる遺言のことを、特定財産承継遺言と言います。

特定財産承継遺言がある場合、遺産分割協議は必要ありません。

相続が発生した時に、その財産はその相続人に帰属するからです。

財産がその相続人に帰属する場合でも、自動で相続登記がされることはありません。

相続登記は法務局に対して申請が必要だからです。

特定財産承継遺言がある場合、遺言執行者は相続手続をすることができます。

遺言執行者は相続手続のひとつとして、相続登記をすることができます。

遺言執行者が相続登記をすることができるのは、令和元年7月1日以降作成の遺言書に限られます。

遺言執行者が相続登記を申請することができるから、遺言執行者から司法書士などの専門家に相続登記を依頼することができます。

司法書士などの専門家に相続登記を依頼する場合、遺言執行者が委任状に記名押印をします。

②孫が相続人以外のとき遺言執行者が遺贈の登記をすることができる

「不動産□□を孫□□に遺贈する。」

被相続人が上記のような遺言書を作成している場合があります。

遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。

相続では、法定相続人だけに譲ってあげることができます。

遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができます。

遺言書に「遺贈する」とあれば、譲ってもらう人が相続人であっても相続人以外の人でも、遺贈で手続します。

財産が遺贈を受け取る人に帰属する場合でも、自動で遺贈の登記がされることはありません。

遺贈の登記は法務局に対して申請が必要だからです。

遺贈する遺言がある場合、遺言執行者は相続手続をすることができます。

遺言執行者は、遺贈を受け取る人と協力して遺贈の登記をすることができます。

孫が遺言執行者に指名されている場合、登記義務者と登記権利者の地位を兼ねることになります。

遺言執行者が遺贈登記を申請することができるから、遺言執行者から司法書士などの専門家に遺贈の登記を依頼することができます。

孫は遺言執行者として委任状を出し、遺贈を受け取る人として委任状を出すことができます。

遺贈の登記申請書に添付する印鑑証明書は、遺言執行者の印鑑証明書です。

4遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

遺言執行者は遺言書の内容を実現する人です。

相続人が遺言書の内容に納得していて、手続に協力的であれば、必ずしも、遺言執行者を選任する必要はありません。

子どもの認知など遺言執行者しかできない手続がある場合、遺言執行者を選任しておかないと、相続人に余計な手間をかけさせることになります。

遺言執行者は、相続開始後すみやかに手続を進めることができる時間と知識がある人を選ぶことが重要です。

その意味でも、家族より司法書士などの専門家に遺言執行を依頼する人が増えています。

以前は、遺言執行者は止むを得ない場合だけ、他の人に職務を任せることができるとされていましたが、現在は、止むを得ないなどの理由は不要になりました。

遺言執行者に指名され、職務をしてみたところ、思ったよりタイヘンだという場合、自己の責任で司法書士などの専門家におまかせすることもできます。

今後も、専門家に依頼する人は増えていくでしょう。

遺言執行を司法書士などの専門家に依頼した場合、相続人は基本待っているだけなので、トラブルになることが少なくなるからです。

家族を笑顔にするためにも、遺言書作成と遺言執行者選任しましょう。

家族の幸せのためにも、遺言書作成と遺言執行者選任を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続登記で必要な住民票

2023-05-26

1相続登記に必要な書類とは

登記申請書には、通常、相続関係説明図を添えます。

遺言書がない場合、おおむね、次の書類が必要です。

①被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

②相続人の現在戸籍

③被相続人の住民票の除票

④不動産を相続する人の住民票

⑤遺産分割協議書

⑥相続人全員の印鑑証明書

⑦固定資産税の評価証明書

事例によっては追加書類が必要になる場合があります。

相続登記では、特段の事情がある場合を除いて、権利証は提出不要です。

2被相続人は住民票の除票が必要

①登記名義人と被相続人が同一人物であることを確認する

登記簿には所有者の住所と氏名が登記されています。

被相続人の戸籍謄本には、本籍と氏名が記載されています。

登記と戸籍謄本だけでは、名前が同じ別の人かもしれないと考えられます。

被相続人の住民票の除票は、戸籍謄本の被相続人と登記されている所有者が同一人物であることを証明するために提出します。

被相続人の住民票の除票には、被相続人の氏名、住所、本籍が記載されているからです。

市町村役場で住民票の除票を請求する場合、本籍を記載してもらってください。

本籍の記載がない住民票の除票では、同一人物であるか確認できないからです。

被相続人の住民票の除票は、被相続人の死亡後に取得する必要があります。

被相続人の死亡後にに取得した除票であれば、取得後に何年経過していても問題はありません。

②被相続人の本籍と登記上の住所が一致する場合は住民票の除票は不要

登記名義人の住所と被相続人の本籍が一致する場合、法務局は同一人物と認めてくれます。

あらためて、住民票の除票を提出する必要はありません。

本籍地       〇〇市〇〇町〇番地

登記上の住所 〇〇市〇〇町〇番地1

上記の場合、一致しているとは言えません。

本籍地と登記上の住所が違うから、住民票の除票などで同一人物であることを証明しなければなりません。

本籍地       〇〇市〇〇町〇番地1

登記上の住所 〇〇市〇〇町〇番地の1

上記の場合、一致していると認められます。

住民票の除票は提出しなくても、相続登記を認めてもらえます。

③住民票の除票と登記上の住所が一致しない場合は戸籍の附票

住民票の除票には、死亡時の住所の他に、前住所地が記載されています。

登記上の住所が前住所地より古い住所の場合、住民票の除票では住所の移り変わりを証明できません。

戸籍の附票には、その戸籍が作られてからの住所の移り変わりが書いてあります。

戸籍が作られて以降であれば、前住所だけでなく前々住所も確認することができます。

戸籍の附票に書いてあるいずれかの住所と登記簿に書いてある住所が一致した場合、被相続人の住所の移り変わりを証明したと言えます。

④戸籍の附票が取れない場合は権利証

戸籍の附票の保存期間は、現在は150年です。

令和元年6月20日以前は、たった5年でした。

平成26年6月20日以降に作られた戸籍の附票は、廃棄前に保存期間が延びたので保存されています。

令和元年6月20日以前に廃棄された場合、原則として、取得することはできません。

住民票の除票でも戸籍の附票でも住所の移り変わりが確認できない場合、権利証を提出します。

権利証は、不動産に権利があることを証明する書類だからです。

通常、相続登記では権利証を提出する必要はありません。

相続は、相続の発生という事実の発生によって登記申請をします。

不動産の持ち主は死亡した被相続人なので意思確認をしたくてもできません。

だから、不動産の持ち主の意思を確認する必要がなく、権利証を用意する必要がないのです。

権利証を提出不要にする代わりに、事実の発生を証明する戸籍謄本等を提出する必要があります。

被相続人の住所の移り変わりを証明することができない場合、権利証を提出して登記簿に書いてある人であると証明することができます。

被相続人の権利証を提出した場合、被相続人の住所の移り変わりを証明していないけど、権利者であることを証明したと言えます。

⑤権利証を見つけられなかったら相続人全員からの印鑑証明書付き上申書

土地や建物は重要な財産であることが多いので、その権利証は大切に保管してあるでしょう。

権利証は紛失しても再発行されません。

普段は大切に保管して簡単に人目にさらしたりしないものですが、相続など大切な場面で見つけることができなくなることは多々あります。

被相続人が保管していた場合、保管場所を共有していない家族が見つけられなくなるのです。

権利証が見つけられない場合、権利証を提出して権利者であることを証明することはできません。

権利証を提出することができない場合、相続人全員からの印鑑証明書付き上申書を提出します。

上申書は「不動産の所有者は被相続人に間違いありません」という法務局宛てのお願いです。

相続人全員とは、遺産分割協議に参加するべき人全員です。

その財産を相続する人だけではありません。

その財産を受け取らないけど他の財産を相続する人など遺産分割協議に参加するべき人全員から上申書を提出します。

遺産分割協議に参加するべき人全員が、実印で押印し印鑑証明書を添付します。

印鑑証明書は古いものでも差し支えありません。

法務局によっては、上申書の他に不在住証明書や不在籍証明書が必要になります。

固定資産税の納税証明書の提出が求められる場合があります。

固定資産税は、一般的に所有者が負担するものだからです。

固定資産税を負担していた場合、所有者であったと認めてもらいやすくなります。

住所がつながらない場合などイレギュラーな場合の取り扱いは、管轄の法務局によって異なる場合があります。

3相続人は住民票が必要

①相続人の最新の住所を確認する

登記簿には登記名義人の住所が登記されます。

不動産を相続する人の住民票は、不動産を相続する人の住所を証明するために提出します。

住民票に有効期限はありません。

不動産を相続する人の最新の住所が記載されているのであれば、取得後に何年経過していても問題はありません。

不動産を相続する人だけが記載されている住民票でも家族全員が記載されている住民票でも、差し支えありません。

②住所証明書であれば住民票以外でも使える

相続人が提出するべき書類は、本来、住所を証明する書類です。

市町村長や登記官などの公務員が職務上証明した書類であれば、住所証明書として認められます。

住所証明書として一番身近な書類が住民票であるに過ぎません。

住民票以外に住所証明書として認められる書類は、戸籍の附票や印鑑証明書が挙げられます。

相続手続をする場合、遺産分割協議書を作成して印鑑証明書を添付します。

遺産分割協議書に添付した印鑑証明書が1枚あれば、住所証明書としても使うことができます。

印鑑証明書には、印鑑登録をした人の住所が記載されています。

印鑑証明書を取得してから長期間経過した場合、相続人が転居する場合や住居表示が実施される場合があります。

不動産を相続する人は、最新の住所が記載された住民票を提出する必要があります。

印鑑証明書の住所と住民票の住所が違う場合、法務局は別の人であると判断します。

同一人物であることを証明するために、住所の移り変わりを証明しなければなりません。

印鑑証明書の住所から住民票の住所までの住所の移り変わりを証明する書類が追加で必要になります。

③その不動産を相続する人以外の住民票は不要

相続人の住民票は、その不動産を相続する人だけです。

相続人全員の住民票ではありません。

登記簿に記載する住所を確認するためなので、登記簿に記載されない人は住民票も不要です。

④死亡した相続人で除票が取得できないとき

不動産を相続する人が死亡してしまった場合でも、相続登記をすることができます。

生前に不動産を相続したのだから、相続した事実を登記することができます。

死亡した相続人で相続登記をする場合、原則として、住民票の除票が必要です。

住民票の除票や戸籍の附票は、永年保管ではありません。

役所で廃棄済になった場合、住民票の除票や戸籍の附票を取得することができません。

このような場合、被相続人の最後の本籍地を住所として相続登記をすることができます。

4法定相続情報一覧図を利用すると便利

①法定相続情報一覧図とは

相続手続のたびに、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍と相続人の現在戸籍の束を提出しなければなりません。

大量の戸籍を持ち歩くと汚してしまったり、紛失する心配があるでしょう。

被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのか一目で分かるように家系図のように取りまとめてあると便利です。

この家系図と戸籍謄本等を法務局に提出して、登記官に点検してもらうことができます。

登記官は内容に問題がなかったら、地模様の入った専用紙に認証文を付けて印刷して、交付してくれます。

登記官が地模様の入った専用紙に印刷してくれた家系図のことを法定相続情報一覧図と言います。

法務局に戸籍謄本等の点検をお願いすることを法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出と言います。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をするときに、戸籍謄本だけでなく被相続人の住民票除票や相続人の住民票を提出することができます。

家系図に被相続人の最後の住所や相続人の住所を記載しておけば、登記官は一緒に点検をしてくれます。

被相続人や相続人の住所が記載された法令相続情報一覧図があると相続手続がよりスムーズになります。

②住所が書いてある法定相続情報一覧図を提出すれば住民票は提出不要

相続登記をする場合、たくさんの書類を用意しなければなりません。

(1)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

(2)相続人の現在戸籍

(3)被相続人の住民票の除票

(4)不動産を相続する人の住民票

被相続人の最後の住所や相続人の住所が記載された法定相続情報一覧図を提出する場合、上記(1)~(4)の書類が提出不要になります。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をしたときに、登記官が確認しているからです。

(1)~(4)の書類だけでも大量になることが多いものです。

(1)~(4)の書類を一目で分かるようにまとめた法定相続情報一覧図はとても便利です。

③法定相続情報一覧図は再交付をすることができる

法定相続情報一覧図は、保管及び交付の申出をしたときから5年間保管されています。

5年以内であれば、法務局で再交付してもらうことができます。

5住民票は原本還付をしてもらうことができる

相続の手続先は、たくさんあるのが通常です。

相続登記で提出した住民票は、登記が完了した後に返してもらうことができます。

返してもらいたい住民票のコピーを用意します。

コピーに「原本に相違ありません」と記載し、申請人が記名押印をします。

押印する印章は、認印で構いません。

6相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人は悲しむ暇もなく相続手続に追われます。

ほとんどの人は相続手続は不慣れで、聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。

インターネットの普及で多くの人は簡単に多くの情報を手にすることができるようになりました。

多くの情報の中には正しいものも、適切でないものも同じように混じっています。

相続登記もカンタンにできる、ひとりでできたという記事も散見されます。

不動産は、重要な財産であることも多いものです。

登記手続は、一般の方から見ると些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

法務局の登記手続案内を利用すれば、シンプルな事例の申請書類などは教えてもらえます。

個別具体的な事例に関しては、わざわざ説明してくれません。

司法書士などの専門家から見れば、トラブルのないスムーズな相続手続であっても、知識のない一般の方はへとへとになってしまいます。

住所がつながらない場合など、シンプルな事例とは言えない事情がある場合は申請を取下げて、やり直しになることが多いでしょう。

司法書士は登記の専門家です。

スムーズに相続登記を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

死亡した人名義で相続登記

2023-05-19

1死亡した人名義で相続登記ができる

不動産を相続する人が決まったら、不動産の名義を書き換えます。

この不動産の名義の書き換えのことを相続登記と言います。

名義の書き換えをしないまま先延ばしをしているうちに、不動産を相続する人が死亡してしまう場合があります。

不動産を相続する人が死亡してしまった場合、相続登記ができなくなることはありません。

不動産を相続する人が死亡してしまった場合でも、相続登記をすることができます。

不動産を複数の相続人が共有して相続する場合があります。

共有する相続人のうち一部の相続人が死亡してしまう場合があります。

不動産を相続する人のうち一部の相続人が死亡してしまった場合でも、相続登記をすることができます。

不動産を相続する人が死亡してしまった場合、相続登記ができなくなることはないからです。

死亡した人名義の相続登記について、どこかしら不思議な気持ちになるかもしれません。

登記は、権利の変動の過程を忠実に反映させる制度です。

生前に不動産を相続したのだから、相続した事実を登記することができます。

権利の変動の過程を忠実に反映させるから、登記制度を信頼することができます。

不動産を複数の相続人が共有して相続する場合、一部の相続人が死亡してしまったときも同じことです。

生前に不動産を相続したのだから、相続した事実を登記することができます。

登記申請をしたときにはすでに死亡してしまっているけれど、生前に相続した事実を登記することができます。

生前に共有していたから、共有していたことを登記することができます。

死亡した人と生きている人が共有している相続登記になりますが、このような登記も有効です。

2相続手続中に相続人が死亡すると手続が複雑になる

①遺産分割協議中に相続人が死亡した場合

相続人は被相続人の権利義務を受け継ぎます。

死亡した相続人が最初の相続について単純承認をした場合、単純承認した地位を受け継ぎます。

死亡した相続人の相続について、単純承認をすることも相続放棄をすることもできます。

死亡した相続人の相続人は相続放棄をする場合、家庭裁判所に手続をする必要があります。

単純承認をする場合、最初の相続について遺産分割協議に参加します。

遺産分割協議書は、死亡した相続人の相続人が押印し、印鑑証明書を添付します。

相続人の肩書は、最初の相続の相続人は「相続人」、死亡した相続人の相続人は「相続人兼被相続人〇〇〇の相続人」と分かりやすく明記します。

②遺産分割協議書に押印し印鑑証明書を添付した後、相続人が死亡した場合

死亡した相続人が押印した遺産分割協議書を使って相続登記をすることができます。

死亡した相続人が生前に取得した印鑑証明書も使うことができます。

相続登記において印鑑証明書は有効期限はありません。

何十年も前の古いものでも差し支えありません

③遺産分割協議書に押印し印鑑証明書を取得せず、死亡した場合

人が死亡した場合、役所に死亡届を提出します。

死亡届を提出すると、戸籍と住民票に死亡したことが記載されます。

住民票と印鑑登録は連動していますから、同時に印鑑登録が抹消されます。

印鑑登録が抹消されると、印鑑証明書は取得できなくなります。

このような場合、死亡した相続人の相続人が上申書を提出します。

「別紙、遺産分割協議書に記載のとおり、被相続人〇〇の遺産分割協議が成立していることを証明する。」といった内容です。

上申書に死亡した相続人の相続人全員が実印で押印し、印鑑証明書を添付します。

この上申書は、単なる事実の証明です。

相続人同士の交渉や話し合いではありません。

死亡した相続人の相続人に、親権者と未成年者がいても、利益相反にはなりません。

死亡した相続人の相続人に未成年者がいても、相続人の相続人である親権者が代理することができます。

利益相反とは、親権者がトクすると、未成年者がソンする関係のことです。

単なる事実の証明だから、誰かがソンするとかトクするとかいう話ではないのです。

親権者は未成年者を代理できますから、家庭裁判所に特別代理人選任の申立は必要ありません。

④遺産分割協議に合意はしたが、遺産分割協議書を作る前に相続人が死亡した場合

遺産分割協議は成立していますから、やり直しは必要ありません。

遺産分割協議書に取りまとめる前に死亡したので、死亡した相続人の相続人全員が上申書を提出します。

「別紙、遺産分割協議書に記載のとおり、被相続人〇〇の遺産分割協議が成立していることを証明する。」といった内容です。

上申書に死亡した相続人の相続人全員が実印で押印し、印鑑証明書を添付します。

3途中の相続人がひとりの場合は直接最終の相続人に相続登記ができる

登記はそれぞれの原因ごとに分けて申請するのが原則です。

権利が移っていった過程もきちんと記録されなければならないからです。

売買などで、A→Bの後、B→Cと所有権が移転した場合、2つの登記申請が必要です。

途中を飛ばして、A→Cとすることはできません。

Bに所有権が移転したことが分からなくなってしまうからです。

相続登記においては、途中の人が1人の場合に限り、途中の人を飛ばして登記することができます。

相続人がだれであるかは戸籍を調べれば分かるから、途中を省略しても差し支えないとされています。

途中の人が1人になる場合とは、最初から1人の場合だけに限りません。

もともとの相続人はたくさんいたけど、他の相続人全員が相続放棄をしたや、遺産分割協議で1人が相続すると合意した場合も含みます。

最初の相続の遺産分割協議中に相続人が死亡した場合でも、最初の相続の他の相続人全員と死亡した相続人の相続人全員で遺産分割協議ができます。

最初の相続の他の相続人全員と死亡した相続人の相続人全員で、最初の相続の相続財産を死亡した相続人が相続することを合意することができます。

このような死亡した相続人が相続する合意をした場合も、遺産分割で1人になった場合に含みます。

遺産分割協議をしないまま、相続人が死亡して、最終の相続人が1人になった場合、途中を省略することはできません。

最終の相続人が複数であれば遺産分割協議ができますが、最終の相続人が1人になった場合は遺産分割協議はできないからです。

相続財産の分け方について合意をしたが、遺産分割協議書に取りまとめる前に、相続人が死亡した場合は別の結論になります。

合意をしたが、文書に取りまとめる前に死亡したのであれば、最終の相続人が1人になった場合でも、途中を省略することができます。

遺産分割は文書に取りまとめてなくても有効だからです。

この場合、1人になった相続人が、死亡した相続人と遺産分割協議をした内容を遺産分割協議証明書という書類に取りまとめます。

遺産分割協議証明書は相続登記において登記原因証明情報として法務局に提出します。

4死亡した相続人名義の相続登記をするときの注意点

①死亡した相続人名義の相続登記は死亡した相続人の相続人が申請

死亡した相続人名義の相続登記をする場合、通常の相続登記との違いはあまりありません。

死亡した相続人は、当然、自分で申請することができないから、死亡した相続人の相続人から申請します。

②死亡した相続人の住民票の除票が必要

所有権の登記名義を付ける場合、登記名義人になる人の住所を証明する書類を提出します。

死亡した相続人名義の相続登記をする場合、死亡した相続人の住所を証明する書類が必要になります。

死亡した相続人の住所は、住民票の除票や戸籍の附票を提出します。

住民票の除票や戸籍の附票は、永年保管ではありません。

現在は150年間保管されていますが、令和元年までは5年でした。

役所は保存期間を過ぎた書類は、順に廃棄します。

役所で廃棄済になった場合、必要な書類を取得することができません。

このような場合、被相続人の最後の本籍地を住所として相続登記をすることができます。

最期の本籍地を住所地として登記をする場合、法務局によっては、廃棄証明書の他に相続人全員から印鑑証明書付き上申書を提出するように言われる場合があります。

③土地について死亡した相続人名義の相続登記は非課税

死亡した相続人に相続登記をする場合、土地の登録免許税が非課税になります。

登記申請書には「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載します。

記載しない場合、非課税となりません。

記載を忘れて、通常どおり登録免許税を納めた場合、登録免許税は還付されません。

④死亡した相続人名義の相続登記でも権利証を作ってもらえる

相続登記を申請する場合、権利証を作ってもらうかどうか選択することができます。

死亡した相続人名義の相続登記をした後、すぐに名義人を被相続人とする相続登記をする場合、権利証を作ってもらう必要はないでしょう。

死亡した相続人が生前に遺言書を作成している場合があります。

遺言書を確認したら、相続した不動産を遺贈すると書いてあることがあります。

遺贈の登記をする場合、権利証が必要になります。

権利証がないと手続が複雑になります。

5相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。

ほとんどの方は相続を何度も経験するものではないから、手続に不慣れで聞き慣れない法律用語でへとへとになります。

一般的にいって、相続登記は、その中でも難しい手間のかかる手続です。

不動産は重要な財産であることが多いので、一般の方からすると些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があることもあります。

法務局の登記相談に行っても、何が良くないのか分からなかったというケースも多いです。

司法書士はこのような方をサポートしております。

相続登記を自分でやってみたけど、挫折した方の相談も受け付けております。

相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続登記で戸籍の附票

2023-05-05

1戸籍の附票で相続人の住所が分かる

①戸籍の附票は住所を証明する書類

相続人調査をする場合、必要な戸籍を読み解いて相続人を確定させていきます。

被相続人が死亡したとき、健在であった相続人が判明するでしょう。

相続人の現在戸籍を取得するときに、一緒に戸籍の附票も請求しましょう。

戸籍の附票は、住民票の異動が記録されている書類です。

住民票は住民票を置いている役所に請求する必要があります。

住所が分からないと請求できなくて困ってしまいます。

戸籍の附票は本籍地のある役所に請求します。

相続人調査で戸籍を集めますから、本籍は必ず判明します。

住民票上の住所は、戸籍の附票で調べることができます。

戸籍の附票は戸籍と同様に、本籍地の役所に出向いて請求することもできるし、郵便で請求することもできます。

戸籍謄本や戸籍の附票は、相続人であれば、だれでも、取り寄せることができます。

②戸籍謄本と戸籍の附票のちがい

大切な家族が死亡したら、相続の手続をすることになります。

相続手続のため、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を集めます。

戸籍謄本には、その人の身分関係がすべて記録されています。

結婚や離婚、子どもや養子の存在を家族には内緒にしている方もいます。

身分関係に関することは、戸籍には記録されています。

その人の身分関係を証明する書類が戸籍謄本です。

戸籍の附票は、戸籍を一緒に保管されている書類です。

その人が戸籍に入ってから除籍されるまでの住所が記録されています。

戸籍には、住所は記録されていません。

戸籍謄本には、住所は記載されません。

戸籍の附票に、住所が記載されています。

戸籍謄本に記載されている人の住所を確認するためには、戸籍の附票が必要です。

戸籍の附票を取得する場合、本籍の記載をしてくださいとわざわざ言う必要があります。

請求しないと本籍の記載が省略されるからです。

本籍の記載が省略された戸籍の附票の場合、戸籍謄本に記載されている人の住所の証明とは言えません。

単なる同姓同名の人かもしれないからです。

本籍と氏名と生年月日が一致するから、同一人物と認めてもらえます。

③住民票と戸籍の附票のちがい

戸籍の附票には、その人が戸籍に入ってから除籍されるまでの住所が記録されています。

戸籍の附票は、その人の住所を証明する書類と言えます。

一般的に、住所を証明する公的書類としては住民票の方がなじみがあるでしょう。

住民票には、現在の住所の他に前住所が記載されています。

前の前の住所は、記載されていません。

戸籍の附票には、その人が戸籍に入ってから除籍されるまでの住所が記録されています。

その人が戸籍に入ってから除籍されるまでの間に住所を転々としていた場合、住所の移り変わりが分かります。

被相続人が不動産を所有していた場合、相続登記をします。

不動産を所有している人が住所を変更した場合、原則として、その都度住所変更登記をします。

不動産を所有している人が住所を変更したのに住所変更登記をしないままであることは多々あります。

住所変更登記をしていない場合、被相続人の死亡時の住所と登記簿の住所が一致しません。

被相続人の死亡時の住所と登記簿の住所が一致しない場合、住所の移り変わりを証明する必要があります。

住所の移り変わりを証明しない場合、単なる同姓同名の人かもしれないからです。

住所の移り変わりを証明するために、戸籍の附票や住民票を提出します。

登記簿の住所が戸籍に入ってから除籍されるまでの住所であれば、戸籍の附票を提出すればいいでしょう。

その人が戸籍に入る前の住所で、かつ、前住所地であれば、住民票を提出すればいいでしょう。

戸籍の附票には、その人が戸籍に入る前の住所は記載されていません。

戸籍の附票で住所の移り変わりを証明できないけど、住民票で証明できる場合があります。

④除附票を請求することができる

戸籍の附票には、その人が戸籍に入ってから除籍されるまでの住所が記録されています。

多くの人は、出生から死亡までの間に結婚や離婚、養子縁組や離縁、戸籍の作り直しなどで複数の戸籍を渡り歩いています。

結婚や離婚、養子縁組や離縁、戸籍の作り直しなどで除籍される場合、新しい戸籍に身分事項が記録されます。

同時に、新しい戸籍の附票に住所が記録されます。

死亡時の戸籍の附票で住所の移り変わりを証明できない場合でも、古い戸籍の附票を取得すると証明できるかもしれません。

⑤戸籍の附票は保存期間経過で取得できなくなる

戸籍の附票は、戸籍を一緒に保管されている書類です。

戸籍の附票は、永久保管ではありません。

役所は保存期間を決めていて、古くなった戸籍の附票は順次廃棄します。

戸籍の附票の保存期間は、現在は150年です。

令和元年6月20日以前は、たった5年でした。

平成26年6月20日以降に作られた戸籍の附票は、廃棄前に保存期間が延びたので保存されています。

令和元年6月20日以前に廃棄された場合、原則として、取得することはできません。

2戸籍の附票の取得方法

①戸籍の附票を請求できる人

戸籍の附票は、個人情報が記載されています。

だれでも請求できるわけではありません。

市区町村役場によって異なりますが、請求できる人は次のとおりです。

(1)戸籍に記載されている本人

(2)戸籍に記載されている人の配偶者、直系尊属、直系卑属

(3)戸籍請求をする正当な利害関係人

利害関係人から請求する場合、利害関係があることの証明書が必要になります。

戸籍の附票の取得は、代理人に委任することができます。

代理人に委任する場合、委任状が必要になります。

相続手続などを司法書士などの専門家に依頼する場合、一緒に戸籍謄本や戸籍の附票の取得を依頼することができます。

②戸籍の附票の請求先

戸籍の附票の請求先は、本籍地の市区町村役場です。

③戸籍の附票の取得方法

(1)本籍地の市区町村役場の窓口で取得する

(2)本籍地の市区町村役場に郵送請求する

戸籍の附票は、郵送で請求することができます。

請求する人の身分証明書のコピーを添えて郵送します。

市区町村役場とは別の場所の郵送事務センターなどに送付する必要がある場合があります。

郵送請求をする場合は、市区町村役場のホームページなどで確認するといいでしょう。

あらかじめ返信用の切手が貼ってある返信用の封筒を一緒に送ると、返送してくれます。

郵送するときは普通郵便でも構いませんが、レターパックなど追跡できる郵便を利用すると、安心です。

(3)コンビニ交付サービスで取得する

本籍地の市区町村役場がコンビニ交付サービスに対応している場合があります。

地方公共団体情報システム機構のホームページでコンビニ交付サービスに対応しているか調べることができます。

マイナンバーカードを使って、本籍地まで行かないでも戸籍の附票を取得することができます。

コンビニ交付サービスで取得できるのは、現在戸籍の附票のみです。

除籍の附票は、取得できません。

④戸籍の附票の発行手数料

戸籍の附票を請求する場合、発行手数料を納入しなければなりません。

手数料は、市区町村役場によって異なります。

おおむね、300円程度です。

郵送請求すると高くなる場合やコンビニ交付の場合は安くなる場合があります。

郵送請求する場合、戸籍の附票の手数料は定額小為替で納入します。

定額小為替は、郵便局で購入することができます。

登記簿上の住所から死亡時の住所までの移り変わりを証明する場合、戸籍の附票が複数必要になることがあります。

戸籍の附票が複数になる場合、発行手数料がかさみます。

手数料が不足することがないように、多めに送っておくと余りは返してもらえます。

3戸籍の附票は本人確認書類になる

戸籍の附票には、その人が戸籍に入ってから除籍されるまでの住所が記録されています。

戸籍の附票は、その人の住所を証明する書類と言えます。

当然、氏名が記載されています。

法改正によって、戸籍の附票の記載事項に生年月日と男女の別が追加されました。

戸籍の附票は、本人特定事項がすべて記載されることになりました。

犯罪収益移転防止法などに規定される本人確認書類として使うことができます。

4相続人調査を司法書士に依頼するメリット

本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。

古い戸籍は現在と形式が違っていて読みにくかったり、手書きの達筆な崩し字で書いてあって分かりにくかったりしますから、慣れないと戸籍集めはタイヘンです。

本籍地を何度も変更している方や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている方は、戸籍をたくさん渡り歩いているので、膨大な手間と時間がかかることが多くなります。

役所や法務局の手続では、通常、戸籍や住民票の期限は問われません。

銀行預金の解約など銀行の手続では、銀行独自で期限を設けている場合があります。

集めた戸籍や住民票を手続後、返却してくれる場合、返却してくれない場合があります。

期限があって、かつ、返却してくれるところから優先して手続するといいでしょう。

集めた戸籍や住民票を返却してくれないところをはじめに手続すると、集めた戸籍や住民票の集め直しになるからです。

段取りよく要領よく手続するにはちょっとしたコツがいります。

お仕事や家事でお忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続きを丸投げできます。

ご家族にお世話が必要な方がいて、お側を離れられない方からのご相談もお受けしております。

集めてみたけど途中で挫折した方や全部集めたと思ったのに金融機関や役所からダメ出しされた方もいらっしゃいます。このような場合、司法書士が目を通して、不足分を取り寄せします。

相続人調査でお困りのことがあれば、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

平日の昼間に役所にお出かけになって準備するのは負担が大きいものです。

戸籍や住民票は郵便による取り寄せもできますが、書類の不備などによる問い合わせはやはり役所の業務時間中の対応が必要になりますから、やはり負担は軽いとは言えません。

このような戸籍や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

相続人調査でお困りの方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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