Archive for the ‘不動産売却’ Category
遺言書が原因で相続した不動産が売却できない
1相続した不動産は売却できる
①相続人が売却手続
相続した不動産は、相続人が自由に処分できます。
遺言書の存在が相続した不動産の売却を妨げることはありません。
遺言書の内容や手続の進め方によって、不動産の売却手続が進まなくなります。
②売却するまで固定資産税はかかり続ける
固定資産税とは、不動産を保有していると課される税金です。
相続した不動産に、固定資産税は課されます。
遺産分割協議中は、相続人全員が連帯して固定資産税全額を納付する義務があります。
売却できない状態が長引くと、固定資産税が嵩みます。
不動産を売却するまで、固定資産税はかかり続けます。
③遺言書があっても遺産分割協議ができる
遺言書を作成して、財産の分け方を指定することができます。
遺言書で相続財産の分け方が指定されている場合、遺産分割協議は不要です。
遺産分割協議とは、相続人全員による相続財産の分け方についての話合いです。
ときには、遺言書の内容が大きく偏っていることがあります。
内容が極端に偏った遺言書をそのまま執行すると、相続人間で深刻なトラブルになります。
相続人間でトラブルになるおそれがあるのに、わざわざ執行してトラブルにする必要はありません。
相続人全員で話し合って、相続財産の分け方を決める方が合理的です。
遺言書があっても、相続人全員の合意で遺産分割協議をすることができます。
④売却する前提で遺言書を作成できる
遺言書を作成すると言うと、財産の分け方を真っ先にイメージするでしょう。
相続財産に不動産が含まれる場合、分け方に困ることがあります。
不動産をそのまま分ける方法の他に、売却して金銭で分けることができます。
売却する前提で、遺言書を作成することができます。
2遺言書が原因で相続した不動産が売却できない
ケース①自宅保管の自筆証書遺言
(1)売却できない理由
遺言書を作成する場合、公正証書遺言か自筆証書遺言を作成することがほとんどです。
公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に伝え公証人が書面に取りまとめる遺言書です。
自筆証書遺言とは、自分で書いて作る遺言書です。
遺言書は、遺言者が死亡したときに効力が発生します。
公正証書遺言は、遺言者が死亡した後すぐに執行することができます。
自宅などで保管していた自筆証書遺言は、遺言者が死亡した後すぐに執行することができません。
家庭裁判所で、検認手続をする必要があるからです。
検認手続とは、自筆証書遺言を家庭裁判所に提出して開封してもらう手続です。
検認手続が必要なのに検認手続をしないと、相続手続を進めることができません。
相続手続を進められないと、不動産の売却手続を進めることができません。
(2)売却するための対策
自筆証書遺言を見つけた人や預かっていた人は、家庭裁判所に対して自筆証書遺言検認の申立てをします。
自筆証書遺言検認の申立てを受付けたら、相続人全員を家庭裁判所に呼び出します。
検認期日では、遺言書を開封し遺言書の内容や形状を確認します。
検認が終わったら、検認済証明書を発行してもらいます。
自筆証書遺言と検認済証明書を添えて、相続手続をします。
相続登記が完了したら、不動産の売却手続を進めることができます。
ケース②内容が不明瞭な遺言書
(1)売却できない理由
自筆証書遺言は、専門家のサポートなしで作られることがほとんどです。
専門家のサポートがないと、適切な記載をすることは難しいでしょう。
「自宅は、お兄ちゃんに任せる。」
上記の記載は、内容が不明瞭な遺言書の代表例です。
自宅とは、どこに所在するどの不動産なのか分かりません。
お兄ちゃんとは、だれなのか分かりません。
任せるとは、相続させるのか管理させるのか分かりません。
内容が不明瞭な遺言書があっても、相続手続を進めることができません。
相続手続を進められないと、不動産の売却手続を進めることができません。
(2)売却するための対策
遺言書があっても、相続人全員の合意で遺産分割協議をすることができます。
相続人全員で適切な合意をした後、合意内容を書面に取りまとめます。
合意内容を取りまとめた書面を遺産分割協議書と言います。
適切な内容の遺産分割協議書を添えて、相続手続をします。
相続登記が完了したら、不動産の売却手続を進めることができます。
ケース③書き方ルール違反の遺言書
(1)売却できない理由
遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。
公正証書遺言は、公証人が書面に取りまとめます。
公証人は、法律の専門家です。
公証人が関与したのに、書き方ルールに違反することは考えられません。
自筆証書遺言は、ひとりで作成されることがほとんどです。
書き方ルールに違反すると、遺言書が無効になります。
例えば、次の遺言書は書き方ルールの違反で無効になります。
・遺言書の本文がPCなどで作成
・遺言者以外の人が代筆
・〇月吉日など日付と特定できない
・日付スタンプが押してあって、自書していない
・押印がない
無効の遺言書があっても、相続手続を進めることができません。
相続手続を進められないと、不動産の売却手続を進めることができません。
(2)売却するための対策
遺言書が無効の場合、遺言書による相続手続はできません。
遺言書が無効になると、遺言書がなかった扱いになるからです。
遺言書がない場合、相続財産の分け方は相続人全員の合意で決定します。
遺産分割協議が成立したら、相続手続を進めることができます。
相続登記が完了したら、不動産の売却手続を進めることができます。
ケース④共有で相続させる遺言書
(1)売却できない理由
遺言書で相続財産の分け方が指定されている場合、遺言書の内容どおりに遺産分割をすることができます。
遺言書の内容が共有で相続させる場合、不動産は共有になります。
不動産が共有になると、一部の相続人だけで不動産を売却することはできません。
共有する不動産を売却するためには、共有者全員の同意が必要だからです。
(2)売却するための対策
遺言書の内容が共有で相続させる場合、共有で相続登記をすることができます。
共有者全員の協力があれば、不動産を売却することができます。
共有者全員の協力が難しい場合、家庭裁判所に共有物分割調停を申し立てることができます。
共有物分割調停とは、家庭裁判所の助力を得て共有者全員による合意を目指す制度です。
共有物分割調停で合意ができないときは、共有物分割請求訴訟をすることができます。
ケース⑤遺言執行者がいる
(1)売却できない理由
遺言書は、作成するだけでは意味がありません。
遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。
遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。
遺言書で、遺言執行者を指名することができます。
遺言執行者がいる場合、相続人は遺言執行者の妨害行為はできません。
相続人が不動産を売却したいと思っても、遺言書の実現が優先されるからです。
(2)売却するための対策
遺言執行者には、遺言書の内容を実現する義務があります。
相続人は、遺言執行者を無視して勝手に不動産の売却行為はできません。
相続人は、遺言執行者の妨害行為はできないからです。
遺言執行者は遺言書の内容を実現する人で、相続人の希望をかなえる人ではありません。
不動産の売却行為が必要で合理的であれば、遺言執行者の協力が得られるでしょう。
遺言執行者の協力が得れば、不動産を売却することができます。
例外的なケースでは、家庭裁判所に解任の申立てをすることができます。
例えば、遺言執行者が長期間職務を放置するケースや横領など違法行為をしたケースです。
遺言書に書いていないのに不動産売却に協力してもらえないだけでは、解任事由にあたらないでしょう。
遺言執行が完了したら、財産は相続人のものになります。
相続人は、相続した不動産を自由に処分することができます。
ケース⑥遺言書で遺贈
(1)売却できない理由
遺贈とは、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。
相続人に対して不動産を遺贈した場合、遺贈を受けた相続人は他の人の協力なしで所有権移転登記をすることができます。
相続人以外の人に対して不動産を遺贈した場合、遺贈義務者の協力がないと所有権移転登記をすることができません。
遺言執行者がいる場合、遺贈義務者は遺言執行者です。
遺言執行者がいない場合、遺贈義務者は相続人全員です。
遺言書の内容に不満がある相続人がいると、相続手続を進められなくなります。
(2)売却するための対策
遺言執行者には、遺言書の内容を実現する義務があります。
遺言執行者が協力しないことは、あまり考えられません。
遺言書で遺言執行者が指名されていない場合、家庭裁判所に遺言執行者選任の申立てをすることができます。
家庭裁判所が選任した遺言執行者と協力して、所有権移転登記をすることができます。
所有権移転登記が完了したら、不動産の売却手続を進めることができます。
3売却予定でも相続登記は省略できない
①権利変動の過程を公示する
相続した不動産をすぐに売却する予定の場合、相続登記の手間と費用がもったいないと考えるかもしれません。
相続登記を省略することはできません。
登記制度は、現在の所有者を公示しているだけではないからです。
登記制度で、権利変動の過程も公示しています。
相続登記の省略を認めると、適切な権利変動の過程が公示されなくなります。
登記制度への信頼が大きく損なわれます。
登記制度への信頼を維持するため、相続登記は省略できません。
②すみやかな相続登記で売却手続がスムーズ
相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産になるのが一般的です。
相続登記をしないと、だれが相続するのか客観的に分からないと言えるでしょう。
だれが所有者なのか分からないと、トラブルに巻き込まれるおそれがあります。
トラブルに巻き込まれるおそれがある不動産は、購入を諦めるでしょう。
相続登記をしないと、売却手続が進まなくなります。
相続登記をすると、所有者が客観的に明らかになります。
すみやかな相続登記で、売却手続がスムーズになります。
4不動産を売却しやすい遺言書を作成する
①売却して金銭で分割を明記
遺言書を作成して、不動産を売却し金銭で分けることを明記することができます。
遺言書に明記してあると、相続人間の調整が容易になります。
②遺言執行者を指名
遺言執行者がいると、遺言者にとって安心です。
遺言書の内容を確実に、実現してくれるからです。
遺言執行者がいると、相続人にとって安心です。
手間と時間がかかる相続手続をおまかせすることができるからです。
不動産を売却する場合、相続手続をしたうえ売却手続が必要です。
遺言執行者におまかせできると、相続人間のトラブルを回避することができます。
③公正証書遺言がおすすめ
公正証書遺言は、公証人が関与しています。
書き方ルールの違反などで、遺言書が無効になることは考えられません。
司法書士などの専門家にサポートしてもらうと、相続人間でトラブルになりにくい遺言書を作成することができます。
遺言書を作成するなら、公正証書遺言がおすすめです。
5相続後の不動産売却を司法書士に依頼するメリット
相続した不動産を売却したいという方は、少なからずいます。
相続も不動産の売却も、一生のうちに何度も経験するものではありません。
だれにとっても慣れない相続手続と売却手続を並行して進めるのは大変なことです。
平日は仕事や家事をしながら、さらに大切な家族を失った悲しみを抱えながら、これらを手続するのは想像以上に大変です。
土地を売却するためには、相続登記が必須です。
司法書士は、余計な費用や余計な手間をかけないように手続をします。
相続後の不動産売却を確実に進たい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
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愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
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「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
遺言執行者による不動産売却
1遺言執行者が遺言書の内容を実現する
①遺言執行者は独立した地位がある
遺言書は、作成するだけでは意味がありません。
遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。
遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。
遺言執行者は、遺言書の内容を実現するため必要な権限と義務が与えられます。
遺言執行者は、相続人の代理人ではありません。
相続人の意思に関わらず独立して、遺言書の内容を実現することができます。
遺言執行者には、独立した地位が認められています。
②遺言執行者は遺言書で指名できる
遺言書を作成するとき、遺言執行者を指名することができます。
遺言執行者になるために、特別な資格は不要です。
次の人は、遺言執行者になることができません。
・未成年者
・破産者
遺言書の内容を実現する人だから、信頼できる人を指名するといいでしょう。
相続人や受遺者を遺言執行者に指名することができます。
受遺者とは、遺贈を受ける人です。
③遺言執行者は辞退できる
遺言書は、遺言者がひとりで作成することができます。
言うなれば、一方的に遺言執行者に指名することができます。
遺言執行者に指名されても、自信がないことがあるでしょう。
遺言執行者に就任する義務は、ありません。
理由を明らかにすることなく、遺言執行者就任を辞退することができます。
④遺言執行者の辞任は正当理由と家庭裁判所の許可
遺言執行者に就任した後は、公益的側面を持つ準公的な立場と考えられています。
遺言執行者は、軽々しく辞任することはできません。
遺言執行者の辞任には、正当理由と家庭裁判所の許可が必要です。
例えば、次の理由は正当理由に認めらます。
・重病で病気療養に専念する必要がある。
・認知症などで判断能力が低下した。
・相続人から執拗な妨害行為や誹謗中傷が継続的にある。
・遺言執行が著しく困難なレベルで相続人との対立がある。
正当理由があるか、家庭裁判所が判断します。
⑤遺言執行者は専門家に委任できる
遺言執行者には、遺言書の内容を実現するため必要な権限と義務があります。
遺言執行者が、自分で行わなければならない義務はありません。
例えば、相続登記は相続手続の中でも難しい手続です。
遺言執行者は、相続登記を司法書士に依頼することができます。
遺言書の内容を実現するため、必要に応じて専門家を利用することができます。
2遺言執行者による不動産売却
①相続人は遺言執行者の妨害行為ができない
相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産です。
相続人であれば、自由に相続財産を売却できると感じるかもしれません。
遺言書がある場合、遺言執行が優先されます。
相続財産は、遺言執行者が管理します。
相続人は、勝手に売却できません。
遺言執行者がいる場合、相続人は遺言執行者の妨害行為をすることはできません。
親切心からしたことであっても、妨害行為になることがあります。
例えば、次の行為は妨害行為にあたるでしょう。
・相続人が懇意の不動産業者と勝手に媒介契約を締結
→不動産業者候補を提案し遺言執行者の判断に任せる
・相続人が売主と主張して勝手に売買交渉
→売買交渉は遺言執行者に任せ、進捗確認のみ
・相続人が熱心なアドバイスを執拗に繰り返す
→相続人で意見共有し、遺言執行者の決定を尊重
親切は素晴らしいですが、遺言執行者主導で協力すると円滑な遺言執行が実現します。
②遺言書の内容の実現は遺言執行者の義務
相続人を遺言執行者に指名することができます。
遺言執行者に就任したら、相続人とは別の遺言執行者としての立場になります。
遺言書の内容の実現は、遺言執行者の義務です。
遺言書に不動産の売却が定められている場合、遺言執行者は売却しなければなりません。
不動産売却は、相続人による自由処分ではないからです。
一部の相続人が勝手に処分したのではなく、遺言執行者が遺言書の内容を実現したと言えます。
遺言執行者の義務だから、相続人全員の合意は不要です。
③遺言執行者が相続登記
相続した不動産を売却する場合、相続登記は省略できません。
登記制度は、現在の所有者だけでなく権利変動の過程も公示しているからです。
適切な権利変動の過程を公示していない場合、登記制度への信頼を大きく損ねます。
遺言執行者は、相続登記をすることができます。
遺言執行者は、登記名義人になりません。
登記名義人になるのは、相続人です。
相続登記は難しい手続だから、知識がないと手に余るでしょう。
遺言執行者から、司法書士などの専門家に相続登記を依頼することができます。
④遺言執行者が売買契約
遺言書に不動産の売却が定められている場合、遺言執行者が売買契約を締結します。
遺言執行者は、自ら売主になります。
遺言書に不動産の売却が定められている場合、不動産売却は遺言執行そのものだからです。
相続人の同意がなくても、遺言執行の一環として売買契約を締結します。
相続人の協力がなくても、単独で売買契約を締結します。
売買契約には、相続人ではなく遺言執行者〇〇〇〇で署名します。
⑤遺言執行者が売買による所有権移転登記
遺言執行者は、相続登記をすることができます。
相続登記をすると、所有権の登記名義人は相続人です。
売買契約を締結したら、売買による所有権移転登記をします。
売買による所有権移転登記は、登記権利者と登記義務者による共同申請です。
登記権利者は、不動産の買主です。
登記義務者は、遺言執行者です。
不動産の登記名義人である相続人は、関与する必要がありません。
相続人の押印は、不要です。
相続人の印鑑証明書は、不要です。
売買による所有権移転登記は、遺言書の内容の実現に必要な行為だからです。
遺言執行者の押印と遺言執行者の印鑑証明書を準備します。
売買による所有権移転登記は、買主と遺言執行者で共同申請します。
⑥売却代金は遺言執行者名義の遺産管理用口座に入金
不動産を売却すると、遺言執行者が売却代金を受け取ります。
売却代金は、相続財産です。
遺言執行者が勝手に使うことはできません。
売却代金は、遺言執行者名義の遺産管理用口座に入金するのがおすすめです。
遺言執行者の固有の財産と相続財産は、分別管理を徹底する必要があります。
分別管理をしないと、他の相続人から疑いの目を向けられるからです。
⑦売却代金は相続財産
不動産を売却すると、売却代金を受け取ります。
売却代金は、相続財産です。
売却代金をどのように使うのか、遺言書に定めてあることが多いでしょう。
例えば、次のような記載です。
・売却代金を〇〇〇〇に遺贈する。
・売却代金は、相続人〇〇〇〇に相続させる。
・売却代金で、借金を返済せよ。
遺言執行者は遺言書の内容を実現するため、売却代金を処理します。
遺言執行者名義の遺産管理用口座から、遺言書の内容に従って振込します。
⑧売却代金の使途を定めてないときは遺産分割協議
遺言書を確認しても、売却代金の使途を定めていないことがあります。
売却代金の使途を定めてあっても、その条項が無効になることがあります。
例えば、「売却代金を〇〇〇〇に遺贈する。」と定めてあるのに、〇〇〇〇が先に死亡したケースです。
「売却代金を〇〇〇〇に遺贈する。」条項が無効になるから、売却代金の使途を定めていない扱いです。
売却代金の使途が定められていない場合、売却代金は相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。
売却代金の分け方の決定には、遺言執行者の関与が不要です。
⑨遺言執行者が売却に応じないと解任請求
遺言書に不動産の売却が定めてある場合、遺言執行者には売却の義務があります。
遺言執行者が義務を怠る場合、家庭裁判所に遺言執行者解任を請求することができます。
家庭裁判所に解任請求をする前に、執行状況や売却予定を確認するといいでしょう。
遺言執行者と協調した方が結果的にスムーズな遺言執行ができるからです。
遺言執行者が義務を怠る事実があるのか、客観的証拠に基づいて家庭裁判所が判断します。
遺言執行者の解任には、高いハードルがあります。
義務を怠る事実があると認められた場合、家庭裁判所が解任します。
3遺言執行者に指名された相続人が取るべき現実的対応
①就任の可否をすみやかに返答
遺言執行者に指名されても、遺言執行者に就任する義務はありません。
遺言執行者になる前であれば、どのような理由でも辞退することができます。
遺言執行者に指名されたのに就任するか就任を辞退するのか分からないと、相続人が困ります。
遺言執行者に指名されたら、就任の可否をすみやかに返答します。
②専門家に適切に活用
遺言執行者には、遺言書の内容を実現する責任があります。
遺言執行者は、自分で手続をする義務はありません。
適切に専門家を活用するのがおすすめです。
登記手続は、司法書士に依頼することができます。
不動産の売却は、不動産業者に依頼することができます。
何らかの紛争に巻き込まれたときは、弁護士に依頼することができます。
専門家に適切に活用すると、スムーズに遺言執行をすることができます。
③相続人とのコミュニケーションを透明化
遺言執行者は、相続人の同意なく遺言書の内容を実現することができます。
相続人の納得を置き去りにすると、相続人の反発を招きます。
遺言書の内容を適切に開示し、相続人と情報共有をします。
相続人と情報共有内容は、議事録で共有します。
遺言執行者が丁寧な説明をして説明責任を果たすと、相続人も納得するでしょう。
妨害には毅然と対応しつつ、相続人とのコミュニケーションを透明化がおすすめです。
4遺言執行者による不動産売却を司法書士に依頼するメリット
相続手続はタイヘンですが、相続人がいない場合はさらにタイヘンです。
相続人がいないから、国に持っていかれるより、お世話になった人に受け取ってもらいたい、自分の気持ちを活かしてくれる人に使ってもらいたいという方もいるでしょう。
不動産は、価値が高いものの、人によっては使いにくかったり不便であることがあります。
不動産は管理の手間もありますから、かえって、持て余すこともあるでしょう。
このような場合に、不動産を売却してお金で受け取ってもらうことは有効です。
不動産を売却してお金で受け取ってもらうためには、遺言書は欠かせません。
遺言書は自筆証書遺言でも、公正証書遺言でも効力に変わりはありませんが、形式の不備などがない確実な公正証書遺言をおすすめします。
遺言執行者を指名しておけば、余計な事務負担をかけることになくなりますから、安心です。
遺言執行は手間と時間がかかるだけでなく、法律の知識が不可欠です。
司法書士などの法律の知識がある専門家に依頼するのがいいでしょう。
遺言書作成に併せて、遺言執行を依頼すれば、登記までスムーズに手続してもらえます。
清算型遺言を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
相続登記前に不動産売却
1相続が発生したら相続財産は相続人全員の共有財産
相続が発生した場合、被相続人のものは原則として相続財産になります。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続財産は、相続人全員で所有しています。
相続登記をしたから、所有権が移転するのではありません。
相続登記をしても相続登記をしていなくても、相続人全員に所有権は移転しています。
相続が発生した後、相続登記をするまでの間は、所有者と登記名義が異なります。
登記名義を変更していない場合でも、所有権が移転した事実は変わりません。
2相続発生後に不動産を売却したいケース
①住む予定のない実家
相続人がマイホームを持っている場合、実家を相続しても持て余すことになるでしょう。
相続人が遠方に住んで椅子場合、実家は使う予定がないかもしれません。
使い予定がなくても維持管理の手間や固定資産税の負担があります。
②換価分割で相続財産を分ける
相続財産が自宅不動産だけという場合、相続人間で分け方を決められなくなることがあります。
法定相続分で共有にすることも選択肢のひとつですが、デメリットが大きくおすすめできません。
換価分割とは、不動産を売却してお金に換えた後、お金を分ける方法です。
実際に売れてからお金で分けるので、不動産の値段をいくらと考えるか、だれが実際に不動産を相続するのかで話し合いがまとまらないという心配はありません。
③清算型遺言がある
遺言書で相続財産を売却して、得られた金銭を分けるように決めておくことができます。
このような遺言を、清算型遺言と言います。
清算型遺言をする場合、遺言執行者を指名しておくと手続がスムーズです。
遺言執行者がいる場合、遺言執行者が不動産を売却してお金に換えた後、お金を分けてくれます。
3所有権移転を第三者に主張するためには登記が必要
相続人全員が所有者だから相続人全員が協力すれば、売却することもできないとは言い切れません。
相続人全員が協力すれば売却することができるのであれば、相続登記を省略したいと考えるかもしれません。
相続登記をする場合、登録免許税を納める必要があります。
登録免許税は不動産の評価額によって決められますから、評価額の高い不動産の場合はなおさら相続登記を省略したいでしょう。
不動産を買い受けた場合、買主は所有権移転登記を備えたいはずです。
登記を備えていない場合、第三者に対して所有者であることを主張することができないからです。
所有権登記を備えた見知らぬ人から明け渡し請求をされるかもしれません。
不動産を買い受けたのに代金を支払ったのに、明け渡しに応じなければならなくなります。
多くの場合、不動産は高額です。
高額な代金をきちんと支払ったのに明け渡しに応じなければならなくなることは容認できないでしょう。
所有権移転登記を備えておけば、このようなことは防ぐことができます。
このため、売買契約書には所有権移転登記を備えることが記載されています。
4買主に所有権移転登記をする前提として相続登記は必須
実態として、被相続人→相続人→買主と所有権が移転します。
登記は、権利変動の実態を示すものです。
所有権移転の実態を表していない場合、登記制度への信頼が失墜します。
このようなことが許されるはずがありません。
買主に所有権移転登記をする前提として、相続登記は省略することはできません。
所有者であることを第三者に主張するためには、登記が必要です。
売主名義の登記がされていない場合、一般的には、売買契約を締結することが困難でしょう。
買主から見ると、だれが相続したのか登記から分からないからです。
法律上、売買ができないわけではありませんが、事実上、売買契約をする買主は見つけられないと言えます。
買主が安心して売買契約を締結するために、相続登記は不可欠です。
不動産を売却する予定がない場合、相続手続きは先延ばししがちです。
相続が発生してすぐに相続手続きをすれば、手続きがカンタンで、費用も時間も手間も少なく済みます。
相続が発生してから長い期間、放置すると、余計な費用、時間、手間がかかります。
相続人に相続が発生して関係者が増えると、話し合いがまとまりにくくなります。
相続手続きには戸籍謄本などの書類が必要になりますが、役所は保存年限を越した古い戸籍を廃棄してしまいますから、必要な書類が集められなくなるかもしれません。
売却を予定する人も、売却を予定しない人も、相続が発生したら、相続登記はすみやかに済ませましょう。
5不動産売却後に相続発生した場合は相続登記不要
不動産の名義人が有効に不動産の売買契約を締結した後、相続が発生した場合、原則として、相続登記は不要です。
所有権は、被相続人→買主と移動しているからです。
相続人は不動産の所有権を得ていないので、相続登記も必要ありません。
ただし、売買契約書のなかで、売買代金を完済したときに所有権が移転するなどの条項がある場合があります。
このような条項がある場合であって、かつ、生前に売買代金を受け取っている場合は、相続登記は必要ありません。
所有権は、売買代金を受け取ったときに買主に移転しているからです。
このような条項がある場合であって、かつ、売買代金が未払いの場合は、必ず、相続登記が必要です。
売買代金を受け取っていない以上、所有権は名義人のものだからです。
所有権は、名義人が死亡すると相続人に相続されます。
一方、不動産を相続した後に売却する場合、必ず、相続登記が必要です。
所有権は、被相続人→相続人→買主と移動しているからです。
不動産を相続した後に売却する場合、不動産売却の手続をスムーズにするためにも、相続手続は早めに済ませましょう。
6相続登記前に建物を取り壊した場合は相続登記不要
建物を取り壊すと、建物について登記簿は不要になります。
法務局に対して、建物は取り壊しました、登記簿をなくしてくださいと申請をする必要があります。
建物は取り壊しましたという登記申請を、建物滅失登記と言います。
相続した後、建物の取り壊しをした場合、建物の相続登記は省略することができます。
相続した後、土地を売却した場合、土地の相続登記は省略することができません。
土地でも建物でも、相続した後、売却する場合は必ず相続登記が必要です。
被相続人が生前に建物を取り壊していたが建物滅失登記をしていない場合もあります。
建物を取り壊しているので、相続人は建物を相続していません。
だから、建物の相続登記は不要です。
相続人は被相続人がするべきであった建物滅失登記を申請する義務を引き継いでいます。
建物滅失登記を申請する義務は、相続人のひとりが単独ですることができます。
相続人がたくさんいても同意は必要ありません。
建物はすでに取り壊されているので、建物滅失登記を申請しても、他の相続人に不利益は発生しないからです。
相続登記の費用も無視できませんから、勘違いしないようにしましょう。
7相続登記を司法書士に依頼するメリット
相続した不動産を売却したいという方は少なからずいます。
相続も不動産の売却も、一生のうちに何度も経験するものではありません。
だれにとっても慣れない相続手続と売却手続を並行して進めるのは大変なことです。
平日は仕事や家事をしながら、さらに大切な家族を失った悲しみを抱えながら、これらを実行するのは相続以上に大変です。
確実に手続を進めて、日常を取り戻したい方は、手続を丸投げできます。
ご家族にお世話が必要な方がいて、お側を離れられない方からのご相談もお受けしております。
相続後の不動産売却を確実に進めたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
任意後見人が不動産売却
1任意後見とは
任意後見とは、本人の判断能力がしっかりしているうちに、将来、認知症や障害によって判断能力が低下してしまったときに備えて、信頼できる人にやってもらいたいことを決めて、サポートを依頼する契約です。
契約ですから、本人の判断能力がしっかりしているうちしかできません。
この契約は公正証書でする必要があります。
サポートを依頼された人を任意後見人といいます。
任意後見人はひとりでも、何人でも差し支えありません。
この契約は本人がひとりで決めるのが心配になったら、効力が発生して、後見が始まります。
家庭裁判所は、本人がひとりで決めるのが心配になったら、後見監督人を選任します。
つまり、家庭裁判所が後見監督人を選任したら、任意後見契約の効力が発生して、任意後見人が本人のためにサポートを開始します。
任意後見人は適切に仕事をしているか、任意後見監督人にチェックされます。
任意後見監督人は適切に仕事をしているか、家庭裁判所にチェックされます。
だから、安心して任意後見制度を使えます。
この先あれこれ決められなくなる前に、自分らしい生き方を自分で決めよう、サポートを受けて自分らしく生きようという制度です。
2代理権目録に記載があれば不動産売却ができる
任意後見とは、認知症や障害によって判断能力が低下してしまったときに備えて、信頼できる人やってもらいたいことを決めて、サポートを依頼する契約です。
任意後見契約をすると、法務局の登記簿に記録されます。
①代理権目録に記載があること
本人の判断能力がしっかりしているうちに、やってもらいたいことを契約で決めているはずです。
法務局の登記簿の代理権目録には、やってもらいたいことが書いてあります。
「認知症になったら自宅を売って施設に入れてね」
家族に面倒をかけたくない気持ちでこういう言葉を言う人は多いです。
本人の意思に従って自宅を売って施設に入れようという場合、代理権目録を確認しましょう。
代理権目録に書いてなければ、任意後見人は自宅を処分できません。
任意後見人が代わりにできるのは、代理権目録に書いてあることのみです。
本人の判断能力がしっかりしているうちに、やってもらいたいことを代理権目録に書いたはずだからです。
②家庭裁判所の許可は不要
代理権目録に居住用不動産の処分が書いてあれば、本人の判断能力がしっかりしているうちに、処分権限を与えたことが証明できます。
だから、自宅を売却するという重要な判断であっても、家庭裁判所の許可は不要です。
本人が処分権限を与えていない法定後見では、家庭裁判所の許可がないと居住用不動産の売却はできません。
任意後見では本人の意思が最大限、重視されます。
③任意後見監督人の同意は原則不要
任意後見では、任意後見監督人は必ずいます。
法定後見では、後見監督人がいる場合といない場合があります。
任意後見人は任意後見監督人に監督されます。
任意後見人が不動産を売却する場合、原則として、任意後見監督人の同意は不要です。
任意後見契約で、特に、任意後見監督人の同意を必要とする特約を定めた場合、例外として、任意後見監督人の同意が必要になります。
法定後見で後見監督人がいる場合、必ず、後見監督人の同意が必要になります。
原則として、任意後見監督人の同意は不要ですが、任意後見監督人と相談することをおすすめします。
自宅などの居住用不動産は本人の重要な財産であるからです。
代理権目録に居住用不動産の処分と書いてあっても、好き放題無条件に、本人の不動産を売却することはできません。
本人の利益を害するようなことをすることはできません。
不動産の売却によって、本人に損害を与えたら本人の家族とトラブルになるおそれがあります。
3トラブルになりやすい事例
①見積書が1通だけ
見積書が1通だけでも不動産を売却することはできます。
見積書が1通だけの場合、その不動産業者に便宜をはかったのではないかと疑われてしまいます。
本人の家族とトラブルにならないために、いくつかの不動産業者から見積書を取っておきましょう。
②売却価格が相場より著しく安い
売却の時期によって多少不動産価格に変動はあるものです。
多少の変動の範囲を超えて、著しく安い価格で売却した場合、本人に損害を与えたと言われることがあります。
急な出費をまかなうためやむを得なかったなど、正当な理由があれば差し支えありません。
③不動産の買主が任意後見人の親族等
本人の不動産売却で利益相反になる場合です。
利益相反とは、本人がソンすると、任意後見人がトクをする場合のことです。
本人の不動産売却で任意後見人がトクをして、本人がソンしたと思われる場合があります。
4後見監督人が選任される前は本人が売却できる
任意後見契約は、本人の判断能力がしっかりしているうちにします。
本人がひとりで決めるのが心配になったら、家庭裁判所は後見監督人を選任します。
本人の判断能力がしっかりしているのであれば、家庭裁判所は後見監督人を選任しません。
任意後見契約をしても、後見監督人が選任される前であれば、人の判断能力がしっかりしていると言えます。
本人の判断能力がしっかりしているのであれば、本人の不動産を売却するには何も問題はありません。
通常どおり、契約等の手続ができます。
5認知症対策を司法書士に依頼するメリット
生前対策=相続「税」対策の誤解から、生前対策はする方はあまり多くありません。
争族対策として有効な遺言書ですら、死亡者全体からみると10%未満です。
対策しないまま認知症になると、家族に大きな面倒をかけることになります。
認知症になってからでは遅いのです。
対策できるときには何もせず、問題を感じたときには何もできないのが怖いところです。
任意後見契約は契約ですから、本人の判断能力がしっかりしているうちしかできません。
お元気なうちに準備する必要があります。
お元気なうちに準備すれば、本人の意思や家族の意向を活かすことができます。
なにより自分が困らないために、大切な家族に面倒をかけないために生前対策をしたい方は、すぐに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
