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数次相続があったときの相続登記

2023-10-25

1数次相続とは

①数次相続は相続手続中に相続人が死亡

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

共有財産になった相続財産は、相続人全員で話し合いによる分け方の合意が不可欠です。

相続財産の分け方について、話し合いがまとまる前に、相続人が死亡して新たな相続が発生することがあります。

最初の相続の手続中に相続人が死亡して、さらに相続が発生した状態を数次相続と言います。

数次相続は、どこまででも続きます。

どこまで続くかについて、法律上の制限はありません。

最初の相続を一次相続、相続人が死亡した相続を二次相続と言います。

二次相続の相続人が死亡すると、三次相続、さらに、四次相続、五次相続という場合もあります。

相続人が死亡して新たな相続が発生することを、まとめて、数次相続と言います。

②数次相続と代襲相続のちがい

数次相続も代襲相続も相続が複雑になる代表例です。

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

数次相続は、相続が発生した「後」に、相続人が死亡した場合です。

代襲相続は、相続が発生する「前」に、相続人になるはずだった人が死亡した場合です。

数次相続では、死亡した相続人の相続人が最初の相続の遺産分割協議に参加します。

代襲相続では、死亡した相続人の直系卑属が最初の相続の遺産分割協議に参加します。

数次相続と代襲相続では、遺産分割協議に参加する人が異なります。

遺産分割協議に参加すべき人が参加していない場合、相続財産の分け方の合意は無効になります。

遺産分割協議に参加すべきでない人が参加している場合、相続財産の分け方の合意は無効になります。

だれが話し合いに参加すべきか間違えると、せっかく合意をしても合意が無効になります。

慎重に判断しましょう。

2数次相続があったときの相続登記は原則相続ごとに

数次相続とは、最初の相続の手続中に相続人が死亡して、さらに相続が発生した状態です。

数次相続があったときの相続登記は、原則として、発生した相続ごとに順次申請します。

2回相続が発生しているのであれば2回相続登記をします。

3回相続が発生しているのであれば3回相続登記をします。

被相続人の数だけ相続登記をするのが原則です。

1件の申請書でまとめて登記申請をするためには、条件があります。

まとめて登記申請をする条件は「登記の目的」「登記原因」「申請人」が同一であることです。

「登記の目的」「登記原因」「申請人」が同一でない場合、原則として、まとめて登記をすることができません。

登記は、現在の権利関係を公示するだけでなく、権利変動の過程も公示しています。

権利変動の途中の事実を省略して、まとめて登記をすることはできません。

相続人がすでに死亡している場合、死亡した相続人名義で相続登記をすることができます。

登記申請をするときにはすでに死亡していたとしても、生前に相続していたからです。

生前に相続したことを公示するため、死亡した人名義で相続登記をすることができます。

3最終の相続人にまとめて相続登記ができる例外

①中間の相続人が一人だけ

数次相続があったときの相続登記は、被相続人の数だけ相続登記をするのが原則です。

複数の相続が発生した場合であって、かつ、中間の相続人が一人だけの場合、例外的に、最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。

相続は、戸籍を調べれば相続関係が判明します。

権利変動の途中の事実を省略して、まとめて登記をしても問題が少ないためと考えられています。

中間の相続人が一人であれば、何回相続が発生していても、まとめて相続登記をすることができます。

相続人が一人である必要があるのは、中間の相続人です。

最終の相続人が複数で共有する相続登記であっても、まとめて相続登記をすることができます。

②相続放棄で中間の相続人は一人だけ

相続が発生したときには複数の相続人がいたけれど、他の相続人全員が相続放棄をした場合があります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人ではなかった扱いです。

中間の相続人が一人だけとは、相続人が初めから一人しかいない場合だけではありません。

中間の相続において、他の相続人全員が家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、中間の相続人が一人だけになります。

中間の相続人が一人だけの場合、例外的に、最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。

③遺産分割協議で中間の相続人は一人だけ

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

中間の相続において、相続人のうち一人だけが相続する合意が成立することがあります。

相続人全員の合意で相続人のうち一人だけが相続する合意が成立した場合、中間の相続人が一人だけになります。

中間の相続人が一人だけの場合、例外的に、最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。

4数次相続で最終の相続人が一人になった場合

①遺産分割協議ができない場合

最終の相続人にまとめて相続登記をすることができるのは、中間の相続人が一人だけの場合です。

中間の相続人が一人だけの場合には、遺産分割協議によって相続人のうち一人だけが相続すると相続人全員で合意ができた場合を含みます。

中間の相続人が複数いる場合、遺産分割協議による合意ができないまま相続人が死亡して最終の相続人が一人になることがあります。

遺産分割協議による合意ができないまま最終の相続人が一人になった場合、遺産分割協議の余地はありません。

たとえ最終の相続人が死亡した相続人の相続人であっても、遺産分割協議はできません。

最終の相続人が一人になった場合、話し合いによる合意ができないからです。

遺産分割協議による合意をしていないから、相続人全員が法定相続分で共有する相続をしたと考えます。

法定相続分で相続人全員が相続したのだから、中間の相続人が一人だけではありません。

中間の相続人が複数だから、最終の相続人にまとめて相続登記ができません。

②数次相続で最終の相続人が複数なら遺産分割協議ができる

遺産分割協議による合意ができないまま最終の相続人が一人になった場合、遺産分割協議の余地はありません。

遺産分割協議による合意ができないまま最終の相続人が複数の場合、最終の相続人で遺産分割協議をすることができます。

遺産分割協議の結果、中間の相続人が一人であれば最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。

③遺産分割協議をしていない場合

最終の相続人にまとめて相続登記をすることができるのは、中間の相続人が一人だけの場合です。

中間の相続人が一人だけの場合には、遺産分割協議によって相続人のうち一人だけが相続すると相続人全員で合意ができた場合を含みます。

遺産分割協議による合意ができないまま最終の相続人が一人になった場合、遺産分割協議の余地はありません。

遺産分割協議による合意ができないまま最終の相続人が複数の場合、最終の相続人で遺産分割協議をすることができます。

遺産分割協議をしないで、他の相続人全員が特別受益証明書を作成することがあります。

他の相続人全員が特別受益証明書を作成したことで、最終の相続人が一人になることがあります。

たとえ最終の相続人が死亡した相続人の相続人であっても、遺産分割協議をしていません。

遺産分割協議による合意をしていないから、相続人全員が法定相続分で共有する相続をしたと考えます。

中間の相続人が複数だから、最終の相続人にまとめて相続登記ができません。

④遺産分割協議後に相続人が一人になった場合

遺産分割協議によって相続人のうち一人だけが相続すると相続人全員で合意ができた場合、中間の相続人が一人だけの場合と認められます。

中間の相続人が一人だけの場合、最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。

最終の相続人にまとめて相続登記をする場合、法務局に遺産分割協議書などを提出します。

法務局から見ると、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書がない場合、相続人全員で合意ができたのか分かりません。

遺産分割協議によって相続人のうち一人だけが相続すると相続人全員で合意ができたのに、合意内容を文書に取りまとめる前に相続人が死亡することがあります。

遺産分割協議の合意後に相続人が死亡した場合、生前に相続人がした合意は有効です。

遺産分割協議は、文書に取りまとめなくても有効だからです。

相続人全員で合意内容を文書に取りまとめていない場合、相続登記をしても認められることはありません。

遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書がない場合、相続人全員で合意ができたのか分からないからです。

遺産分割協議の合意後で遺産分割協議書作成前に相続人が死亡した場合、死亡した相続人の相続人が合意内容を証明することができます。

生存している相続人と死亡した相続人の相続人で、遺産分割協議の内容を証明することができます。

生存している相続人と死亡した相続人の相続人が同一人物である場合、一人で遺産分割協議の内容を証明することができます。

合意後に相続人が死亡した場合であっても生前に相続人がした合意は有効だから、中間の相続人が一人だけになります。

中間の相続人が一人だけの場合、例外的に、最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。

5中間の相続人が不動産を保有していた場合

中間の相続人が一人だけの場合、最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。

最初の被相続人の不動産について、まとめて相続登記をすることができます。

中間の相続人が固有の不動産を持っていることがあります。

最初の被相続人の不動産と中間の相続人の不動産について、まとめて相続登記をすることができません。

最初の被相続人の不動産と中間の相続人の不動産では、登記原因が違うからです。

6相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。

ほとんどの方は相続を何度も経験するものではないから、手続に不慣れで聞き慣れない法律用語でへとへとになります。

一般的にいって、相続登記は、その中でも難しい手間のかかる手続です。

不動産は重要な財産であることが多いので、一般の方からすると些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があることもあります。

数次相続が発生している場合、難易度は高くなります。

インターネットなどの情報では、どうしたらいいか分からないことも多いでしょう。

司法書士はこのような方をサポートしております。

相続登記を自分でやってみたけど、挫折した方の相談も受け付けております。

相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続放棄で相続登記の義務から逃れる

2023-10-20

1相続登記は義務になる

①所有権移転登記は原則として権利

不動産に対する権利が変動した場合、登記をします。

権利が変動した場合で最もイメージしやすいものは、不動産を購入して所有権を取得した場合でしょう。

不動産を購入して所有権を取得した場合、購入したタイミングですぐに所有権移転登記をします。

登記をしていないと、不動産に対して権利主張をする人が現れた場合に負けてしまうからです。

不動産を購入して所有権を取得したはずなのに、見知らぬ人が不動産は自分のものだから明け渡して欲しいと言ってくるようなケースです。

登記がある場合、不動産は自分のものだから明け渡す必要はないと言い返すことができます。

登記がない場合、不動産を明け渡さなければならなくなるかもしれません。

せっかく不動産を購入したのに、不動産を明け渡さなければならなくなることは何としても避けたいはずです。

不動産は自分のものだと主張するために、購入したタイミングですぐに所有権移転登記をします。

所有権移転登記をしない場合、所有者は権利主張ができません。

所有権移転登記をしない場合、所有者が不利益を受けます。

所有権移転登記をすることは、所有者の権利であって義務ではありません。

②相続登記は義務

所有権移転登記をしない場合、所有者はソンをします。

不動産に対して権利主張をする人が現れた場合、所有者のはずなのに権利主張ができないからです。

不動産には、不便な場所にあるなどの理由で価値が低い土地が存在します。

所有者にとって利用価値が低い土地に対して権利主張をする人が現れた場合、所有者として権利主張する必要を感じないかもしれません。

相続登記は、手間のかかる手続です。

自分で相続登記をしようとするものの、多くの人は挫折します。

相続登記をする場合、登録免許税を納付しなければなりません。

相続登記を専門家に依頼する場合、専門家に報酬を支払う必要があります。

不動産の価値が低い場合、相続登記で手間と費用がもったいないと考える人が少なくありませんでした。

相続登記がされない場合、登記簿を見ても土地の所有者が分からなくなります。

所有者不明の土地の発生を防止するため、相続登記をすることは義務になりました。

③相続登記は3年以内に申請

相続が発生した場合、相続登記の申請義務が課せられました。

「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ当該所有権を取得したことを知った日」から3年以内に申請しなければなりません。

④令和6年4月1日以降に発生した相続が対象になる

相続登記の申請義務が課せられるのは、令和6年4月1日です。

令和6年4月1日以降に発生した相続は、当然に対象になります。

⑤令和6年4月1日以前に発生した相続が対象になる

ずっと以前に相続が発生したのに、相続登記を放置している例は少なくありません。

令和6年4月1日以前に発生した相続であっても、相続登記は義務になります。

⑥相続登記未了であればペナルティーが課せられる

相続登記は、3年以内に申請しなければなりません。

相続登記の申請義務を果たしていない場合、ペナルティーが課されます。

令和6年4月1日以前に発生した相続であっても、ペナルティーが課される予定です。

2相続放棄は家庭裁判所へ手続

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄は、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する旨の申立てをします。

相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続が発生した場合、被相続人の財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めます。

相続人の中には、プラスの財産をまったく受け取らないことがあります。

相続人全員が合意できれば、財産をまったく受け取らない合意をすることができます。

プラスの財産をまったく受け取らないことを相続放棄をしたと表現することがあります。

相続財産の分け方を決める相続人全員の話し合いは、遺産分割協議を言います。

プラスの財産をまったく受け取らない合意をする場合でも、遺産分割協議です。

プラスの財産をまったく受け取らない合意は、相続放棄と表現しても相続放棄ではありません。

相続放棄は、家庭裁判所に対して申立てが必要な手続だからです。

3相続放棄が認められたら相続人でなくなる

相続が発生した場合、相続登記の申請義務が課せられました。

相続登記が義務になったのは、所有者が不明の土地がたくさん発生したからです。

公共事業などで土地を利用する必要がある場合、所有者に土地を売ってもらいます。

所有者が分からない場合、だれにお願いすればいいか分かりません。

公共事業などを進めることができなくなります。

相続登記を義務にして、所有者不明の土地がこれ以上増えないようにしようという制度です。

相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

相続人でないから、被相続人のものは何も相続できません。

被相続人が不動産を所有していても、相続放棄した人が相続することはありません。

相続放棄が認められた人は、相続登記をする義務が課されません。

4相続が発生してから3か月以上経過しても相続放棄

①相続放棄の期間3か月のスタートは知ってから

相続放棄は家庭裁判所に申立てをする必要があります。

この申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。

相続があったことを知ってから3か月以内の期間のことを熟慮期間と言います。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

被相続人が死亡してから3か月以内ではなく、相続財産を相続することを知ってから3か月以内です。

3か月以内に戸籍や住民票などの必要書類を揃えて管轄の家庭裁判所に提出しなければなりません。

②相続放棄ができる期間は3か月を知らなかったからは認められない

相続放棄の申立ては、相続があったことを知ってから3か月以内にしなければなりません。

相続放棄ができる期間は3か月を知らないまま3か月経過した場合、相続放棄は認められません。

法律の定めを知らなくても、3か月過ぎてしまえば、単純承認になります。

単純承認になったら、相続放棄は認められません。

法律を勉強したことがないからなども、勉強していないから3か月以内という定めを知らなかったといえます。

3か月過ぎてしまえば、単純承認になります。

単純承認になったら、相続放棄は認められません。

③市役所などからの通知が届いたから相続放棄

空き家等の登記名義人が死亡した場合、現在の管理者が適切に管理していないことがあります。

適切な管理を促すため、市区町村役場は相続人に通知を送ります。

空き家等の登記名義人が死亡してから長期間経過している場合、登記名義人の直接の相続人も死亡しているかもしれません。

ほとんど面識のない遠縁の親族の相続人であると聞いて、びっくりするかもしれません。

相続を単純承認した場合、空き家等の管理をすることになります。

相続が発生してから10年以上経過してから、相続人であることを知ることがあります。

絶縁していた相続人が相続放棄をする場合、「知ってから」とは被相続人が死亡したことを知ってからです。

被相続人が死亡したことを知らない場合、相続放棄をするか単純承認をするか判断できないからです。

市役所などから通知が届いたことで相続人であることを知った場合、この通知は重要です。

被相続人の死亡を知った証拠となるからです。

家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをする場合、市役所からの通知を添えて提出すると説得力が増します。

被相続人が死亡してから長期間経過した後であっても死亡の事実を知ってから3か月以内である場合、相続放棄が認められます。

5相続放棄を司法書士に依頼するメリット

実は、相続放棄はその相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続が発生してから3か月以内に申立てができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらって、はじめて、家庭裁判所は相続放棄を認めてくれます。

通常は家庭裁判所に対して、上申書や事情説明書という書類を添えて、説得することになります。

家庭裁判所が知りたいことを無視した作文やダラダラとした作文では認めてもらうことは難しいでしょう。

司法書士であれば、家庭裁判所に認めてもらえるポイントを承知していますから、認めてもらえやすい書類を作成することができます。

さらに、通常の相続放棄と同様に戸籍や住民票が必要になります。

お仕事や家事、通院などでお忙しい人には平日の昼間に役所にお出かけになって準備するのは負担が大きいものです。

戸籍や住民票は郵便による取り寄せもできますが、書類の不備などによる問い合わせはやはり役所の業務時間中の対応が必要になりますから、やはり負担は軽いとは言えません。

このような戸籍や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

3か月の期限が差し迫っている方や期限が過ぎてしまっている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続放棄は家庭裁判所で手続

2023-10-16

1相続放棄とは

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続の放棄は被相続人ごとに判断できますから、例えば、父について相続放棄をするが、母について単純承認するでも差し支えありません。

相続の放棄は相続人ごとに判断しますから、例えば、父の相続ついて長男は相続放棄するが、長女は単純承認するでも差し支えありません。

2相続放棄は家庭裁判所で手続

①相続放棄の管轄は被相続人の最後の住所地

相続放棄は、本来、家庭裁判所に対する手続です。

家庭裁判所に対して、必要な書類をを添えて相続放棄をしたい旨の申立てをします。

申立てをする先の家庭裁判所は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所です。

相続が開始した地とは、被相続人の最後の住所地です。

裁判所のホームページで管轄する家庭裁判所を調べることができます。

被相続人の最後の住所地が分からない場合、被相続人の除票や戸籍の附票を取得すると判明します。

被相続人の除票は、被相続人が住民票を置いていた市区町村役場に請求します。

被相続人の戸籍の附票は、被相続人の本籍地の市区町村役場に請求します。

被相続人に関する情報が全く分からない場合、自分の戸籍謄本を取得して順にたどっていきます。

被相続人の戸籍までたどり着いたら、被相続人の本籍地が判明します。

除票や戸籍の附票は、永年保管ではありません。

今でこそ保存期間は150年ですが、令和元年までは5年でした。

保存期間が経過した書類は、順次廃棄されます。

被相続人の除票や戸籍の附票を取得できない場合、死亡届の記載事項証明書で住所を調べることができます。

古い死亡届は、法務局が保管しています。

法務局は、市区町村役場から送付を受けた年度の翌年から27年間保管しています。

戸籍の附票や住民票が廃棄された後でも、死亡届の記載事項証明書を取得できることがあります。

相続放棄をしたい旨の申立ては、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。

②相続放棄の期限は知ってから3か月

相続放棄は、家庭裁判所に申立てをする必要があります。

申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

被相続人が死亡してから3か月以内ではなく、相続財産を相続することを知ってから3か月以内です。

相続放棄ができる期間は3か月を知らないまま3か月経過した場合、相続放棄は認められません。

法律の定めを知らなくても、3か月過ぎてしまえば、単純承認になります。

単純承認になったら、相続放棄は認められません。

③相続放棄の期限は延長してもらえる

相続放棄の申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。

被相続人の財産状況を詳しく知らない場合、3か月はあっという間です。

相続放棄をするべきか単純承認をするべきか判断するために時間がかかる場合があります。

相続放棄をするべきか単純承認をするべきか判断するための資料を集めるため、相続放棄の期間3か月を延長してもらうことができます。

相続放棄の期間3か月を延長してもらうことを相続の承認または放棄の期間の伸長の申立てと言います。

相続の承認または放棄の期間の伸長の申立てを受け付けた場合、家庭裁判所が期間延長を認めるか判断します。

相続の承認または放棄の期間の伸長の申立てには、期間内に相続放棄をすべきか単純承認すべきが判断ができない具体的理由や延長が必要な期間を記載します。

判断ができない具体的理由を根拠づける資料を添付して、説得力を持たせるといいでしょう。

期間延長の必要性や理由が妥当なものであると家庭裁判所に納得してもらうことが重要です。

家庭裁判所で期間延長が認められた場合、原則として3か月延長されます。

④相続放棄は郵送で手続できる

相続放棄の申立てをする先の家庭裁判所は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所です。

相続が開始した地とは、被相続人の最後の住所地です。

相続人の住所地を管轄する家庭裁判所ではありません。

被相続人の最後の住所地が相続人の住所地からはるか遠方であることがあります。

相続放棄申述書は、家庭裁判所に出向いて提出することができるし郵送で提出することができます。

郵送する場合は、期限に間に合うように余裕を持って提出しましょう。

相続放棄の申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。

普通郵便で送った場合、家庭裁判所に届いたか分かりません。

郵便が迷子になると、探せなくなります。

書留やレターパックなど記録の残る郵便は、追跡番号で探してもらうことができます。

郵送するときは、記録の残る郵便で提出することをおすすめします。

⑤家庭裁判所から照会文書が届く

家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをすると、相続放棄照会書が届きます。

相続放棄照会書とは、家庭裁判所から届く相続放棄についての意思確認です。

相続放棄照会書は、家庭裁判所によって名前が違うことがあります。

相続放棄は、影響の大きい手続なので間違いがないように慎重に確認します。

万が一、不適切な回答をすると相続放棄を認めてもらえなくなるかもしれません。

相続放棄の申立ての内容と食い違いが出ないように、書類を提出する前に控えをとっておくといいでしょう。

質問内容は、難しいものではありません。

事実をありのままに書けばいいでしょう。

被相続人が死亡してから3か月以上経過してから申立てをした場合、いつ死亡の事実を知ったかが重要なポイントになります。

相続放棄の申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内だからです。

相続があったことを知ってからですから、知らなかったのであれば3か月がスタートしません。

相続があったことを知ってから3か月以内であれば、相続放棄ができます。

家庭裁判所は、相続があったことを知ったのがいつなのか分かりません。

相続放棄照会書に対して回答する場合、いつ知ったのかを具体的に記載します。

何らかの書類が届いたことによって、自己のために相続があったことを知ったのであれば、この書類は重要な証拠になります。

回答書に添付して提出するといいでしょう。

電話連絡であれば電話連絡で知ったと書けば差し支えありません。

⑥相続放棄申述受理通知書で完了

相続放棄の申立てを受け付けた後、家庭裁判所は認めるか認めないか審査します。

相続放棄を認める判断をした場合、本人に対して、相続放棄申述受理通知書を送ります。

相続放棄申述受理通知書は、相続放棄を認めましたよという本人あてのお知らせです。

相続放棄申述受理通知書が届けば、相続手続は完了です。

相続放棄を認めた場合、家庭裁判所は本人にだけ通知をします。

家庭裁判所から、他の相続人や債権者などに自主的に相続放棄を認めましたと通知することはありません。

債権者などは、相続放棄が認められたことを知りません。

何も知らないから相続人に借金を返してもらおうと考えて、催促をしてきます。

相続放棄が認められたから、被相続人の借金を相続しません。

債権者に相続放棄受理通知書を見せると、分かってくれるでしょう。

相続放棄受理通知書は、本人あてのお知らせです。

いったん本人にお知らせをしたらお知らせは完了するから、再発行はされません。

相続放棄申述受理通知書の原本は保管しておいて、コピーを渡すといいでしょう。

多くの場合、相続放棄申述受理通知書のコピーを渡せば充分です。

相続放棄申述受理通知書を紛失してしまっても、相続放棄は無効になりません。

相続放棄申述受理通知書を紛失してしまった場合、家庭裁判所で相続放棄の証明をしてもらうことができます。

相続放棄の証明を相続放棄申述受理証明書と言います。

相続放棄申述受理証明書は、相続放棄をした人だけでなく債権者や他の相続人など法律上の利害関係がある人は取得することができます。

債権者などの利害関係人は、自分で相続放棄申述受理証明書を取り寄せることができます。

3家庭裁判所で手続しないと相続放棄はできない

①家庭裁判所で相続放棄をしたら相続人でなくなる

相続放棄は、本来、家庭裁判所に対する手続です。

家庭裁判所に対して、必要な書類をを添えて相続放棄をしたい旨の申立てをします。

相続放棄をした場合、はじめから相続人でなくなります。

被相続人の債権者は、被相続人の借金を払って欲しいと請求することはできません。

②遺産分割協議で相続放棄はできない

相続が発生すると、原則として、被相続人の財産は相続人が相続します。

被相続人の財産は、プラスの財産もマイナスの財産も相続財産になります。

相続人が相続する財産が、相続財産です。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

相続財産の分け方を決める相続人全員の話し合いを遺産分割協議と言います。

遺産分割協議において、一部の相続人が相続財産の受け取りをご辞退することがあります。

相続財産の受け取りをご辞退した人は、相続放棄をしたと表現するかもしれません。

相続財産の分け方を決める相続人全員の話し合いでご辞退しても、相続放棄ではありません。

相続放棄は、家庭裁判所で手続が必要だからです。

家庭裁判所で認めてもらわないと、相続放棄の効果は得られません。

③相続財産をご辞退しても借金を相続

相続放棄をした場合、はじめから相続人でなくなります。

被相続人の債権者は、被相続人の借金を払って欲しいと請求することはできません。

相続財産の分け方を決める相続人全員の話し合いでご辞退しても、相続放棄ではありません。

被相続人の債権者は、相続財産をご辞退した人に被相続人の借金を払って欲しいと請求することはできます。

相続財産の分け方についての相続人全員の合意事項は、相続人内部の合意に過ぎないからです。

相続人内部の合意事項だから、債権者などには関係ない話です。

債権者は、相続人全員に対して法定相続分で借金の返済を請求することができます。

相続財産の受け取りをご辞退すると相続人全員の合意で決めても、相続人のままです。

相続財産の受け取りをご辞退するする場合、プラスの財産を受け取っていないでしょう。

プラスの財産を受け取っていなくても、被相続人の借金は負担しなければなりません。

自称専門家は家庭裁判所で相続放棄の手続をするのは面倒だから、相続人間で決める方がいいとアドバイスしています。

自称専門家から自信満々に言われたら、信じてしまうかもしれません。

相続放棄と遺産分割協議は、別の手続です。

充分注意しましょう。

4相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する申立てです。

相続人らとのお話合いで、プラスの財産を相続しませんと申し入れをすることではありません。

家庭裁判所で認められないとマイナスの財産を引き継がなくて済むというメリットは受けられません。

家庭裁判所で相続放棄が認められたとしても、絶対的なものではありません。

相続放棄の要件を満たしていない場合、その後の裁判で相続放棄が否定されることもあり得ます。

相続が発生すると、家族はお葬式の手配から始まって膨大な手続きと身辺整理に追われます。

相続するのか、相続を放棄するのか充分に判断することなく、安易に相続財産に手を付けて、相続放棄ができなくなることがあります。

相続に関する手続の多くは、司法書士などの専門家に任せることができます。

手続を任せることで、大切な家族を追悼する余裕もできます。

相続人の調査や相続財産調査など適切に行って、充分に納得して手続を進めましょう。

相続放棄は3か月以内の制限があります。

3か月の期間内に手続をするのは思うよりハードルが高いものです。

相続放棄を考えている方はすみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

借金を知らなかったから相続放棄

2023-10-11

1相続放棄は3か月以内に手続

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

家庭裁判所に対して、必要な書類をを添えて相続放棄をしたい旨の申立てをします。

相続放棄は、いつでもできるわけではありません。

相続人は、相続を単純承認するか相続放棄するか選択することができます。

相続を単純承認するか相続放棄するか決める期間を熟慮期間と言います。

熟慮期間は、3か月以内です。

相続放棄を希望する場合、熟慮期間内に家庭裁判所に必要書類を添えて手続をします。

2借金を知らなかったから相続放棄

①被相続人の死亡後3か月以内に相続放棄

相続放棄ができるのは3か月以内の制限があることは、比較的知られています。

熟慮期間は3か月だから、被相続人の死亡後3か月以内であれば熟慮期間中です。

被相続人の死亡後3か月以内に莫大な借金が見つかった場合、相続放棄の手続をすることができます。

②被相続人の死亡を知ってから3か月以内に相続放棄

被相続人や被相続人の家族と常時連絡を取っていた場合、被相続人の死亡はすぐに連絡されます。

さまざまな家庭の事情から、被相続人や被相続人の家族と疎遠になっている相続人がいるかもしれません。

被相続人や被相続人の家族と音信不通の場合、死亡直後に連絡はされないでしょう。

相続発生から長期間経過してから、相続発生を知ることがあります。

熟慮期間の起算点は、被相続人の死亡時ではありません。

知ってから、3か月以内です。

被相続人の死亡を知ってから3か月以内に莫大な借金が見つかった場合、相続放棄の手続をすることができます。

③自分が相続人と知ってから3か月以内に相続放棄

相続が発生した場合、相続人になる人は法律で決まっています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どももいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続放棄をすることができるのは、相続人のみです。

先順位の相続人がいる場合、後順位の人は相続放棄の手続をすることはできません。

先順位の相続人が相続放棄をした場合、はじめから相続人でなかったと扱われます。

先順位の相続人全員が相続放棄をして相続人でなくなった場合、相続放棄の手続をすることはできます。

被相続人の死亡を知った後、長期間経過してから相続人になることがあります。

先順位の相続人について家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、家庭裁判所は本人にだけ通知します。

家庭裁判所から自主的に次順位相続人に連絡することはありません。

先順位の相続人が積極的に相続放棄をしたことを連絡する義務はありません。

相続人になった後、長期間経過してから相続人になったことを知ることがあります。

熟慮期間の起算点は、被相続人の死亡時ではありません。

知ってから、3か月以内です。

相続人になったことを知ってから3か月以内の場合、相続放棄の手続をすることができます。

④借金を相続すると知ってから3か月以内に相続放棄

相続が発生した場合、被相続人のものは相続財産になります。

相続財産には、プラスの財産もマイナスの財産も含まれます。

被相続人と別居していた場合、被相続人の経済状況を詳しく知らないことがほとんどでしょう。

被相続人の自宅などで重要な書類を探しても何も見つからなかった場合、めぼしい財産はないと判断するのも止むを得ません。

めぼしい財産はないと思っていたのに長期間経過してから、借金の支払いの催促を受けることがあります。

熟慮期間の起算点は、被相続人の死亡時ではありません。

知ってから、3か月以内です。

借金を相続すると知ってから3か月以内の場合、相続放棄の手続をすることができます。

⑤上申書を提出して3か月以内を説明

相続放棄を希望する場合、熟慮期間内に家庭裁判所に必要書類を添えて手続をします。

必要書類は、戸籍謄本や除票などです。

家庭裁判所は、提出された書類を見て審査をします。

被相続人の死亡後3か月以上経過しているのに、熟慮期間内であることがあります。

熟慮期間の起算点は、知ってからだからです。

提出された戸籍謄本や除票を見ても、いつ相続人になったことを知ったのか分かりません。

いつ借金の存在を知ったのか家庭裁判所には伝わりません。

被相続人の死亡後3か月以上経過している場合、詳しい事情を分かってもらう必要があります。

詳しい事情を記載した上申書を添えて、家庭裁判所を説得します。

何らかの手紙を受け取ったことで相続人であることや借金の存在を知ったのであれば、この手紙は重要です。

相続人であることや借金の存在を知った証拠になるからです。

この手紙を一緒に家庭裁判所に提出すると説得力が増します。

家庭裁判所が納得してくれた場合、相続放棄が認められます。

3遺産がないと信じることに相当な理由がある

①単に知らなかっただけは認められない

相続放棄ができるのは、3か月以内の制限があります。

被相続人が死亡したことと自分が相続人になったことの両方を知ってから、3か月以内に手続をしなければなりません。

悪質な貸金業者などは、被相続人が死亡してから3か月以上経過してから取立を開始することがあります。

相続人には、相続を単純承認するか相続放棄するか選択する権利があります。

被相続人が死亡してから3か月以上経過してから取立を開始した場合、相続人は借金の存在を知ることができません。

借金の存在を知らない場合、相続人は相続放棄をすることはないでしょう。

実質的に、相続放棄をする権利を奪っていると言えます。

相続人が相続放棄をする権利を不当に奪うことは、許されません。

特別な事情があると認められれば、相続放棄が認められます。

特別な事情とは、相続人が借金は存在しないと信じており、かつ、信じたことに正当な理由がある場合です。

単に、知らなかっただけでは、特別な事情とは認められません。

うっかりしていたなどの理由も、相続放棄が認められるのは難しいでしょう。

相続人が充分に調査をしても借金が判明しなかった場合や被相続人と音信不通であったなどの事情がある場合、信じたことに正当な理由があると認められるでしょう。

②被相続人の借金を調査する方法

相続人が借金は存在しないと信じており、かつ、信じたことに正当な理由がある場合、相続放棄をすることができます。

相続人は、充分な調査をしていたことを分かってもらう必要があります。

被相続人が借金をしていた場合、次の信用情報機関に調査をすることができます。

(1)消費者金融からの借入  日本信用情報機構(JICC)

(2)クレジット会社からの借入 株式会社シー・アイ・シー(CIC)

(3)銀行からの借入       全国銀行協会全国銀行個人信用情報センター

信用情報機関に連帯保証人が登録されている場合があります。

信用情報機関に照会することで、被相続人が連帯保証人になっていたことが判明するかもしれません。

不動産がある場合、抵当権や根抵当権が登記されている場合があります。

不動産を担保として借入がある可能性が高いので必ず確認しましょう。

③個人間の貸し借りは分からない

個人間の貸し借りや金融業者以外の会社からの借り入れは、信用情報機関に登録されていません。

被相続人の保管していた書類を丹念に調べることになります。

④上申書を提出して相当な理由を説明

被相続人の死亡後3か月以上経過している場合で、かつ、借金の存在を知ってから3か月以内に相続放棄をする場合、上申書の提出が有効です。

熟慮期間の起算点は、知ってからだからです。

提出された戸籍謄本や除票を見ても、いつ借金の存在を知ったのか分かりません。

いつ借金の存在を知ったのか家庭裁判所には伝わりません。

被相続人の死亡後3か月以上経過している場合、詳しい事情を分かってもらう必要があります。

詳しい事情を記載した上申書を添えて、家庭裁判所を説得します。

4単純承認をしていると相続放棄はできない

相続人には、相続を単純承認するか相続放棄するか選択する権利があります。

法律で定められた一定の条件にあてはまるときは、単純承認したとみなされます。

単純承認とは、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継ぐものです。

単純承認とみなされたら、相続放棄はできません。

被相続人が払うべきお金を相続財産から支払う場合、単純承認とみなされます。

相続財産を処分したと判断されるからです。

5相続放棄を司法書士に依頼するメリット

実は、相続放棄はその相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続放棄は撤回ができないので、慎重に判断する必要があります。

被相続人の死亡後3か月以内の相続放棄と較べると、3か月以上経過した相続放棄は難易度が高くなります。

認められる条件を満たしていても、書面で適切に表現しなければ伝わらないからです。

家庭裁判所が知りたいことを無視した作文では何の意味もありません。

相続放棄が認められる条件を満たしていることを家庭裁判所に納得してもらう必要があります。

相続放棄を自分で手続したい人の中には、戸籍や住民票だけで認められるとカンタンに考えている人がいます。

司法書士は、このような難易度が高い相続放棄にも対応しています。

相続放棄を考えている方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

伯叔父・伯叔母が死亡して甥姪が相続人

2023-10-04

1相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は次のとおりです。

②~④の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どももいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

2代襲相続で甥姪が相続人になる

①代襲相続とは

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

相続人になるはずだった人の子どもの子どもが相続することを再代襲相続と言います。

代襲相続ができるのは、相続人になるはずだった人の子どもなど被代襲者の直系卑属だけです。

相続人になるはずだった人を被代襲者と言います。

被代襲者の子どもなど被代襲者の直系卑属以外は代襲相続ができません。

②兄弟姉妹の代襲相続は一代限り

被相続人の兄弟姉妹が相続する場合で、かつ、兄弟姉妹が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹の子どもが代襲相続をすることができます。

兄弟姉妹の子どもが被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹の子どもの子どもは代襲相続をすることができません。

兄弟姉妹が相続する場合、代襲相続ができる範囲は一代限りだからです。

被相続人の子どもが相続する場合で、かつ、子どもが被相続人より先に死亡している場合、子どもの子どもが代襲相続をすることができます。

子どもの子どもが被相続人より先に死亡している場合、子どもの子どもの子どもは代襲相続をすることができます。

被相続人の子どもが相続する場合、下の世代の範囲に制限はありません。

子どもが被代襲者の場合、再代襲相続はできます。

兄弟姉妹が被代襲者の場合、再代襲相続はできません。

③甥姪の子どもが代襲相続できる例外

現在の法律では兄弟姉妹が相続する場合、代襲相続ができる範囲は一代限りです。

かつての法律では、兄弟姉妹が相続する場合、再代襲相続ができました。

被相続人が昭和23年1月1日から昭和55年12月31日に死亡した場合、兄弟姉妹の再代襲相続ができました。

④配偶者がいるときの甥姪の相続分

被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は常に相続人になります。

配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合、法定相続分は次のとおりです。

・配偶者 4分の3

・兄弟姉妹 4分の1

甥姪が相続人になる場合、甥姪は兄弟姉妹の相続分を引き継ぎます。

被相続人に兄弟姉妹が複数いる場合、人数で均等に分割します。

兄弟姉妹は、実父実母同じ兄弟姉妹だけではありません。

異父兄弟姉妹や異母兄弟姉妹が含まれるからです。

父だけ同じ兄弟姉妹や母だけ同じ兄弟姉妹は、父母同じ兄弟姉妹の半分になります。

父だけ同じ兄弟姉妹や母だけ同じ兄弟姉妹は、半血兄弟と言います。

代襲相続の場合、法定相続分は受け継がれます。

死亡した被代襲者の法定相続分を代襲相続人が人数で均等に分割します。

半血兄弟の法定相続分は全血兄弟の法定相続分の2分の1なので、代襲相続人の相続分が相応に少なくなります。

⑤甥姪に遺留分はない

被相続人は、原則として、自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。

とはいえ、財産は被相続人が1人で築いたものではなく、家族の協力があって築くことができたもののはずです。

被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすると今まで協力してきた家族に酷な結果となることもあります。

このため、被相続人に近い関係の相続人には相続財産に対して最低限の権利が認められています。

相続財産に対して、認められる最低限の権利のことを遺留分と言います。

遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

兄弟姉妹は遺留分が認められないから、甥姪も遺留分がありません。

3数次相続で甥姪が相続人になる

①数次相続とは

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

共有財産になった相続財産は、相続人全員で話し合いによる分け方の合意が不可欠です。

相続財産の分け方について、話し合いがまとまる前に、相続人が死亡して新たな相続が発生することがあります。

最初の相続の手続中に相続人が死亡して、さらに相続が発生した状態を数次相続と言います。

数次相続は、どこまででも続きます。

どこまで続くかについて、法律上の制限はありません。

最初の相続を一次相続、相続人が死亡した相続を二次相続と言います。

二次相続の相続人が死亡すると、三次相続、さらに、四次相続、五次相続という場合もあります。

相続人が死亡して新たな相続が発生することを、まとめて、数次相続と言います。

②数次相続と代襲相続のちがい

数次相続も代襲相続も相続が複雑になる代表例です。

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

数次相続は、相続が発生した「後」に、相続人が死亡した場合です。

代襲相続は、相続が発生する「前」に、相続人になるはずだった人が死亡した場合です。

数次相続では、死亡した相続人の相続人が最初の相続の遺産分割協議に参加します。

代襲相続では、死亡した相続人の直系卑属が最初の相続の遺産分割協議に参加します。

数次相続と代襲相続では、遺産分割協議に参加する人が異なります。

遺産分割協議に参加すべき人が参加していない場合、相続財産の分け方の合意は無効になります。

遺産分割協議に参加すべきでない人が参加している場合、相続財産の分け方の合意は無効になります。

だれが話し合いに参加すべきか間違えると、せっかく合意をしても合意が無効になります。

③数次相続なら甥姪の子どもは相続人になる

数次相続では、複数の相続が発生しています。

最初の相続が発生した時点で被相続人の兄弟姉妹が被相続人より先に死亡している場合、代襲相続が発生します。

被相続人の甥姪が代襲相続人になります。

最初の相続が発生した時点で被相続人の兄弟姉妹と被相続人の甥姪が被相続人より先に死亡している場合、甥姪の子どもは相続人にはなりません。

兄弟姉妹が相続する場合、代襲相続ができる範囲は一代限りだからです。

最初の相続が発生した時点で元気だった甥姪が後に死亡した場合、甥姪の子どもは相続人です。

代襲相続人である甥姪の地位を相続したからです。

数次相続に制限はありません。

4甥姪は特別寄与者になれるがハードルが高い

①特別寄与料は親族が請求できる

特別の寄与が認められるのは、相続人以外の親族です。

寄与分の制度は、特別な貢献をした人に対して相続分以上の財産を受け取ってもらうことで、相続人間の実質的な公平を図ろうとしたものです。

特別な貢献をしたのに相続人ではない場合、寄与分を請求することはできません。

例えば、被相続人に子どもがいるけど疎遠になっていることがあります。

被相続人に離婚歴があって子どもが幼いうちに元配偶者が引き取ったケースなどです。

子どもには頼れないから甥姪などが被相続人に献身的にお世話をしていることがあります。

被相続人に子どもがいる場合、兄弟姉妹も甥姪も相続人ではありません。

相続人でないから寄与分を請求して貢献が報われることがありません。

特別な貢献をした人が親族である場合、特別寄与料を請求することができます。

親族にあたる人は、法律で決められています。

具体的には、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族です。

被相続人の甥姪は、親族です。

甥姪が特別な貢献をしたと認められる場合、特別寄与料を請求して貢献が報われます。

②特別寄与料を請求する条件はとても厳しい

特別寄与料の請求が認められるのは、次の条件がすべて満たされた場合です。

(1) 特別の寄与があること

特別の寄与とは、被相続人との身分関係から考えて、通常期待される程度を超える貢献のことです。

(2) 財産が実質的に増加したこと

寄与分が認められるのは、実質的に財産の増加した場合のみです。

財産の減少や負債の増加が免れたこと、財産の増加や負債の減少が必要です。

財産の経済的価値の実質的増加が必要ですから、精神的援助は寄与分の対象にはなりません。

具体的には、頻繁にお見舞いに行ったことや話し相手になったことは寄与分の対象になりません。

お見舞いや話し相手で財産が実質的に増加することはないからです。

精神的援助は金銭的評価が困難です。

(3) 特別の寄与と財産増加に因果関係があること

寄与分が認められるのは、特別の寄与が財産の実質的増加につながった行為のみです。

5甥姪が相続人になるときは遺言書作成がおすすめ

被相続人の兄弟姉妹が相続人になる場合、相続人同士の関係が希薄になっていることが多いです。

甥姪の世代になると、被相続人の配偶者や兄弟姉妹と較べると若いことでしょう。

関係が希薄になっているうえに、相続に対する考え方も異なります。

相続人同士が話し合うとしても、簡単に合意ができることは少ないものです。

相続人間の関係が希薄である場合、遺言書の作成がおすすめです。

遺言書を作成して財産の行き先を指定すれば、相続人全員の話し合いは不要になるからです。

財産の行き先を指定するだけでなく、遺言書で遺言執行者を指定することができます。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現してくれる人です。

遺言執行者がいる場合、わずらわしい相続手続はすべてお任せをすることができます。

相続人間にトラブルが懸念される場合はもちろんのこと、トラブルの懸念がないときも遺言書の作成はおすすめです。

6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

自筆証書遺言の多くは、専門家のサポートなしで一人で作ります。

その結果、遺言書の厳格な書き方ルールが守られておらず、無効になってしまいます。

形式的な書き方ルールは守られていても、内容があいまいで遺言書を実現できないことも多々あります。

さらに、相続人の遺留分に配慮されておらず、トラブルに発展する例もあります。

せっかく遺言書を作るのなら確実な公正証書遺言をおすすめします。

司法書士などの専門家は相続人になる予定の人の遺留分にも配慮して、遺言書文案作成から公正証書遺言作成、遺言執行までトータルでサポートします。

司法書士からトータルでサポートを受けると、遺言者は確実な遺言を遺せるので安心できるでしょう。

相続発生後も、相続人は面倒な相続手続から解放されます。

遺言者も家族も安心できる公正証書遺言作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

危険な家族信託でトラブル

2023-10-02

1家族信託とは

所有者はものを自由に売ったり、自由に管理したりして、ものから利益を受け取ることができます。

だから、所有権は、自由にものを売る権利であるし、自由に管理する権利であるし、ものから利益を受け取る権利であるといえます。

所有権はよく見ると、たくさんの権利の集合体といえます。

たくさんの権利の集合体である所有権から、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持っていることができます。

自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持つ仕組みを家族のための信託といいます。

この仕組みを利用すると、信頼できる家族は自由にものを売ることができるし、自由に管理することができます。

自由に売る権利や自由に管理する権利を渡す相手は信頼できる家族であればよく、親子でなくても差し支えありません。

2家族信託のメリット

認知症になると、記憶があいまいになったり、物事のメリットデメリットを適切に判断することができなくなります。

自分の財産を管理したり処分したりすることができなくなります。

自分の貯金があるのに、引き出すことができなくなります。

自分の不動産があるのに、売却することができなくなります。

家族信託は、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡します。

自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族が管理するから、財産を活用することができます。

家族信託は、裁判所などの監督を受けません。

信託契約の目的の範囲内で信託契約で与えられた権限を行使します。

成年後見などより柔軟な資産活用をすることができます。

2危険な家族信託でおきるトラブルと対策

①受託者が権限を濫用する

家族信託は、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡します。

受託者は、自由に売る権利や自由に管理する権利を行使する人です。

信託目的達成のため、受託者には大きな権限が与えられています。

受託者が適切な権限行使をするように、多くの義務を課せられています。

受託者が権限を乱用してしまう可能性はあります。

認知症対策のために家族信託を利用する場合、委託者兼受益者は相当高齢でしょう。

一時の気まぐれで、信託契約の内容を変更したり信託を終了させた場合、信託目的を達成できなくなります。

受託者が円滑に信託事務を行うため、委託者兼受益者の権限を制限することができます。

委託者兼受益者の権限を制限した場合、受託者の権限濫用を止められなくなるおそれがあります。

信託契約において、委託者兼受益者の権限を制限できるように受託者の権限を制限することができます。

信託監督人を置く定めや信託監督人の同意がないと権限行使ができない定めなどです。

受託者の権限を制限した場合、柔軟な財産管理が難しくなるおそれがあります。

成年後見における家庭裁判所などの報告や相談と同様になってしまいます。

この対策としては、信頼できる家族を受託者にすることです。

信頼できる家族が受託者として適切に信託事務を行った場合でも、他の家族には不満があるかもしれません。

家族信託に納得していない家族には、権限濫用に見えることがあります。

家族信託は、多くの人に良く知られている制度とは言えません。

信託契約を考えたときから、家族みんなでよく話し合っておく必要があります。

②受託者が財産管理をできなくなる

認知症対策のために家族信託を利用する場合、委託者兼受益者の死亡は家族みんなが意識しています。

委託者兼受益者が元気でいるのに、受託者が病気やけがで財産管理ができなくなることがあります。

信託契約は、締結して終わりではなく長期間に継続するからです。

受託者は、自由に売る権利や自由に管理する権利を行使する人です。

受託者がいなくなると、信託が機能しなくなります。

受託者が財産管理をできなくなったときに備えて、信託契約で後継受託者を決めておくことができます。

後継受託者とは、受託者が財産管理をできなくなったときに次の受託者になる人です。

あらかじめ次の受託者を決めておくことでスムーズな引き継ぎをすることができます。

受託者が欠けた場合、委託者と受益者は新たな受託者を選任する必要があります。

本人の認知症リスクに備えるために家族信託を利用した場合、認知症を発症している可能性があります。

委託者兼受益者が認知症を発症していた場合、新たな受託者を選任することができません。

受託者が不在のまま1年経過したら信託は終了になります。

③信託契約締結時の判断能力に疑い

本人の認知症リスクに備えるために家族信託を利用した場合、本人は委託者兼受益者として、信頼できる家族は受託者として信託契約を締結します。

物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなると、契約などの法律行為ができなくなります。

契約書を作成しても、充分な判断能力がなければ意味のない文書です。

本人の認知症リスクに備えるために家族信託を利用した場合、本人は相当高齢でしょう。

家族信託に不満がある家族がいた場合、本人の判断能力の有無を争います。

契約締結をした当時、本人が物事のメリットデメリットを充分に判断することができない場合、契約は無効になるからです。

家族信託を利用する場合、本人の判断能力が争う余地がない程度の段階で信託契約を締結することがおすすめです。

信託契約は、委託者兼受益者と受託者のみで契約書を作成しても有効です。

公正証書にしなくても無効になりません。

委託者兼受益者と受託者のみで契約書を作成した場合、本人の判断能力に疑いを持つ家族に何も言えません。

信託契約書を公正証書にする場合、公証人が関与します。

公証人は、本人確認書類の提示などを求めて本人確認をします。

公証人は、当事者の意思確認をして信託契約書を公正証書にします。

本人が物事のメリットデメリットを充分に判断することができない場合、公証人は意思確認ができません。

公証人が意思確認をできない場合、公正証書作成は断られます。

家族信託に不満がある家族が本人の判断能力を疑った場合、公正証書にしてあることで有効性を主張しやすくなります。

④信託口口座が開設できない

家族信託をするとき、委託者兼受益者と受託者で信託契約を締結します。

信託契約で信託の対象とする財産が決められます。

信託の対象とする財産が信託財産です。

信託財産は委託者の財産であった財産ですが、信頼する家族の名義になります。

財産が受託者の名義になっても、受託者の固有の財産ではありません。

受託者の固有の財産とは別管理をします。

信託口口座とは、信託財産を受託者が管理するための口座です。

信託財産管理用の口座と分かるように明示した口座のことです。

信託口口座はまだ一部の金融機関のみの取り扱いです。

信託口口座の開設条件は、金融機関によって異なります。

信託法上問題がない信託契約であっても金融機関独自の開設条件に合わない場合、信託口口座の開設をお断りされます。

信託契約を締結する前に信託口口座を開設したい金融機関と打合せが必要になります。

信託契約を公正証書にする場合、公証人とも打合せが必要です。

⑤遺留分を侵害している

信託財産は委託者の財産でもないし、受託者の財産でもなくなります。

信託財産は、だれの財産でもない独立した財産です。

相続財産とは別に、信託が終了したら信託財産を受け継ぐと指定された人は信託財産を受け取ることができます。

例えば、委託者が財産のほとんどを信託契約で信託財産にすることがあります。

信託契約で、信託終了時に一部の相続人に信託財産を引き継がせると決めることができます。

遺留分制度を免れる目的で、信託契約を悪用することは許されません。

公序良俗に反するとして、遺留分侵害額請求がされるおそれがあります。

遺留分を侵害するような信託契約であっても、信託法上無効になるものではありません。

家族でトラブルに発展させないため、信託設計時点から他の相続人の遺留分に配慮するといいでしょう。

⑥抵当権付き不動産を信託財産にする

信託契約で信託の対象とする財産が決められます。

本人の認知症リスクに備えるために家族信託を利用した場合、本人所有の不動産を信託財産にする希望が多いです。

本人の不動産にローンが残っている場合、不動産を担保に差し出しているでしょう。

ローンを組むときに、金融機関は不動産を担保に取っています。

抵当権は、不動産を担保に取る権利です。

ローンを組む契約と担保に取る契約において、不動産の名義を変更するときは金融機関の承諾を得るという条項が入っています。

金融機関の承諾なしで家族信託にした場合、契約違反になります。

金融機関は契約違反だからローンの一括返済を要求するでしょう。

信託法上、抵当権付き不動産を信託財産にすることは可能です。

家族信託を検討する場合、金融機関に事情を話して承諾を得ておくといいでしょう。

金融機関が対応しない場合、他の金融機関に借り換えを検討することができます。

⑦思いがけない税金や費用がかかる

本人の認知症リスクに備えるために家族信託を利用した場合、本人は委託者兼受益者です。

委託者と受益者が同一の場合、贈与税はかかりません。

委託者と受益者が別の場合、贈与税はかかります。

本人のみを受益者とせず本人と配偶者を受益者とした場合、委託者から受益者に贈与があったと判断されます。

贈与税は想像するより高額になりがちです。

単に本人と配偶者の生活費を支払う目的であれば、本人のみを受益者にすれば充分です。

本人の扶養義務の範囲内で配偶者の生活費は支払えばいいからです。

贈与税などがかかる場合であっても信託法上、信託契約が無効になるわけではありません。

思いがけない税金がかかる場合、納得がいかない家族が出てくることがあります。

適切な専門家のアドバイスを受けることが大切です。

家族信託を利用する場合、最初に高額の費用がかかりがちです。

全体で考えると成年後見などよりは費用を抑えられることが多いものです。

最初にかかる高額な費用だけでなく、全体的な費用感をすり合わせておくことが重要です。

⑧損益通算ができない

家族信託の仕組みを使う財産と使わない財産があった場合に問題になります。

収益不動産をいくつも持っていると、赤字になる不動産、黒字になる不動産があるでしょう。

通常は、赤字分と黒字分を通算して、不動産所得を計算します。

家族信託の仕組みを使う財産と使わない財産があった場合、赤字分と黒字分を通算することはできません。

家族信託を利用することによって所得税の負担が大きくなる可能性があります。

収益不動産を保有している場合、大規模修繕が必要になります。

大規模修繕の高額な経費を通算することができなくなるのは痛手です。

信託契約をする前に大規模修繕を済ませておくといいでしょう。

他の財産を信託した後、大規模修繕を済ませたタイミングで追加信託をすることを選択することもできます。

3家族信託を司法書士に依頼するメリット

家族信託は、信託契約によって柔軟に設計することができます。

今までの遺言書や後見などでできないことも実現することができます。

柔軟で自由に設計できるからこそ、契約内容や手続きは難しく専門家のサポートが欠かせません。

委託者の固有の財産から切り離して、だれの財産でもない独立した財産にできることも大きな魅力でしょう。

委託者、受託者、受益者の関係者がすべて家族で完結するから安心と言えますが、全員に知識がないことが多くトラブルに発展しやすいと言えます。

家族全員が家族信託について話し合い、充分知識をつけて、何でも相談できるのであれば、円滑に運用することができるでしょう。

充分な知識がないのに、信託を設定するとトラブルが起きると言えます。

受託者監督人など家族以外の専門家のサポートを受ける方が安心できる場合もあります。

家族信託は、公正証書で契約しなくても有効になります。

公正証書は公証人という専門家の目も通るし、契約内容についてのトラブルを防ぐこともできます。

やはり専門家のサポートが欠かせないというべきでしょう。

家族信託を考えている方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

代襲相続人の相続割合

2023-09-27

1代襲相続とは

①代襲相続とは相続人になるはずだった人の子どもが相続すること

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は次のとおりです。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どももいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

相続人になるはずだった人の子どもの子どもが相続することを再代襲相続と言います。

②数次相続と代襲相続のちがい

数次相続も代襲相続も相続が複雑になる代表例です。

数次相続は、相続が発生した「後」に、相続人が死亡した場合です。

代襲相続は、相続が発生する「前」に、相続人が死亡した場合です。

数次相続では、死亡した相続人の相続人が最初の相続の遺産分割協議に参加します。

代襲相続では、死亡した相続人の直系卑属が最初の相続の遺産分割協議に参加します。

数次相続と代襲相続では、遺産分割協議に参加する人が異なります。

数次相続も代襲相続も、死亡した相続人の相続分を引き継ぎます。

数次相続が発生した場合と代襲相続が発生した場合では、相続分を引き継ぐ人が違います。

引き継ぐ人と引き継ぐ相続分は十分に確認して手続を進めましょう。

2代襲相続ができる原因

①相続人が死亡したら代襲相続する

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合です。

実際に死亡した場合の他に、失踪宣告を受けて死亡したものと扱われる場合も、代襲相続が発生します。

被相続人の死亡後、相続手続の途中で相続人が死亡した場合には、数次相続になります。

相続が発生したときに相続人が健在であれば、その後死亡しても代襲相続にはなりません。

②相続人が欠格になったら代襲相続する

欠格とは、相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度のことです。

欠格になる理由は法律で定められています。

主な理由は、被相続人を殺害したり、殺害しようとしたり、遺言書を偽造したり、遺言書を隠したりしたなどです。

法律で決められた理由があれば、家庭裁判所などの手続はなく、当然に、相続資格を失います。

相続人が相続欠格になる場合、代襲相続ができます。

③相続人が廃除されたら代襲相続する

相続人廃除とは、被相続人の意思で、相続人の資格を奪う制度のことです。

例えば、被相続人に虐待をした人に、相続をさせたくないと考えるのは自然なことでしょう。

相続人廃除は家庭裁判所に申立をして、家庭裁判所が判断します。

被相続人が相続人廃除したいと言い、相続人が廃除されていいと納得していても、家庭裁判所が相続人廃除を認めないことがあります。

相続人が相続人廃除になる場合、代襲相続ができます。

④相続人が相続放棄をしたら代襲相続しない

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

相続人でなくなるから、代襲相続もあり得ません。

被相続人の子どもが相続放棄をした場合、子どもの子どもは相続しません。

被相続人の借金から逃れるために相続放棄をした場合、代襲相続がされないので安心です。

被相続人の子ども全員が相続放棄をした場合、子どもがいない場合になります。

子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続します。

3代襲相続人になる条件

①被代襲者は被相続人の子どもか兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人を被代襲者と言います。

被代襲者になれるのは、被相続人の子ども等と兄弟姉妹だけです。

配偶者と親などの直系尊属は、被代襲者になることはできません。

②代襲相続人になれる人

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人の代わりに相続人になる子どもや子どもの子どもを代襲相続人と言います。

代襲相続人になれるのは、被代襲者の子どもなど被代襲者の直系卑属だけです。

代襲相続人になれるのは、被相続人の卑属でなければなりません。

被代襲者の直系卑属で、かつ、被相続人の卑属だけが代襲相続できます。

③甥姪も被相続人より先に死亡したら代襲相続しない

被相続人の兄弟姉妹が相続する場合で、かつ、兄弟姉妹が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹の子どもが代襲相続をすることができます。

兄弟姉妹の子どもが被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹の子どもの子どもは代襲相続をすることができません。

兄弟姉妹が相続する場合、代襲相続ができる範囲は一代限りだからです。

被相続人の子どもが相続する場合で、かつ、子どもが被相続人より先に死亡している場合、子どもの子どもが代襲相続をすることができます。

子どもの子どもが被相続人より先に死亡している場合、子どもの子どもの子どもは代襲相続をすることができます。

被相続人の子どもが相続する場合、下の世代の範囲に制限はありません。

兄弟姉妹が被代襲者の場合、再代襲相続はできません。

子どもが被代襲者の場合、再代襲相続はできます。

現在は兄弟姉妹が相続する場合、代襲相続ができる範囲は一代限りです。

昭和23年1月1日から昭和55年12月31日に開始した相続については、再代襲相続ができました。

4代襲相続人の相続割合

①代襲相続人は被代襲者の法定相続分を引き継ぐ

配偶者がいる場合、法定相続分は次のとおりです

(1)相続人が配偶者と子ども 配偶者2分の1 子ども2分の1

(2)相続人が配偶者と直系尊属 配偶者3分の2 直系尊属3分の1

(3)相続人が配偶者と兄弟姉妹 配偶者4分の3 兄弟姉妹4分の1

兄弟姉妹が数人いる場合、人数で均等に分割します。

兄弟姉妹は、実父実母同じ兄弟姉妹だけではありません。

異父兄弟姉妹や異母兄弟姉妹が含まれるからです。

父だけ同じ兄弟姉妹や母だけ同じ兄弟姉妹は、父母同じ兄弟姉妹の半分になります。

父だけ同じ兄弟姉妹や母だけ同じ兄弟姉妹は、半血兄弟と言います。

代襲相続の場合、法定相続分は受け継がれます。

死亡した被代襲者の法定相続分を代襲相続人が人数で均等に分割します。

半血兄弟の法定相続分は全血兄弟の法定相続分の2分の1なので、代襲相続人の相続分が相応に少なくなります。

②他の相続人の法定相続分に影響はない

代襲相続人は、被代襲者の相続分を引き継ぐだけです。

代襲相続が発生しても代襲相続が発生しなくても、他の相続人の相続分は変わりません。

代襲相続が起きなければ、被代襲者が引き継いだはずの相続分です。

代襲相続が発生したことによって相続人が多人数になることがあります。

相続人が増えたからと言っても、他の相続人の相続分が奪われることはありません。

代襲相続人は、被代襲者の相続分を引き継ぐだけだからです。

③代襲相続人は被代襲者の遺留分を引き継ぐ

遺留分とは、相続財産に対して認められる最低限の権利のことです。

兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

被代襲者が子どもや子どもの子どもの場合、遺留分権利者です。

被代襲者が遺留分権利者の場合、代襲相続人は被代襲者の遺留分を引き継ぎます。

被代襲者が兄弟姉妹の場合、遺留分は認められません。

兄弟姉妹の子どもは代襲相続ができる場合であっても、遺留分を主張することはできません。

5養子の連れ子は代襲相続ができない

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

子どもがいたが被相続人より先に死亡していた場合、子どもの子どもが相続人になります。

被相続人の子どもが養子であっても、養子は相続人になります。

養子がいたが被相続人より先に死亡していた場合、養子の子どもは相続人になる場合と相続人にならない場合があります。

代襲相続ができるのは、被相続人の卑属のみだからです。

養子縁組は、養親と養子の間で法律上の親子関係を作るものです。

養親と養子の子どもらには、親族関係が作られません。

養子縁組の時点で誕生していた養子の子どもは、養子縁組があっても、養親の直系卑属ではないのです。

養子縁組後に、誕生した養子の子どもは、養親の直系卑属になります。

養子がいたが被相続人より先に死亡していた場合、養子縁組前に誕生した養子の子どもは、相続人になりません。

養子がいたが被相続人より先に死亡していた場合、養子縁組後に誕生した養子の子どもは、相続人になります。

養子縁組の時点で誕生していた養子の子どもは、養子縁組があっても、養親の直系卑属ではないのが原則です。

養子縁組の時点で誕生していた養子の子どもが、実子の子どもである場合があります。

実子の子どもは、当然、直系卑属です。

直系卑属は、代襲相続ができます。

養子がいたが被相続人より先に死亡していた場合、養子縁組前に誕生した養子の子どもで、かつ、実子の子どもである場合は、相続人になります。

6代襲相続がある相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、被相続人のものは相続財産になります。

相続財産は相続人全員の共有財産ですから、分け方を決めるためには相続人全員の合意が必要です。

相続人の一部を含めない合意や相続人でない人を含めた合意は無効になります。

相続財産の分け方の話し合いの前提として、相続人の確定と相続分の確認はとても重要です。

代襲相続や数次相続が発生している場合、一挙に難易度が上がります。

インターネットが普及したことで、多くの情報を手軽に得ることができるようになりました。

簡単に情報発信ができるようになったこともあって、適切でない情報も有益な情報もたくさん出回っています。

相続の専門家と名乗っていながら、適切でないアドバイスを見かけることも度々あります。

代襲相続や数次相続が発生している場合、信頼できる専門家のサポートが欠かせません。

スムーズに相続手続を行いたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

遺産分割協議書に割印・契印

2023-09-25

1遺産分割協議書で相続人全員の合意を証明する

①相続財産は相続人全員の合意で分け方を決める

相続が発生した場合、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続人のひとりが勝手に処分することはできません。

相続人全員で相続財産の分け方について話し合いをします。

相続人全員による合意をして、相続財産の分け方を決める必要があります。

相続財産の分け方にについて、相続人全員でする話し合いのことを遺産分割協議と言います。

遺産分割協議は、必ず、全員で合意する必要があります。

相続人全員が一つの場所に集まる必要はありません。

電話でもメールでも差し支えありません。

一度に相続人全員合意する必要はありません。

一部の相続人と合意をして、次に、残りの相続人と合意をすることでも問題ありません。

最終的に相続人全員が合意できれば良いのです。

全ての財産をまとめて合意しなければならないといったこともありません。

一部の財産についてだけ合意をすることもできます。

②遺産分割協議書は合意内容の証明書

相続財産は、相続人全員の合意で分け方を決めなければなりません。

相続人全員で合意したら、確定して話し合いは終了になります。

口頭の合意であっても、合意は有効です。

相続財産の分け方について相続人全員で合意した後は、相続手続をします。

口頭の合意をしたと言っても、相続手続先には信用してもらえません。

相続手続先には信用してもらうために、相続人全員の合意内容を文書に取りまとめます。

合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書と言います。

③遺産分割協議書に記名して実印で押印

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容を証明する書面です。

遺産分割協議書には、相続人全員が記名して実印で押印します。

実印は、大切な場面で使われる印章です。

本人が大切に保管しているはずです。

実印で押印してあるということは、遺産分割協議書の内容を本人自身が確認したと言えます。

相続人全員について本人自身が確認した証拠として実印で押印してもらいます。

④遺産分割協議書に印鑑証明書を添付

実印は、市区町村役場で登録してある印章です。

市区町村役場で印鑑証明書を発行してもらうことができます。

遺産分割協議書に実印で押印したうえで、印鑑証明書を添付します。

印鑑証明書を添付することで、実印であることを証明することができるからです。

相続人全員が実印で押印した遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書を提出することで、相続人全員が合意したことを信用してもらえます。

⑤相続登記の印鑑証明書は古いものでいい

相続登記を申請するときに、多くの場合、遺産分割協議書と印鑑証明書を提出します。

相続登記で提出する印鑑証明書は、期限はありません。

古い印鑑証明書を提出しても、問題なく受け付けてもらえます。

遺産分割協議書の日付より、古い印鑑証明書でも問題ありません。

相続が発生した日付より、古い印鑑証明書でも問題ありません。

相続手続先によっては、独自ルールで印鑑証明書の日付の期限を決めていることがあります。

2遺産分割協議書に割印・契印

①割印・契印はなくても遺産分割協議書は有効

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容をとりまとめた書面です。

割印・契印はなくても、遺産分割協議書は有効です。

相続財産の分け方についての相続人全員の合意は、口頭の合意であっても有効だからです。

口頭の合意では相続手続先に信用してもらえないから、文書が必要になるだけです。

相続手続先に信用してもらうために、割印・契印をします。

②ページの抜き取りや差し替えができる状態では相続手続を進められない

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容を取りまとめた文書です。

合意内容を文書に取りまとめた後、間違いないことを確認して相続人全員が記名し実印で押印します。

記名押印がされた後に一部のページが抜き取られたり差し替えがあった場合、文書の内容は真正な合意内容ではなくなってしまいます。

遺産分割協議書が抜き取りや差し替えができる状態である場合、文書の内容は真正な内容でないおそれがあります。

遺産分割協議書の内容が真正でないおそれがある場合、相続手続先は相続人全員の合意があると信用することはできないでしょう。

相続手続を進めることができなくなります。

遺産分割協議書をクリップなどで簡単に綴じただけの場合、相続手続を進めることは難しいでしょう。

③相続人全員で割印・契印を施す

遺産分割協議書の内容が多い場合、複数ページに渡ることがあります。

複数ページに渡る場合、一般的なのが契印を施すことです。

契印とは、文書が複数ページに渡るときに1通の文書であることを証明するためページの見開きにまたがって押印することです。

見開きにまたがって押印することを割印と呼ぶ人もいます。

契印は、最初のページから最後のページまで施します。

最初のページから最後のページまで契印がある場合、書類の改ざんがないことを証明できます。

遺産分割協議書では、相続人全員が実印で契印を施します。

記名押印がされた後に一部のページが抜き取られたり差し替えがあった場合、契印がつながらなくなります。

契印がつながっている場合、改ざんがないと言えます。

④袋とじにして相続人全員で割印・契印を施す

財産内容が複雑であったり、相続財産の分け方の合意内容が複雑である場合、遺産分割協議書は長文になります。

ときには何十ページにも及ぶことがあります。

最初のページから最後のページまで契印を施すのは、手間がかかります。

遺産分割協議書を袋とじにするといいでしょう。

袋とじにするとき、製本テープを使うと便利です。

袋とじにしてあれば、最初のページから最後のページまで契印を施す必要はありません。

製本テープと文書にまたがるように相続人全員の契印が必要になります。

⑤割印・契印がないと相続手続ができない可能性

相続手続先に信用してもらうために、割印・契印をします。

契印がつながっていることで、一部のページの抜き取りや差し替えがされていないことを証明できるからです。

割印・契印がない場合、相続手続先によっては抜き取りや差し替えがされたかもしれないと考えます。

抜き取りや差し替えがされた場合、相続人全員の合意がないおそれがあります。

相続人全員合意がない場合、相続手続を進めることはできません。

割印・契印がない場合、相続手続を進めることはできなくなる可能性があります。

3遺産分割協議書に割印・契印をなしにする方法

①遺産分割協議書が1枚なら割印・契印は不要

一部のページの抜き取りや差し替えがされていないことを証明するため、割印・契印をします。

遺産分割協議書が1枚の場合、抜き取りや差し替えはできません。

遺産分割協議書が1枚なら、割印・契印は不要です。

②両面印刷する

遺産分割協議書の内容が2ページ以内の場合、紙の両面に印刷することができます。

2ページ以内の制約はあるものの、両面印刷は手軽にすることができるのでおすすめです。

遺産分割協議書を両面印刷した場合、抜き取りや差し替えはできません。

遺産分割協議書を両面印刷した場合、割印・契印は不要です。

③A3に見開きで印刷する

一般的な家庭用プリンターではA4の紙しか印刷ができない場合が多いでしょう。

A4の紙を2枚並べて、A3の紙にコピーすることができます。

コピーした紙に相続人全員が記名し実印で押印をすることができます。

A3の紙にコピーするのであれば、コンビニエンスストアのコピー機で作ることができます。

A3に見開きで印刷した場合、抜き取りや差し替えはできません。

A3に見開きで印刷した場合、割印・契印は不要です。

④財産ごとに複数の遺産分割協議書を作る

遺産分割協議書は、すべての財産についてまとめて作成してもいいし、一部の財産について作成しても構いません。

まとめて作成した遺産分割協議書も、一部の財産についてだけ作成した遺産分割協議書も有効です。

相続登記用の遺産分割協議書の場合、不動産だけについて合意した遺産分割協議書を作るのが通例です。

財産ごとに遺産分割協議書を作った場合、1枚で収まることが多いでしょう。

遺産分割協議書が1枚なら、割印・契印は不要です。

4遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

合意がきちんと文書になっているからこそトラブルが防止できるといえます。

つまり、書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。

せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続人が死後離婚・姻族関係終了届

2023-09-20

1姻族関係終了届(死後離婚)とは

姻族とは、配偶者の両親や配偶者の兄弟姉妹などの親族のことです。

配偶者の生前に離婚したら、当然に姻族関係は終了します。

配偶者と離婚しないまま配偶者が死亡した場合、姻族関係は終了しません。

配偶者が死亡した場合、希望すれば、復氏をすることができます。

生存配偶者が復氏をしても、姻族関係は終了しません。

配偶者が死亡した後、希望すれば、姻族関係を終了させることができます。

姻族関係を終了させる届出のことを、姻族関係終了届と言います。

役所に姻族関係終了届を提出することで、姻族関係を終了させることができます。

姻族関係終了届を俗に死後離婚と言います。

2姻族関係終了届(死後離婚)をしても死亡配偶者の遺産を相続できる

姻族関係終了届は、配偶者の死亡後、死亡配偶者の両親や兄弟姉妹などとの関係を終了させるものに過ぎません。

姻族関係終了届を提出しても、死亡配偶者との婚姻関係がなくなることはありません。

姻族関係終了届を提出しても、相続発生時の配偶者であることに変わりはありません。

相続発生時の法律上の配偶者は、常に、相続人になります。

死亡配偶者の相続人になりますから、遺産を相続することができます。

過去に相続した財産が、無効になることもありません。

他の相続人が姻族関係終了届を提出したことを不満に思うかもしれません。

他の相続人から相続放棄をするように迫られることもあるでしょう。

生存配偶者は相続人ですから、当然、遺産分割を求める権利があります。

相続財産の分け方を決めるためには、相続人全員の合意が不可欠です。

姻族関係終了届を提出した生存配偶者を含めないで合意をしても、無効です。

他人になったのだから遺産を返すように要求されることもあるでしょう。

相続する権利があるのですから、このような不当な要求に応じる必要はありません。

3姻族関係終了届(死後離婚)をしても遺族年金を受け取ることができる

遺族年金を受け取ることと姻族関係終了届の提出は全く関係がありません。

姻族関係終了届を提出しても提出しなくても、遺族年金を受け取る要件を満たしている人は遺族年金を受け取ることができます。

遺族年金を受け取っている人が姻族関係終了届を出しても、年金を返還しなければならなくなることもありません。

姻族関係終了届を提出しても、死亡配偶者との婚姻関係がなくなることがないからです。

遺族年金は再婚すると失権しますから、それ以降、年金を受け取ることはできなくなります。

死亡配偶者との間に子どもがいる場合、要件を満たせば、子どもが遺族年金を受け取ることができます。

4姻族関係終了届(死後離婚)のメリット

①扶養義務がなくなる

法律上の扶養義務は、原則として、直系血族と兄弟姉妹です。

場合によっては、3親等内の親族も扶養義務を負うことがあります。

生存配偶者は、死亡配偶者の両親や兄弟姉妹について扶養義務を負うことがあります。

姻族関係が終了した場合、これらの親族に対する扶養義務がなくなります。

法律上の扶養義務がない場合でも、社会通念上、嫁は親の介護をして当然などとお世話を要求されることがあります。

姻族関係が終了していれば、社会通念上の義務などからも逃れやすくなるでしょう。

②精神的負担が軽くなる

生存配偶者と死亡配偶者の親族らと折り合いが良くないこともあるでしょう。

姻族関係終了届と提出することで、死亡配偶者の親族らとの交際を見直しやすくなるかもしれません。

精神的な負担になっていた死亡配偶者の親族らから解放されて、気分が一新されることもあるでしょう。

5姻族関係終了届(死後離婚)のデメリット

①撤回ができない

いったん姻族関係終了届が受理されると、撤回はできません。

充分検討して、提出することを決めましょう。

②援助が受けられない

姻族関係が終了した場合、死亡配偶者の両親や兄弟姉妹に対する扶養義務がなくなります。

このことは同時に、死亡配偶者の両親や兄弟姉妹から扶養を受けることもできなくなることを意味しています。

経済的に困ることがあっても、援助は受けられなくなるでしょう。

死亡配偶者との間に子どもがいる場合、子どものための援助も受けにくくなるでしょう。

③死亡配偶者の法要に参加しにくい

死亡配偶者の法要を死亡配偶者の両親や兄弟姉妹が主催する場合、参加しにくくなるかもしれません。

死亡配偶者の血縁関係者から参加を拒まれることも考えられます。

死亡配偶者のお墓が私有地にある場合、お墓参りも難しくなるかもしれません。

共同墓地などだれでもお墓参りができる場所に葬るなどするといいでしょう。

④お墓が別々になる

死亡配偶者のためにお墓を新たに建立せず、家のお墓に葬ることがあるでしょう。

姻族関係終了届を提出すると、自分が死亡したとき、そのお墓に入れてもらうことは難しくなるでしょう。

死亡配偶者と同じお墓に眠ることはできなくなります。

⑤子どもの理解を得られない

死亡配偶者との間に子どもがいる場合、子どもと死亡配偶者の両親や兄弟姉妹の親族関係は影響がありません。

子どもと死亡配偶者の両親や兄弟姉妹の親族関係はそのまま続きます。

子どもから抵抗されることもあるでしょう。

子どもにとって、精神的ダメージであることも想定しておく必要があります。

死亡配偶者の親が死亡した場合、子どもは代襲相続人になります。

相続財産の分け方について、相続人全員の話し合いに参加する必要があります。

子どもが気まずい思いをするかもしれません。

子どもが未成年であれば、子どもの法定代理人として姻族関係終了届を出した生存配偶者自身が参加しなければなりません。

6姻族関係終了届の手続方法

姻族関係終了届は、生存配偶者のみが提出することができます。

生存配偶者の同意があっても、死亡配偶者の両親や兄弟姉妹は提出することはできません。

死亡配偶者の両親や兄弟姉妹から生存配偶者に対して、姻族関係を終了させることはできません。

生存配偶者が姻族関係終了届を提出する際に、死亡配偶者の両親や兄弟姉妹の許可や同意は不要です。

家庭裁判所の許可や審判等も必要ありません。

いうなれば、生存配偶者の独断で姻族関係終了届を提出することができます。

生存配偶者の意思で届出を出す必要があります。

役所の窓口に届出を持っていくのは、だれでも構いません。

提出に期限はありません。

配偶者が死亡してから長期間経過した後でも、届出を提出することができます。

生存配偶者が死亡するまでいつでも提出することができます。

姻族関係終了届が受理されたら、姻族関係終了が戸籍に記載されます。

姻族関係終了届を提出しても、死亡配偶者との婚姻関係がなくなることはありません。

婚姻関係がなくなることはありませんから、死亡配偶者と同じ戸籍のままです。

姻族関係が終了するだけであれば、戸籍から消されて、新戸籍が作られるようなこともありません。

戸籍に記載されたからと言っても、役所が自主的に死亡配偶者の両親や兄弟姉妹に連絡するようなことはありません。

死亡配偶者の両親や兄弟姉妹が何も知らないところで、姻族関係が終了しています。

知らせたいのであれば、積極的に自分から手紙などを出してお知らせしましょう。

姻族関係終了届は、死亡配偶者の両親や兄弟姉妹などとの関係を終了させるだけのものです。

姻族関係終了届のことを、俗に、死後離婚と呼ぶことがありますが、離婚するものではありません。

死亡した後に離婚することはできません。

姻族関係終了届を提出しても、死亡配偶者との婚姻関係がなくなることはありません。

姻族関係終了届を提出しても、氏が自動的に変更されることもありません。

旧姓に戻したい場合は、別途、復氏届が必要です。

復氏届で旧姓に戻る場合、新しい戸籍が作られます。

姻族関係終了届を出した後、復氏で新しく作られた戸籍には、姻族関係終了は書き写されません。

復氏で新しく戸籍が作られた後、姻族関係終了届を出した場合、新しい戸籍に姻族関係終了が記載されます。

復氏届で復氏ができるのは、生存配偶者のみです。

死亡配偶者との間の子どもの氏を変更したい場合、別の手続が必要です。

家庭裁判所で子の氏の変更の許可を得て、入籍届を提出します。

死後離婚という言葉の響きから、遺言書に「私が死亡したら離婚をします」と書くケースがあります。

「私が死亡したら離婚をします」と書いた場合、まったく意味がない無効の記載です。

単に別のお墓に埋葬して欲しいのであれば、死後事務委任契約をする必要があります。

7姻族関係終了届について司法書士に相談するメリット

姻族関係終了届は、マスコミなどから死後離婚と称して取り上げられています。

本来、配偶者の死別によって婚姻関係が終了しています。

配偶者の一方が死亡した後に、離婚することはできません。

死亡配偶者の両親や兄弟姉妹との関係性を解消する点に注目されたものです。

法律上の扶養義務から逃れられる以上に、嫁は親の介護をして当然など社会通念の押し付けから逃れられるのが大きいでしょう。

死亡配偶者の両親や兄弟姉妹がお金を無心することや生活に過剰に干渉することにストレスをためているケースもあります。

姻族関係終了届は、配偶者の死亡後、死亡配偶者の両親や兄弟姉妹などとの関係を終了させるものに過ぎません。

死亡配偶者の両親や兄弟姉妹などの誤解から、相続放棄をするように迫られることもあるでしょう。

死亡配偶者の両親や兄弟姉妹などが感情的になって、すでに相続した財産を返すように要求されることもあるでしょう。

姻族関係終了届を提出しても、死亡配偶者の財産は相続できます。

相続手続をスムーズに終わらせるために、まず正しい知識を手に入れましょう。

姻族関係終了届は、相続に影響はありません。

遺族年金にも、影響はありません。

生命保険の受け取りにも、影響はありません。

姻族関係終了届のことでご心配があれば、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

家族信託の受託者になれる人なれない人

2023-09-18

1家族信託の受託者とは

①家族信託で財産管理をおまかせできる

所有者はものを自由に売ったり、自由に管理したりして、ものから利益を受け取ることができます。

だから、所有権は、自由にものを売る権利であるし、自由に管理する権利であるし、ものから利益を受け取る権利であるといえます。

所有権はよく見ると、たくさんの権利の集合体といえます。

たくさんの権利の集合体である所有権から、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持っていることができます。

自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持つ仕組みを家族のための信託といいます。

この仕組みを利用すると、信頼できる家族は自由にものを売ることができるし、自由に管理することができます。

自由に売る権利や自由に管理する権利を渡す相手は信頼できる家族であればよく、親子でなくても差し支えありません。

②家族信託の受託者の役割が重要

家族信託を利用した場合、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡します。

受託者は、信託目的の達成のため自由に売る権利や自由に管理する権利を行使します。

受託者が適切に権利行使をすることで、信託目的が達成されます。

家族信託は、上手に利用すればメリットが大きい制度です。

信託契約で受託者の権限が決められます。

信託契約で大きな権限を与えることもできるし、信託契約で権限を制限することもできます。

受託者は、受益者のため自由に売る権利や自由に管理する権利を行使します。

認知症リスクに備えるために家族信託を利用する場合、委託者と受益者は同じ人でしょう。

受託者は委託者兼受託者の思いを受け止めて行動する必要があります。

信託目的には、受託者兼受益者の思いが込められているからです。

委託者兼受託者の思いを受け止めて財産管理をすることで信託目的が達成されます。

受託者がする財産管理が家族信託ではとても重要です。

家族信託では、受託者は重要な役割を担っています。

2家族信託の受託者になれる人なれない人

①何親等の家族でも受託者になれる

家族信託を利用した場合、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡します。

信頼できる家族が受託者です。

信託法上、受託者になる人に制限はありません。

何親等の家族でも受託者になることができます。

家族でない人でも受託者になることができます。

受託者になってもらうとき重要なのは、何親等であるかより信頼できる家族であるかという点です。

②甥姪が受託者になれる

何親等の家族でも受託者になることができます。

信託法上、受託者になる人に制限はないからです。

甥や姪が受託者になることができます。

信頼できる家族が甥姪であれば、甥姪に受託者になってもらうのがいいでしょう。

③未成年・成年被後見人・被保佐人は受託者になれない

家族信託は、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持つ仕組みです。

受託者は、自分の判断で自由に売る権利や自由に管理する権利を行使します。

受託者が物事のメリットデメリットを充分に判断できない場合、適切に権利行使をすることができません。

物事のメリットデメリットを充分に判断できない人は、受託者になることができません。

未成年者は充分な判断能力がないから、親などの親権者がサポートします。

成年被後見人は充分な判断能力がないから、成年後見人がサポートします。

被保佐人は充分な判断能力がないから、保佐人がサポートします。

サポートを受けている人は、自分で充分な判断ができません。

未成年・成年被後見人・被保佐人は、受託者になることはできません。

成年被後見人・被保佐人でなかった人が受託者になった後に成年後見開始や保佐開始の審判を受けた場合、原則として受託者の任務終了になります。

信託契約において、受託者が成年後見開始や保佐開始の審判を受けた場合でも任務終了しない定めをおくことができます。

④破産者は受託者になれる

破産をした場合、さまざまな権利が制限されることがあります。

家族信託の受託者になることは制限されていません。

信頼できる家族が破産者である場合、その人に受託者になってもらうのがいいでしょう。

破産者でなかった人が受託者になった後に破産者になった場合、原則として受託者の任務終了になります。

成年被後見人・被保佐人同様に、信託契約において、受託者が破産者になった場合でも任務終了しない定めをおくことができます。

破産した場合、破産管財人が置かれることがあります。

破産管財人がいる場合、信託財産の管理処分は破産管財人が行います。

⑤委託者が受託者になれる

家族信託は、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持つ仕組みです。

多くの場合、委託者兼受益者と受託者が信託契約を締結します。

委託者が自ら受託者となって、他の人のために信託を設定することができます。

委託者が受託者となる信託を自己信託と言います。

自己信託は、原則として公正証書で設定します。

自己信託は、段階的な事業承継を円滑に行うときや障害がある家族のための財産承継に利用されます。

家族信託は、財産管理の仕組みです。

障害がある家族の生活をサポートするためには、家族信託だけでは不充分でしょう。

成年後見制度や任意後見制度、遺言などを組み合わせて総合的にサポートすることが重要です。

⑥受益者が受託者になったとき1年で信託終了

家族信託は、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持つ仕組みです。

自由に売る権利や自由に管理する権利とものから利益を受け取る権利を同一人物が持っている場合、わざわざ家族信託をする意義がありません。

ストレートに財産を贈与するだけでいいでしょう。

当初から受益者が受託者になることはできないと考えられています。

当初は受益者と受託者は別の人であったけど後に受益者と受託者が同一人物になることがあります。

受益者が受託者になって1年間経過した場合、信託法の定めで信託が終了します。

信託の終了事由について、信託法をくわしく見ると次のように定めています。

受託者が受益権の全部を固有財産で有する状態が一年間継続したとき

受益者が受託者になって1年間経過した場合であっても受益権の全部でない場合、信託は終了しません。

受益者が複数いる場合、受益権の全部を持っていることはありません。

一部の受益者が受託者を兼任した場合であっても、信託は終了しません。

⑦公務員は副業禁止に抵触するおそれ

家族信託を利用した場合、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡します。

収益不動産を信託財産にして、管理を受託者に任せることができます。

公務員が家族信託の受託者となって収益不動産を管理する場合、副業禁止に抵触するおそれがあります。

委託者から財産を預かって収益を管理するのは受託者だからです。

公務員が副業をする場合、原則として人事院や任命権者の許可が必要になります。

次の範囲の不動産投資であれば、許可は不要です。

(1)5棟10室以下であること

(2)賃料収入が年間500万円未満であること

(3)駐車場の駐車台数10台未満であること

上記以上の規模であっても不動産管理会社などに管理を委託する場合、許可は不要です。

本人の認知症対策のため自宅をを家族信託にするなどであれば、まったく問題にはなりません。

⑧株式会社や一般社団法人が受託者になれる

信託法上、受託者になる人に制限はありません。

信頼できる人は家族が多いですが、家族以外でも差し支えありません。

株式会社や一般社団法人などの法人でも、受託者になることができます。

家族信託は、長期間継続することを想定していることがあります。

組織的に運営した方が事業の安定性や永続性が期待できるでしょう。

⑨営業で受託者になるためには信託業の許可が必要

信託法上、受託者になる人に制限はありません。

営業で受託者になるためには、信託業の許可が必要です。

営業とは、営利の目的で反復継続して信託の引受をすることです。

信託業の許可を受けているのは、信託会社や信託銀行などです。

⑩弁護士・司法書士・税理士などは受託者になれない

信託法上、受託者になる人に制限はありません。

信頼できる家族が偶然にも弁護士・司法書士・税理士などの場合、受託者となるのに問題はありません。

家族信託のサポートをする場合、弁護士・司法書士・税理士などに受託者になってほしいと言われることがあります。

営業で受託者になるためには、信託業の許可が必要です。

弁護士・司法書士・税理士などが信託法の許可を得ていることは、ほとんどないでしょう。

信託法の許可を得ずに営業として受託者になることは、禁止されています。

3家族信託を司法書士に依頼するメリット

高齢化社会が到来したといわれて、多くの方は長生きになりました。

平均寿命は男性も女性も80歳を超して、認知症になる方が多くなりました。

認知症になると、物事のメリットデメリットが充分に判断できなくなります

本人の財産は本人しか処分できないため、本人が判断できなくなると資産が凍結されてしまいます。

たとえ、本人が介護施設入所のためであっても、本人の不動産を勝手に売却することはできません。

たとえ、本人の実の子どもであっても、本人の定期預金を解約することはできません。

一部の金融機関では、本人以外の家族がキャッシュカードを使っていることを確認したら、キャッシュカードを回収しています。

本人の意思確認を重視する流れは、他の金融機関にも広がっていくでしょう。

認知症対策は、本人の判断能力がしっかりしているうちしかできません。

いつか認知症対策をしようではなく、今なら元気だから対策しようが正解です。

認知症になると、本人はもとより家族も困ります。

家族信託は認知症対策として有効です。

自分のためにも家族のためにも認知症対策を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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