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相続登記で委任状

2024-03-28

1委任状で相続登記の依頼を証明する

①相続登記を依頼するときに委任状が必要

相続登記は、自分で申請することができます。

自分で登記申請をするのが難しい場合は、代わりの人に申請してもらうことができます。

業務として代理人になることができるのは、司法書士と弁護士のみです。

司法書士や弁護士といった国家資格者でなければ、報酬を受けて業務として登記申請の代理はできません。

無報酬で1回だけ家族のために、代わりに登記申請するのであれば、国家資格者でなくても差し支えありません。

自分の代わりに登記申請をしてもらう場合、委任状を一緒に提出します。

司法書士などの専門家に依頼するときも家族に依頼するときも、委任状が必要です。

登記申請を依頼した場合、法務局に対して書面で依頼の事実を証明する必要があるからです。

②不適切な委任状は認められない

委任状は、代理人に依頼した内容を証明する書類です。

委任状の記載が不適切であった場合、適切な依頼を受けたとは言えなくなります。

多くの人にとって、不動産は重要な財産です。

相続登記は、法務局で厳格に審査されます。

だいたい合っているから大丈夫ではなく、完璧な記載が求められます。

一般の人から見ると、些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

相続登記に委任状には、登記申請書の内容と同じ内容を記載します。

登記申請書を訂正することができても、代理人は委任状の記載を訂正できないことが多いものです。

委任状の内容は、本人が依頼した内容だからです。

適切な委任を受けていないと判断されることになります。

適切な委任を受けていない場合、相続登記の申請を取り下げることになります。

2他人の登記申請であっても委任状が不要な例外

①未成年者の代わりに親権者が相続登記

身近な家族であっても、自分以外の人は他人として扱われます。

相続人が赤ちゃんである場合、親などの親権者は代わりに相続登記の申請をすることができます。

本人が赤ちゃんなどの未成年者である場合、自分で委任状は書けないでしょう。

未成年者は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができません。

充分な判断ができないから、親などの親権者があらゆることを代わりにすることが認められています。

未成年者の代わりに親権者が相続登記をする場合、委任状は不要です。

未成年者の代わりに親権者が相続登記をする場合、他に書類が必要になります。

未成年者といえども、他人の登記申請をすることには変わらないからです。

親などの親権者が申請する場合、親子関係を証明する戸籍謄本が必要になります。

相続人である未成年者のため、親などの親権者が司法書士に依頼することができます。

親などの親権者から司法書士に対する委任状を出して、登記申請を依頼することができます。

司法書士は、親子関係を証明する戸籍謄本と委任状を法務局に提出します。

②認知症の人の代わりに成年後見人が相続登記

本人が重度の認知症である場合、成年後見制度を利用していることがあります。

重度の認知症である場合、物事のメリットデメリットを充分に判断できません。

成年後見制度を利用している場合、成年後見人はあらゆることを代わりにすることが認められています。

認知症の人の代わりに成年後見人が相続登記をする場合、委任状は不要です。

認知症の人の代わりに成年後見人が相続登記をする場合、成年後見人であることを証明する必要があります。

成年後見登記事項証明書で、証明することができます。

相続人である認知症の人のため、成年後見人が司法書士に依頼することができます。

司法書士は、成年後見登記事項証明書と委任状を法務局に提出します。

③相続人の代わりに遺言執行者が相続登記

被相続人が生前に遺言書を作成して遺言執行者を指名していることがあります。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者は、遺言執行のため必要な一切の行為をする権利と義務があります。

遺言執行のため遺言執行者が相続登記をする場合、委任状は不要です。

遺言執行のため遺言執行者が相続登記をする場合、遺言執行者であることを証明する必要があります。

遺言執行者を指名している遺言書で、証明することができます。

検認が必要な遺言書の場合、検認済証明書も必要です。

相続人のため、遺言執行者が司法書士に依頼することができます。

司法書士は、遺言書、検認済証明書と委任状を法務局に提出します。

④相続人全員のため一部の相続人が相続登記

相続人になる人は、法律で決まっています。

相続人になる人の相続分も、法律で決まっています。

法律で決まっている相続分を法定相続分と言います。

相続人は、法定相続分で相続することができます。

法定相続分で相続すると、相続人全員で共有することになります。

不動産の共有はデメリットが多いので、おすすめできません。

相続人全員の合意があれば、法定相続分以外の分け方をすることができます。

多くの場合、相続人全員の合意で分け方を決めます。

相続人全員が法定相続分で共有する相続をする場合、原則として、相続人全員が相続手続に参加します。

相続登記をする場合、相続人全員が申請するのが原則です。

例外として、一部の相続人から相続登記を申請することができます。

一部の相続人から相続登記を申請する場合であっても、相続人全員が登記名義人になります。

相続人全員のため、一部の相続人が司法書士に依頼することができます。

司法書士は、一部の相続人からの委任状を法務局に提出します。

相続人全員が登記名義人になるのに、登記申請人になった相続人にだけ権利証が発行されます。

登記申請人になっていない相続人に対して、権利証は発行されません。

後から権利証を発行してもらうこともできません。

一部の相続人が相続人全員のために相続登記をすることができるけど、おすすめできません。

権利証がないと、不動産を売却するときや担保に差し出すときに困るからです。

3相続登記に必要な委任状の書き方

司法書士などの専門家に依頼する場合、委任状は司法書士が用意します。

登記申請を依頼するのであれば、司法書士が作成した委任状に記名押印するだけで済みます。

相続登記に必要な委任状には、次のことを記載します。

①相続登記を依頼される人の名前と住所

②相続登記を依頼する旨

 「次の登記申請に関する一切の権限を委任します。」と記載すると分かりやすいでしょう。

③登記の目的

④登記原因

⑤相続人

③~⑤は、相続登記の申請書と同じです。

あらかじめ申請書を作ってあるのであれば、そのまま丸写しすれば記載できます。

申請書の記載を書き直す場合、委任状の記載を一緒に書き直す必要があります。

内容が一致していない場合、適切な委任を受けていないと判断されるおそれがあります。

適切な委任を受けていない場合、登記申請を受け付けてもらえないかもしれません。

⑤相続人は、まず括弧をつけて被相続人の氏名をフルネームで記載します。

相続人が複数で共有する場合、相続人の住所氏名だけでなく持分も記載します。

⑥不動産の表示

相続登記の対象になる不動産の表示を記載します。

目的になる不動産の登記簿謄本を確認して、そのまま書き写せば記載できます。

記載事項は、申請書の内容と同じです。

土地であれば、次の事項を記載するといいでしょう。

(1)所在

(2)地番

(3)地目

(4)地積

建物であれば、次の事項を記載するといいでしょう。

(1)所在

(2)家屋番号

(3)種類

(4)構造

(5)床面積

建物でも敷地権のあるマンションの一室であれば次の事項を記載するといいでしょう。

(1)一棟の建物の表示

i所在

ii建物の名称

(2)専有部分の建物の表示

i家屋番号

ii建物の名称

iii種類

iv構造

v床面積

(3)敷地権の目的である土地の表示

i土地の符号

ii所在及び地番

iii地目

iv地積

(4)敷地権の表示

i土地の符号

ii敷地権の種類

iii敷地権の割合

相続の対象が土地と建物など不動産が複数ある場合、順番に書き連ねれば差し支えありません。

不動産がたくさんある場合、書くべき項目の書き忘れに注意しましょう。

書くべき項目の書き忘れがあった場合、不動産が特定できないと指摘されるおそれがあります。

不動産を特定できない委任状の場合、登記申請を受け付けてもらえません。

⑦依頼する項目の補足事項

相続登記を申請する場合、登記申請だけでなく付随する手続があります。

手続の一環として一緒にお願いしておくと、手続がスムーズになります。

付随項目を書き忘れてしまうと、代理人が手続できなくなります。

具体的には、次のような項目です。

 1.登記識別情報の受領の件及びその受領について復代理人選任に関する一切の件

 1.登記識別情報の受領に関する一切の件

 1.原本還付請求及び受領に関する一切の件

 1.復代理人選任に関する一切の件

 1.登記に係る登録免許税の還付金を受領する件

特に「登記識別情報の受領に関する一切の件」は重要です。

登記識別情報とは、権利証のことです。

代わりに登記申請をお願いしたのに、権利証を受け取りするために法務局に出向かなければならなくなるからです。

⑧日付

⑨登記申請をお願いする人の住所氏名

ふだん住所は簡単な記載をしている場合であっても、住民票の記載どおり書きましょう。

⓾押印

名前の横に押印します。

4委任状の押印は実印でなく認印でいい

委任状は、代理人に依頼した内容を証明する書類です。

依頼した人は、委任状に押印しなければなりません。

押印は、実印である必要はありません。

依頼した人の認印で差し支えありません。

委任状に書き間違いを見つけた場合、名前の横に押した印と同一印を押印して、訂正します。

5委任状に割印・契印

委任状に書くべき内容は、たくさんあります。

複数ページに渡る委任状になることがあります。

1通の委任状であることが分かるように、割印・契印を施します。

クリップでとめるだけなど差し替えができる状態では、委任内容を証明できるとは言えないからです。

適切な委任があったと認められない場合、相続登記を取り下げなければならなくなります。

6相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。

ほとんどの方は、相続を何度も経験するものではありません。

手続に不慣れで、聞き慣れない法律用語でへとへとになります。

一般的にいって、相続登記は、その中でも難しい手間のかかる手続です。

不動産は、重要な財産であることが多いものです。

一般の方からすると、些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

本人が自分で申請している場合、些細なことであれば法務局の窓口まで出向いて申請書の記載を補正することができるケースがあります。

申請書の記載誤りがあると、委任状も記載誤りになります。

代理人に依頼して申請している場合、委任状の記載も一緒に補正する必要があります。

委任状の記載内容は、本人が依頼したことのはずです。

代理人が補正することを認めてもらえない場合が多いものです。

申請書と委任状の記載が一致していない場合、適切な委任を受けていないと判断されます。

適切な委任を受けていない場合、申請書は受け付けてもらえません。

いったん申請を取り下げて、やり直しになります。

相続登記は簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があることもあります。

法務局の登記相談に行っても、何が良くないのか分からなかったというケースも多いです。

司法書士はこのような方をサポートしております。

相続登記を自分でやってみたけど、挫折した方の相談も受け付けております。

相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

兄弟共有名義で片方死亡したときの相続

2024-03-27

1兄弟共有名義で片方死亡したときの相続

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについて、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することを代襲相続と言います。

②先順位の人がいたら兄弟姉妹は相続人にならない

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

兄弟姉妹が相続人になるのは、被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合です。

先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になりません。

先順位の人がいたら、兄弟姉妹は相続人になりません。

③共有者が取得するのは相続人不存在のとき

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

被相続人が不動産を共有していた場合、被相続人は不動産の共有持分を持っています。

被相続人の共有持分は、相続人が相続します。

共有者の片方が死亡した場合、他の共有者が共有持分を取得することを聞いたことがあるかもしれません。

共有者の片方が死亡した場合に他の共有者が共有持分を取得するのは、相続人が不存在の場合です。

被相続人が天涯孤独の場合、法律で決められた相続人は存在しないでしょう。

法律で決められた相続人はいても、相続人全員が相続放棄をすることがあります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

法律で決められた相続人全員が相続放棄をした場合、相続人不存在と言えます。

被相続人が払うべきお金を払わないまま、死亡することがあります。

相続人不存在であれば、相続人に払ってもらうことはできません。

被相続人の財産があれば、被相続人の財産から払ってもらいたいと望むでしょう。

被相続人が不動産を共有していた場合、共有持分は財産と言えます。

被相続人に特別縁故者がいることがあります。

特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故があった人です。

家庭裁判所に特別縁故者と認められた場合、財産が分与を受けることができます。

受け取る人がいない財産は、国庫に帰属します。

国庫に帰属すべき財産が共有持分である場合、他の共有者が取得します。

被相続人に相続人がいる場合、相続人不存在ではありません。

共有者のひとりが死亡しても、自動で他の共有者が被相続人の共有持分を取得することはできません。

2兄弟共有名義の建物で配偶者居住権

①配偶者短期居住権は兄弟共有名義の建物で認められる

配偶者短期居住権と配偶者居住権は、相続発生後に配偶者が住み場所を失わないようにするために作られた権利です。

配偶者短期居住権が認められる要件は、次のとおりです。

(1)法律上の配偶者であること

(2)被相続人の所有していた建物であること

(3)相続開始時に居住していたこと

配偶者短期居住権は、要件が満たされれば自動で認められます。

配偶者短期居住権が認められるためには、被相続人単独所有の建物に限られません。

被相続人が第三者と共有している建物であっても、配偶者短期居住権は認められます。

被相続人が配偶者以外の人と共有している建物であっても、差し支えありません。

配偶者短期居住権は、兄弟共有名義の建物で認められます。

②配偶者居住権は兄弟共有名義の建物で認められない

配偶者居住権が認められる要件は、次のとおりです。

(1)法律上の配偶者であること

(2)被相続人の所有していた建物であること

(3)相続開始時に居住していたこと

(4)配偶者居住権を設定

配偶者居住権は、自動で発生しません。

配偶者居住権を設定する必要があります。

配偶者居住権が認められるためには、被相続人単独所有の建物に限られません。

被相続人と配偶者の共有建物について、配偶者居住権が認められます。

配偶者以外の第三者と共有する建物について、配偶者居住権が認められません。

配偶者居住権は、原則として配偶者が終身居住する権利です。

配偶者以外の第三者と共有する建物である場合、配偶者居住権は大きな負担になります。

他の共有者にとって過大な負担になるから、配偶者以外の第三者と共有する建物である場合配偶者居住権は認められません。

配偶者居住権は、兄弟共有名義の建物で認められません。

3共有を継続するとデメリットが大きい

デメリット①共有物を処分するには共有者全員の合意が必要

共有財産は、共有している人全員が合意しないと、処分はできません。

処分するとは、共有物を売却する、第三者に賃貸することなどです。

たくさんの人で共有している場合、合意がまとまりにくくなります。

共有者の多数決では、ありません。

1人でも反対の人がいると、共有者全員の合意があるとは言えなくなります。

1人でも反対の人がいると、処分はできません。

デメリット②共有者に相続が発生する

共有物を処分するためには、共有者全員の合意が必要です。

共有者が多くなると、共有者全員の合意が難しくなります。

簡単に、合意ができなくなります。

共有者全員の合意ができないから、売却などの判断は先延ばししがちです。

せっかくの資産なのに、事実上、利活用ができなくなります。

判断の先延ばしにより長期間経過すると、共有者に相続が発生することがあります。

共有者に相続が発生すると、共有者の共有持分は相続財産になります。

相続財産とは言うものの、利活用が難しい財産です。

共有者の相続人は、だれも積極的に相続したがらないでしょう。

死亡した共有者の共有持分を、相続人全員が法定相続分で細分化して共有することがあります。

だれもが相続したがらないから、やむを得ないともいえます。

このような相続が何人もの共有者の間で発生することがあります。

さらに共有者がたくさんになり、共有持分がさらに細分化されます。

相続したくない財産だから、相続登記を先延ばししがちです。

だれにどれだけの共有持分があるのか登記簿謄本を見ても、分からなくなります。

デメリット③共有持分を売却するおそれ

共有物全体を売却する場合、共有者全員の合意が必要です。

それぞれの共有者が持っている共有持分を売却する場合、他の共有者の合意は不要です。

あまり知られていませんが、共有者が持っている共有持分を買い取る業者がいます。

共有持分を買い取る業者は、ビジネスです。

遠慮なく共有者としての権利を主張します。

共有者としての権利とは、共有持分買取請求や共有物分割請求などです。

共有者間で話し合いができなければ、当然、裁判所に持ち込まれることになるでしょう。

共有持分を買い取る業者は、弁護士を付けてくるでしょう。

知識のない一般の人では、対応できません。

弁護士に依頼することになるでしょう。

一部の共有者が自分の共有持分を売却した場合、大きなトラブルに巻き込まれることになります。

4相続が発生する前にできること

①共有を解消する

不動産の共有は、デメリットが多くおすすめできません。

すでに不動産を共有しているのであれば、早期に単独所有にすることをおすすめします。

共有不動産を処分するには、共有者全員の合意が必要です。

気心が知れた兄弟で共有している場合、話し合いは比較的容易でしょう。

共有を解消するためには、次の方法があります。

(1)自分の共有持分を売渡す

(2)相手の共有持分を買取る

(3)共有者全員で不動産全体を売却する

どの方法をとるにしても、相手方との合意が不可欠です。

共有者のひとりに相続が発生した場合、共有者の共有持分は相続人が相続します。

気心が知れた兄弟だから気軽に話せたのに、兄弟の相続人となると気軽に話せないでしょう。

共有を解消するための合意が難しくなります。

共有のまま相続が発生した場合、家族が苦労します。

不動産を共有している場合、早めに共有を解消することをおすすめします。

②遺言書を作成して共有持分を遺贈

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になりません。

兄弟姉妹が相続人になるのは、被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合です。

兄弟姉妹が相続人にならない場合、兄弟姉妹が相続することはできません。

相続人にならないであっても、財産を引き継いでもらうことができます。

被相続人は、生前に遺言書を作成することができます。

遺言書で、自分の財産を相続人や相続人以外の人に譲ってあげることができます。

遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を譲ってあげることです。

兄弟姉妹は、相続人以外の人として遺贈を受けることができます。

遺言書は、作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言書を作成する場合、遺言執行者を選任することができます。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現するために必要な権限があります。

遺言執行者がいると、わずらわしい相続手続をおまかせすることができます。

遺言書を作成して、他の共有者に共有持分を遺贈することができます。

5遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

不動産を共有している場合、共有者は親子や兄弟などの近い関係の人が多いでしょう。

共有者の片方に相続が発生した場合、他の共有者が相続人であることが多いでしょう。

兄弟姉妹で共有している場合、相続人でないことがあります。

相続できないにもかかわらず、共有者だから当然に相続できると誤解しているかもしれません。

相続人でもないのに、一方的に相続すると言われても困惑するでしょう。

相続人間のトラブルに発展しがちです。

相続手続は、タイヘンです。

単なる相続人の誤解や無理解で、トラブルに発展するからです。

不動産の共有は、デメリットが大きいのでおすすめできません。

事前の対策で、防げるトラブルと言えます。

司法書士は、相続対策をサポートすることができます。

相続対策をするために、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

配偶者居住権を設定したときの遺産分割協議書

2024-03-25

1配偶者短期居住権と配偶者居住権のちがい

①配偶者居住権は設定が必要

配偶者短期居住権と配偶者居住権は、どちらも相続が発生してから、配偶者が住む場所を失うことがないように保護するために作られた権利です。

配偶者短期居住権は要件を満たしていれば、何もしなくても自動的に発生します。

配偶者居住権は、自動的に発生することはありません。

遺言書や遺産分割協議などで、権利を設定する必要があります。

②被相続人と配偶者以外の人と共有建物の場合は配偶者居住権は成立しない

建物を被相続人と配偶者以外の人と共有しているケースがあります。

被相続人と配偶者以外の人と共有建物であっても、配偶者短期居住権は成立します。

配偶者居住権は、被相続人と配偶者以外の人と共有建物の場合は成立しません。

③配偶者居住権は原則配偶者の終身存続

配偶者短期居住権は、期間制限があります。

遺産分割をするべき場合、次の日のどちらか遅い日までです。

(1)遺産分割が成立した日

(2)相続が発生してから6か月経過した日

遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要です。

相続人全員の合意ができないまま、長期間経過することがあります。

遺産分割が成立しない場合、何年でも配偶者短期居住権は存続します。

配偶者が死亡するまで、遺産分割が成立しないことがあります。

結果として、終身配偶者短期居住権は存続します。

配偶者が相続放棄をしたなど遺産分割をする必要がないことがあります。

建物の所有者が配偶者短期居住権の消滅請求をしてから6か月経過するまで、配偶者短期居住権は認められます。

配偶者居住権は、原則として、終身です。

遺言書や遺産分割協議などによって、存続期間を決めることもできます。

④配偶者居住権は建物全体が対象

配偶者短期居住権で認められるのは、従前の居住部分のみです。

配偶者居住権では、居住部分だけでなく建物全体が対象になります。

店舗付き住宅などでは、店舗も含めて対象になります。

配偶者居住権では、店舗などから得た収入は配偶者のものにできます。

⑤配偶者居住権は登記できる

配偶者居住権は、登記できます。

配偶者短期居住権は、登記できません。

配偶者短期居住権と配偶者居住権のいずれも、要件を満たせば成立します。

登記は、成立の条件ではありません。

配偶者居住権はせっかく登記できるのに、登記しないと大きな不利益があります。

例えば、建物所有者が建物を売却してしまうことがあります。

建物の買主は、建物を使うため立ち退きを求めるでしょう。

配偶者短期居住権は、登記できません。

建物の買主に配偶者短期居住権があるから立ち退きたくないなどと文句を言うことはできません。

登記があれば、建物の買主に立ち退きたくないなどと文句を言うことができます。

配偶者居住権は、登記できます。

登記がしてあれば、建物の買主に配偶者居住権を盾にそのまま住み続けることができます。

登記がしてなければ、建物の買主に配偶者居住権があるから立ち退きたくないなどと文句を言うことはできません。

建物の買主に立ち退きたくないなどと文句を言うことができるのは、登記の重要な効力です。

配偶者短期居住権が成立する場合、建物所有者は配偶者を追い出すことはできません。

建物所有者は、配偶者短期居住権の行使の邪魔をすることができないからです。

配偶者が建物から立ち退かなければならなくなったのは、もとはと言えば、建物所有者が建物を売却したせいです。

建物所有者が建物を売却したことで、配偶者は追い出されたと言えます。

配偶者が追い出されたのは、配偶者短期居住権の行使の邪魔をしたと言えます。

配偶者短期居住権の行使の邪魔をしたことに対して、配偶者は損害賠償請求をすることができます。

配偶者は損害賠償請求をすることができますが、住み慣れた自宅を立ち退くこと負担は大きいと言えます。

配偶者居住権は登記しないと、大きな不利益があります。

⑥配偶者居住権は相続税の対象になる

配偶者短期居住権は、財産的価値はないとされています。

配偶者短期居住権は、相続税の対象とされません。

配偶者居住権は、財産的価値があります。

配偶者居住権は、相続税の対象とされます。

配偶者居住権は、配偶者のみに認められる権利です。

配偶者居住権がある配偶者が死亡したら、配偶者居住権は消滅します。

配偶者居住権が消滅しますから、相続財産になりません。

配偶者居住権がある配偶者が死亡したら、当然相続税の対象になりません。

2配偶者居住権を設定するには

①配偶者居住権を設定できる条件

(1)法律上の配偶者であること

配偶者居住権は、法律上の配偶者だけ取得することができます。

内縁・事実婚の配偶者は、配偶者居住権を取得することはできません。

同性婚のパートナーは、配偶者居住権を取得することはできません。

配偶者以外の相続人も、取得することはできません。

配偶者居住権を取得できるのは、法律上の配偶者のみです。

(2)その建物に居住していたこと

相続が発生したときに、その建物が生活拠点であったことが条件です。

一時的に使用する別荘などは対象になりません。

(3)建物が被相続人の所有であること

賃貸マンションなどに住んでいた場合、配偶者居住権を取得することはできません。

(4)共有建物の場合は被相続人と配偶者の共有であること

建物は、被相続人の所有であるか、被相続人と配偶者の共有である必要があります。

被相続人と配偶者以外の人が共有者である場合、配偶者居住権を取得することはできません。

相続税対策などで建物持分を子どもなどに生前贈与していた場合、配偶者居住権を取得することはできません。

(5)配偶者居住権を設定すること

配偶者短期居住権は要件を満たしていれば、何もしなくても自動的に発生します。

配偶者居住権は、自動的に発生することはありません。

②配偶者居住権を設定する方法

(1)遺言書で配偶者居住権を遺贈する

(2)被相続人と配偶者で配偶者居住権を贈与する死因贈与契約を結ぶ

(3)遺産分割協議で配偶者居住権を取得する

3配偶者居住権を設定したときの遺産分割協議書

記載例

第1条

相続財産中、次の不動産については、相続人○○○○が相続する。

所在 ○○市○○町○丁目

家屋番号 ○番○

種類 居宅

構造 木造瓦葺2階建

床面積 1階 50.00㎡ 2階 50.00㎡

第2条

被相続人の配偶者◇◇◇◇は相続開始時に居住していた前項の建物について配偶者居住権を取得する。

配偶者居住権の存続期間は、配偶者◇◇◇◇の死亡までとする

配偶者居住権の存続期間は、配偶者の死亡時以外の合意をすることができます。

合意内容に合わせて、記載します。

4配偶者居住権は登記することができる

配偶者短期居住権は、登記できません。

配偶者居住権は、登記できます。

配偶者居住権はせっかく登記できるのに、登記しないと大きな不利益があります。

登記しないと、配偶者居住権を取得したことを第三者に主張できなくなるからです。

配偶者居住権設定の登記は、前提として、相続登記が必要です。

配偶者居住権は、建物の所有者が設定するものだからです。

被相続人は、死亡しているから設定できません。

配偶者居住権設定の登記は、配偶者を権利者、建物所有者を義務者として共同で申請します。

5遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

合意がきちんと文書になっているからこそトラブルが防止できるといえます。

つまり、書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。

せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続放棄で収入印紙と予納郵券

2024-03-21

1相続放棄は家庭裁判所へ手続

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄は、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する旨の申立てをします。

相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続が発生した場合、被相続人の財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めます。

相続人の中には、プラスの財産をまったく受け取らないことがあります。

相続人全員が合意できれば、財産をまったく受け取らない合意をすることができます。

プラスの財産をまったく受け取らないことを相続放棄をしたと表現することがあります。

相続財産の分け方を決める相続人全員の話し合いは、遺産分割協議を言います。

プラスの財産をまったく受け取らない合意をする場合でも、遺産分割協議です。

プラスの財産をまったく受け取らない合意は、相続放棄と表現しても相続放棄ではありません。

相続放棄は、家庭裁判所に対して申立てが必要な手続だからです。

2相続放棄の必要書類

相続放棄は、必要な書類を添えて相続放棄を希望する旨の申立てをします。

この申立ては、相続があったことを知ってから、原則として、3か月以内にする必要があります。

相続放棄を希望する旨の申立てを相続放棄申述書と言います。

相続放棄申述書に添付する書類は、次のとおりです。

①被相続人の戸籍謄本

②被相続人の除票

③相続放棄する人の戸籍謄本(3か月以内のもの)

④収入印紙

⑤裁判所が手続で使う郵便切手

基本的には①~⑤の書類を添えて届出をすれば充分ですが、場合に応じてこの他のものが必要になることがあります。

相続放棄申述書は、窓口に出向いて提出することもできるし郵送で提出することもできます。

提出書類や相続放棄申述書の書き方に不安な人は、家庭裁判所の受付で目を通してもらうと安心です。

3相続放棄の申立てで収入印紙が必要になる

①相続放棄の申立書に収入印紙800円貼付

相続放棄は、相続放棄申述書に必要な書類を添えて家庭裁判所に提出します。

相続放棄申述書の様式や記入例は、裁判所のホームページからダウンロードすることができます。

家庭裁判所の窓口で受け取ることもできます。

相続放棄申述書の様式を見ると、右上に収入印紙の貼り付け欄があります。

相続放棄を希望する人1人あたり、収入印紙800円分必要です。

成年も未成年も、同じ金額です。

1枚で800円の収入印紙はありません。

400円の収入印紙2枚など複数の枚数で準備します。

複数の相続人がまとめて相続放棄をする場合、連名で相続放棄申述書を作成することはできません。

1人1通相続放棄申述書を作成します。

1通づつ収入印紙800円分貼り付けて納入します。

②収入印紙に消印をしない

収入印紙は、相続放棄をするときの手数料を納入するために貼り付けます。

手数料を受け取った家庭裁判所が消印を押します。

相続放棄を希望する人は、消印を押しません。

一般的に、領収書や契約書などに収入印紙を貼り付けます。

領収書や契約書などに収入印紙を貼り付けるのは、印紙税の課税文書だからです。

収入印紙を貼って消印をすることで、印紙税を納入します。

相続放棄をするときに収入印紙を貼るのは、手数料納入のためです。

印紙税の納入のためではないから、提出する人は消印を押してはいけません。

③収入印紙を購入できる場所

(1)郵便局

郵便局の郵便窓口で収入印紙を購入することができます。

大きな郵便局には、ゆうゆう窓口が設置されています。

ゆうゆう窓口も収入印紙を取り扱っています。

ゆうゆう窓口であれば24時間利用可能だから、好きなときに収入印紙を購入することができます。

(2)コンビニエンスストア

コンビニエンスストアは、いたるところにあり24時間営業しています。

昼間に時間が取れない人にとって、コンビニエンスストアで購入できるのは便利です。

コンビニエンスストアでは、主に200円印紙のみの取り扱いです。

収入印紙を4枚貼り付けることになります。

手間がかかりますが、貼り付けてあれば差し支えありません。

(3)法務局の印紙売りさばき窓口

法務局の印紙売りさばき窓口で収入印紙を購入することができます。

法務局の業務時間中のみ購入することができます。

(4)裁判所の売店

裁判所に売店が設置されていることがあります。

裁判所の売店で収入印紙を購入できることがあります。

裁判所の業務時間中のみ購入することができます。

名古屋家庭裁判所では、収入印紙を購入することはできません。

2相続放棄の申立てで予納郵券が必要になる

①予納郵券は裁判所が使う連絡用の切手

相続放棄の申立てをする場合、相続放棄申述書と一緒に予納郵券を提出します。

予納郵券とは、家庭裁判所が手続や連絡用で使う郵便切手のことです。

相続放棄申述書を提出した後、家庭裁判所から相続放棄照会書が送られてきます。

相続放棄照会書を送るときや回答書を返送するときの郵便料は、予納郵券で提出した切手を使います。

家庭裁判所は、切手代を負担してくれません。

②相続放棄の提出先は最後の住所地の家庭裁判所

相続放棄申述書は、担当の家庭裁判所へ提出します。

提出先の家庭裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

被相続人の最後の住所地は、被相続人の除票を取得すると判明します。

相続放棄の申立てをする場合、相続放棄申述書を一緒に被相続人の除票を提出します。

家庭裁判所は、被相続人の除票を確認して、管轄が間違いないか点検します。

③予納郵券は家庭裁判所ごとにちがう

相続放棄の申立てをする場合、相続放棄申述書を一緒に予納郵券を提出します。

予納郵券は、家庭裁判所ごとに事件の種類ごとに異なります。

名古屋家庭裁判所で相続放棄申述書を提出する場合、予納郵券は次のとおりです。

84円切手 5枚

10円切手 5枚

名古屋家庭裁判所で失踪宣告の申立書を提出する場合、予納郵券は次のとおりです。

500円切手 2枚

350円切手 8枚

100円切手 1枚

84円切手 20枚

10円切手 10枚

2円切手 10枚

名古屋家庭裁判所のホームページに、申立添付書類等一覧表が出ています。

収入印紙と予納郵券を申立添付書類等一覧表で確認することができます。

切手の種類と枚数を間違えないように準備しましょう。

合計額が同じでも、切手の種類と枚数が間違っている場合、後から切手を追送することになります。

ホームページに掲載していない家庭裁判所は、電話などで直接問い合わせをします。

④余った切手は返してもらえる

予納郵券は、家庭裁判所が手続や連絡用で使う郵便切手です。

手続や連絡用で使わなかったら、事件が完了したときに返してもらうことができます。

事件の内容によっては郵送物が増えてしまうことがあります。

予納郵券が不足した場合、追加で予納するよう指示されます。

⑤切手を貼り付けて送らない

予納郵券は、家庭裁判所が手続や連絡用で使う郵便切手です。

家庭裁判所が郵送物に貼り付けて使用します。

切手を紙に貼り付けて提出した場合、家庭裁判所が困ります。

切手をそのまま提出すると扱いにくく、紛失する心配があります。

小さな袋に切手を入れて相続放棄申述書にクリップ止めをするといいでしょう。

切手に直接クリップをつけると、クリップで切手が破損してしまうおそれがあります。

3相続放棄申述受理証明書申請書に収入印紙が必要になる

家庭裁判所が相続放棄を認める場合、本人に対して相続放棄申述受理通知書を送ります。

相続放棄申述受理通知書は、相続放棄を認めましたよという本人あてのお知らせです。

家庭裁判所は、相続放棄を認めた場合、本人にだけ通知をします。

相続放棄が認められた人や債権者などの利害関係人は、相続放棄が認められたことを証明してもらうことができます。

相続放棄申述受理証明書は、家庭裁判所で相続放棄を認められたことの証明書です。

相続放棄申述受理証明書を取得するためには、家庭裁判所に相続放棄申述受理証明書申請書を提出します。

相続放棄申述受理証明申請書は、家庭裁判所のホームページからダウンロードすることができます。

家庭裁判所によっては、相続放棄申述受理通知書と一緒に、送られてくることもあります。

手数料を払って手続をすれば何枚でも発行してくれるし、再発行もしてくれます。

相続放棄申述受理証明申請書の手数料は、証明書1通あたり150円です。

相続放棄申述受理証明書申請書に150円分の収入印紙を貼り付けて納入します。

4相続放棄の有無の照会は収入印紙不要

相続放棄申述受理証明書を取得したい場合、家庭裁判所に相続放棄申述受理証明書申請書を提出します。

相続放棄申述受理証明書申請書には、事件番号を記載する必要があります。

事件番号は、相続放棄申述受理通知書を確認すると判明します。

事件番号が分からない場合、家庭裁判所に照会することができます。

家庭裁判所に照会する制度を相続放棄の有無の照会と言います。

相続放棄の有無の照会をした場合、相続放棄がされたか、されていないか、相続放棄がされた場合は事件番号を回答してもらうことができます。

相続放棄申述の有無の照会に手数料はかかりません。

相続放棄申述の有無の照会は、手数料がかからないから収入印紙は不要です。

郵送で相続放棄申述の有無の照会をすることができます。

相続放棄申述の有無の照会を郵送で提出する場合、返信用の封筒と切手を同封すると送り返してもらえます。

5相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する申立てです。

相続人らとのお話合いで、プラスの財産を相続しませんと申し入れをすることではありません。

家庭裁判所で認められないとマイナスの財産を引き継がなくて済むというメリットは受けられないのです。

実は、相続放棄はその相続でチャンスは実質的には1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

司法書士であれば、家庭裁判所に認めてもらえるポイントを承知していますから、認めてもらえやすい書類を作成することができます。

先順位の相続人がいる場合、相続放棄をしたのかしていないのか分からないと、不安な日々を送ることになります。

相続放棄は簡単そうに見えて、考慮しなければならないことがたくさんある手続です。

3か月の期間内に手続きするのは思ったよりハードルが高いものです。

相続放棄を考えている方はすみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

胎児が相続人

2024-03-20

1相続人になる人は民法で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

誰が相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

2胎児は条件付きで相続人になる

①胎児は生まれたものと見なされる

人は、財産を所有したり契約の当事者になることができます。

財産を所有したり契約の当事者になる資格は、人に与えられています。

財産を所有したり契約の当事者になる資格を権利能力と言います。

権利能力は、出生したときに与えられ死亡したときに終了します。

相続権があるのは、相続が発生した時点で生きている人が原則です。

胎児は出生していないから、権利能力がありません。

胎児は、相続が発生した時点で出生していません。

すでに生まれたものと見なして、相続権を認められます。

すでに生まれたものと見なして相続権を認めるけど、これは生きて生まれてきたときの取り扱いです。

死体で生まれたときは、相続権は与えられません。

胎児は、生きて生まれてくることを条件に相続人になることができます。

生きて生まれてきたら、相続人になります。

生きて生まれてきた後、間もなく赤ちゃんが死亡することがあります。

すぐに死亡しても、相続人であることに変わりはありません。

生きて生まれてきた赤ちゃんが相続した後、あらためて次の相続人が相続します。

②胎児は代襲相続人になれる

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

相続人になるはずだった人の子どもの子どもが相続することを再代襲相続と言います。

代襲相続ができるのは、相続人になるはずだった人の子どもなど被代襲者の直系卑属だけです。

相続人になるはずだった人を被代襲者と言います。

被代襲者の子どもなど被代襲者の直系卑属以外は代襲相続ができません。

相続人になるはずだった人の子どもが胎児の場合があります。

胎児は、代襲相続人になることができます。

相続の場面では、胎児はすでに生まれたものと見なして相続権を与えられるからです。

③胎児は遺贈を受けることができる

遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。

遺贈で財産を譲ってあげる人のことを遺贈者、譲ってもらう人を受遺者と言います。

相続では、法定相続人だけに譲ってあげることができます。

遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができます。

譲ってもらう人は自然人でもいいし、法人などの団体でも差し支えありません。

胎児は、遺贈を受けることができます。

胎児はすでに生まれたものと見なして、相続権を与えられます。

同様に、胎児はすでに生まれたものと見なして遺贈を受ける権利が与えられます。

遺言書に「遺贈する」とあれば、譲ってもらう人が相続人であっても相続人以外の人でも、遺贈で手続します。

④胎児がいるときに離婚したら

胎児がいるときに父母が離婚することがあります。

離婚した後に父が死亡した場合、胎児は相続人になります。

父母が離婚しても婚姻中でも、子どもは子どもだからです。

父母の離婚と相続は、関係ないことです。

⑤胎児の相続放棄は出産を待ってから

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの遺産もマイナスの遺産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの遺産もマイナスの遺産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

胎児は、生きて生まれてきたら相続人になります。

何もしなければ被相続人のマイナスの財産も受け継ぐことになります。

被相続人に莫大なマイナスの財産がある場合、相続放棄をすることができます。

胎児は、相続放棄の手続ができません。

出生した後、相続放棄の手続をします。

3胎児がいるときの遺産分割協議

①胎児がいるときの遺産分割協議は出産を待ってから

相続が発生した場合、被相続人の財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の話し合いによる合意が不可欠です。

相続の場面では、胎児はすでに生まれたものと見なして相続権を与えられます。

相続財産の分け方について相続人全員の話し合いによる合意をする場合、胎児を無視することはできません。

仮に、胎児を含めないで相続財産の分け方の合意をしたとしても、その後に胎児が生きて生まれてた場合、相続財産の分け方の合意が無効になります。

胎児がいる場合、出産までは相続人になるのか相続人にならないのか不確かです。

多くの場合、相続手続をせずに出産を待ちます。

胎児が誕生した場合、誕生した子どもは他の相続人と同じ立場の相続人になります。

②未成年の相続人は親権者が代理する

赤ちゃんや幼い子どもは、物事のメリットデメリットを充分に判断ができません。

幼い子どもや赤ちゃんが契約をするなどの法律行為をする場合は、親などの法定代理人が代わりに手続をします。

遺産分割協議は法律行為だから、原則として、親などの親権者が代理します。

③利益相反になるときは親などの親権者が代理できない

未成年者は物事のメリットデメリットを充分に判断ができないから、原則として、親などの親権者が代理します。

未成年者の利益を守るため、親などの親権者が代理できない場合があります。

親などの親権者がトクすると未成年者がソンする場合です。

一方がトクすると他方がソンする関係を利益相反と言います。

親などの親権者と未成年者が相続人になる場合、利益相反になります。

利益相反になる場合、親などの親権者は未成年者を代理することができません。

利益相反になるかどうかは、客観的に判断されます。

親などの親権者がトクする気持ちが全くなくても、利益相反になります。

親などの親権者の意思や気持ちで主観的に判断せず、客観的に判断するからです。

相続財産全部を未成年者に相続させる場合も、利益相反になります。

相続財産には、プラスの財産だけでなくマイナスの財産もあるからです。

不動産などプラスの財産であっても使い勝手が良くない財産や費用がたくさんかかる財産があることが理由のひとつです。

④親などの親権者が相続人でなければ代理できる

親などの親権者と未成年者が相続人になる場合、利益相反になります。

相続が発生する前に親権者が離婚をする場合があります。

離婚した元配偶者は、相続人ではありません。

親などの親権者が相続人でない場合、どのような遺産分割協議をしても親などの親権者がトクをすることはありません。

親などの親権者が未成年者を代理することができない理由は、親などの親権者がトクすると未成年者がソンするリスクがあるからです。

親などの親権者がトクをすることがないから、親などの親権者が未成年者を代理することができます。

離婚などで親などの親権者が被相続人の配偶者でない場合、相続人にはなりません。

親などの親権者が相続人でない場合、親などの親権者が未成年者を代理することができます。

4胎児名義で相続登記ができる

胎児は相続が発生した時点で出生していないけど、すでに生まれたものと見なして相続権を認めています。

被相続人が不動産を所有していた場合、胎児は相続人だから不動産を相続します。

胎児が不動産を相続したことを公示するため、相続登記をすることができます。

胎児はまだ誕生していないため、戸籍がなく名前もありません。

不動産の登記名義は、「亡〇〇〇〇妻□□□□胎児」になります。

胎児名義で相続登記をすることができるのは、法定相続と遺言書による相続の場合です。

遺産分割協議による相続登記をすることはできません。

胎児は出生していないから親権者などが代理することができません。

胎児がいる場合、胎児のまま有効な遺産分割協議ができないからです。

5胎児がいるときの法定相続情報一覧図

①法定相続情報一覧図とは

相続が発生すると、相続人は多くの役所や銀行などの金融機関などで相続手続をすることになります。

相続手続のたびに、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍と相続人の現在戸籍の束を提出しなければなりません。

大量の戸籍を持ち歩くと汚してしまったり、紛失する心配があるでしょう。

受け取る役所や銀行などの金融機関にとっても、戸籍謄本の束を読解するのは手間のかかる事務です。

被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのか一目で分かるように家系図のように取りまとめてあると便利です。

この家系図と戸籍謄本等を法務局に提出して、登記官に点検してもらうことができます。

登記官は内容に問題がなかったら、地模様の入った専用紙に認証文を付けて印刷して、交付してくれます。

これが法定相続情報証明制度です。

登記官が地模様の入った専用紙に印刷してくれた家系図のことを法定相続情報一覧図と言います。

②胎児が出生した場合は法定相続情報一覧図が使えない

被相続人の子どもは、必ず、相続人になります。

相続が発生したときに、子どもが胎児の場合があります。

相続が発生したときに胎児であっても、無事誕生すれば相続人になります。

胎児が誕生するまで数か月かかることがあります。

役所に出生届が提出される前に、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出がされる場合があります。

胎児が誕生する前だから、戸籍には何も書いてありません。

子どもは誕生していないので、法定相続情報一覧図に記載することはできません。

子どもが誕生した後、子どもが誕生する前に作られた法定相続情報一覧図を使うことはできません。

出生届が提出された後、あらためて、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をすることができます。

6胎児がいる相続を司法書士に依頼するメリット

被相続人が若くして亡くなった場合や代襲相続が発生した場合、未成年の人が相続人になるケースは少なくありません。

被相続人が若くして亡くなった場合などは不意のことが多く、対策していなかった場合がほとんどでしょう。

銀行などの金融機関から預貯金の引き出しや定期預金の解約を断られて、途方に暮れる方も多いです。

特別代理人選任の申立てなど家庭裁判所に手続が必要になる場合など通常ではあまり聞かない手続になると専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

信託銀行はこのような手間のかかる手続は引き受けません。

税金の専門家なども対応できず、困っている遺族はどうしていいか分からないまま途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、銀行などから断られた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

共有名義人の片方死亡後放置は危険

2024-03-18

1放置すると遺産分割協議が難しくなる

①遺産分割協議は相続人全員の合意が必要

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

相続人が相続する財産が相続財産です。

被相続人が第三者と財産を共有していた場合、財産の共有持分を持っています。

被相続人が持っていた共有持分は、相続財産です。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

ときには一部の相続人と共有しているかもしれません。

一部の相続人と財産を共有していても、被相続人が持っていた共有持分は相続財産です。

他の共有者である相続人が優先して相続できるわけではありません。

他の共有者である相続人が相続する場合でも、相続人全員の合意が必要です。

共有名義人の片方が死亡した後、放置するのはおすすめできません。

②当初の相続人が死亡する

遺産分割協議の成立には、相続人全員の合意が必要です。

相続手続は、わずらわしいものです。

相続が発生した後、相続手続を放置したくなるかもしれません。

相続手続を放置した場合、当初の相続人が後に死亡することがあります。

当初の相続人の相続人を含めて、話し合いをする必要があります。

当初の相続人は、仲の良い兄弟などで話がしやすかったかもしれません。

死亡した相続人の配偶者や子どもなどが相続するでしょう。

関係が薄い相続人がいると、相続財産の分け方についての話し合いは難航しがちです。

当初の相続人が死亡すると、遺産分割協議が難しくなります。

③相続人が認知症になる

相続人の中には、相当高齢の人がいることがあります。

相続が発生した当時は、元気だったのに後に認知症を発症することがあります。

認知症になると、物事の良しあしを適切に判断することができなくなります。

物事の良しあしを判断することができない人は、自分で相続財産の分け方について合意することはできません。

自分で判断することができないから、サポートする人が代わりに判断します。

子どもなどが勝手に判断することはできません。

勝手に判断して遺産分割協議書を作成しても、無効の書面です。

認知症の人のために、家庭裁判所がサポートする人を選任します。

認知症の人をサポートする人を成年後見人と言います。

成年後見人は、家庭裁判所が選任します。

認知症の人の子どもなど家族を選任することもあるし、家族以外の専門家を選任することもあります。

子どもなど家族が選任されるのは、全体の20%程度です。

成年後見人が認知症の人の代わりに相続財産の分け方について話し合いをします。

成年後見人は、認知症の人の財産を守るために働きます。

家族の意向をかなえてくれる人ではありません。

家族の事情を考慮した柔軟な対応は、認知症の人の利益にならないことが多いでしょう。

成年後見人は、法定相続分を下回る合意をすることはできません。

成年後見人が家族であっても、家族の意向どおりの合意をすることはできません。

成年後見人は、家庭裁判所から監督されているからです。

法定相続分を下回る合意は、認知症の人の利益にならない合意です。

家庭裁判所の同意を得られないでしょう。

子どもなど家族を選任された場合であっても、成年後見人は家庭裁判所から監督されます。

遺産分割協議のために成年後見人を選任しても、相続手続完了後に成年後見制度をやめることはできません。

当初の相続人が後に認知症になると、遺産分割協議が難しくなります。

④相続人が行方不明になる

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

相続人の中には、さまざまな事情を抱えている人がいるでしょう。

一部の相続人が行方不明になって、連絡が取れなくなることがあります。

連絡が取れないからと言っても、話し合いから除外することはできません。

一部の相続人を除外して相続財産の分け方を合意しても、無効の合意になるからです。

行方不明の相続人がいる場合、代わりに話し合いをする人を家庭裁判所に選んでもらいます。

行方不明の人の代わりに話し合いをする人を不在者財産管理人と言います。

不在者財産管理人が行方不明の人の代わりに、相続財産の分け方について話し合いをします。

不在者財産管理人は、行方不明の人の財産を守るために働きます。

不在者財産管理人は、家族の意向をかなえてくれる人ではありません。

家族の事情を考慮した柔軟な対応は、行方不明の人の利益にならないことが多いでしょう。

不在者財産管理人が相続財産の分け方について合意する場合、家庭裁判所の許可が必要です。

行方不明の人の法定相続分が確保されていない場合、家庭裁判所は許可をしないでしょう。

家族の事情を考慮した柔軟な取り扱いは困難です。

当初の相続人が後に行方不明になると、遺産分割協議が難しくなります。

2放置すると不動産活用ができない

①不動産を売却できない

相続財産の大部分が不動産である場合、相続人間で分け方の合意が難しくなります。

利用する予定のない不動産は、すぐに売却したいことがあります。

実家などはお金を出し合った人で共有していることが多いでしょう。

共有名義人の片方が死亡した後、他の共有名義人が相続人のひとりかもしれません。

他の共有名義人が被相続人の共有持分を相続して、単独所有者になった気持ちでいることがあります。

単独所有者になったつもりでも、客観的には被相続人の共有持分は相続財産です。

共有名義人が死亡した後に何もしないままの場合、被相続人名義のままになっているでしょう。

不動産を売却する場合、買主に名義を移さなければなりません。

被相続人名義から直接買主に名義を移すことはできません。

被相続人が生前に売却したのではないからです。

被相続人が死亡した後に、相続人が売却したはずです。

相続登記を省略することはできません。

被相続人から相続人に所有権が移転したことを公示する必要があるからです。

相続登記をしていない場合、買主に名義を移すことができなくなります。

買主が不動産の所有者であることを対外的に主張する際に登記が必要です。

所有権移転登記をしていないと、対外的に所有者であることを主張することができません。

買主は、とても困ります。

対外的に所有者であることを主張できないのなら、その不動産を買うことを諦めるでしょう。

相続登記をしないまま放置すると、不動産を売却することができなくなります。

②不動産を担保にできない

不動産を担保に金融機関から融資を受けることがあります。

借金の返済が滞ったときに備えて、金融機関は不動産を担保に取ります。

返済が滞ったときに備えて、担保にする権利を抵当権と言います。

お金を貸した人が担保に取りますから、債権者は抵当権者です。

抵当権は、登記をすることができます。

抵当権設定登記をしていないと、対外的に抵当権者であることを主張することができません。

金融機関は、とても困ります。

抵当権は、借金の返済が滞ったときに備えて担保に取る権利です。

具体的には、借金の返済が滞った場合、担保に取った不動産を競売にかけて売却代金から優先的に借金を返してもらうことができます。

対外的に抵当権者であることを主張できない場合、抵当権を設定した意味がなくなります。

被相続人名義のままで、抵当権設定登記をすることはできません。

担保に差し出したのは、相続人だからです。

相続登記を省略することはできません。

被相続人から相続人に所有権が移転したことを公示する必要があるからです。

3放置すると相続登記が困難になる

①相続登記にはたくさんの書類が必要になる

相続による不動産の名義変更を相続登記と言います。

相続登記には、たくさんの書類が必要になります。

遺言書がない場合、おおむね次の書類が必要です。

(1)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

(2)相続人の現在戸籍

(3)被相続人の住民票の除票

(4)不動産を相続する人の住民票

(5)遺産分割協議書

(6)相続人全員の印鑑証明書

(7)不動産の評価証明書

遺言書がある場合、おおむね次の書類が必要です。

(1)被相続人の除籍謄本

(2)相続人の現在戸籍

(3)被相続人の住民票の除票

(4)不動産を相続する人の住民票

(5)遺言書

(6)遺言書検認証明書

(7)不動産の評価証明書

事例によって追加書類が必要なることがあります

②戸籍謄本や住民票が保存期間経過で廃棄される

相続手続の最初の難関は、戸籍謄本の収集です。

相続登記には、たくさんの書類が必要になります。

戸籍謄本などの書類取集があまりにタイヘンで、挫折する人は少なくありません。

挫折したまま長期間放置すると、ますますタイヘンになります。

戸籍謄本や住民票は、永年保管ではないからです。

保存期間が決められていて、古いものから順次廃棄されます。

保存期間が経過した書類は、請求しても発行してもらえません。

必要な書類を提出できない場合、別の書類が必要になります。

一般的な事例とは異なる場合、法務局と打合せが必要になるでしょう。

長期間放置すると、相続登記が困難になります。

4放置された私道の共有持分の相続は非常に困難

被相続人がマイホームを所有していた場合、自宅の土地建物が相続財産であることは承知しているでしょう。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

自宅の土地建物について分け方の合意をした後に、私道の共有持分が見つかることがあります。

私道とは、一般私人が設置管理する道路です。

自宅の前面道路が公道ではなく私道であることがあります。

行政が設置管理をする道路が公道です。

多くの場合、私道は自宅に至る道路でしょう。

近隣住民と私道を共有していることがあります。

私道の共有持分は、自宅の土地建物とは別の財産です。

自宅の土地建物を相続した人が自動で相続できるものではありません。

自宅を使う人が私道を使います。

自宅を使う人が私道を使うとしても、私道の共有持分の分け方について別の合意が必要です。

私道の共有持分と自宅の土地建物は、別の財産だからです。

私道の共有持分は、相続登記が見落とされがちです。

自宅の土地建物は財産だと認識していても、道路を自分の財産と認識していないことが多いからです。

被相続人が認識していないと、家族はなおさら認識が薄いでしょう。

相続が発生してから長期間経過した後に、私道の共有持分が見つかります。

相続人が意図していなくても、長期間放置されていたと言えます。

先に説明したとおり、当初の相続人が死亡しているかもしれません。

当初の相続人が認知症になっているかもしれません。

当初の相続人が行方不明になっているかもしれません。

相続が発生した後に長期間放置された場合、相続人の確定が難しくなります。

家庭裁判所の手続が必要になることがあります。

必要な書類を準備できなくなることがあります。

相続が発生した後に長期間放置された場合、相続登記は非常に難しくなります。

5相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人は悲しむ暇もなく相続手続に追われます。

ほとんどの人は相続手続は不慣れで、聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。

インターネットの普及で多くの人は簡単に多くの情報を手にすることができるようになりました。

多くの情報の中には正しいものも、適切でないものも同じように混じっています。

司法書士は、登記の専門家です。

スムーズに相続登記を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

配偶者は代襲相続できない

2024-03-17

1配偶者は代襲相続とは無関係

①代襲相続とは

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は次のとおりです。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

相続人になるはずだった人の子どもの子どもが相続することを再代襲相続と言います。

②被代襲者になれる人

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人を被代襲者と言います。

被代襲者になれるのは、被相続人の子ども等と兄弟姉妹だけです。

配偶者と親などの直系尊属は、被代襲者になることはできません。

配偶者は、代襲相続の被代襲者になることはありません。

③代襲相続人になれる人

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人の代わりに相続人になる子どもや子どもの子どもを代襲相続人と言います。

代襲相続人になれるのは、被代襲者の子どもなど被代襲者の直系卑属だけです。

代襲相続人になれるのは、被相続人の卑属でなければなりません。

被代襲者の直系卑属で、かつ、被相続人の卑属だけが代襲相続できます。

被代襲者の配偶者も、被代襲者の親などの直系尊属も、被代襲者の兄弟姉妹も、代襲相続人にはなりません。

2代襲相続ができる原因

①相続人が死亡したら代襲相続する

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合です。

実際に死亡した場合の他に、失踪宣告を受けて死亡したものと扱われる場合も、代襲相続が発生します。

被相続人の死亡後、相続手続の途中で相続人が死亡した場合には、数次相続になります。

相続が発生したときに相続人が健在であれば、その後死亡しても代襲相続にはなりません。

②相続人が欠格になったら代襲相続する

欠格とは、相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度のことです。

欠格になる理由は法律で定められています。

主な理由は、被相続人を殺害したり、殺害しようとしたり、遺言書を偽造したり、遺言書を隠したりしたなどです。

法律で決められた理由があれば、家庭裁判所などの手続はなく、当然に、相続資格を失います。

相続人が相続欠格になる場合、代襲相続ができます。

③相続人が廃除されたら代襲相続する

相続人廃除とは、被相続人の意思で、相続人の資格を奪う制度のことです。

例えば、被相続人に虐待をした人に、相続をさせたくないと考えるのは自然なことでしょう。

相続人廃除は家庭裁判所に申立をして、家庭裁判所が判断します。

被相続人が相続人廃除したいと言い、相続人が廃除されていいと納得していても、家庭裁判所が相続人廃除を認めないことがあります。

相続人が相続人廃除になる場合、代襲相続ができます。

3被相続人の配偶者は被代襲者にならない

①配偶者が先に死亡しても配偶者の連れ子は代襲相続しない

被代襲者になるのは、子どもや兄弟姉妹だけです。

配偶者は被代襲者になることはできません。

配偶者は被代襲者になることはできないから、配偶者の連れ子が代襲相続人になることはできません。

配偶者の連れ子は、被相続人の卑属ではありません。

被相続人の卑属ではないから、配偶者の連れ子が代襲相続人になることはできません。

配偶者の連れ子は、直接の相続人になることもありません。

子どもがいる人と結婚した場合、連れ子と同居していても親子関係はありません。

親子関係を作りたい場合、養子縁組をする必要があります。

養子縁組をしたら、被相続人の子どもになります。

子どもとして直接の相続人になることができます。

②配偶者が先に死亡しても配偶者の兄弟姉妹は代襲相続しない

被代襲者になるのは、子どもや兄弟姉妹だけです。

配偶者は被代襲者になることはできません。

配偶者は被代襲者になることはできないから、配偶者の兄弟姉妹が代襲相続人になることはできません。

配偶者の兄弟姉妹は、被相続人の卑属ではありません。

被相続人の卑属ではないから、配偶者の兄弟姉妹が代襲相続人になることはできません。

4配偶者は代襲相続人にならない

①子どもが先に死亡しても子どもの配偶者は代襲相続しない

代襲相続人になることができるのは、被代襲者の子どもなど直系卑属だけです。

配偶者は代襲相続人になることはできません。

被相続人の子どもが被相続人より先に死亡している場合、被相続人の子どもの配偶者は代襲相続をすることができません。

配偶者は代襲相続人になることはできないからです。

子どもの配偶者は、被相続人の卑属ではありません。

被相続人の卑属ではないから、子どもの配偶者が代襲相続人になることはできません。

子どもの配偶者は、直接の相続人になることもありません。

被相続人と被相続人の子どもの配偶者が同居していても結論は同じです。

被相続人と被相続人の子どもの配偶者が同居して介護などの貢献をしていた場合、理不尽に思えるでしょう。

②兄弟姉妹が先に死亡しても兄弟姉妹の配偶者は代襲相続しない

代襲相続人になることができるのは、被代襲者の子どもなど直系卑属だけです。

配偶者は代襲相続人になることはできません。

被相続人の兄弟姉妹が被相続人より先に死亡している場合、被相続人の兄弟姉妹の配偶者は代襲相続をすることができません。

兄弟姉妹の配偶者は、被相続人の卑属ではありません。

被相続人の卑属ではないから、兄弟姉妹の配偶者が代襲相続人になることはできません。

5特別寄与者は財産を受け取れる

寄与分は、被相続人の財産の維持や増加について特別な貢献をした人がいる場合、特別な貢献をした人に対して、相続分以上の財産を受け継いでもらう制度です。

寄与分の制度は、特別な貢献をした人に対して相続分以上の財産を受け取ってもらうことで、相続人間の実質的な公平を図ろうとするものです。

寄与分を請求できるのは、相続人だけです。

子どもの配偶者や配偶者の連れ子は、相続人ではありません。

子どもの配偶者や配偶者の連れ子が被相続人に特別な貢献をしていた場合であっても、何も相続することはできません。

相続人ではない親族が特別な貢献をしていた場合、特別寄与者になることができます。

子どもの配偶者や配偶者の連れ子は相続人ではありませんが、親族です。

子どもの配偶者や配偶者の連れ子が被相続人に特別な貢献をしていた場合、特別寄与者として財産を取得することができます。

6トラブル防止には遺言書作成が有効

①遺言書で財産の行き先を決めておく

相続が発生した場合、被相続人の財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意が不可欠です。

相続トラブルの多くは、相続人全員の合意が難しいために起きています。

相続人の関係性がうすい場合、トラブルに発展しがちです。

被相続人が遺言書を作成して、財産の行き先を決めてあげておくといいでしょう。

遺言書で財産を受け取る人が決めてある場合、そのとおり分ければいいのでトラブルになるリスクを減らすことができます。

②遺留分を侵害しないように配分を決める

遺留分は、相続財産に対する最低限の権利のことです。

兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

遺留分侵害額請求がされる場合、大きなトラブルになります。

遺言書に遺留分侵害額請求をしないようにと書くことができますが、効力のない単なるお願いです。

遺留分に配慮した遺言書を作成する方がトラブル防止になるでしょう。

③遺言書は公正証書遺言がおすすめ

遺言書の多くは、公正証書遺言か自筆証書遺言です。

自筆証書遺言は、遺言者が自分で書いて作った遺言書のことです。

専門家の手を借りることなく手軽に作れるので、世の中の大半は自筆証書遺言です。

遺言書には厳格な書き方ルールがあります。

遺言書の書き方ルールに合わない遺言書は無効になります。

専門家の手を借りずに作られることが多いので、法律上効力のない遺言書になってしまうかもしれません。

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。

遺言者が公証人に遺言内容を伝えて、証人2人に確認してもらって作ります。

公証人は法律の専門家だから、書き方ルールの違反で無効になることは考えられません。

遺言書の内容を伝えておけば、適切な表現で文書にしてもらえます。

作った遺言書の原本は、公証役場で保管されます。

紛失するおそれがありません。

遺言書を作成するのであれば、公正証書遺言がおすすめです。

④遺言執行者を指名しておく

遺言書を作成するだけでは、遺言書の内容は実現されません。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書の中で遺言執行者を決めておくことができます。

相続が発生した後に遺言執行者からご辞退されないように、あらかじめ同意をもらっておくと安心です。

司法書士などの専門家に遺言書作成のサポートを依頼した場合、多くは遺言執行者になってもらうことができます。

7遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は被相続人の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

家族がトラブルに巻き込まれることを望む人はいないでしょう。

遺言書があることでトラブルになるのは、ごく稀なケースです。

遺言書がないからトラブルになるのはたくさんあります。

そのうえ、遺言書1枚あれば、相続手続は格段にラクになります。

家族を幸せにするために遺言書を作ると考えましょう。

実際、家族の絆のためには遺言書が必要だと納得した方は遺言書を作成します。

家族の喜ぶ顔のためにやるべきことはやったと安心される方はどなたも晴れやかなお顔です。

家族の幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

配偶者は常に相続人

2024-03-15

1配偶者は常に相続人

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②相続人になる配偶者は法律上の配偶者のみ

被相続人の死亡時に配偶者がいた場合、配偶者は常に相続人になります。

法律上の配偶者であれば、同居別居の別は問われません。

長期間別居していて夫婦の実態がなくても、法律上の配偶者は相続人です。

死亡時の配偶者であれば、婚姻期間の長短は問われません。

事実婚・内縁の配偶者は、相続人になることはできません。

何年一緒にいても、相続人になることはできません。

離婚した元配偶者は、相続人になることはできません。

死亡時の法律上の配偶者ではないからです。

同性婚のパートナーは、相続人になることはできません。

パートナーシップ制度を利用しても、法律上の配偶者ではないからです。

相続人になる配偶者は、法律上の配偶者のみです。

③配偶者は遺留分権利者

遺留分とは、相続人に認められる最低限の権利です。

被相続人は、生前財産を自由に処分することができます。

被相続人は、自分の死亡後に財産をだれに引き継いでもらうのか自由に決めることができます。

そうは言っても、まったくの無制約にすることはできません。

被相続人の財産は、被相続人が1人で築いた財産ではないからです。

家族の協力があってこそ、築くことができた財産のはずです。

被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。

遺留分が認められる相続人を遺留分権利者と言います。

配偶者は、被相続人に最も近い相続人と言えるでしょう。

配偶者は、遺留分権利者です。

④死後離婚・姻族関係終了届を出しても相続人

被相続人の配偶者は、常に相続人になります。

配偶者が後に姻族関係終了届を提出することがあります。

姻族関係終了届は、死後離婚と言われることがあります。

被相続人が生前に離婚した場合、離婚した元配偶者は相続人ではありません。

死後離婚と言われるものの、被相続人と離婚するものではありません。

姻族関係終了届を出しても、死亡時の配偶者のままです。

姻族関係終了届は、姻族との関係を終了させる届出に過ぎないからです。

姻族とは、配偶者の両親や配偶者の兄弟姉妹などの親族です。

姻族関係終了届を出しても、配偶者は相続人です。

2相続人は配偶者と血族相続人

①配偶者と子どもが相続人

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

配偶者は常に相続人だから、配偶者と子どもが相続人です。

被相続人の子どもは、実子と養子に区別はありません。

嫡出子と非嫡出子にも、区別はありません。

配偶者と子どもが相続人になる場合、相続分は次のとおりです。

配偶者の相続分 2分の1

子どもの相続分 2分の1

子どもが複数いる場合、相続分を平等に分割します。

嫡出子、非嫡出子、養子、普通養子に行った子どもは、すべて平等です。

子どもは、親を選ぶことはできません。

嫡出子として生まれてくることも非嫡出子として生まれてくることも、子どもには責任がありません。

嫡出子、非嫡出子、養子、養子に行った子どもは、すべて平等です。

嫡出子、非嫡出子、養子、養子に行った子どもの相続分は、すべて平等です。

子どもが何人いても、配偶者の相続分は2分の1です。

配偶者と子どもは、遺留分権利者です。

配偶者と子どもが相続人になる場合、遺留分は次のとおりです。

配偶者の遺留分 4分の1

子どもの遺留分 4分の1

子どもが複数いる場合、遺留分を平等に分割します。

子どもが何人いても、配偶者の遺留分は4分の1です。

②配偶者と親などの直系尊属が相続人

被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属は相続人になります。

配偶者は常に相続人だから、配偶者と親などの直系尊属が相続人です。

配偶者と親などの直系尊属が相続人になる場合、相続分は次のとおりです。

配偶者の相続分 3分の2

親などの直系尊属の相続分 3分の1

親などの直系尊属が複数の世代でいる場合、世代が近い人だけが相続人です。

同じ世代の直系尊属が複数いる場合、相続分を平等に分割します。

実父母、養父母は、平等です。

配偶者と親などの直系尊属が相続人になる場合、遺留分は次のとおりです。

配偶者の遺留分 3分の1

親などの直系尊属の遺留分 6分の1

③配偶者と兄弟姉妹が相続人

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹は相続人になります。

配偶者は常に相続人だから、配偶者と兄弟姉妹が相続人です。

配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合、相続分は次のとおりです。

配偶者の相続分 4分の3

兄弟姉妹の相続分 4分の1

相続人になる兄弟姉妹は、父母同じ兄弟姉妹だけではありません。

異父兄弟や異母兄弟も兄弟姉妹だから、相続人になります。

父母同じ兄弟姉妹と父母一方だけ同じ兄弟姉妹は、同じ相続分ではありません。

父母一方だけ同じ兄弟姉妹を半血兄弟、父母同じ兄弟姉妹を全血兄弟と言います。

半血兄弟の相続分は、全血兄弟の相続分の半分です。

配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合、遺留分は次のとおりです。

配偶者の遺留分 8分の3

兄弟姉妹の遺留分 なし

被相続人に近い関係の相続人には、遺留分が認められています。

大人になれば、兄弟姉妹は別々に生計を立てているでしょう。

兄弟姉妹は、遺留分権利者ではありません。

④相続人は配偶者のみ

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹は相続人になります。

兄弟姉妹もいない場合、配偶者のみが相続人になります。

被相続人が天涯孤独で血族相続人はだれもいないと、決めつけていることがあります。

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を揃えて、証明する必要があります。

家族のさまざまな事情から、被相続人が他の家族と疎遠になっていることがあります。

疎遠になっているだけの場合、血族相続人は存在するでしょう。

行方不明になって連絡が取れない人がいることがあります。

行方不明の人は、生きている人です。

血族相続人は、存在します。

相当長期間に渡って生死不明になっている場合、条件を満たせば死亡の取り扱いをすることができます。

死亡の取り扱いをするためには、別の手続をする必要があります。

配偶者のみが相続人であることは、戸籍謄本で証明する必要があります。

3配偶者は代襲相続しない

①配偶者は代襲相続人にならない

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

代襲相続人になることができるのは、被代襲者の子どもなど直系卑属だけです。

配偶者は、代襲相続人になることはできません。

被相続人の子どもが被相続人より先に死亡している場合、被相続人の子どもの配偶者は代襲相続をすることができません。

子どもの配偶者は、被相続人の卑属ではありません。

被相続人の卑属ではないから、子どもの配偶者が代襲相続人になることはできません。

②配偶者は被代襲者にならない

被代襲者になるのは、子どもや兄弟姉妹だけです。

配偶者は、被代襲者になることはできません。

配偶者は被代襲者になることはできないから、配偶者の連れ子が代襲相続人になることはできません。

配偶者の連れ子は、被相続人の卑属ではありません。

被相続人の卑属ではないから、配偶者の連れ子が代襲相続人になることはできません。

4不動産相続で配偶者居住権

①遺産分割協議で設定

配偶者居住権とは、被相続人の家に住んでいた配偶者が無償で住み続けることができる権利です。

相続が発生してから配偶者が住む場所を失うことがないように、保護するために作られた権利です。

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定する必要があります。

相続人全員による合意で、配偶者居住権を設定することができます。

配偶者居住権を取得することができるのは、法律上の配偶者のみです。

配偶者にとっては、選択肢が増えたと言えます。

②遺言書で遺贈

被相続人は、自分の死亡後に財産をだれに引き継いでもらうのか自由に決めることができます。

被相続人は遺言書を作成して、配偶者居住権を遺贈することができます。

遺産分割協議は、相続財産の分け方についての相続人全員による話し合いです。

各相続人が自分の主張をした場合、話し合いがまとまらないことがあります。

被相続人が遺言書を作成しておいた場合、遺言書のとおり分けることができます。

遺言書で遺言執行者を指名することができます。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者には、遺言書の内容を実現するため必要な権限が与えられています。

相続人の協力がなくても、遺言書の内容を実現することができます。

遺言書を作成した場合、配偶者にとっては心強いと言えるでしょう。

③死因贈与なら生前に仮登記

配偶者居住権は、死因贈与の対象とすることができます。

死因贈与とは、譲渡人の死亡をきっかけに財産を譲る契約です。

譲渡人の死亡をきっかけに配偶者居住権を贈与する合意をすることができます。

死因贈与は、譲渡人と譲受人が合意した契約です。

配偶者居住権を死因贈与した場合、仮登記をすることができます。

仮登記は、被相続人と配偶者が協力して申請します。

相続が発生したら、配偶者居住権が設定されることが公示されます。

配偶者居住権が設定されることが分かっていたら、不動産を購入する人は事実上いないでしょう。

相続が発生してから配偶者が住む場所を失うことがないようにすることができます。

死因贈与による仮登記をした場合、配偶者にとっては心強いと言えるでしょう。

5相続人調査を司法書士に依頼するメリット

本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。

古い戸籍は現在と形式が違っているから、読みにくいものです。

活字でなく手書きの達筆な崩し字で書いてあるから、分かりにくいものです。

慣れないと、戸籍謄本集めはタイヘンです。

本籍地を何度も変更している方や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている方は、戸籍をたくさん渡り歩いています。

戸籍謄本を、膨大な手間と時間がかかることが多くなります。

お仕事や家事で忙しい人や高齢、療養中の人は、自分で手続するのが難しいでしょう。

難しい、めんどくさい、手間がかかる手続は、まるっと司法書士などの専門家におまかせできます。

家族にお世話が必要な方がいて、お側を離れられない人からのご相談もお受けしております。

集め始めてみたけど、途中で挫折することがあります。

全部集めたと思ったのに、金融機関や役所からダメ出しされで困っていることがあるでしょう。

司法書士が目を通して、不足分を取り寄せします。

相続人調査でお困りのことがあれば、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

仕事や家事、通院などで忙しい人には平日の昼間に役所にお出かけになって準備するのは負担が大きいものです。

戸籍謄本や住民票は郵便による取り寄せもできます。

書類の不備などによる問い合わせは、市区町村役場の業務時間中の対応が必要になります。

事務の負担は、軽いとは言えません。

このような戸籍や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

相続人調査でお困りの方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

市役所から通知が届いて相続放棄

2024-03-13

1相続放棄で借金を相続しない

相続が発生したら、相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

単純承認は、プラスの財産とマイナスの財産を相続します。

相続放棄は、プラスの財産とマイナスの財産を相続しません。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、プラスの財産とマイナスの財産を相続しません。

被相続人が莫大な借金を抱えていても、相続放棄が認められたら相続する必要はありません。

相続放棄は、被相続人ごとに判断できます。

例えば、父について相続放棄をするが、母について単純承認するでも差し支えありません。

相続の放棄は相続人ごとに判断します。

例えば、父の相続人ついて長男は相続放棄するが、長女は単純承認するでも差し支えありません。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、借金を相続しません。

2市役所は相続人を調査して通知する

①相続人代表者指定届のために通知する

毎年5月ごろに市区町村役場から、固定資産税や都市計画税の納税通知書が送られます。

固定資産税や都市計画税は、不動産の所有者が納める税金です。

不動産の所有者が死亡した場合、納税通知書を送ることができなくなって困ります。

相続人も納税通知書を受け取ることができないと、税金を納めることができなくなって困ります。

市区町村役場は、相続人代表者指定届を提出するように通知を出します。

相続人代表者指定届とは、固定資産税や都市計画税の納税通知書を受け取る人を指定するための届出書です。

納税通知書を受け取る人が代表者です。

市区町村役場は、同居していた相続人やその市町村に住民票がある相続人を優先して通知します。

被相続人と疎遠である場合、被相続人の死亡が連絡されないことがあります。

市区町村から相続人代表者指定届を提出するように通知が届いたことで、相続が発生したことを知ることがあります。

②空き家の相続人に通知する

空き家等の登記名義人が死亡した場合、現在の管理者が適切に管理していないことがあります。

適切な管理を促すため、市区町村役場は相続人に通知を送ります。

空き家等の登記名義人が死亡してから、長期間経過していることがあります。

登記名義人の直接の相続人も、死亡しているかもしれません。

ほとんど面識のない遠縁の親族の相続人であると聞いて、びっくりするかもしれません。

相続を単純承認した場合、空き家等の管理をすることになります。

③地籍調査の立会いのために通知する

地籍調査とは、国土調査のひとつです。

土地の所有者、地番、地目を調査して、境界の位置と面積の測量をします。

市区町村役場は境界を確認するため、所有者の立会いを求めます。

所有者が死亡している場合、相続人に立会いをしてもらいます。

市区町村役場から地籍調査の立会いのお願いが届いたことで、自分が相続人であることを知ることがあります。

④被相続人が税金等を滞納していた場合に通知する

被相続人が納めるべき税金を納めないまま、死亡することがあります。

相続が発生した場合、納めるべき税金は相続財産になります。

被相続人が納めるべき税金は、相続人に相続されます。

税金を納める義務は、相続人全員に法定相続分で相続されます。

市区町村役場は、相続人に対して納税義務承継通知書を送ります。

納税義務承継通知書は、滞納していた税金を納める義務が引き継がれましたよというお知らせです。

納税義務承継通知書を無視していると、滞納処分が開始されます。

滞納処分とは、税金を納める義務がある人の財産から強制的に取り立てる手続のことです。

市区町村役場から納税義務承継通知書が届いたことで、自分が相続人であることを知ることがあります。

⑤生活保護受給者が保護費を過誤受給していた場合に通知する

被相続人が親族と疎遠になっている場合、生活保護を受けていることがあります。

生活保護受給中に、資力が回復することがあります。

資力が回復していた期間中、満額の生活保護費を受け取ることはできないでしょう。

受け取り過ぎになった保護費を返還する義務が発生します。

真実ではないことを申請して生活保護を受給していることがあります。

適切な生活保護費と差額があった場合、差額は本来受け取ることができないはずです。

受け取り過ぎになった保護費を返還する義務が発生します。

誤って生活保護費を受け取っていた場合、過大に受け取った分を返還しなければなりません。

市区町村役場から生活保護費の返還通知が届いたことで、自分が相続人であることを知ることがあります。

3相続放棄の期限3か月のスタートは知ってから

相続が発生したら、相続人は各自単純承認をするか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内に申立てをする必要があります。

相続があったことを知ってからとは、必ずしも、被相続人の死亡してからではありません。

被相続人が死亡した後3か月以上経過してから、相続放棄の申立てをして、認められることがあります。

相続放棄ができる3か月以内のスタートは、相続があったことを知ってからだからです。

市区町村役場から通知が届いて相続があったことを知った場合、通知が届いたときに3か月がスタートします。

相続があったことを知らなかった場合、相続放棄ができる3か月がスタートしていません。

このポイントは、相続が発生してから3か月以内に申立てができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらうことです。

3か月以内に申立てができなかったのは仕方なかったと家庭裁判所が納得できる理由があるときだけは、家庭裁判所も相続放棄を認めてくれます。

市区町村役場は、相続が発生してからすぐに通知する場合もありますが、ときには長期間経過してから連絡してくる場合があります。

市区町村役場から手紙が来て相続があったことを知った場合、この通知は大切です。

市区町村役場からの手紙を見て相続があったことを知ったという証拠になるからです。

市区町村役場から通知が来た後に相続放棄を希望する場合、手続先は家庭裁判所です。

通知を送った役所に相談に行って相続放棄をすると話しても、効果はありません。

4相続放棄をしても市区町村役場に連絡されない

家庭裁判所に相続放棄を認めてもらったら、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書という書類が届きます。

家庭裁判所は相続放棄を認めた場合でも、自主的に市区町村役場に連絡することはありません。

だれが相続放棄をしたか、市区町村役場は知るきっかけがありません。

相続放棄をした場合でも、市区町村役場に届出をするルールはありません。

戸籍や住民票に、相続放棄が記載されることはありません。

市区町村役場は、相続放棄をしたかどうか全く知ることはないのです。

相続放棄が認められた後になって、被相続人が滞納していた税金などを払ってくださいと督促してくることがあります。

相続放棄しているので、払う必要のない税金です。

市区町村役場は相続放棄をしたことを知らないので、相続人に払ってもらおうと考えて催促します。

相続放棄申述受理通知書を提示して事情を説明すれば督促をやめてくれます。

5期限を過ぎた相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄は、その相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続きを取ることはできます。

高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続が発生してから3か月以内に届出ができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらって、はじめて、家庭裁判所は相続放棄を認めてくれます。

通常は家庭裁判所に対して、上申書や事情説明書という書類を添えて、説得することになります。

家庭裁判所が知りたいことを無視した作文やダラダラとした作文では認めてもらうことは難しいでしょう。

司法書士であれば、家庭裁判所に認めてもらえるポイントを承知しています。

認めてもらいやすい書類を作成することができます。

通常の相続放棄と同様に、戸籍謄本や住民票が必要になります。

仕事や家事、通院などで忙しい人にとって、平日の昼間に市区町村役場に出向くのは負担が大きいものです。

戸籍謄本や住民票は、郵便による取り寄せをすることができます。

書類の不備などによる問い合わせは、市区町村役場の業務時間中の対応が必要になります。

相続人の負担は、軽いとは言えません。

戸籍謄本や住民票の取り寄せは、司法書士におまかせすることができます。

3か月の期限が差し迫っている方や期限が過ぎてしまっている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

 

事実婚・内縁の配偶者が死亡後に借金の返済

2024-03-11

1事実婚・内縁の配偶者は相続人でない

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②認知された子どもは相続人

認知とは、婚姻関係にないカップルの間に生まれた子どもについて自分の子どもと認めることです。

認知をして自分の子どもだと認めるのは、一般的には父親です。

通常、母は出産の事実によって母親であることが確認できるからです。

母親が出産後に、捨て子をしたようなレアケースでは、母親も認知をすることがあり得ます。

認知をすると、法律上の子どもになります。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

父が認知をする場合、市区町村役場に認知届を提出します。

子どもの母に自分の子どもであると認めるだけでは、認知の効果はありません。

市区町村役場は認知届を受理した後、戸籍に記載します。

認知された子どもは、戸籍謄本で確認することができます。

認知された子どもは、相続人になります。

③相続人になる配偶者は法律上の配偶者だけ

被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は必ず相続人になります。

相続人になる配偶者は、法律上の配偶者のみです。

事実婚・内縁の配偶者は、相続人ではありません。

婚姻関係にないカップルの間に生まれた子どもについて、認知をすると法律上の子どもになります。

父と子どもの間に法律上の親子関係が発生します。

認知をしても、子どもの母には影響がありません。

認知をしても、子どもの母は法律上の配偶者にはなりません。

相続人になる配偶者は、法律上の配偶者だけです。

④何年一緒にいても事実婚・内縁の配偶者は相続人でない

相続人になる配偶者は、法律上の配偶者のみです。

法律上の配偶者がいても配偶者がいなくても、事実婚・内縁の配偶者は相続人になりません。

長期間連れ添っていても、事実婚・内縁の配偶者は相続人になりません。

事実婚・内縁の配偶者は相続人ではないから、財産を相続することはできません。

事実婚・内縁の配偶者は相続人ではないから、借金を相続することはありません。

何十年一緒にいても、事実婚・内縁の配偶者は相続人になりません。

⑤相続人不存在なら相続財産は国庫帰属

相続人になる人は、法律で決まっています。

事実婚・内縁の配偶者は、相続人になりません。

被相続人が天涯孤独である場合、法律で決められた相続人がまったくいないことがあります。

法律で決められた相続人がいても、相続人全員が相続放棄をすることがあります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

相続人が不存在である場合、相続財産は清算され国庫に帰属します。

相続人が不存在であっても、自動的に事実婚・内縁の配偶者が相続人になることはありません。

家庭裁判所で認められた場合、特別縁故者に財産が分与されることがあります。

事実婚・内縁の配偶者は、特別縁故者に認められる可能性があります。

相続人不存在の場合、相続財産は国庫に帰属します。

2事実婚・内縁の配偶者が死亡後に借金の返済

①事実婚・内縁の配偶者は相手の借金を相続しない

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

相続人が相続する財産が相続財産です。

被相続人のプラスの財産とマイナスの財産両方が相続財産に含まれます。

相続人になる人は、法律で決められています。

事実婚・内縁の配偶者は、相続人ではありません。

事実婚・内縁の配偶者は、被相続人の財産を相続することはありません。

事実婚・内縁の配偶者は、相手の借金を相続することはありません。

②事実婚・内縁の配偶者が連帯保証人

被相続人が生前、お金の貸し借りをしていることがあります。

被相続人のお金の貸し借りに際して、事実婚・内縁の配偶者が連帯保証人になることがあります。

事実婚・内縁の配偶者が連帯保証人である場合、被相続人の借金の返済をしなければなりません。

被相続人の借金を返済するのは、連帯保証人の義務だからです。

お金の貸し借りをする場合、貸主と借主の間で、お金の貸し借りの約束をします。

お金の貸し借りの約束を、金銭消費貸借契約と言います。

お金をきちんと返してもらえるか心配なので、連帯保証人を立ててもらうことがあります。

連帯保証人は、借金を返せないとき肩代わりする人です。

貸主と連帯保証人との間で、借金の肩代わりをする約束をします。

借金の肩代わりをする約束を、連帯保証契約と言います。

金銭消費貸借契約は、貸主と借主の間の契約です。

連帯保証契約は、貸主と連帯保証人との間の契約です。

金銭消費貸借契約と連帯保証契約は、当事者が異なるまったく別の契約です。

事実婚・内縁の配偶者は、相続人ではありません。

事実婚・内縁の配偶者は、被相続人の借金を相続しません。

被相続人の借金を相続しないことと連帯保証人の義務は、無関係です。

金銭消費貸借契約と連帯保証契約は、当事者が異なるまったく別の契約だからです。

お金をきちんと返してもらえるか心配なので、返せないとき肩代わりする連帯保証人を立ててもらったのです。

返せないとき肩代わりすることを承知して、連帯保証契約をしたはずです。

事実婚・内縁の配偶者が連帯保証人である場合、被相続人の借金の返済をしなければなりません。

③包括遺贈で事実婚・内縁の配偶者が借金を引き継ぐ

事実婚・内縁の配偶者は、相続人ではありません。

被相続人が何もしなかったら、被相続人の財産を引き継ぐことはできません。

事実婚・内縁の配偶者に財産を引き継いでもらうため、遺言書を作成することができます。

遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を譲ってあげることです。

遺贈で財産を譲り渡す人のことを遺贈者、譲り受ける人を受遺者と言います。

遺贈には、2種類あります。

特定遺贈と包括遺贈です。

特定遺贈とは、遺言書に、「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。

包括遺贈とは、遺言書に、「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。

遺言者は、遺言書を作成して事実婚・内縁の配偶者に包括遺贈をすることができます。

包括遺贈では、財産を譲り受ける人は相続人と同一の権利義務が与えられます。

包括受遺者は相続人と同じだから、プラスの財産もマイナスの財産も受け継ぎます。

遺言書で指定された割合のマイナスの財産を引き継がなければなりません。

遺言書で事実婚・内縁の配偶者に全財産を遺贈する場合、事実婚・内縁の配偶者は借金を引き継ぎます。

事実婚・内縁の配偶者は包括遺贈を受けたくない場合、包括遺贈を放棄することができます。

包括遺贈の放棄は、家庭裁判所で手続が必要です。

事実婚・内縁の配偶者に包括遺贈した場合、事実婚・内縁の配偶者は借金を引き継ぎます。

④認知された子どもは借金を相続

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人が借金を残して死亡した場合、借金は相続人が相続します。

被相続人の財産は、プラスの財産もマイナスの財産も含まれるからです。

相続が発生した場合、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

認知された子どもが相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する申立てをします。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

相続人でなくなったら、被相続人の借金を返済する必要はありません。

3事実婚・内縁の配偶者の一方が死亡しても財産分与請求はできない

①事実婚・内縁を解消するときに財産分与請求ができる

事実婚・内縁関係のカップルの両方が健在のうちに、事実婚・内縁関係を解消することがあります。

事実婚・内縁関係のカップルが2人で築いてきた財産があるでしょう。

事実婚・内縁を解消する場合、財産分与を請求することができます。

②事実婚・内縁が死亡で終了するときに財産分与請求ができない

被相続人が死亡した場合、相続が発生します。

被相続人のものは、相続人が相続します。

被相続人が事実婚・内縁関係であった場合、2人で築いてきた財産があるでしょう。

2人で築いてきた財産であっても、事実婚・内縁の配偶者は相続することはできません。

相続人になる配偶者は、法律上の配偶者だけだからです。

死亡による事実婚・内縁の解消をしたときに財産分与を認めると、相続と同じ結果になります。

相続制度自体を根底から覆すことになります。

相続制度が壊れてしまうことは、許されません。

事実婚・内縁が死亡で終了する場合、財産分与請求ができません。

③事実婚・内縁を解消後に財産分与協議中に死亡したら

事実婚・内縁関係のカップルの両方が健在のうちに事実婚・内縁を解消する場合、財産分与を請求することができます。

事実婚・内縁関係のカップルの一方が死亡したことにより事実婚・内縁を解消する場合、財産分与を請求することができません。

事実婚・内縁関係のカップルの両方が健在のうちに事実婚・内縁を解消する合意をしたことで、財産分与義務が具体化したと言えます。

具体化した財産分与義務は、相続人に相続されます。

事実婚・内縁を解消後に財産分与協議中に死亡した場合、相続人に財産分与を請求することができます。

4遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、被相続人の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

実は、民法に遺言書を作ることができるのは15歳以上と定められています。

死期が迫ってから書くものではありません。

遺言書は被相続人の意思を示すことで、家族をトラブルから守るものです。

遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。

遺贈は、簡単に考えがちです。

思いのほか、複雑な制度です。

受け継いでもらう財産に不動産がある場合、譲ってもらう人だけでは登記申請ができません。

遺言執行者がいない場合、相続人全員の協力が必要です。

遺言書で遺言執行者を指名するのがおすすめです。

遺言執行には、法的な知識が必要になります。

相続が発生したときに、遺言執行者からお断りをされてしまう心配があります。

遺言書の内容に納得していない相続人がいる場合、受遺者に引渡そうとしないこともあります。

家族をトラブルから守ろうという気持ちで遺言書を作成するでしょう。

せっかく遺言書を書くのですから、スムーズな手続を実現できるように配慮しましょう。

お互いを思いやり幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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