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独身者の相続対策で養子縁組

2024-06-24

1養子縁組で親子になる

①独身の人が養子縁組ができる

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。

子どものいない夫婦が養子縁組をする、配偶者の連れ子と養子縁組するといったことは日常的に聞くことあります。

一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

特別養子による養子縁組では、養親は配偶者がいる人であることが条件です。

普通養子による養子縁組には、配偶者の有無は問われません。

独身の人が養親になる養子縁組をすることができます。

独身の人が養子になる養子縁組をすることができます。

独身の人が養子縁組ができます。

②独身の人は特別養子による養子縁組はできない

特別養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係がなくなります。

親子の縁を切る重大な決定なので、厳格な要件で家庭裁判所が決定します。

特別養子が認められる条件は、次のとおりです。

(1)実親の同意があること

(2)養親は配偶者がいること

(3)養親の年齢が25歳以上、夫婦の一方は20歳以上

(4)養子の年齢が15歳未満

(5)6か月以上の監護実績

実の父母による著しい虐待がある場合やその他特別の事情がある場合で、かつ、子の利益のため特に必要があるときに、認められます。

特別養子が認められるのは、家庭裁判所に審判の請求をした時点で養子が15歳未満であることが条件です。

養子が15歳になる前から養親に監護されていた場合、18歳になるまでは審判を請求することができます。

養子が成人になったら、特別養子になることはできません。

独身の人は、特別養子による養子縁組をすることはできません。

③大人同士で養子縁組ができる

養子は、未成年に限るものではありません。

大人同士で、養子縁組をすることができます。

大人同士で養子縁組をする場合、普通養子による養子縁組のみです。

普通養子による養子縁組は、養子縁組後も血縁関係がある実親との親子関係が続きます。

相続対策として養子縁組をする場合、大人同士でしょう。

大人同士で、養子縁組をすることができます。

2養子縁組で相続人になる

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②実子がいても養子は相続人

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

独身の人に実子がいることがあります。

独身の人が認知することがあります。

認知された子どもは、相続人になります。

今は独身でも、結婚歴があることがあります。

離婚した元配偶者が子どもを引き取っていることがあります。

離婚しても、子どもは相続人になります。

被相続人の実子は、被相続人の子どもです。

被相続人の養子は、被相続人の子どもです。

被相続人の子どもに、区別はありません。

被相続人の実子と養子は、相続人になります。

被相続人に実子がいても、養子は相続人です。

③実子と養子は同じ相続分と遺留分

養子縁組をした場合、養子は法律上の親子関係がある子どもです。

子どもに区別はありません。

実子と養子は、同じ相続分です。

被相続人は、原則として、自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。

財産は被相続人が自分だけで築いたものではないでしょう。

家族の協力があってこそ、築くことができた財産のはずです。

被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすることはできません。

今まで協力してきた家族に酷な結果となることがあるからです。

被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。

相続財産に対して、認められる最低限の権利を遺留分と言います。

兄弟姉妹以外の相続人には、遺留分が認められています。

遺留分が認められている相続人を遺留分権利者と言います。

被相続人の子どもが相続人になる場合、子どもは遺留分権利者です。

子どもに区別はありません。

実子と養子は、同じ遺留分です。

実子と養子は、同じ相続分と遺留分です。

3普通養子による養子縁組の条件

①成人同士の養子縁組は当事者の合意が重要

成人同士で養子縁組をする場合、特別な条件はありません。

成人同士の養子縁組で重要な条件は、次のとおりです。

(1)養親になる人と養子になる人の合意

(2)養子縁組届を提出

(3)養子は尊属や年長者でない

(4) 養子が結婚しているときは配偶者の同意

普通養子による養子縁組の条件は、他にもたくさんあります。

(5)養親は20歳以上

(6)未成年者を養子にするときは家庭裁判所の許可

(7)結婚している人が未成年者を養子にするときは夫婦共同縁組

(8)後見人が被後見人を養子にするときは家庭裁判所の許可

独身者が相続対策で養子縁組をするときは、あまり気にしなくてもいいでしょう。

②養子の人数に法律上の制限はない

養親になる人と養子になる人の合意で、養子縁組することができます。

養親は、複数の養子と養子縁組をすることができます。

養子縁組の数に、法律上の制限はありません。

養子は、養親の子どもです。

養親が死亡したときに、養子は相続人になります。

被相続人の財産規模によっては、相続税の対象になるでしょう。

相続税を計算する場合、養子の数に制限があります。

被相続人に実子がいる場合、養子は1人までです。

被相続人に実子がいない場合、養子は2人までです。

上記の養子の数の制限は、相続税を計算するときだけの話です。

被相続人に実子がいても、複数の養子がいることがあります。

複数の養子全員が被相続人の子どもです。

被相続人の子ども全員が相続人です。

養子縁組の数に、法律上の制限はないからです。

③養親の人数に法律上の制限はない

養子縁組の数に、法律上の制限はありません。

養子は、複数の養親と養子縁組をすることができます。

養子は、養親の子どもです。

養親が死亡したときに、養子は相続人になります。

最初の養親が死亡したときに、養子は相続人になります。

次の養親が死亡したときに、養子は相続人になります。

最初の養親にとっても次の養親にとっても、養子は子どもだからです。

実親が死亡したときに、普通養子による養子は相続人になります。

実親にとっても、養子は子どもだからです。

子どもは、相続人になります。

養親の人数に法律上の制限は、ありません。

④養子の年齢に制限はない

養親になれるのは、20歳以上の人です。

養子になる人に、年齢制限はありません。

養親より年長者が養子になれないだけです。

高齢者になっても、養子になることができます。

⑤養子縁組に収入要件はない

養子縁組をする場合、収入の基準はありません。

養親になる人も養子になる人も、収入による制限はありません。

4独身者の相続対策で養子縁組をするときの注意点

①養子は相続人になる

独身の人は、子どもがいないことが多いでしょう。

被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

独身の人が高齢である場合、兄弟姉妹が相続人になることが多いでしょう。

独身の人が養子縁組をした場合、養子は子どもです。

養子は、相続人になります。

子どもが相続人になる場合、兄弟姉妹は相続人になりません。

相続が発生するまで養子の存在を知らなかった場合、大いに戸惑うでしょう。

兄弟姉妹が財産を相続できると期待していた場合、相続トラブルに発展するおそれがあります。

②相続人が変わると税金に影響

相続人が変わると税金に影響

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人に養子がいる場合、養子は相続人です。

養子は、被相続人の子どもだからです。

被相続人に実子がいる場合、養子縁組をすると実子と養子が相続人になります。

相続人が増えると相続税を減らすことができます。

この点を過度に強調して、養子縁組をすすめられることがあります。

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹が相続人になるはずだったのに、養子縁組をすると養子が相続人になります。

例えば、兄弟姉妹4人が相続人になるはずだったのに、養子1人が相続人になることがあります。

養子縁組をした場合、相続税の基礎控除額は少なくなります。

兄弟姉妹4人なら5400万円、養子1人なら3600万円だからです。

相続税の基礎控除額が少なくなると、たくさんの相続税を納める必要があります。

基礎控除額だけでなく、生命保険の非課税額、退職金の非課税枠なども少なくなります。

大人同士の養子縁組で、税金に影響があります。

③養子が先に死亡

独身の人が相続対策で養子縁組をする場合、養子に相続人になってもらうことを期待しているでしょう。

人の生死は、だれにも予想できません。

養子が先に死亡することがあります。

一般的に、相続人になるはずだった子どもが先に死亡した場合、子どもの子どもが相続します。

これを代襲相続と言います。

養子が先に死亡した場合、養子の子どもが代襲相続できるときと代襲相続ができないときがあります。

代襲相続人になるのは、被相続人の卑属のみです。

被相続人の養子は、被相続人の子どもだから被相続人の卑属です。

被相続人の養子の子どもは、被相続人の卑属である場合と被相続人の卑属でない場合があるからです。

養子縁組をしたときすでに誕生していた子どもは、原則として、被相続人の卑属になりません。

養子縁組をした後に誕生した子どもは、被相続人の卑属になります。

被相続人の卑属は、代襲相続をすることができます。

相続が発生したとき、養子が先に死亡している場合、代襲相続ができます。

④養子縁組で養子は養親の氏

養子縁組をすると、養子は養親の氏を名乗ります。

成人同士で養子縁組をしても、養子は養親の氏を名乗ります。

成人同士で養子縁組をした場合、氏が変更される点に注意する必要があります。

氏の変更は、社会生活上の負担が大きいからです。

養子になる人が結婚していても戸籍の筆頭者の場合、養親の氏に変更されます。

戸籍の筆頭者が養親の氏に変わるから、養子の配偶者の氏も自動で変更されます。

養子になる人が戸籍の筆頭者の配偶者である場合、養親の氏でなく婚姻時に決めた氏を名乗ります。

養子に子どもがいる場合、養子の子どもの氏は自動で変更されません。

養子の子どもの氏を変更したい場合、別の手続が必要です。

⑤養子縁組解消には当事者の同意が必要

養子縁組は、養親になる人と養子になる人の合意で親子関係を作る制度です。

離縁は、養親と養子の合意で親子関係を解消する制度です。

原則として、養子縁組を解消するためには、当事者の合意が必要です。

養子縁組をした後で養子縁組を解消したくなることがあります。

当事者が合意できない場合、家庭裁判所の助力が必要になります。

5相続人調査を司法書士に依頼するメリット

本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。

古い戸籍は現在と形式が違っていて、読みにくいものです。

手書きの達筆な崩し字で書いてあって、分かりにくいものです。

慣れないと、戸籍謄本集めはタイヘンです。

本籍地を何度も変更している方や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている方は、戸籍をたくさん渡り歩いています。

戸籍謄本を集めるだけで、膨大な手間と時間がかかります。

戸籍には被相続人の結婚や離婚、子どもや養子の存在といった身分関係がすべて記録されています。

ときには、家族の方が知らない相続人が明らかになることもあります。

相続が発生した後に、認知を求めて裁判になることもあります。

相続人を確定させるために戸籍謄本を集めるだけでも、知識のない一般の人にはタイヘンな作業です。

家族の方が知らない相続人が明らかになると、精神的な負担はさらに大きいものになります。

相続手続のうち、専門家に任せられるものは任せてしまえば、事務負担を軽減することができます。

戸籍謄本や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

相続人調査でお困りの方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

遺留分を現金で払えない

2024-06-23

1遺留分を渡したくないと拒否できない

①遺留分は最低限の権利

被相続人は、原則として、自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。

財産は被相続人が1人で築いたものではないでしょう。

家族の協力があってこそ、築くことができた財産のはずです。

被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすることはできません。

今まで協力してきた家族に、酷な結果となることがあるからです。

被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。

相続財産に対して、認められる最低限の権利のことを遺留分と言います。

②遺留分は現金で支払う

遺留分は、相続財産に対して認められる最低限の権利です。

遺留分を侵害された場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分侵害額請求を受けた場合、遺留分に相当する金額を現金で支払います。

相続で受け取った財産を渡す必要はありません。

遺留分に相当する金額を請求できるだけだからです。

現金で支払うルールは、令和元年7月1日以降に発生した相続に適用されます。

2遺留分侵害額請求がされたら

①遺留分は最短1年で時効消滅

遺留分を請求しないまま長期間経過した場合、遺留分侵害額請求をすることができなくなります。

遺留分侵害額請求権には、時効があるからです。

遺留分侵害額請求権の時効は、次のとおりです。

(1)侵害の事実を知ってから1年

(2)侵害がされたときから10年

権利が消滅した後に、遺留分侵害額請求があっても拒否することができます。

遺留分侵害額請求権は、最短1年で時効消滅します。

②兄弟姉妹に遺留分はない

遺留分は、相続財産に対して認められる最低限の権利です。

すべての相続人に遺留分が認められているわけではありません。

遺留分が認められるのは、配偶者、子ども、親などの直系尊属です。

被相続人に子どもと親などの直系尊属がいない場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹には、遺留分が認められていません。

兄弟姉妹は、相続人であっても遺留分はありません。

遺留分が認められていないのに、遺留分を請求して来ることがあります。

遺留分が認められていない相続人からの請求は、拒否することができます。

相続人になるはずだった兄弟姉妹が被相続人より先に死亡することがあります。

兄弟姉妹の子どもが相続します。

相続人になるはずだった人の子どもが相続することを代襲相続と言います。

代襲相続があった場合、被代襲者の相続分と遺留分を引き継ぎます。

相続人になるはずだった人が兄弟姉妹である場合、遺留分はありません。

兄弟姉妹の子どもが代襲相続人になる場合、引き継ぐべき遺留分はありません。

兄弟姉妹には、遺留分がありません。

兄弟姉妹の子どもにも、遺留分はありません。

③遺留分侵害額の確認が重要

遺留分を侵害された場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分は、現金で請求します。

相続で受け取った財産を請求することはできません。

遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額を計算して請求します。

遺留分権利者が計算した遺留分侵害額が適切な金額でないことがあります。

相続財産が金銭だけであれば、金額を争う余地はないでしょう。

相続財産には、いろいろな種類の財産があるのが通常です。

いろいろな種類の財産をいくらと考えるのか評価方法は複数あります。

被相続人が不動産を所有していることがあります。

不動産をいくらと考えるのか評価方法はいくつかあります。

どの評価方法で不動産を評価するかで、不動産の金額は大きく変わります。

遺留分侵害額請求をする人は、不動産の金額が高く評価されると有利です。

支払われる遺留分侵害額が高くなるからです。

遺留分侵害額請求を受ける人は、不動産の金額が低く評価されると有利です。

支払う遺留分侵害額が少なくなるからです。

評価方法がちがうと、相続財産全体の金額が大きく変わります。

当事者による話し合いで合意ができない場合、家庭裁判所の助力を受けることができます。

当事者は、遺留分侵害額請求の調停を申し立てることができます。

不動産は、重要な財産であることが多いものです。

評価方法で金額が大きく変わるから、適切に評価されているのか確認することが重要です。

④支払方法の合意

遺留分侵害額請求を受けた場合、遺留分に相当する金額を現金で支払います。

一括で支払うのが原則です。

当事者の合意があれば、どのような支払方法にするのか決めることができます。

相続で受け取った財産の大部分が不動産であることは少なくありません。

遺留分侵害額請求を受けた人が現金を準備できないでしょう。

遺留分侵害額請求を受けた場合、不動産を売却しなければならなくなります。

不動産を売却するためには、ある程度長期間かかります。

すぐに払ってもらいたいけど、売却期間を譲歩できるのであれば話し合いがまとまりやすくなります。

いつまでに支払うのか話し合いによる合意が大切です。

相続財産の大部分が事業用財産であることがあります。

事業用財産を売却してしまったら、事業を続けることができなくなります。

当事者が譲歩できるのであれば、分割払いの合意をするといいでしょう。

当事者の話し合いによる合意なので、話し合いがまとまらないおそれがあります。

⑤期限の許与を求める裁判

遺留分侵害額請求を受けた場合、遺留分に相当する金額を直ちに支払わなければなりません。

現金で一括払いが原則です。

財産の状況から現金で一括払いが難しいことがあります。

当事者で話し合いができれば、支払方法の合意をすることができます。

支払方法の合意ができるかどうかは、相手方次第です。

かたくなに直ちに現金一括払いを主張することが考えられます。

支払方法の合意ができない場合、裁判所に期限の許与を求める方法があります。

裁判所に期限の許与を求める場合、訴訟を提起します。

遺留分侵害額を請求する裁判中で、反訴を提起することもできます。

裁判所は遺留分侵害額の全部に期限を許与することができるし遺留分侵害額の一部だけ期限を許与することができます。

3遺留分侵害額請求を無視すると裁判手続

①調停や訴訟を提起される

遺留分は、相続財産に対して認められる最低限の権利です。

遺留分を侵害された場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

相続した財産を渡したくないという気持ちがあるかもしれません。

遺留分侵害額請求を受けた場合、無視することはおすすめできません。

遺留分侵害額請求は、遺留分権利者の正当な権利だからです。

気に入らない相続人だから渡したくないと言えるものではありません。

遺留分侵害額請求を受けたのに放置した場合、裁判所に持ち込まれることになるでしょう。

調停とは、家庭裁判所のアドバイスを受けてする当事者の話し合いです。

当事者だけで話し合いをすると、感情的になって話し合いができないことがあります。

家庭裁判所の調停委員が間に入ると、冷静になって話し合いができるかもしれません。

調停では、当事者の話し合いによる合意を目指します。

家庭裁判所が合意を強制することはできません。

当事者が一方的な主張をした場合、調停では解決できません。

調停は、当事者の話し合いで解決を目指す手続だからです。

調停では、強制的に解決方法を決めてしまうことはありません。

家庭裁判所のアドバイスを受けても話し合いがつかない場合、調停は成立しません。

調停が成立しなかった場合、遺留分を請求する訴訟を提起することができます。

話し合いに応じてもらえない場合、調停を申し立てずに直ちに訴訟を提起することができます。

訴訟が提起された場合、裁判所から訴状が届きます。

訴状が届いたら、絶対に放置してはなりません。

訴訟が提起されたのに放置した場合、欠席裁判になります。

欠席裁判では、相手方の言い分を認めた扱いがされます。

たとえ不当に過大な請求であっても、適切に主張立証をする必要があります。

適切に主張立証をしない場合、裁判所は相手方の主張どおりの決定をします。

遺留分侵害額請求を無視すると、裁判手続になります。

②財産差押など強制執行ができる

調停は、家庭裁判所のアドバイスを受けてする当事者の話し合いです。

調停で当事者の話し合いによる合意ができた場合、合意内容を文書に取りまとめます。

調停における合意内容を取りまとめた文書を調停調書と言います。

当事者の話し合いによる合意ができたのだから、当事者が合意内容を実現するでしょう。

当事者が任意で合意内容を実現しない場合、調停調書の内容は強制執行ができます。

銀行預金などの財産に差押をして、支払を受けることができます。

調停で合意ができなかった場合、訴訟を提起することができます。

訴訟を提起したものの、和解することがあります。

和解で当事者の話し合いによる合意ができた場合、合意内容を文書に取りまとめます。

和解における合意内容を取りまとめた文書を和解調書と言います。

当事者が任意で合意内容を実現しない場合、和解調書の内容は強制執行ができます。

和解による合意ができなかった場合、裁判所が判決を出します。

当事者が任意で判決内容を実現しない場合、判決の内容は強制執行ができます。

4公正証書遺言を作成しても遺留分が優先

①遺言書で遺留分は奪えない

さまざまな家族の事情から特定の相続人に相続させたくないことがあります。

相続人が配偶者、子ども、親などの直系尊属である場合、遺留分が認められます。

遺言書で自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。

遺留分を侵害するような遺言書であっても、有効な遺言書です。

有効な遺言書であっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分は、相続財産に対して認められる最低限の権利だからです。

遺留分を侵害された場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺言書を作成するだけで、遺留分を奪うことはできません。

②相続人廃除はハードルが高い

相続人廃除は、被相続人の意思で相続人の資格を奪う制度です。

相続人の資格を奪うというのは、実質的には、遺留分を奪うことです。

相続人廃除は家庭裁判所に申立てをして、家庭裁判所が判断します。

被相続人が相続人廃除したいと言い、相続人が廃除されていいと納得していても、家庭裁判所が相続人廃除を認めないことがあります。

相続人廃除は、相続人の最低限の権利を奪う重大な決定だからです。

相続人廃除が認められるのは、次の理由です。

(1)相続人が重大な侮辱をした

(2)暴力を振るうなどの虐待をした

(3)重大な非行があった

親の言いなりにならなかったなどの軽い理由では認められません。

家庭裁判所に廃除を認めてもらうためには、廃除の根拠になる客観的証拠が不可欠です。

遺言書で廃除する場合、被相続人は死亡しています。

家庭裁判所で証言することはできません。

廃除の客観的証拠を準備しておく必要があります。

相続人が相続人廃除された場合、代襲相続ができます。

相続人廃除は、非常にハードルが高い手続です。

③付言事項は法的効力がない

さまざまな家族の事情から特定の相続人に相続させたくないことがあります。

相続人が配偶者、子ども、親などの直系尊属である場合、遺留分が認められます。

自称専門家は、遺言書の付言事項を書けばいいと言っています。

付言事項に遺留分侵害額請求をしないようにと書けばトラブルにならないといったアドバイスです。

遺言書の付言事項は、単なるお願いです。

法的法力はありません。

付言事項に書いてあっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

自筆証書遺言の多くは、専門家のサポートなしで一人で作ります。

遺言書の厳格な書き方ルールが守られていないと、無効になってしまいます。

形式的な書き方ルールは守られていても、内容があいまいで遺言書を実現できないことも多々あります。

相続人の遺留分に配慮されておらず、トラブルに発展することあります。

せっかく遺言書を作るのなら確実な公正証書遺言をおすすめします。

司法書士などの専門家は、遺言書文案作成から公正証書遺言作成、遺言執行までトータルでサポートします。

司法書士からトータルでサポートを受けると、確実な遺言を作成できるから安心できます。

相続人は、相続発生後の面倒な相続手続から解放されます。

遺言者も家族も安心できる公正証書遺言作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺言書で延命治療は拒否できない

2024-06-21

1遺言書で延命治療は拒否できない

①遺言者の死亡時に遺言書の効力発生

病気やけがなどで回復の見込みがなくなった後も、治療が続けられることがあります。

延命治療とは、生命維持を目的に行われる治療です。

具体的には、人工呼吸器による呼吸管理や点滴や胃ろうなどによる栄養管理などの医療行為を指します。

延命治療には、苦痛を伴うことがあります。

意識を失った後も延命治療が続けられることで、自分らしさが失われると感じるかもしれません。

自分らしさを維持するため、延命治療を拒否したいというニーズがあります。

延命治療を拒否するために遺言書を作成するのは、意味がありません。

遺言書で、延命治療を拒否できません。

遺言書は、遺言者が死亡したときに効力が発生します。

遺言者が生きている間は、効力がありません。

延命治療は、生きている間に行われるものです。

遺言書は遺言者が死亡した後に効力が発生するから、延命治療を拒否することができません。

②遺言事項は法律で決められている

遺言書は、厳格な書き方ルールがあります。

遺言書に書くことで法律上意味がある事項は、法律で決められています。

遺言書に書くことで法律上意味がある事項を遺言事項と言います。

遺言事項は、次のとおりです。

(1)財産に関すること

(2)身分に関すること

(3)遺言執行に関すること

(4)それ以外のこと

延命治療は拒否することは、遺言事項にありません。

遺言書には、法律上意味がないことを書くことができます。

例えば、家族への感謝の気持ちや家族仲良く幸せに暮らして欲しいなどの気持ちです。

家族仲良く幸せに暮らして欲しい気持ちに、法的な拘束力はもちろんありません。

延命治療は拒否することを書いても、法的効力はありません。

③遺言書は死亡後に開封される

遺言書は、プライベートな内容が書かれています。

遺言者本人が積極的に家族に見せることは、あまりありません。

家族にとっても、遠慮して見ないことが多いでしょう。

封筒に入った自筆証書遺言は、相続発生後に家庭裁判所で開封してもらいます。

法務局保管の自筆証書遺言は、相続発生後に遺言書保管事実証明書や遺言書情報証明書の発行請求をすることができます。

公正証書遺言は、相続発生後に相続人が謄本請求をすることができます。

遺言者の生前は、家族が遺言書の内容を知らないことが大部分でしょう。

遺言書に延命治療を拒否すると書いても、生前に家族は気づきません。

家族から延命治療を拒否する希望を伝えてもらうことができません。

2尊厳死宣言公正証書で延命治療拒否を表示する

①尊厳死と安楽死はちがう

延命治療を拒否することを、安楽死や尊厳死と表現することがあります。

安楽死と尊厳死には、さまざまな見解があります。

大きな苦痛を伴いながら過剰な延命治療を受け続けることは、自分らしくないとも考えられます。

尊厳死は、過剰な延命治療を行わずに尊厳を保持しつつ自然な死を迎えるものです。

尊厳死は、死に至るまでの方法と言えます。

尊厳死を直接認める法律はありません。

日本医師会や学会などは、尊厳死を認める意見です。

安楽死は、激しい苦痛から解放されるために薬剤などを使って積極的に死を迎えるものです。

安楽死は、死を選択することと言えます。

尊厳死では、本人の意思と緩和ケアによる生命の質の確保が前提になります。

②延命治療の拒否は意思表示が重要

尊厳死では、本人の意思が重視されます。

多くの場合、延命治療を受けるか受けないか判断する場面において本人が意志表示をすることはできません。

意識がもうろうとしていたり話ができなかったりするためです。

延命治療の拒否を希望する場合、あらかじめ医師や家族に意思を伝えておく必要があります。

終末期における治療に関してする意思表示を一般的にリビングウィルと言います。

医師や家族が本人の希望を知らなかった場合、延命治療を選択するでしょう。

③公正証書は信用がある

公正証書は、公証人が作成する公文書です。

公証人は、法律の専門家です。

公正証書は公証人が関与して作られるから、高い信用力があります。

公証人の前で延命治療を拒否することを宣言し、公正証書にすることができます。

延命治療の拒否は、医師にとっても悩ましい問題です。

延命治療を行わないと、死期を早めることになるでしょう。

延命治療を行わない判断や延命治療を中止する決定について、家族が不満に思う可能性があります。

家族が本人の希望を知らなかった場合、医師に強く抗議するでしょう。

大きなトラブルに発展することをおそれて、延命治療を行うことになるでしょう。

公正証書を作成する場合、公証人が本人確認と本人の意思確認をします。

公正証書を作成した後は、公正証書原本は公証役場で厳重保管されます。

本人が尊厳死を希望する意思があることを公正証書で示すことができます。

公正証書には、高い信用があります。

④治療を続けるか医師が判断

現在の日本では、尊厳死は法制化されていません。

延命治療を拒否する意思表示をしても、治療をする判断は医師に委ねられています。

一部の医師が回復の見込みがなくなったと言っても、他の医師は回復の見込みがあると判断するかもしれません。

同じ治療をしても、救命治療であるか延命治療であるか区別することはできないでしょう。

尊厳死宣言公正証書を見せて意思表示をした場合、医師は本人の強い意志があると判断するでしょう。

日本医師会や学会などは、尊厳死を容認しています。

本人の強い意思を尊重する判断をしやすくなるでしょう。

日本尊厳死協会のアンケート結果によると、尊厳死宣言を示したことによる尊厳死の認容率は9割を超えています。

尊厳死宣言公正証書に法律上の効力はなくても、医師や家族に意思表示をする意味があると言えます。

3尊厳死宣言公正証書を作る方法

①尊厳死宣言公正証書の作成の流れ

尊厳死宣言公正証書の作成の流れは、次のとおりです。

(1)尊厳死宣言公正証書の原案作成

(2)公証役場に提出して打合せ

(3)公証人の面談予約

(4)尊厳死宣言公正証書の作成

(5)尊厳死宣言公正証書の正本と謄本の受領

公証役場の混雑状況によりますが、原案作成から公正証書作成まで1か月程度かかります。

②尊厳死宣言公正証書の必要書類

尊厳死宣言公正証書を作成する場合、次の書類のうちいずれかが必要になります。

(1)印鑑登録証明書と実印

(2)運転免許証と認印

(3)パスポートと認印

(4)マイナンバーカードと認印

(5)その他の顔写真入り公的証明書と認印

③公証役場に手数料がかかる

尊厳死宣言公正証書を作成する場合、公証役場に手数料を支払う必要があります。

手数料は、作成手数料と謄本代で15000円程度です。

公証役場に出向くことができない場合、公証人に出張してもらうことができます。

出張してもらうときは、10000円程度加算されます。

④尊厳死宣言公正証書の文例

4尊厳死宣言公正証書と公正証書遺言の同時作成がおすすめ

尊厳死宣言は、終末期の医療に対する意思決定です。

自分自身の生き方を考えているでしょう。

自分の財産は、生きている間は自分で自由に処分することができます。

自分が死亡した後、だれに引き継がせるか自由に決めることができます。

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

尊厳死宣言公正証書と公正証書遺言は、どちらも公証人の関与で作成します。

尊厳死宣言公正証書を作成するのなら、公正証書遺言を一緒に作成するといいでしょう。

公証役場と打合せをするのも公証役場に出向くのも、まとめて済ませることができるからです。

尊厳死宣言公正証書と公正証書遺言の同時作成がおすすめです。

5尊厳死宣言を司法書士に依頼するメリット

生前対策=相続「税」対策の誤解から、生前対策をする人はあまり多くありません。

争族対策として有効な遺言書ですら、死亡者全体からみると10%未満です。

尊厳死宣言は、人間としての尊厳を維持したいという希望を文書にしたものです。

家族は元気だったときの姿を知っているから、ベッドに横たわるだけの姿を見ると動揺します。

回復の見込みのない状態だと分かっていても、判断ができません。

大きな苦痛を伴うことを知っていても、どうするかを判断したくない気持ちになるでしょう。

何も判断したくない、判断を先延ばししたいという気持ちから、延命治療が続けられます。

延命治療が続けられれば、苦痛も続きます。

延命治療が続く間、本人も苦痛が続き、見ている家族も苦痛が続くのです。

家族は、後々になっても、本人を苦しめてしまったのではないかと後悔するのです。

尊厳死宣言は、自己決定権を尊重するものです。

自分がどのような治療や措置を受けたいのか、どのような治療や措置を受けたくないのか、どのような最期を迎えたいのか意思を示すものです。

家族は、本人の意思をかなえてあげることができると救われます。

自分自身のためにも、大切な家族のためにも、意思を示してあげましょう。

大切な家族に面倒をかけないために尊厳死宣言書を作成したい方は、すぐに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続した借金の時効援用

2024-06-19

1借金と連帯保証人の地位は相続される

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②債務者が死亡したら借金は相続される

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が引き継ぎます。

被相続人のものには、さまざまなものがあるでしょう。

相続財産というと、プラスの財産だけ想像しがちです。

相続財産には、マイナスの財産が含まれます。

被相続人が借金をしたまま、死亡することがあります。

被相続人の借金は、相続人全員が相続します。

債務者が死亡しても、借金はなくならないからです。

債務者が死亡したら、債務者の相続人全員が借金を相続します。

③連帯保証人が死亡したら保証債務は相続される

被相続人が第三者の借金について、連帯保証人になっていることがあります。

連帯保証人とは、債務者が借金を返せないときに肩代わりをする人です。

連帯保証人には、肩代わりの義務があります。

保証債務とは、連帯保証人が負う肩代わりの義務です。

保証債務は、連帯保証人の相続人全員が相続します。

連帯保証人が死亡しても、肩代わりの義務はなくならないからです。

連帯保証人が死亡したら、連帯保証人の相続人全員が借金を相続します。

2相続した借金の時効援用

①消滅時効で権利行使ができなくなる

消滅時効とは、長期間権利行使をしない場合に権利が行使できなくなる制度です。

債権者は、借金を払って欲しいと請求する権利があります。

債務者の事情を察して、借金を請求せずに長期間経過することがあります。

借金を請求せずに長期間経過した場合、条件にあてはまれば権利行使が許されなくなります。

②消滅時効の利益を受けるため時効援用通知

長期間経過しても、自動的に借金がなくなるわけではありません。

消滅時効が完成すると、借金を払う必要がなくなります。

借金を払わなくてよくなることを、債務者が不道徳と思うことがあります。

お金を借りたのだからきちんとお金を返すべきだと考えている債務者に対して、消滅時効を押し付けるべきではありません。

消滅時効によって利益を受けるか受けないか、債務者は判断することができます。

時効の利益を受ける意思表示を時効の援用と言います。

時効を援用する場合、配達証明付き内容証明郵便で通知するのがおすすめです。

③消滅時効援用は各相続人が判断

被相続人の借金は、相続人全員が相続します。

債権者は、各相続人に対して法定相続分で借金を請求することができます。

消滅時効によって利益を受けるか受けないか、各相続人が判断することができます。

借金を払わなくてよくなることを不道徳と思う相続人に対して、消滅時効を押し付けるべきではないからです。

時効を援用する場合、時効援用を通知します。

一部の相続人だけが時効援用通知をした場合、通知した相続人だけ効果があります。

相続人全員が時効援用を希望する場合、相続人全員が連名で時効援用を通知します。

家族のさまざまな事情から、相続人が疎遠になっていることがあります。

相続人全員に連絡が取れないことがあるでしょう。

相続人全員で時効援用通知をする義務はありません。

消滅時効によって利益を受けるか受けないか、各相続人が判断することができるからです。

3連帯保証人が借金の時効援用

①消滅時効で保証債務を免れる

連帯保証人は、債務者が借金を返せないときに肩代わりをする人です。

債権者は、借金を肩代わりして欲しいと請求する権利があります。

債務者の事情を察して、借金の肩代わりを請求せずに長期間経過することがあります。

借金の肩代わりを請求せずに長期間経過した場合、条件にあてはまれば権利行使が許されなくなります。

②消滅時効の利益を受けるため時効援用通知

消滅時効が完成すると、借金を払う必要がなくなります。

借金がなくなれば、自動で肩代わりの義務はなくなります。

消滅時効によって利益を受けるか受けないか、債務者は判断することができます。

債務者の判断とは別に、連帯保証人は独自で判断することができます。

連帯保証人は、主債務と連帯保証債務の消滅時効を援用することができます。

主債務の消滅時効を援用しても連帯保証債務の消滅時効を援用しても、肩代わりの義務はなくなります。

借金がなくなれば、自動で肩代わりの義務はなくなるからです。

時効を援用する場合、配達証明付き内容証明郵便で通知するのがおすすめです。

③消滅時効援用は各相続人が判断

被相続人の肩代わりの義務は、相続人全員が相続します。

債権者は、各相続人に対して法定相続分で肩代わりを請求することができます。

消滅時効によって利益を受けるか受けないか、各相続人が判断することができます。

肩代わりをしなくてよくなることを不道徳と思う相続人に対して、消滅時効を押し付けるべきではないからです。

時効を援用する場合、時効援用を通知します。

一部の相続人だけが時効援用通知をした場合、通知した相続人だけ効果があります。

消滅時効援用は、各相続人が判断することができます。

4時効期間が経過しても請求してくる

①時効援用するまで請求してくる

債権者は、借金を払って欲しいと請求する権利があります。

時効期間が経過しても、債権者には借金を払って欲しいと請求する権利があります。

借金を払わなくてよくなることを、債務者が不道徳と思うことがあるからです。

債権者から借金を払って欲しいと請求されたら、借金を払ってくれるかもしれません。

借金を払ってくれるかもしれないと考えるから、消滅時効が完成していることを知っていても請求してきます。

被相続人の借金は、相続人全員が相続します。

被相続人の取引状況について、相続人はよく分からないことが多いでしょう。

債権者から借金を払って欲しいと請求されたら、相続人が払ってくれることが多いでしょう。

消滅時効によって利益を受けるか受けないか、債務者は判断することができます。

時効援用するまで、債権者は借金を請求してきます。

②債務承認で時効が更新される

債権者から被相続人の借金を返して欲しいと言われたら、びっくりするでしょう。

被相続人の借金が多額である場合、返済は待って欲しいと言ってしまうかもしれません。

債権者から一括返済が難しいなら分割返済でもいいと言われたら、承諾するかもしれません。

返済は待って欲しいと言った場合、債務を承認したと言えます。

借金の存在を前提にして、返済の猶予を申し出ているからです。

分割返済を承諾した場合、債務を承認したと言えます。

借金の存在を前提にして、分割返済を承諾しているからです。

債務を承認した場合、時効は更新されます。

時効が更新された場合、借金は消滅しません。

③時効期間経過後に主債務者が債務承認

債務を承認した場合、時効は更新されます。

時効期間経過後に、主債務者が債務承認をすることがあります。

消滅時効によって利益を受けるか受けないか、主債務者は判断することができるからです。

債務承認をした主債務者は、借金を払わなければなりません。

債務者の判断とは別に、連帯保証人は独自で判断することができます。

主債務者が債務承認をしても、連帯保証人は消滅時効を援用することができます。

消滅時効を援用した連帯保証人は、借金を肩代わりする義務がなくなります。

④時効期間経過後に連帯保証人が債務承認

時効期間経過後に、連帯保証人が債務承認をすることがあります。

連帯保証人が債務承認をした場合、承認したのは肩代わりの義務です。

連帯保証人には、もともと肩代わりに義務しかないからです。

連帯保証人が債務承認をしても、主債務者は消滅時効を援用することができます。

主債務者には、借金を返す義務があります。

連帯保証人が債務承認をしても、借金を返す義務には影響がないからです。

主債務者は消滅時効を援用した場合、借金がなくなります。

借金がなくなれば、自動で肩代わりの義務はなくなります。

肩代わりの義務を承認しても、借金がなくなれば自動で肩代わりの義務はなくなります。

借金がなくなったのに、肩代わりの義務だけ残ることはありません。

5時効援用で相続放棄が無効になる

①相続放棄をすると一切相続できない

被相続人が借金をしたまま死亡した場合、相続人は相続放棄を検討するでしょう。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄をした場合、被相続人の借金を相続することはありません。

借金だけでなく、プラスの財産も相続することはできなくなります。

相続放棄をすると、一切相続できません。

②相続放棄や単純承認の撤回はできない

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄を希望する申立てをします。

相続放棄をしたら、相続放棄を撤回することはできません。

相続放棄が撤回できないように、単純承認を撤回することはできません。

相続放棄や単純承認の撤回を認めると、相続手続が混乱するからです。

③相続財産を処分すると単純承認

単純承認をしたら、相続放棄をすることはできません。

相続放棄はできないのに、家庭裁判所に相続放棄の手続がされることがあります。

家庭裁判所は事情を知らないから、相続放棄が認めてしまうでしょう。

事情を知らない家庭裁判所が相続放棄を認めても、無効です。

単純承認したとみなされる行為は、法律で定められています。

相続財産の名義変更をした、相続財産である銀行の預貯金を引き出して使ってしまった場合が典型的です。

単に、引き出しただけであれば、処分とは言えないことが多いでしょう。

引き出したうえ、自分の口座に送金して保管すると、「処分した」と評価される可能性が高くなります。

銀行の預貯金を引き出してお葬式の支払にあてた場合、状況によっては、処分したと判断されることもあります。

相続財産を処分する場合、単純承認になります。

④時効援用は単純承認になる

被相続人の借金すべてが時効完成していた場合、消滅時効を援用するといいでしょう。

消滅時効を援用した場合、借金を引き継ぐことなくプラスの財産を引き継ぐことができます。

被相続人の借金について消滅時効を援用することは、財産を処分することです。

相続財産を処分した場合、相続を単純承認したと判断されます。

単純承認をしたのに、相続放棄が認められても無効です。

消滅時効は、更新されることがあります。

消滅時効が更新された場合、あらためて時効が進行します。

被相続人が複数の借金をしていることがあります。

一部の借金が消滅時効を援用できたとしても、他の借金の消滅時効は完成していないことがあります。

被相続人のマイナスの財産の全容が明らかでない状態で、消滅時効を援用するのは危険です。

消滅時効を援用すると、相続を単純承認したと判断されるからです。

6相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄は、その相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできます。

高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続が発生してから3か月以内に届出ができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらって、はじめて、家庭裁判所は相続放棄を認めてくれます。

通常は家庭裁判所に対して、上申書や事情説明書という書類を添えて、説得することになります。

家庭裁判所が知りたいことを無視した作文やダラダラとした作文では認めてもらうことは難しいでしょう。

司法書士であれば、家庭裁判所に認めてもらえるポイントを承知しています。

認めてもらえやすい書類を作成することができます。

通常の相続放棄と同様に戸籍謄本や住民票が必要になります。

仕事や家事、通院などでお忙しい人には平日の昼間に役所にお出かけになって準備するのは負担が大きいものです。

戸籍や住民票は郵便による取り寄せもできます。

書類の不備などによる問い合わせは、市区町村役場の業務時間中の対応が必要になります。

やはり負担は軽いとは言えません。

このような戸籍謄本や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

3か月の期限が差し迫っている方や期限が過ぎてしまっている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

自筆証書遺言書の検認期日に欠席

2024-06-14

1遺言書の検認とは

自筆証書遺言や秘密証書遺言を預かっている人や見つけた人は家庭裁判所に届け出る必要があります。

この届出のことを検認の申立てといいます。

遺言書の検認とは、家庭裁判所で遺言書の状態を確認してもらうことです。

遺言書が封筒に入っていて、封がされていることがあります。

封印がしてある遺言書は開封したくなるかもしれませんが、開封してはいけません。

裁判所で、開封してもらいます。

勝手に開封すると、5万円以下のペナルティーになるおそれがあります。

検認は、遺言書の状態や形、書き直しや訂正箇所、日付や署名がどうなっているか裁判所が確認する手続です。

裁判所で遺言書の状態が記録されるから、偽造や変造をすると分かってしまいます。

検認手続は、遺言書の偽造や変造を予防するための手続です。

勝手に開封すると、他の相続人から変造したのではないかなどと言いがかりをつけられるおそれがあります。

トラブルに巻き込まれないようにするため、遺言書の開封は家庭裁判所におまかせしましょう。

うっかり開封してしまっても、遺言書が無効になることはありません。

開封してしまった後、ごまかそうとして、糊付けをしたり余計な小細工をしてはいけません。

そのまま、裁判所に提出しましょう。

ごまかしが明るみに出ると、それこそ他の相続人は開封した人に強い不信感を持ちます。

大きなトラブルに発展してしまうおそれがあります。

正直に事情を説明して、理解を得るようにした方がいいでしょう。

封がしていない遺言書も封筒に入っていない遺言書も、検認は必要です。

相続人全員で検認はしなくていいなどと合意しても、意味がない合意です。

2検認が必要な遺言書とは

①遺言書の種類

遺言書の種類は、民法という法律で決められています。

大きく分けて、普通方式の遺言と特別方式の遺言とあります。

普通方式の遺言は、次の3つです。

(1)自筆証書遺言

(2)公正証書遺言

(3)秘密証書遺言

特別方式の遺言は、次の4つです。

(1)死亡の危急に迫った者の遺言

(2)伝染病隔離者の遺言

(3)在船者の遺言

(4)船舶遭難者の遺言

特別方式の遺言は、ごく稀な遺言です。

生命の危機に迫っている人や航海中など交通できない人が作る特別の遺言だからです。

多くの方にとって遺言というと、普通方式の遺言です。

なかでも①自筆証書遺言②公正証書遺言のいずれかを作成される方がほとんどです。

②自筆証書遺言とは

自筆証書遺言は、遺言者が自分で書いて作った遺言書のことです。

専門家の手を借りることなく手軽に作ることができます。

世の中の大半の遺言書は、自筆証書遺言です。

封筒に入れなければならないといった決まりもありません。

筆記用具や紙に、制約はありません。

書き換えられるおそれが大きいのでおすすめはできませんが、鉛筆で書いても有効です。

ひとりで作ることができるので、作るだけであれば、費用はかかりません。

③法務局保管の自筆証書遺言は検認手続不要

自分で手書きして作った遺言書は、自分で保管するのが原則です。

希望すれば、法務局で預かっておいてもらうことができます。

これが自筆証書遺言保管制度です。

自筆証書遺言は、だれかの手を借りることなく手軽に作ることができます。

遺言書は、大切なものです。

通常は、簡単に人目にさらすようなことはしません。

簡単に人目にさらすことはしませんから、本人が紛失することがあります。

遺言書の保管場所を家族が共有していない場合、遺言書を見つけられなくなるリスクがあります。

自筆証書遺言を家族などが保管する場合、保管している人が廃棄・隠匿・改ざんするリスクがあります。

法務局が保管しているから、廃棄・隠匿・改ざんの心配がなくなります。

法務局は、預かった自筆証書遺言書を厳重に保管しています。

相続人が遺言書原本を受け取ることはできません。

遺言者が預けた遺言書の内容は、遺言書情報証明書で確認することができます。

遺言書情報証明書は、法務局が預かっている自筆証書遺言の内容を証明した書類です。

相続人は遺言書原本を手にすることがないから、偽造や変造はできません。

公正証書遺言は、わざわざ家庭裁判所で検認手続をしてもらう必要がありません。

④公正証書遺言は検認手続不要

公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。

遺言者が公証人に遺言内容を伝えて、証人2人に確認してもらって作ります。

原則として、公証役場に出向く必要があります。

公正証書遺言の原本は、公証役場で厳重に保管されます。

公正証書遺言を作成した場合、渡されるのは正本と謄本です。

遺言書の正本や謄本を偽造しても変造しても、意味はありません。

公正証書遺言の原本が公証役場で厳重に保管されているからです。

相続人などが手にする書面は、原本ではなく正本や謄本です。

公正証書遺言書原本は、公証役場で厳重に保管されているから偽造や変造はできません。

公正証書遺言は、わざわざ家庭裁判所で検認手続をしてもらう必要がありません。

⑤法務局保管でない自筆証書遺言書は検認が必要

検認は、遺言書の状態や形を裁判所が確認して偽造や変造を防止する手続です。

公正証書遺言原本は、公証役場に厳重に保管されています。

法務局保管の自筆証書遺言書は、法務局で厳重に保管されています。

公正証書遺言も法務局保管の自筆証書遺言書も厳重に保管されているから、偽造や変造はできません。

家庭裁判所が検認手続をして、偽造や変造を防止する必要がありません。

法務局保管でない自筆証書遺言書は、検認手続が必要になります。

3検認しても検認しなくても遺言書の効力は変わらない

①家庭裁判所に自筆証書遺言書検認の申立て

自筆証書遺言や秘密証書遺言を預かっている人や見つけた人は、裁判所で検認をしてもらう必要があります。

家庭裁判所は申立てを受け取った後、検認期日を決定します。

相続人全員に対して遺言書が見つかったので検認をしますよというお知らせを出します。

②検認は遺言書の有効無効を判断する手続ではない

検認は、遺言書の状態や形、書き直しや訂正箇所、日付や署名がどうなっているか裁判所が確認する手続です。

封印がしてある遺言書は、検認期日で開封してもらいます。

遺言書の状態や形を確認するだけで、遺言書の有効無効を決める手続ではありません。

検認手続をしても、無効の遺言書が有効になることはありません。

無効の遺言書は、検認手続をしても無効の遺言書です。

③検認をしていないと相続手続ができない

検認手続は、遺言書の有効無効を決める手続ではありません。

遺言書の有効無効と検認手続は、無関係です。

相続手続をする場合、検認が必要な遺言書は検認済証明書が必要になります。

検認済証明書がない場合、相続手続先が相続手続を受け付けてくれません。

4検認期日に欠席してもいい

①自筆証書遺言書検認の申立人は必ず出席

遺言書検認の申立てを受け取った場合、家庭裁判所は検認しますよと相続人全員を呼び出します。

遺言書検認の申立てをする場合、遺言書原本は提出しません。

家庭裁判所が呼出した日に持っていって、検認をしてもらいます。

検認期日は、申立人が遺言書原本を持っていく日です。

申立人は必ず出席して、遺言書原本を持っていく必要があります。

申立人は欠席するわけにいかないから、家庭裁判所がスケジュール調整をしてくれます。

②検認期日に欠席しても不利益はない

申立人以外の人は、遺言書の検認の立会いをするだけです。

仕事や家事で忙しい場合、欠席しても構いません。

検認期日に欠席した場合に、ペナルティーなどの不利益を受けことはありません。

検認しても検認しなくても、遺言書の効力は変わりません。

検認期日に出席しても欠席しても、相続人の権利に影響はありません。

検認期日に出席しても欠席しても、受け取る財産に変わりはありません。

検認期日に出席しても欠席しても、遺言書の有効無効を主張することができます。

5検認の申立てを司法書士に依頼するメリット

自筆証書遺言や秘密証書遺言を預かっている人や見つけた人は家庭裁判所に届け出る必要があります。

遺言書を隠したり捨てたりすると、相続人になることができません。

このような疑いをかけられてトラブルになるのを避けるためにも、すみやかに家庭裁判所に検認の申立てをしましょう。

申立てのためには、たくさんの書類が必要になります。

仕事や家事で忙しい人や高齢、療養中などで手続が難しい人は、手続を丸ごとお任せすることができます。

家族にお世話が必要な人がいて、お側を離れられない人からのご相談もお受けしております。

裁判所に提出する書類を作成できるのは、弁護士と司法書士のみです。

弁護士と司法書士でない人は作成代行はできませんから、充分注意しましょう。

遺言書の検認を司法書士に依頼した場合、遺言書検認申立書の作成だけでなく、家庭裁判所への提出もおまかせいただけます。

遺言書を預かっている方や見つけた方はトラブルになる前に、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

認知症になったら自宅を売却して施設に入りたい

2024-06-12

1認知症になると自宅を売却できない

①自宅を売却するためには判断能力が必要

高齢になると、身のまわりのことが不自由になることが多くなります。

身のまわりのことが思うようにならなくなると、家族がかかり切りでお世話をすることになります。

子どもらの世話になるより、自宅を売って施設でお世話をしてもらいたいことがあります。

身体が不自由になったから施設に入りたい場合、判断能力は充分にあるでしょう。

自宅を売却する場合、自宅の持ち主の判断能力の有無が重要になります。

物事のメリットデメリットを充分に判断する能力がない場合、売買契約などの法律行為はできません。

自宅を売却するためには、自宅の持ち主の判断能力が必要です。

②認知症になると判断ができなくなる

認知症になると、物事の良しあしを適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人もいます。

物事の良しあしを適切に判断できない場合、売買契約などの法律行為はできません。

認知症になると、自宅の持ち主であっても売却ができなくなります。

自宅を売却するためには、判断能力が必要だからです。

③認知症の人が売買契約をしても無効になる

認知症の人は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができません。

重度の認知症になると、自宅を売却することの意味も分からないでしょう。

意味が分からないまま、売買契約書を作成しても無効です。

自宅を売却するためには、判断能力が必要だからです。

不動産取引には、たくさんの人が関与します。

売買契約が無効になると、たくさんの人に迷惑がかかります。

売買契約が無効になると、損害賠償請求や訴訟に発展するでしょう。

不動産の買主は、不動産を使いたいから購入したはずです。

売買契約が無効になると、不動産が使えなくなります。

不動産の購入のため、金融機関は融資を実行したでしょう。

売買契約が無効になると、融資も不要になります。

不動産の売買には、司法書士が登記を担当するでしょう。

売買契約が無効になると、司法書士は懲戒処分を受けます。

不動産の売買には、不動産業者が仲介をするでしょう。

売買契約が無効になると、不動産業者は行政処分を受けます。

不動産の持ち主が判断能力がないのは、非常に重要な問題です。

不動産取引に関与する人は、不動産の持ち主の判断能力の有無について非常に慎重に判断します。

物事のメリットデメリットを充分に判断できないまま、売買契約をしても無効になるからです。

売買契約書を作成して押印さえすればいいといったものではありません。

認知症の人が売買契約をしても、無効になります。

④施設入所のためでも売却ができない

施設に入所するときには、まとまった金額が必要になります。

自宅を売却する理由が、売却代金を入所費用に充てるためというのは割とよくあります。

本人のためになるから、売却できると思うかもしれません。

物事のメリットデメリットを充分に判断できないまま、売買契約をしても無効になります。

売却しないと施設に入れなくなるなども、理由になりません。

物事のメリットデメリットを充分に判断できないから、自宅を売却できなくなるのです。

⑤子ども等が代わりに判断できない

自宅の持ち主が認知症になった場合、自宅の持ち主であっても売却することができなくなります。

認知症になると、物事の良しあしを適切に判断することができなくなるからです。

自宅の持ち主が判断できなければ、子どもなどの家族が代わりに判断すればいいと思うかもしれません。

自宅の持ち主の代わりに、家族が代わりに判断することはできません。

赤ちゃんなどが契約などの法律行為をする必要があることがあります。

赤ちゃんは、自分で物事のメリットデメリットを充分に判断することができません。

赤ちゃんが契約などの法律行為をする場合、親などの親権者が代わりに判断します。

親などの親権者が代わりに判断することができるのは、赤ちゃんが未成年者だからです。

認知症の人は、未成年者ではないでしょう。

未成年ではないから、子ども等が代わりに判断できません。

⑥空き家になっても売却できない

自宅を売却しないまま施設に入った場合、自宅が空き家になることがあります。

重度の認知症になった場合、自宅に帰る見込みはほとんどないでしょう。

だれも住むことがなくなった家であっても、管理はしなければなりません。

自宅に帰る見込みがなくなっても、固定資産税などの費用負担は続きます。

管理の手間と費用がかかるから、自宅を売却したいと思うかもしれません。

自宅を売却するためには、自宅の持ち主の判断能力が必要です。

空き家になっても、自宅を売却することはできません。

⑦銀行の預貯金も凍結される

認知症になると、自宅を売却することができなくなります。

凍結される資産は、自宅などの不動産だけではありません。

銀行の預貯金も、凍結されます。

認知症になると、物事のメリットデメリットを充分に判断することができなくなります。

口座の持ち主が認知症であることを知ると、銀行が口座を凍結します。

口座の凍結とは、引出や解約、引落などの口座取引をできなくすることです。

口座の預貯金を管理することは、できないでしょう。

不必要な取引をしてしまったり不利益になる契約をしてしまうかもしれません。

認知症であることに付け込んでくる悪質業者の被害を受けるおそれがあります。

自分自身がお金を引き出した事実を忘れて、混乱することも考えられます。

本人をトラブルから守るため、銀行は口座を凍結します。

認知症になると、あらゆる資産が凍結されます。

2認知症の人の代わりに成年後見人

①成年後見人が代わりに判断する

認知症になると、自分で物事の良しあしを適切に判断することができなくなります。

成年後見人は、自分で物事の良しあしを適切に判断することができなくなった人をサポートする人です。

契約などの法律行為をする場合、認知症の人に代わってメリットデメリットを判断します。

成年後見人は、認知症の人に代わって判断してくれる人です。

②成年後見人は家庭裁判所が選任する

認知症の人にサポートが必要になった場合、家庭裁判所に申立てをします。

家庭裁判所は、サポートの必要の有無を判断します。

成年後見人は、家庭裁判所が選任します。

申立てをするときに、成年後見人の候補者を立てることができます。

候補者を選任することも候補者以外の人を選任することもあります。

認知症の人の家族が成年後見人に選ばれるのは、20%程度です。

家庭裁判所が家族以外の専門家を選任した場合、不服を述べることはできません。

家族が成年後見人に選ばれなくても、申立てを取り下げることはできません。

いったん申立てを出したら審判がされる前であっても、取下げには家庭裁判所の許可が必要です。

成年後見人は、家庭裁判所が選任します。

③成年後見人は家族の希望をかなえる人ではない

成年後見人は、認知症の人をサポートする人です。

認知症の人に利益のために、働きます。

自宅の売却が認知症の人のために必要ないと判断されたら、売却をしてもらえません。

認知症の人の利益にならないことはできません。

たとえ家族が望んでも、客観的に認知症の人の利益にならないと判断されることはできません。

成年後見人は、家族の希望をかなえる人ではないからです。

預貯金が充分にあるのに、家族が自宅を売却を希望することがあります。

認知症の人が帰るべき自宅を失うことは、認知症の人にとって大きな不利益です。

管理の手間や費用がかかるとしても、圧倒的大きな不利益があると言えます。

成年後見人も家庭裁判所も、自宅の売却は認めてくれないでしょう。

家族の希望をかなえてくれないのは、成年後見人が家族以外の専門家だからではありません。

家族が成年後見人であっても、家族の希望をかなえることできないでしょう。

成年後見人は、家庭裁判所の監督を受けます。

認知症の人に不利益な行為を見逃してはくれません。

認知症の人に不利益な行為を見つけたら、厳重注意になるでしょう。

重大な不利益の場合、財産管理不適切を理由に解任されるおそれがあります。

成年後見人は、家族の希望をかなえる人ではありません。

④自宅売却後も成年後見は続く

成年後見人は、物事のメリットデメリットを充分に判断できない人をサポートする人です。

成年後見人を選任してもらうきっかけが、自宅の売却であったかもしれません。

自宅の売却が完了した後も、成年後見は続きます。

自宅を売却した後も、認知症の人は物事のメリットデメリットを充分に判断できないからです。

自宅を売却した後も、財産管理ができないからです。

物事のメリットデメリットを充分に判断できるようになるまで、成年後見は続きます。

事実上、認知症の人が死亡するまで成年後見は終了しません。

3認知症になる前にできること

①任意後見契約

後見制度には、2種類あります。

任意後見と法定後見です。

任意後見は、認知症になったときに備えて信頼できる人にサポートを依頼する契約です。

任意後見人は、自分で選ぶことができます。

認知症になる前だけ、契約することができます。

法定後見は、認知症になった後に家庭裁判所にサポートする人を選んでもらう制度です。

成年後見人は、家庭裁判所が選任します。

成年後見人には、家族を選任してもらいたいという希望は少なくありません。

法定後見の場合、家族を選任してもらいたいと希望しても認めれらないケースがほとんどです。

任意後見人は、自分で選ぶことができます。

認知症になる前に、任意後見契約をしておくといいでしょう。

②家族信託

所有者はものを自由に売ったり、自由に管理したりして、ものから利益を受け取ることができます。

だから、所有権は、自由にものを売る権利であるし、自由に管理する権利であるし、ものから利益を受け取る権利であるといえます。

所有権はよく見ると、たくさんの権利の集合体といえます。

たくさんの権利の集合体である所有権から、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持っていることができます。

自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持つ仕組みを家族のための信託といいます。

この仕組みを利用すると、信頼できる家族は自由にものを売ることができるし、自由に管理することができます。

家族信託は、信頼できる家族とする契約です。

認知症になる前に、自宅を信託することができます。

信託された家族は、信託契約に基づいて自宅を売却することができます。

自宅の持ち主が何も対策しないまま認知症になったら、自宅を売却することはできません。

認知症になる前に家族信託を契約したら、認知症になった後も、家族が自宅を売却することができます。

信託された家族は、自分の判断で信託契約の範囲内で売却などの処分ができるからです。

認知症になる前に、自宅や預貯金を信託する信託契約をするといいでしょう。

4認知症対策を司法書士に依頼するメリット

高齢化社会が到来したといわれて、多くの方は長生きになりました。

平均寿命は男性も女性も80歳を超して、認知症になる方が多くなりました。

認知症になると、物事のメリットデメリットが充分に判断できなくなります

本人の財産は、本人しか処分できません。

本人が判断できなくなると、資産が凍結されてしまいます。

本人が介護施設入所するためであっても、家族が不動産を勝手に売却することはできません。

本人の実の子どもであっても、本人の定期預金を解約することはできません。

一部の金融機関では、本人以外の家族がキャッシュカードを使っていることを確認したら、キャッシュカードを回収しています。

本人の意思確認を重視する流れは、他の金融機関にも広がっていくでしょう。

認知症対策は、本人の判断能力がしっかりしているうちしかできません。

いつか認知症対策をしようではなく、今なら元気だから対策しようが正解です。

認知症になると、本人はもとより家族も困ります。

自分のためにも家族のためにも認知症対策を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

特別縁故者に対する相続財産分与の申立て

2024-06-10

1相続人になる人は法律で決まっている

①相続人になる人

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することを代襲相続と言います。

(1)~(4)の関係の親族は、行方不明であっても、お葬式に来なくても、相続人です。

②相続人になれない人

相続人になれない人は、次のとおりです。

(1)事実婚・内縁関係の配偶者

(2)配偶者の連れ子

(3)養子縁組はしていない事実上の養子

(4)認知していない子ども

(5)子どもの配偶者や配偶者の親など血縁関係がない人

相続人になる人は、法律で決まっています。

民法で決められた人以外の人は、相続人になれません。

2特別縁故者になれる人

①特別縁故者とは

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

相続人になる人は、法律で決まっています。

法律で決められた相続人がまったくいないケースがあります。

法律で決められた相続人はいるけど、相続人全員が相続放棄することがあります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、相続放棄をした人ははじめから相続人でなかったと扱われます。

相続人がまったくいない場合、相続財産は最終的には国庫に帰属します。

国庫に帰属するより、被相続人と特別な関係にあった人に分与した方がいいことがあります。

被相続人と特別な関係があったと認められた場合、特別縁故者として相続財産の一部または全部の分与を受けることができます。

特別縁故者として相続財産の分与を受けるためには、家庭裁判所で認められる必要があります。

相続人がいない場合であっても、勝手に財産を引き継ぐことはできません。

②被相続人と生計を同じくしていた者

被相続人と生計を同じくしていた人とは、同一家計で生活していた人です。

被相続人と同居して、事実上、家族として暮らしていた人が該当します。

例えば、次の人が該当します。

(1)事実婚・内縁の配偶者

(2)同性パートナー

(3)配偶者の連れ子

(4)養子縁組はしていない事実上の養子

(5)認知していない子ども

③被相続人の療養看護に努めた者

療養看護に努めたとは、献身的に被相続人のお世話をしたことです。

被相続人が介護施設に入居している場合であっても、頻繁に施設に出向いてお世話していた人は特別縁故者と認められる可能性があります。

相続人でない人が私生活を犠牲にして被相続人に貢献している場合、特別縁故者として認められることがあります。

看護師や介護ヘルパーなどが報酬を得てお世話をしていた場合、特別縁故者となるのは難しいでしょう。

報酬を得てお世話をしていた場合、報酬以上に献身的にお世話をしていたことが要件になります。

④その他被相続人と特別の縁故のあった者

被相続人が生前どのような生活をしていたかは、人それぞれです。

被相続人の生活状況を考えて、相続財産を分与することが相当であることがあります。

上記の人と同様な特別な縁故があると認められる場合、特別縁故者になることができます。

⑤死後の縁故は特別縁故者と認められない

生前被相続人と疎遠であった人が葬儀や埋葬などに尽力することがあります。

葬儀や埋葬などに多額の費用を負担した場合、原則として、特別縁故者とは認められません。

もともと、お葬式の費用は喪主などお葬式を出す人が負担するものだからです。

相続財産があるからと言って、特別縁故者となるのは筋違いだからです。

⑥法人は特別縁故者になれる

被相続人の療養看護に努めた者は、特別縁故者として認められます。

被相続人の療養看護に努めた人が法人であるケースがあります。

特別縁故者は、自然人に限定されていません。

法人であっても法人格のない社団であっても、家庭裁判所に認められる可能性があります。

⑦相続人がいるときは特別縁故者に認められない

特別縁故者が認められるのは、法律で決められて相続人がいない場合に限られます。

相続人がいない場合とは、はじめから不存在であるか相続人全員が相続放棄をした場合です。

相続人は存在するけど疎遠である場合、相続人がいない場合ではありません。

相続人は存在するけど音信不通である場合、相続人がいない場合ではありません。

相続人は存在するけど行方不明の場合、相続人がいない場合ではありません。

相続人がいる場合、特別縁故者に認められることはありません。

3特別縁故者が財産分与を受けるまでの流れ

①相続財産清算人選任の申立て

相続人がまったくいない場合、相続財産は最終的には国庫に帰属します。

相続財産清算人とは、相続財産を清算して国庫に帰属させる人です。

相続人がまったくいない場合、家庭裁判所に相続財産清算人を選んでもらいます。

相続財産を清算する人を家庭裁判所に選んでもらうことを相続財産清算人選任の申立てと言います。

家庭裁判所が相続財産清算人を選任した場合、官報で公告します。

この公告で、相続人捜索の公告も一緒にします。

②債権者受遺者へ申出の公告

家庭裁判所に選任された相続財産清算人から、債権者や受遺者に対して公告が出されます。

債権者は、お金を払ってもらう権利がある人です。

受遺者は、遺言書で財産を受け取る権利がある人です。

被相続人が払うべきお金を払わないまま死亡することがあります。

債権者は、相続財産から払ってもらいたいと考えるでしょう。

相続財産清算人は、相続財産から支払をして清算します。

被相続人が受け取るべきお金を受け取らないまま死亡することがあります。

相続人がいれば、相続人が受け取ることができるはずです。

相続財産清算人は、きちんと支払をしてもらって清算します。

③相続人不存在が確定

相続人捜索の公告の期間が満了した場合、相続人不存在が確定します。

特別縁故者に対して財産が分与されるのは、相続人がいないときです。

相続人がまったくいないと思っていても、戸籍謄本などで確認する必要があります。

戸籍謄本で確認するだけでなく、相続人捜索の公告をします。

ここまで手続を履んで、相続人不存在と言えます。

④特別縁故者に対する財産分与の申立て

相続人不存在が確定した場合、特別縁故者に対する財産分与の申立てをすることができます。

特別縁故者に対する財産分与の申立てができるのは、相続人不存在が確定してから3か月以内です。

3か月を過ぎると、申立てができなくなります。

⑤特別縁故者に対する財産分与の審判

家庭裁判所で特別縁故者として認められた場合、相続財産の一部または全部が分与されます。

特別縁故者として認められなかった場合、相続財産は国庫に帰属します。

4特別縁故者に対する財産分与の申立ての方法

①申立てができる人

特別縁故者になれる人で説明したとおりです。

②申立先

被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで確認することができます。

③申立てに必要な書類

特別縁故者に対する財産分与の申立書に添付する書類は、次のとおりです。

(1)申立人の戸籍謄本

(2)被相続人の戸籍謄本

④申立手数料

特別縁故者に対する財産分与の申立てにかかる手数料は、800円です。

収入印紙を申立書に貼り付けて納入します。

収入印紙は、貼るだけで消印はしません。

申立書を受け付けたとき、家庭裁判所の人が消印をします。

手数料とは別に、予納郵券を納入します。

予納郵券とは、裁判所が手続で使う郵便切手です。

裁判所や手続の種類によって、納入する切手の種類や枚数がちがいます。

裁判所のホームページを見ると、納入する切手の種類や枚数が記載されていることがあります。

5特別縁故者の相続税

特別縁故者が多額の財産を受け取る場合、相続するのではありませんが、相続税の対象になります。

相続税がかかるのは基礎控除を超える場合です。

相続税の基礎控除=3000万円+600万円×法定相続人の人数

特別縁故者が財産を受け取る場合、法定相続人はいないはずです。

3000万円を超えて財産を受け取ったとき、相続税がかかります。

特別縁故者が相続税を納めるとき、通常時の2割加算がされます。

6遺言書があると手続がラク

被相続人が死亡してから、国庫に帰属するまで1年以上の時間がかかります。

相続財産清算人選任の申立てなど裁判所の手続は、時間と労力がかかります。

特別縁故者に対する相続財産分与の申立てをしても、家庭裁判所は必ずしも認めてくれません。

相続人がいない人は、遺言書を書いて財産の行き先を指定しましょう。

お世話になった役所や慈善団体に寄付をして、財産を活かしてもらうことができます。

財産を受け取ってもらうのは、相続人でなければならないというルールはありません。

近年は、おひとりさまなどが慈善団体への寄付を望むことが多いです。

田舎の山林など寄付する財産の種類によっては、寄付を受けてもらえないこともあります。

使い道が指定してある寄付は自由に使えないから困ると言って断られることもあります。

財産の行き先を決める場合、相手方の都合を聞いて決めましょう。

遺言書を書く前に相談することが必要です。

遺言書の内容を実行するために、遺言執行者も指定しておくと安心です。

7遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

相続手続はタイヘンですが、相続人がいない場合もタイヘンです。

相続人がいないから、財産は国に持っていかれて、何もしなくていいと軽く考えがちです。

実際は、被相続人が死亡してから、国庫に帰属するまで1年以上の時間がかかります。

財産の内容によっては、100万円以上の費用の負担があることも見逃せません。

国に持っていかれるよりは、お世話になった人に受け継いでもらいたい、自分の気持ちを活かしてくれる慈善団体などに使ってもらいたいという気持ちがある人もいるでしょう。

お世話になった人に受け継いでもらいたい、自分の気持ちを活かしてくれる慈善団体などに使ってもらいたいという意思は遺言書で実現できます。

お世話になった人に受け継いでもらいたい場合、特別縁故者に対する相続財産分与の申立ができますが、必ずしも認められるとは限りません。

認められても、財産の一部のみの場合もあります。

何より、家庭裁判所に対する手続ですから、一般の人には高いハードルです。

遺言書に、遺贈することを書き、遺言執行者を決めておけば、手間はかかりません。

お世話になった人は待っているだけで済みます。

遺言書は書き方に細かいルールがあります。

細かいルールを守っていないと遺言書は無効になってしまいます。

適切な遺言書作成と遺言執行者選任は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続放棄しても死亡退職金

2024-06-07

1相続放棄をすると相続人でなくなる

①相続放棄は家庭裁判所の手続

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄するか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する申立てを提出します。

申立先の家庭裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで調べることができます。

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

②単純承認をすると相続放棄が無効になる

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、相続放棄を撤回することはできません。

撤回とは、相続放棄が受理されたときには何も問題がなかったのに、後から問題が発生したので、なかったことにすることです。

相続人が単純承認をした後に、単純承認を撤回することはできません。

撤回を認めると、相続手続が混乱するからです。

単純承認をしたのに、家庭裁判所で相続放棄が認められることがあります。

家庭裁判所は、提出された書類に問題がなければ相続放棄を認めるからです。

家庭裁判所が認めても、単純承認をしたら相続放棄は無効です。

後から裁判で、無効になります。

③相続放棄をしても受け取りができる

相続財産を利用したり処分したりすると、単純承認と見なされます。

単純承認をしたら、相続放棄は無効です。

被相続人の死亡をきっかけに受け取る財産であっても、固有の財産であれば単純承認にはなりません。

受取人の固有の財産を受け取る場合、相続財産の利用や処分ではないからです。

2死亡退職金は支給規程で支給される

①国家公務員死亡なら国家公務員退職手当法で支給

国家公務員が退職する場合、退職手当が支給されます。

退職する国家公務員に支給される退職手当は、国家公務員退職手当法によって定められています。

国家公務員が死亡によって退職した場合、遺族に退職手当が支給されます。

国家公務員退職手当法は、退職手当を受け取る遺族について次のように定めています。

(遺族の範囲及び順位)

第2条の2第1項 この法律において、「遺族」とは、次に掲げる者をいう。

一 配偶者(届出をしないが、職員の死亡当時事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)

二 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で職員の死亡当時主としてその収入によつて生計を維持していたもの

三 前号に掲げる者のほか、職員の死亡当時主としてその収入によつて生計を維持していた親族

四 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で第二号に該当しないもの

死亡した国家公務員に配偶者がいる場合、配偶者に退職手当が支給されます。

配偶者は、法律上の配偶者だけでなく事実婚・内縁の配偶者を含みます。

死亡による退職手当は、相続によって受け取るものではありません。

事実婚・内縁の配偶者は、相続することができないからです。

死亡による退職手当は、国家公務員退職手当法で遺族に支給されます。

相続放棄をしても、死亡による退職手当を受け取ることができます。

②地方公務員死亡なら職員退職手当条例で支給

地方公務員が退職する場合、退職手当が支給されます。

退職する地方公務員に支給される退職手当は、職員退職手当条例によって定められています。

例えば、名古屋市では職員退職手当条例が定められています。

職員退職手当条例は、多くの場合、国家公務員退職手当法に準じて決められています。

地方公務員が死亡によって退職した場合、遺族に退職手当が支給されます。

名古屋市の職員退職手当条例は、退職手当を受け取る遺族について次のように定めています。

(遺族の範囲及び順位等)

第3条 この条例において「遺族」とは、次の各号に掲げる者をいう。

(1) 配偶者(届出をしないが、職員の死亡当時事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)

(2) 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で職員の死亡当時主としてその収入によって生計を維持していたもの

(3) 前号に掲げる者の外、職員の死亡当時主としてその収入によって生計を維持していた親族

(4) 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で第2号に該当しないもの

死亡した名古屋市の職員に配偶者がいる場合、配偶者に退職手当が支給されます。

配偶者は、法律上の配偶者だけでなく事実婚・内縁の配偶者を含みます。

死亡による退職手当は、相続によって受け取るものではありません。

事実婚・内縁の配偶者は、相続することができないからです。

死亡による退職手当は、職員退職手当条例で遺族に支給されます。

相続放棄をしても、死亡による退職手当を受け取ることができます。

③会社員死亡なら退職金規程や就業規則で支給

会社員が退職する場合、退職手当が支給されることがあります。

会社が支給する退職金については、退職金規程や就業規則について定めていることが多いでしょう。

退職金に関する定めは、多くの場合、労働基準法施行規則や労働者災害補償保険法を参考にして決められています。

労働基準法施行規則は、次のように定めています。

第42条 遺族補償を受けるべき者は、労働者の配偶者(婚姻の届出をしなくとも事実上婚姻と同様の関係にある者を含む。以下同じ。)とする。

労働者災害補償保険法は、次のように定めています。

第16条の7第1項 遺族補償一時金を受けることができる遺族は、次の各号に掲げる者とする。

一 配偶者

二 労働者の死亡の当時その収入によつて生計を維持していた子、父母、孫及び祖父母

三 前号に該当しない子、父母、孫及び祖父母並びに兄弟姉妹

労働基準法施行規則や労働者災害補償保険法は、退職金についての定めではありません。

生計を維持されていた人が生活に困窮しないようにするために、支給する点は読み取れます。

会社の退職金規程の内容によりますが、死亡による退職手当は相続によって受け取るものではありません。

相続放棄をしても、死亡による退職手当を受け取ることができます。

④中退共加入者死亡なら中小企業退職金共済法で支給

中退共制度は、昭和34年に中小企業退職金共済法に基づき設けられた中小企業のための国の退職金制度です。

中退共制度を利用して、管理が簡単な退職金制度が手軽に作れます。

中退共加入者が退職した場合、中退共から退職金を受け取ることができます。

中退共加入者が死亡によって退職した場合、遺族は退職金を受け取ることができます。

中小企業退職金共済法は、退職金を請求できる遺族について次のように定めています。

(遺族の範囲及び順位)

第14条第1項 第10条第1項の規定により退職金の支給を受けるべき遺族は、次の各号に掲げる者とする。

一 配偶者(届出をしていないが、被共済者の死亡の当時事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)

二 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で被共済者の死亡の当時主としてその収入によつて生計を維持していたもの

三 前号に掲げる者のほか、被共済者の死亡の当時主としてその収入によつて生計を維持していた親族

四 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で第2号に該当しないもの

死亡した中退共加入者に配偶者がいる場合、配偶者は退職金を請求することができます。

配偶者は、法律上の配偶者だけでなく事実婚・内縁の配偶者を含みます。

死亡による退職手当は、相続によって受け取るものではありません。

事実婚・内縁の配偶者は、相続することができないからです。

死亡による退職金は、中小企業退職金共済法で遺族が請求できます。

相続放棄をしても、死亡による退職金を請求することができます。

3受取人の指定がないと相続財産

①相続財産は相続人全員の共有財産

死亡退職金は、支給規程で支給されます。

支給規程には、受取人が決められています。

死亡退職金は、原則として、受取人の固有の財産です。

会社の中には、退職金規程や就業規則を整備していないことがあります。

退職金規程や就業規則を整備していなくても、死亡退職金を支給することがあります。

退職金規程や就業規則がない場合、受取人を定めているとは言えません。

受取人を定めていない場合、死亡退職金は相続財産になります。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続放棄が認められた人は、はじめから相続人でなくなります。

相続人以外の人は、相続財産を相続することはできません。

②生前に受け取った退職金は相続財産

退職金は、退職する社員に支給されます。

退職した社員が退職金を受け取った後に死亡した場合、受け取った退職金は相続財産です。

退職金は、すでに退職した社員の財産になっているからです。

相続放棄が認められた人は、はじめから相続人でなくなります。

相続人以外の人は、相続財産を相続することはできません。

③生前に退職して受取前に死亡したら相続財産

退職金は、退職日に支給されないことがあります。

生前に退職して退職金の支給日までに、死亡することがあります。

退職した社員が退職金を受け取る前に死亡した場合、退職金を受け取る権利は相続財産です。

社員が退職した時点で、退職金を受け取る権利は発生しているからです。

退職金を受け取る権利は、すでに退職した社員の財産になっています。

相続放棄が認められた人は、はじめから相続人でなくなります。

相続人以外の人は、相続財産を相続することはできません。

④退職金の受取が単純承認になる

相続財産を利用したり処分したりすると、単純承認と見なされます。

単純承認をしたら、相続放棄は無効です。

死亡退職金は、支給規程で支給されます。

支給規程に定められた遺族は、死亡退職金を受け取ることができます。

死亡退職金を受け取る権利は、遺族の固有の財産だからです。

支給規程がないのに死亡退職金が支払われる場合、死亡退職金を受け取る権利は相続財産です。

死亡退職金を受け取った場合、相続財産を処分したと言えます。

相続財産を処分した場合、単純承認と見なされます。

死亡退職金の受取が単純承認になります。

家庭裁判所で認められても、相続放棄が無効になります。

4相続放棄をしても相続税

死亡退職金は、原則として、受取人の固有の財産です。

相続放棄をしても、死亡退職金を受け取ることができます。

民法上、受取人の固有の財産なのに、死亡退職金は相続税の課税対象です。

死亡退職金の合計額が非課税限度額を超えるとき、相続税の課税対象になります。

非課税限度額=500万円×法定相続人の人数

相続放棄をした人が死亡退職金を受け取る場合、非課税限度額はありません。

相続放棄をした人は、はじめから相続人でないからです。

5相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄は、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する申立てです。

家庭裁判所で認められないとマイナスの財産を引き継がなくて済むというメリットは受けられません。

相続放棄は、その相続でチャンスは実質的には1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続きを取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

司法書士であれば、家庭裁判所に認めてもらえるポイントを承知しています。

認めてもらえやすい書類を作成することができます。

相続放棄をしたい旨の申立てには、戸籍謄本や住民票が必要になります。

仕事や家事、通院などで忙しい人には、平日の昼間に役所にお出かけになって準備するのは負担が大きいものです。

戸籍謄本や住民票は郵便による取り寄せもできます。

書類の不備などによる問い合わせは、役所の業務時間中の対応が必要になります。

やはり負担は軽いとは言えません。

戸籍謄本や住民票の取り寄せも、司法書士におまかせすることができます。

3か月の期間内に手続きするのは、思ったよりハードルが高いものです。

相続放棄を考えている方はすみやかに司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

家庭裁判所に収入印紙800円

2024-06-05

1家庭裁判所の手数料は収入印紙で納入

①申立書に収入印紙800円貼付

家庭裁判所に申立てを提出する場合、手数料を納入します。

手数料は、現金で納入することはできません。

申立書に収入印紙を貼り付けて、納入します。

収入印紙を貼り付けるのは、申立書の右上部です。

収入印紙貼り付け位置に、800円分の収入印紙を貼り付けます。

②額面800円の収入印紙はない

家庭裁判所に納入する手数料が800円であっても、額面800円の収入印紙は存在しません。

例えば、次のように複数の収入印紙を組み合わせます。

・額面400円の収入印紙を2枚

・額面600円の収入印紙1枚と額面200円の収入印紙1枚

・額面200円の収入印紙4枚

申立書の収入印紙貼り付け位置は、大きなスペースではありません。

たくさんの収入印紙を貼り付けるのは、難しいでしょう。

多くても4枚程度で準備するのが、おすすめです。

2収入印紙を購入できるところ

①郵便局の郵便窓口

郵便局の郵便窓口で、収入印紙を購入することができます。

大きな郵便局には、ゆうゆう窓口が設置されています。

ゆうゆう窓口も、収入印紙を取り扱っています。

ゆうゆう窓口であれば、24時間利用可能です。

好きなときにいつでも、収入印紙を購入することができます。

郵便局の郵便窓口では、クレジットカードや電子マネーを使うことができます。

クレジットカードで、収入印紙を購入することはできません。

②コンビニエンスストア

コンビニエンスストアは、いたるところにあり24時間営業しています。

昼間に時間が取れない人にとって、コンビニエンスストアで購入できるのは便利です。

コンビニエンスストアでは、収入印紙を取り扱っていないことがあります。

取り扱っていても、主に200円印紙のみの取り扱いです。

収入印紙を4枚貼り付けることになります。

手間がかかりますが、貼り付けてあれば差し支えありません。

コンビニエンスストアによっては、電子マネーで支払いをすることができます。

③法務局の印紙売りさばき窓口

法務局の印紙売りさばき窓口で収入印紙を購入することができます。

法務局の業務時間中のみ購入することができます。

④名古屋家庭裁判所では売っていない

家庭裁判所に申立てを提出する場合、窓口に持参することができます。

申立書を自分で作成した場合、窓口で確認してもらえると安心でしょう。

名古屋家庭裁判所に申立書を持参する場合、収入印紙は裁判所で販売していません。

名古屋家庭裁判所の窓口に持参する場合、あらかじめ収入印紙を準備しておく必要があります。

⑤専門家に依頼したら準備してもらえる

家庭裁判所に提出する書類は、自分で作成することが難しいかもしれません。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士や弁護士に依頼することができます。

司法書士や弁護士などの専門家に依頼する場合、収入印紙は専門家が準備してくれます。

3家庭裁判所に収入印紙を提出するときの注意点

①収入印紙に消印をしない

申立書を家庭裁判所に提出するときに、収入印紙800円を貼り付けます。

収入印紙800円は、申立ての手数料です。

手数料を受け取った裁判所が、収入印紙に消印を押します。

申立てをする人は、消印を押しません。

一般的に、領収書や契約書などに収入印紙を貼り付けます。

領収書や契約書などに収入印紙を貼り付けるのは、印紙税の課税文書だからです。

収入印紙を貼って消印をすることで、印紙税を納入します。

申立書は、印紙税の課税文書ではありません。

手数料の納入のために収入印紙800円を貼り付けています。

手数料の納入のためだから、申立てをする人は消印を押しません。

②登記嘱託用収入印紙は貼り付けない

家庭裁判所の手続では、手数料以外に収入印紙が必要になることがあります。

例えば、成年後見開始の申立てをする場合、手数料は800円です。

手数料以外に、収入印紙2600円分を提出します。

収入印紙2600円分は、登記嘱託用です。

成年後見制度を利用している場合、後見登記がされます。

後見開始の審判が確定した場合、裁判所書記官が後見登記を嘱託します。

収入印紙2600円分は、登記嘱託をするとき使う費用です。

成年後見開始の申立書に、貼り付けると裁判所の人が困ります。

登記嘱託用収入印紙は、小袋に入れて提出します。

4収入印紙800円が必要になる主な申立て

①相続放棄の申述

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する申立てをします。

申立先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

相続放棄の申述をする場合、手数料を納めます。

手数料は、800円です。

被相続人が莫大な借金を抱えていた場合、相続人全員が相続放棄を望むでしょう。

相続放棄は、各相続人が自分で手続する必要があります。

相続放棄の手数料は、相続人1人あたり800円です。

手数料は、収入印紙を申立書に貼り付けて納入します。

②相続放棄の期間の伸長の申立て

相続放棄を希望する場合、期限があります。

相続があったことを知ってから、3か月以内です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

相続が発生してから長期間経過してから、自分が相続人であることを知ることがあります。

自分が相続人であることを知ってから3か月以内であれば、相続放棄をすることができます。

相続を単純承認すべきか相続放棄をすべきか判断する3か月の期間を熟慮期間と言います。

被相続人の財産状況が分からない場合、相続を単純承認すべきか相続放棄をすべきか判断できないことがあります。

例えば、借金を何度もしていて返済が終わっているのか返済中であるのか不明であるケースです。

債権者に問い合わせても、即答できないでしょう。

取引状況を即答できない債権者がたくさんいると、3か月以内に判断できません。

熟慮期間内に判断できない場合、相続人は相続放棄の期間の伸長の申立てをすることができます。

相続放棄の期間の伸長の申立てが認められた場合、原則として、さらに3か月伸長されます。

相続放棄の期間の伸長の申立てをする場合、手数料を納めます。

手数料は、800円です。

相続放棄の期間の伸長の申立ては、各相続人が自分で手続する必要があります。

相続放棄の期間の伸長は、相続人ごとに判断されます。

相続放棄の期間の伸長の申立ての手数料は、相続人1人あたり800円です。

手数料は、収入印紙を申立書に貼り付けて納入します。

③相続財産清算人選任の申立て

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

子どもが相続放棄をした場合、子どもは相続人でなくなります。

子ども全員が相続放棄をした場合、子どもがいない場合になります。

被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

相続人になる人は、法律で決まっています。

相続人全員が相続放棄をすることができます。

相続人全員が相続放棄をした場合、相続人がいなくなります。

相続人不存在の場合、相続財産は国庫に帰属します。

被相続人が払うべきお金を払わないまま、死亡することがあります。

被相続人にプラスの財産がある場合、財産からお金を払ってもらいたいと望むでしょう。

相続財産清算人は、相続財産を清算して国庫に帰属させる人です。

相続財産清算人は、プラスの財産からお金を払って清算をします。

家庭裁判所に申立てをして、相続財産清算人を選任してもらいます。

相続財産清算人選任の申立てをする場合、手数料を納めます。

手数料は、800円です。

手数料は、収入印紙を申立書に貼り付けて納入します。

④遺言書検認の申立て

被相続人が生前に遺言書を作成していることがあります。

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作るケースがほとんどです。

自筆証書遺言は、自分ひとりで書いて作った遺言書です。

自筆証書遺言を作成した後は、原則として、自分で保管します。

作成した自筆証書遺言を法務局に提出して、保管してもらうことができます。

公正証書遺言は、公証人が文書に取りまとめて作る遺言書です。

証人2人に確認してもらって作ります。

公正証書遺言を作成した後は、公正証書遺言原本は公証役場で保管されます。

相続が発生した後、遺言書を見つけることがあります。

自筆証書遺言を見つけた人や預かっている人は、家庭裁判所へ届け出る必要があります。

封がされ得いる遺言書は、家庭裁判所で開封してもらいます。

遺言書を届け出る手続を遺言書検認の申立てと言います。

遺言書検認の申立てをする場合、手数料を納めます。

手数料は、800円です。

手数料は、収入印紙を申立書に貼り付けて納入します。

⑤遺言執行者選任の申立て

自分が死亡した後に自分の財産をだれに引き継いでもらうか、遺言書で決めることができます。

遺言書は作成するだけでは、意味がありません。

遺言書の内容は自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者は、遺言書で指名することができます。

遺言書で指名しても、指名された人からご辞退されることがあります。

指名された人が先に死亡することがあります。

家庭裁判所に申立てをして、遺言執行者を選任してもらうことができます。

遺言執行者選任の申立てをする場合、手数料を納めます。

手数料は、800円です。

手数料は、収入印紙を申立書に貼り付けて納入します。

5裁判所に提出する書類作成を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、家族は大きな悲しみに包まれます。

深い悲しみの中で、葬儀を執り行います。

ここから怒涛のような相続手続が始まります。

だれが相続人になるか家族にとっては当然のことと軽く考えがちです。

相続手続先の人に対して、相続人は客観的に証明する必要があります。

大した財産がないから、相続手続はカンタンに思えるかもしれません。

相続手続は、普段聞き慣れない法律用語でいっぱいです。

相続手続先は、相続人のトラブルに巻き込まれないために慎重に判断します。

想像以上に神経を使って、クタクタになります。

家庭裁判所の申立てが必要な手続をなると、さらに難易度は上がります。

司法書士は、相続人をサポートして相続手続を進めることができます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

スムーズに相続手続を進めたい方は、司法書士に相談することをおすすめします。

親子共有名義で片方死亡したときの相続

2024-06-03

1共有者でも優先されない

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについて、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することを代襲相続と言います。

②共有者が自動的に相続するわけではない

被相続人が不動産を共有している場合、被相続人の共有持分は相続人に相続されます。

被相続人が相続人のひとりと不動産を共有していた場合、何となく共有者が相続すると思うかもしれません。

共有者のひとりが相続人である場合、自動的に被相続人の共有持分を相続できるといったことはありません。

共有者であっても、優先権はないからです。

共有者が相続人だから、自動的に相続するといったルールはありません。

③共有者が取得するのは相続人不存在のとき

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

被相続人が不動産を共有していた場合、被相続人は不動産の共有持分を持っています。

被相続人の共有持分は、相続人が相続します。

共有者の片方が死亡した場合、他の共有者が共有持分を取得することを聞いたことがあるかもしれません。

共有者の片方が死亡した場合に他の共有者が共有持分を取得するのは、相続人が不存在の場合です。

被相続人が天涯孤独の場合、法律で決められた相続人は存在しないでしょう。

法律で決められた相続人はいても、相続人全員が相続放棄をすることがあります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

法律で決められた相続人全員が相続放棄をした場合、相続人不存在と言えます。

被相続人が払うべきお金を払わないまま、死亡することがあります。

相続人不存在であれば、相続人に払ってもらうことはできません。

被相続人の財産があれば、被相続人の財産から払ってもらいたいと望むでしょう。

被相続人が不動産を共有していた場合、共有持分は財産と言えます。

被相続人に特別縁故者がいることがあります。

特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故があった人です。

家庭裁判所に特別縁故者と認められた場合、財産が分与を受けることができます。

受け取る人がいない財産は、国庫に帰属します。

国庫に帰属すべき財産が共有持分である場合、他の共有者が取得します。

被相続人に相続人がいる場合、相続人不存在ではありません。

共有者のひとりが死亡しても、自動で他の共有者が被相続人の共有持分を取得することはできません。

2親子共有名義の建物で配偶者居住権

①配偶者短期居住権は親子共有名義の建物で認められる

配偶者短期居住権と配偶者居住権は、相続発生後に配偶者が住み場所を失わないようにするために作られた権利です。

配偶者短期居住権が認められる要件は、次のとおりです。

(1)法律上の配偶者であること

(2)被相続人の所有していた建物であること

(3)相続開始時に居住していたこと

配偶者短期居住権は、要件が満たされれば自動で認められます。

配偶者短期居住権が認められるためには、被相続人単独所有の建物に限られません。

被相続人が第三者と共有している建物であっても、配偶者短期居住権は認められます。

被相続人が配偶者以外の人と共有している建物であっても、差し支えありません。

配偶者短期居住権は、親子共有名義の建物で認められます。

②配偶者居住権は親子共有名義の建物で認められない

配偶者居住権が認められる要件は、次のとおりです。

(1)法律上の配偶者であること

(2)被相続人の所有していた建物であること

(3)相続開始時に居住していたこと

(4)配偶者居住権を設定

配偶者居住権は、自動で発生しません。

配偶者居住権を設定する必要があります。

配偶者居住権が認められるためには、被相続人単独所有の建物に限られません。

被相続人と配偶者の共有建物について、配偶者居住権が認められます。

配偶者以外の第三者と共有する建物について、配偶者居住権が認められません。

配偶者居住権は、原則として配偶者が終身居住する権利です。

配偶者以外の第三者と共有する建物である場合、配偶者居住権は大きな負担になります。

他の共有者にとって過大な負担になるから、配偶者以外の第三者と共有する建物である場合配偶者居住権は認められません。

配偶者居住権は、親子共有名義の建物で認められません。

3相続で共有を解消する

①共有持分を取得して他の財産を取得しない

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

親子で不動産を共有していた場合、他の共有者は相続人のひとりでしょう。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

被相続人と不動産を共有していても、自動で共有持分を相続することはできません。

他の共有者である相続人が共有持分を取得して、他の財産を取得しない合意をするといいでしょう。

相続人全員で合意できれば、相続をきっかけにして共有を解消することができます。

他の相続人にとって公平と思えるだけの財産がない場合、分け方の合意はできないでしょう。

②共有持分を取得して代償金の支払い

相続財産は、分けやすい財産と分けにくい財産があるでしょう。

不動産は、分けにくい財産の代表例です。

相続財産の大部分が不動産である場合、そのまま分けるのは難しいでしょう。

一部の相続人が不動産を取得した場合、他の相続人は不公平を感じるからです。

法定相続分と較べて高価な財産を取得する場合、代償分割をすることで合意できることがあります。

代償分割とは、一部の相続人が高価な財産を相続し、他の相続人は高価な財産を相続した人から、その分のお金をもらう方法です。

他の共有者である相続人が共有持分を取得して、他の相続人に代償を払う合意をするといいでしょう。

相続人全員で合意できれば、相続をきっかけにして共有を解消することができます。

共有持分を取得する相続人は、代償金を支払わなければなりません。

共有持分を取得する相続人が代償金を準備できない場合、分け方の合意はできないでしょう。

代償金を支払うと約束したのに、支払ってもらえないと相続人間でトラブルになります。

③不動産全体を売却してお金で分ける

代償分割では、不動産を相続する人が代償金を準備する必要があります。

不動産が高価である場合、代償金を準備することが難しいでしょう。

相続財産の大部分が高価な不動産である場合、換価分割をすることで合意ができることがあります。

換価分割とは、不動産を売却してお金に換えた後、お金を分ける方法です。

換価分割は、実際に売れてからお金で分ける方法です。

相続人全員で不動産全体を売却して、お金で分ける合意をするといいでしょう。

相続人全員で合意できれば、相続をきっかけにして共有を解消することができます。

不動産の価値をいくらと考えるか、だれが実際に不動産を相続するのかで話し合いがまとまらないという心配はありません。

せっかく家族が守ってきた不動産を手放すことへの罪悪感にかられるかもしれません。

売却しようとしたのに買い手がつかないと相続手続きが長引くおそれがあります。

④共有持分の細分化はデメリットが大きい

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

相続財産は、複数の分け方があります。

相続人にもさまざまな考えがあるでしょう。

相続人全員の話し合いがまとまらないことは、少なくありません。

被相続人の共有持分を相続人全員で共有する方法は、話し合いが不要です。

相続人全員で法定相続分で共有するから、一見して公平に見えます。

話し合いがまとまらないと、先延ばしをしたくなります。

被相続人の共有持分をさらに細分化することはおすすめできません。

先延ばししても、メリットはないからです。

先延ばしすると、共有者にさらに相続が発生するでしょう。

共有者の共有持分は、共有者の相続人が相続します。

さらに共有者が増えることになります。

適切に相続登記をしていないと、だれにどれだけの持分があるのか分からなくなります。

共有物を処分する場合、共有者全員の合意が必要になります。

共有者が増えると、単純に話し合いが難しくなります。

気心が知れた兄弟で共有している場合、話し合いは比較的容易です。

相続で疎遠な親族と共有している場合、話し合いは難しくなるでしょう。

見知らぬ親族と共有している場合、話し合いはできなくなって先延ばしになるでしょう。

事実上、不動産の利活用ができなくなります。

共有持分の細分化はデメリットが大きいので、おすすめできません。

4相続前にできること

①遺言書作成

被相続人は生前に、自分の財産を自由に処分することができます。

被相続人は死亡後に、自分の財産をだれに引き継いでもらうか遺言書で自由に決めることができます。

遺言書で財産の行き先が決めてある場合、遺言書のとおりに分けることができます。

相続人全員で分け方の話し合いをする必要はありません。

遺言書は、作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言書を作成する場合、遺言執行者を選任することができます。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現するために必要な権限があります。

遺言執行者がいると、わずらわしい相続手続をおまかせすることができます。

遺言書を作成すると、家族がラクになります。

②共有持分を生前贈与

被相続人は生前に、自分の財産を自由に処分することができます。

自分の持っている共有持分を生前贈与することができます。

共有持分全部を一度に贈与することもできるし、共有持分を分割して複数回に分けて贈与することもできます。

贈与する財産によっては、贈与税が課せられるかもしれません。

一般的に言って、贈与税は想像以上に高額になりがちです。

高額な贈与をする場合、税務署や税理士に相談するといいでしょう。

③子どもには遺留分がある

被相続人は生前に、自分の財産を自由に処分することができます。

被相続人は死亡後に、自分の財産をだれに引き継いでもらうか遺言書で自由に決めることができます。

財産は被相続人が1人で築いたものではないでしょう。

家族の協力があってこそ築くことができた財産のはずです。

被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすることはできません。

今まで協力してきた家族に、酷な結果となることがあるからです。

被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。

相続財産に対して、認められる最低限の権利のことを遺留分と言います。

配偶者は、必ず相続人になります。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

配偶者と子どもは、遺留分が認められています。

遺留分が認められる人のことを遺留分権利者と言います。

遺留分を侵害するような遺言書であっても、作成することはできます。

公正証書遺言であっても、遺言書作成だけで遺留分を奪うことはできません。

遺留分を侵害するような生前贈与であっても、することはできます。

遺留分を侵害した場合、遺留分権利者は遺留分侵害額請求をするでしょう。

相続人間の大きなトラブルに発展します。

遺言書作成や生前贈与をする場合、遺留分に注意しましょう。

5遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

不動産を共有している場合、共有者は親子や兄弟などの近い関係の人が多いでしょう。

共有者の片方に相続が発生した場合、他の共有者が相続人であることが多いでしょう。

遺産分割協議が必要なのに、共有者だから当然に相続できると誤解しているかもしれません。

相続人でもないのに、一方的に相続すると言われても困惑するでしょう。

相続人間のトラブルに発展しがちです。

相続手続は、タイヘンです。

単なる相続人の誤解や無理解で、トラブルに発展するからです。

不動産の共有は、デメリットが大きいのでおすすめできません。

事前の対策で、防げるトラブルと言えます。

司法書士は、相続対策をサポートすることができます。

相続対策をするために、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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