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死亡した人の預貯金をおろした罪

2024-10-09

1死亡した人の預貯金引出しで刑事責任は問われない

①同居の親族は刑事事件にならない

銀行口座は、日常生活に欠かせません。

多くの人は、銀行に口座を持っているでしょう。

口座の持ち主が死亡した場合、口座の預貯金は相続人が相続します。

口座の預貯金は、相続財産です。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

共有財産なのに、一部の相続人が勝手に引き出すことがあります。

他人の預貯金を勝手におろした場合、窃盗罪や横領罪になるはずです。

預貯金をおろした人が同居の親族である場合、刑事責任は問われません。

刑法には、親族相盗という特例があるからです。

窃盗罪や横領罪が成立する犯罪であっても、刑が免除されます。

親族間のトラブルは、親族間の自律に任せる方がいいとされているからです。

国家の刑罰権の行使を差し控えて、家族で解決することが望ましいと考えられています。

親族相盗とは、一定の範囲の親族間の犯罪を処罰しない特例です。

親族相盗で刑が免除される親族は、次のとおりです。

(1)配偶者

配偶者は、法律上の配偶者のみ適用されます。

事実婚・内縁の配偶者は、対象外です。

(2)直系血族

養子縁組によって親子関係がある場合、直系血族に含まれます。

兄弟姉妹やいとこは血族であっても、対象外です。

(3)同居の親族

親族は、民法の定めに従います。

民法上の親族とは、6親等内の血族と3親等内の姻族です。

相続が発生した後に預貯金をおろした場合、刑事責任は問われません。

相続が発生する前であっても、刑事責任は問われません。

②親族相盗にあたらないときは刑事責任を問われる

親族相盗とは、一定の範囲の親族間の犯罪を処罰しない特例です。

親族でない第三者が関与していた場合、刑事責任が問われます。

例えば、親族以外の第三者が代理で預貯金をおろす場合です。

同居の親族以外の人が預貯金をおろした場合も、刑事事件になります。

親族相盗にあたらないと、刑事責任が問われます。

③刑事事件にならなくても民事責任

一部の相続人が被相続人の預貯金を勝手におろしても、親族相盗にあたるでしょう。

窃盗罪や横領罪になっても、刑事責任は問われません。

被相続人の預貯金は、相続人全員の共有財産です。

勝手におろして自分のものにすることは、許されることではありません。

他の相続人から、勝手に引き出した金銭を返して欲しいを請求されるでしょう。

他の相続人は、不当利得返還請求や不法行為損害賠償請求をすることができます。

刑事事件にならなくても、民事責任はあるからです。

不当利得返還請求や不法行為損害賠償請求がされると、相続人間で大きなトラブルになるでしょう。

刑事事件にならなくても、民事責任が問われます。

④銀行は責任を問われない

相続が発生したら、被相続人の預貯金は相続人全員の共有財産です。

一部の相続人が勝手に引き出すことは、許されることではありません。

銀行が引き出しに応じたことについて、他の相続人は責任を問うことはできません。

銀行は、だれの意思で預貯金の引出しをしたのか判断することができないからです。

預貯金の引出しに応じても、銀行は責任を問われません。

⑤死亡した人の預貯金口座は凍結される

一部の相続人が勝手に預貯金を引き出した場合、相続人間で大きなトラブルになるでしょう。

銀行が安易に引出しに応じた場合、相続人間のトラブルに巻き込まれるおそれがあります。

口座の持ち主が死亡したことを知った場合、銀行は口座を凍結します。

口座の凍結とは、口座取引を停止することです。

口座取引の代表例には、次のものがあります。

・ATMや窓口での引出

・年金などの振込

・公共料金の引落

相続人間のトラブルに巻き込まれないため、口座を凍結します。

口座の持ち主が死亡しても、病院や市区町村役場から自動で銀行に連絡されることはありません。

病院や市区町村役場から個人情報が漏れたら、大きな責任問題になるからです。

口座凍結のタイミングは、相続人などから連絡があったときです。

相続があったら、口座の有無や相続手続の方法を問い合わせるでしょう。

問合せがあったときに、銀行は相続の発生を知ります。

相続の発生があったことを知ったタイミングで、口座を凍結します。

一部の相続人が勝手に預貯金を引き出す心配がある場合、すみやかに銀行に連絡するといいでしょう。

口座が凍結されると、預貯金は勝手に引き出すことができなくなるからです。

死亡した人の預貯金口座は、凍結されます。

⑥預貯金を勝手におろすと相続放棄ができなくなるおそれ

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄をする申立てをします。

家庭裁判所は相続放棄の申立ての書面を見て審査をします。

提出された申立書に問題がなければ、相続放棄を認める決定をするでしょう。

家庭裁判所が相続放棄を認める決定をしても、絶対ではありません。

相続放棄ができないのに、相続放棄の申立てを提出していることがあるからです。

単純承認をした後に、相続放棄をしても無効です。

単純承認をしたら、撤回することはできないからです。

相続財産を利用・処分した場合、単純承認をしたと見なされます。

単純承認をした後に、相続放棄をすることはできません。

被相続人の預貯金を勝手に引き出して自分のものにした場合、単純承認を見なされます。

単純初認をしたら、相続放棄はできません。

家庭裁判所は事情を分からずに、相続放棄を認める決定をしてしまうでしょう。

後から裁判で、相続放棄は無効になります。

被相続人の預貯金を勝手におろすと、相続放棄ができなくなるおそれがあります。

2死亡した人の預貯金を勝手に引出すと相続人間でトラブル

トラブル①相続分を超えて引出し

被相続人と同居している家族は、生前、口座から引出しを依頼されることがあるでしょう。

ときには、預貯金の管理を任されていたかもしれません。

口座の持ち主が死亡した場合、葬儀費用や治療費・介護費の清算をすることになるでしょう。

まとまった金額の支出が予想されます。

口座凍結前であれば、キャッシュカードで引出しをすることがあるでしょう。

銀行口座の預貯金は、本来、相続人全員の共有財産です。

他の相続人からは、不正な引出しに見えるおそれがあります。

相続分の範囲内であれば、自分の相続分の先払いと考えることができます。

遺産分割協議の中で調整しやすいでしょう。

相続分の範囲内であれば、大きなトラブルになりにくいと言えます。

自分の相続分を超える引出しは、大きなトラブルに発展しがちです。

トラブル②引出しが後から判明

葬儀費用や治療費・介護費の清算は、ある程度まとまった金額になるでしょう。

自分の固有の財産から立替えをすることが難しいことがあります。

被相続人の預貯金から引出して、用立てるでしょう。

被相続人の預貯金から引出したことに、負い目を感じるかもしれません。

他の相続人に預貯金の引出しの事実を共有しないことがあります。

ときには、負い目を感じて他の相続人に通帳を見せないかもしれません。

他の相続人に通帳を見せない場合、疑いの目を向けるでしょう。

通帳を見せなくても、他の相続人は自分で調べることができます。

相続人は単独で、被相続人の口座の残高や取引履歴を取り寄せることができるからです。

預貯金の引出しを隠していると、他の相続人は疑心暗鬼になります。

他にも引き出しがあるのではないかと考えて、大きなトラブルになるでしょう。

預貯金の引出しが後から判明すると、大きなトラブルに発展しがちです。

トラブル③使い途が不明

銀行口座の預貯金は、本来、相続人全員の共有財産です。

トラブル防止の観点から、相続発生後に預貯金の引出しはおすすめできません。

葬儀費用や治療費・介護費の清算は、ある程度まとまった金額になるでしょう。

やむを得ず引き出す場合、使い途が分かる書類を保管しましょう。

葬儀費用や治療費・介護費の清算であれば、他の相続人が納得してくれるでしょう。

使い途が分かる請求書や領収書があれば、トラブルに発展することは少ないでしょう。

被相続人のために使ったが何に使ったか細かく覚えていない等は、大きな不信感を抱かせます。

自分のために使ったのだろうと疑われるでしょう。

使い途が不明である場合、大きなトラブルに発展しがちです。

3死亡した人の預貯金を引出す方法

方法①遺言書で相続

被相続人が生前に遺言書を作成していることがあります。

遺言書を作成して、自分の財産をだれに引き継いでもらうか決めておくことができます。

遺言者が死亡したときに、遺言書は発効します。

遺言書で預貯金を相続させると指定された人は、預貯金を相続することができます。

遺言書で相続する場合、他の相続人の同意は不要です。

預貯金を相続させると指定された人は、単独で相続手続をすることができます。

遺言書で相続した場合、相続した人は預貯金を引出すことができます。

方法②相続人全員で遺産分割協議

相続が発生したら、被相続人の財産は相続財産です。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

被相続人の預貯金は、相続人全員の協力で分け方を決めます。

相続人全員の合意で分け方を決めたら、合意内容を文書に取りまとめます。

相続財産の分け方について相続人全員の合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書と言います。

遺産分割協議書の内容は、相続人全員に確認してもらいます。

遺産分割協議書の内容に問題がなければ、記名し実印で押印をしてもらいます。

遺産分割協議書の押印が実印による押印であることを証明するため、印鑑証明書を添付します。

相続人全員で遺産分割協議をした場合、相続した人は預貯金を引出すことができます。

方法③預貯金の仮払い制度を利用

預貯金を引出す場合、原則として相続人全員の合意が必要です。

相続人全員の合意が難しいことがあります。

相続人に認知症の人や行方不明の人がいることがあるからです。

一部の相続人を除外して相続財産の分け方を合意しても、無効の合意です。

一定の条件下で、預貯金の仮払制度を利用することができます。

銀行などの金融機関に手続をする場合、仮払い上限額の計算式は次のとおりです。

仮払いの上限額=死亡時の預金額×1/3×法定相続分

計算式で求められた上限額が150万円を超えた場合、150万円になります。

預金の金額が少ない場合や法定相続人が多い場合、150万円の仮払いを受けることができません。

預貯金の仮払い制度を利用した場合、相続人は預貯金を引出すことができます。

4預貯金の相続手続を司法書士に依頼するメリット

口座を凍結されてしまったら、書類をそろえて手続すれば解除してもらえます。

必要な書類は、銀行などの金融機関によってまちまちです。

手続の方法や手続にかかる期間も、まちまちです。

銀行内部で取扱が統一されていないことも多いものです。

窓口や電話で確認したことであっても、上席の方に通してもらえないことも少なくありません。

相続手続は、やり直しになることが多々あります。

このためスムーズに手続きできないことが多いのが現状です。

日常生活に不可欠な銀行口座だからこそ、スムーズに手続したいと思う方が多いでしょう。

仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続を丸ごとおまかせできます。

ご家族にお世話が必要な方がいて、お側を離れられない方からのご相談もお受けしております。

凍結口座をスムーズに解除したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

独身者に遺言書作成が重要な理由

2024-10-04

1相続人がいないと財産は国庫帰属

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②絶縁しても絶交しても相続人

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になるかどうかは、法律の定めで決まります。

被相続人と絶縁していても、相続人になるかどうかとは関係ありません。

絶縁していたとか、絶交していたとかいう事情は、法律の定めとは無関係です。

たとえ何十年も音信不通でも、親子は親子です。

何十年も会っていなくても、兄弟姉妹は兄弟姉妹です。

子どもが重大な親不孝をした場合に、親が子どもを勘当にすることがあります。

子どもを勘当にして、絶縁状を作ることがあります。

絶縁状に、法的な効力はありません。

家の敷居をまたぐなとか、お葬式に呼ばないなども法的効力はありません。

生まれる前に父母が離婚したので、一度も被相続人に会ったことがない人もいます。

生まれてから一度も会ったことがなくても、子どもであることには変わりはありません。

③離婚後でも子どもは相続人

現在は独身者であっても、婚姻歴があることがあります。

独身者が離婚するときに、元配偶者が子どもを引き取ることがあります。

離婚時に元配偶者が引き取っても、子どもであることに変わりはありません。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

離婚時に元配偶者が親権を持っていても、子どもは子どものままです。

離婚して元配偶者が子どもを引き取った場合、長年音信不通になることがあります。

長年音信不通であっても、子どもは相続人になります。

父母が離婚しても、子どもは相続人になります。

④相続財産清算人選任の申立てに予納金

相続人になる人は、法律で決まっています。

被相続人が天涯孤独で、相続人になる人がまったくいないことがあります。

相続人になる人がまったくいない場合、相続財産は国庫に帰属します。

何もせずに、国庫に帰属するわけではありません。

被相続人に利害関係がある人がいるかもしれないからです。

例えば、被相続人にお金を貸していた人は、相続財産から返してもらいたいと思うでしょう。

相続財産清算人は、相続財産を清算して国庫に帰属させる人です。

利害関係人からの申立てによって、家庭裁判所が選任します。

お金を貸していた人は家庭裁判所に申立てをして、相続財産清算人を選任してもらうことができます。

相続財産清算人選任の申立てには申立費用、官報掲載費用の他に予納金が必要です。

予納金は、相続財産の管理や相続債権者に対する弁済などの事務負担によって決められます。

一般的な目安は、100万円程度です。

相続財産清算人選任の申立てに、予納金が必要です。

2遺言書作成で遺産分割協議不要

①疎遠な相続人はトラブルになりやすい

被相続人に配偶者がいる場合、配偶者が必ず相続人になります。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人の配偶者と子どもが相続人になる場合、お互いの事情をよく知っているでしょう。

お互いの事情が分かっていれば、思いやることができます。

相続人が被相続人の配偶者と子どもの場合、トラブルになることはあまりありません。

独身者には近い関係の家族が相続人になることは少ないでしょう。

高齢の独身者である場合、親などの直系尊属は先に死亡しているでしょう。

高齢の独身者に相続が発生した場合、相続人は兄弟姉妹になります。

大人になると、連絡を取り合うことも少なくなります。

子どものころは一緒に遊んでいたとしても、お互いの事情が分からなくなります。

兄弟姉妹それぞれに家族があり、それぞれの事情があるでしょう。

兄弟姉妹が先に死亡した場合、兄弟姉妹の子どもが代襲相続します。

兄弟姉妹の子どもと連絡を取り合うのは、より少ないでしょう。

お互いの事情だけでなく、家族の事情も分からなくなるでしょう。

相続人全員が自分の権利を主張して、話し合いがまとまりにくくなります。

関係性のうすい相続人がいる場合、各自が権利を主張をします。

疎遠な相続人がいる場合、トラブルになりやすくなります。

②遺言書で相続人以外の人に遺贈ができる

相続人になる人は、法律で決められています。

法律で決められた人以外の人は、相続人ではありません。

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人以外の人が相続することはできません。

長期間に渡って音信不通になった兄弟姉妹より、お世話になった人に自分の財産を活かしてもらいたい希望があることがあります。

遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。

遺言書なしで遺贈をすることはできません。

お世話になった人に自分の財産を引き継いでもらうために、遺言書を作成することができます。

③兄弟姉妹に遺留分はない

高齢の独身者が死亡した場合、相続人は兄弟姉妹や甥姪になることが多いでしょう。

兄弟姉妹や甥姪は、相続人になっても遺留分はありません。

遺留分とは、一定の相続人に認められた最低限の権利です。

兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

遺留分が認められる相続人を遺留分権利者と言います。

遺言書などで、配分された財産が遺留分に満たないことがあります。

遺留分権利者は、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分侵害額請求がされると、相続人間で深刻なトラブルに発展するでしょう。

兄弟姉妹には、遺留分は認められません。

甥姪が代襲相続人になる場合、引き継ぐべき遺留分はありません。

甥姪には、遺留分がありません。

兄弟姉妹と甥姪には遺留分がないから、遺留分侵害額請求をすることはできません。

遺留分でトラブルになることがないから、自由に財産を配分することができます。

例えば、全財産を慈善団体などに寄付することがあります。

相続人には、財産がまったく配分されません。

たとえ財産がまったく配分されなかったとしても、兄弟姉妹や甥姪は文句を言うことはできません。

兄弟姉妹や甥姪には、遺留分がないからです。

3遺言書作成で相続手続がラクになる

①準備する戸籍謄本が少なく済む

兄弟姉妹が相続人になる場合、準備する戸籍謄本がたくさんになります。

兄弟姉妹が相続人になる場合とは、子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属がいない場合です。

被相続人に子どもがいないことは、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本で証明することができます。

親などの直系尊属がいないことは、親などの直系尊属の死亡の戸籍謄本で証明することができます。

相続人になる兄弟姉妹は、父母両方が同じ兄弟姉妹だけではありません。

父だけが同じ兄弟姉妹、母だけが同じ兄弟姉妹を含みます。

父の子ども全員と母の子ども全員が相続人になる兄弟姉妹です。

父の子ども全員を証明するため、父の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要です。

母の子ども全員を証明するため、母の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要です。

相続人を確定するためには、大量の戸籍謄本を準備する必要があります。

戸籍謄本の取り寄せは、相続手続の最初の難関です。

遺言書を作成した場合、相続人を確定する必要はありません。

遺言者の死亡を確認する戸籍謄本と財産を受け取る人の戸籍謄本のみ準備します。

遺言書を作成した場合、準備する戸籍謄本は少なく済みます。

②遺言執行者に相続手続はおまかせできる

遺言書は、作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書の内容を実現するため必要な権限が与えられます。

遺言執行者がいない場合、遺言書の内容は相続人全員の協力で実現します。

相続人全員が遺言書の内容に納得していれば、協力してくれるかもしれません。

相続人の中には、遺言書の内容に不満を持っていることがあります。

不満を持つ相続人は、遺言書の内容の実現に協力してくれないでしょう。

遺言書の内容に不満はなくても、仕事や家事で忙しいことがあります。

協力する気持ちはあっても、先延ばししがちになるでしょう。

相続手続は、相続以上にわずらわしいものです。

わずらわしい相続手続を負担することで、相続人がトラブルになることがあります。

遺言書を作成するときに、遺言執行者を指名することができます。

遺言執行者がいれば、わずらわしい相続手続をおまかせすることができます。

面倒で手間のかかる相続手続は遺言執行者がやってくれるので、相続人は待っているだけで済みます。

財産を受け取るだけだから、相続人のトラブルを減らすことができます。

遺言執行者がいると、相続手続はおまかせすることができます。

4公正証書遺言がおすすめ

①公正証書遺言は安心確実

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作成することがほとんどです。

自筆証書遺言は、自分で書いて作る遺言書です。

公正証書遺言は、遺言内容を公証人が取りまとめて作る遺言書です。

証人2人に確認してもらって作ります。

遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。

書き方ルールに違反すると、遺言書が無効になります。

遺言者は、法律の勉強をしたことがないでしょう。

公証人は、法律の専門家です。

書き方ルールの違反で遺言書が無効になることは、考えられません。

公正証書遺言は書き方ルールに違反することはあり得ないから、安心確実です。

公正証書遺言を作成したら、遺言書原本は公証役場で厳重保管されます。

相続人などが偽造や変造することはできないし、紛失することもありません。

相続人などが偽造や変造を疑われて、トラブルに巻き込まれることもありません。

公正証書遺言は公証役場で厳重保管されるから、安心確実です。

②認知症を疑われない元気なときに作成

遺言書を作成するのは、高齢者のイメージがあるかもしれません。

遺言書を作成するのであれば、若い元気なうちがおすすめです。

高齢者になると、認知症になるリスクが高まるからです。

重度の認知症などで物事のメリットデメリットを充分に判断できない状態では、遺言書を作成することができません。

遺言書のつもりで作成しても、無効になるでしょう。

公正証書遺言を作成する場合、公証人が遺言者の意思確認をします。

認知症であると判断されたら、遺言書を作成してもらえません。

公正証書遺言は、信用が高い遺言書と言えます。

遺言書に効力が発生するのは、遺言者が死亡したときです。

遺言書の内容に相続人が不満を持ったとき、遺言書は無効だと主張するでしょう。

遺言者は重度の認知症だったから遺言書は無効と、主張するでしょう。

遺言者は死亡しているから、反論することはできません。

相続人間で、大きなトラブルに発展するでしょう。

遺言書は、認知症を疑われないように元気なときに作成するのがおすすめです。

5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

実は、民法に遺言書を作ることができるのは15歳以上と定められています。

死期が迫ってから、書くものではありません。

遺言書はいつか書くものではなく、すぐに書くものです。

遺言書は遺言者の意思を示すことで、家族をトラブルから守るものです。

独身者の場合、遺言書の威力は大きいものです。

遺言書があることで、トラブルから守られます。

お互いを思いやり幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続人申告登記で登録免許税は課されない

2024-10-02

1相続登記義務化は令和6年4月1日スタート

①所有権移転登記は原則として権利

不動産に対する権利が変動した場合、登記をします。

権利が変動した場合で最もイメージしやすいものは、不動産を購入して所有権を取得した場合でしょう。

不動産を購入して所有権を取得した場合、購入したタイミングですぐに所有権移転登記をします。

登記をしていないと、不動産に対して権利主張をする人が現れた場合に負けてしまうからです。

不動産を購入して所有権を取得したはずなのに、見知らぬ人が不動産は自分のものだから明け渡して欲しいと言ってくるようなケースです。

登記がある場合、不動産は自分のものだから明け渡す必要はないと言い返すことができます。

登記がない場合、不動産を明け渡さなければならなくなるかもしれません。

せっかく不動産を購入したのに、不動産を明け渡さなければならなくなることは何としても避けたいはずです。

不動産は自分のものだと主張するために、購入したタイミングですぐに所有権移転登記をします。

所有権移転登記をしない場合、所有者は権利主張ができません。

所有権移転登記をしない場合、所有者が不利益を受けます。

所有権移転登記をすることは、所有者の権利であって義務ではありません。

②相続登記は義務

所有権移転登記をしない場合、所有者はソンをします。

不動産に対して権利主張をする人が現れた場合、所有者のはずなのに権利主張ができないからです。

不動産には不便な場所にあるなどの理由で、価値が低い土地が存在します。

所有者にとって利用価値が低い土地に対して権利主張をする人が現れた場合、所有者として権利主張する必要を感じないかもしれません。

相続登記は、手間のかかる手続です。

自分で相続登記をしようとするものの、多くの人は挫折します。

相続登記を専門家に依頼する場合、専門家に報酬を支払う必要があります。

不動産の価値が低い場合、相続登記で手間と費用がもったいないと考える人が少なくありません。

相続登記がされない場合、登記簿を見ても土地の所有者が分からなくなります。

所有者不明の土地の発生を防止するため、相続登記をすることは義務になりました。

相続登記義務化は、令和6年4月1日スタートです。

③令和6年4月1日以降に発生の相続が対象

相続登記の申請義務が課せられるのは、令和6年4月1日です。

令和6年4月1日以降に発生した相続は、当然に対象になります。

④令和6年4月1日以前に発生の相続が対象

ずっと以前に相続が発生したのに、相続登記を放置している例は少なくありません。

令和6年4月1日以前に発生した相続であっても、相続登記は義務になります。

⑤相続人申告登記でペナルティーを免れる

相続登記は、3年以内に申請しなければなりません。

相続登記の申請義務を果たしていない場合、ペナルティーが課されます。

令和6年4月1日以前に発生した相続であっても、ペナルティーが課される予定です。

相続登記は、手間がかかる難しい手続です。

相続人申告登記は、相続登記より簡単に手続をすることができます。

3年の期限内に相続人申告登記をした場合、ペナルティーを免れることができます。

2相続人申告登記で登録免許税は課されない

①相続人申告登記は職権登記

相続人申告登記は、登記名義人の相続人であることを公示する制度です。

登記官に対して、相続人であることを申告します。

相続人であることを認めた場合、登記官は職権で登記します。

相続人申告登記は、登記官による職権登記です。

②職権登記に登録免許税は課されない

相続人申告登記では、相続人であることを登記官に申告します。

相続人であることを認めた場合、登記官は職権で登記します。

登記官による職権登記に、登録免許税は課されません。

相続人申告登記に、登録免許税は課されません。

3相続登記で登録免許税が非課税になる

①相続登記の税率は原則1000分の4

相続登記をする場合、登録免許税を納める必要があります。

相続登記の税率は、1000分の4です。

登録免許税額は、不動産の固定資産評価額に税率をかけて計算します。

例えば、不動産の固定資産評価額が1000万円である場合、登録免許税は4万円です。

相続登記が非課税になるのは、限定的です。

相続登記の税率は、原則1000分の4です。

②100万円以下の土地は非課税

相続登記をする場合、登録免許税を納める必要があります。

登録免許税が非課税になるのは、例外です。

相続登記の対象が100万円以下の土地である場合、登録免許税が非課税になります。

日本中どこの土地であっても、固定資産税評価額が100万円未満の土地であれば非課税です。

非課税になるのは、土地のみで建物は通常どおり課税されます。

非課税の取り扱いを受ける場合、登記申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載します。

100万円以下の土地は、登録免許税が非課税です。

③土地の共有持分が100万円以下で非課税

被相続人が土地を第三者と共有していることがあります。

土地の共有持分は、被相続人の財産です。

例えば、固定資産税評価額300万円の土地を共有していることがあります。

被相続人の共有持分が3分の1である場合、被相続人の共有持分は100万円と言えます。

土地の共有持分について名義変更をする場合、原則として登録免許税が課されます。

土地の共有持分が100万円以下の場合、登録免許税が非課税になります。

非課税になるのは、土地のみで建物は通常どおり課税されます。

敷地権付区分建物における敷地権も同様の取り扱いです。

敷地権付区分建物とは、敷地権が付いている分譲マンションが代表例です。

敷地権とは、建物の敷地に関する権利です。

敷地権付区分建物は、敷地の権利と建物の権利が一体化されています。

敷地権の共有持分が100万円以下の場合、登録免許税が非課税になります。

敷地権付区分建物によっては、敷地権が複数あることがあるでしょう。

敷地権ごとに100万円以下であるか、判断します。

一部の敷地権が非課税になるけど、残りの敷地権は課税されることがあります。

非課税になるのは、敷地権のみで建物は通常どおり課税されます。

非課税の取り扱いを受ける場合、登記申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載します。

土地の共有持分が100万円以下の場合、登録免許税が非課税です。

④死亡した相続人への相続登記は非課税

相続登記は、相続手続の中でも手間がかかる手続です。

すぐに売却するのでなければ、先延ばししがちです。

長期間先延ばしをした場合、元気だった相続人が後に死亡することがあります。

現在は死亡してしまっても、生前に相続したことは事実です。

死亡した後であっても、死亡した相続人が相続した登記を申請することができます。

死亡した相続人名義にする相続登記を申請する場合、登録免許税は非課税になります。

死亡した相続人名義にする相続登記は、死亡した相続人の相続人が申請します。

非課税の取り扱いを受ける場合、登記申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載します。

⑤死亡した相続人への遺贈の登記は非課税

被相続人が生きている間、自分の財産を自由に処分することができます。

遺言書を作成して、自分の財産をだれに引き継いでもらうのか自由に決めることができます。

遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。

相続人になる人は、法律で決められています。

法律で決められた人以外の人は、相続人になることはできません。

相続人は、相続できるし遺贈を受けることができます。

相続人以外の人は、相続することはできないけど遺贈を受けることができます。

相続人が遺贈を受けた後、死亡することがあります。

死亡した後であっても、死亡した相続人に対して遺贈する登記をすることができます。

死亡した相続人が生前に遺贈を受けたことは事実だからです。

死亡した相続人名義にする遺贈の登記を申請する場合、登録免許税は非課税になります。

死亡した相続人名義にする遺贈の登記は、死亡した相続人の相続人が申請します。

非課税の取り扱いを受ける場合、登記申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載します。

4相続人申告登記をしても相続登記は必要になる

①相続人申告登記はペナルティーを免れるだけ

相続人申告登記をした場合、相続登記をする義務を果たしたと見なされます。

相続登記の義務を果たしたから、ペナルティーは課されません。

相続人申告登記は、ペナルティー回避の効果があります。

相続人申告登記をしても、相続登記をしたわけではありません。

相続登記をする義務を果たしただけで、依然として相続登記はしていないからです。

相続人申告登記には、ペナルティーを免れる効果しかありません。

②相続登記をしないと売却ができない

相続人申告登記をした場合、相続登記をする義務を果たしたと見なされます。

相続登記をする義務を果たしただけで、依然として相続登記はしていません。

相続人申告登記をしただけでは、権利主張をすることはできません。

相続人だから、所有者になる可能性がある人に過ぎないからです。

相続人申告登記の名義人は、所有者になることも所有者にならないこともあります。

相続人全員で相続財産の分け方を決めることができた場合、あらためて相続登記が必要です。

不動産を売却する場合、相続登記を省略することはできません。

不動産を売却したのは、所有者のはずだからです。

所有権は、被相続人→相続人→買主と移動しています。

登記は、権利の移転の過程も公示しています。

所有権移転の実態を表していない場合、登記制度への信頼が失墜するからです。

このようなことが許されるはずがありません。

相続人申告登記では、登記名義人の相続人であることを公示したに過ぎません。

不動産を売却する場合、相続人申告登記をした後であっても相続登記が必要です。

5相続登記を司法書士に依頼するメリット

大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。

やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。

相続手続は、一生のうち何度も経験するものではありません。

だれにとっても不慣れで、手際よくできるものではありません。

相続手続で使われる言葉は、法律用語です。

一般の方にとって、日常で聞き慣れないものでしょう。

不動産は重要な財産であることも多いものです。

登記手続は一般の方から見ると些細なことと思えるようなことで、やり直しになります。

日常の仕事や家事のうえに、これらのことがあると、疲労困憊になってしまうことも多いでしょう。

司法書士などの専門家から見れば、トラブルのないスムーズな相続手続であっても、多くの方はへとへとになってしまうものです。

相続手続に疲れてイライラすると、普段は温厚な人でも、トラブルを引き起こしかねません。

司法書士などの専門家は、このような方をサポートします。

相続手続でへとへとになったから先延ばしするより、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

疎遠になっても死亡連絡

2024-10-01

1疎遠になっても相続人

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②会ったことがない相続人が見つかる

相続人調査をすると、思いもよらない相続人が見つかることがあります。

被相続人が再婚歴や子どもの存在を家族に秘密にしていることがあるからです。

家族にとって相続人になる人は、当然のことと軽く考えがちです。

相続手続先などの第三者に対しては、客観的に証明する必要があります。

相続人を客観的に証明するとは、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を準備することです。

戸籍には、その人の身分事項がすべて記録されています。

身分事項とは、結婚や離婚、養子縁組や離縁、子どもの認知などです。

被相続人が家族に秘密にしていても、すべて明るみに出ます。

相続人調査をすると、見知らぬ相続人が見つかることがあります。

③遺産分割協議は相続人全員で

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

相続人が相続する財産が相続財産です。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

一部の相続人を含めないで合意しても、無効の合意です。

会ったことない相続人であっても、遺産分割協議から除外することはできません。

相続人になる人は、法律で決まっているからです。

遺産分割協議は、相続人全員でする必要があります。

2被相続人の家族から死亡連絡

さまざまな家族の事情から、被相続人や被相続人の家族と疎遠になっていることがあります。

相続が発生した場合、相続人の協力が必要になるでしょう。

各相続人は、相続人調査をすることができます。

相続人確定のため、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得することができます。

被相続人や被相続人の家族と疎遠であっても、戸籍謄本をたどると家族関係は判明します。

戸籍の附票を取得すると、その人の住所が判明します。

戸籍の附票とは、住民票の異動が記載されている書類です。

相続手続への協力のため、被相続人の家族から死亡の連絡がされます。

3家庭裁判所から死亡連絡

①遺産分割調停で呼出し

被相続人の家族から死亡の連絡がされる場合、遺産分割協議の申入れでしょう。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

一部の相続人が相続手続に関わりたくないと無視をしている場合、遺産分割協議ができません。

被相続人の家族から死亡の連絡がされても、手紙を見落としてしまうことがあるでしょう。

遺産分割調停とは、家庭裁判所のアドバイスを受けてする相続人全員の話し合いです。

遺産分割調停の申立てがあった場合、家庭裁判所は相続人を裁判所に呼び出します。

話し合いと言っても、直接顔を合わせて話し合いをするわけではありません。

各相続人が交代で調停委員と話をするだけです。

相続人だけで話し合いをした場合、感情的になってしまうかもしれません。

家庭裁判所の調停委員に話す場合、少し落ち付いて話ができるでしょう。

家庭裁判所の調停委員から公平な意見を根拠にしてアドバイスがされると、納得できるかもしれません。

調停委員から客観的なアドバイスを受けて、相続人全員の合意を目指します。

遺産分割調停のため、家庭裁判所から死亡の連絡がされます。

②自筆証書遺言の検認で呼出し

被相続人が生前に自筆証書遺言を作成していることがあります。

自筆証書遺言とは、遺言者が自分で書いて作った遺言書です。

自筆証書遺言を見つけた人や預かっている人は、家庭裁判所に届出なければなりません。

自筆証書遺言の検認とは、遺言書を開封して確認してもらう手続です。

封がされていない遺言書であっても封筒に入っていない遺言書であっても、検認は必要です。

自筆証書遺言の検認の申立てがあった場合、家庭裁判所は相続人全員を家庭裁判所に呼び出します。

相続人立会いで遺言書を開封してもらって、確認するためです。

自筆証書遺言の検認のため家庭裁判所から呼び出されても、欠席しても差し支えありません。

自筆証書遺言の検認期日に欠席しても、相続できなくなることはありません。

自筆証書遺言の検認の申立てをした人は必ず出席しなければなりません。

申立てをした人以外の人は欠席しても、不利な取り扱いを受けることはありません。

自筆証書遺言の検認のため、家庭裁判所から死亡の連絡がされます。

4法務局から死亡連絡

①自筆証書遺言は法務局で保管してもらえる

被相続人が自筆証書遺言を作成した場合、遺言書は自分で保管するのが原則です。

遺言書を自分で保管すると、紛失してしまう心配があります。

遺言書の保管場所を家族と共有していない場合、家族が遺言書を見つけられないかもしれません。

遺言書の保管場所を家族と共有していた場合、家族が遺言書を破棄・変造する心配があります。

自筆証書遺言は、法務局で保管してもらうことができます。

これが自筆証書遺言保管制度です。

②遺言者が死亡すると通知される

自筆証書遺言保管制度を利用している人が死亡した場合、法務局は通知を出します。

法務局が出す通知は、2種類あります。

指定者通知と関係遺言書保管通知です。

指定者通知とは、遺言者が指定した方への通知です。

法務局が遺言書の死亡を知ったとき、遺言者が指定した方へ通知します。

指定者通知は、遺言者が希望したときだけ実施します。

関係遺言書保管通知は、相続人らが遺言書の閲覧や遺言書情報証明書の交付を受けたときに実施されます。

関係遺言書保管通知は、相続人全員に通知されます。

自筆証書遺言保管制度の利用で、法務局から死亡の連絡がされます。

5遺言執行者から死亡連絡

被相続人が生前に遺言書を作成していることがあります。

遺言書を作成する場合、遺言執行者を選任することができます。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者が就任した場合、相続人に対して遺言書の内容を通知しなければなりません。

被相続人が遺言書で遺言執行者を選任していた場合、遺言執行者から死亡の連絡がされます。

6警察から死亡連絡

①事件や事故で死亡すると警察

被相続人が事件や事故に巻き込まれて死亡することがあります。

自宅などで死亡した後に発見された場合、警察が死亡時の調査をするでしょう。

事故や事件の可能性があるからです。

調査の過程で遺留品などから家族の手掛かりを得て、連絡されることがあります。

遺留品などを見ても家族の詳しい事情は、分からないのが通常です。

血縁関係が近いと思われる人に連絡するでしょう。

事件や事故の可能性がある場合、警察から死亡の連絡がされます。

②引取りは拒否できる

家族が死亡したことの連絡と一緒に、遺体の引取を依頼されるでしょう。

家族や親族であっても、遺体の引取は拒否することができます。

遺体の引取をしないことで、他の親族から心無い言葉をかけられるかもしれません。

法的義務はなくても遺体を引き取らなかったことについて、良心がとがめるかもしれません。

親族との関係性や家庭の事情で異なりますから、落ち着いて判断するといいでしょう。

7市役所から死亡連絡

死亡した人の身元が分からない場合、死亡地の自治体が遺体を引き取ります。

身元が分からない死亡者を行旅死亡人と言います。

行旅死亡人は、行旅病人及行旅死亡人取扱法の規定に基づいて自治体が火葬します。

死亡した人が身分証明書を持っていたとしても、本人と断定できないことがあります。

身元が分からない死亡者と同様に扱われます。

埋火葬の費用は、次の順序で負担します。

(1)死亡した人に遺留金銭や有価証券

(2)不足分は相続人の負担

(3)相続人から支払が得られない場合、死亡した人の扶養義務者の負担

市区町村役場は、戸籍をたどって調査をします。

死亡地の自治体が遺体を引き取った場合、市区町村役場から死亡の連絡がされます。

8関わりたくないから相続放棄

①相続放棄は家庭裁判所で手続

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

被相続人の家族と関わりたくない場合、連絡を無視したくなるかもしれません。

一部の相続人が連絡を無視する場合、相続手続を進めることができなくなります。

連絡に応じるまで、連絡してきます。

連絡を無視すると、いつまででも関わらなければならなくなります。

相続放棄をした場合、被相続人の家族と関わる必要がなくなります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄をする理由は、あまり重要視されません。

相続放棄の理由で多いのは、「被相続人の借金を引き継ぎたくない」です。

その他でも構いません。

「被相続人や他の相続人と疎遠で、関わりたくない」でも差し支えありません。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、相続手続に関わる必要がなくなります。

②相続放棄の期限3か月のスタートは知ってから

相続放棄は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内に申立てをする必要があります。

相続があったことを知ってからとは、必ずしも、被相続人の死亡してからではありません。

被相続人が死亡した後3か月以上経過してから、相続放棄の申立てをして、認められることもあります。

相続放棄ができる3か月以内のスタートは、相続があったことを知ってからだからです。

相続があったことを知らなかった場合、相続放棄ができる3か月がスタートしていません。

このポイントは、相続が発生してから3か月以内に申立てができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらうことです。

被相続人や他の相続人と疎遠になっている場合、相続発生直後に連絡されないことが多いでしょう。

3か月以内に申立てができなかったのは仕方なかったと家庭裁判所が納得できる理由があるときだけは、家庭裁判所も相続放棄を認めてくれるのです。

債権者や市役所などから手紙が来て相続があったことを知った場合、この通知は大切です。

この手紙を見て相続があったことを知ったという証拠になるからです。

9死亡連絡が来ないときは自分で確認できる

相続が発生した場合、死亡連絡がされないことがあります。

遺言書ですべての財産について行き先を決めておいた場合、遺産分割協議は不要でしょう。

被相続人の家族が相続手続をすることができるから、協力が必要になりません。

被相続人が作成していた遺言書が公正証書遺言で、かつ、遺言執行者が選任されなければ、死亡連絡がされないでしょう。

自分の親や祖父母、子ども、孫などは直系親族だから、自分で戸籍謄本を取得することができます。

戸籍謄本を取得することで、死亡しているのか健在なのか自分で確認することができます。

10相続人調査を司法書士に依頼するメリット

本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。

古い戸籍は現在と形式が違っていて読みにくいものです。

手書きの達筆な崩し字で書いてあると、分かりにくいでしょう。

慣れないと戸籍集めはタイヘンです。

本籍地を何度も変更している方や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている方は、戸籍をたくさん渡り歩いているので、膨大な手間と時間がかかることが多くなります。

戸籍には被相続人の結婚や離婚、子どもや養子の存在といった身分関係がすべて記録されています。

家族の方が知らない相続人が明らかになることもあります。

相続人を確定させるために戸籍を集めるだけでも、知識のない一般の人にはタイヘンな作業です。

家族の方が知らない相続人が明らかになると、精神的な負担はさらに大きいものになります。

相続手続のうち、専門家に任せられるものは任せてしまうといいでしょう。

家族の事務負担を軽減することができます。

戸籍や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

相続人調査でお困りの方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

故人の口座から葬儀費用を引き出す方法

2024-09-30

1口座の持ち主が死亡すると口座凍結

①銀行が死亡を知ったタイミングで口座凍結

銀行などの預貯金は、日常生活に欠かせません。

多くの人は、銀行などに預貯金の口座を持っているでしょう。

口座の持ち主が死亡したことを銀行などの金融機関が知った場合、口座の取引を停止します。

口座の凍結とは、口座取引を停止することです。

・ATMや窓口での引出

・年金の振込

・公共料金の引落

上記は、口座取引の一例です。

口座凍結がされると、口座取引ができなくなります。

口座凍結がされるのは、口座の持ち主が死亡したことを銀行が知ったときです。

人が死亡した場合、医師が死亡診断書を作成します。

市区町村役場に、死亡届を提出します。

病院や市区町村役場が自主的に金融機関に連絡することはありません。

病院や市区町村役場は、死亡した人がどの金融機関に口座を持っているのか知らないはずです。

病院や市区町村役場が金融機関に連絡したら、個人情報の漏洩になります。

病院や市区町村役場が個人情報の漏洩をしたら、責任を問われることになるでしょう。

実際は金融機関が口座の持ち主の死亡を知ったときに、口座は凍結されます。

多くは、被相続人の家族が相続財産の確認や相続手続の方法を問い合わせるでしょう。

問合せを受けたときに、持ち主の死亡を知ります。

被相続人の家族が金融機関に問合わせをしたときに、口座は凍結されます。

銀行が口座の持ち主の死亡を知ったタイミングで、口座は凍結されます。

②口座凍結する理由はトラブルに巻き込まれないため

口座の持ち主が死亡したことを銀行が知ったとき、口座は凍結されます。

相続人間のトラブルに銀行が巻き込まれないために、口座は凍結されます。

口座の持ち主が死亡した場合、口座の預貯金は相続人が相続します。

口座の預貯金は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

一部の相続人が勝手に引き出すことはできません。

勝手に引き出した場合、相続人間で大きなトラブルになるでしょう。

仮に、一部の相続人が勝手に引出しができるとしたら、他の相続人から強い抗議がされるでしょう。

銀行は、相続人間のトラブルに巻き込まれることになります。

被相続人の大切な預貯金を守れないとなったら、銀行の信用は失墜するでしょう。

相続人のトラブルに巻き込まれて信用が失墜するなど、銀行は何としても避けたいはずです。

相続人間のトラブルに巻き込まれないため、口座は凍結されます。

③相続手続をするまで口座は凍結されたまま

口座の持ち主が死亡したことを銀行が知ったとき、口座は凍結されます。

相続手続をするまで、口座は凍結されたままです。

時間が経っても、自動で凍結解除されることはありません。

相続人間のトラブルに巻き込まれないため、口座を凍結しているからです。

相続人間のトラブルに巻き込まれる可能性がある間は、口座凍結が続きます。

相続手続をするまで、口座は凍結されたままです。

2預貯金だけ遺産分割協議ができる

①相続人全員の合意で遺産分割協議

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人が相続する財産が相続財産です。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

相続人全員の合意ができれば、どのように分けても問題はありません。

相続人全員の合意で、遺産分割協議を成立させることができます。

②相続財産から葬儀費用を支払える

口座の持ち主が死亡したら、口座の預貯金は相続人が相続します。

口座の預貯金は、相続財産です。

葬儀費用は、相続財産ではありません。

被相続人が生前に葬儀費用を負担することはないからです。

葬儀費用は、被相続人から引き継ぐ費用ではありません。

現実にも被相続人が死亡した後、葬儀業者と葬儀契約をします。

葬儀業者の契約で、葬儀費用が発生します。

だれが葬儀契約をするのか、明確に決まっていません。

裁判所や学者は、次のような意見があります。

(1)相続人全員の負担にする説

(2)喪主が負担する説

(3)相続財産から負担する説

(4)地域の慣習で決める説

被相続人や相続人にそれぞれの事情があるから、一概に決められません。

葬儀費用について遺産分割協議の対象とすることができます。

相続財産以外の財産を含めて遺産分割協議をしても、問題はないからです。

相続人全員が納得して相続人全員が合意できる結論を出すことが重要です。

相続人全員が合意できれば、相続財産から葬儀費用を支払うことができます。

③預貯金だけの遺産分割協議書は有効

遺産分割協議を成立させるためには、相続人全員の合意が不可欠です。

相続人全員の合意ができるのであれば、相続財産全部をまとめて分ける必要はありません。

分けやすい財産だけ、相続人全員で合意することができます。

預貯金についてだけ、相続人全員で合意することができます。

相続財産全部の合意でないからと言って、遺産分割協議が無効になることはありません。

一部の財産についての遺産分割協議は、有効な遺産分割協議です。

合意ができた財産から、合意内容を書面に取りまとめます。

相続財産の分け方について合意内容を取りまとめた書面を遺産分割協議書と言います。

一部の財産についての遺産分割協議書は、有効な遺産分割協議書です。

一部の財産についての遺産分割協議は、有効な遺産分割協議だからです。

預貯金だけの遺産分割協議書は、有効な遺産分割協議書です。

3預金仮払い制度を利用する

①預金仮払いの上限額は最大150万円

銀行などの金融機関に手続をする場合、仮払い上限額の計算式は次のとおりです。

仮払いの上限額=死亡時の預金額×1/3×法定相続分

計算式で求められた上限額が150万円を超えた場合、150万円になります。

預金の金額が少ない場合や法定相続人が多い場合、150万円の仮払いを受けることができません。

仮払いを受ける対象は、預金だけです。

債券や有価証券、株式などは対象外です。

預金仮払いの上限額は、最大150万円です。

②複数の銀行に口座があるとき銀行ごとに計算

銀行口座は、日常生活を送るうえで必要不可欠なものです。

多くの人は、用途や目的に応じて複数の銀行口座を持っているでしょう。

被相続人が複数の金融機関に口座を持っていた場合、それぞれの金融機関で仮払いを受けることができます。

預金仮払いの上限額は、最大150万円です。

最大150万円は、金融機関1つ当たりです。

金融機関が3つあれば、最大450万円です。

一つの銀行の複数の支店に口座を持っていることがあります。

③一つの銀行で複数の支店に口座があるときは最大150万円

被相続人が一つの銀行で複数の支店に口座を持っていることがあります。

一つの銀行で複数の支店に口座を持っている場合、全支店をまとめて仮払いを受けることができます。

全支店まとめて預金仮払いの上限額は、最大150万円です。

仮払いを請求する金融機関は、一つだからです。

④預金仮払いを申請するときの必要書類

銀行に預金仮払いを申請するときの必要書類は、次のとおりです。

(1)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

(2)相続人全員の現在戸籍

(3)仮払いを希望する人の印鑑証明書

金融機関によっては、追加で書類が必要になることがあります。

⑤仮払い額は遺産分割協議で調整

預金者が死亡した場合、預金は相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

相続人全員の合意ができる前に、預金の仮払いを受けていることがあります。

相続財産全体の分け方を決める際に、預金の仮払いを受けたことを考慮することになります。

預金の仮払いを受けたことを考慮して、相続財産の分け方について相続人全員で合意することになります。

預金の仮払いを受ける場合、葬儀の費用や病院の費用を払うことが多いでしょう。

葬儀の費用や病院の費用を払った場合、領収書を保管しておくことが重要です。

葬儀の費用や病院の費用であれば、相続財産から支払うことに同意してもらえるでしょう。

領収書がないと仮払いを受けた相続人が私的に使ったと疑われるからです。

一部の相続人が使い込みをしているとなったら、強い不信感を持つでしょう。

相続では普段目にしないような大きな金額が動きます。

だれもが自分はソンしたくないから、疑心暗鬼になりがちです。

使い込みをしていなくても、他の相続人には使い込みに見えてしまうことがあります。

預金の仮払いを受けることや葬儀などの費用に支払うことは、他の相続人と共有しましょう。

遺産分割協議では、相続人全員の合意が必要です。

⑥遺言書があると仮払いが受けられない

被相続人が生前に遺言書を作成していることがあります。

多くの場合、遺言書で財産の分け方を指定しているでしょう。

遺言書で財産の分け方を指定した場合、遺言書が効力を発したときに財産は分割されます。

遺言書を作成した場合、相続人以外の第三者に財産を遺贈することがあります。

遺言書で預金全額を遺贈した場合、銀行は仮払いに応じられません。

遺言書が効力を発したときに、預金は遺贈を受けた人のものになっているからです。

仮払いに応じたら、遺贈を受けた人の間でトラブルになるのは明白です。

被相続人が遺言書を残した場合、仮払いが受けられなくなります。

⑦家庭裁判所の仮払い制度には調停・審判の申立てが必要

預金の仮払いを受けるには、2つの方法があります。

銀行などの金融機関に手続をする方法と家庭裁判所に手続をする方法です。

どちらかというと、銀行などの金融機関に手続をする方法が簡単です。

家庭裁判所に申立てをして仮払いを受ける方法は、遺産分割調停や遺産分割審判が申立てが条件だからです。

葬儀費用の支払いをするために、遺産分割調停や遺産分割審判を申し立てるのはハードルが高いでしょう。

家庭裁判所の仮払い制度を利用するためには、調停・審判の申立てが必要です。

⑧預金仮払いを受けると相続放棄ができなくなる可能性

相続が発生した後、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続を単純承認した後で、相続放棄をすることはできません。

相続放棄をすることができないように、単純承認も撤回することができないからです。

法律で定められた一定の条件にあてはまるときは、単純承認したとみなされます。

相続財産の名義変更をした、相続財産である銀行の預貯金を引き出して使ってしまった場合が典型的です。

単に、引き出しただけであれば、処分とは言えないことが多いでしょう。

葬儀費用は、ある程度まとまった金額になります。

死亡の時期がだれにも分からないように、葬儀の時期もだれにも予想できません。

被相続人に預貯金があるのに、預貯金が使えないために葬儀を行えないとなったら非常識な結果になります。

相続人は被相続人の預貯金を使って、社会通念上相応の葬儀を行うことができます。

社会通念上相応の葬儀費用である場合、被相続人の預貯金から支出しても単純承認になりません。

葬儀は社会的儀式として必要性が高いと認められているからです。

社会通念上相応の葬儀とは、どのような葬儀を指すのか一概に決めることはできません。

○万円以内なら単純承認にならないという明確な基準があるわけではありません。

相続放棄をした人が社会通念上相応と考えて相続財産から支出した場合であっても、他の人は不相応に高額な支払いと考えるかもしれません。

債権者は、相続放棄をした相続人に対して被相続人に借金の支払いを求めることができません。

相続放棄が無効の場合、相続放棄が無効だから被相続人の借金を支払って欲しいと交渉することができます。

預金の仮払いを受けられるからと言って、被相続人の預金を使うのはリスクを伴います。

あえて債権者から疑いの目を向けられるリスクをおかす必要はありません。

相続放棄をした人が固有の財産から葬儀費用を支払うのが安全です。

被相続人の預金をを使って葬儀費用の支払いをした場合、単純承認になるおそれがあります。

4預貯金の相続手続を司法書士に依頼するメリット

口座を凍結されてしまったら、書類をそろえて手続すれば解除してもらえます。

必要な書類は、銀行などの金融機関によってまちまちです。

手続の方法や手続にかかる期間も、まちまちです。

銀行内部で取扱が統一されていないことも多いものです。

窓口や電話で確認したことであっても、上席の方に通してもらえないことも少なくありません。

相続手続は、やり直しになることが多々あります。

このためスムーズに手続きできないことが多いのが現状です。

日常生活に不可欠な銀行口座だからこそ、スムーズに手続したいと思う方が多いでしょう。

仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続を丸ごとおまかせできます。

ご家族にお世話が必要な方がいて、お側を離れられない方からのご相談もお受けしております。

凍結口座をスムーズに解除したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

登記されていないことの証明書とは

2024-09-29

1 成年後見は本人をサポートする制度

①成年後見は任意後見と法定後見の2種類

認知症や精神障害や知的障害などになると、判断能力が低下します。

物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人もいるでしょう。

成年後見は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができなくなった人をサポートする制度です。

成年後見には、2種類あります。

任意後見と法定後見です。

任意後見と法定後見は、手続の方法がちがいます。

成年後見には、任意後見と法定後見の2種類があります。

②任意後見は当事者の契約

任意後見は、当事者の契約です。

あらかじめ契約で「必要になったら任意後見人になってください」とお願いしておきます。

任意後見人になってもらう人は、自分で決めることができます。

認知症や精神障害や知的障害などで判断能力が低下ときに備えて、信頼できる人にお願いをしておきます。

契約をした時点では、任意後見人は何もすることはありません。

本人が自分でいろいろなことを判断できるからです。

本人が自分で決めることができなくなったとき、任意後見がスタートします。

本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなったとき、家庭裁判所は任意後見監督人を選任します。

任意後見監督人が選任された後、任意後見がスタートします。

任意後見は、当事者の契約です。

③法定後見は家庭裁判所の決定

法定後見は、判断能力が低下した人を保護するため家庭裁判所がサポートする人を決める制度です。

法定後見は、3種類に分かれています。

(1)補助

(2)保佐

(3)後見

法定後見でサポートしてもらう人は、それぞれ(1)被補助人(2)被保佐人(3)成年被後見人と言います。

(1)被補助人は判断能力が不十分な方

(2)被保佐人は判断能力が著しく不十分な方

(3)成年被後見人は判断能力が欠けているのが通常の方

法定後見は、本人の判断能力の程度や心配の度合いに応じて3種類の制度があるということです。

2登記されていないことの証明書とは

①成年後見は登記される

成年後見は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができなくなった人をサポートする制度です。

成年後見制度を利用している人は、自分で判断することができません。

後見人などの保護者が本人のために、契約などの法律行為をします。

本人のために契約するとは言うものの、そのための権限があるのか分かりません。

成年後見制度を利用している人は、登記されています。

後見人などの保護者の権限内容や任意後見契約の内容は、登記事項証明書で確認することができます。

成年後見を利用すると、登記されます。

②成年後見制度を利用していない人は登記されていないことの証明書

成年後見制度を利用していない人は、登記されていません。

成年後見制度を利用していないことを証明してもらうことができます。

登記されていないことの証明書とは、成年後見制度を利用していないことの証明書です。

③登記されていないことの証明書が必要になるとき

登記されていないことの証明書は、さまざまな資格の登録申請で必要になります。

例えば、弁護士、司法書士、行政書士などの登録手続きです。

成年後見制度を利用する人は、物事の良しあしが適切に判断することができません。

資格登録申請において、成年被後見人ではないことを証明する必要があります。

成年被後見人ではないことを証明するため、登記されていないことの証明書を提出します。

〇〇業許可、○○営業許可などの許認可申請でも、同様です。

成年被後見人ではないことを証明するため、登記されていないことの証明書を提出します。

④平成12年3月31日以前は身分証明書で証明

成年後見制度は、平成12年4月1日にスタートしました。

平成12年3月31日以前、禁治産者、準禁治産者で、戸籍に記録されていました。

平成12年3月31日以前の期間について証明してもらいたい場合、登記されていないことの証明書では証明してもらうことができません。

禁治産者、準禁治産者は戸籍に記録されていたから、市区町村役場で証明してもらうことができます。

禁治産者、準禁治産者でないことは、身分証明書(身元証明書)で証明してもらいます。

資格の登録や許認可申請において、成年被後見人ではないことを証明するため登記されていないことの証明書を提出します。

禁治産者、準禁治産者でないことを証明するため身分証明書(身元証明書) を提出します。

登記されていないことの証明書と身分証明書(身元証明書)の両方が必要になります。

3登記されていないことの証明書の取得方法

①申請書はダウンロードできる

登記されていないことの証明申請書は、法務局のホームページに出ています。

ホームページからダウンロードして使うことができます。

②申請できる人

登記されていないことの証明申請書を提出することができるのは、次の人です。

(1)証明対象者本人

(2))証明対象者本人の4親等内の親族

(3)上記(1)(2)の人から委任を受けた人

③申請書の提出先

登記されていないことの証明申請書の提出先は、次のとおりです。

(1)東京法務局後見登録課

(2)全国の法務局、地方法務局本局の戸籍課

愛知県であれば、名古屋法務局本局のみです。

名古屋市内には、熱田出張所や名東出張所があります。

熱田出張所や名東出張所では、登記されていないことの証明書の申請書は受け付けてもらえません。

名古屋市外にある各支局でも、登記されていないことの証明書の申請書は受け付けてもらえません。

④郵送で申請できる

登記されていないことの証明申請書の提出先は、愛知県であれば、名古屋法務局本局のみです。

名古屋法務局本局に、出向くのは難しい人もいるでしょう。

登記されていないことの証明書の申請書は、郵送で提出することができます。

郵送で提出する場合は、東京法務局後見登録課のみの対応です。

郵送先

〒102-8226

東京都千代田区九段南1-1-15

九段第2合同庁舎

東京法務局 民事行政部

後見登録課 あて

名古屋法務局本局に郵送しても、受け付けてもらえません。

⑤本人が申請するときの必要書類

本人が申請する場合、登記されていないことの証明申請書には、次の書類を添付します。

(1)本人確認書類

運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード等です。

郵送請求をする場合、コピーを提出します。

⑥4親等内の親族が申請するときの必要書類

4親等内の親族が申請する場合、登記されていないことの証明申請書には、次の書類を添付します。

(1) 4親等内の親族の本人確認書類

運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード等です。

(2) 4親等内の親族であることが分かる書類

発行から3か月以内の戸籍謄本や住民票です。

住民票には、続柄の記載が必要です。

⑦代理人に依頼するときの必要書類

登記されていないことの証明申請書の提出を代理人に依頼する場合、上記に追加して次の書類が必要です。

(1) 代理人の本人確認書類

運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード等です。

(2)委任状

(3)代理人が法人の場合、代表者資格証明書

代表者資格証明書は、発行から3か月以内のものが必要です。

登記されていないことの証明申請書に会社法人番号を記載した場合、代表者資格証明書の提出を省略することができます。

⑧手数料300円は収入印紙で納入

登記されていないことの証明申請書の手数料は、1通につき300円です。

手数料は、収入印紙を貼り付けて納入します。

収入印紙は、貼り付けるだけで割印はしません。

名古屋法務局本局で手続をする場合、収入印紙は2階の収入印紙売りさばき窓口で購入することができます。

⑨登記されていないことの証明申請書は押印不要

登記されていないことの証明申請書は、申請人も代理人も押印不要です。

代理人が登記されていないことの証明申請書を提出する場合、委任状を提出します。

委任状への押印も廃止されました。

4成年後見開始の申立てを司法書士に依頼するメリット

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人もいるでしょう。

ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

本人自身も不安になりますし、家族も不安になります。

身のまわりの不自由を補うために、身近な家族がお世話をすることが多くなるでしょう。

成年後見の申立ては家庭裁判所へ手続が必要です。

身のまわりのお世話をしている家族が本人の判断能力の低下に気づくことが多いです。

身のまわりのお世話をしながら、たくさんの書類を用意して煩雑な手続をするのは負担が大きいでしょう。

司法書士は、裁判所に提出する書類作成もサポートしております。

成年後見開始の申立てが必要なのに忙しくて手続をすすめられない方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

税金を滞納したまま死亡したときの相続

2024-09-27

1滞納者が死亡しても支払免除にならない

①プラスの財産とマイナスの財産を相続する

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人が相続する財産が相続財産です。

被相続人の財産には、さまざまな種類の財産があるでしょう。

相続財産というと、プラスの財産だけをイメージしがちです。

例えば、不動産、預金、株式や投資信託などの有価証券、現金などです。

実際は、プラスの財産とマイナスの財産の両方が相続財産です。

マイナスの財産とは、借金やローンなどです。

相続人は、プラスの財産とマイナスの財産の両方を相続します。

②滞納している税金は相続人に支払義務

被相続人が税金を滞納したまま、死亡することがあります。

滞納している税金の支払義務は、相続財産です。

相続人は、被相続人が滞納した税金を相続します。

税金を滞納したまま滞納者が死亡しても、支払免除にはなりません。

滞納した税金は、マイナスの財産と言えます。

相続人は、プラスの財産とマイナスの財産の両方を相続します。

被相続人が滞納した税金は、相続人に支払義務があります。

③相続する税金の典型例

滞納する税金の典型例は、次のとおりです。

(1)住民税

(2)国民健康保険税

(3)固定資産税・都市計画税

(4)所得税

税金の滞納があるのか分からない場合、税務署や役所の税務課に確認することができます。

④納税義務承継通知書が届く

税金を滞納したまま死亡した場合、課税権者は相続人を調査することができます。

課税権者とは、税務署や市区町村など税金を徴収する権限がある公的機関のことです。

課税権者は、市区町村から滞納者の戸籍謄本を取り寄せて相続人を調査します。

相続人が判明したら、納税義務承継通知書を送付します。

納税義務承継通知書とは、納税義務が通知書の受取人に承継されたことのお知らせです。

納税通知書には、次の項目が書かれています。

(1)納税義務が継承された旨

(2)税金の滞納額

(3)納税義務の割合

(4)請求期限

さまざまな家族の事情から、被相続人と疎遠になっていることがあるでしょう。

納税義務承継通知書が届くことで、自分が相続人であることを知るかもしれません。

税金を滞納したまま死亡した場合、納税義務承継通知書が届きます。

2遺産分割協議は内部的取り決め

①滞納している税金を相続する人を決めることができる

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

相続財産の分け方を決めるため相続人全員でする話し合いを遺産分割協議と言います。

被相続人が税金を滞納していた場合、滞納していた税金は相続財産です。

滞納していた税金をだれが相続するのか、相続人全員で話し合いをすることができます。

相続人全員で合意ができたら、書面に取りまとめます。

相続人全員の合意内容を取りまとめた書面を遺産分割協議書と言います。

遺産分割協議書の内容に問題がないか相続人全員に確認してもらいます。

問題がなければ、相続人全員が記名し実印で押印します。

遺産分割協議書の押印が実印によることを証明するため、印鑑証明書を添付します。

遺産分割協議で滞納している税金を相続する人を決めることができます。

②相続する人を決めても税金の支払義務がある

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

相続人全員の合意で、滞納していた税金を相続する人を決めることができます。

滞納していた税金を相続する人を決めても、相続人全員に税金の支払義務があります。

相続人全員の合意は、相続人同士の内部的合意事項だからです。

遺産分割協議書に記名し実印で押印しても、相続人以外の人には何の効力もありません。

相続人間のトラブルを防止するために、遺産分割協議書を作成することに意味があります。

遺産分割協議で相続する人を決めても、相続人全員に税金の支払義務があります。

③相続人全員に税金の支払義務がある理由

仮に、相続人に税金の支払義務がないとすると不都合な結果になります。

相続人には、さまざまな経済状況の人がいるでしょう。

資力がある人も資力がない人もいます。

中には債務超過に陥っている相続人がいることがあります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

債務超過の相続人が滞納している税金を相続する合意をするかもしれません。

自分の債務だけで債務超過になっているのに、滞納している税金を負担することになります。

自分の債務と滞納している税金の両方は、払えないでしょう。

債務超過の人は、自己破産することになります。

自己破産したら、滞納している税金は払うことはできません。

他の相続人はプラスの財産を受け取っておきながら、滞納していた税金は払われません。

税金をきちんと払っている納税者から見ると、理不尽な結果となります。

このような理不尽を許さないため、相続人全員に税金の支払義務があります。

④相続人全員が法定相続分で納税

相続人になる人は、法律で決まっています。

相続人が相続する相続分も、法律で決まっています。

各相続人が引き継ぐのは、滞納していた税金の法定相続分のみです。

相続人全員が法定相続分で滞納していた税金を納めます。

3税金の滞納を放置したら

①滞納処分が開始される

税金を納めないまま放置すると、滞納処分が開始されます。

滞納処分とは、納税者の意思に関わらず強制的に税金を取り立てるための手続です。

通常、財産を差押え、差押えた財産を換価し、税金に充当する一連の手続です。

被相続人が税金を滞納していた場合、滞納処分が開始していることがあります。

税金滞納者であった被相続人に滞納処分が開始していた場合、相続人が滞納処分を引き継ぎます。

滞納者が死亡しても、滞納処分の効果が失われるものではないからです。

税金を滞納したまま放置すると、滞納処分が開始されます。

②滞納処分の流れ

滞納処分は、納税者の意思に関わらず強制的に税金を取り立てるための手続です。

滞納処分の基本的な流れは、次のとおりです。

(1)督促状の送付

納期限を過ぎても納付がされない場合、督促状が送付されます。

督促状の送付は、滞納処分の前提の処分です。

納期限が過ぎると、延滞税が課されます。

延滞税だけの滞納も、滞納処分の対象です。

(2)文書や電話で催告

督促状が送付されても納付されない場合、文書や電話で納税催告がされます。

納税担当者と納付交渉で、分割納付や納付猶予が認められることがあります。

多くの場合、納付猶予が認められるのは、災害などの一定の理由が必要です。

(3)財産調査

文書や電話で催告しても納付されない場合、財産調査が行われます。

調査対象は、金融機関や勤務先、取引先などです。

財産調査をするにあたって、滞納者の承諾は不要です。

滞納処分は、納税者の意思に関わらず強制的に税金を取り立てるための手続だからです。

金融機関や勤務先、取引先は、財産調査に協力しなければなりません。

個人情報であることを理由に、協力を拒むことはできません。

(4)財産の差押

財産調査で滞納者の財産が判明したら、差押がされます。

差押えられた財産は、滞納者の意思に関わらず財産処分ができなくなります。

金銭的価値がある財産はすべて、差押の対象になります。

(5)換価処分し配当

差押えた財産は、強制的に換価されます。

例えば、不動産であれば競売し売却代金は滞納している税金に充当されます。

滞納してる税金に充当しても残余があれば、滞納者に配当されます。

③相続人の財産に差押がされる

被相続人が税金を滞納したまま死亡した場合、税金の支払義務は相続人が相続します。

滞納している税金の支払義務は、相続人に引き継がれます。

相続人が滞納した税金を放置していた場合、滞納処分が開始されます。

被相続人が滞納していた税金のために、相続人の財産が差し押さえられるかもしれません。

税金の支払義務は、相続人に引き継がれたからです。

自分の税金はきちんと納めているのに、という言い訳は通用しません。

被相続人から引き継いだ税金についても、支払義務があるからです。

被相続人が滞納した税金を放置したら、相続人の財産が差押えられます。

4相続放棄で滞納している税金を免れる

①3か月以内に家庭裁判所で手続

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を選択した場合、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する申立てをします。

相続放棄には、期限があります。

相続があったことを知ってから、3か月以内です。

相続があってから長期間経過した後、納税義務承継通知書が届くことがあります。

納税義務承継通知書が届いたことで、相続があったことを知るかもしれません。

納税義務承継通知書が届いたことで相続があったことを知った場合、納税義務承継通知書は重要です。

相続があったことを知ってから3か月以内であることを証明する証拠だからです。

相続放棄を希望する場合、3か月以内に家庭裁判所に手続をします。

②相続放棄をしたら他の財産は相続できない

相続放棄をしたら、はじめから相続人でなくなります。

マイナスの財産を相続しないし、プラスの財産を相続しません。

被相続人の滞納した借金を相続しないし、他の財産も相続しません。

相続放棄をしたら、他の財産は相続できなくなります。

③相続放棄は撤回できない

相続人は、相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続を単純承認するか相続放棄をするか選択した後は、撤回することはできません。

仮に撤回を認めると、相続が混乱するからです。

家庭裁判所で相続放棄が認められた後、撤回することはできません。

④単純承認をすると相続放棄は無効

家庭裁判所で相続放棄が認められても、実際は無効であることがあります。

単純承認をしたのに、相続放棄の申立てをすることがあるからです。

被相続人の財産を処分したり利用したりした場合、単純承認と見なされます。

相続放棄を希望しているのに、相続人が被相続人の財産を処分したり利用したりすることがあります。

相続人が自覚せずに、被相続人の財産を処分したり利用したりすることがあるでしょう。

相続人が自覚していなくても被相続人の財産を処分したり利用したりした場合、単純承認と見なされます。

単純承認をした後に家庭裁判所が相続放棄を認める決定をしても、無効の決定です。

単純承認をすると、相続放棄は無効になります。

⑤相続放棄で次順位相続人に支払義務

相続人になる人は、法律で決められています。

相続人が相続放棄をした場合、はじめから相続人でなくなります。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

子どもが相続放棄をした場合、子どもは相続人でなくなります。

子ども全員が相続放棄をした場合、子どもはいない場合になります。

子どもがいない場合、相続人になるのは親などの直系尊属です。

相続放棄で次順位の人が相続人になります。

滞納していた税金は、次順位の人が相続します。

滞納していた税金の支払義務があると聞いたら、びっくりするでしょう。

相続放棄をしても、次順位の人に知らせる義務はありません。

知らせる義務がなくても、知らせてあげると親切でしょう。

相続放棄で、次順位相続人が支払義務を負うからです。

⑥相続放棄をしても死亡保険金は受け取れる

被相続人が死亡した場合に、生命保険の死亡保険金が支払われることがあります。

原則として生命保険の保険金を受け取る権利は、相続人の固有の財産です。

受取人が「相続人」と指定してあっても、相続で受け取るものではありません。

被相続人の死亡をきっかけにして、保険契約によって受取人が保険金を受け取るものです。

多くの場合、被相続人は生前に生命保険の死亡保険金を受け取る権利を持っていなかったでしょう。

相続によって、被相続人から受け継いだものではありません。

相続人の固有の財産だから、相続放棄をした人は生命保険の保険金を受け取ることができます。

生命保険の保険金を受け取ったことで、相続放棄が無効になることはありません。

5相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄は、チャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできます。

高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続が発生してから3か月以内に手続ができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらうことが重要です。

家庭裁判所に対して、上申書や事情説明書という書類を添えて、説得します。

家庭裁判所が知りたいことを無視した作文やダラダラとした作文では認めてもらうことは難しいでしょう。

司法書士であれば、家庭裁判所に認めてもらえるポイントを承知しています。

認めてもらえやすい書類を作成することができます。

相続放棄を考えている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

代襲相続があるときの法定相続情報一覧図

2024-09-26

1法定相続情報一覧図があると便利

相続が発生すると、相続人は多くの役所や銀行などの金融機関などで相続手続をすることになります。

相続手続のたび、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍と相続人の現在戸籍の束を提出しなければなりません。

大量の戸籍を持ち歩くと汚してしまったり、紛失する心配があるでしょう。

受け取る役所や銀行などの金融機関にとっても、戸籍謄本の束を読解するのは手間のかかる事務です。

被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのか一目で分かるように家系図のように取りまとめてあると便利です。

この家系図と戸籍謄本等を法務局に提出して、登記官に点検してもらうことができます。

登記官は内容に問題がなかったら、地模様の入った専用紙に認証文を付けて印刷して、交付してくれます。

これが法定相続情報証明制度です。

登記官が地模様の入った専用紙に印刷してくれた家系図のことを法定相続情報一覧図と言います。

多くは家系図のように書きますが、相続人をずらっと書き並べることもできます。

税務申告など連記式の法定相続情報一覧図は提出できない場合があるので、作成前によく確認しましょう。

2代襲相続と数次相続のちがい

①代襲相続は相続人が先に死亡

代襲相続も数次相続も、相続が複雑になる代表例です。

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

代襲相続は、相続が発生する「前」に、相続人が死亡した場合です。

数次相続は、相続が発生した「後」に、相続人が死亡した場合です。

②数次相続は相続人が後に死亡

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

共有財産になった相続財産は、相続人全員で話し合いによる分け方の合意が不可欠です。

相続財産の分け方について、話し合いがまとまる前に、相続人が死亡して新たな相続が発生することがあります。

最初の相続の手続中に相続人が死亡して、さらに相続が発生した状態を数次相続と言います。

数次相続は、どこまででも続きます。

どこまで続くかについて、法律上の制限はありません。

最初の相続を一次相続、相続人が死亡した相続を二次相続と言います。

二次相続の相続人が死亡すると、三次相続、さらに、四次相続、五次相続という場合もあります。

相続人が死亡して新たな相続が発生することを、まとめて、数次相続と言います。

代襲相続では、死亡した相続人の直系卑属が最初の相続の遺産分割協議に参加します。

数次相続では、死亡した相続人の相続人が最初の相続の遺産分割協議に参加します。

3代襲相続があるときの法定相続情報一覧図の書き方

①代襲相続があるときはひとつの法定相続情報一覧図

代襲相続とは、相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもが相続することです。

相続人になるはずだった人とその子どもも被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもの子どもが相続します。

代襲相続が複数発生している場合であっても、ひとつの法定相続情報一覧図に取りまとめます。

代襲相続人は、相続人だからです。

②被代襲者の氏名は記載できない

代襲相続では、相続人になるはずだった人が先に死亡しています。

相続人になるはずだった人を被代襲者と言います。

被相続人より先に死亡した子どもは、「被代襲者」と記載して死亡年月日を記載します。

被代襲者の名前を記載することはできません。

被代襲者は被相続人より先に死亡しているから、相続とは関係がないからです。

被代襲者の氏名は記載したら、書き直しになります。

③相続人が廃除されたら法定相続情報一覧図に記載できない

相続人が廃除された場合にも、代襲相続は発生します。

相続人が廃除された場合、法定相続情報一覧図に記載することはできません。

廃除された場合、相続人になることはできないからです。

相続人が廃除された場合、戸籍謄本で確認することができます。

戸籍謄本で確認することができるから、法定相続情報一覧図に記載した場合、書き直しになります。

廃除された相続人は、被代襲者と記載することもできません。

廃除された相続人の代襲相続人を記載することもできません。

④相続人が欠格になっても法定相続情報一覧図に記載する

相続人が欠格になった場合、法定相続情報一覧図に記載します。

相続人が欠格になった場合、戸籍に記載されないからです。

戸籍謄本で確認することができないから、法定相続情報一覧図に記載しない場合、書き直しになります。

相続人が欠格になった場合、相続人になることはできません。

欠格に該当する証明書を添付しても、相続欠格であることを記載することはできません。

欠格になった相続人は、被代襲者と記載することもできません。

廃除された相続人の代襲相続人を記載することもできません。

⑤相続人が相続放棄をしても代襲相続しない

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する申立てをします。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄が認められた場合、法定相続情報一覧図に記載します。

相続放棄は、戸籍に記載されないからです。

戸籍謄本で確認することができないから、法定相続情報一覧図に記載しない場合、書き直しになります。

相続放棄が認められた場合、相続放棄をした人の子どもは代襲相続しません。

相続放棄は、代襲原因ではないからです。

⑥2枚に渡る法定相続情報一覧図を作成することができる

法定相続情報一覧図に記載する相続人がたくさんいる場合、1枚の紙に書き切れません。

2枚以上に渡る法定相続情報一覧図を作成することができます。

1/2、2/2と書いて複数枚であることを明示します。

書き切れない相続関係に「2/2の①に続く」と書いておくと分かりやすいでしょう。

4配偶者は代襲相続できない

①配偶者が先に死亡しても配偶者の連れ子は代襲相続しない

被代襲者になるのは、子どもや兄弟姉妹だけです。

配偶者は、被代襲者になることはできません。

配偶者の連れ子は、代襲相続人になることはできません。

配偶者は、被代襲者になることはできないからです。

配偶者の連れ子は、被相続人の卑属ではありません。

被相続人の卑属ではないから、配偶者の連れ子が代襲相続人になることはできません。

配偶者の連れ子は、直接の相続人になることもありません。

子どもがいる人と結婚した場合、連れ子と同居していても親子関係はありません。

親子関係を作りたい場合、養子縁組をする必要があります。

養子縁組をしたら、被相続人の子どもになります。

子どもとして、直接の相続人になることができます。

配偶者が被相続人より先に死亡した場合、配偶者は相続人ではありません。

配偶者が被相続人より先に死亡しても、配偶者の連れ子は代襲相続しません。

配偶者は、代襲相続と無関係です。

先に死亡した配偶者と死亡した配偶者の連れ子は、法定相続情報一覧図に記載することはできません。

②配偶者が先に死亡しても配偶者の兄弟姉妹は代襲相続しない

被代襲者になるのは、子どもや兄弟姉妹だけです。

配偶者は、被代襲者になることはできません。

配偶者の兄弟姉妹が代襲相続人になることはできません。

配偶者は、被代襲者になることはできないからです。

配偶者の兄弟姉妹は、被相続人の卑属ではありません。

被相続人の卑属ではないから、配偶者の兄弟姉妹が代襲相続人になることはできません。

配偶者が被相続人より先に死亡した場合、配偶者は相続人ではありません。

配偶者が被相続人より先に死亡しても、配偶者の兄弟姉妹は代襲相続しません。

配偶者は、代襲相続と無関係です。

先に死亡した配偶者と死亡した配偶者の兄弟姉妹は、法定相続情報一覧図に記載することはできません。

③子どもが先に死亡しても子どもの配偶者は代襲相続しない

代襲相続人になることができるのは、被代襲者の子どもなど直系卑属だけです。

配偶者は、代襲相続人になることはできません。

被相続人の子どもが被相続人より先に死亡している場合、被相続人の子どもの配偶者は代襲相続をすることができません。

配偶者は、代襲相続人になることはできないからです。

子どもの配偶者は、被相続人の卑属ではありません。

被相続人の卑属ではないから、子どもの配偶者が代襲相続人になることはできません。

子どもの配偶者は、直接の相続人になることもありません。

被相続人と被相続人の子どもの配偶者が同居していても結論は同じです。

被相続人の子どもが被相続人より先に死亡した場合、被相続人の子どもは相続人ではありません。

被相続人の子どもが被相続人より先に死亡しても、被相続人の子どもの配偶者は代襲相続しません。

配偶者は、代襲相続と無関係です。

先に死亡した被相続人の子どもと死亡した子どもの配偶者は、法定相続情報一覧図に記載することはできません。

④兄弟姉妹が先に死亡しても兄弟姉妹の配偶者は代襲相続しない

代襲相続人になることができるのは、被代襲者の子どもなど直系卑属だけです。

配偶者は、代襲相続人になることはできません。

被相続人の兄弟姉妹が被相続人より先に死亡している場合、被相続人の兄弟姉妹の配偶者は代襲相続をすることができません。

兄弟姉妹の配偶者は、被相続人の卑属ではありません。

被相続人の卑属ではないから、兄弟姉妹の配偶者が代襲相続人になることはできません。

被相続人の兄弟姉妹が被相続人より先に死亡した場合、被相続人の兄弟姉妹は相続人ではありません。

被相続人の兄弟姉妹が被相続人より先に死亡しても、被相続人の兄弟姉妹の配偶者は代襲相続しません。

配偶者は、代襲相続と無関係です。

先に死亡した被相続人の兄弟姉妹と死亡した兄弟姉妹の配偶者は、法定相続情報一覧図に記載することはできません。

5相続関係説明図と法定相続情報一覧図の作成を司法書士に依頼するメリット

相続関係説明図は比較的自由に相続に関係する事項を記入することができます。

手続先の人が見やすいものを作る必要があります。

法定相続情報一覧図は、法務局が確認して認証文を入れてもらうものです。

法定相続情報一覧図は、書き方に細かいルールがあります。

これらの違いを理解して、ポイントを押さえて作成する必要があります。

相続人確定のため、戸籍謄本の収集や遺産分割協議書の作成もあります。

戸籍謄本等の取り寄せも含めて、丸ごと手続をおまかせいただけます。

仕事や家事で忙しい人や高齢、療養中などで手続が難しい人は、手続をまるっと依頼できます。

家族にお世話が必要な人がいて、おそばを離れられない方からのご相談もお受けしております。

間違いのない相続関係説明図の作成や法定相続情報一覧図の作成を考えている方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

消費者金融の借金があるのに死亡

2024-09-26

1消費者金融の借金は相続財産

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②返済義務があるのは債務者だけ

お金を借りたら、借りたお金は返さなければなりません。

原則として、消費者金融の契約には保証人は不要です。

保証人とは、お金が返せなくなったときに肩代わりをする人です。

保証人には、肩代わりをする義務があります。

返済義務があるのは、債務者だけです。

たとえ債務者の家族であっても保証人でなければ、肩代わりをする義務はありません。

ドラマや映画の中では、家族の借金だから返済して当然などと言って取立てをしていることがあります。

債務者が返済に行き詰っても、家族には借金を返済する義務も肩代わりの義務もありません。

返済義務があるのは、債務者だけです。

③債務者が死亡しても契約はなくならない

債務者が生きている間、返済義務があるのは債務者だけです。

債務者が死亡した場合、契約は相続の対象になります。

債務者が借金苦を理由に死亡しても、契約は消えてなくなりません。

住宅ローンの債務者が死亡した場合、団体信用生命保険の保険金でローンが完済になります。

奨学金を受けていた奨学生が死亡した場合、奨学金の返済は認められれば免除されることがあります。

消費者金融の借金は、債務者が死亡しても返済が免除されることはありません。

債務者が死亡しても、契約はなくならないからです。

④消費者金融の借金は相続人が相続する

債務者が死亡した場合、契約は相続の対象になります。

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

被相続人のプラスの財産とマイナスの財産が相続財産です。

消費者金融の借金は、相続財産のひとつです。

消費者金融の借金は、法定相続分で相続人が相続します。

2消費者金融の借金を調べる方法

①自宅で書類を探す

相続が発生した後に遺品整理をしていると、借入明細書や督促状が見つかることがあります。

多くの場合、被相続人が生前に銀行の預貯金口座を保有していたでしょう。

預貯金の通帳を記帳すると、消費者金融の引落が見つかることがあります。

消費者金融の引落が見つかったら、借り入れの状況を尋ねるといいでしょう。

自宅保管している書類を探すことで、被相続人の借金が判明します。

②信用情報機関に開示請求をする

消費者金融から借金があるかもしれないと不安になることがあります。

被相続人と別居している場合、詳しい財産状況は分からないことが多いでしょう。

被相続人に借金があるかもしれないと不安な場合、信用情報機関に照会することができます。

信用情報は、個人情報の一部です。

信用情報には、本人を特定するための情報とローンやクレジットなどの取引内容、返済状況に関する情報があります。

消費者金融やクレジット会社は、指定信用情報機関に加入しています。

信用情報を確認すると、ローンやクレジットなどの取引内容、返済状況が詳しく分かります。

(1)日本信用情報機構(JICC)

(2)株式会社シー・アイ・シー(CIC)

(3)全国銀行協会全国銀行個人信用情報センター(KSC)

消費者金融やクレジット会社が複数の信用情報機関に加入していることがあります。

信用情報機関は、信用情報を相互に共有することができます。

信用情報は、本人や本人の相続人が開示請求をすることができます。

信用情報機関に開示請求をすることで、被相続人の借金を調べることができます。

3相続放棄で借金の相続を免れる

①相続放棄は家庭裁判所の手続

債務者が死亡しても、借金を返済する義務はなくなりません。

消費者金融の借金は、相続財産です。

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する申立てをします。

家庭裁判所の手続をせずに、相続放棄をすることはできません。

相続放棄の期限は、相続があったことを知ってから3か月です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

消費者金融に莫大な借金があっても、相続放棄をして借金を免れることができます。

②相続放棄をしても契約はなくならない

相続放棄をしたら、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄が認められても、契約は消えてなくなりません。

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

子どもが相続放棄をしたら、はじめから相続人でなくなります。

子ども全員が相続放棄をしたら、子どもがいない場合になります。

被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

子どもに相続放棄が認められても、契約は消えてなくならないからです。

相続人が相続放棄をすると、次順位の人が相続人になります。

次順位の人も相続放棄を希望するのであれば、家庭裁判所に対して手続をする必要があります。

相続放棄をしても、借金を返済する義務はなくなりません。

③相続人全員が相続放棄できる

相続人になる人は、法律で決まっています。

相続放棄は、多くの場合、被相続人のマイナスの遺産を引き継がないために行われます。

相続人が全員相続放棄をしたら、被相続人の借金なのに、だれも責任をとらないことになります。

だれも責任をとらないことに対して、後ろめたく思う人もいるかもしれません。

相続放棄は、相続人ひとりひとりが自分の意思で自由に判断できるものです。

結果として、相続人全員が相続放棄を選択することになっても、法律上、やむを得ないことです。

配偶者と子ども全員が相続放棄をした場合、次順位の親などの直系尊属が相続人になります。

親などの直系尊属全員が相続放棄をした場合、次順位の兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹全員が相続放棄をした場合、次順位の相続人はいません。

借金がどこまでも無限に追いかけてくることはありません。

だれが相続人になるかについては、法律で決められているからです。

相続人全員が相続放棄をした場合、相続人不存在になります。

相続人不存在になっても、相続人でない人が借金の返済を迫られることはありません。

相続人全員が相続放棄をすることができます。

④単純承認をすると相続放棄は無効になる

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

消費者金融の莫大な借金があっても、相続することはありません。

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

単純承認したとみなされる行為は、法律で定められています。

相続財産の名義変更をした、相続財産である銀行の預貯金を引き出して使ってしまった場合が典型的です。

単純承認をしたのに、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する申立てをすることがあります。

単純承認をした後に、相続放棄をすることはできません。

相続放棄はできないのに、家庭裁判所に相続放棄の手続をして、相続放棄が認められても無効です。

相続放棄の申立てがあった場合、家庭裁判所は提出した書類を見て審査をします。

提出書類に問題がなければ、相続放棄を認める決定をしてしまいます。

家庭裁判所で相続放棄が認められても、無効の決定です。

単純承認をした場合、債権者は相続放棄は無効だから借金を返済して欲しいと裁判を起こすことができます。

単純承認をすると、相続放棄は無効になります。

⑤相続放棄をしても生命保険の死亡保険金

被相続人に生命保険がかけてある場合、死亡保険金が支払われます。

原則として生命保険の保険金を受け取る権利は、相続人の固有の財産です。

受取人が「相続人」と指定してあっても、相続で受け取るものではありません。

被相続人の死亡をきっかけにして、保険契約によって受取人が保険金を受け取るものです。

多くの場合、被相続人は生前に生命保険の死亡保険金を受け取る権利を持っていなかったでしょう。

相続によって、被相続人から受け継いだものではありません。

相続人の固有の財産だから、相続放棄をした人は生命保険の保険金を受け取ることができます。

生命保険の保険金を受け取ったことで、相続放棄が無効になることはありません。

相続放棄をした場合、消費者金融の借金を引き継ぐことはありません。

相続放棄をしても、生命保険の死亡保険金を受け取ることができます。

債務者の家族であっても、生命保険の死亡保険金で債務者の借金を返済する義務はありません。

4消滅時効が完成しても借金の請求

①消滅時効の援用で借金から免れる

被相続人の借金が相当古いものであることがあります。

相当古い借金である場合、時効が完成するために必要な期間を経過しているかもしれません。

時効完成後の借金は、消滅時効を援用することで返済を免れることができます。

消費者金融は消滅時効が完成した借金であっても、請求してくることがあります。

消滅時効が完成するために必要な期間を経過しても、借金はなくなったわけではないからです。

債務者が消滅時効の利益を受けることを潔しとするか、分からないと言う理由もあります。

債務者が消滅時効の利益を受けることを希望する場合、時効援用の意思表示をする必要があります。

②時効援用でプラスの財産を相続

消費者金融の借金が時効消滅している場合、相続人は消滅時効を援用することができます。

被相続人に莫大なマイナスの財産と莫大なプラスの財産があることがあります。

莫大なマイナスの財産の時効消滅を援用したら、マイナスの財産を引き継ぐことなくプラスの財産を引き継ぐことができます。

③債務承認で時効が更新される

債務者に相続が発生したら、消費者金融は戸籍謄本等で相続人を調査することができます。

相続人に借金を返済してもらおうと考えて、連絡してくることがあります。

時効援用の意思表示をする前に債務承認をした場合、時効は更新されます。

例えば、次のような行為があると時効が更新されます。

・借金の一部の返済

・借金の返済猶予の申出

・借金の分割払いの申出

時効が更新されると、消滅時効の利益を受けることができなくなります。

被相続人に古い借金がある場合、慎重な対応が必要です。

④消滅時効を援用すると単純承認になる

消滅時効を援用することは、相続財産の処分行為です。

相続財産を処分した場合、相続を単純承認したと判断されます。

ひょっとしたら他にも莫大な借金が見つかるかもしれません。

新たに見つかった借金は、時効消滅していない可能性があります。

単純承認をした後に、相続放棄をすることはできません。

相続放棄は撤回できないように単純承認も撤回することができないからです。

被相続人に古い借金がある場合、慎重な対応が必要です。

5消費者金融の借金を残して死亡したときの相続を司法書士に依頼するメリット

大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。

やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いものです。

相続財産と聞くと、プラスの財産だけイメージしがちです。

被相続人の財産内容を家族が詳細に知っていることは、ほとんどありません。

相続手続の過程で被相続人に借金があったことを知ることになります。

消費者金融の借金は、想像以上に高額になることがあります。

司法書士が、必要な手続や適切な対応についてサポートします。

相続手続を済ませていない方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

離婚再婚した人の法定相続情報一覧図

2024-09-26

1法定相続情報一覧図は便利

相続が発生すると、相続人は多くの役所や銀行などの金融機関などで相続手続をすることになります。

相続手続のたびに、たくさんの戸籍が必要になります。

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍と相続人の現在戸籍の束を提出します。

大量の戸籍を持ち歩くと、汚してしまったり紛失したりする心配があるでしょう。

受け取る役所や銀行などの金融機関にとっても、戸籍謄本の束を読解するのは手間のかかる事務です。

被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのか一目で分かるように家系図のように取りまとめてあると便利です。

この家系図と戸籍謄本等を法務局に提出して、登記官に点検してもらうことができます。

登記官は内容に問題がなかったら、地模様の入った専用紙に認証文を付けて印刷して、交付してくれます。

これが法定相続情報証明制度です。

登記官が地模様の入った専用紙に印刷してくれた家系図のことを法定相続情報一覧図と言います。

多くは家系図のように書きますが、相続人をずらっと書き並べることもできます。

税務申告など連記式の法定相続情報一覧図は提出できない場合があります。

作成前に、よく確認しましょう。

2父母が離婚しても子どもは相続人

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

誰が相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

だから、子どもがいるのに、親などの直系尊属が相続人になることはないのです。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

子どもがいたが被相続人より先に死亡していた場合、子どもの子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

兄弟姉妹が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹の子ども

②父母が離婚しても子どもは相続人になる

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

実の子どもはもちろんのこと、子どもです。

養子縁組した養子は、子どもです。

認知した子どもは、子どもです。

出生前の胎児も、子どもです。

離婚した後、元配偶者が引き取った子どもも、子どもです。

子どもは、相続人になります。

被相続人が離婚しても、子どもであることには変わりません。

親権をどちらが持っていたとしても、子どもでなくなることはありません。

長年音信不通であったとしても、子どものままです。

子どもは、相続人になります。

被相続人の子どもが第三者を養親とする養子縁組をすることがあります。

普通養子による養子縁組であれば、相続人になります。

普通養子による養子縁組は、実親との親子関係が存続するからです。

特別養子による養子縁組であれば、相続人になりません。

特別養子による養子縁組は、実親との親子関係がなくなるからです。

③再婚後に生まれた子どもは相続人になる

被相続人が再婚した後に、子どもが誕生することがあります。

再婚後に誕生した子どもは、被相続人の子どもです。

父母が離婚しても、結婚していても、子どもは子どもです。

前婚の子どもも後婚の子どもも、権利は全く一緒です。

被相続人の子どもであることに、変わりはないからです。

④再婚した配偶者の連れ子は相続人ではない

子どもとは、被相続人と血縁関係がある子どもだけではありません。

被相続人と養子縁組をした養子は、子どもです。

再婚した配偶者に、連れ子がいることがあります。

再婚配偶者の連れ子は、被相続人と血縁関係がありません。

再婚配偶者の連れ子は、相続人にはなりません。

被相続人が再婚配偶者の連れ子と養子縁組をした場合、連れ子は養子になります。

被相続人の養子は、被相続人の子どもです。

被相続人の子どもは、相続人になります。

相続人として相続させたい場合は、連れ子と養子縁組をする必要があります。

3離婚再婚した人の法定相続情報一覧図の書き方

①法定相続情報一覧図の基本的なルール

法定相続情報一覧図は、書き方が厳格に決まっています。

登記官は、提出された戸籍謄本等と家系図の点検をするだけです。

法務局で家系図を作ってくれるわけではありません。

A4サイズの紙を縦置きにして記載します。

書き方のルールを守っているのであれば、手書きでもパソコンで作っても構いません。

鉛筆書きのまま提出することはできません。

手書きをするときは、はっきりと判読できるように楷書で書きます。

下から5センチは余白にします。

この余白に、登記官が認証文を入れてくれるからです。

②子どもは記載する

必要な事項が書いてなかったり、余計なことが書いてあると書き直しになります。

書くべき内容は、次のとおりです。

(1)被相続人の氏名

(2)被相続人の生年月日

(3)被相続人の最後の住所

(4)被相続人の死亡日

(5)相続人の氏名

(6)相続人の生年月日

(7)相続人の続柄

(8)申出人の氏名

(9)代理人の氏名

(10)作成年月日

父母が離婚しても、子どもは相続人です。

相続人なのに一覧図に記載がされていない場合、書き直しになります。

被相続人と疎遠な子どもが相続手続に関わりたくない場合、相続放棄をすることができます。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、相続人でなくなります。

子どもが相続放棄をした場合、一覧図に記載を省略することはできません。

戸籍謄本に相続放棄は記載されないからです。

相続放棄をした子どもを一覧図に記載しなかった場合、書き直しになります。

家庭裁判所から届いた相続放棄申述受理通知書を提出しても、記載は必要です。

相続放棄申述受理通知書を提出することができないからです。

誤って相続放棄申述受理通知書を提出しても、審査の対象にしてもらえません。

一覧図には相続放棄した子どもを記載する必要があります。

相続人の続柄は「長男」「長女」などと書きます。

「子」と書いても、差支えありません。

再婚歴がある場合、複数の長男がいたり、複数の長女がいることがあります。

戸籍謄本に記載してあるとおり、そのまま記載します。

法定相続情報一覧図は、戸籍謄本や住民票の記載を取りまとめたものだからです。

③元配偶者は記載できない

法定相続情報一覧図は、相続と関係ない記載をすることはできません。

離婚した元配偶者は相続人でないから、記載することはできません。

元配偶者が健在であっても死亡していても、記載することはできません。

元配偶者が健在であっても死亡していても、相続人ではないからです。

具体的な氏名や生年月日、死亡年月日を記載することはできません。

「元配偶者」「男」「女」であれば、書き直しにはなりません。

④子どもは法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出ができる

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出ができるのは、相続人とその代理人です。

保管及び交付の申出をする人の人数に、制限はありません。

相続人の一人であっても相続人の複数であっても申出人になることができます。

後日、法定相続情報一覧図が追加で必要になるかもしれません。

法定相続情報一覧図は、手続すれば再交付をしてもらうことができます。

再交付をしてもらえるのは、最初の申出で申出人になった人だけです。

複数の人が共同で保管及び交付の申出をした場合、各自で再交付の申出をすることができます。

最初の申出で申出人になった人以外の人が再交付をしてもらいたくなることがあります。。

最初の申出で申出人になった人から委任状を出してもらう必要があります。

4離婚再婚した人の相続関係説明図の書き方

法定相続情報一覧図も相続関係説明図も、被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのかを一目で分かるように、取りまとめた書類です。

相続関係説明図は戸籍謄本を提出する際に、当事者が内容を説明するものです。

単に当事者が内容を説明するために作っただけで、法務局が内容を点検したものではありません。

相続関係説明図は、相続に必要な情報を比較的自由に記入できます。

離婚再婚した人の相続関係説明図を書く場合、相続人にならない元配偶者を記載することができます。

元配偶者を記載して、離婚年月日を記載すると分かりやすいでしょう。

提出先の人が分かりやすいように、見やすく作るといいでしょう。

5相続関係説明図と法定相続情報一覧図の作成を司法書士に依頼するメリット

相続関係説明図は、比較的自由に相続に関係する事項を記入することができます。

提出を受ける人が見やすい書類である必要があります。

法定相続情報一覧図は、法務局が確認して認証文を入れてもらうものです。

書き方に細かいルールがあります。

これらの違いを理解して、ポイントを押さえて作成する必要があります。

前提として、相続人確定のための戸籍収集や遺産分割協議書の作成もあります。

このような戸籍等の取り寄せも含め、手続をおまかせいただけます。

お仕事や家事でお忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続をまるっとおまかせすることができます。

ご家族にお世話が必要な方がいて、お側を離れられない方からのご相談もお受けしております。

間違いのない相続関係説明図の作成や法定相続情報一覧図の作成を考えている方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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