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遺言書を作成して相続人以外の人に遺贈

2025-02-05

1遺言書を作成して相続人以外の人に財産を引き継ぐ

①相続人以外の人は相続できない

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続できるのは、相続人のみです。

法律で決められた相続人以外の人は、相続できません。

被相続人の死亡をきっかけに、財産を受け取ることがあるでしょう。

相続人以外の人が財産を受け取ることがあります。

相続人以外の人は、相続できません。

②相続人は相続できるし遺贈を受けることができる

被相続人が生前に、遺言書を作成していることがあります。

遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。

相続人は、相続することができます。

相続人は、遺言書で遺贈を受けることができます。

相続に以外の人は、相続することができません。

相続に以外の人は、遺贈を受けることができます。

相続人は、相続できるし遺贈を受けることができます。

③法人やボランティア団体に遺贈ができる

遺言書を作成して、相続人以外の人に財産を引き継ぐことができます。

会社などの法人やボランティア団体など法人になっていない団体に対して、遺贈をすることができます。

生きている間は老後の資金が不安で、寄付は考えられないことが多いでしょう。

死亡した後に遺贈するから、不安なく寄付をすることができます。

法人やボランティア団体に、遺贈ができます。

2遺言書を作成して相続人以外の人に遺贈

①特定遺贈と包括遺贈のちがい

遺贈には、2種類あります。

特定遺贈と包括遺贈です。

特定遺贈とは、遺言書に「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。

包括遺贈とは、遺言書に「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。

特定遺贈では、遺言書に書いてある具体的な財産だけ引き継ぎます。

包括遺贈では、遺言書に書いてある割合で財産を引き継ぎます。

具体的にどの財産を引き継ぐのか、遺産分割協議で決定します。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方を決める話し合いです。

包括遺贈を受けた人全員と相続人全員の話し合いで、分け方を決定します。

包括遺贈を受けると、マイナスの財産も引き継ぎます。

②遺言が無効になると遺贈も無効

遺言書がないと、遺贈をすることはできません。

遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。

書き方ルールに違反した遺言書は、無効になります。

遺言書で遺贈しようとしても、遺言書が無効になると遺贈は実現しません。

遺言が無効になると、遺贈も無効になります。

③遺言書があっても遺留分侵害額請求ができる

被相続人は遺言書を作成して、自分の財産をだれに引き継ぐのか自由に決めることができます。

被相続人の名義になっていても、無制約の自由にすることはできません。

被相続人ひとりの力で、築いた財産ではないでしょう。

家族の協力があってこそ、築くことができた財産のはずです。

無制約の自由にすると、今まで協力してきた家族に酷な結果となるおそれがあります。

被相続人に近い関係の相続人には、最低限の権利が認められています。

遺留分とは、相続人に認められた最低限の権利です。

遺留分が認められるのは、兄弟姉妹以外の相続人です。

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

例えば、全財産を相続人以外の人に遺贈した場合、相続人の遺留分を侵害していることは明らかでしょう。

遺言書で遺贈する場合、相続人の遺留分に注意する必要があります。

遺言書があっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

④遺贈を受けると贈与税でなく相続税

相続財産の規模が大きい場合、相続税の対象になります。

遺贈を受けた場合、贈与税ではなく相続税の対象になります。

相続があったことを知ってから、10か月以内に申告と納税をします。

3遺贈は放棄できる

①遺贈を受けるか判断できる

遺言書は、遺言者がひとりで作ります。

相続人や遺贈を受ける人の同意や承諾を得る必要はありません。

一方的に遺言書を作成して、財産を引き継ぐことができます。

遺言書に書いてあっても、遺贈を受ける義務ありません。

遺贈を受けるか遺贈をご辞退するか、判断することができます。

財産を受け取れるといっても、ありがた迷惑であることがあります。

遺言書に書いてあるといっても、相続人に気兼ねするかもしれません。

遺贈は、ご辞退することができます。

遺贈の放棄とは、遺贈をご辞退することです。

遺贈は、放棄することができます。

②特定遺贈の放棄は遺贈義務者に通知

特定遺贈を放棄する場合、遺贈義務者に通知します。

遺贈義務者とは、次の人です。

・遺言執行者がいる場合 遺言執行者

・遺言執行者がいない場合 相続人

・遺言執行者も相続人もいない場合 相続財産清算人

特定遺贈を放棄する場合、期限はありません。

相続が発生してから長期間経過した後であっても、特定遺贈を放棄することができます。

トラブルにならないように、配達証明付内容証明郵便で通知するといいでしょう。

特定遺贈の放棄は、遺贈義務者に通知します。

③包括遺贈の放棄は家庭裁判所で手続

包括遺贈を放棄する場合、家庭裁判所に申立てをします。

包括遺贈の放棄は、相続放棄と同じ手続です。

被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に対して、手続をします。

家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで確認することができます。

特定遺贈を放棄する場合、期限があります。

相続があったことを知ってから、3か月です。

包括遺贈の放棄は、家庭裁判所で手続します。

④放棄された財産は遺産分割協議

遺言書に遺贈すると書いてあっても、遺贈は放棄することができます。

遺贈が放棄されたら、財産を受け取る人がいなくなります。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

放棄された財産を分けるためには、遺産分割協議が必要です。

4不動産を相続人以外の人に遺贈するときの登記手続

①権利者と義務者による共同申請

遺贈による所有権移転登記は、権利者と義務者が協力して申請します。

権利者は、遺贈を受ける人です。

義務者は、遺贈義務者です。

遺言執行者がいるときは、遺言執行者が登記手続をします。

遺言執行者がいないときは、相続人全員が登記手続に協力する必要があります。

遺贈による所有権移転登記は、権利者と義務者による共同申請です。

②必要書類

遺贈による所有権移転登記で必要な書類は、次のとおりです。

(1)遺言書

(2)検認証明書

(3)被相続人が死亡した記載のある戸籍謄本

(4)被相続人の除票か戸籍の除附票

(5)不動産の権利証

(6)遺言執行者の印鑑証明書(発行後3か月以内)

(7)遺贈を受ける人の住民票か戸籍の附票

(8)不動産の評価証明書

遺言書が公正証書遺言である場合は、検認証明書は不要です。

③登録免許税は1000分の20

遺贈による所有権移転登記の登録免許税は、遺贈を受ける人によって異なります。

相続人が遺贈を受ける場合、不動産の固定資産評価額の1000分の4です。

相続人以外の人が遺贈を受ける場合、不動産の固定資産評価額の1000分の20です。

固定資産評価額は、不動産の評価証明書で確認することができます。

④被相続人の住所氏名変更登記が必要になる

不動産を持っている場合、住所や氏名が変わったら、その都度手続するのが原則です。

登記簿上の住所氏名と被相続人死亡時の住所氏名が異なっていることは、割とよくあります。

遺贈による所有権移転登記をする前に、住所氏名変更登記が必要です。

住所氏名変更登記をしないまま遺贈による所有権移転登記を申請しても、取下げすることになります。

後から、住所氏名変更登記を出しても、認められません。

5公正証書遺言がおすすめ

①公正証書遺言は無効になりにくい

遺言書なしで、遺贈はできません。

遺言書は、自筆証書遺言か公正証書遺言を作成することがほとんどです。

自筆証書遺言とは、自分で書いて作る遺言書です。

ひとりで作ることができるから、手軽です。

公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に伝え公証人が取りまとめる遺言書です。

書き方ルールに違反すると、遺言書は無効になります。

遺言者が法律に詳しいことは、あまりないでしょう。

書き方ルールに違反して、遺言書が無効になるおそれがあります。

公正証書遺言は、公証人が取りまとめます。

公証人は、法律の専門家です。

書き方ルールに違反して、遺言書が無効になることは考えられません。

公正証書遺言は、無効になりにくい遺言書です。

②公正証書遺言はトラブルになりにくい

自筆証書遺言を作成したら、原則として自分で保管します。

遺言書の保管場所を家族と共有していない場合、遺言書を見つけられなくなるおそれがあります。

遺言書の保管場所を家族と共有している場合、遺言書の破棄、改ざん、変造のおそれがあります。

保管場所を共有している相続人は、他の相続人から破棄、改ざん、変造の疑いをかけられるおそれがあります。

自筆証書遺言は、保管場所に困るのがデメリットです。

公正証書遺言を作成したら、公証役場で厳重保管されます。

公正証書遺言は、相続発生後に相続人が探してもらうことができます。

公正証書遺言原本は厳重保管されているから、破棄、改ざん、変造があり得ません。

他の相続人から、破棄、改ざん、変造の疑いをかけられる心配がありません。

破棄、改ざん、変造の疑いをかけられたら、相続人間で深刻なトラブルになるでしょう。

公正証書遺言は、トラブルになりにくい点がメリットです。

③公正証書遺言は家族がラク

自筆証書遺言はひとりで作ることができるから、手軽です。

相続が発生したら、家庭裁判所で検認手続が必要です。

検認とは、家庭裁判所に自筆証書遺言を提出して開封してもらう手続です。

検認が必要なのに検認をしていないと、相続手続を進めることができません。

自筆証書遺言は手軽に作成できるけど、家族に手間と時間をかけさせます。

公正証書遺言は、検認手続が不要です。

公正証書遺言は作成するときに手間と時間がかかるけど、家族はラクです。

④遺言執行者に相続手続をおまかせできる

遺言書は作成するだけでは、意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書を作成するときに、遺言執行者を指名することができます。

遺言執行者がいると、確実に遺言書の内容を実現してくれるから遺言者は安心です。

遺言執行者がいると、相続て綴をおまかせできるから家族は安心です。

遺言執行者に、相続手続をおまかせすることができます。

6遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

遺言書の書き方ルールは、民法で細かく決められています。

家族がトラブルに巻き込まれることを望む人はいないでしょう。

死んだ後のことを考えるのは不愉快などと言えるのは、判断力がしっかりしている証拠です。

今のうちに、遺言書を書くことをおすすめします。

トラブルにならない場合でも、遺言書があると相続手続は格段にラクになります。

状況が変われば、遺言書は何度でも書き直すことができます。

家族を幸せにするために、遺言書を作ると考えましょう。

家族の喜ぶ顔のためにやるべきことはやったと安心すると、どなたも晴れやかなお顔です。

家族の幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

過去の相続の登記もれを発見

2025-02-04

オリーブの木司法書士事務所にご依頼をいただきましてありがとうございました

1 オリーブの木司法書士事務所にご依頼いただく前に、どのようなことでお困りでしたか。

住所変更手続について

2 たくさんの事務所がある中から、オリーブの木司法書士事務所にご依頼いただきまして、ありがとうございました。

オリーブの木司法書士事務所を知ったきっかけをお聞かせください。

相談会

3 オリーブの木司法書士事務所に相談をしてから依頼をするまで時間はかかりましたか。

また時間がかかったとしたらどんな理由がありましたか。

即決しました。

4 オリーブの木司法書士事務所に依頼するときに、重視したことをお聞かせください。

親身になってくれた点

5 実際にオリーブの木司法書士事務所にご依頼いただいたご感想をお聞かせください。

ややこしい案件を心良く引受けていただき、感謝しています。

6 このアンケートをオリーブの木司法書士事務所のホームページやパンフレット等に掲載してよろしいでしょうか。

イニシャルを掲載してよい

イニシャル A.T.

オリーブの木司法書士事務所からコメント

オリーブの木司法書士事務所にご依頼をいただきましてありがとうございました。

A.T.さまから、住所変更登記をご依頼いただきました。

司法書士が登記簿を確認したところ、一部の相続登記がされていないことが判明しました。

長期間放置された相続登記は、飛躍的に難易度が上がります。

A.T.さまは、相続登記は大手司法書士法人に依頼したから完了しているはずとの認識でした。

難易度の低い相続登記だけ完了させて、難易度の高い相続登記を放置したのかもしれません。

令和6年(2024年)4月1日から、相続登記義務化がスタートしました。

相続登記3年の期限までに相続登記を申請しないと、10万円以下のペナルティーが課されます。

今回は住所変更登記の他に、相続登記も一緒にご依頼をいただき完了しました。

住所変更登記のご依頼がなかったら、ペナルティーの対象になったかもしれません。

相続登記完了をご報告したところ、A.T.さまはとても安心したご様子でした。

今回、ご依頼をいただきましてありがとうございました。

兄弟姉妹は相続人でも遺留分はない

2025-02-04

1兄弟姉妹は相続人になる

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②兄弟姉妹が先に死亡したら甥姪が代襲相続人

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

相続人になるはずだった兄弟姉妹が被相続人より先に死亡することがあります。

相続人になるはずだった兄弟姉妹の子どもが代襲相続をします。

兄弟姉妹の子どもは、被相続人から見ると甥姪です。

兄弟姉妹が被相続人より先に死亡した場合、甥姪が代襲相続人になります。

甥姪が被相続人より先に死亡した場合、再代襲相続はしません。

兄弟姉妹の代襲相続は、一代限りだからです。

③子どもがいない夫婦の相続人は配偶者のみではない

被相続人の配偶者は、必ず相続人になります。

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

夫婦に子どもがいない場合、配偶者のみが相続人という考えているかもしれません。

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹が被相続人より先に死亡した場合、甥姪が代襲相続人になります。

配偶者のみが相続人になるのは、稀なケースです。

子どもがいない夫婦の相続人は、配偶者のみではありません。

④兄弟姉妹の相続分

配偶者がいる場合、法定相続分は次のとおりです

(1)相続人が配偶者と子ども 配偶者2分の1 子ども2分の1

(2)相続人が配偶者と直系尊属 配偶者3分の2 直系尊属3分の1

(3)相続人が配偶者と兄弟姉妹 配偶者4分の3 兄弟姉妹4分の1

兄弟姉妹が数人いる場合、人数で均等に分割します。

兄弟姉妹は、実父実母同じ兄弟姉妹だけではありません。

異父兄弟姉妹や異母兄弟姉妹が含まれるからです。

父だけ同じ兄弟姉妹や母だけ同じ兄弟姉妹は、父母同じ兄弟姉妹の半分になります。

父だけ同じ兄弟姉妹や母だけ同じ兄弟姉妹は、半血兄弟と言います。

2兄弟姉妹に遺留分はない

①遺留分は相続人の最低限の権利

遺言書を作成して、自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。

とはいえ、財産は被相続人がひとりで築いたものではないでしょう。

家族の協力があったからこそ、築くことができた財産のはずです。

被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすることはできません。

今まで協力してきた家族に、酷な結果となることがあるからです。

被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。

遺留分とは、相続財産に対して認められる最低限の権利です。

②遺留分が認められる相続人

遺留分は、被相続人に近い関係の相続人にのみ認められます。

遺留分が認められる相続人は、次のとおりです。

・配偶者

・子ども

・親などの直系尊属

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹は相続人になっても、遺留分は認められません。

③甥姪に遺留分はない

遺留分が認められる人を遺留分権利者と言います。

兄弟姉妹は相続人になっても、遺留分権利者ではありません。

代襲相続とは、相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもが相続することです。

代襲相続があった場合、法定相続分と遺留分は受け継がれます。

甥姪が相続人になるケースは、相続人になるはずだった兄弟姉妹が被相続人より先に死亡したケースです。

兄弟姉妹が被相続人より先に死亡したため代襲相続が発生した場合、被代襲者の法定相続分と遺留分は受け継がれます。

被代襲者は、先に死亡した兄弟姉妹です。

兄弟姉妹には、遺留分がありません。

受け継ぐべき遺留分が認められていないから、代襲相続人にも遺留分は認められません。

甥姪が相続人になる場合、甥姪に遺留分は認められません。

④兄弟姉妹が相続人になるときは相続人調査が煩雑

相続が発生したら、相続人調査をします。

だれが相続人になるか、家族にとっては当然のことと軽く考えているでしょう。

兄弟姉妹が相続人になるときは、被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合です。

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得します。

被相続人の父母それぞれについて、出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得します。

兄弟姉妹が先に死亡した場合、死亡した兄弟姉妹の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要です。

相続人になる人の現在戸籍も必要です。

兄弟姉妹が相続人になるときは、相続人調査が煩雑です。

3兄弟姉妹に遺留分がない理由

①兄弟姉妹は関係が遠いから

法定相続人は、配偶者、子ども、親などの直系尊属、兄弟姉妹です。

法定相続人の中で、兄弟姉妹は被相続人との血縁関係が遠いと言えます。

法定相続人の中で、兄弟姉妹は低い相続順位です。

遺留分を認める必要も低いと考えられています。

被相続人との関係が遠いから、兄弟姉妹は遺留分が認められません。

②兄弟姉妹は代襲相続ができるから

兄弟姉妹が被相続人より先に死亡すると、代襲相続が発生します。

代襲相続人は、兄弟姉妹の子どもです。

被相続人から見ると、甥姪の関係になります。

法定相続人の中で、兄弟姉妹は被相続人との血縁関係が遠いと言えます。

兄弟姉妹に遺留分を認める必要も低いと考えられています。

代襲相続が発生した場合、兄弟姉妹より関係が遠い甥姪が相続人になります。

兄弟姉妹ですら遺留分を認める必要も低いのだから、甥姪に遺留分を認める必要はさらに低いでしょう。

遺留分を認める必要が低い兄弟姉妹よりも、被相続人の意思を優先するべきと言えます。

代襲相続ができるから、兄弟姉妹は遺留分が認められません。

③兄弟姉妹は生計が別だから

財産は、被相続人がひとりで築いたものではないでしょう。

家族の協力があったからこそ、築くことができた財産のはずです。

今まで協力してきた家族のため、遺留分の制度があります。

兄弟姉妹は、被相続人と同じ世代です。

兄弟姉妹は、お互いに独立して生計を立てているでしょう。

被相続人が財産を築くにあたって、兄弟姉妹が大きな協力していることは少ないでしょう。

配偶者、子ども、親などの直系尊属の協力が大きいはずです。

配偶者、子ども、親などの直系尊属は、被相続人の財産に依存して生活をしていたでしょう。

配偶者、子ども、親などの直系尊属を優先するのが妥当であると考えられます。

生計が別だから、兄弟姉妹は遺留分が認められません。

4兄弟姉妹相続では相続トラブルになりやすい

①兄弟姉妹は遺留分侵害額請求をすることはできない

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

被相続人の財産は、原則として、被相続人の意思が最大限尊重されるべきものでしょう。

兄弟姉妹が相続人になる場合、兄弟姉妹に遺留分はありません。

被相続人が遺言書を作成した場合、一部の相続人はまったく財産を相続させない内容であることがあります。

財産をまったく相続させない遺言書であっても、兄弟姉妹は異議を述べることはできません。

兄弟姉妹には、遺留分がないからです。

例えば、次のケースで兄弟姉妹は相続人であっても財産を受け取ることができません。

●ケース1

「配偶者に全財産を相続させる」遺言書を作成することがあります。

相続人が配偶者と子どもである場合、子どもの遺留分が侵害されているでしょう。

子どもは、遺留分侵害額請求をすることができます。

相続人が配偶者と兄弟姉妹である場合、兄弟姉妹に遺留分は認められません。

兄弟姉妹は、異議を述べることはできません。

兄弟姉妹には遺留分が認められていないから、遺留分侵害額請求をすることはできません。

●ケース2

「慈善団体に全財産を相続させる」遺言書を作成することがあります。

相続人が配偶者と兄弟姉妹である場合、配偶者に遺留分は認められます。

配偶者は、遺留分侵害額請求をすることができます。

兄弟姉妹には遺留分が認められていないから、遺留分侵害額請求をすることはできません。

相続人が兄弟姉妹のみである場合、兄弟姉妹に遺留分は認められません。

兄弟姉妹には遺留分が認められていないから、遺留分侵害額請求をすることはできません。

②具体的なトラブル事例

●トラブル事例1

一部の相続人が相続財産を独り占めする事例

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

分け方に合意ができないまま、一部の相続人が独り占めすることで大きなトラブルになります。

●トラブル事例2

相続人調査で異父兄弟や異母兄弟が見つかる事例

相続人調査をすると、思いもよらない相続人が見つかることがあります。

一部の相続人を含めずに、相続財産の分け方を合意しても無効です。

●トラブル事例3

甥姪が代襲相続人になる事例

兄弟姉妹相続では、相続人間の関係が薄いことが多いでしょう。

甥姪は、兄弟姉妹より若い世代です。

兄弟姉妹から一方的な主張をされて不満を持つと、トラブルに発展します。

上記のトラブルを防止するためには、遺言書を作成するといいでしょう。

財産の分け方を指定すると、相続財産の分け方について話し合う必要がないからです。

遺言書で遺言執行者を決めておくと、遺言書を確実に実現してくれます。

相続トラブルを防止するために、公正証書遺言の作成がおすすめです。

③遺言書の内容と異なる遺産分割協議ができる

遺言書があれば、遺言書のとおりに遺産分割をすることができます。

ときには相続人全員が他の分け方の方がいいと考えていることがあります。

相続人全員にとって不都合になる遺言書をあえて執行する必要はありません。

相続人全員で、相続財産の分け方を合意した方が合理的です。

遺言書の内容と異なる遺産分割協議をするためには、相続人全員の合意が必要です。

相続人全員が合意すれば、遺言書の内容と異なる内容で遺産分割協議をすることができます。

④公正証書遺言がおすすめ

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作ることがほとんどです。

自筆証書遺言は、自分で書いて作る遺言書です。

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に伝え公証人が書面に取りまとめる遺言書です。

遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。

書き方ルールに違反した遺言書は、無効になります。

遺言者が法律に詳しいことは、あまりないでしょう。

公証人は、法律の専門家です。

公正証書遺言が書き方ルールの違反で、無効になることは考えられません。

遺言書の内容に不満があると、遺言書の無効を主張するでしょう。

公正証書遺言は公証人が関与するから、高い信頼性があります。

相続トラブルを防止するために、公正証書遺言の作成がおすすめです。

5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

自筆証書遺言の多くは、専門家のサポートなしで一人で作ります。

その結果、遺言書の厳格な書き方ルールが守られておらず、無効になってしまいます。

相続人間でトラブルに発展するでしょう。

せっかく遺言書を作るのなら確実な公正証書遺言をおすすめします。

司法書士などの専門家は、相続人になる予定の人の遺留分にも配慮します。

遺言書文案作成から公正証書遺言作成、遺言執行まで、司法書士がトータルでサポートします。

司法書士からトータルでサポートを受けると、遺言者は確実な遺言書を作成できるので安心できるでしょう。

相続発生後も、相続人は面倒な相続手続から解放されます。

遺言者も家族も安心できる公正証書遺言作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続登記義務化でペナルティーが課される

2025-02-03

1令和6年(2024年)4月1日から相続登記義務化

①令和6年(2024年)4月1日から相続登記は義務

所有権移転登記をしない場合、所有者は不利益を被ります。

不動産に対して権利主張をする人が現れた場合、所有者のはずなのに権利主張ができないからです。

相続登記は、手間のかかる手続です。

自分で相続登記をしようとするものの、多くの人は挫折します。

相続登記をする場合、登録免許税を納付しなければなりません。

相続登記を専門家に依頼する場合、専門家に報酬を支払う必要があります。

相続登記でかかる手間と費用がもったいないと、考える人が少なくありません。

相続登記がされない場合、登記簿を見ても土地の所有者が分からなくなります。

登記簿とは、不動産の権利関係が記録される公的な帳簿です。

所有者不明の土地の発生を防止するため、相続登記をすることは義務になりました。

②3年のスタートは知ってから

令和6年4月1日から相続登記は、3年以内に登記申請をする義務が課されました。

相続登記には、3年の期限が決められました。

相続登記の期限は、相続したことを知った日からスタートします。

自己のために相続の開始があったことを知って、かつ、不動産を取得することを知った日から、スタートします。

相続が発生したら、近親者には真っ先に連絡するでしょう。

さまざまな家族の事情から、疎遠になっている相続人がいます。

疎遠な相続人は、相続発生から長期間経過してから相続があったことを知るでしょう。

相続があったことを知るまで、期限3年はスタートしません。

相続登記の期限3年のスタートは、知ってからです。

③令和6年(2024年)4月1日以前発生の相続も義務化の対象

令和6年4月1日から、相続登記は義務になりました。

令和6年4月1日以降に発生した相続は、もちろん対象になります。

令和6年4月1日以前発生の相続も、義務化の対象です。

令和6年4月1日以前発生の相続では、令和6年4月1日に期限3年がスタートします。

④相続登記義務化の背景

不動産の権利を取得したら、すぐに登記申請をします。

登記がないと、権利主張ができないからです。

不動産登記簿を見たら、不動産の権利関係が分かります。

不便な場所にあるなど価値の低い土地について、相続登記がされていないことがあります。

相続登記がされていないと、所有者がだれなのか分からなくなります。

不動産を売ってほしい場合だれにお願いしたらいいのか、登記簿を見ても分かりません。

例えば、公共事業のために土地を売ってほしい場合、所有者が分からないと公共事業ができなくなります。

社会全体にとって、大きな損失でしょう。

社会全体の利益のため、相続登記が義務化されました。

2相続登記義務化でペナルティーが課される

①10万円以下の過料が課される可能性

令和6年4月1日から相続登記をする義務が課されました。

相続登記の義務を果たしていない場合、ペナルティーが課されます。

ペナルティーの内容は、10万円以下の過料です。

過料とは、行政上の義務違反に対するペナルティーです。

過料は刑罰ではないから、前科が付きません。

前科が付かないと言っても、10万円以下のペナルティーは負担が重いでしょう。

相続登記の義務を果たしていないと、10万円以下の過料が課される可能性があります。

②期限3年経過でペナルティーの対象

令和6年(2024年)4月1日から、相続登記をする義務が課されました。

相続登記の期限は、3年です。

令和6年(2024年)4月1日以降に発生した相続は、当然に対象になります。

相続があったことを知ってから、相続登記の期限3年がスタートします。

相続登記の期限3年を経過すると、ペナルティーの対象になります。

令和6年(2024年)4月1日以前に発生した相続も、義務化の対象です。

過去の相続は、すでに3年を経過していることが多いでしょう。

過去の相続は、令和9年3月31日が期限になります。

相続登記の期限3年が経過すると、ペナルティーの対象になります。

③正当理由でペナルティーの対象外

行政上の義務に違反すると、ペナルティーが課されます。

正当な理由があれば、ペナルティーの対象外です。

法務省ホームページで、正当な理由について次のように示しています。

(1)相続登記の義務に係る相続について、相続人が極めて多数に上り、かつ、戸籍関係書類等の収集や他の相続人の把握等に多くの時間を要する場合

(2)相続登記の義務に係る相続について、遺言の有効性や遺産の範囲等が相続人等の間で争われているために相続不動産の帰属主体が明らかにならない場合

(3)相続登記の義務を負う者自身に重病その他これに準ずる事情がある場合

(4) 相続登記の義務を負う者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)第1条第2項に規定する被害者その他これに準ずる者であり、その生命・心身に危害が及ぶおそれがある状態にあって避難を余儀なくされている場合

(5) 相続登記の義務を負う者が経済的に困窮しているために、登記の申請を行うために要する費用を負担する能力がない場合

正当な理由があると認められれば、ペナルティーの対象外になります。

④ペナルティーは裁判所が決定

相続登記の義務違反を見つけたら、管轄の地方裁判所に通報します。

ペナルティーの対象になるか対象にならないか、地方裁判所が判断します。

相続人ごとに10万円なのか不動産ごとに10万円なのか、現在のところ明確ではありません。

ペナルティーの支払期限は、事案に応じて裁判所が決定します。

ペナルティーは、裁判所が決定します。

⑤ペナルティーを課されても相続登記の義務

相続登記の義務を果たしていないと、ペナルティーの対象になります。

ペナルティーの対象になったからと言って、違反は許されることではありません。

相続登記の義務を果たしていないと、相続登記の義務があります。

ペナルティーを課されても、法務局や裁判所が相続登記をやってくれることはありません。

ペナルティーを課されても、相続登記の義務があります。

3期限までに相続登記ができないときは相続人申告登記

①相続人申告登記で義務を果たす

相続人申告登記とは、相続人が法務局に対し自分が相続人であることを申告する制度です。

申告に基づいて、登記官が職権で相続人の住所や氏名を登記に付記します。

相続人申告登記をしたことで、相続登記の義務を履行したと扱われます。

相続人申告登記は、相続登記の義務を履行しやすくする制度です。

②相続人申告登記をしても相続登記

相続人申告登記をしても、あらためて相続登記は必要です。

相続人申告登記をしても相続登記は必要だから、二度手間になります。

結局のところ、相続人申告登記はペナルティーを免れることができる効果があるだけです。

相続人申告登記をしたことで、相続登記の義務を履行したと扱われます。

③相続人申告登記に登録免許税は課されない

相続人申告登記は、相続人の申告に基づいて登記官が職権で相続人の住所や氏名を登記に付記する制度です。

相続人申告登記では、登録免許税は課されません。

4相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらえる

①相続した土地の所有権を手放せる

相続土地国庫帰属制度とは、相続した土地の所有権を手放して国に引き取ってもらう制度です。

望まないで不動産を相続した場合、相続登記自体が負担になりがちです。

条件にあてはまれば、相続土地国庫帰属制度を利用することができます。

相続土地国庫帰属制度を利用すると、所有権を手放すことができます。

②相続で引き継いだ人が利用できる

相続土地国庫帰属制度が利用できるのは、土地を相続で取得した人です。

遺贈で土地を取得した法定相続人も、利用できます。

土地の共有者のひとりに相続があった場合、共有者全員で制度を利用することができます。

③相続登記をしていなくても相続土地国庫帰属制度

相続土地国庫帰属制度を利用できるのは、相続で取得した土地のみです。

相続で取得した土地であれば、相続登記をしていなくても相続土地国庫帰属制度を利用できます。

相続登記をしていなくても、相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらうことができます。

5遺産分割協議がまとまらなくても法定相続分で相続登記ができる

①遺産分割協議中は相続人全員で共有している

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続財産は、相続人全員が法定相続分で共有しています。

相続分を共有していると、不自由であることが多いでしょう。

多くの場合、相続人全員で相続財産の分け方を決定します。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方を決めるため相続人全員でする話合いです。

遺産分割協議が成立するまで、相続財産は相続人全員で共有しています。

②相続人全員で法定相続分で相続登記ができる

遺産分割協議中は、相続財産を相続人全員で共有しています。

遺産分割協議がまとまらなくても、共有で相続登記を申請することができます。

相続人全員で法定相続分で相続登記をした場合、相続登記の義務を果たしたと言えます。

遺産分割協議がまとまらなくても、ペナルティーの対象になりません。

相続人全員で法定相続分で、相続登記を申請することができます。

③遺産分割協議成立後は単独で所有権更正登記

法定相続分で登記をした後に、遺産分割協議がまとまることがあります。

多くの場合、一部の相続人が相続することになるでしょう。

不動産の共有持分を取得する相続人が単独で、所有権更正登記をすることができます。

法定相続分による相続登記をした後の名義変更は、カンタンになりました。

遺産分割協議成立後は、単独で所有権更正登記ができます。

6相続登記を司法書士に依頼するメリット

大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。

やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。

相続手続きは一生のうち何度も経験するものではないため、だれにとっても不慣れで手際よくできるものではありません。

相続登記は、相続手続の中でも手間がかかる難しい手続です。

不動産は重要な財産であることが多いので、法務局は厳重な審査をします。

一般の人にとって些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

売却する予定がないのなら、先延ばししたい誘惑にかられるかもしれません。

実は、相続手続をスムーズにするコツがあります。

それは、はじめに相続登記をすることです。

相続登記は難しい手間がかかる手続なので、司法書士などの専門家に依頼するでしょう。

相続手続で挫折しがちなのは、戸籍謄本などの書類収集や遺産分割協議書の作成です。

書類収集や遺産分割協議書の作成は、司法書士に依頼することができます。

司法書士が戸籍謄本や遺産分割協議書を準備したうえに、法務局の厳重な審査をします。

法務局の審査が通った戸籍謄本や遺産分割協議書だから、銀行などの相続手続先で指摘があることはありません。

銀行などの独自書類の内容などに指摘があるとしても、簡単に済むことがほとんどでしょう。

相続手続をスムーズに進めたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続人に対する遺贈

2025-02-03

1相続人に対する遺贈の基本ルール

①相続人が遺贈を受けることができる

被相続人は、自分の財産を自由に処分することができます。

遺言書を作成して、自分の死後にだれに財産を引き継ぐのか自由に決めることができます。

遺贈とは、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。

相続人になる人は、法律で決められています。

相続できるのは、相続人だけです。

相続人以外の人は、相続できません。

相続人以外の人は、遺贈を受けることができます。

相続人は、相続できるし遺贈を受けることができます。

遺言書を確認したところ、相続人に遺贈すると書いてあることがあります。

相続人に対して遺贈する遺言書は、有効です。

相続人は、相続できるし遺贈を受けることができるからです。

相続人は、遺贈を受けることができます。

②遺言書に遺贈と書いてあったら遺贈で手続

遺言書を作成して、相続人に対して財産を相続させることができます。

遺言書を作成して、相続人に対して財産を遺贈することができます。

指名された相続人が財産を引き継ぎます。

遺言書に遺贈すると書いてあったら、遺贈で手続をします。

③受遺者が先に死亡したら相続財産

遺言書は、遺言者が元気なときに作成します。

遺言書に効力が発生するのは、遺言者が死亡したときです。

遺言書に効力が発生するまでに、長期間経過するのが通常です。

長期間経過するうちに、遺贈を受けるはずだった人が先に死亡することがあります。

遺贈を受けるはずだった人が先に死亡した場合、無効になります。

遺言書全体が無効になるのではありません。

先に死亡した人に遺贈する条項だけ、無効になります。

死亡した人は、遺贈を受けることができないからです。

遺言書に効力が発生したときに、生きている人だけが遺贈を受けることができます。

遺贈されるはずだった財産は、相続財産になります。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

④遺言書があっても遺留分侵害額請求

遺言書を作成して、自分の死後だれに財産を引き継ぐのか自由に決めることができます。

遺言者の名義になっていても、無制約の自由にすることはできません。

遺言者の財産は、家族の協力があってこそ築くことができたものだからです。

気ままに処分したら、今まで協力してきた家族に酷な結果になります。

被相続人に近い関係の相続人には、最低限の権利が認められています。

遺留分とは、相続人に認められた最低限の権利です。

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺言書があっても、遺留分侵害額請求ができます。

⑤配偶者居住権は遺贈と書く

配偶者居住権とは、被相続人が所有していた家に住んでいた配偶者が一定期間無条件かつ無償で住み続けることができる権利です。

遺言書を作成して、配偶者居住権を遺贈することができます。

被相続人の配偶者は、常に相続人になります。

配偶者居住権を遺贈することができます。

配偶者居住権は、「相続させる」ではなく「遺贈する」と遺言書に記載します。

⑥相続人に遺贈をしても不動産取得税はかからない

不動産を取得すると、原則として、不動産取得税が課されます。

相続によって不動産を取得した場合、不動産取得税は課されません。

相続人が遺贈によって不動産を取得した場合、不動産取得税は課されません。

⑦基礎控除の範囲内なら相続税はかからない

遺贈により取得した財産にも、相続税が課されます。

相続税が課されるのは、ごくわずかな富裕層だけです。

相続税には、基礎控除があるからです。

基礎控除額は、次の計算式で求められます。

基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の人数

相続財産が基礎控除額の範囲内であれば、相続税を納める必要はありません。

2相続人に対する遺贈の登記申請

①相続人に対する遺贈は単独申請ができる

遺贈を受けた財産が不動産である場合、不動産に名義変更をします。

名義変更をしないと、不動産が自分のものだと主張することができないからです。

遺言書に「相続させる」と書いていれば、相続で手続をします。

遺言書に「遺贈する」と書いていれば、遺贈で手続をします。

相続人が不動産を相続する場合、相続登記をします。

相続登記は、相続人の単独申請です。

相続人が不動産の遺贈を受ける場合、遺贈による所有権移転登記をします。

遺贈による所有権移転登記は、権利者と義務者の共同申請です。

令和5年4月1日に、法改正がありました。

相続人が不動産の遺贈を受ける場合、権利者の単独申請ができます。

令和5年4月1日以降に申請する登記は、単独申請が認められます。

令和5年4月1日以前に相続が発生していても、単独申請が認められます。

相続人に対する遺贈は、単独申請ができます。

②遺贈する不動産に住所氏名変更登記は不要

相続人に対する遺贈の登記は、相続登記義務化の対象です。

相続登記の推進のため、住所氏名変更登記は不要になりました。

登記簿上の住所氏名と死亡時の住所氏名が異なる場合、別人と判断されます。

住所氏名変更登記をしなくていいけど、住所氏名の移り変わりを証明する必要があります。

住所の移り変わりは、住民票や戸籍の附票で証明します。

氏名の移り変わりは、戸籍謄本で証明します。

住所氏名変更登記不要の取扱いは、相続人に対する遺贈の登記のみです。

遺贈する不動産に住所氏名変更登記は不要です。

③登記原因は「遺贈」

相続人は、相続することができるし遺贈を受けることができます。

相続であっても遺贈であっても、財産を引き継ぐ点は同じです。

相続登記は、相続人が単独で申請することができます。

相続人に対する遺贈の登記は、受遺者が単独で申請することができます。

相続であっても遺贈であっても、単独で申請できる点は同じです。

遺言書に「相続させる」と書いていれば、相続で手続をします。

遺言書に「遺贈する」と書いていれば、遺贈で手続をします。

相続人に対する遺贈の登記における登記原因は、遺贈です。

相続人に対する遺贈は、遺贈で手続するからです。

④相続人に対する遺贈に権利証と印鑑証明書は不要

相続人に遺贈の登記を申請する場合、単独申請ができます。

義務者の関与は、不要です。

所有権移転登記をする場合、義務者の意思確認のため権利証と印鑑証明書を提出します。

相続人に遺贈する場合、権利証と印鑑証明書は不要です。

3相続人に対する遺贈の登録免許税

①相続人に対する遺贈は1000分の4

所有権移転登記をする場合、登録免許税を納める必要があります。

登録免許税は、固定資産税評価額によって計算します。

固定資産税評価額は、固定資産財課税明細書で確認することができます。

遺贈による所有権移転登記の登録免許税の税率は、原則として、1000分の20です。

固定資産税評価額の1000分の20が登録免許税です。

相続人が遺贈を受ける場合、登録免許税が軽減されます。

相続人が遺贈を受ける場合、登録免許税の税率は、1000分の4です。

相続人が相続する場合、登録免許税の税率は、1000分の4です。

相続人が財産を引き継ぐ場合、遺贈でも相続でも同じ税率です。

相続人に対する遺贈の税率は、1000分の4です。

②死亡した相続人に対する遺贈で登録免許税は非課税

遺贈を受けるはずだった人が先に死亡した場合、遺言は無効になります。

遺贈を受けるはずだった人が先に死亡した場合、遺贈されるはずだった財産は相続財産です。

相続が発生したときは遺贈を受ける人が元気だったのに、相続手続中に死亡することがあります。

遺贈を受ける人が元気だったから、当然に遺贈を受けることができます。

相続手続中に死亡しても、生前に遺贈を受けた事実は変わりません。

死亡した相続人名義にする登記申請をすることができます。

死亡した相続人名義にする登記申請では、登録免許税は非課税にです。

遺贈による所有権移転登記をする場合、「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載します。

非課税になるのに登録免許税を納付して登記が完了した場合、還付を受けることはできません。

死亡した相続人に対する遺贈による所有権移転登記は、非課税になる特例があります。

③相続人が100万円以下の土地の遺贈を受けたときは非課税

登録免許税は、固定資産税評価額によって計算します。

100万円以下の土地の遺贈を受けた場合で、かつ、遺贈を受けた人が相続人である場合、遺贈による所有権移転登記で登録免許税はかかりません。

相続人以外の人が遺贈を受けた場合、100万円以下の土地であっても課税されます。

100万円以上の土地の遺贈を受けた場合、100万円分減税されるわけではありません。

対象は100万円以下の土地だけだから、建物は対象外です。

複数の土地の遺贈を受けた場合、土地ごとに判断します。

例えば、70万円と80万円の土地の遺贈を受けた場合、両方とも登録免許税がかかりません。

被相続人が第三者と土地を共有していることがあるでしょう。

土地の共有持分を遺贈することがあります。

土地の共有持分を遺贈する場合、土地全体の固定資産評価額に持分を乗じて計算します。

例えば、全体が150万円の土地で持分2分の1を遺贈した場合、移転した持分の価額は75万円です。

100万円以下と言えるから、登録免許税はかかりません。

4遺贈を放棄しても相続人

①特定遺贈は一部の財産だけ放棄ができる

遺言書に「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合を特定遺贈と言います。

遺言書は、遺言者がひとりで作ります。

遺言書で財産を遺贈すると書いてあっても、他の相続人に気兼ねすることがあります。

財産の内容によっては、ご遠慮したいことがあるでしょう。

遺贈は、放棄することができます。

特定遺贈を放棄する場合、遺贈全部を放棄することも遺贈の一部を放棄することもできます。

相続放棄をする場合、一部の財産だけ放棄することはできません。

一部の財産だけ放棄できるのは、相続人に対する遺贈のメリットです。

特定遺贈は、一部の財産だけ放棄することができます。

②遺贈を放棄しても相続できる

遺贈を放棄した場合、遺贈されるはずだった財産を受け取る人はいなくなります。

遺贈されるはずだった財産は、相続財産です。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

遺贈を放棄しても、相続人のままです。

遺贈を放棄しても、相続することができます。

遺贈を放棄しても、相続財産の分け方に合意する必要があります。

遺贈を放棄しても、相続人だからです。

遺贈を放棄しても、相続することができます。

③相続放棄は家庭裁判所の手続

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄の申立てを提出します。

相続放棄の申立ては、相続があったことを知ってから3か月以内に提出する必要があります。

5相続人に対する遺贈を司法書士に依頼するメリット

遺言書を作成して、自分の財産をだれに引き継ぐのか自由に決めることができます。

書き方ルールに違反した遺言書は、無効になります。

遺言書の内容に不満を持つと、相続人は遺言書の無効を主張するでしょう。

ひとりで遺言書を作るより、司法書士などの専門家のサポートを受けるのがおすすめです。

遺言書を作成するだけでは、意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言書で遺言執行者を指名するのがおすすめです。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書作成をサポートする司法書士に、遺言執行を依頼することができます。

遺言書の内容を見て遺留分を侵害しないように、アドバイスをしてもらうこともできます。

円滑に相続手続を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

特別養子は相続人

2025-02-02

1特別養子と普通養子のちがい

①特別養子は家庭裁判所の審判が必要

養子には、2種類あります。

特別養子と普通養子です。

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。

子どものいない夫婦が養子縁組をする、配偶者の連れ子と養子縁組するといったことは日常的に聞くことあります。

一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

普通養子では、養子縁組をする当事者が合意が重視されます。

当事者が合意をして、市区町村役場に届出をするだけで手続ができます。

特別養子は、子どもの福祉が重視されます。

子どもの福祉のために家庭裁判所が慎重に判断して決定します。

②特別養子になると実親との親子関係がなくなる

特別養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係がなくなります。

親子の縁を切る重大な決定なので、厳格な要件が満たされたときだけ特別養子が認められます。

実の父母による著しい虐待がある場合やその他特別の事情がある場合で、かつ、子の利益のため特に必要があるときです。

特別養子になると、実親との親子関係がなくなります。

特別養子は、養親を相続しますが、実親は相続しません。

特別養子になると実親との親子関係がなくなりますから、父から認知を受けないまま特別養子になった場合、実の父はもはや認知をすることができなくなります。

配偶者の嫡出子である実子と特別養子縁組をする場合、特別養子は実親である養親の配偶者との親子関係が存続します。

実親である養親の配偶者が死亡した場合、特別養子は相続人になります。

実親である養親の配偶者が死亡した後、実親である養親の配偶者の親が死亡した場合、代襲相続人になります。

③相続税の基礎控除が増える

相続税を計算する場合には、基礎控除があります。

相続税の基礎控除=3000万円+法定相続人の人数×600万円

基礎控除が増えれば、その分だけ相続税が少なく済みます。

法定相続人として相続税の基礎控除を計算するとき、実子がいない場合で、かつ、普通養子がいる場合は2人まで含めることができます。

実子がいる場合で、かつ、普通養子がいる場合は1人まで含めることができます。

特別養子がいる場合、法定相続人に含める人数に制限はありません。

2特別養子には厳格な条件がある

①養親は結婚している人であること

特別養子の養親になるためには、配偶者がある人でなければなりません。

配偶者は法律上の配偶者に限られます。

内縁・事実婚の配偶者や同性パートナーは、特別養子を迎えることはできません。

夫婦共同で養親になる必要があります。

養子が一方の血縁関係のある嫡出子である場合は、配偶者のみ特別養子になることができます。

②養親は25歳以上であること

特別養子の養親になるためには、養親は25歳以上でなければなりません。

夫婦のうち一方が25歳以上であれば他方が25歳未満であっても、構いません。

③養子は15歳未満であること

特別養子の申立てをする時点で15歳であれば特別養子になることができます。

家庭裁判所が特別養子を成立させるまでに18歳になってしまったら特別養子になることはできません。

養子が15歳になる前から引き続き監護をされている場合で、かつ、やむを得ない理由で特別養子の申立てができなかった場合は特別養子になることができます。

やむを得ない理由があるかは、家庭裁判所が決定します。

やむを得ない理由があると認められて、かつ、養子が18歳未満であれば特別養子になることができます。

④養子が15歳以上であれば養子の同意があること

特別養子は子どもの福祉のために成立させる制度です。

15歳未満であれば養子の同意は必要ありませんが、子どもの意思は重視されます。

⑤実親の同意があること

特別養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係がなくなります。

実親の同意が必要になります。

次の場合は、実親の同意は必要ありません。

(1)父母が意思表示ができないとき

(2)父母による虐待、悪意の遺棄があるとき

(3)養子となる子どもの利益を著しく害するとき

一定の条件がある場合、父母の同意は撤回することができません。

⑥監護期間が6か月以上あること

養親による監護期間が6か月以上あることが条件になります。

養親による監護期間がスタートしたときには、実親が特別養子に同意していなくても構いません。

実親が特別養子に同意するか同意しないか分からない状態で、監護をスタートするのは精神的に負担が大きいものです。

3特別養子の離縁はほとんど認められない

特別養子は、子どもの福祉が重視される制度です。

当事者のが合意すれば縁組できる普通養子とは違い、家庭裁判所が慎重に審査して決定します。

特別養子の離縁は、縁組以上に非常に厳格な条件があります。

事実上、認められることはないと言っていいでしょう。

特別養子の離縁の申立てすら、ほとんどありません。

特別養子で離縁ができるのは、次の条件すべて満たした場合です。

①養子の利益のために特に必要があると認めるとき

②養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する理由があるとき

③実父母が相当の監護をすることができるとき

特別養子は、実父母による監護ができないか監護が不適当である場合に成立されているケースが多いです。

①~③の条件をすべて満たすのは相当困難で、事実上、不可能と言えるでしょう。

養子が成人したら、離縁をすることができなくなります。

③実父母による監護をすることができるときが条件になっているからです。

成人したら父母による監護が不要になります。

養子が成人になったら、③実父母による監護をすることができるときが満たせなくなるからです。

4特別養子は戸籍調査で判明する

①特別養子は実親の戸籍→養子ひとりの戸籍→養親の戸籍へ異動する

特別養子であることは、戸籍を読み解けば判明します。

特別養子は、実親の戸籍→養子ひとりの戸籍→養親の戸籍へ異動します。

特別養子であることは他人に知られたくないと考える人も多いでしょう。

特別養子の福祉のため、専門的な知識がないとカンタンには分からないような配慮がされています。

②実親の戸籍の記載例

身分事項 特別養子縁組

【特別養子縁組の裁判確定日】 令和〇年〇月〇日

【届出日】 令和〇年〇月〇日

【届出人】 養父母

【送付を受けた日】 令和〇年〇月〇日

【受理者】 〇〇県〇〇市長

【新本籍】 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号

【縁組後の氏】 〇〇

この記載がされると、実親の戸籍から除籍されますから、除籍と記載されています。

③養子ひとりの戸籍の記載例

本籍 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号(実親の本籍地)

氏名 〇〇〇〇(養親の氏)

戸籍に記録されている者

名 〇〇

生年月日 令和〇年〇月〇日

父 〇〇〇〇(養父の氏名)

母 〇〇〇〇(養母の氏名)

続柄 長男

(途中省略)

身分事項 特別養子縁組

【特別養子縁組の裁判確定日】 令和〇年〇月〇日

【養父氏名】 〇〇〇〇

【養母氏名】 〇〇〇〇

【届出日】 令和〇年〇月〇日

【届出人】 父母

【送付を受けた日】 令和〇年〇月〇日

【受理者】 〇〇県〇〇市長

【従前戸籍】 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号 〇〇〇〇

【入籍戸籍】 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号 〇〇〇〇

実親の本籍地と同じ本籍地、養親の氏の名前で、養子が筆頭者になった新戸籍が作られます。

普通養子のように養父、養母ではなく、父母の欄に、養親の氏名が記載されます。

続柄の欄には、普通養子のように養子、養女ではなく、長男、長女などと記載されます。

新戸籍が作られたら、その日のうちに除籍されて養親の戸籍に入籍します。

④養親の戸籍の記載例

身分事項 民法817条の2

【民法817条の2による裁判確定日】 令和〇年〇月〇日

【届出日】 令和〇年〇月〇日

【届出人】 父母

【従前戸籍】 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号 〇〇〇〇

養親の身分条項には、何も記載がされません。

養子の身分事項にだけ、民法817条の2と記載がされます。

法律の専門知識がない人が見ても、何のことか分からないでしょう。

従前戸籍に実親の本籍地と同じ本籍地が記載されるものの、筆頭者は養子本人です。

実親の氏名は、記載されません。

特別養子であることを知られたくない人のための配慮がされています。

特別養子であることを知られたくない人のための配慮がされています。

5相続人調査を司法書士に依頼するメリット

本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。

古い戸籍は現在と形式が違っていて読みにくかったり、手書きの達筆な崩し字で書いてあって分かりにくかったりしますから、慣れないと戸籍集めはタイヘンです。

本籍地を何度も変更している方や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている方は、戸籍をたくさん渡り歩いているので、膨大な手間と時間がかかることが多くなります。

戸籍には被相続人の結婚や離婚、子どもや養子の存在といった身分関係がすべて記録されています。

時には家族の方が知らない相続人が明らかになることもあります。

相続が発生した後に、認知を求めて裁判になることもあります。

相続人を確定させるために戸籍を集めるだけでも、知識のない一般の人にはタイヘンな作業です。

家族の方が知らない相続人が明らかになると、精神的な負担はさらに大きいものになります。

相続手続のうち、専門家に任せられるものは任せてしまえば、事務負担を軽減することができます。

戸籍や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

相続人調査でお困りの方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続税申告不要でも確定申告が必要になる

2025-01-31

1遺産相続で確定申告は原則不要

①確定申告は所得税の申告

確定申告とは、所得税の申告です。

1年間の所得から納めるべき所得税を計算して、国に申告します。

毎年1月1日から12月31日の所得を取りまとめて、翌年3月15日までに申告し納税します。

遺産相続で多額の財産を引き継ぐことがあるでしょう。

遺産相続で財産を引き継いでも、所得ではありません。

所得税の申告は、原則として不要です。

確定申告は、所得税の申告です。

②準確定申告は被相続人の確定申告

確定申告は、毎年1月1日から12月31日の所得を取りまとめて申告します。

所得税を申告・納税すべき人が年の途中で死亡することがあります。

準確定申告とは、被相続人の生前の所得について相続人がする確定申告です。

生きている人の確定申告と区別するため、準確定申告を言います。

準確定申告は、被相続人の確定申告です。

③遺産相続は相続税の対象

遺産相続で多額の財産を手にしても、原則として所得税の対象ではありません。

相続によって財産を引き継いだ場合、相続税の対象になります。

相続税と所得税は、課税される対象が異なります。

相続税申告が必要であるうえ、確定申告が必要であることがあります。

相続税申告が不要であるうえ、確定申告が必要であることがあります。

相続税申告が不要であるうえ、確定申告が不要であることがあります。

相続税と所得税は、課税される対象が異なるからです。

遺産相続は、相続税の対象です。

2遺産相続で相続人の確定申告が必要になるケース

①生命保険の死亡保険金を受取

被相続人に生命保険がかけてあった場合、死亡保険金が払われます。

被相続人が自分で保険料を負担していた場合、死亡保険金は相続税の対象です。

死亡保険金の受取人が保険料を負担していた場合、死亡保険金は所得税の対象です。

死亡保険金の受取人と保険料負担者が同一人物の場合、確定申告が必要です。

死亡保険金の受取方法によって、一時所得または雑所得で課税されます。

生命保険の死亡保険金を受取ったケースでは、確定申告が必要です。

②相続した不動産を売却

相続した不動産を売却することがあります。

不動産の売却によって、不動産の値上がり益を得ることがあるでしょう。

不動産譲渡所得税は、不動産を売却したときに得られた利益に対して課されます。

不動産の売却代金から、購入価格と必要経費を差し引きた利益に課税されます。

不動産の売却によって損失が出たときは、確定申告は不要です。

譲渡所得には、さまざまな控除や特例があります。

控除や特例を受けて、所得が0円になることがあります。

控除や所得を受けるため、所得0円であっても確定申告が必要です。

相続した不動産を売却したケースでは、確定申告が必要です。

③事業を引継

被相続人が個人事業を営んでいることがあります。

相続の発生で、相続人が事業を引き継ぐことがあるでしょう。

被相続人の事業を引き継いだ場合、相続発生後は相続人の収入になります。

相続発生日以降の所得を取りまとめて、確定申告が必要です。

事業を引継いだケースでは、確定申告が必要です。

④収益不動産を引継

被相続人が収益不動産などを保有していることがあります。

遺産相続にによって、収益不動産を引き継ぎます。

相続発生日以降にも、収益を生み続けるでしょう。

相続発生日以降の収益は、相続人の収入です。

相続発生日以降の所得を取りまとめて、確定申告が必要です。

収益不動産を引継いだケースでは、確定申告が必要です。

⑤国などへ遺産を寄付

相続した財産から国などへ寄付をすることがあります。

寄付した団体によっては、寄付金控除を受けることができます。

寄付を受けた団体からの受領書を添えて、確定申告をすることができます。

確定申告をすることは、義務ではありません。

寄付金控除を受けることで、所得税を減らすチャンスがあります。

せっかく寄付をするのだから、確定申告をするのがおすすめです。

国などへ遺産を寄付したケースでは、確定申告がおすすめです。

⑥換価分割

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

相続財産の大部分が高価な不動産である場合、相続財産の分け方の合意が難しくなるでしょう。

換価分割とは、高価な不動産を売却してお金にして分ける方法です。

不動産の売却によって、不動産の値上がり益を得ることがあるでしょう。

不動産譲渡所得税は、不動産を売却したときに得られた利益に対して課されます。

不動産の売却代金から、購入価格と必要経費を差し引きた利益に課税されます。

換価分割では、売却代金を合意した割合で相続人に分割します。

不動産の値上がり益は、合意した割合で相続人が得たと言えます。

遺産分割協議書を添付して、各相続人が確定申告をします。

売却代金を受け取っただけの相続人は、確定申告を忘れがちです。

確定申告を怠ると、ペナルティーの対象になります。

換価分割したケースでは、確定申告が必要です。

⑦未支給年金の受取

年金は、後払いで支給されます。

年金受給者が死亡した月の分まで、支給されます。

例えば、4月分と5月分の年金は、6月に支給されます。

年金を受け取っている人が4月に死亡した場合、4月分の年金まで支給されます。

4月分の年金は、6月に振込みがされます。

多くの場合、6月の年金支払い日には、口座が凍結されているでしょう。

6月に支給される年金の振込みを受けることができません。

4月分の年金が未支給年金です。

未支給年金は、遺族の固有の財産です。

税務上は、遺族の一時所得として取り扱われます。

一時所得がある場合、原則として確定申告の対象です。

一時所得には、50万円の特別控除があります。

未支給年金を含めて一時所得が50万円未満であれば、確定申告は不要です。

未支給年金の受取したケースでは、確定申告が必要です。

3被相続人の準確定申告が必要になるケース

①準確定申告が必要になる人

準確定申告とは、被相続人の生前の所得について相続人がする確定申告です。

準確定申告が必要になるのは、主に次の人です。

・事業所得や不動産所得があった人

・給与所得が2,000万円を超えている人

・2か所以上から給与所得を受け取っている人

・公的年金による収入が400万円を超える人

・給与、退職金以外で20万円以上の所得があった人

・生前に不動産や株式を売却し、譲渡所得があった人

②準確定申告をすると還付金が発生することがある

準確定申告は、被相続人の所得を取りまとめ適切に納税するために行います。

確定申告をするときに、さまざまな控除や特例を利用することがあるでしょう。

準確定申告で控除や特例を申告すると、納め過ぎた税金が還付されることがあります。

準確定申告をする義務はなくても、準確定申告をすることで還付金を得られるかもしれません。

③準確定申告の期限は4か月

準確定申告は、期限があります。

相続があったことを知った日の翌日から起算して、4か月以内に管轄の税務署に申告し納税します。

相続手続には、想像以上に手間と時間がかかります。

あっという間に、4か月の期限になります。

準確定申告の期限は、相続が発生してから4か月です。

4相続税申告が必要なケースは10%未満

①基礎控除額以内なら相続税申告不要

税制は複雑なうえに、改正が度々あります。

相続税大増税!最高税率55%!!などと不安を煽っている専門家がたくさんいます。

相続税申告が必要なケースは、全体のわずか10%未満です。

相続税の税率が55%になるのは、資産額6億円以上の富裕層です。

90%以上の庶民には、心配する必要がない税金です。

相続税の申告が必要になるのは、一定以上の資産額があるケースです。

申告する必要があるか判断する基準となる一定額のことを、基礎控除と言います。

資産額が基礎控除より少ないのであれば、相続税申告は必要ありません。

基礎控除額は、次の計算式で求められます。

基礎控除=3000万円+法定相続人の人数×600万円

基礎控除額以内なら、相続税申告は不要です。

②特例や控除を活用して相続税がかからない

相続税には、さまざまな特例や控除があります。

相続税申告をする人の中には、納める税金がない人がたくさんいます。

家族にとって自宅などは、重要な財産であることが多いでしょう。

例えば、相続税には小規模宅地の特例という特例があります。

小規模宅地の特例を利用できれば、宅地等の評価額が80%減になります。

相続財産の大部分が自宅であるケースは、少なくありません。

自宅の評価額が80%減になれば、相続税が課されないことが多いでしょう。

特例や控除を活用して、相続税がかからないケースは珍しくありません。

③相続税申告の期限は10か月

相続税申告は、期限があります。

相続があったことを知った日の翌日から起算して、10か月以内に管轄の税務署に申告し納税します。

相続手続には、想像以上に手間と時間がかかります。

あっという間に、10か月の期限になります。

相続税申告の期限は、相続が発生してから10か月です。

5相続対策を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人は悲しむ暇もなく相続手続に追われます。

ほとんどの人は相続手続は不慣れで、聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。

穏やかで温厚な人でも、疲れ果てているとトラブルに巻き込まれがちです。

インターネットの普及によって、たくさんの情報を手にすることができるようになりました。

その中には、適切なものもそうでないものも入り混じっています。

法律の知識がないと適切なのものとそうでないものの区別がつきません。

あいまいな知識で相続人全員の話し合いをすると、合意できることでさえ、トラブルに発展しがちで

す。

被相続人の希望が尊重されて、相続人全員にとって納得のいく財産分配が行われるのが大切です。

家族をトラブルから守るためには、事前の対策が欠かせません。

まずは相続について、家族の考えを確認してみましょう。

家族がトラブルを起こさないように対策したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

遺産分割協議中に固定資産税

2025-01-30

1不動産の所有者に固定資産税がかかる

①1月1日現在の所有者に固定資産税納税義務

固定資産税とは、固定資産に対してかかる税金です。

固定資産税がかかる固定資産には、土地、家屋、製造設備や事業用資産などの償却資産があります。

固定資産が所在する市区町村に対して、税金を納めます。

固定資産税を納める人を納税義務者と言います。

納税義務者は、1月1日現在、土地、家屋、及び償却資産の所有者として、固定資産税課税台帳に登録されている人です。

1月1日現在の所有者は、固定資産税を納める義務があります。

②未払い固定資産税は相続財産

固定資産税は、まとめて一括する方法と年4回の分割払いする方法があります。

例えば、名古屋市では4月、7月、12月、翌年2月に分割払いをすることができます。

年4回の分割払いをしていた人が途中で死亡することがあります。

4月分と7月分を納付した後8月に死亡した場合、12月分と翌年2月分は未納になります。

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

被相続人のプラスの財産とマイナスの財産が相続財産です。

被相続人が税金を納める義務を果たさないまま死亡した場合、税金を納める義務は相続財産です。

未払い固定資産税は、相続財産です。

③相続発生で口座凍結

固定資産税は、納付書で納付する方法と口座引き落としで納付する方法があります。

被相続人が固定資産税を口座引き落としで納付していることがあります。

口座の持ち主が死亡したことを金融機関が知った場合、口座を凍結します。

口座の凍結とは、口座取引をできなくすることです。

口座取引ができなくなるから、固定資産税の引落ができません。

固定資産税の口座引き落としができなかった場合、市区町村役場に連絡して納付書で納付します。

2遺産分割協議中に固定資産税がかかる

①相続発生後の固定資産税は相続財産ではない

固定資産税とは、固定資産に対してかかる税金です。

1月1日現在の所有者は、固定資産税を納める義務があります。

所有者が死亡しても、固定資産税はかかります。

所有者が死亡したら、被相続人のものは相続人が相続するからです。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

遺産分割協議が成立するまで、相続財産は相続人全員の共有財産です。

遺産分割が成立しないまま1月1日を迎えた場合、1月1日現在の所有者は相続人全員です。

相続人全員に対して、新年の固定資産税が課されます。

新年に課された固定資産税は、相続財産ではありません。

被相続人は、死亡後の固定資産税を払う義務を負っていません。

被相続人から引き継いだ義務ではないからです。

相続人全員が新たに負担した相続人全員の固有の義務です。

②遺産分割協議中は相続人全員の連帯責任

固定資産税は、相続人全員の連帯責任です。

相続人全員が法定相続分で固定資産税を負担します。

遺産分割協議が長期化すると、固定資産税も高額になります。

③被相続人名義で納税通知書

固定資産税は、1月1日現在の所有者に課されます。

遺産分割協議中であっても新たに固定資産税がかかります。

遺産分割協議中の場合、事実上、不動産の名義変更をすることができません。

相続登記がされない場合、被相続人の住所に被相続人名義で納税通知が送られます。

納税通知が被相続人名義になっていても、固定資産税の納税義務は相続人全員の義務です。

④期限が過ぎると延滞税

被相続人名義で納税通知書が送られても、固定資産税の納税義務は相続人全員の義務です。

被相続人の住所地にだれも住んでいないことがあります。

納税通知に気づかないまま、期限が過ぎてしまうおそれがあります。

納税通知が届けられず、市区町村役場に返送されてしまうことがあります。

固定資産税を納めないまま期限を過ぎてしまったら、延滞税がかかります。

⑤滞納を放置すると代位登記のおそれ

固定資産税等を滞納した場合、滞納処分が開始します。

滞納処分が開始した場合、納税義務者の財産を差押えることができます。

差押の前提として、債権者代位で相続登記をすることができます。

被相続人名義の不動産に対して、相続人の税金で差押をすることができないからです。

相続人の名義にするため、法定相続分で相続登記をします。

債権者が代位登記をする場合、相続人に連絡することはありません。

相続人がどのような遺産分割協議をしているのかお構いなしで代位登記をします。

相続人が知らないところで、勝手に登記を入れてきます。

遺産分割協議が成立したから消して欲しいと文句を言うことはできません。

税金を取り立てるために差押をしたものだからです。

税金の滞納を放置した場合、代位登記がされるおそれがあります。

3固定資産税を含めて遺産分割協議

①相続人代表者指定届を提出しても連帯責任

被相続人の住所地が空き家になっている場合、納税通知に気づかないおそれがあります。

相続人代表者指定届とは、固定資産税の納税通知書を受け取る代表者を指定する届出です。

相続人代表者指定届を提出した場合、納税通知書は代表相続人のところに送られます。

代表相続人のところに送られるから、納税通知に気づかないといったことを減らすことができます。

相続人代表者指定届は、納税通知書を受け取る人を届け出ただけです。

納税通知書には、納付書が同封されます。

納付書が同封されても、代表相続人だけが納税義務者になるわけではありません。

相続財産は、相続人全員の共有財産だからです。

相続人代表者指定届は、納税通知書を受け取る代表者を指定したに過ぎません。

納税義務は、相続人全員の連帯責任です。

相続人代表者指定届を提出しても、納税義務は相続人全員の連帯責任のままです。

②固定資産税を納めても相続人全員の共有財産

1月1日現在の所有者は、固定資産税を納める義務があります。

相続代表者指定届を提出した場合、代表相続人のもとに納税通知書が届きます。

納税通知書には、納付書が同封されます。

代表相続人が納付書で固定資産税を納付しても、所有者になるわけではありません。

固定資産税は、相続人全員に納付義務があります。

代表相続人が納付した場合、他の相続人のため立替払いをしたと言えます。

他の相続人に対して法定相続分で固定資産税を清算してもらうことができます。

固定資産税を納めても、不動産は相続人全員の共有財産です。

③遺産分割協議は相続人全員の合意で成立

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

相続財産の分け方は、相続人全員が合意できるのであればどのように分けても差し支えありません。

遺産分割協議中に新たに発生した固定資産税は、相続財産ではありません。

相続人全員の固有の義務だけど、固有の義務を含めて合意をすることができます。

固定資産税は、1月1日現在の所有者に課されます。

例えば、2024年8月に相続が発生した場合、2024年1月1日の所有者は被相続人です。

2024年12月と2025年2月に納める固定資産税は、被相続人が納めるべき固定資産税です。

2024年12月と2025年2月に納める固定資産税は、未払い固定資産税です。

遺産分割協議が成立しないまま2025年1月1日を迎えたら、所有者は相続人全員です。

固定資産税の納税義務者は、相続人全員です。

2025年4月、7月、12月、2026年2月の固定資産税納付義務は、相続人全員にあります。

2025年1月10日に遺産分割協議が成立した場合、その財産を取得する人が固定資産税を負担します。

2025年1月10日に遺産分割協議が成立しても、2025年4月、7月、12月、2026年2月の固定資産税納付義務は、相続人全員のままです。

固定資産税は、1月1日現在の所有者に課されるからです。

2025年1月10日に遺産分割協議が成立した場合、2026年4月以降は不動産を取得する人が固定資産税を負担します。

何となく納得できない気持ちになる人も多いでしょう。

納税義務は納税義務として、相続人全員で実際の負担者を合意することができます。

キチンと納税されれば、実際の負担者についてあれこれ言われることはありません。

不動産を取得する人だけでなく固定資産税の負担についても、まとめて合意するのが合理的です。

4相続放棄をしても固定資産税の納税義務

①未払い固定資産税は払わなくてもいい

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する申立てをします。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

家庭裁判所が相続放棄を認めた場合、申立てをした人だけに通知します。

家庭裁判所は自主的に市区町村役場などに相続放棄を認めたことを連絡しません。

被相続人に未払い固定資産税がある場合、税金を払ってくださいと通知してきます。

相続放棄が認められた場合、被相続人の未払い固定資産税は引き継ぎません。

市区町村役場は相続放棄をしたことを知らないから、通知してきただけです。

通知があっても、あわてて納付する必要はありません。

被相続人の未払金を払った場合、単純承認と見なされます。

単純承認をしたら、相続放棄が無効になるからです。

②相続発生後の固定資産税の納税義務を負う可能性がある

納税義務者は、1月1日現在、土地、家屋、及び償却資産の所有者として、固定資産税課税台帳に登録されている人です。

相続発生後の固定資産税は、納税義務者の固有の義務です。

被相続人から相続した義務ではありません。

相続放棄のタイミングによっては、所有者として固定資産税課税台帳に登録されることがあります。

所有者として固定資産税課税台帳に登録された場合、固定資産税の納税義務を負う可能性があります。

5遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

合意がきちんと文書になっているからこそ、トラブルが防止できるといえます。

遺産分割協議書の書き方に不備があると、トラブルを起こしてしまう危険があります。

せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

分譲マンションの相続手続と活用法

2025-01-30

1分譲マンションの相続手続

①遺言書があれば遺言書どおりに遺産分割

被相続人が生前に、遺言書で財産の分け方を指定していることがあります。

相続財産の分け方は、被相続人の意思が最も尊重されるべきでしょう。

遺言書があれば遺言書どおりに、遺産分割をすることができます。

②遺言書の探し方

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作成することがほとんどです。

自筆証書遺言とは、自分で書いて作る遺言書です。

自筆証書遺言を作った後は、原則として、自分で保管します。

条件にあてはまれば、法務局に保管してもらうことができます。

公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に伝え公証人が書面に取りまとめる遺言書です。

公正証書遺言を作った後は、公証役場で厳重保管されます。

公正証書遺言は、カンタンに探すことができます。

公正証書遺言は、検索システムに登録されているからです。

相続が発生した後、相続人は検索システムで公正証書遺言の有無を確認してもらうことができます。

法務局で保管してもらっている自筆証書遺言は、カンタンに探すことができます。

遺言書情報証明書を発行してもらえばいいからです。

相続が発生した後、相続人は遺言書情報証明書を発行してもらうことができます。

遺言書情報証明書は、法務局が預かっている自筆証書遺言の内容を証明した書類です。

自宅などで保管している自筆証書遺言は、探しにくいかもしれません。

保管場所を家族と共有していると、改ざんや変造のリスクがあるからです。

自宅などで保管している自筆証書遺言は、遺品整理をしていると見つかることがあります。

自宅などで見つけた自筆証書遺言は、家庭裁判所で開封してもらいます。

③戸籍謄本で相続人を証明

相続人になる人は、法律で決まっています。

家族にとって、だれが相続人になるか当然のことと考えているでしょう。

相続人になる人は、戸籍謄本で客観的に証明する必要があります。

相続人は、戸籍謄本で証明します。

④相続人全員で遺産分割協議

遺言書を作成する人は、あまり多くありません。

遺言書がない場合、相続財産の分け方は相続人全員の合意で決定します。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話合いです。

一部の相続人を含めないと、遺産分割協議は無効になります。

遺産分割協議は、相続人全員の合意で決定します。

⑤分譲マンションを相続するときの遺産分割協議書の書き方

記載例

(一棟の建物の表示)

所在 ○○市○○町○丁目○番地○

建物の名称 ○○○○マンション

(専有部分の建物の表示)

家屋番号 ○○町○丁目○番○の○

建物の名称 ○○○

種類 居宅

構造 鉄筋コンクリート造1階建

床面積 ○階部分 ○○.○○㎡

(敷地権の表示)

符号 1

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 ○○○.○○㎡

(敷地権の種類)

所有権

(敷地権の割合)

持分 ○○○○○○分の○○○○○○

符号 2

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 ○○○.○○㎡

(敷地権の種類)

所有権

(敷地権の割合)

持分 ○○○○○○分の○○○○○○

⑥遺産分割協議書に不備があると相続登記ができない

不動産は、重要な財産であることが多いでしょう。

重要な財産の名義を変更する手続だから、法務局は慎重に審査します。

相続登記は、一般の人が些細なことと思うようなことでやり直しになります。

一般的に、相続登記は相続手続の中でも手間がかかる難しい手続です。

マンションを相続する場合、記載すべき項目がたくさんあります。

マンションの登記簿謄本には、たくさんの項目が登記されています。

登記簿謄本から書き写すだけとは言うものの、簡単なことではないでしょう。

遺産分割協議書の記載が不適切であった場合、相続人全員の合意が不明確になります。

相続人全員の合意が不明確である場合、相続登記ができなくなるでしょう。

遺産分割協議書に不備があると、相続登記ができなくなります。

⑦令和6年4月1日から相続登記義務化

令和6年(2024年)4月1日から、相続登記をする義務が課されました。

相続登記の期限は、3年です。

令和6年(2024年)4月1日以降に発生した相続は、当然に対象になります。

相続があったことを知ってから、相続登記の期限3年がスタートします。

相続登記の期限3年を経過すると、ペナルティーの対象になります。

令和6年(2024年)4月1日以前に発生した相続も、義務化の対象です。

過去の相続は、すでに3年を経過していることが多いでしょう。

過去の相続は、令和9年3月31日が期限になります。

所有者不明の土地の発生を防止するため、相続登記をすることは義務になりました。

⑧相続登記義務化で10万円以下のペナルティーが課される

令和6年4月1日から相続登記をする義務が課されました。

相続登記の義務を果たしていない場合、ペナルティーが課されます。

ペナルティーの内容は、10万円以下の過料です。

過料とは、行政上の義務違反に対するペナルティーです。

過料は刑罰ではないから、前科が付きません。

前科が付かないと言っても、10万円以下のペナルティーは負担が重いでしょう。

相続登記の義務を果たしていないと、10万円以下の過料が課される可能性があります。

2相続登記の手順

手順①戸籍謄本や住民票の収集

遺言書がないときの必要書類は、次のとおりです。

・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

・被相続人の住民票

・相続人の戸籍謄本

・相続人全員の印鑑証明書

・固定資産税の評価証明書

相続登記の手順1つ目は、戸籍謄本や住民票を収集することです。

手順②遺産分割協議

相続人全員の合意で相続財産の分け方を決めます。

相続人全員の合意がまとまったら、書面に取りまとめます。

遺産分割協議書は、相続人全員が実印で押印します。

相続登記の手順2つ目は、遺産分割協議をすることです。

手順③登記申請書の作成

登記申請書を作成します。

法務局のホームページを見ると、記載例が掲載されています。

必要事項は、正確に記載します。

相続登記の手順3つ目は、登記申請書の作成です。

手順④管轄法務局へ登記申請

登記申請書と必要書類を取りまとめて、管轄法務局へ提出します。

登記申請にあたって、登録免許税が課されます。

登録免許税は、収入印紙で納入します。

相続登記の手順4つ目は、管轄法務局へ登記申請することです。

手順⑤登記完了

登記が完了すると、権利証が発行されます。

相続登記の手順5つ目は、登記完了です。

3分譲マンション相続後の活用法

①自分で住む

分譲マンションを相続した後、自分で住むことが考えられます。

自分で住むことのメリットは、次のとおりです。

・新たな住居費用がかからない。

・引き継いだ財産を維持できる。

自分で住むことのデメリットは、次のとおりです。

・管理の手間がかかる。

分譲マンション相続後の活用法1つ目は、自分で住むことです。

②賃貸に出す

分譲マンションを相続した後、賃貸に出して賃料を得ることができます。

賃貸に出すことのメリットは、次のとおりです。

・定期的な不労所得を得ることができる。

・マンションの劣化を抑えることができる。

・資産価値を維持できる。

賃貸に出すことのデメリットは、次のとおりです。

・賃貸管理の手間がかかる。

・空室リスクがある。

分譲マンション相続後の活用法2つ目は、賃貸に出すことです。

③売却

分譲マンションを相続した後、売却して現金にすることができます。

売却のメリットは、次のとおりです。

・まとまった現金を手に入れることができる。

・維持管理の手間や費用がかからない。

売却のデメリットは、次のとおりです。

・引き継いだ資産を手放すことになる。

・売却の手間や費用がかかる。

分譲マンション相続後の活用法3つ目は、売却することです。

4分譲マンションを相続する注意点

①売却するときでも相続登記は省略できない

不動産を相続したら、名義変更をします。

不動産を持ち続けるときだけでなく直ちに売却するときも、相続登記が必要です。

相続登記をしないと、買主に所有権移転登記をすることができないからです。

相続後すぐに売却するときでも、相続登記は省略できません。

②ローン残債は相続人全員が法定相続分で相続

被相続人がローンを組んで、マンションを購入していることがあります。

相続が発生したときに、ローンが残っているかもしれません。

ローンの対象になっているマンションとローンは、別の財産です。

ローンの対象になっているマンションを相続した人が自動でローンを引き継ぐわけではありません。

ローンの対象になっているマンションは、遺産分割協議で相続する人を決めることができます。

遺産分割協議でローンを引き継ぐ人を決めたとしても、債権者は相続人全員に法定相続分で返済を求めることができます。

遺産分割協議でローンを引き継ぐ人を決めたから、その人に請求してもらいたいと文句を言うことはできません。

遺産分割協議でローンを引き継ぐ人を決めたとしても、相続人間の内部的合意だからです。

債権者には関係ない話だからです。

ローン残債は、相続人全員が法定相続分で相続します。

③ローン完済しても抵当権抹消登記

被相続人が住宅ローンを組む場合、団体信用生命保険に加入していることがあります。

団体信用生命保険は、加入者が住宅ローンを返済中に死亡や障害状態になったとき、保険金によって住宅ローンが弁済される保険です。

住宅ローンを組む場合、団体信用生命保険の加入が条件になっているケースが多いものです。

被相続人がローン返済中に死亡した場合、ローンは完済になります。

住宅ローンを組む場合、銀行は対象になっている住宅を担保に取っています。

担保に取って、抵当権設定登記をしているでしょう。

ローンが完済されると、抵当権は消滅します。

抵当権が消滅しても、抵当権の登記は自動で抹消されません。

銀行などが自動で抹消してくれることも、ないでしょう。

ローン完済したら、抵当権抹消登記をする必要があります。

④相続税申告は10か月以内

相続財産の規模が大きい場合、相続税の対象になります。

相続財産に分譲マンションが含まれる場合、適切に評価することが重要です。

分譲マンションは、土地部分と建物部分があります。

土地は、路線価で評価します。

建物は、固定資産税評価額です。

分譲マンションの場合、相続税評価額は時価と大幅に異なることがあります。

相続税は、10か月以内に申告納税をします。

5相続登記を司法書士に依頼するメリット

大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。

やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。

相続手続は一生のうち何度も経験するものではありません。

だれにとっても不慣れで、手際よくできるものではないでしょう。

相続手続で使われる言葉は、法律用語です。

一般の方にとって、日常で聞き慣れないものでしょう。

不動産は重要な財産であることも多いので、登記手続きは一般の方から見ると些細なことと思えるようなことでやり直しになることも多いです。

やり直しで済めば、良かったと言えるかもしれません。

知識がない人が登記簿謄本から見落としなく、読み解くのは難しいものです。

日常の仕事や家事をこなしたうえに、相続手続があると、疲労困憊になってしまいます。

相続手続に疲れてイライラすると普段は温厚な人でも、トラブルを引き起こしかねません。

司法書士などの専門家は、相続手続をサポートします。

相続手続でへとへとになったから先延ばしするより、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

死亡届を出すだけで銀行口座は凍結しない

2025-01-29

1死亡届を出すだけで銀行口座は凍結しない

①口座の持ち主が死亡すると口座は凍結する

大切な家族が死亡したら、葬儀を出します。

葬儀の費用は、まとまった金額になることが多いでしょう。

ほとんどの人は、生前に銀行などで口座を持っています。

被相続人の口座の預貯金を引出して、支払いに充てたいと考えるかもしれません。

口座の持ち主が死亡した場合、口座は凍結されます。

口座凍結とは、口座取引が停止されることです。

口座取引には、次のものがあります。

・ATMや窓口での引出し

・公共料金の引落し

・年金などの振込み

まとまった金額が必要になるのに、引出ができなくなります。

被相続人の家族なら、自由に引出しができるといったことはありません。

口座の持ち主の死亡で口座が凍結されると、入出金はできなくなります。

口座の持ち主が死亡すると、口座は凍結します。

②医師や病院から連絡されない

人が死亡すると、医師は死亡診断書を書きます。

医師が死亡診断書を作成しても、銀行の預貯金口座は凍結しません。

死亡した人がどこの金融機関に口座を持っているのか、医師や病院は知らないでしょう。

医師や病院から、金融機関に連絡されません。

③市区町村役場から連絡されない

人が死亡したら、市区町村役場に死亡届を提出します。

医師が作成した死亡診断書を添えて、死亡届を提出します。

死亡届を提出しても、銀行の預貯金口座は凍結しません。

死亡した人がどこの金融機関に口座を持っているのか、市区町村役場は知らないでしょう。

人が死亡した事実は、個人情報です。

市区町村役場から個人情報が漏洩したら、大きな問題になるでしょう。

責任問題になるから、市区町村役場から自動で金融機関などに連絡されません。

市区町村役場から、金融機関に連絡されません。

④銀行口座が凍結するタイミング

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人は、被相続人の財産を調査するでしょう。

被相続人が銀行に預貯金の口座を持っていた場合、口座の預貯金は相続財産です。

相続財産の調査のため、相続人は口座の有無を銀行に問合わせるでしょう。

口座を持っていることが分かっている場合、相続手続の方法を問合わせるでしょう。

問合せを受けたとき、銀行は死亡の事実を知ります。

銀行が口座の持ち主の死亡を知ったとき、預貯金の口座は凍結されます。

銀行口座が凍結するタイミングは、相続人から問合せを受けたときです。

⑤電話連絡で口座凍結をしてもらえる

医師が死亡診断書を作成しても、銀行の預貯金口座は凍結しません。

死亡届を提出しても、銀行の預貯金口座は凍結しません。

相続人には、さまざまな経済状況の人がいるでしょう。

普段から金遣いの荒い相続人や経済的に困窮している相続人がいるかもしれません。

葬儀費用や入院費用などと称して、ほしいままに預貯金を引出すおそれがあります。

一部の相続人がほしいままに預貯金を引出すと、大きなトラブルになるでしょう。

口座が凍結されると、口座取引ができなくなります。

口座の持ち主が死亡したことを銀行が知ったときに、口座を凍結します。

銀行に口座の持ち主が死亡したことを知らせると、口座を凍結してくれます。

銀行に知らせる手段は、電話でも差し支えありません。

電話連絡で、口座を凍結してもらえます。

⑥銀行口座が凍結される理由

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

被相続人の口座の預貯金は、相続財産です。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

一部の相続人が口座の預貯金を独り占めすることは、許されることではありません。

被相続人の預貯金を勝手に引き出した場合、相続人間で大きなトラブルになるでしょう。

被相続人の口座の預貯金は、相続人全員の共有財産です。

一部の相続人に対して安易に引出しに応じた場合、他の相続人から強い抗議を受けるでしょう。

ときには相続人間のトラブルに、巻き込まれるかもしれません。

被相続人の大切な預貯金を守れない場合、銀行は信用を失墜することになるでしょう。

相続人間のトラブルに巻き込まれることは、何としても避けたいでしょう。

相続人間のトラブルに巻き込まれて信用失墜を避けるため、口座を凍結します。

⑦他の銀行と情報共有しない

銀行に口座の持ち主が死亡したことを知らせると、口座を凍結してくれます。

多くの人は、複数の金融機関に口座を持っていて使い分けているでしょう。

同一の銀行の複数の支店に口座を持っている場合、一度連絡すればすべての支店の口座が凍結されます。

異なる銀行で口座を持っている場合、銀行ごとに連絡が必要です。

銀行などの金融機関は、顧客情報を共有していないからです。

他の銀行と情報共有しないから、個別に連絡が必要です。

2遺産分割協議をして口座凍結解除

①遺産分割協議は相続人全員で

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

被相続人の口座の預貯金は、相続財産です。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

相続人になる人は、法律で決められています。

相続人が相続する相続分も、法律で決められています。

法定相続分は、自由に引き出していいと考えるかもしれません。

法定相続分であっても、被相続人の預貯金を引出すことはできません。

口座の預貯金は、相続人全員の共有財産だからです。

相続財産の分け方について相続人全員の合意がまとまったら、合意内容は書面に取りまとめます。

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。

相続人全員の合意があれば、相続トラブルに銀行が巻き込まれることはないでしょう。

銀行は安心して、口座凍結を解除してくれます。

遺産分割協議は、相続人全員の合意で成立します。

②少額預金の相続手続でも相続人全員の合意

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

口座凍結解除をしてもらうためには、口座の残高に関わらず同じように手続をするのが原則です。

残高が少額である場合、ゆうちょ銀行など一部の金融機関では簡易な方法で相続手続をすることができます。

残高が少額と認められる目安は、おおむね100万円程度です。

簡易な方法で相続手続をするとは、代表相続人のみで手続をする方法です。

通常の方法では、相続人全員が実印で押印し相続人全員の印鑑証明書を提出します。

簡易の方法では、代表相続人が実印で押印し代表相続人の印鑑証明書を提出します。

簡易の方法であっても、他の相続人が知らないうちに相続手続をすることはおすすめできません。

相続財産の独り占めは許されることではないからです。

他の相続人が知らないうちに相続手続をすると、ひとり占めをしているように見えるでしょう。

口座の預貯金は、相続人全員の共有財産です。

簡易の方法で相続手続ができると言っても、相続人全員の合意は不可欠です。

③口座凍結前に引出すと相続トラブルのおそれ

葬儀費用や入院費用、施設費用などを清算するために、まとまった費用が必要になるでしょう。

被相続人の口座に充分な預貯金がある場合、引出して支払いに充てたいと考えるかもしれません。

口座凍結されると、口座取引が停止されます。

家族であっても、口座から引き出すことはできなくなります。

口座が凍結される前に、まとまった金額の引出をすることがあります。

一部の相続人が口座の預貯金を独り占めすることは、許されることではありません。

事情を知らない他の相続人からは、使い込みに見えるでしょう。

相続人間のトラブルを防止するため、引出しの事実と使い途を共有しましょう。

支払先からの請求書や領収書を保管して、いつでも見せることができるようにしておくと安心です。

口座凍結前に引出すと、相続トラブルに発展するおそれがあります。

④合意ができなくても預金仮払い制度

銀行の預貯金は、分けやすい財産の代表例です。

相続財産が預貯金だけである場合、相続人全員の話し合いが長引くことは少ないでしょう。

自宅などの不動産は、分けにくい財産の代表例です。

相続財産の大部分が不動産である場合、遺産分割協議が長引くことがあります。

相続人全員の合意がないと、口座の凍結解除はされません。

銀行口座凍結中でも、仮払いが受けることができます。

銀行などの金融機関に手続をする場合、仮払い上限額の計算式は次のとおりです。

仮払いの上限額=死亡時の預金額×1/3×法定相続分

計算式で求められた上限額が150万円を超えた場合、150万円になります。

預金の金額が少ない場合や法定相続人が多い場合、150万円の仮払いを受けることができません。

仮払いを受ける対象は、預金だけです。

債券や有価証券、株式などは対象外です。

相続人全員で合意ができなくても、預金仮払い制度を利用して預貯金を引出すことができます。

⑤預金仮払い制度利用で相続放棄が無効になるおそれ

相続が発生した後、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続を単純承認した後で、相続放棄をすることはできません。

相続放棄をすることができないように、単純承認も撤回することができないからです。

法律で定められた一定の条件にあてはまるときは、単純承認したとみなされます。

相続財産の名義変更をした、相続財産である銀行の預貯金を引き出して使ってしまった場合が典型的です。

単に、引き出しただけであれば、処分とは言えないことが多いでしょう。

引き出したうえ、自分の口座に送金して保管すると「処分した」と評価される可能性が高くなります。

引き出したうえ何に使ったのか分からないとなると、私的に使ったと判断されるでしょう。

預金の仮払いを受けられるからと言って、被相続人の預金を使うのはリスクを伴います。

預金仮払い制度利用で、相続放棄が無効になるおそれがあります。

3遺言書があればラクに口座凍結解除

①遺言書があれば遺産分割協議不要

被相続人は、生前に自分の財産を自由に処分することができます。

遺言書を作成して、自分の財産をだれに引き継ぐのか自由に決めることができます。

遺言書がある場合、遺言書のとおりに分けることができます。

相続人全員で相続財産の分け方を話し合う必要はありません。

遺言書があれば、遺産分割協議は不要です。

②相続手続は遺言執行者におまかせ

遺言書は、作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書を作成したときに、遺言執行者を指名することができます。

確実に遺言書を実現してくれるから、遺言者にとって安心です。

相続手続をおまかせできるから、家族にとって安心です。

相続手続は、遺言執行者におまかせできます。

③自筆証書遺言は検認手続をしてから

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作成することがほとんどです。

自筆証書遺言は、自分で書いて作る遺言書です。

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に伝え公証人が取りまとめる遺言書です。

遺言者が死亡した後、自筆証書遺言は家庭裁判所に提出して開封してもらう必要があります。

自筆証書遺言は遺言者にとって手軽ですが、家族には負担です。

自筆証書遺言は、検認手続をしてから執行します。

④公正証書遺言がおすすめ

公正証書遺言原本は、公証役場で厳重に保管されます。

遺言書を紛失することは、ありません。

遺言書の改ざんや変造を疑われることも、ありません。

遺言者が死亡した後、家庭裁判所で手続をする必要はありません。

公正証書遺言は、すぐに執行することができます。

公正証書遺言は遺言者にとって負担ですが、家族にはラクです。

公正証書遺言は、メリットが多くおすすめです。

4預貯金口座の相続手続を司法書士に依頼するメリット

口座を凍結されてしまったら、書類をそろえて手続きすれば解除してもらえます。

必要な書類は、銀行などの金融機関によってまちまちです。

手続の方法や手続にかかる期間も、まちまちです。

銀行内部で取扱が統一されていないことも多いからです。

窓口や電話で確認したことであっても、上席の方に通してもらえないことも少なくありません。

スムーズに手続できないことが多いのが現状です。

日常生活に不可欠な銀行口座だからこそ、スムーズに手続したいと思う方が多いでしょう。

仕事や家事で忙しい人や高齢、療養中などで手続が難しい人は、手続を丸ごとおまかせできます。

凍結口座をスムーズに解除したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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