広域交付を利用して本籍地以外で戸籍謄本を取得

1広域交付を利用して本籍地以外で戸籍謄本を取得

①全国どこの市区町村役場でも請求できる

戸籍は、本籍を定めている市区町村役場に備えられています。

戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場に請求するのが原則です。

広域交付を利用すると、近くの市区町村役場で戸籍謄本を取得することができます。

本籍地の市区町村役場以外であっても、住所地や勤務先の市区町村役場で取得できます。

例えば、名古屋市に本籍地がある人が名古屋市以外の市区町村役場で戸籍謄本を取得することができます。

名古屋市以外に本籍地がある人が名古屋市内の区役所で戸籍謄本を取得することができます。

全国どこの市区町村役場でも、戸籍謄本を請求できます。

②近くの市区町村役場でまとめて請求できる

広域交付を利用すると、近くの市区町村役場で戸籍謄本を取得することができます。

多くの人は、過去に複数の本籍地があるでしょう。

戸籍の本籍地が全国各地にあっても、1か所の市区町村役場の窓口でまとめて請求することができます。

近くの市区町村役場でまとめて、請求できます。

③広域交付で取得できるのは戸籍謄本のみ

広域交付で取得できるのは、戸籍謄本のみです。

戸籍抄本は、広域交付の対象外です。

戸籍抄本とは、戸籍の一部だけ証明した書類です。

現在戸籍だけでなく除籍謄本や改製原戸籍謄本も、広域交付の対象です。

④戸籍の附票は対象外

相続登記をする場合、戸籍謄本と一緒に住民票や戸籍の附票を提出します。

住民票は、住民票を置く市区町村役場に請求します。

戸籍の附票は、本籍地の市区町村役場に請求します。

住民票より戸籍の附票を準備する方が便利です。

相続手続では戸籍謄本を準備するから、本籍地は必ず判明するからです。

戸籍の附票は、広域交付の対象外です。

戸籍の附票は、本籍地以外の市区町村役場で請求することはできません。

今までどおり、本籍地の市区町村役場に請求します。

⑤広域交付で戸籍謄本取得の負担軽減

相続手続では、たくさんの戸籍謄本を準備する必要があります。

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本を準備する必要があるからです。

戸籍謄本の広域交付制度が始まるまでは、本籍地の市区町村役場に請求する必要がありました。

各本籍地の市区町村役場に請求すると、多大な手間と時間がかかります。

必要な戸籍謄本が集められないと、相続手続を進めることができません。

戸籍謄本の広域交付で、手続が大幅に簡素化されました。

相続登記がされないことの一因になっていると考えられます。

広域交付で戸籍謄本取得の負担軽減されると、相続登記が促進されると期待されています。

2広域交付を利用して戸籍謄本を取得する方法

①広域交付が利用できる人の範囲

戸籍謄本の広域交付が利用できるのは、次の人です。

(1)その戸籍に記載がある人

(2)記載がある人の直系血族

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人の子どもは、被相続人の直系血族です。

被相続人の本籍地がどこにあっても、近隣の市区町村役場で戸籍謄本を取得することができます。

本人と直系血族は、広域交付で戸籍謄本を請求することができます。

②請求時に顔写真付き本人確認書類が必要

戸籍の記載事項は、その人のプライベートな内容です。

みだりに、人目にさらすものではないでしょう。

戸籍謄本の請求時に、顔写真付き本人確認書類を提示する必要があります。

例えば、次の書類です。

・運転免許証

・マイナンバーカード

・パスポート

・在留カード

顔写真付き本人確認書類を提示できないと、戸籍謄本の請求はできません。

③広域交付を利用して戸籍謄本を取得する手順

手順(1)市区町村役場の窓口へ行く

近隣の市区町村役場の窓口に、出向きます。

自治体によっては、事前予約が必要です。

手順(2)広域交付申請書を作成

窓口に備え付けてある広域交付申請書に、必要事項を記入します。

あらかじめ本籍地を調べておく必要があります。

本籍地が分からないと、戸籍謄本を請求できないからです。

手順(3)広域交付申請書を窓口に提出

本人確認書類を提示して、広域交付申請書を提出します。

手順(4)戸籍謄本の受取り

内容に問題がなければ、戸籍謄本が発行されます。

戸籍謄本と引き換えに、手数料を支払います。

現在戸籍450円

除籍謄本、改製原戸籍謄本 750円

原則として、即日交付されます。

広域交付申請書を窓口に提出してから発行されるまで、1時間以上かかることがあります。

ときには、当日発行されずに翌日以降に発行されることがあります。

④兄弟姉妹は直系ではない

戸籍謄本を請求することができる人は、原則として、本人と直系血族です。

相続が発生した場合、相続人調査をします。

被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本を準備する必要があります。

自分の親が死亡した場合、親の戸籍謄本を請求することができます。

自分から見て、親は直系血族だからです。

直系血族は、戸籍謄本を請求することができます。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を確認したら、被相続人の子どもがすべて判明します。

相続手続をする場合、相続人全員の現在戸籍を準備します。

相続が発生した時点で、相続人が存在したことを証明する必要があるからです。

被相続人に複数の子どもがいる場合、被相続人の他の子どもは自分の兄弟姉妹です。

兄弟姉妹は、直系血族ではありません。

兄弟姉妹が被相続人の戸籍に入っている場合、一緒に取得することができます。

兄弟姉妹が結婚や養子縁組などで、親の戸籍とは別の戸籍にいることがあります。

直系血族ではないから、原則として、戸籍謄本を請求することはできません。

⑤代理人は広域交付の対象外

戸籍謄本の請求は、代理人を立てて手続をしてもらうことができます。

相続のために戸籍謄本を収集する場合、手間と時間がかかります。

家族などに依頼して戸籍謄本を取得してもらうことがあるでしょう。

本人が作成した委任状を提示すれば、戸籍謄本を取得することができます。

代理人が戸籍謄本を請求する場合、広域交付を利用することはできません。

代理人が司法書士などの専門家であっても、広域交付を利用することはできません。

代理人が戸籍謄本を請求する場合、本籍地の市区町村役場に手続をする必要があります。

代理人は、広域交付を利用することができません。

⑥郵送請求は広域交付の対象外

市区町村役場の窓口は、平日の昼間のみ業務を行っています。

仕事や家事で忙しい人にとって、近隣の市区町村役場窓口に出向くことは難しいでしょう。

窓口に出向いて請求するほかに、郵送で請求することができます。

返信用封筒を入れておくと、郵送で送り返してもらえます。

郵送請求をする場合、広域交付を利用することはできません。

郵送請求は、本籍地の市区町村役場に請求する必要があります。

広域交付を利用できるのは、市区町村役場の窓口請求だけです。

郵送請求では、広域交付を利用することができません。

⑦第三者請求は広域交付の対象外

第三者が戸籍謄本を請求できるのは、特別な理由があるときのみです。

戸籍にはその人のプライベートな事柄が記載されています。

特別な理由について、厳格な審査が必要です。

特別な理由が明らかにできない場合、戸籍謄本を発行してもらうことはできません。

第三者が戸籍謄本を請求する場合、広域交付を利用することはできません。

⑧コンピューター化されていない戸籍は広域交付の対象外

相続人調査では、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を準備します。

被相続人が高齢で死亡した場合、相当古い戸籍謄本が必要になります。

相当古い戸籍の一部は、コンピューター化されていません。

広域交付を利用できるのは、コンピューター化された戸籍のみです。

コンピューター化されていない戸籍は、広域交付の対象外です。

⑨受付時間・窓口に注意

多くの人は、過去に複数の本籍地があります。

近隣の市区町村役場で請求した場合、本籍地の市区町村役場に確認して戸籍謄本が発行されます。

たくさんの本籍地に確認する場合、連絡が取りにくいことがあるでしょう。

戸籍謄本の請求をしてから交付されるまで、相当長時間かかります。

交付までに長時間かかることを考慮して、受付時間が短縮されていることがあります。

例えば、名古屋市内の各区役所で、最新の現在戸籍の請求は5時15分まで受付してもらえます。

除籍や改製原戸籍といった古い戸籍謄本の請求は4時までしか受付してもらえません。

受付をしてもらえたとしても、本籍地の市区町村役場に確認ができないことがあります。

戸籍謄本の請求をした当日に交付できずに、あらためて窓口に出向くことがあるでしょう。

市区町村役場によっては、休日に窓口を開いていることがあります。

近隣の市区町村役場が休日に窓口を開いていても、本籍地の市区町村役場は業務を行っていないでしょう。

休日窓口などでは、広域交付を受け付けてもらえないでしょう。

広域交付を利用する場合、受付時間・窓口に注意が必要です。

3本籍地が分からないときの対応方法

方法①本籍記載の住民票を取得

自分の住所は、だれもが知っているでしょう。

自分の住民票を請求します。

住民票を請求するときに何も書かないと、本籍の記載は省略されます。

本籍記載の住民票を取得すると、本籍地が判明します。

方法1つ目は、本籍記載の住民票を取得することです。

方法②運転免許証で確認

2007年までの運転免許証には、本籍地欄がありました。

自宅などを探すと、古い運転免許証が見つかることがあります。

運転免許証を更新するときに、古い運転免許証を返してもらうことができるからです。

現在の運転免許証には、本籍地欄はありません。

現在の運転免許証の表面に記載されていないだけで、ICチップに本籍地が入力されています。

ICチップに記録されている本籍地を読み取れば、本籍地が判明します。

次の方法で、ICチップを読むことができます。

・コンビニエンスストアのマルチコピー機で読み取り

・スマートフォンアプリで読み取り

・警察署の端末で読み取り

方法2つ目は、運転免許証で確認することです。

方法③親族に尋ねる

子どもが誕生したら、親の戸籍に入ります。

親に本籍を聞くと、分かるかもしれません。

婚姻したら、夫婦のために新しい戸籍が作られます。

配偶者に本籍を聞くと、知っているかもしれません。

方法3つ目は、親族に尋ねることです。

方法④過去の書類で確認

住民票や戸籍謄本を取得することがあります。

以前取得した住民票や戸籍謄本がある場合、本籍地を確認できることがあります。

方法4つ目は、過去の書類で確認することです。

4相続人確定を司法書士に依頼するメリット

本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。

相続手続のために、たくさんの戸籍謄本を集めなければなりません。

古い戸籍は、現在と形式が違っています。

慣れないと、読みにくいものです。

現代とちがって、古い戸籍は手書きで書いてあります。

手書きの達筆な崩し字で書いてあると、分かりにくいものです。

戸籍集めは、相続以上にタイヘンです。

本籍地を何度も変更している人は、たくさんの戸籍を渡り歩いています。

結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている人は、戸籍が何度も作り直されています。

戸籍をたくさん渡り歩いているので、戸籍集めは膨大な手間と時間がかかります。

仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続をおまかせできます。

相続人調査でお困りのことがあれば、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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