遺言書作成して子どもを認知

1遺言書で子どもの認知できる

遺言書の書き方は、民法で決まっています。

法律的に有効な遺言をするには民法の定めに従わなくてはなりません。

遺言者が死亡した後に効力が発生するものだから、厳格に決まっています。

法律の定めに従った遺言であれば、何を書いてもいいというわけではありません。

遺言書に書いておくことで、意味があること、効力があることも法律で決まっています。

①財産に関すること②身分に関すること③遺言執行に関すること④それ以外のことです。

子どもを認知することは、身分に関することです。

遺言書で子どもの認知をすることができます。

15歳以上であれば未成年であっても、遺言書を作ることができます。

父が未成年であっても、子どもを認知することができます。

未成年者が契約をする場合、親権者の同意が必要です。

未成年の父が子どもを認知する場合、父の親権者の同意は必要ありません。

親権者の同意を受けずに未成年者が契約をした場合、親権者は契約を取り消すことができます。

未成年である父の親権者が、認知を取り消すことはできません。

認知された子どもの法定相続分は、以前は嫡出子の半分でした。

この取り扱いは平成25年9月4日最高裁判所決定で違憲であるとされました。

現在は嫡出子と非嫡出子は同じ相続分です。

認知された子どもが現れると、他の相続人の相続分に大きな影響を与えます。

できることなら、生前に家族に打ち明けておくことをおすすめします。

2子どもを認知するときの遺言書の書き方

①子どもを認知するときの遺言書の記載例

第〇条 遺言者と〇〇〇〇(平成〇〇年〇〇月〇〇日生まれ)との間に生まれた下記の子どもを認知する。

氏名 〇〇〇〇

住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号

生年月日 令和〇年〇月〇日

本籍 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号

戸籍筆頭者 〇〇〇〇

遺言書に書く場合は、具体的に書く必要があります。

遺言を書いた人にとって、子どもや子どもの母を当然のことと思いがちです。

何も知らない人が見ても分かるように、具体的に書きます。

生前に子どもを認知する場合、認知届を役所に提出します。

遺言書で子どもを認知する場合であっても、生前に認知届を提出する場合であっても、認知の効力は同じです。

②胎児を認知する場合の遺言書の記載例

第〇条 遺言者は下記の者が現に懐胎している子どもを認知する。

氏名 〇〇〇〇

住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号

生年月日 平成〇年〇月〇日

本籍 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号

戸籍筆頭者 〇〇〇〇

誕生する前の胎児を認知することができます。

③遺言書で死亡した子どもを認知することができる

死亡した子どもに直系卑属がいる場合、死亡した子どもを認知することができます。

認知した人と死亡した子どもに親子関係が発生させることができます。

死亡した子どもの子どもと認知した人が直系血族になることができます。

直系血族であれば、相続や扶養を受けることができるからです。

④遺言執行者を指名する場合の遺言書の記載例

第〇条 遺言者は遺言執行者として下記の者を指名する。

氏名 〇〇〇〇

事務所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号

生年月日 昭和〇年〇月〇日

職業 司法書士

遺言書で子どもを認知する場合、遺言執行者が認知届をします。

遺言執行者を指名していない場合、家庭裁判所で遺言執行者を選任してもらう必要があります。

死亡後に家族に負担をかけないために、遺言書で遺言執行者を指名しておくことをおすすめします。

3遺言書で子どもを認知するときの注意点

①成人した子どもを認知するときは子どもの承諾が必要

成人した子どもを認知する場合、子どもの承諾が必要です。

死亡した子どもに直系卑属がいる場合、死亡した子どもを認知することができます。

直系卑属が成人している場合、成人した直系卑属の承諾が必要です。

遺言書を書くときに、子どもや直系卑属の承諾はなくても差し支えありません。

遺言書が効力を発生するのは、遺言者が死亡したときだからです。

遺言者が死亡した後、子どもや直系卑属が承諾すれば認知届を提出することができます。

遺言書に認知すると書いても、子どもや直系卑属からお断りをされることがあります。

②胎児を認知するときは母の承諾が必要

胎児を認知する場合、母の承諾が必要です。

遺言書を書くときに、母が承諾している必要はありません。

遺言書が効力を発生するのは、遺言者が死亡したときだからです。

遺言者が死亡した後、母が承諾するのでも構いません。

遺言者が死亡したときに、子どもが誕生していたら母の承諾は不要です。

③子どもを認知するときは財産の分け方も書く

子どもを認知すると、認知された子どもは相続人になります。

遺言書に何も書いてなければ、相続財産の分け方について相続人全員と話し合いをしなければなりません。

相続財産は、相続人全員の共有財産だからです。

認知された子どもと他の相続人の関係性がいいことはあまりないでしょう。

お互い気まずい思いをします。

相続財産の分け方で家族が苦労することのないように遺言書に記載することをおすすめします。

④遺言書が有効でないと認知も有効でない

遺言書を作成する場合、自分ひとりで作る自筆証書遺言と法律の専門家である公証人が関与して作る公正証書遺言があります。

自分ひとりで作ることができる自筆証書遺言は、法律の専門家が関与しないことがほとんどでしょう。

遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。

遺言書の書き方ルールに合わない遺言書は無効になります。

法律の知識がない人がひとりで遺言書を作った場合、無効になることが多いものです。

公正証書遺言は法律の専門家である公証人が作ります。

書き方ルールに合わないことは考えられません。

遺言書の書き方ルールに合う遺言書であったとしても、無理矢理書かされた遺言書ではないかと他の相続人から疑われるおそれがあります。

無理矢理書かされた遺言書は遺言者の意思ではありません。

遺言者の意思でない遺言書は無効になります。

公正証書遺言は公証人が遺言者の意思を確認して作りますから、このような争いも避けられます。

高齢の遺言者の場合、認知症などで物事のメリットデメリットを充分に判断できなかったのではないかと争いになることがあります。

遺言者が認知症などで物事のメリットデメリットを充分に判断できない場合、遺言書は無効になります。

公正証書遺言は公証人が遺言者の意思を確認して作ります。

認知症などであれば意思確認ができないでしょう。

公証人が意思確認している点に、一定の信頼ができます。

念のため、医師の診断書やカルテの写しを準備しておくと、争いを避けるのに役立つでしょう。

遺言書が無効になると、遺言書の内容はすべて無効になります。

子どもを認知してあげたい気持ちがあっても、遺言書が無効になった場合、認知は無効になります。

公正証書遺言は公証人が関与しますから、無効になりにくい遺言書を作ることができます。

⑤遺言書を見つけてもらえない

自分ひとりで作ることができる自筆証書遺言は、多くの場合、自分で保管しています。

遺言書の内容を家族に知られないようにするために、人目につかないところに保管しているでしょう。

そのまま、遺言書を紛失してしまうかもしれません。

誤って処分してしまうおそれがあります。

相続が発生した後に、遺言書を見つけてもらえない場合、遺言書の内容は意味がなくなります。

公正証書遺言原本は、公証役場で厳重に保管されます。

遺言書の紛失の心配はありません。

相続発生後であれば、法律上の利害関係がある人は公証役場に対して遺言書の有無を調べてもらうことができます。

4認知届を出すと戸籍に記載される

①父の戸籍に認知事項が記載される

遺言書で子どもを認知した場合、遺言執行者が認知届をします。

父と子どもに親子関係が発生しますから、父の戸籍に認知事項が記載がされます。

記載されるのは次の事項です。

身分事項 認知

認知日 令和〇年〇月〇日

認知した子の氏名 〇〇〇〇

認知した子の戸籍 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号  〇〇〇〇

②子どもの戸籍に認知事項が記載される

役所に認知届を提出した場合、子どもの戸籍の父の欄に、父の氏名が記載されます。

父と子どもに親子関係が発生しますから、子どもの戸籍に認知事項が記載がされます。

記載されるのは次の事項です。

身分事項 認知

認知日 令和〇年〇月〇日

認知者の氏名 〇〇〇〇

認知者の戸籍 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号  〇〇〇〇

送付を受けた日 令和〇年〇月〇日

受理者 〇〇県〇〇市長

5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書を書くというと真っ先に思い浮かぶのが、財産に関することでしょう。

財産のこと以外にも、遺言書に書くと有効になることがあります。

法律上の配偶者以外の間で生まれた子どもを家族に内緒にしている人がいます。

さまざまな家族の事情で、どうしても生前に認知届を出せないケースです。

遺言書で子どもを認知することができます。

認知された子どもは相続人になることができます。

認知するだけでなく、その後のことも配慮する必要があるでしょう。

遺言書があれば、家族のトラブルは確実に減ります。

高齢になると判断能力が心配になる方が多くなります。

判断能力が心配になった時点では、遺言書は作れません。

今、まだまだ元気だ!と言えるのならば、遺言書を作成できるときと言えるでしょう。

家族がもめ事を起こすと取り返しがつかなくなります。

家族をトラブルから守りたい方は司法書士などの専門家に遺言書作成を依頼することをおすすめします。

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