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1分籍で親と別の戸籍になる
①分籍とは在籍の戸籍から単独の戸籍を編成すること
戸籍とは、その人の身分関係を記録する帳簿です。
戸籍には、出生や死亡、婚姻や離婚、養子縁組や離縁と言った身分関係の事項が記録されています。
現在は、夫婦と子どもで戸籍が編製されています。
子どもが婚姻をしたときに、親の戸籍から抜けて新戸籍が編製されます。
子どもは婚姻をしなくても、親の戸籍を抜けて新戸籍を編成してもらうことができます。
分籍とは、親の戸籍を抜けて単独の戸籍を編製してもらうことです。
②分籍で親の戸籍から除籍されたときの記載例
分籍を希望する場合、分籍届を提出します。
分籍届が受理された場合、現在の戸籍から除籍されます。
分籍をした人の名前の横に、除籍と記載されます。
戸籍の記載例
身分事項 分籍
【分籍日】令和〇年〇月〇日
【送付を受けた日】令和〇年〇月〇日
【受理者】〇〇県〇〇市長〇〇
【新本籍】〇〇県〇〇市〇〇区〇〇町〇丁目〇番地 筆頭者 〇〇
③分籍で新戸籍が作られたときの記載例
分籍届が受理された場合、新しい戸籍が編製されます。
戸籍の記載例
身分事項 分籍
【分籍日】令和〇年〇月〇日
【従前戸籍】〇〇県〇〇市〇〇区〇〇町〇丁目〇番地 筆頭者 〇〇〇〇
【送付を受けた日】令和〇年〇月〇日
【受理者】〇〇県〇〇市長
分籍後に、婚姻や離婚、養子縁組や離縁と言った身分関係の事項が発生することがあります。
戸籍に記載すべき事項があった場合、新しい戸籍にのみ記載されます。
④分籍で親子関係はなくならない
戸籍とは、その人の身分関係を記録する帳簿です。
分籍とは、身分関係を記録する帳簿を分けただけです。
帳簿を別にしても、親子関係がなくなることはありません。
子どもが婚姻をしたとき、親の戸籍から抜けて新戸籍が編製されます。
子どもが婚姻をしても、親子関係がなくなることはありません。
新戸籍が編製されても、帳簿が別になっただけだからです。
子どもが分籍をしても、親子関係がなくなることはありません。
新戸籍が編製されても、帳簿が別になっただけだからです。
分籍をしても、親子関係がなくなることはありません。
2親に内緒で戸籍の分籍
①分籍ができる人
分籍を希望する場合、分籍届を提出します。
分籍届を提出できるのは、次の条件を満たした人です。
(1)18歳以上の人
(2)戸籍の筆頭者及び配偶者以外の人
②分籍届は郵送で提出できる
分籍届の提出先は、次の市区町村役場です。
(1)届出人の本籍地
(2)新本籍地
(3)届出人の住所地
分籍届は窓口まで出向いて提出することもできるし、郵送で提出することもできます。
③分籍届の届出期間
分籍届に、届出期間はありません。
届出が受理されたときから、効力が発生します。
④分籍届に必要なもの
(1)分籍届
(2)分籍する人の署名(押印は任意)
分籍届を提出することができるのは、成人のみです。
分籍をすることで、親権が問題になることはありません。
分籍届に、親の承諾書が必要になることはありません。
親が反対しても、分籍することができます。
分籍届が受理された場合でも、親に通知されることはありません。
分籍は、身分関係を記録する帳簿を分けるだけの手続だからです。
親に知られず、分籍をすることができます。
⑤戸籍謄本は不要
分籍届を提出する場合、戸籍の内容が確認されます。
提出した市区町村役場に本籍がない場合、戸籍謄本の提出が必要でした。
令和6年3月から法務省の戸籍情報連携システムで戸籍の内容を確認してもらえます。
現在は、戸籍謄本の提出は不要です。
⑥同じ本籍地で分籍ができる
分籍届を提出する場合、新本籍地は自分で決めます。
分籍した後の本籍地は、同じ本籍地でも差し支えありません。
本籍地は、住所とは無関係に決めることができます。
皇居や大阪城などは、多くの人が本籍地にしています。
3分籍のメリットとデメリット
メリット①身分事項が親の戸籍に記載されない
分籍とは、在籍の戸籍から単独の戸籍を編成することです。
戸籍に記載すべき事項があった場合、新しい戸籍にのみ記載されます。
婚姻や離婚、養子縁組や離縁、認知、名前の変更などがあった場合、戸籍に記録されます。
これらの身分関係の事項について、親と意見が一致しないことがあります。
親の戸籍に記録されるから、申し訳ない気持ちになるかもしれません。
分籍した後は、新しい戸籍にのみ記録されます。
身分事項が親の戸籍に記録されないことがメリットと言えます。
メリット②本籍地は自由に決めることができる
分籍届を提出する場合、新本籍地は自分で決めます。
戸籍謄本が必要になる場合、本籍地の市区町村役場に請求するのが原則です。
本籍地の市区町村役場が住所地と近い場合、戸籍謄本を取得しやすくなります。
戸籍謄本は、広域交付によって取得することができます。
広域交付とは、本籍地の市区町村役場でなくても戸籍謄本を取得することができる制度です。
広域交付で戸籍謄本を取得する場合、通常より時間がかかります。
請求当日に発行されないことも、少なくありません。
分籍で本籍地を自由に決めることができるのは、メリットと言えます。
メリット③親とちがう氏を名乗ることができる
家族の事情によって、親とちがう氏を名乗りたいことがあるでしょう。
同じ戸籍にいる場合、同じ氏を名乗ります。
例えば、親が離婚した場合に旧姓に戻ることがあります。
子どもが婚姻時の氏を名乗りたい場合、別の戸籍である必要があります。
分籍することで親と別の氏を名乗ることができるのは、メリットと言えます。
デメリット①戸籍謄本は別々に請求する必要がある
分籍をすると、単独の新しい戸籍が編製されます。
戸籍謄本が必要になる場合、親子であっても別々に請求する必要があります。
戸籍謄本を別々に請求する必要がある点は、デメリットと言えます。
デメリット②親の戸籍に戻れなくなる
分籍すると、原則として、親の戸籍に戻ることができなくなります。
4分籍しても相続人
①相続人になる人は法律で決まっている
相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
相続人になる人は、次のとおりです。
(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。
(1)配偶者は必ず相続人になる
(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども
(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属
(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹
②戸籍には身分関係が記録されている
戸籍とは、その人の身分関係の事項が記録されている帳簿です。
多くの方にとって、相続人がだれなのかは当たり前のことと軽く考えがちです。
家族以外の第三者に対しては、相続人がだれなのか客観的に証明する必要があります。
客観的に証明するとは、具体的には、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を全部揃えることです。
戸籍には、その人に身分関係の事項がすべて記録されているからです。
戸籍謄本は、戸籍の内容の証明書です。
結婚や離婚、子どもや養子の存在を家族には内緒にしている人がいます。
戸籍には、すべて記録されています。
戸籍が新しくなったときに、書き写される項目と書き写されない項目があります。
書き写されない項目を確認するために、出生から死亡までの連続した戸籍謄本を全部揃える必要があるのです。
③絶縁しても相続人
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
相続人になるかどうかは、法律の定めで決まります。
被相続人と絶縁していても、相続人になるかどうかとは関係ありません。
絶縁していたとか、絶交していたとかいう事情は、法律の定めとは無関係です。
何十年も音信不通でも、親子は親子です。
何十年も会っていなくても、兄弟姉妹は兄弟姉妹です。
子どもが重大な親不孝をした場合に、親が子どもを勘当にすることがあります。
子どもを勘当にして、絶縁状を作ることがあります。
絶縁状に、法的な効力はありません。
家の敷居をまたぐなとか、お葬式に呼ばないなども法的効力はありません。
絶縁しても、相続人になります。
5特別養子になると親子関係がなくなる
養子縁組とは、血縁関係がある親子の他に法律上の親子関係を作る制度です。
養子縁組には、2種類あります。
普通養子と特別養子です。
子どものいない夫婦が養子縁組をする、配偶者の連れ子と養子縁組するといったことは日常的に聞くことあります。
一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。
普通養子による養子縁組をした場合、実親との親子関係は継続します。
特別養子による養子縁組をした場合、実親との親子関係は終了します。
特別養子による養子縁組は、実親との親子関係を切る重大な決定です。
厳格な要件が満たされたときだけ、特別養子が認められます。
実の父母による著しい虐待がある場合やその他特別の事情がある場合で、かつ、子の利益のため特に必要があるときです。
特別養子になると、実親との親子関係がなくなります。
特別養子は養親を相続しますが、実親は相続しません。
特別養子になると、実親との親子関係がなくなります。
6相続人調査を司法書士に依頼するメリット
本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。
古い戸籍は現在と形式が違っていて読みにくいものです。
手書きの達筆な崩し字で書いてあると、分かりにくいでしょう。
慣れないと戸籍集めはタイヘンです。
本籍地を何度も変更している方や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている方は、戸籍をたくさん渡り歩いているので、膨大な手間と時間がかかることが多くなります。
戸籍には被相続人の結婚や離婚、子どもや養子の存在といった身分関係がすべて記録されています。
家族の方が知らない相続人が明らかになることもあります。
相続人を確定させるために戸籍を集めるだけでも、知識のない一般の人にはタイヘンな作業です。
家族の方が知らない相続人が明らかになると、精神的な負担はさらに大きいものになります。
相続手続のうち、専門家に任せられるものは任せてしまうといいでしょう。
家族の事務負担を軽減することができます。
戸籍や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。
相続人調査でお困りの方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。