相続放棄照会書と回答書の書き方

1相続放棄とは

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの遺産もマイナスの遺産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの遺産もマイナスの遺産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、プラスの遺産を引き継がなくなりますが、マイナスの遺産も引き継ぐことがなくなります。

家庭裁判所に対して、必要な書類をを添えて相続放棄をしたい旨の届出をします。

相続人間で、一部の相続人がプラスの遺産もマイナスの遺産も受け継ぐから、他の相続人は何も引き継がないことを合意することがあります。

このような合意のことも、一般的には、相続放棄ということがあります。

このような合意は相続放棄ではありません。

このような合意をしても、相続放棄の効果は得られません。

相続放棄は、家庭裁判所に対して手続をして認めてもらうことです。

一部の自称専門家は、家庭裁判所に手続するのは煩雑だから、相続人間の合意で済ませばよいと言っています。

「相続人〇〇がプラスの遺産もマイナスの遺産も受け継ぐ。他の相続人は、一切の遺産を引き継がない。」

遺産分割協議書にこのように書いてあって、相続人全員の実印を押せば、相続放棄の効果が得られると勘違いしそうです。

知識がない人は自称専門家から自信満々に言われたら、そのまま信じてしまうでしょう。

相続放棄は家庭裁判所に対してする手続です。

相続人間の合意は、相続放棄ではありません。

2相続放棄の申立てをすると相続放棄照会書が届く

①相続放棄照会書は家庭裁判所からの意思確認

家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをすると、相続放棄照会書が届きます。

相続放棄照会書とは、家庭裁判所から届く相続放棄についての意思確認です。

相続放棄は、影響の大きい手続なので間違いがないように慎重に確認します。

万が一、不適切な回答をすると相続放棄を認めてもらえなくなるかもしれません。

相続放棄照会書は家庭裁判所によって名前が違うことがあります。

②相続放棄照会書が届くのは2週間後くらい後

相続放棄照会書が届いた場合は、期限までに回答をしましょう。

相続放棄照会書が届かないこともあります。

届かない場合は、気にすることはありません。

相続放棄の申立てを出してから2週間程度経過しても何も届かなければ、家庭裁判所に確認するといいでしょう。

③相続放棄照会書の内容とは

家庭裁判所によって表現が違うことがありますが、相続放棄照会書の内容はおおむね、次のとおりです。

被相続人の死亡をいつ知りましたか。

被相続人の死亡をどのような経緯で知りましたか。

遺産の全部または一部を使ったり、処分したり、隠したりしましたか。

相続放棄をした理由は何ですか。

家庭裁判所に相続放棄の申立書が来ていますが、あなたの意思ですか。

だれかに脅されて相続放棄を届け出たものですか。

相続放棄の申立書に署名押印をしたのはだれですか。

相続放棄の意思は変わりませんか。

相続放棄をするとプラスの遺産もマイナスの遺産も相続できないですが、いいですか。

3相続放棄回答書を書くときの注意点

相続放棄の届出の内容と食い違いが出ないように、書類を提出する前に控えをとっておくといいでしょう。

質問内容は、難しいものではありません。

事実をありのままに書けばいいでしょう。

①死亡後3か月以上経過している場合の注意点

被相続人が死亡してから3か月以上経過してから申立てをした場合、いつ死亡の事実を知ったかが重要なポイントになります。

相続放棄の申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内だからです。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

相続があったことを知ってからですから、知らなかったのであれば3か月がスタートしません。

相続があったことを知ってから3か月以内であれば、相続放棄ができます。

家庭裁判所は、相続があったことを知ったのがいつなのか分かりません。

何らかの書類が届いたことによって、自己のために相続があったことを知ったのであれば、この書類は重要な証拠になります。

回答書に添付して提出するといいでしょう。

電話連絡であれば電話連絡で知ったと書けば差し支えありません。

②相続財産を使った場合の注意点

相続財産に手を付けてしまっている場合、単純承認になります。

単純承認になると、相続放棄は認められません。

家庭裁判所が気付かずに、相続放棄を認めてしまっても、裁判で相続放棄が無効にされてしまいます。

相続財産を使った場合でも、単純承認にあたることも、単純処分にあたらないこともあります。

相続財産である銀行の預貯金を引き出した場合が典型的です。

単に、引き出しただけであれば単純承認にならないことがほとんどでしょう。

自分のものにして使ってしまうと、単純処分にあたると判断されるでしょう。

引き出して、お葬式の費用に使った場合、状況によっては単純承認になると判断されることも、単純承認にあたらないと判断されることもあります。

重要なポイントは、正直に書くことです。

相続財産を使ってしまった場合、後から相続放棄の有効無効を争って裁判になるかもしれません。

家庭裁判所に提出する書類は、すべて記録として残ります。

正直に書いてない場合、裁判で不利になるでしょう。

お葬式の費用を払ったのであれば、回答書に領収書を添えて提出します。

③相続放棄をする理由は何でもよい

相続放棄をする理由の大部分は、被相続人の債務が多いからでしょう。

相続放棄をする理由は、何でも構いません。

「裕福で生活に困っていないから、他の人に相続させたい。」でも「他の相続人と絶縁しているから相続で関わりになりたくない」でも差し支えありません。

相続放棄をする理由は、相続放棄が認められるかとは関係がないからです。

④回答書の押印は相続放棄の申立ての印章と同一印で

相続放棄回答書は署名押印をする必要があります。

相続放棄回答書の押印で使う印章は、相続放棄の申立てに使った印章と同一印で押印します。

同一印で押印をすることで、相続放棄の届出をした人と同一人物が回答をしたと確認ができます。

相続放棄の届出のとき、どの印章を使ったのか分かるように目印を付けておきましょう。

どの印章を使ったのか分からなくなった場合、家庭裁判所に連絡して相談しましょう。

裁判所によっては、印影の大きさや形を教えてくれることがあります。

心当たりのある印章で並べて押してくださいと指示されることもあります。

4相続放棄が認められたら相続放棄申述受理通知書が届く

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、相続放棄申述受理通知書が届きます。

家庭裁判所は、相続放棄をした人に相続放棄申述受理通知書を送るだけです。

家庭裁判所から債権者などに自主的に連絡しません。

通常、債権者は相続放棄をしたことも相続放棄が認められたことも知りません。

債権者から見ると、知らないうちに相続放棄をして、知らないうちに相続放棄が認められたとなります。

何も知らないから、借金を返してもらおうと考えて、相続人に催促してきます。

催促されたら家庭裁判所から届いた相続放棄申述受理通知書を見せれば、分かってもらえます。

多くの場合、相続放棄申述受理通知書のコピーを渡すだけで充分でしょう。

相続放棄申述受理証明書は、必要と言われてから取り寄せればいいでしょう。

相続放棄申述受理通知書は相続放棄をした人に送るだけで、家庭裁判所は他の相続人に対しても自発的に連絡しません。

被相続人の子ども全員が相続放棄をした場合、子どもはいないものと扱われます。

子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

通常、子どもがいる場合、子どもが相続人になりますから、親などの直系尊属は自分が相続人にならないと思っているでしょう。

被相続人が莫大な借金を残している場合、子ども全員が相続放棄をしたのなら、親などの直系尊属が借金を相続することになります。

親などの直系尊属に借金の催促が来たら、びっくりして親族間のトラブルになりかねません。

子どもが相続放棄をした場合、他の相続人に連絡する義務はありません。

莫大な借金があることや相続放棄をしたことを連絡してあげると親切でしょう。

次順位の相続人も相続放棄をする場合、準備をしておいてもらいましょう。

5相続放棄を司法書士に依頼するメリット

実は、相続放棄はその相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続放棄は、家庭裁判所に申立てをすることです。

届出をすれば終わりでなく、家庭裁判所から来る相続放棄照会書にも適切に回答しなければなりません。

特に、相続が発生してから3か月以内に届出ができなかった場合などは、止むを得ない事情があったことを家庭裁判所に納得してもらう必要があります。

相続放棄の届出をするときに、上申書や事情説明書という書類を添えて、家庭裁判所を説得します。

同時に、相続放棄回答書でも止むを得ない事情があったことを説明し、納得してもらいます。

納得できる事情を適切に示すことで、家庭裁判所は相続放棄を認めてくれます。

家庭裁判所が知りたいことを無視した作文やダラダラとした作文では認めてもらうことは難しいでしょう。

司法書士であれば、家庭裁判所に認めてもらえるポイントを承知していますから、認めてもらいやすい書類を作成することができます。

さらに、通常の相続放棄と同様に戸籍や住民票が必要になります。

お仕事や家事、通院などでお忙しい人には平日の昼間に役所にお出かけになって準備するのは負担が大きいものです。

戸籍や住民票は郵便による取り寄せもできますが、書類の不備などによる問い合わせはやはり役所の業務時間中の対応が必要になりますから、やはり負担は軽いとは言えません。

このような戸籍や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

相続放棄を考えている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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