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1成年後見は登記事項証明書で確認できる
①成年後見は登記される
成年後見は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができなくなった人をサポートする制度です。
成年後見制度を利用している人は、自分で判断することができません。
後見人などの保護者が本人のために契約などの法律行為をします。
本人のために契約するとは言うものの、そのための権限があるのか分かりません。
成年後見制度を利用している人は、登記されています。
後見人などの保護者の権限内容や任意後見契約の内容は、登記事項証明書で確認することができます。
②成年後見制度を利用していない人は登記されていないことの証明書
成年後見制度を利用していない人は、登記されていません。
成年後見制度を利用していないことを証明してもらうことができます。
成年後見制度を利用していないことの証明書が、登記されていないことの証明書です。
2登記されていないことの証明書の取得方法
①申請書はダウンロードできる
登記されていないことの証明申請書は、法務局のホームページに出ています。
ホームページからダウンロードして使うことができます。
②申請できる人
登記されていないことの証明申請書を提出することができるのは、次の人です。
(1)証明対象者本人
(2))証明対象者本人の4親等内の親族
(3)上記(1)(2)の人から委任を受けた人
③申請書の提出先
登記されていないことの証明申請書の提出先は、次のとおりです。
(1)東京法務局後見登録課
(2)全国の法務局、地方法務局本局の戸籍課
愛知県であれば、名古屋法務局本局のみです。
名古屋市内には、熱田出張所や名東出張所があります。
熱田出張所や名東出張所では、登記されていないことの証明書の申請書は受け付けてもらえません。
名古屋市外にある各支局でも、登記されていないことの証明書の申請書は受け付けてもらえません。
④郵送で申請できる
登記されていないことの証明申請書の提出先は、愛知県であれば、名古屋法務局本局のみです。
名古屋法務局本局に出向くのは難しい人もいるでしょう。
登記されていないことの証明書の申請書は、郵送で提出することができます。
郵送で提出する場合は、東京法務局後見登録課のみの対応です。
郵送先
〒102-8226
東京都千代田区九段南1-1-15
九段第2合同庁舎
東京法務局 民事行政部
後見登録課 あて
名古屋法務局本局に郵送しても、受け付けてもらえません。
⑤オンライン申請はおすすめできない
登記されていないことの証明書は、窓口請求や郵送請求の他にオンラインで請求することができます。
オンラインで請求することができるものの、おすすめできる方法ではありません。
登記されていないことの証明申請には、電子署名をする必要があります。
電子証明書を取得するのに、手間と時間がかかります。
電子証明書は、氏名と住所の情報が確認できるものに限られています。
基本型証明書や司法書士電子証明書は、住所の確認ができないため、使うことができません。
3委任状なしで4親等内の親族が請求できる
①4親等内の親族は登記されていないことの証明書を取得できる
成年後見開始の申立てをする場合、登記されていないことの証明書が必要になります。
成年後見開始の申立てとは、認知症などの人のためにサポートする人を選任してもらう手続です。
認知症などで判断力が低下した場合、成年後見開始の申立てをします。
認知症などになった場合、徐々に判断力が低下していきます。
物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなっていく様子は、近くでお世話をしている家族が気がつきます。
認知症になると、委任状の意味が分からないでしょう。
意味が分からずに、委任状を書いても無効です。
成年後見開始の申立ては、認知症の人の家族がします。
4親等内の親族は、認知症の人のため登記されていないことの証明書を取得することができます。
4親等内の親族が登記されていないことの証明書を請求する場合、委任状は不要です。
②4親等内の親族が申請するときの必要書類
4親等内の親族が申請する場合、登記されていないことの証明申請書には、次の書類を添付します。
(1) 4親等内の親族の本人確認書類
運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード等です。
(2) 4親等内の親族であることが分かる書類
発行から3か月以内の戸籍謄本や住民票です。
住民票には、続柄の記載が必要です。
4親等内の親族であることが分かる戸籍謄本が現在戸籍でない場合、発行後3か月以上経過したものでも差し支えありません。
4親等内の親族が登記されていないことの証明書を請求する場合、委任状は不要です。
委任状の代わりに、4親等内の親族であることが分かる書類が必要です。
③必要書類は原本還付してもらえる
4親等内の親族は登記されていないことの証明書を取得する場合、4親等内の親族であることが分かる書類が必要になります。
4親等内の親族であることが分かる書類は、希望すれば原本還付をしてもらうことができます。
原本還付を希望する場合、還付してもらいたい書類をコピーして一緒に提出します。
コピーの余白に「原本に相違ありません」と記載して記名します。
余白がない場合、裏面に記載しても差し支えありません。
記名するだけで押印は不要です。
④4親等内の親族はオンライン申請ができない
4親等内の親族が登記されていないことの証明申請をする場合、親族関係を証明する書類が必要です。
オンラインにより送信可能な電子化した戸籍謄本を発行している市区町村はありません。
事実上、4親等内の親族はオンライン申請ができません。
4委任状を出して代理人に依頼ができる
①委任状は手書きでいい
委任状は、依頼したことの証明書です。
委任状の様式は、法務局のホームページからダウンロードすることができます。
ホームページの様式を印刷して、手書きで作成することができます。
法務局の様式を使わずに、自分で作成した委任状でも差し支えありません。
委任状には、次の項目を記載します。
(1)代理人の住所、氏名
(2)依頼した内容
(3)日付
(4)申請人の住所、氏名
②委任状は押印不要
登記されていないことの証明申請書は押印不要です。
代理人を立てて、登記されていないことの証明申請書を提出することができます。
代理人に依頼して手続をする場合、委任状が必要です。
委任状は、押印不要です。
③法人を代理人に立てることができる
登記されていないことの証明申請書は、代理人を立てて依頼することができます。
代理人は、自然人だけでなく法人でも差し支えありません。
法人が代理人になる場合、代表者資格証明書が必要です。
代表者資格証明書は、発行から3か月以内のものでなければなりません。
登記されていないことの証明申請書に、会社法人等番号を記載することができます。
会社法人等番号を記載した場合、代表者資格証明書の提出を省略することができます。
④委任状は原本還付されない
登記されていないことの証明申請書の必要書類は、希望すれば原本還付を受けることができます。
代表者資格証明書は、原本還付を受けることができます。
登記されていないことの証明申請のためだけに作成された書類は、原本還付を受けることができません。
代理人を立てるために委任状を作成する場合、登記されていないことの証明申請のためだけの書類です。
コピーをつけて「原本に相違ありません」と記載のうえ記名しても、委任状は原本還付してもらうことはできません。
5成年後見開始の申立てを司法書士に依頼するメリット
認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。
記憶があいまいになる人もいるでしょう。
ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。
本人自身も不安になりますし、家族も不安になります。
身のまわりの不自由を補うために、身近な家族がお世話をすることが多くなるでしょう。
成年後見の申立ては家庭裁判所へ手続が必要です。
身のまわりのお世話をしている家族が本人の判断能力の低下に気づくことが多いです。
身のまわりのお世話をしながら、たくさんの書類を用意して煩雑な手続をするのは負担が大きいでしょう。
司法書士は、裁判所に提出する書類作成もサポートしております。
成年後見開始の申立てが必要なのに忙しくて手続をすすめられない方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。