死後事務委任契約で起きやすいトラブルと対策

1死後事務委任契約で死亡後のサポートを依頼する

①死後事務委任契約で死亡後の手続を依頼する

死後事務委任契約とは、死亡後に必要になる手続を依頼する契約です。

通常の委任契約は、死亡によって終了します。

死後事務委任契約は、当事者が死亡しても終了しません。

死後事務委任契約で死亡後の事務を依頼しておくと、家族に迷惑をかけなくて済みます。

死後事務委任契約を利用することで、安心して自分らしく人生を送ることができます。

②死後事務委任契約と遺言書のちがい

死後事務委任契約は、依頼者が死亡した後に効力が発生する契約です。

遺言書も、遺言者が死亡した後に効力が発生します。

死亡後に必要になることは、遺言書に書いておけばいいと考えるかもしれません。

遺言書は、主に財産の分け方を書いておきます。

遺言書があれば、遺言書のとおりに遺産分割をすることができるからです。

法定遺言事項だけ、遺言書に書くことで効力があります。

法定遺言事項以外は、遺言書に書いても効力がありません。

法定遺言事項以外のことは、遺言書に書いても単なるお願いです。

法定遺言事項以外のことは、死後事務委任契約で依頼します。

2死後事務委任契約で起きやすいトラブルと対策

トラブル①契約の有効性が確認できない

死後事務委任契約は、口頭でも成立します。

口頭で契約することができても、口頭の契約はおすすめできません。

口頭の契約は、証拠がないからです。

死後事務の手続先の人は、死後事務委任契約をしたことを知らないのが通常です。

死後事務をしようとすると、死後事務の手続先の人が不審に思うでしょう。

契約に効力が発生したとき、依頼者は死亡しています。

契約内容や契約意志を確認できないと、トラブルに発展します。

トラブル1つ目は、契約の有効性が確認できないことです。

口頭だけで死後事務委任契約をすると、トラブルに発展しがちです。

本人の意思を明確にするため、契約書を作成します。

契約書を見ると、本人の意思が確認できるからです。

できれば、契約書は、公正証書にするのがおすすめです。

公正証書とは、公証人が作成する公文書です。

公正証書には、高い信頼性があります。

公証人が本人確認をしたうえで本人の意思確認をして公正証書を作成するからです。

対策は、公正証書で契約書を作成することです。

トラブル②悪質業者による被害

何を依頼して何を依頼していないのか、明確にしないとトラブルに発展します。

死後事務をどのように行って欲しいのか、明確にしないとトラブルに発展します。

サービス内容があいまいなパッケージプランなどを利用すると、次々に高額な料金を請求されます。

パッケージプランで全部おまかせをうたいながら、必要な手続は対象外になっていることがあります。

本人が望まない寄付や本人が望まない遺品整理を勝手に行うなど、深刻なトラブルに発展します。

トラブル2つ目は、悪質業者による被害です。

何を依頼して何を依頼していないのか、契約書に明記します。

死後事務をどのように行って欲しいのか、契約書に明記します。

費用体系を明確にし、契約書に盛り込みます。

パッケージプランでは、どのようなことを依頼出来て費用がいくらかかるのか明確にします。

追加料金がかかる条件や別料金の明細を詳細に確認します。

信用できる司法書士などに相談することが大切です。

対策は、契約書に詳細に記載することです。

トラブル③親族が死後事務委任契約に反発

死後事務委任契約は、依頼者と受任者のみで締結することができます。

死後事務委任契約をしたことを親族が知らないことがあります。

死後事務をしようとすると、親族が反発することがあります。

例えば、死後事務委任契約で簡素な家族葬を依頼していたのに、親族が盛大な葬儀を挙げたいと主張するケースです。

トラブル3つ目は、親族が死後事務委任契約に反発することです。

死後事務委任契約をしたことや契約内容は、親族と情報共有します。

死後事務委任契約書のコピーを親族に見せておくといいでしょう。

契約内容を情報共有したうえで、自分の気持ちを親族に伝えておくとトラブルになりにくくなります。

エンディングノートなどに、親族あてのメッセージを書いておくことも有効です。

対策は、親族と情報共有です。

トラブル④二重契約のリスク

死後の事務は、親族にとっても負担が多いものです。

依頼者が死後事務委任契約をしたことを知らないと、親族も同様の契約をすることがあります。

二重に契約することで、双方が契約の有効を主張して親族がトラブルに巻き込まれます。

一方は、契約解除することになるでしょう。

キャンセル料がかかり、親族間でもトラブルになるおそれがあります。

トラブル4つ目は、二重契約のリスクです。

死後事務委任契約をしたことや契約内容は、親族と情報共有します。

契約内容は、できる限り具体的に記載します。

対策は、親族と情報共有です。

トラブル⑤運営会社と連絡が取れない

死後事務委任契約をしてから実際に死後事務を行うまでに、長期間経過することが多いでしょう。

長期間経過するうちに、運営会社と連絡が取れなくなることがあります。

死後事務を履行してもらえないまま、預託金を持ち逃げされて返還不能になります。

トラブル5つ目は、運営会社と連絡が取れないことです。

死後事務委任契約の相手方は、信用がある人を選ぶことが重要です。

死後事務が履行できないときに備えて、預託金の管理方法を確認します。

対策は、信用がある人を選ぶことです。

トラブル⑥運営会社の事業終了

死後事務委任契約は、民間業者が行うことができます。

死後事務委任契約を受け取って多額の預託金を受け取ったまま、事業終了することがあります。

過去には公益財団法人が全国規模で死後事務委任契約をして預託金を預かったまま事業終了した事件がありました。

約束したサービスを受けられないまま預託金が返還されず、多大な損害が発生しました。

公益財団法人の名称による信用力を信じた契約者と、深刻なトラブルになりました。

トラブル6つ目は、運営会社の事業終了です。

死後事務委任契約の相手方は、信用がある人を選ぶことが重要です。

死後事務が履行できないときに備えて、預託金の管理方法を確認します。

対策は、信用がある人を選ぶことです。

トラブル⑦不明瞭な追加料金請求

全部おまかせできるとうたうパッケージプランは、安心できるように見えます。

サービス内容があいまいなパッケージプランは、オプションが多く料金が不明確です。

契約締結後に次々とオプションを付けて、別料金や追加料金が膨らみます。

全部おまかせできると信じたために、予想外の高額請求を受けることになります。

トラブル7つ目は、不明瞭な追加料金請求です。

死後事務委任契約は、司法書士などの信頼できる人に依頼するのがおすすめです。

自分が依頼したいことを明確にして、適切な料金であるか確認します。

料金は、契約書に明記します。

対策は、信用がある人を選ぶことと契約書の明記です。

3死後事務委任契約と遺言書の併用がおすすめ

①死後事務委任契約の役割

死後事務委任契約は、自分が死亡した後の事務を信頼する人に依頼する契約です。

具体的には、次のことを依頼することができます。

(1)親族や知人への連絡

(2)葬儀や埋葬の手配

(3)治療費や施設代の精算

(4)賃貸借契約の解除

(5)ペットの引き継ぎ

(6)健康保険や年金手続などの行政手続

(7)デジタルデータの解約や処分

上記の事務は、決して軽いものではありません。

死後事務委任契約をすることで、親族の負担を軽くすることができます。

死後事務委任契約をすることで、本人の希望を確実にかなえることができます。

身寄りがない人や家族に迷惑をかけたくない人にとって、死後事務委任契約は大きな安心になります。

②遺言書の役割

遺言書を作成すると、遺言書のとおりに遺産分割をすることができます。

自分の財産の分け方を自分で決めることができます。

遺言書を作成することで、遺贈をすることができます。

遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。

例えば、慈善団体やボランティア団体などに、財産を遺贈することができます。

遺言書を作成するときに、遺言執行者を指名することができます。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者がいると、相続人は手間と時間がかかる相続手続きをおまかせできます。

遺言執行者がいると、本人の希望を確実にかなえることができます。

身寄りがない人や家族に迷惑をかけたくない人にとって、遺言書は大きな安心になります。

③死後事務委任契約と遺言書の同時作成

死後事務委任契約と遺言書は、役割と効果が異なります。

より安心を得たいのなら、死後事務委任契約と遺言書の併用がおすすめです。

死後事務委任契約と遺言書は、どちらも公正証書がおすすめです。

公正証書には、高い信頼性があるからです。

死後事務委任契約と遺言書の同時作成がおすすめです。

一度に、まとめて手続できるからです。

司法書士などの専門家に依頼するときも、まとめて依頼すると手間が省けます。

4死後事務委任契約の流れ

手順①依頼内容を決める

自分が何に不安に思っているのか、書き出してみるといいでしょう。

依頼者が何を依頼したいのか、決定します。

手順1つ目は、依頼内容を決めることです。

手順②相手方を決める

死後事務を依頼する相手方を決定します。

本人が信頼できる人に依頼することが重要です。

手順2つ目は、相手方を決めることです。

手順③契約書を作成する

委任契約は、口頭の合意であっても成立します。

口頭の合意より、契約書の作成がおすすめです。

契約書がないと、合意があったのか証拠がないからです。

死後事務の手続先に対して、合意があったことを証明できないでしょう。

死後事務の手続先に信用してもらうため、契約書を作成します。

死後事務委任契約は、依頼者が死亡した後の事務を依頼します。

依頼者が死亡した後に、依頼したか確認することはできません。

手順3つ目は、契約書を作成することです。

手順④公正証書にする

死後事務委任契約は、公正証書にするのがおすすめです。

公正証書とは、公証人が作成する公文書です。

公証人が当事者の本人確認をしたうえで本人の意思確認をして、公正証書にします。

公正証書にすると、依頼者の意思が明確になります。

手順4つ目は、公正証書にすることです。

5死後事務委任契約の変更解約の方法

①契約内容の変更方法

死後事務委任契約を締結した後で内容を変更したい場合、契約当事者で話し合いをします。

新たな合意内容を契約書に取りまとめます。

公正証書で契約をしている場合、変更契約も公正証書にするのがおすすめです。

②死後事務委任契約の解約方法

委任契約は、いつでも解約できるのが原則です。

理由を問わずに、解約することができます。

解約の意思表示は、口頭でもできますがおすすめできません。

証拠がないと、「言った言わない」のトラブルになるからです。

死後事務をするために準備をしていた場合、損害賠償を求められることがあります。

契約内容によっては、高額なキャンセル料を支払う必要があります。

本人が死亡した後に相続人が解約することがないように、相続人による解約を禁止する条項を設けることが一般的です。

依頼者の意思を守るためです。

6生前対策を司法書士に依頼するメリット

生前対策=相続「税」対策の誤解から、生前対策はする方はあまり多くありません。

争族対策として有効な遺言書ですら、死亡者全体からみると10%未満です。

対策しないまま認知症になると、家族に大きな面倒をかけることになります。

認知症になってからでは遅いのです。

お元気なうちに準備する必要があります。

なにより自分が困らないために、大切な家族に面倒をかけないために生前対策をしたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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