このページの目次
1不動産相続で更地にするメリット
①倒壊リスクの回避
被相続人が住んでいた家が空き家になることがあります。
空き家を解体して更地にすることを検討するかもしれません。
空き家のままにしておくと、地震や台風などで倒壊する可能性があります。
だれも住まない家は、老朽化が進みます。
壁や塀などが崩れると、隣地や通行人に損害を与えるおそれがあります。
空き家を解体して更地にすると、倒壊リスクの回避することができます。
メリット1つ目は、倒壊リスクの回避できる点です。
②近隣の景観の維持
建物が老朽化すると、見た目が良くないでしょう。
単純に相続した建物の景観が悪くなるだけでなく、地域の景観が悪くなります。
建物がある地域全体の資産価値にも、影響を及ぼすでしょう。
空き家を解体して更地にすると、近隣の景観悪化を防止することができます。
メリット2つ目は、近隣の景観を維持できる点です。
③管理の手間の削減
空き家を放置すると、加速度的に老朽化します。
近隣に住む相続人などが定期的に、風を通すなどの手入れをすることになるでしょう。
相続人が各地に散らばっている場合、建物管理の手間が負担になります。
空き家を解体して更地にすると、管理の手間の削減することができます。
メリット3つ目は、管理の手間を削減できる点です。
④売却しやすくなる
不動産は、分けにくい財産の代表例です。
相続したものの使う予定がない場合、相続人全員が売却する合意をすることがあります。
売却してお金になれば、分けやすいからです。
土地と建物を売却するより、更地の方が買い手が見つかりやすいでしょう。
更地であれば、買い手がすぐに使うことができるからです。
空き家を解体して更地にすると、売却しやすくなります。
メリット4つ目は、売却しやすくなる点です。
⑤相続土地国庫帰属制度が使える
不動産を相続したものの、どの相続人にとっても利用価値がないことがあります。
望まずに相続した不動産は、価値よりも負担が大きくなりがちです。
相続土地国庫帰属制度は、相続で取得した土地にの所有権を手放して国に引き取ってもらう制度です。
所有権を手放して国に引き取ってもらえるのは、土地だけです。
空き家は、引き取ってもらえません。
建物がある土地も、引き取ってもらえません。
空き家を解体して更地にすると、相続土地国庫帰属制度を利用することができます。
相続土地国庫帰属制度を利用するためには、審査手数料と10年分の土地管理費相当額を納入する必要があります。
建物解体費用と較べて、検討するといいでしょう。
メリット5つ目は、倒相続土地国庫帰属制度を利用できる点です。
⑥土地の状態を確認しやすい
相続した不動産を売却する場合、土地の状態は重要なポイントになるでしょう。
空き家を解体して更地にすると、土壌調査や地盤調査がしやすくなります。
メリット6つ目は、土地の状態を確認しやすくなる点です。
2不動産相続で更地にするデメリット
①建物の財産価値が失われる
多くの場合、不動産は重要な財産でしょう。
建物を解体した場合、重要な財産を失います。
空き家を解体して更地にすると、建物の財産価値が失われます。
デメリット1つ目は、建物の財産価値が失われる点です。
②固定資産税の住宅用地特例がなくなる
不動産を保有していると、固定資産税が課されます。
建物を解体すると、建物の固定資産税は課されなくなります。
建物を解体すると、土地の固定資産税は高くなります。
建物が建っている土地は、住宅用地特例が適用されていたからです。
住宅用地特例とは、建物が建っている土地は税金が安くなる特別ルールです。
住宅用地特例が適用されると、固定資産税が最大6分の1に減額されます。
空き家を解体して更地にすると、固定資産税の住宅用地特例がなくなります。
デメリット2つ目は、固定資産税の住宅用地特例がなくなる点です。
③解体費用がかかる
建物を解体する場合、解体費用がかかります。
建物の構造によって、解体費用は変わります。
建物の解体費用の目安は、次のとおりです。
木造 1坪当たり 4~5万円
鉄骨造 1坪当たり 5~6万円
コンクリート造 1坪当たり 8~15万円
道路の状況や解体の難易度によって、加算があります。
空き家を解体して更地にすると、解体費用がかかります。
デメリット3つ目は、解体費用がかかる点です。
④1か月以内に建物滅失登記
建物を解体したら、建物滅失登記をする必要があります。
建物滅失登記とは、建物を解体したときに届ける登記です。
建物を解体してから、1か月以内にする必要があります。
建物滅失登記をしないと、10万円以下のペナルティーが課されるおそれがあります。
建物滅失登記を放置すると、固定資産税がかかり続けるおそれがあります。
空き家を解体して更地にすると、1か月以内に建物滅失登記をする必要があります。
デメリット4つ目は、1か月以内に建物滅失登記をする必要がある点です。
⑤除草の手間がかかる
空き家を解体すると、空き家の管理の手間から解放されます。
空き家を解体して更地になると、空き地全体に雑草が生い茂るでしょう。
空き地全体の除草の手間がかかります。
空き家を解体して更地にすると、除草の手間がかかります。
デメリット5つ目は、除草の手間がかかる点です。
3相続した家を解体して更地にする注意点
①相続人全員の合意が必要
相続が発生すると、被相続人の財産は相続人が相続します。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続人全員の共有財産だから、一部の相続人が勝手に解体することはできません。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
相続財産である建物を解体する場合、相続人全員の合意が必要です。
空き家を解体して更地にするため、相続人全員で合意します。
注意点1つ目は、相続人全員の合意が必要である点です。
②住宅ローンがあると銀行の同意
不動産を購入するときに、銀行などの金融機関で住宅ローンを組むことがあります。
多くの場合、住宅ローンを組む際に抵当権を設定します。
抵当権とは、住宅ローンが返済できなくなったときに備えて担保に取る権利です。
銀行などの金融機関は、購入した不動産に抵当権を持っています。
銀行などが担保に取ったのに、相続人が勝手に取り壊すことはできません。
銀行などが担保に取った場合、抵当権の登記があるはずです。
不動産の登記簿謄本を確認すると、分かります。
登記簿謄本とは、不動産の権利関係が記録された公的な書類です。
空き家を解体して更地にするため、住宅ローンがあると銀行の同意が必要になります。
注意点2つ目は、住宅ローンがあると銀行の同意が必要になる点です。
③再建築不可物件がある
土地と建物を売却するより、更地の方が買い手が見つかりやすいことが一般的です。
買主は、すぐに建物を建てたいからです。
現存する建物を解体したら、再び建物を建築することができないことがあります。
再建築不可物件とは、再び建物を建築することができない物件です。
接道義務を満たしていないケースや市街化調整区域にあるケースが該当します。
接道義務とは、幅員4メートル以上の道に間口2メートル以上接する義務です。
市街化調整区域とは、新しい建物を建てることが制限されている地域です。
空き家を解体して更地にすると、資産価値が大きく目減りします。
注意点3つ目は、再建築不可物件がある点です。
④解体費用の補助金に予算がある
建物を解体する場合、解体費用がかかります。
建物の規模や構造によっては、まとまった金額になるでしょう。
解体費用を準備できないので、空き家を放置することは割とよくあります。
空き家を放置することは、地域住民にとっても大きなデメリットがあります。
建物の解体費用について、補助金を受けられることがあります。
条件にあてはまれば、活用するといいでしょう。
例えば、名古屋市では名古屋市老朽危険空家等除却費補助金があります。
名古屋市老朽危険空家等除却費補助金とは、老朽化などで安全女問題がある空き家の解体費用を補助する制度です。
条件にあてはまっても、補助金を受けられないことがあります。
地方自治体の補助金には、予算があるからです。
先着順で受け付けて予算に達すると、受付が終了されます。
注意点4つ目は、解体費用の補助金に予算がある点です。
⑤相続空き家3000万円控除には条件がある
相続空き家3000万円控除とは、相続手取得した不動産の売却益を最大3000万円少なくして所得税を減らす特例です。
相続空き家3000万円控除は、空き家を減らして土地を有効活用する目的があります。
相続空き家3000万円控除を利用するためには、次の主な条件を満たす必要があります。
・建築要件 昭和56年5月31日以前に建築された一戸建て
・使用条件 相続発生まで被相続人が住んでいたこと
・譲渡期間 相続発生から3年以内の年末までに売却すること
・譲渡価格 売却価格1億円以下
・利用制限 相続から売却まで事業、貸付、他人が居住していないこと
上記は、主な条件だけです。
相続空き家3000万円控除を確実に適用するためには、税務署などに相談するのがおすすめです。
注意点5つ目は、相続空き家3000万円控除には条件がある点です。
4更地に相続登記の義務がある
①令和6年(2024年)4月1日から相続登記は義務
所有権移転登記をしない場合、所有者は不利益を被ります。
不動産に対して権利主張をする人が現れた場合、所有者のはずなのに権利主張ができないからです。
相続登記は、手間のかかる手続です。
自分で相続登記をしようとするものの、多くの人は挫折します。
相続登記をする場合、登録免許税を納付しなければなりません。
相続登記を専門家に依頼する場合、専門家に報酬を支払う必要があります。
相続登記でかかる手間と費用がもったいないと、考える人が少なくありません。
相続登記がされない場合、登記簿を見ても土地の所有者が分からなくなります。
登記簿とは、不動産の権利関係が記録される公的な帳簿です。
所有者不明の土地の発生を防止するため、相続登記をすることは義務になりました。
②相続登記の期限は3年
令和6年4月1日から相続登記は、3年以内に登記申請をする義務が課されました。
相続登記には、3年の期限が決められました。
相続登記の期限は、相続したことを知った日からスタートします。
自己のために相続の開始があったことを知って、かつ、不動産を取得することを知った日から、スタートします。
相続登記の期限は、3年です。
③相続登記をしなくても建物の解体ができる
空き家を解体して更地にすると、1か月以内に建物滅失登記をする必要があります。
建物解体の前提として、相続登記をする必要はありません。
被相続人名義のまま相続登記をせずに、建物滅失登記をすることができます。
建物の解体には、相続人全員の合意が必要です。
建物解体後の建物滅失登記は、一部の相続人がすることができます。
他の相続人の同意は、不要です。
相続登記をしなくても、建物の解体ができます。
④更地の相続登記は省略できない
建物を解体したときに、土地の相続登記は省略できません。
建物を解体した後、すぐに売却することがあるでしょう。
相続登記をしていないと、買主名義に変更することができません。
相続登記を放置すると、デメリットが多くおすすめできません。
建物を解体しても、土地の相続登記は必要です。
5相続登記を司法書士に依頼するメリット
大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。
やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。
相続手続は一生のうち何度も経験するものではないでしょう。
だれにとっても不慣れで、手際よくできるものではありません。
相続登記は、相続手続の中でも手間がかかる難しい手続です。
不動産は、重要な財産であることが多いものです。
法務局は、厳重な審査をします。
一般の人にとって些細なことと思えるようなことでやり直しになります。
実は、相続手続をスムーズにするコツがあります。
それは、はじめに相続登記をすることです。
相続登記は難しい手間がかかる手続なので、司法書士などの専門家に依頼するでしょう。
相続手続で挫折しがちなのは、戸籍謄本などの書類収集や遺産分割協議書の作成です。
書類収集や遺産分割協議書の作成は、司法書士に依頼することができます。
司法書士が戸籍謄本や遺産分割協議書を準備したうえに、法務局の厳重な審査をします。
法務局の審査が通った戸籍謄本や遺産分割協議書だから、銀行などの相続手続先で指摘があることはありません。
銀行などの独自書類の内容などに指摘があるとしても、簡単に済むことがほとんどでしょう。
相続手続をスムーズに進めたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。