相続放棄申述受理証明書の取得方法

1相続放棄申述受理証明書で相続放棄を証明する

①相続放棄申述受理証明書の役割

相続放棄申述受理証明書は、家庭裁判所が発行する公的な証明書です。

相続放棄の申述が正式に受理されたことを証明します。

相続放棄申述受理証明書によって、第三者に対し相続放棄の事実を証明することができます。

相続放棄申述受理証明書の役割は、相続放棄の事実を証明することです。

②相続放棄申述受理証明書と相続放棄申述受理通知書のちがい

ちがい(1)役割

相続放棄申述受理証明書は、第三者に対し相続放棄の事実を証明する書類です。

相続放棄申述受理通知書は、相続放棄をした本人に相続放棄が認められたことを通知するための書類です。

ちがい1つ目は、役割です。

ちがい(2)取得方法

相続放棄申述受理証明書は、家庭裁判所に申請した後に発行されます。

相続放棄申述受理通知書は、相続放棄をした本人に自動で通知されます。

ちがい2つ目は、取得方法です。

ちがい(3)再発行の可否

相続放棄申述受理証明書は、必要に応じて何通でも発行されます。

相続放棄申述受理通知書は、1通だけ発行されます。

ちがい3つ目は、再発行の可否です。

ちがい(4)手数料

相続放棄申述受理証明書は、1通あたり150円の手数料がかかります。

相続放棄申述受理通知書は、手数料がかかりません。

ちがい4つ目は、手数料です。

③相続放棄申述受理証明書が必要になるケース

ケース(1)他の相続人が相続手続をするケース

相続放棄をすると、はじめから相続人でなくなります。

他の相続人が法務局や金融機関などで相続手続をする場合、相続放棄申述受理証明書が必要になります。

相続放棄によって相続人でなくなったことを証明する必要があるからです。

ケース1つ目は、他の相続人が相続手続をするケースです。

ケース(2)債権者に相続放棄を証明するケース

相続放棄が認められた場合、家庭裁判所は手続をした人にのみ結果を通知します。

家庭裁判所は、自主的に債権者などに通知しません。

被相続人の債権者は、相続人に借金を返済してもらおうと通知して来るでしょう。

相続放棄が認められたから、被相続人の借金は引き継ぎません。

債権者に相続放棄を証明すると、返済の催促をやめてくれるでしょう。

ケース2つ目は、債権者に相続放棄を証明するケースです。

ケース(3)相続放棄申述受理通知書を紛失したケース

相続放棄申述受理通知書で、相続放棄の事実を証明することができます。

相続放棄申述受理通知書は、紛失しても再発行されません。

相続放棄申述受理証明書を再発行してもらって、手続を進めることができます。

ケース3つ目は、相続放棄申述受理通知書を紛失したケースです。

2相続放棄申述受理証明書の取得方法

①相続放棄申述受理証明書は申請が必要

相続放棄申述受理証明書は、相続放棄申述受理通知書とちがい自動で送られません。

必要な人が家庭裁判所に申請する必要があります。

相続放棄申述受理証明書の交付申請書は、家庭裁判所によって様式が異なります。

申請先の家庭裁判所の様式を使って、申請します。

②申請先

相続放棄申述受理証明書の申請先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

被相続人の最後の住所地は、被相続人の住民票や戸籍の附票で確認することができます。

家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで確認することができます。

③申請できる人

相続放棄をした本人は、相続放棄申述受理証明書の交付を申請することができます。

相続放棄が認められた後、他の相続人の相続放棄申述受理証明書の交付を申請することはできません。

相続放棄が認められると、はじめから相続人でなくなるからです。

相続放棄申述受理証明書の交付を申請ができる第三者は、法律上の利害関係がある人です。

具体的には、次の人です。

・共同相続人

・後順位相続人

・被相続人の債権者

・相続財産清算人

相続放棄申述受理証明書の交付を申請するためには、法律上の利害関係があることを疎明する必要があります。

疎明とは、家庭裁判所に分かってもらうことです。

④必要書類

(1)相続放棄をした本人が申請する場合

・申請者の本人確認書類

具体的には、運転免許証やマイナンバーカードなどのコピーです。

(2)共同相続人・後順位相続人が申請する場合

・申請者の本人確認書類

具体的には、運転免許証やマイナンバーカードなどのコピーです。

・被相続人の住民票または戸籍の附票

・被相続人と申請人の相続関係が分かる戸籍謄本

必要書類は、家庭裁判所によって運用が異なります。

管轄の家庭裁判所に確認したうえで、照会するといいでしょう。

(3)利害関係人が申請する場合

・申請人の資格を確認する書類

個人の場合は、照会者の本人確認書類

具体的には、運転免許証やマイナンバーカードなどのコピーです。

法人の場合は、法人の登記簿謄本

・利害関係を証明する書類

具体的には、金銭消費貸借契約書、訴状、競売申立書、競売開始決定、債務名義等の各写し、担保権が記載された不動産登記簿謄本、その他債権の存在を証する書面などです。

⑤郵送で申請できる

相続放棄申述受理証明書の交付申請書は、郵送で家庭裁判所に提出することができます。

⑥郵送で受取ができる

相続放棄申述受理証明書の交付申請は、即日交付されません。

相続放棄申述受理証明書の交付を申請ができるのは、法律上の利害関係がある人だけです。

法律上の利害関係があるか、家庭裁判所で審査されます。

相続放棄申述受理証明書の発行には、裁判官の許可が必要です。

家庭裁判所の事務手続に、1週間以上かかるのが通例だからです。

必要書類と一緒に返信用の封筒と切手を提出すると、郵送してくれます。

相続放棄申述受理証明書は、郵送で受取ができます。

⑦手数料

相続放棄申述受理証明書の発行手数料は、1通あたり150円です。

相続放棄申述受理証明書の交付申請書に、収入印紙を貼り付けて納入します。

収入印紙は貼り付けるだけで、消印を押しません。

申請書を受け付けたときに、家庭裁判所の人が消印を押すからです。

⑧発行にかかる期間

相続放棄申述受理証明書の交付申請書を提出してから発行にかかる期間は、家庭裁判所によって異なります。

発行までの期間は、窓口申請であれば1~2週間程度が多いでしょう。

郵送申請の場合、往復の郵便の時間が追加でかかります。

利害関係人が申請する場合、事例によっては1か月程度かかることがあります。

申請後2週間経過しても証明書が届かない場合、家庭裁判所に問合わせるといいでしょう。

相続放棄申述受理証明書は、余裕を持って申請する必要があります。

⑨相続放棄申述受理証明書の交付申請の流れ

手順(1)相続放棄の手続完了

被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で相続放棄の手続をします。

相続放棄が認められると、相続放棄申述受理通知書が発行されます。

手順1つ目は、相続放棄の手続完了です。

手順(2)相続放棄申述受理証明書の交付申請書を入手

相続放棄申述受理証明書を取得するため、交付申請書を入手します。

相続放棄申述受理証明書の交付申請書は、次の方法で入手することができます。

・相続放棄申述受理通知書に同封されている

・家庭裁判所のホームページからダウンロード

・家庭裁判所の窓口で取得

手順2つ目は、相続放棄申述受理証明書の交付申請書を入手です。

手順(3)相続放棄申述受理証明書の交付申請書を作成

相続放棄申述受理証明書の交付申請書を正確に記入します。

事件番号を間違えると、交付が受けられなくなるおそれがあります。

手順3つ目は、相続放棄申述受理証明書の交付申請書を作成です。

手順(4)必要書類の準備

必要書類は、家庭裁判所によって異なります。

家庭裁判所に確認して、不足なく準備します。

書類に不足があると、相続放棄申述受理証明書の発行がされない可能性があります。

手順4つ目は、必要書類の準備です。

手順(5)家庭裁判所に提出

相続放棄申述受理証明書の交付申請書と必要書類を家庭裁判所に提出します。

窓口に出向いて提出または郵送で提出します。

家庭裁判所によっては、窓口受付時間が決められています。

窓口受付時間を確認して、窓口に出向きます。

手順5つ目は、家庭裁判所に提出です。

手順(6)家庭裁判所で審査

相続放棄申述受理証明書の交付申請書を受付けると、家庭裁判所で審査がされます。

交付申請書を受付けても、即日交付はされません。

家庭裁判所の審査は、1週間以上かかるのが通例です。

利害関係人が申請した場合、1か月程度かかることがあります。

手順6つ目は、家庭裁判所で審査です。

手順(7)相続放棄申述受理証明書の受取

相続放棄申述受理証明書は、郵送で受取ることができます。

返信用封筒に書いた住所に、郵送で届きます。

手順7つ目は、相続放棄申述受理証明書の受取です。

3相続放棄申述受理証明書の交付申請における注意点

注意①交付申請に事件番号が必要

事件番号とは、それぞれの裁判事件に付される番号です。

相続放棄申述受理証明書の交付申請書に、事件番号を記載する必要があります。

裁判所は、事件番号で事件を特定しているからです。

事件番号は、相続放棄申述受理通知書に記載されています。

注意点1つ目は、交付申請に事件番号が必要であることです。

注意②事件番号は相続放棄の申述の有無の照会で判明

相続放棄申述受理証明書の交付申請書に事件番号を記載していないと、交付申請を受け付けてもらえません。

事件番号が分からないときは、相続放棄の申述の有無の照会で判明します。

相続放棄の申述の有無の照会とは、家庭裁判所に対して相続放棄をしたか確認する手続です。

相続放棄の申述の有無の照会は、手数料がかかりません。

相続放棄の申述の有無の照会をすると、家庭裁判所から事件番号や受理年月日が文書で回答されます。

注意点2つ目は、事件番号は相続放棄の申述の有無の照会で判明することです。

注意③申請書は正確に記載

相続放棄申述受理証明書の交付申請書には、申請人の住所や氏名を正確に記載します。

押印は、認印で差し支えありません。

朱肉を使って、くっきりと押印します。

スタンプ印を使うことはできません。

注意点3つ目は、申請書は正確に記載することです。

注意④申請先の様式を使う

相続放棄申述受理証明書の交付申請書は、家庭裁判所ごとに様式が異なります。

申請先の様式を使って、申請します。

注意点4つ目は、申請先の様式を使うことです。

注意⑤収入印紙を準備

相続放棄申述受理証明書の交付申請書に収入印紙を貼り付けて、手数料を納入します。

相続放棄申述受理証明書1通あたり150円です。

収入印紙は、次の場所で購入することができます。

・郵便局郵便窓口

・法務局印紙売りさばき窓口

・コンビニエンスストア

額面150円の収入印紙は、ありません。

150円分の収入印紙は、小さな郵便局やコンビニエンスストアで取り扱いがないことが多いでしょう。

収入印紙を準備するため、大きな郵便局に行く必要があるかもしれません。

注意点5つ目は、収入印紙を準備することです。

4相続放棄申述受理証明申請を司法書士に依頼するメリット

相続放棄が家庭裁判所で認められると、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が届きます。

家庭裁判所は相続放棄を認めた場合、本人に通知をします。

自主的に他の相続人や債権者などに、連絡することはありません。

市区町村役場や法務局なども例外ではありません。

相続放棄をしたので相続人ではありませんと、証明する必要があります。

相続放棄申述受理通知書で、足りる場合がほとんどです。

ときには、相続放棄申述受理証明書が必要になります。

司法書士は、このような家庭裁判所に対する書類作成もサポートしております。

相続放棄や相続放棄申述受理証明書でお困りの方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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