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1 財産目録とは
財産目録とは被相続人のプラスの財産とマイナスの財産を一覧表にしてまとめたものです。
通常は財産が特定できるように、財産の名称だけでなく、種類や所在を書き、評価額も盛り込みます。
財産目録は手書きである必要はなく、パソコン等で作ったもので構いません。
被相続人がご生前に作ったものがあれば、これを活用してもいいですし、相続があってから相続人が作っても差し支えありません。
相続財産調査をして財産を確認したら、すみやかに財産目録を作ることをおすすめします。
2 財産目録を作るメリット
実は、財産目録がないとできない手続はごくわずかです。
財産目録があると相続人の判断がラクになりますから、手続が比較的スムーズになります。
相続が発生したら、ご遺族は大きな悲しみに包まれるのに、ゆっくり亡くなった方を偲ぶ時間がない場合があります。
財産目録が役に立つのは次の場合です。
① 単純承認、限定承認、相続放棄を判断する
相続が発生したら、相続人は(1)単純承認(2)限定承認(3)相続放棄するかを判断しなければなりません。
- 単純承認はプラスの財産もマイナスの財産もすべて相続する
- 限定承認はプラスの財産の限度で相続する
- 相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も相続しない
この3つのうち(2)限定承認(3)相続放棄を選択する場合は、相続があったことを知ってから3か月以内に手続が必要になります。
正しい財産目録があると(1)~(3)の判断がしやすくなります。
② 遺産分割協議をまとめる
遺言書がない場合や2人以上相続人がいる場合、遺産の分け方について相続人全員が合意をする必要があります。
相続財産の分け方について、相続人全員が合意するとき、財産目録があると便利です。
相続財産の内容が相続人の間で、共有されていないと無用なトラブルになるからです。
正しい財産目録があれば、認識の違いからくる争族を減らすことができます。
争族になってしまったら、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる必要があります。
この申立をするときは、財産目録が必要になります。
③ 相続税申告の資料にする
相続税申告が必要な方の場合、正しい財産目録があれば正しい申告ができます。
3 財産目録があると相続人はラク
相続が発生すると相続人はやることがいっぱいで非常に多忙になります。
死亡届や親戚や友人への連絡、お通夜ご葬儀の手配などです。
相続を何度も経験することは少ないので、多くの方にとって不慣れな手続と聞き慣れない言葉で疲れ果ててしまいます。
こういった用事に追われていると3か月はあっという間に過ぎてしまい、相続放棄をしたくてもできなくなってしまいます。
ゆっくり判断できるように、遺す側の方が準備しておいてあげることをおすすめします。
相続が発生してから、慣れない手続で疲れている相続人が財産を整理し、調査をするのは、身体的にも精神的にも大きな負担です。
遺産分割協議はそうでなくてもトラブルになる要素の多い手続きです。
協議をする前から関係者が疲れ果てて、イライラしているとその後のなりゆきが思いやられます。
往々にして、財産を隠しているのでないか、自分の相続分が少ないのではないかと相続人が疑心暗鬼になり、大きなトラブルに発展してしまうおそれがあります。
被相続人がご健在のうちに作った財産目録があれば、財産を隠しているのではないかというような疑いは軽減されるでしょう。
4 財産目録作成を司法書士に依頼するメリット
相続財産を整理し、調査する時間や労力は想像する以上に大きいものです。
また、大きな悲しみに包まれている遺族にとって切ない作業であることから、精神的負担も無視できません。
この作業が少なくなるだけでも、相続手続はラクになります。
手続がラクになれば、相続人の疲労も少なくなります。
お疲れが軽くなれば、相続人らの気持ちにも余裕ができ、トラブルが少なくなります。
トラブルのない相続手続をしたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。