NISA口座を相続

1NISAとは少額投資非課税制度

①NISAを利用すると非課税になる

株式や投資信託などの金融商品に投資をしている人がいるでしょう。

株式や投資信託などの金融商品を売却したときに、利益を得ることがあります。

株式や投資信託などの金融商品をと保有している間、配当金を受け取ることがあります。

通常、売却して得た利益や受け取った配当金には、税金がかかります。

NISAとは、少額投資非課税制度です。

NISAを利用して一定の条件を満たせば、税金がかからなくなる制度です。

NISA制度を利用した場合、譲渡益や配当金に税金がかかりません。

NISA制度を利用して投資をする場合、NISA口座を利用します。

NISA口座で、投資した株式や投資信託などの金融商品を管理します。

2024年からNISAは、新しくなりました。

NISAには、2つの投資枠があります。

つみたて投資枠と成長投資枠です。

つみたて投資枠と成長投資枠は、併用ができます。

NISA口座を利用すると、利益や配当金が非課税になります。

②つみたて投資枠は長期に渡った資産形成目的

つみたて投資枠は、長期に渡った資産形成を目的とする投資枠です。

18歳以上の人が利用できます。

年間投資枠は、120万円です。

非課税保有期間は、無期限です。

口座開設期間は、無期限です。

非課税保有限度額は、成長投資枠と合算で1800万円です。

③成長投資枠は高リスク資産での投資目的

成長投資枠は、高いリスクを伴う資産に対して投資を奨励する目的の投資枠です。

18歳以上の人が利用できます。

年間投資枠は、240万円です。

非課税保有期間は、無期限です。

口座開設期間は、無期限です。

非課税保有限度額は、1200万円です。

2NISA口座の相続手続の流れ

①金融機関に死亡連絡でNISA口座凍結

NISA口座の持ち主が死亡した場合、金融機関に連絡します。

金融機関は預金者が死亡したことを確認すると、口座の取引を停止します。

口座の取引を停止することを、口座の凍結と言います。

銀行などの預貯金口座が凍結されることは、知られているかもしれません。

預貯金口座と同じように、NISA口座も凍結されます。

②NISA口座が凍結される理由

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

NISA口座の持ち主が死亡したら、NISA口座の中の財産は相続人が相続します。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

一部の相続人が勝手に処分することはできません。

一部の相続人が勝手にNISA口座を解約した場合、相続人間で大きなトラブルになるでしょう。

金融機関が安易にNISA口座の解約に応じた場合、他の相続人から強い抗議を受けることになります。

金融機関は、相続人間のトラブルに巻き込まれるでしょう。

被相続人の大切な財産が守られないとなると、金融機関の信用は失墜します。

金融機関としては、何としても信用を守りたいでしょう。

金融機関は相続争いに巻き込まれないため、NISA口座を凍結します。

金融機関に死亡を連絡すると、NISA口座は凍結されます。

③残高証明書を請求する

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人全員の共有財産です。

相続人全員の合意で、相続財産の分け方を決定します。

相続財産にどのような財産があるのか、確認しておく必要があるでしょう。

相続財産の分け方を話し合う前提として、財産調査をします。

各相続人はだれでも単独で、金融機関に対して残高証明書を請求することができます。

残高証明書を請求するときに必要な書類は、おおむね次のとおりです。

(1)金融機関所定の残高証明発行依頼書

(2)被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本

(3)請求者が相続人であることが分かる戸籍謄本

(4)請求者の印鑑証明書

相続財産の確認のため、残高証明書を請求します。

④相続人全員で遺産分割協議

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方を決めるため相続人全員でする話し合いです。

相続財産の分け方について相続人全員で合意ができた場合、合意内容を文書に取りまとめます。

相続人全員の合意内容を取りまとめた文書を、遺産分割協議書と言います。

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。

遺産分割協議書の内容が合意内容に間違いないことを相続人全員に確認してもらいます。

間違いないことを確認した場合、相続人が記名し実印で押印します。

遺産分割協議書の押印が実印によることを証明するため、印鑑証明書を添付します。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

⑤相続人のNISA口座に直接引き継げない

NISA口座の相続手続は、被相続人のNISA口座の中身を引き継ぐことです。

NISA口座内の株式や投資信託などの金融商品を移管するため、相続人の口座が必要になります。

金融商品を移管する場合、被相続人のNISA口座がある金融機関で相続人の口座が必要になります。

別の証券会社の口座を移管先として、指定することはできません。

被相続人のNISA口座がある金融機関に相続人がNISA口座を保有している場合、NISA口座を指定することはできません。

指定できるのは、被相続人のNISA口座がある金融機関で特定口座か一般口座です。

特定口座は、金融機関が年間取引報告書を作成してくれる口座です。

一般口座は、自分で年間取引報告書を作成する口座です。

特定口座で源泉徴収ありであれば、多くの場合、便利でしょう。

NISA口座の相続手続では、相続人のNISA口座に直接引き継げません。

⑥非課税口座開設者死亡届出書を提出

金融機関に非課税口座開設者死亡届出書と相続上場株式等移管依頼書を提出します。

被相続人のNISA口座内にある財産は、相続人の口座に移管されます。

非課税口座開設者死亡届出書と相続上場株式等移管依頼書に必要な書類は、おおむね次のとおりです。

(1)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

(2)相続人全員の戸籍謄本

(3)遺産分割協議書

(4)相続人全員の印鑑証明書

金融機関に非課税口座開設者死亡届出書と相続上場株式等移管依頼書を提出すると、相続人の口座へ移管されます。

3NISA口座の相続手続で注意すること

①相続発生後の譲渡益や配当金は課税対象

NISA制度を利用した場合、譲渡益や配当金に税金がかかりません。

税金がかからないのは、相続が発生するまでです。

相続が発生した時点で、被相続人のNISA口座内にある財産は払い出された扱いがされます。

被相続人が取得してから相続が発生するまでの譲渡益は、非課税です。

相続が発生するまでに確定した配当金は、税金がかかりません。

相続が発生した場合、被相続人のNISA口座内にある財産は、相続人の口座に移管されます。

移管できるのは、相続人の一般口座か特定口座だけです。

一般口座と特定口座は、どちらも課税口座です。

NISA口座のような非課税の取り扱いはされません。

相続が発生してから売却までの譲渡益は、課税対象です。

相続が発生してから確定した配当金は、税金がかかります。

金融機関に連絡が遅れたため配当金が非課税で支払われた場合、さかのぼって課税されます。

相続発生後の譲渡益や配当金は、課税対象です。

②換価分割で確定申告が必要になる

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

換価分割とは、財産を売却してお金に換えた後、お金を分ける方法です。

お金に換えた後で相続人に分配するので、公平に分けることができます。

NISA口座の持ち主が死亡した場合、NISA口座内の財産はそのままでは売却できません。

売却できるのは、相続手続をした後です。

相続が発生した時点で、被相続人のNISA口座内にある財産は払い出された扱いがされます。

NISA制度の利用で譲渡益や配当金に税金がかからないのは、相続発生までです。

相続発生から売却までの間に、値動きがあるでしょう。

株式などは、日々大きな値動きがあるのが通常だからです。

相続が発生した時点の財産の価額と売却した価額を比べて利益が出た場合、税金がかかります。

売却による譲渡益について、確定申告が必要になります。

換価分割をする場合、NISA口座内の財産の移管先が特定口座源泉徴収ありであっても確定申告が必要です。

NISA口座内にある財産を売却して売却代金を分配する場合、売却代金を受け取った相続人全員が確定申告をしなければなりません。

NISA口座内の財産の移管を受けた相続人以外の相続人は、確定申告を忘れがちです。

相続人間のトラブル防止のため、確定申告が必要であることを連絡しましょう。

換価分割をするとき、相続人全員が確定申告が必要になります。

③NISA口座以外の口座も忘れず相続

NISA制度を利用した場合、譲渡益や配当金に税金がかかりません。

メリットが大きいので、NISA口座は人気があります。

NISA制度で税金がかからないためには、一定の条件を満たす必要があります。

被相続人がNISA口座以外の口座を保有していることがあります。

NISA口座の相続手続をする場合、NISA口座以外の口座を確認して一緒に手続をしましょう。

4NISA口座の相続手続を司法書士に依頼するメリット

口座を凍結されてしまったら、書類をそろえて手続すれば解除してもらえます。

口座の凍結解除に必要な書類は、証券会社などの金融機関によってまちまちです。

凍結解除の手続方法や手続にかかる期間も、まちまちです。

金融機関内部で取扱が統一されていないことも、少なくありません。

窓口や電話で確認したことであっても、上席の方に通してもらえないことがあります。

担当者の人の説明どおりにやっても、やり直しになることも多々あります。

口座の相続手続は、スムーズに進められないことが多いのが現状です。

忙しい中で窓口に出向くから、スムーズに手続したいと思う人が多いでしょう。

仕事や家事で忙しい人や高齢、療養中などで手続が難しい人は、手続を丸ごとおまかせできます。

家族にお世話が必要な人がいて、お側を離れられない人からの相談もお受けしております。

凍結口座をスムーズに解除したい人は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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