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1遺産整理が複雑困難になる理由
理由①相続手続先が多岐に渡る

相続が発生すると、相続人は忙しくなります。
たくさんの相続手続をする必要があるからです。
相続財産ごとに、相続手続先が異なります。
主な相続手続先は、次のとおりです。
不動産→法務局
預貯金→各金融機関
株式や投資信託→証券会社
自動車→運輸支局、軽自動車検査協会
相続手続先が多岐に渡るから、遺産整理が複雑困難になります。
理由②必要書類が膨大かつ専門的
相続手続では、たくさんの書類が必要になります。
多くの相続手続で、次の書類が必要になります。
(1)被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
(2)相続人全員の現在戸籍
(3)遺産分割協議書
(4)相続人全員の印鑑証明書
相続手続によっては、財産に関する書類が必要になることがあります。
書類に不備があると、相続手続が進まなくなります。
戸籍謄本の読解を間違えると、相続人の見落としにつながります。
遺産分割協議を成立させることができなくなります。
必要書類が膨大かつ専門的だから、遺産整理が複雑困難になります。
理由③相続人間の調整が困難
相続が発生すると、相続財産は相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
相続人が遠方に住んでいると、話し合いが難しくなりがちです。
相続人が疎遠であると、話し合いができないかもしれません。
相続人間に感情的対立があると、話し合いがまとまらないことがあります。
相続人間の調整が困難だから、遺産整理が複雑困難になります。
理由④期限付きの手続がある
相続には、期限がある手続があります。
例えば、次の手続には、期限があります。
(1)相続放棄→3か月以内
(2)相続登記→3年以内
(3)相続税申告→10か月以内
期限を過ぎると、法的金銭的リスクがあります。
期限付きの手続があるから、遺産整理が複雑困難になります。
2遺産整理業務は丸ごと依頼できる
①遺産整理業務とは相続財産を相続人に引き継ぐこと
遺産整理は、複雑困難になりがちです。
遺産整理業務とは、さまざまな相続財産を整理し相続人に引き継ぐことです。
遺産整理業務を依頼すると、一連の手続を丸ごとおまかせすることができます。
被相続人の財産を調査し相続人に引き継ぐまで、包括的に業務を行います。
単なる書類作成だけではなく、法律に基づく正確な手続を行います。
この相続手続をまとめてサポートするのが遺産承継サポート(遺産整理業務)です。
②遺産整理業務の一般的な流れ
(1)事前相談
相続人の状況や相続財産の全体像、家族の希望をヒアリングします。
(2)遺産整理業務の依頼
正式に遺産整理業務を依頼します。
(3)遺言書を探す
被相続人が生前に遺言書を作成していることがあります。
遺言書がある場合、遺言書のとおりに遺産分割をすることができます。
遺産整理業務では、真っ先に遺言書を探すべきでしょう。
遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作成することがほとんどです。
自宅などで保管している自筆証書遺言書は、家族が探す必要があります。
公正証書遺言の有無は、専門家に依頼して探してもらうことができます。
法務局保管の自筆証書遺言は、専門家に依頼して探してもらうことができます。
自宅などで遺言書が見つかったら、家庭裁判所に提出して検認手続を受ける必要があります。
検認手続は、司法書士などの専門家にサポートしてもらうことができます。
(4)相続人調査
相続手続では、たくさんの戸籍謄本が必要になります。
相続人であることを客観的に証明する必要があるからです。
古い戸籍謄本は現在とちがう様式だから、分かりにくいものです。
慣れないと、戸籍謄本の収集は困難です。
手間と時間がかかる戸籍謄本等の収集は、司法書士などの専門家におまかせすることができます。
相続人調査の結果は、相続関係説明図に取りまとめます。
相続関係説明図とは、被相続人を中心にどのような続柄の人が相続人なのか説明する書類です。
相続関係説明図の作成も、司法書士などの専門家におまかせすることができます。
(5)相続財産調査
相続財産と言うと、プラスの財産にだけ注目しがちです。
実際は、マイナスの財産も相続財産です。
プラスの財産とマイナスの財産の両方を調査します。
マイナスの財産は、信用情報機関に照会することで調べることができます。
株式や投資信託は、証券保管振替機構に照会することで調べることができます。
信用情報機関や証券保管振替機構への照会は、司法書士などの専門家におまかせすることができます。
不動産は、名寄帳を取り寄せて調査することができます。
名寄帳の取り寄せは、司法書士などの専門家におまかせすることができます。
相続財産調査の結果は、相続財産目録に取りまとめます。
相続財産目録の作成も、司法書士などの専門家におまかせすることができます。
(6)遺産分割協議書の作成
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
合意形成について、司法書士などの専門家からアドバイスを受けることができます。
相続人全員の合意がまとまったら、合意内容を書面に取りまとめます。
遺産分割協議書とは、相続財産の分け方について相続人全員による証明書です。
遺産分割協議書が適切に作成されていないと、相続手続が進められなくなります。
遺産分割協議書の作成は、司法書士などの専門家におまかせすることができます。
(7)相続財産の名義変更
遺産分割協議書の内容に従い、相続財産の名義変更を行います。
不動産があれば、法務局に対して相続登記を申請します。
預貯金があれば、各金融機関で口座の凍結解除を行います。
株式や投資信託は、証券会社などで証券口座の凍結解除を行います。
相続財産の名義変更は、司法書士などの専門家におまかせすることができます。
(8)相続税申告
相続財産全体の規模が一定以上である場合、相続税の申告と納税が必要になります。
相続税申告は、司法書士定型の税理士におまかせすることができます。
(9)手続完了
相続財産の引継ぎが完了したことが報告されます。
相続人に権利証などが渡されます。
最終的な費用を精算します。
③司法書士は複雑なケースにも対応できる
(1)相続人が遠方にいても対応できる
相続人が各地に散らばっているケースは、相続手続が困難になりがちです。
相続人が各地に散らばっている場合、郵送でのやり取りが中心になります。
相続人が遠方にいても、司法書士は対応することができます。
(2)遠方複数の不動産でも対応できる
相続登記は、不動産の所在地を管轄する法務局に申請します。
遠方の不動産は、遠方の法務局に相続登記を申請します。
不動産が複数あると、相続登記もの複数必要になることがあります。
遠方の不動産でも複数の不動産も、司法書士は対応することができます。
(3)行方不明の相続人がいても対応できる
さまざまな家族の事情から、一部の相続人と連絡が取れなくなっていることがあります。
遺産分割協議成立には、相続人全員の合意が不可欠です。
行方不明の相続人を含めず合意しても、無効の合意です。
行方不明の相続人がいる場合、不在者財産代理人を選任してもらうことができます。
行方不明の相続人がいても、司法書士は対応することができます。
(4)認知症の相続人がいても対応できる
認知症になると、物事のメリットデメリットを適切に判断することができなくなります。
物事のメリットデメリットを適切に判断できないまま、遺産分割協議はできません。
認知症の相続人を含めず合意しても、無効の合意です。
認知症の相続人がいる場合、成年後見人を選任してもらうことができます。
認知症の相続人がいても、司法書士は対応することができます。
④依頼できる専門家の特徴
(1)弁護士
弁護士は、紛争解決の専門家です。
弁護士は第三者的調整者ではなく、依頼者の利益最大化のための代弁者です。
トラブルが発生していないのに、安易に弁護士に依頼するのは慎重になるといいでしょう。
他の相続人が態度を硬化させて、深刻なトラブルに発展するおそれがあるからです。
弁護士に依頼するメリットは、相続人間のトラブルを解決してもらえることです。
弁護士に依頼するデメリットは、紛争解決費用を含めて高額になりがちであることです。
(2)司法書士
司法書士は、登記手続等の法律の専門家です。
登記手続の前提として、相続人調査や相続財産調査も行います。
司法書士は、法的な相談に応じることができます。
トラブルが発生していないケースでは、最もおすすめです。
司法書士に依頼するメリットは、相続手続の大部分を依頼できることです。
司法書士に依頼するデメリットは、税務申告や紛争対応ができないことです。
(3)行政書士
行政書士は、書類作成の専門家です。
相続人間でトラブルが発生しておらず、かつ相続手続を自分でできるケースで、おすすめです。
遺産分割協議書や法定相続情報一覧図作成だけ依頼するなどで、リーズナブルに利用できます。
行政書士に依頼するメリットは、リーズナブルに利用できることです。
行政書士に依頼するデメリットは、相続登記、税務申告や紛争対応ができないことです。
対応できない分野が多いので、別途他の専門家に依頼して結果的に高額になることがあります。
(4)税理士
税理士は、税金の専門家です。
相続税申告が必要な場合、税理士に依頼します。
相続税申告は、不要なケースが大部分です。
税理士に依頼するメリットは、相続税申告を依頼できることです。
税理士に依頼するデメリットは、相続登記、紛争対応や相続税申告なしで書類作成ができないことです。
(5)銀行
銀行は、顧客サービスの一環として遺産整理商品を提供しています。
金融機関は身近であり知名度が高いので、安心感があります。
銀行のブランドに魅力を感じる人には、おすすめです。
銀行は専門家ではないから、法律相談に応じることはできません。
銀行は窓口機能だけで、外部の専門家に外注しています。
遺産整理商品の内容は決められているから、柔軟な対応は困難です。
相続した財産の資産運用に関して、熱心な営業を受けることができます。
費用は、最低100~150万円から財産規模に応じるなど高額です。
銀行に依頼するメリットは、相続後の資産運用ができることです。
銀行に依頼するデメリットは、柔軟な対応は困難であることです。
⑤遺産整理業務の利用がおすすめの人
(1)何から始めたらいいか分からない人
相続手続の流れを整理して、必要書類や手続を一括でサポートします。
何から始めたらいいかまったく分からない人は、遺産整理業務の利用がおすすめです。
(2)仕事や家事で忙しい人
相続手続先は、平日の昼間のみ業務を行っています。
仕事や家事で忙しい人は、手続を丸ごとお任せすることができます。
(3)相続財産が多種類で複雑
相続財産調査は、財産ごとに手続が異なります。
専門知識がないと、相続財産調査は困難になります。
相続財産が多種類で複雑のケースは、専門家に依頼するのがおすすめです。
(4)相続人が疎遠や遠方
疎遠な相続人がいるケースや遠方に住んでいるケースは、相続人間のトラブルになりがちです。
疎遠な相続人がいるケースや遠方に住んでいるケースは、遺産整理業務の利用がおすすめです。
(5)手続期限が迫っている
相続放棄など手続に期限が決められていることがあります。
手続期限が迫っているケースは、司法書士などの専門家に依頼することがおすすめです。
⑥自分で遺産整理業務をする注意点
戸籍謄本の収集や相続財産調査は、想像以上に時間と手間がかかります。
相続人や相続財産の見落としは、相続人間のトラブルに直結します。
3遺産整理業務を司法書士に依頼するメリット
メリット①法的正確性に基づく安心感
司法書士は、法律の専門家です。
法律に基づいて、適切に相続手続を進めることができます。
遺産整理業務を司法書士に依頼すると、法的正確性に基づく安心感があります。
メリット②複雑な相続登記を正確に行う
司法書士は、登記の専門家です。
相続登記は、相続手続の中でも難しい手続です。
複雑な登記手続であっても、正確に行うことができます。
相続登記の前提として、相続人調査や遺産分割協議書の作成も依頼することができます。
遺産整理業務を司法書士に依頼すると、複雑な相続登記を正確に行うことができます。
メリット③複雑なケースにも対応できる
相続人が行方不明なケースや認知症などのケースは、相続手続を進められなくなります。
家庭裁判所の手続が必要になる複雑なケースであっても、司法書士はサポートすることができます。
遺産整理業務を司法書士に依頼すると、複雑なケースにも対応できます。
メリット④中立的立場からアドバイスでトラブル防止
司法書士は、トラブルに介入することができません。
相続人全員に対して、中立的立場から法的アドバイスをすることができます。
遺産整理業務を司法書士に依頼すると、中立的立場から助言でトラブル防止ができます。
