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相続財産は時効取得ができない
1取得時効には要件がある
相続登記をしないまま、先延ばしをしている例はたくさんあります。
相続手続は済んでいると思い込んだまま、放置して持ち主が死亡することもあります。
自分のものだと信じて使い続けた自宅なのに、登記を調べてみたら、祖父の名義のままだったという話も多々聞くことです。
他人のものでも自分のものと信じてずっと使い続ければ、自分のものになるはずと思う人も多いでしょう。
時効取得が認められた場合、他人のものでも自分のものになります。
自分のものだと信じて使い続けた自宅だから、時効取得できると考えるかもしれません。
時効取得するためには、要件があります。
要件を満たせば、時効取得することができます。
2時効取得するための要件
①所有の意思がある
単に、自分のために使っている、自分のために持っているだけでは不足です。
所有する意思をもって使っている、持っている必要があります。
借りているものを使っていても、所有する意思は認められません。
長期間借り続けていても、時効取得することはできません。
所有の意思は、使っている人が心の中で思っていることで決まるものではありません。
使うことの原因になった理由や持っている事情によって、外形的に客観的に決まります。
通常、売買の買主は所有する意思を持っています。
泥棒にも、所有の意思があります。
外形的に客観的に、自分のために使っている、自分のために持っているからです。
買ったものがだれのものでも、時効取得ができる可能性があります。
泥棒が盗んだものでも、時効取得ができる可能性があります。
他にも相続人がいることを知りながら使い続けている場合、所有の意思は認められません。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続財産を使い続けている場合、他の相続人のために管理していると考えられるからです。
他の相続人のために管理していても、所有の意思は認められません。
②公然かつ平穏
公然とは、こっそり使っていたり、隠し持っている場合でないという意味です。
平穏とは、暴行や脅迫によって、持っていたり、使っている場合ではないという意味です。
使っている場合や持っている場合、公然かつ平穏であると推定されます。
③他人の物
法律には、わざわざ「他人の物」と明示してあります。
他人の物と言っていますが、自分のものも含めて考えます。
他人の物でも、時効取得できます。
自分のものを時効取得できるのは、なおさらのことです。
時効制度は長い間、続いてきた平穏な事実を権利として認めようという制度です。
自分のものであっても、長い間に自分のものであるという証拠がなくなることがあります。
だれが所有者なのか分からないと、トラブルになることがあるでしょう。
長い間、平穏に使い続けた事実を権利として認めることで、救済しようとするものだからです。
④善意無過失
善意とは、自分のものと信じていたという意味です。
無過失とは、自分のものと信じていたことについて、落ち度がなかったという意味です。
自分のものと信じており、自分のものと信じることについて落ち度がない場合、10年で時効取得ができます。
自分のものと信じており、自分のものと信じることについて落ち度がないのは、最初の時点で判断します。
最初の時点で、自分のものと信じており、自分のものと信じることについて落ち度がなければ、10年で時効取得ができます。
途中で、自分のものでないのかもと疑うような事実を知ってしまっても、10年で時効取得ができます。
最初の時点で、他人のものと知っていたり、自分のものと信じることに落ち度がある場合でも、20年で時効取得ができます。
⑤時効を援用すること
時効が完成したら、所有者に「時効取得しました」と主張する必要があります。
3相続財産は時効取得ができない
①相続財産は相続人全員の共有財産
相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。
相続人全員の合意がまとまるまで、相続人全員の共有財産です。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
②相続財産に所有の意思は認められない
時効取得の要件をすべて満たしたら、時効取得をすることができます。
重要なポイントは、所有の意思があることです。
相続が発生した後、相続財産は相続人全員の共有財産です。
相続財産である実家に、一部の相続人が住み続けていることがあります。
相続財産である実家は、相続人全員の共有財産です。
相続人全員の財産を、使っているに過ぎません。
借りているものを使っているのと同様に、所有の意思は認められません。
使うことの原因になった理由や持っている事情によって、外形的に客観的に決まります。
所有の意思は、使っている人が心の中で思っていることで決まるものではありません。
相続財産は、客観的に外形的に相続人全員の共有財産です。
相続財産を使い続けても、所有の意思が認められません。
③所有の意思が認められないと時効取得はできない
時効取得の制度は、長い間、平穏に使い続けた事実を権利として認める制度です。
客観的に外形的に、所有の意思をもって使い続けることが重要です。
代々伝わる実家だからなどの理由は、所有の意思と無関係です。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続人全員の共有財産を使い続けても、所有の意思は認めれません。
所有の意思が認められないと、時効取得はできません。
④遺産分割協議が成立した後は所有の意思がある
相続財産の分け方は、相続人全員で合意で決める必要があります。
合意をせず実家を使い続けただけで、時効取得はできません。
父に相続が発生して登記簿を確認したところ、祖父の名義のままということがあります。
父が実家を使い続けただけで、時効取得をすることはできません。
祖父の相続のとき、相続人が遺産分割協議をしたでしょう。
遺産分割協議に基づいて、相続手続をしているでしょう。
すべての相続財産について手続をしているのに、実家だけ相続登記を忘れてしまうことがあります。
父が相続することについて、祖父の相続人全員が合意をしていたでしょう。
多くの場合、実家などの不動産は家族にとって重要な財産です。
祖父の相続人全員が合意をしなかったと考えるのは、不自然でしょう。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
相続人全員の合意があれば、口頭の合意でも有効です。
遺産分割協議が成立した後は、相続した人の財産です。
所有する意思をもって使っていると認められます。
長期間所有の意思をもって使っている場合、時効取得をすることができます。
4時効取得しても登記手続は必要
①~⑤の要件を満たして、時効取得したら所有権を得ることができます。
不動産を時効取得した場合、所有権の移転登記が必要になります。
所有権を時効取得しても、自動で登記されることはありません。
法務局は、時効取得したことが分からないからです。
時効取得による所有権移転登記を申請する場合、登記名義人と時効取得した所有者が協力して申請する必要があります。
登記名義人が死亡している場合、登記名義人の相続人全員の協力が必要です。
時効取得されて不動産の所有権を失う元所有者や元所有者の相続人が登記手続に協力してくれることは、まず考えられません。
登記手続に協力が得られない場合、裁判所に訴えを起こすことになります。
裁判所から、所有権移転登記手続をせよという判決を出してもらう必要があります。
所有権移転登記をせよという判決があれば、時効取得した所有者が単独で登記申請をすることができます。
5時効取得の登記はすみやかに
要件を満たせば、時効取得をすることができます。
時効取得で所有権を失う元所有者は、登記申請に協力してくれないことがほとんどです。
協力してくれないからと言って、登記申請をせずに先延ばしをすることはおすすめできません。
せっかく時効取得した権利を失ってしまうかもしれないからです。
時効取得をした後、所有権移転登記をしない間の登記名義人は、元所有者です。
登記名義があるから、元所有者は不動産を売買などで譲渡することができます。
元所有者から不動産を譲り受けた人は、すぐに所有権移転登記をするでしょう。
権利主張をするためには、登記が必要です。
時効取得したから自分のものだと主張するためには、登記をしておく必要があります。
登記申請は、時効取得する人と不動産を譲り受けた人の競争です。
登記申請は、早い者勝ちだからです。
不動産を譲り受けた人が先に登記をしたら、時効取得した人は権利主張をすることができません。
不動産は、譲り受けた人のものになります。
時効取得をしたら、すみやかに登記手続をすることが重要です。
6相続登記を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、相続人は悲しむ暇もなく相続手続に追われます。
不動産を相続した場合、すぐに売却したいといった事情がなければ先延ばししがちです。
先延ばししているうちに、相続登記を忘れてしまいます。
相続登記したものと思い込んでしまうことが多くなります。
実際のところ、何代も前の名義のまま放置されている例はよく見かけます。
何十年も住み続けた自宅なのに、自分のものでないを知るとショックを受けます。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。
何十年も住み続けたから、自分のものだと主張したくなるでしょう。
何十年も住み続けた自宅であっても、相続人全員の合意は欠かせません。
長い間経過していると、相続人が死亡することがあります。
相続人の相続人と話し合いが必要になるかもしれません。
関係が薄い相続人かいると、疎遠になっているでしょう。
疎遠な相続人がいると、分け方の合意は難しくなりがちです。
時効取得を持ち出してくること自体、トラブルは始まっています。
日常会話の中で、時効という言葉は軽く使われがちです。
法律上の時効は、考えるよりハードルが高く、認められるのが難しいものです。
きちんと相続登記をしておけば、家族のトラブルにならないことがほとんどでしょう。
相続が発生した後、すみやかに相続登記を済ませましょう。
スムーズに相続登記を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。
相続手続は司法書士に依頼できる
1相続手続は司法書士に依頼できる
①相続人調査は司法書士に依頼できる
相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
相続人になる人は、次のとおりです。
(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。
(1)配偶者は必ず相続人になる
(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども
(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属
(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹
相続が発生した場合、たくさんの相続手続をすることになります。
相続手続の最初の難関は、相続人調査です。
家族にとってだれが相続人になるか当然のことでしょう。
相続手続先に対しては、客観的に証明しなければなりません。
相続人を客観的に証明するとは、戸籍謄本で証明することです。
戸籍には、その人に身分事項がすべて記載されているからです。
相続人を客観的に証明するため、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を用意しなければなりません。
戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場に請求します。
遠方の市区町村役場に郵送で戸籍謄本を請求するのは、手間がかかります。
古い戸籍は、活字ではなく手書きで記載されています。
現在と書き方ルールがちがううえに手書きで記載されているから、戸籍謄本の解読は骨が折れる作業です。
手間と時間がかかる相続人調査は、司法書士に依頼することができます。
②相続財産調査は司法書士に依頼できる
相続が発生した場合、被相続人のものは相続人が相続します。
被相続人は、いろいろな財産を持っていたでしょう。
相続財産は、プラスの財産だけではありません。
マイナスの財産も、相続財産になります。
相続人と被相続人が別居していた場合、被相続人の財産状況を詳しく知っていることはあまりないでしょう。
預貯金は、通帳やキャッシュカード、金融機関などからの通知を探します。
手がかりが見つかったら、金融機関に口座の有無を照会します。
不動産は、権利書や固定資産税の領収書を探します。
手がかりが見つかったら、市区町村役場に名寄帳を請求します。
機密性の高い個人情報であることを考慮して、名古屋市など名寄帳を発行していない市区町村役場もあります。
名古屋市では、課税明細書と資産明細書で代用します。
株式は、証券会社や信託銀行からのお手紙や株主総会招集通知や配当通知を探します。
手がかりが見つかったら、金融機関に連絡をして残高証明書を請求します。
証券保管振替機構に対して登録済加入者情報の開示請求をして調べることもできます。
借金は、契約書、借入明細書や督促状を探します。
手がかりが見つかったら、貸主に連絡をして残高証明書を請求します。
信用情報機関に照会すると詳しく確認することができます。
(1)消費者金融からのお借入 日本信用情報機構(JICC)
(2)クレジット会社からのお借入 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
(3)銀行からのお借入 全国銀行協会全国銀行個人信用情報センター
相続財産は、財産ごとに別々の期間に照会して調べていきます。
照会しても、すぐに返事はもらえないことが少なくありません。
根気良く手続をするのは、気が遠くなる作業です。
手間と時間がかかる相続財産調査は、司法書士に依頼することができます。
③相続放棄は司法書士に依頼できる
相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。
相続財産には、プラスの財産とマイナスの財産があります。
相続財産がわずかなプラスの財産と莫大なマイナスの財産である場合、そのまま相続すると相続人の人生が破綻します。
相続人は、相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。
相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する申立てをします。
相続放棄の申立ては、3か月の期限があります。
この申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。
相続があったことを知ってから3か月以内の期間のことを熟慮期間と言います。
「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。
相続放棄のチャンスは、1回限りです。
相続放棄の手続は、司法書士に依頼することができます。
④遺産分割協議書の作成は司法書士に依頼できる
相続が発生したら、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。
相続財産は、相続人全員の話し合いによる合意で分け方を決定します。
相続人全員の分け方の合意ができたら、合意内容を書面に取りまとめます。
相続財産の分け方について、相続人全員の合意内容を取りまとめた書面が遺産分割協議書です。
相続人全員の合意ができたら、相続手続を進めます。
遺産分割協議書は、相続手続のため相続手続先の人にも分かるように記載することが大切です。
遺産分割協議書の記載が不適切である場合、相続手続を進めることができません。
相続手続をスムーズに進めるため、遺産分割協議書作成は、司法書士に依頼することができます。
⑤相続登記は司法書士に依頼できる
相続財産に不動産が含まれることがあります。
不動産の名義変更が相続登記です。
不動産は重要な財産であることが多いから、相続登記は厳格に審査されます。
一般的に言って、相続登記は手間のかかる難しい手続です。
些細なミスであれば、やり直しをすることで相続登記を通してもらえます。
重大なミスであればやり直しは認められず、いったん取下げて再提出になります。
一般の人が些細なことと思えるようなことでやり直しになります。
手間のかかる難しい相続登記は、司法書士に依頼することができます。
2裁判所の書類作成は司法書士に依頼できる
①遺言書の検認は司法書士に依頼できる
被相続人が遺言書を作成していることがあります。
公正証書遺言か自筆証書遺言のいずれかを作成される人がほとんどです。
公正証書遺言は、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。
公正証書遺言は、安心確実な遺言書です。
公正証書遺言は、検認を受ける必要はありません。
検認とは、家庭裁判所で遺言書を点検してもらうことです。
自筆証書遺言は、遺言者が自分で書いて作った遺言書のことです。
自筆証書遺言は、手軽です。
自筆証書遺言を法務局に提出して、保管してもらうことができます。
法務局保管の自筆証書遺言は、検認を受ける必要はありません。
法務局保管でない自筆証書遺言は、検認を受ける必要はあります。
法務局保管でない自筆証書遺言を預かっている人や見つけた人は、家庭裁判所に対して自筆証書遺言検認の申立てをします。
遺言書の検認の書類作成は、司法書士に依頼することができます。
②成年後見人選任の申立ては司法書士に依頼できる
相続財産の分け方は、相続人全員の話し合いによる合意で決定します。
相続人の中に認知症の人がいることがあります。
認知症の人は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができません。
物事のメリットデメリットを充分に判断することができない人が自分で相続財産の分け方を合意することはできません。
認知症の人を除いて相続財産の分け方を合意しても、無効の合意です。
認知症の人が遺産分割協議書に記名し押印しても、無効の書類です。
認知症の人は物事のメリットデメリットを充分に判断することができないから、サポートする人をつける必要があります。
成年後見人は、認知症の人をサポートする人です。
成年後見人は、認知症の人の代わりに相続財産の分け方の話し合いをします。
成年後見人は、認知症の人の代わりに遺産分割協議書に記名し押印します。
成年後見人は、家庭裁判所が選任します。
認知症の人や家族は、家庭裁判所に対して成年後見人選任の申立てをすることができます。
成年後見人選任の申立書の作成は、司法書士に依頼することができます。
③不在者財産管理人選任の申立ては司法書士に依頼できる
相続財産の分け方を決定するためには、相続人全員の話し合いによる合意が不可欠です。
相続人の中に行方不明の人がいることがあります。
行方不明の人は、自分で話し合いをすることができません。
行方不明の人を除いて相続財産の分け方を合意しても、無効の合意です。
行方不明の人は自分で話し合いをすることができないから、代わりの人が話し合いに参加します。
不在者財産管理人は、行方不明の人の代わりの人です。
不在者財産管理人は、行方不明の人の代わりに遺産分割協議書に記名し押印します。
不在者財産管理人は、家庭裁判所が選任します。
行方不明の人の家族は、家庭裁判所に対して不在者財産管理人選任の申立てをすることができます。
不在者財産管理人選任の申立書の作成は、司法書士に依頼することができます。
④特別代理人選任の申立ては司法書士に依頼できる
物事のメリットデメリットを充分に判断することができない人が自分で相続財産の分け方を合意することはできません。
未成年者が契約などの法律行為をする場合、親などの親権者が代わりに手続をします。
未成年者が相続人になる場合、親などの親権者も相続人になっているでしょう。
未成年者と親などの親権者が相続人になる場合、親などの親権者は子どもを代理することはできません。
未成年者と親などの親権者が相続人になる場合、利益相反になるからです。
利益相反とは、一方がトクをすると他方がソンをする関係です。
親がトクをすると子どもがソンをするから、親などの親権者は子どもを代理することはできません。
親などの親権者が子どもを代理することができない場合、代わりの人が話し合いに参加します。
特別代理人は、未成年者の代わりの人です。
特別代理人は未成年者の代わりに遺産分割協議書に記名し押印します。
特別代理人は、家庭裁判所が選任します。
未成年者の家族は、家庭裁判所に対して特別代理人選任の申立てをすることができます。
特別代理人選任の申立書の作成は、司法書士に依頼することができます。
3相続手続で司法書士に依頼できないこと
①相続人間に争いがあるときは弁護士
相続手続で司法書士に依頼できることはたくさんあります。
相続手続の過程で紛争に発展した場合、司法書士に依頼することができません。
紛争に発展した場合、代理人となることができるのは弁護士だけです。
司法書士は、相続人に代わって交渉をすることができません。
司法書士は、遺産分割調停の代理人になることもできません。
②相続税申告は税理士
被相続人が資産家である場合、相続税申告が必要になることがあります。
相続材申告が必要になるのは、10%未満の富裕層です。
相続税申告は、司法書士に依頼することはできません。
税務申告の代理は、税理士の業務範囲です。
4相続手続を司法書士に依頼するメリット
相続が発生したら、ご遺族は大きな悲しみに包まれます。
大きい悲しみのなかで、相続財産を調査するのは身体的にも精神的にも大きな負担になります。
負担の大きい財産調査を司法書士などの専門家に依頼することができます。
その後の相続手続がスムーズになります。
被相続人の財産は、相続人もあまり詳しく知らないという例が意外と多いものです。
悲しみの中で被相続人の築いてきた財産をたどるのは切なく、苦しい作業になります。
相続財産調査のためには銀行などの金融機関から、相続が発生したことの証明として戸籍謄本等の提出が求められます。
戸籍謄本等の取り寄せも含め、手続をおまかせいただけます。
仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続を丸ごとおまかせできます。
家族にお世話が必要な方がいて、頻繁に家を空けられない方からのご相談もお受けしております。
財産調査でお疲れが出る前に、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
遺言書を開封しても無効にならない
1遺言書を勝手に開封してはいけない
①遺言書を見つけたら家庭裁判所に提出
相続が発生した後に、遺言書を見つけることがあります。
遺言書を作成したから、預かっておいて欲しいと依頼されるかもしれません。
遺言書を見つけた人や預かっていた人は、家庭裁判所に提出をする必要があります。
遺言書を提出する手続を遺言書検認の申立てと言います。
遺言書を見つけたら、家庭裁判所に提出をします。
②遺言書は検認期日で開封
相続人であれば、遺言書の内容が気になるでしょう。
遺言書は、勝手に開封してはいけません。
遺言書を見つけたら、家庭裁判所に届出をする必要があります。
遺言書検認の申立てを受け付けたら、相続人全員を家庭裁判所に呼び出します。
相続人全員に遺言書があることを知らせて、開封に立会いをしてもらうためです。
遺言書は、相続人立会いで家庭裁判所で開封してもらいます。
遺言書は、検認期日で開封してもらいます。
③検認では形状・内容を確認する
遺言書検認の申立てを受け付けたら、家庭裁判所は相続人全員を家庭裁判所に呼び出します。
相続人に立会いをしてもらって、遺言書を開封します。
遺言書を開封した後、遺言書の形状、加除の状態、日付や署名を確認します。
確認した内容は、調書に取りまとめます。
調書を見れば、検認期日時点の遺言書の形状・内容が分かります。
検認期日以降に改ざんや変造をした場合、調書と照らし合わせることで分かってしまいます。
検認期日以降、改ざんや変造を防止することができます。
検認手続は、遺言書の改ざんや変造を防止するための手続です。
検認手続では、遺言書の形状・内容を確認します。
④うっかり開封しても家庭裁判所に提出
遺言書を見つけたら、家庭裁判所に提出をする必要があります。
封筒に遺言書と書いてあれば、中身は遺言書であると気がつくことができるでしょう。
封筒に遺言書と書いてあっても、書いてあることに気がつかないことがあります。
封筒に何も書いていない場合、遺言書であると気がつくことができません。
遺言書であることに気づかず開封してしまうことがあります。
家庭裁判所で開封してもらうルールがあることを知らないかもしれません。
うっかり開封してしまったら、そのまま家庭裁判所に提出をします。
⑤勝手に開封するとペナルティーのおそれ
遺言書の内容が気になっても、勝手に開封してはいけません。
遺言書の検認をしないで、勝手に開封するとペナルティーのおそれがあります。
⑥検認をしないと疑われる
遺言書を見つけたら、家庭裁判所に提出をする必要があります。
家庭裁判所に遺言書検認の申立てをする期限はありません。
遅くならない程度に、申立てをすればいいでしょう。
相続が発生すると、家族は忙しくなります。
日常の仕事や家事に加えて、たくさんの相続手続をしなければならなくなるからです。
裁判所に対する手続は、よく分からないことが多いでしょう。
よく分からないから、先延ばししがちになります。
単に、忙しい、分からないと思って先延ばししているだけなのに、他の相続人にはそう見えないことがあります。
他の相続人からは、遺言書を隠匿しているように見えることがあるからです
不当な利益を得る目的で遺言書を隠匿した場合、相続欠格になります。
相続欠格は、相続人にふさわしくない人の相続権を奪うことです。
欠格になると相続できなくなるし、遺留分も失われます。
遺言書を隠匿した場合、刑事責任を問われることがあります。
遺言書は、権利義務に関する書面です。
権利義務に関する書面を隠匿した場合、私用文書毀棄罪に問われます。
すみやかに遺言書検認の申立てをしないと、他の相続人から疑われます。
2遺言書を開封しても無効にならない
①開封しても遺言書の効力は変わらない
遺言書は、家庭裁判所の検認期日で相続人立会いをしてもらって開封します。
遺言書を勝手に開封するとペナルティーのおそれがあります。
うっかり開封してしまっても、遺言書の効力に変わりはありません。
うっかり開封したから、遺言書が無効になると言ったことはありません。
開封してしまっても、有効の遺言書は有効です。
開封しなくても、無効の遺言書は無効です。
勝手に開封してしまっても、遺言書の効力は変わりません。
②遺言書の改ざん・変造は相続欠格
遺言書は、遺言者の意思を示すものです。
相続人は、遺言者の意思を実現させてあげたいでしょう。
遺言書の改ざん・変造は、遺言者の意思を踏みにじるものと言えます。
相続欠格とは、相続人にふさわしくない行為をした人から相続資格を奪うことです。
遺言者の意思を踏みにじる行為は、相続人にふさわしくない行為だから相続資格が奪われて当然でしょう。
遺言書の改ざん・変造をした場合、相続欠格になります。
③開封しただけなら相続できる
遺言書を見つけても、勝手に開封してはいけません。
遺言書であることに気づかない場合、うっかり開封してしまうことがあるでしょう。
うっかり開封してしまっただけなら、相続欠格になることはありません。
うっかり開封しただけで、遺言書が無効になることもありません。
うっかり開封しただけなら、遺言書を執行して相続することができます。
④勝手に開封すると疑われる
遺言書は、家庭裁判所で相続人立会いで開封してもらいます。
家庭裁判所の検認手続で開封された場合、遺言書は改ざんや変造はされていないと考えられるでしょう。
遺言書を勝手に開封すると、他の相続人から疑われます。
遺言書を見つけた相続人に有利な内容であった場合、いっそう疑いは強まるでしょう。
遺言書の改ざんや変造は、遺言者の意思を踏みにじる行為です。
他の相続人から強い非難が向けられるでしょう。
うっかり開封しただけなら、そのまま家庭裁判所に提出しましょう。
うっかり開封したことを隠そうとすると、よけいに疑いの目を向けられます。
勝手に開封すると、他の相続人から疑われます。
3公正証書遺言は検認不要
①遺言書の種類
遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作るケースがほとんどです。
自筆証書遺言は、自分ひとりで書いて作った遺言書です。
自筆証書遺言を作成した後は、原則として、自分で保管します。
作成した自筆証書遺言を法務局に提出して、保管してもらうことができます。
公正証書遺言は、公証人が文書に取りまとめて作る遺言書です。
証人2人に確認してもらって作ります。
②公正証書遺言は公証役場で厳重保管
公正証書遺言を作成した後は、公正証書遺言原本は公証役場で保管されます。
公正証書遺言を作成した場合、遺言書の正本と謄本が渡されます。
手許にある正本や謄本に改ざん変造をしても、意味はありません。
正本や謄本は、言わばコピーだからです。
公正証書遺言原本は、公証役場で厳重に保管されています。
公証役場で厳重に保管されているから、公正証書遺言原本は改ざん変造があり得ません。
あらためて、公正証書遺言の謄本を請求することができます。
新たに取得した謄本と照らし合わせると、改ざんや変造は見つかってしまうでしょう。
③公正証書遺言は家庭裁判所に提出不要
遺言書を見つけた人は、家庭裁判所に提出するルールがあります。
家庭裁判所に提出するのは、遺言書の検認をしてもらうためです。
公正証書遺言は、検認手続をする必要がありません。
遺言書検認手続は、遺言書の改ざんや変造を防止するために行っています。
公正証書遺言原本は、公証役場で厳重に保管されています。
公正証書遺言は、改ざん変造があり得ません。
改ざん変造があり得ないから、公正証書遺言は検認手続をする必要がありません。
公正証書遺言は、家庭裁判所に提出不要です。
4法務局保管の自筆証書遺言は検認不要
①法務局で自筆証書遺言を保管してもらえる
自筆証書遺言を作成した後は、自分で保管するのが原則です。
遺言書にはプライベートな内容が書いてあるから、簡単に人目にさらしません。
自分で保管していると、自分で紛失してしまうかもしれません。
家族と保管場所を共有していないと、相続が発生した後に家族が遺言書を見つけられなくなるかもしれません。
家族と保管場所を共有していると、遺言書の改ざんや変造がされるかもしれません。
自筆証書遺言は、作成後の保管場所に困ります。
自筆証書遺言を法務局に提出して、保管してもらうことができます。
②法務局に提出されたら法務局で厳重保管
法務局に提出された後は、法務局で厳重に保管されます。
法務局は自筆証書遺言を預かるときに、遺言書保管証を発行します。
遺言書保管証に、遺言書の内容は書いてありません。
法務局に預けた自筆証書遺言は、遺言者本人以外には返却されません。
遺言者本人が死亡したら、遺言書を返してもらうことはできなくなります。
法務局保管の自筆証書遺言は、改ざんや変造ができません。
法務局に提出されたら、自筆証書遺言は法務局で厳重保管されます。
③法務局保管の自筆証書遺言は家庭裁判所に提出不要
法務局保管の自筆証書遺言は、検認手続をする必要がありません。
法務局保管の自筆証書遺言は、法務局で厳重に保管されています。
法務局保管の自筆証書遺言は、改ざん変造があり得ません。
改ざん変造があり得ないから、公正証書遺言は検認手続をする必要がありません。
法務局保管の自筆証書遺言は、家庭裁判所に提出不要です。
5遺言書検認の申立てを司法書士に依頼するメリット
自筆証書遺言や秘密証書遺言を預かっている人や見つけた人は家庭裁判所に届出る必要があります。
遺言書を隠したり捨てたりすると、相続人になることができません。
他の相続人から疑いをかけられてトラブルになるのを避けるためにも、すみやかに家庭裁判所に遺言書検認の申立てをしましょう。
遺言書検認の申立てのためには、たくさんの書類が必要になります。
仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続をおまかせできます。
家族にお世話が必要な方がいて、お側を離れられない方からのご相談もお受けしております。
裁判所に提出する書類を作成できるのは、弁護士と司法書士のみです。
弁護士と司法書士でない人は作成代行はできませんから、充分注意しましょう。
遺言書の検認を司法書士に依頼した場合、遺言書検認申立書の作成だけでなく、家庭裁判所への提出もおまかせいただけます。
遺言書を預かっている方や見つけた方はトラブルになる前に、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
死亡届は提出前にコピー
1死亡届は返却されない
①人が死亡したら死亡届
死亡届は、戸籍法の定めにより行う届出です。
人が死亡したら、死亡届の提出が義務付けられています。
死亡届を提出する場合、死亡診断書(死体検案書)が必要になります。
死亡届と死亡診断書(死体検案書)は、1枚の用紙に印刷されています。
左半分が死亡届で、右半分が死亡診断書(死体検案書)です。
死亡届は、届出人が記載します。
死亡診断書(死体検案書)は、医師が記載します。
死亡診断書と死体検案書は、人の死亡を医学的・法律的に証明する文書です。
死亡診断書は、医師が診療していた傷病に関連して死亡したときに作成されます。
死体検案書は、医師が診療していた傷病に関連して死亡したとき以外に作成されます。
死亡診断書と死体検案書の効力に、ちがいはありません。
死亡届を提出すると、戸籍に死亡が記録され住民登録が抹消されます。
②死亡届の提出先
死亡届の提出先は、次の市区町村役場です。
(1)死亡した人の本籍地
(2)届出人の住所地
(3)死亡地
③死亡届の提出期限
死亡届の提出には、提出期限があります。
死亡の事実を知ってから、7日以内です。
国外で死亡した場合は、死亡の事実を知った日から3か月以内です。
④死亡届の届出人
死亡届の届出人は、次のとおりです。
(1)同居の親族
(2)その他の同居人
(3)家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人
上記の人は順序に関わらず、届出人になることができます。
次の人は、届出をすることができます。
(1)同居の親族以外の親族
(2)後見人、保佐人、補助人、任意後見人
(3)任意後見受任者
死亡届の届出義務は、ありません。
⑤届出人が記入した後に使者が市役所に提出できる
死亡届は、届出人が記載します。
死亡診断書(死体検案書)は、医師が記載します。
届出人と医師が記入したら、死亡届はできあがりです。
できあがった死亡届は、だれが市区町村役場に持って行っても構いません。
市区町村役場に持って行く人は、届出人ではなく使者だからです。
葬儀業者の人が使者として市区町村役場に持って行っても差し支えありません。
⑥死亡届提出後に埋火葬許可証
死亡届の提出と一緒に、埋火葬許可証の発行申請をします。
埋火葬許可証とは、死亡した人を埋火葬する許可を証明する書類です。
死亡してから24時間経過した後、火葬します。
埋火葬許可証がないと、火葬を執行することができません。
火葬を執行すると、埋火葬許可証に執行済のスタンプが押されます。
執行済の埋火葬許可証は、納骨のときにも必要になります。
無くさないように大切に保管しましょう。
2死亡届は提出前にコピー
①死亡届のコピーが必要になるケース
死亡届は、提出先の市区町村役場の窓口に提出します。
書類に問題がなければ、受理されます。
受理された後、死亡届は返却されません。
死亡届を提出する前に、コピーを取っておきましょう。
死亡届と死亡診断書(死体検案書)は、セットになっています。
死亡届と死亡診断書(死体検案書)のコピーが必要になるからです。
例えば、次の手続で必要になります。
(1)健康保険の喪失
(2)雇用保険の喪失
(3)労災保険の請求
(4)生命保険の請求
(5)自動車保険・損害保険の手続
(6)携帯電話の解約
(7)国民年金・厚生年金・共済年金の受給
(8)埋葬料・葬祭費の請求
(9)自動車などの名義変更
(10)公共料金の名義変更
上記を参考にして、多めにコピーを取っておきましょう。
②死亡届のコピーをとるタイミング
死亡が確認されたら、医師が死亡診断書(死体検案書)を作成します。
死亡日当日に死亡診断書(死体検案書)が渡されます。
届出人が死亡届を作成します。
死亡届を市区町村役場に提出するのは、死亡日当日か翌日でしょう。
死亡届を提出する場合、一緒に埋火葬許可証の発行申請をします。
火葬するためには、埋火葬許可証が必要です。
火葬場を予約するため、死亡届の提出が最優先になります。
少なくとも死亡日の翌日までに死亡届のコピーを取っておくのがおすすめです。
家族が死亡すると、親戚や知人への連絡で忙しくなります。
死亡届の提出期限は、7日以内です。
火葬することを考えると、余裕はありません。
葬儀業者の人が市区町村役場に提出をしてもらう場合、コピーも一緒に依頼するといいでしょう。
③死亡届のコピーでできない手続がある
生命保険会社や保険商品によっては、死亡届のコピーでは手続ができません。
高額な保険金の請求は、保険会社専用の死亡診断書が必要になるでしょう。
担当の医師に作成してもらえるように、依頼しましょう。
医師に死亡診断書を作成してもらう場合、1か月程度かかることがあります。
3コピーを忘れたら死亡届記載事項証明書を請求
①死亡届記載事項証明書を請求できる人
市区町村役場で死亡届が受理されたら、返却されません。
死亡届のコピーを忘れた場合、死亡届記載事項証明書を発行してもらうことができます。
死亡届記載事項証明書を請求できるのは、利害関係がある人で、かつ、特別な理由がある場合だけです。
死亡届記載事項証明書を請求できる人は、次のとおりです。
(1)配偶者
(2)6親等内の親族
(3)3親等内の姻族
単に、財産上の利害関係があるだけの人は、死亡届記載事項証明書を請求することはできません。
②死亡届記載事項証明書を請求のため特別な理由が必要
上記の人であっても特別な理由がない場合、死亡届記載事項証明書を請求できません。
例えば、特別な理由には次の理由があります。
(1)簡易生命保険の保険受取人であるため、郵便局に提出する
(2)遺族年金の受取人であるため、市町村役場、日本年金機構、共済組合、労働基準監督署に提出する
(3)婚姻や離婚の無効の裁判の申立てのため、家庭裁判所に提出する
(4)戸籍の記載事項の訂正許可の裁判の申立てのため、家庭裁判所に提出する
(5)帰化申請の許可の申立てのため、法務局に提出する
(6)外国人との婚姻を本国政府に報告するため、大使館、領事館に提出する
(7)日本で出生した子どもについて本国にパスポート申請のため、大使館、領事館に提出する
(8)日本で出生した子どもについて本国にパスポート申請の前提として出生登録のため、大使館、領事館に提出する
企業年金の受取人であることは、特別な事由にあたりません。
③死亡届記載事項証明書の請求先
死亡届記載事項証明書の請求先は、市区町村役場か法務局のいずれかです。
死亡届は、死亡者の本籍地の市区町村役場に提出することができます。
死亡者の本籍地の市区町村役場は、1か月間その市区町村役場で保管します。
死亡届は、届出人の住所地や死亡地の市区町村役場に提出されることがあります。
死亡者の本籍地以外の市区町村役場は、1年間その市区町村役場で保管します。
市区町村役場で保管中であれば、死亡届を保管している市区町村役場に請求します。
市区町村役場の保管期間が経過した場合、法務局で保管されます。
法務局は、市区町村役場から送付を受けた年度の翌年から27年間保管しています。
法務局で保管中であれば、死亡届を保管している法務局に請求します。
④死亡届記載事項証明書請求の必要書類
死亡届記載事項証明書請求の必要書類は、次のとおりです。
(1)請求者の本人確認書類
(2)利害関係人であることが分かる戸籍謄本
(3)特別な事由があることが分かる書類
(4)委任状(代理人が請求する場合)
⑤死亡届記載事項証明書の発行手数料
市区町村役場に請求する場合、死亡届記載事項証明書の発行手数料が必要です。
法務局に請求する場合、死亡届記載事項証明書の発行手数料がかかりません。
⑥死亡届記載事項証明書は郵送請求ができる
死亡届記載事項証明書を請求する場合、窓口まで出向いて請求することもできるし、郵送で請求することもできます。
郵送請求をする場合、返信用の切手と封筒を同封しておくと、証明書を送り返してもらうことができます。
4コピーを忘れたら死亡診断書や埋火葬許可証で
市区町村役場で死亡届が受理されたら、返却されません。
死亡届は、原則として、非公開です。
死亡届記載事項証明書を請求できる人は、限られています。
死亡届記載事項証明書を請求できる人であっても特別な理由が認められない場合、発行してもらえません。
死亡届のコピーを忘れた場合、別の書類を提出することができるかもしれません。
手続先に問い合わせてみましょう。
多くの手続先は、死亡の確認がしたいだけでしょう。
死亡の事実を確認する方法は、複数あります。
医師に依頼して、死亡診断書を作成してもらうことができます。
埋火葬許可証や埋火葬許可証発行済証明書を用意できるでしょう。
死亡の記載がある住民票や戸籍謄本を取得できます。
死亡届のコピーを忘れても、手続ができなくなることはありません。
5遺産承継サポート(遺産整理業務)を司法書士に依頼するメリット
家族が死亡した場合、いちばん最初に行う手続が死亡届の提出です。
ここから、たくさんの相続手続が始まります。
多くの場合、大切な家族を失ったら大きな悲しみに包まれます。
悲しみに包まれていても、日常の家事や仕事をする必要があります。
そのうえ、たくさんの用事と相続手続が押し寄せてきます。
相続は一生の間に何回も経験するものではありません。
相続手続で使われる言葉の多くは法律用語です。
聞き慣れない言葉があふれています。
ほとんどの人にとって、相続手続は不慣れなものです。
大切な家族を亡くして、力を落としているでしょう。
相続手続をするのは、大きな負担になります。
事例によっては、家庭裁判所の助力が必要になる場合があります。
専門家のサポートがないと難しい手続があります。
司法書士は家庭裁判所に提出する書類作成の専門家です。
相続手続を丸ごと依頼することができます。
確実に相続手続をしたい方は司法書士などの専門家に遺産整理業務を依頼することをおすすめします。
検認済証明書の取得方法
1自筆証書遺言は検認手続が必要
①遺言書の種類
遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作るケースがほとんどです。
自筆証書遺言は、自分ひとりで書いて作った遺言書です。
自筆証書遺言を作成した後は、原則として、自分で保管します。
作成した自筆証書遺言を法務局に提出して、保管してもらうことができます。
公正証書遺言は、公証人が文書に取りまとめて作る遺言書です。
証人2人に確認してもらって作ります。
公正証書遺言を作成した後は、公正証書遺言原本は公証役場で保管されます。
②遺言書を見つけたら開封せずに家庭裁判所へ
相続が発生した後、遺言書を見つけることがあります。
生前、遺言者から遺言書を預かっておいて欲しいと依頼されるかもしれません。
自筆証書遺言を見つけた人や預かっている人は、家庭裁判所へ届け出る必要があります。
相続人であれば、遺言書の内容が気になるでしょう。
遺言書を勝手に開封することはできません。
開封せずに、家庭裁判所に提出します。
勝手に開封すると、ペナルティーになるおそれがあります。
封筒に入っていない遺言書であっても、検認は必要です。
封筒に入っているだけで封がされていない遺言書であっても、検認は必要です。
封筒の表書きに遺言書と書いてあれば、中身は遺言書であると気がつくことができます。
表書きに何も書いていない場合、気がつかずに開封してしまうことがあります。
誤って開封してしまったら、そのまま家庭裁判所へ提出します。
家庭裁判所で開封してもらうことを知らない相続人がいるでしょう。
うっかりと開封してしまっても、遺言書の有効無効に影響はありません。
検認前に開封しても、遺言書は無効になりません。
慌てて糊付けなどをすると、他の相続人から怪しまれます。
正直に打ち明けた方がいいでしょう。
遺言書を見つけたら開封せずに、家庭裁判所へ届け出る必要があります。
③自筆証書遺言保管制度利用なら検認不要
自筆証書遺言は、自分ひとりで書いて作った遺言書です。
作成した自筆証書遺言を法務局に提出して、保管してもらうことができます。
保管してもらった自筆証書遺言は、遺言者本人が申し出たときのみ返してもらうことができます。
遺言者本人が死亡したら、遺言書は返してもらうことができません。
自筆証書遺言を受け付けたら、法務局は厳重に保管します。
自筆証書遺言保管制度を利用した場合、検認手続は不要です。
④検認済証明書は検認を受けた証明書
検認済証明書は、家庭裁判所で検認を受けたことの証明書です。
自筆証書遺言を見つけた人や預かっている人は、家庭裁判所へ届け出る必要があります。
検認が必要なのに検認を受けないまま、遺言執行はできません。
不動産の名義変更をしようとしても、法務局が受け付けてくれません。
口座を解約しようとしても、銀行などの金融機関が受け付けてくれません。
検認済証明書は、検認手続が終わった後に家庭裁判所で発行してもらうことができます。
検認済証明書付き遺言書であれば、遺言執行をすることができます。
検認済証明書は、家庭裁判所で検認を受けたことの証明書です。
2検認済証明書の取得方法
①遺言書検認の申立て
自筆証書遺言を見つけた人や預かっている人は、家庭裁判所へ届け出る必要があります。
遺言書を届け出る手続を遺言書検認の申立てと言います。
遺言書の検認とは、家庭裁判所で遺言書の状態を確認してもらうことです。
遺言書が封筒に入っていて封がされている場合は、このとき裁判所で開封してもらいます。
申立先は、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで調べることができます。
遺言書検認の申立書に添付する書類は、次のとおりです。
(1)申立人の戸籍謄本
(2)申立人の住民票
(3)遺言者の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
(4)遺言者の住民票の除票
(5)相続人の戸籍謄本
(6)相続人の住民票
(7)収入印紙
(8)家庭裁判所が手続きで使う郵便切手 裁判所によって異なります
事案によっては追加で書類が必要ですと言われることがあります。
②検認期日に出席
遺言書検認の申立てを受け取った家庭裁判所は、相続人全員を家庭裁判所に呼出します。
相続人全員に遺言書があることを知らせて、立会いをしてもらうためです。
遺言書は、相続人に立会いをしてもらって開封します。
遺言書検認の申立人は、検認期日に出席をしなければなりません。
申立人が検認期日に遺言書を持って行く必要があるからです。
申立人以外の相続人は、家庭裁判所からの呼び出しがあっても欠席しても差し支えありません。
検認期日に欠席した場合、受け取れるはずの財産を受け取れなくなることはありません。
検認期日に出席した場合、後から相続放棄をすることができます。
検認期日では、遺言書を開封して遺言書の形状や内容を確認します。
家庭裁判所は、検認期日で確認した内容を検認調書に取りまとめます。
検認調書を見ると、検認期日の遺言書の形状や内容が明らかになります。
検認期日以降に遺言書の改ざんや変造があった場合、検認調書と照らし合わせると分かります。
検認調書があるから、改ざんや変造を防止することができます。
検認手続は、改ざんや変造を防止してトラブルを減らすために行います。
③検認済証明書の発行申請
遺言書の検認が終了すると、検認済証明書が発行されます。
検認済証明書の発行には、申請が必要です。
手数料は、150円です。
手数料は、収入印紙を貼り付けて納入します。
収入印紙は、貼り付けるだけで消印は押しません。
遺言書と遺言書が入っていた封筒と証明書が合綴し、裁判所の契印がされて返されます。
検認済証明書が付いた遺言書であれば、遺言執行をすることができます。
法務局も金融機関も、検認済証明書が付いた遺言書であれば相続手続をすることができます。
3検認手続で遺言書の有効無効を判断しない
①検認手続で遺言書の形状・内容を確認する
遺言書の検認手続では、遺言書の形状や内容を確認します。
遺言書の有効無効を確認する手続ではありません。
検認済証明書は、家庭裁判所で検認を受けたことの証明書です。
検認済証明書は、遺言書が有効であることを証明する書類ではありません。
検認手続では、遺言書の有効無効を確認しないからです。
検認期日には、相続人に立会いをしてもらいます。
立会いをした相続人に遺言書の筆跡や印鑑を見てもらいます。
「遺言者の筆跡・印鑑に間違いありません」
「遺言者の筆跡・印鑑であるか分かりません」
「遺言者の筆跡・印鑑ではありません」
立会いをした相続人の述べた内容は、検認調書に記録されます。
検認調書に、記録されるだけです。
立会いをした相続人の陳述内容で遺言書の有効無効が決められることはありません。
検認手続は、遺言書の形状・内容を確認する手続だからです。
検認手続は、改ざんや変造を防止してトラブルを減らすために行うからです。
検認手続では、遺言書の有効無効を判断しません。
②検認しても無効の遺言書は無効のまま
遺言書検認の申立てを受け取った家庭裁判所は、相続人全員を家庭裁判所に呼出します。
検認期日に、相続人に立会いをしてもらって遺言書を開封します。
封筒に入っていた遺言書が無効の遺言書であることがあります。
遺言書には、厳格な書き方ルールがあるからです。
手書きされていない遺言書、日付がない遺言書、記名がない遺言書、押印がない遺言書は、どれも無効の遺言書です。
封筒に入っていた遺言書が無効の遺言書であっても、検認をします。
検認手続をしないと、改ざん変造を防止できないからです。
検認手続は、遺言書の形状・内容を確認する手続です。
無効の遺言書であっても、検認が終われば検認済証明書は発行されます。
検認済証明書は、家庭裁判所で検認を受けたことの証明書だからです。
検認済証明書が発行されても、遺言書が有効であることが証明されたわけではありません。
検認手続は、遺言書の有効無効を判断する手続ではないからです。
無効の遺言書は、検認手続をしても無効の遺言書です。
検認手続をしても、書き方ルールの違反は治癒されないからです。
検認しても無効の遺言書は、無効のままです。
③遺言書の効力は裁判で争う
検認手続は、遺言書の形状・内容を確認する手続です。
検認手続は、遺言書の有効無効を判断する手続ではありません。
検認がされた後の遺言書について、有効無効の争いになることがあります。
検認期日に出席しても、遺言書の有効無効を争うことができます。
検認期日に欠席しても、遺言書の有効無効を争うことができます。
検認期日に出席しても欠席しても、不利な取り扱いを受けることがないからです。
遺言書の有効無効は、最終的には裁判で決着をつけることになります。
4検認済証明書付き遺言書を紛失したら
遺言書の検認が終了すると、遺言書と遺言書が入っていた封筒と証明書が合綴されて返されます。
遺言執行をする場合、合綴された自筆証書遺言を相続手続先に提出します。
相続手続先がたくさんある場合、書類を紛失してしまうことや盗難にあうことがあります。
家庭裁判所は、検認期日で確認した内容を検認調書に取りまとめています。
検認調書は、申請すれば謄本を発行してもらうことができます。
検認調書には、検認をした遺言書のコピーが保管されています。
検認調書の謄本で、相続手続を進めます。
5遺言書検認の申立てを司法書士に依頼するメリット
自筆証書遺言や秘密証書遺言を預かっている人や見つけた人は、家庭裁判所に届け出る必要があります。
遺言書を隠したり捨てたりすると、相続人になることができません。
他の相続人から疑いをかけられてトラブルになるのを避けるためにも、すみやかに家庭裁判所に検認の申立てをしましょう。
申立てのためには、たくさんの書類が必要になります。
仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続を丸ごとおまかせできます。
家族にお世話が必要な方がいて、側を離れられない方からのご相談もお受けしております。
裁判所に提出する書類を作成できるのは、弁護士と司法書士のみです。
弁護士と司法書士でない人は作成代行はできませんから、充分注意しましょう。
遺言書の検認を司法書士に依頼した場合、遺言書検認申立書の作成だけでなく、家庭裁判所への提出もおまかせいただけます。
遺言書を預かっている方や見つけた方はトラブルになる前に、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
遺言書は検認しなくても無効にならない
1自筆証書遺言は家庭裁判所で開封
①遺言書の種類
遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作るケースがほとんどです。
自筆証書遺言は、自分ひとりで書いて作った遺言書です。
自筆証書遺言を作成した後は、原則として、自分で保管します。
作成した自筆証書遺言を法務局に提出して、保管してもらうことができます。
公正証書遺言は、公証人が文書に取りまとめて作る遺言書です。
証人2人に確認してもらって作ります。
公正証書遺言を作成した後は、公正証書遺言原本は公証役場で保管されます。
②自筆証書遺言を見つけたら家庭裁判所で検認
相続が発生した後、遺言書を見つけることがあります。
遺言者の生前に遺言書を預かっておいて欲しいと依頼されるかもしれません。
自筆証書遺言を見つけた人や預かっている人は、家庭裁判所へ届け出る必要があります。
遺言書を届け出る手続を遺言書検認の申立てと言います。
自筆証書遺言を見つけたら、家庭裁判所で検認手続をします。
③検認前に開封するとペナルティー
相続人であれば、遺言書の内容が気になるかもしれません。
封がされている遺言書は、検認期日に家庭裁判所で開封してもらいます。
勝手に開封すると、ペナルティーになるおそれがあります。
封筒に入っていない遺言書であっても、検認は必要です。
封筒に入っているだけで封がされていない遺言書であっても、検認は必要です。
封筒の表書きに遺言書と書いてあれば、中身は遺言書であると気がつくことができます。
表書きに何も書いていない場合、気がつかずに開封してしまうことがあります。
誤って開封してしまったら、そのまま家庭裁判所へ提出します。
元に戻そうとして糊付けなどをすると、かえって他の相続人から怪しまれます。
正直に打ち明けた方がいいでしょう。
検認前に開封すると、ペナルティーになるおそれがあります。
④検認では形状・内容を確認する
遺言書検認の申立てを受け付けたら、家庭裁判所は相続人全員を家庭裁判所に呼び出します。
相続人に立会いをしてもらって、遺言書を開封します。
遺言書を開封した後、遺言書の形状、加除の状態、日付や署名を確認します。
確認した内容は、調書に取りまとめます。
調書を見れば、検認期日時点の遺言書の形状・内容が分かります。
検認期日以降に改ざんや変造をした場合、調書と照らし合わせることで分かってしまいます。
検認期日以降、改ざんや変造を防止することができます。
検認手続は、遺言書の改ざんや変造を防止するための手続です。
検認手続では、遺言書の形状・内容を確認します。
⑤公正証書遺言は検認不要
公正証書遺言を作成した後は、公証役場で厳重に保管されます。
公正証書遺言原本は公証役場で大切に保管されているから、改ざんや変造はあり得ません。
検認手続は、遺言書の改ざんや変造を防止するための手続です。
公正証書遺言は、改ざんや変造を防止するための手続は不要です。
公正証書遺言は、検認不要です。
⑥法務局保管の自筆証書遺言は検認不要
自筆証書遺言を作成した後に法務局に提出して、保管してもらうことができます。
自筆証書遺言の提出を受け付けたら、法務局は厳重に保管します。
提出された自筆証書遺言は法務局で大切に保管されているから、改ざんや変造はあり得ません。
検認手続は、遺言書の改ざんや変造を防止するための手続です。
法務局保管の自筆証書遺言は、改ざんや変造を防止するための手続は不要です。
法務局保管の自筆証書遺言は、検認不要です。
2遺言書は検認しなくても無効にならない
①検認前に開封しても無効にならない
封がされている遺言書は、検認期日に家庭裁判所で開封してもらいます。
勝手に開封すると、ペナルティーになるおそれがあります。
勝手に開封しても、遺言書が無効になることはありません。
遺言書であることに気づかず、開封してしまうことがあります。
家庭裁判所で開封してもらうルールがあることを知らないかもしれません。
うっかり開封してしまっても、遺言書の有効無効に影響はありません。
検認前に開封しても、遺言書は無効になりません。
②検認期日に欠席しても相続できる
遺言書検認の申立てを受け付けたら、家庭裁判所は相続人全員を家庭裁判所に呼び出します。
遺言書があることを知らせて、検認期日に立会いをしてもらうためです。
家庭裁判所に呼び出されても、欠席しても差し支えありません。
遺言書検認の申立てをした人は、検認期日に出席しなければなりません。
遺言書検認の申立てをした人は、検認期日に遺言書を持って行かなければならないからです。
検認期日に欠席しても、遺言書が無効になることはありません。
検認期日に欠席しても、相続人でなくなることもありません。
検認手続は、遺言書の改ざんや変造を防止するための手続だからです。
検認期日に欠席しても、相続することができます。
③検認しないと相続人間でトラブルのおそれ
自筆証書遺言を見つけた人や預かっている人は、遅滞なく家庭裁判所へ届け出る必要があります。
遺言書検認の申立てには、厳格な期限があるわけではありません。
遅くなり過ぎない程度であれば、問題にならないでしょう。
相続が発生すると、家族は忙しくなります。
日常の仕事や家事に加えて、たくさんの相続手続をしなければならなくなるからです。
裁判所に対する手続は、よく分からないことが多いでしょう。
よく分からないから、先延ばししがちになります。
単に、忙しい、分からないと思って先延ばししているだけなのに、他の相続人にはそう見えないことがあります。
他の相続人からは、遺言書を隠匿しているように見えることがあるからです
不当な利益を得る目的で遺言書を隠匿した場合、相続欠格になります。
相続欠格は、相続人にふさわしくない人の相続権を奪うことです。
欠格になると相続できなくなるし、遺留分も失われます。
遺言書を隠匿した場合、刑事責任を問われることがあります。
遺言書は、権利義務に関する書面です。
権利義務に関する書面を隠匿した場合、私用文書毀棄罪に問われます。
私用文書毀棄罪は、懲役刑のみが定められている重い犯罪です。
検認しないと、相続人間でトラブルになるおそれがあります。
④検認手続で遺言書の有効無効を判断しない
検認手続は、遺言書の改ざんや変造を防止するための手続です。
検認手続は、遺言書の有効無効を確認する手続ではありません。
検認手続と遺言書の効力には、何の関係もありません。
検認手続をしても、無効の遺言書は無効です。
検認手続をしなくても、有効の遺言書は有効です。
無効の遺言書は、検認手続をしても有効になりません。
有効の遺言書は、検認手続をしなくても無効になりません。
検認手続をした後に、遺言書は無効であると争うことができます。
検認期日に欠席した相続人が遺言書は無効であると争うことができます。
検認手続と遺言書の効力には、何の関係もないからです。
検認手続では、遺言書の有効無効を判断されません。
3検認をしないと相続手続ができない
①相続手続先に受付をしてもらえない
検認手続と遺言書の効力には、何の関係もありません。
検認手続は、遺言書の改ざんや変造を防止するための手続だからです。
検認手続をしなくても、有効の遺言書は有効です。
検認手続が必要なのに検認をしていない場合、遺言書を使って相続手続をすることはできません。
相続手続先に、受付をしてもらえないからです。
不動産について相続登記をする場合、法務局が認めてくれません。
預貯金について解約手続をする場合、金融機関が認めてくれません。
検認をしないと、相続手続先に受付をしてもらえません。
②検認証明書は申請が必要
遺言書の検認手続が終わった場合、家庭裁判所で検認証明書を発行してもらうことができます。
遺言執行をする場合、検認証明書が必要になります。
検認証明書を発行してもらうためには、申請が必要です。
検認証明書の手数料は、150円です。
収入印紙を申請書に貼付して納入します。
収入印紙は、貼り付けるだけで消印をしません。
裁判所の人が消印をするからです。
検認証明書は、申請が必要です。
4遺言書の検認をしても遺産分割協議
遺言書は、遺言者の意思を示すものです。
被相続人の財産は、原則として、被相続人の意思が最大限尊重されるべきものでしょう。
相続人としても、被相続人の意思を尊重し、遺言書の内容を実現させてあげたいと思うでしょう。
ときには遺言書の内容があまりに偏ったものであることがあります。
偏った内容の遺言書をそのまま執行すると、大きなトラブルになるおそれがあります。
トラブルになるおそれがある遺言書をわざわざ執行して、相続人間でトラブルにする必要はありません。
相続財産の分け方について、相続人全員で話し合いをして決定した方が合理的でしょう。
相続人全員の合意で、遺産分割協議をすることができます。
遺言書の検認をした後であっても、相続人全員で遺産分割協議をすることができます。
5遺言書検認の申立てを司法書士に依頼するメリット
自筆証書遺言や秘密証書遺言を預かっている人や見つけた人は家庭裁判所に届け出る必要があります。
遺言書を隠したり捨てたりすると、相続人になることができません。
他の相続人から疑いをかけられてトラブルになるのを避けるためにも、すみやかに家庭裁判所に検認の申立てをしましょう。
遺言書検認の申立てを提出するためには、たくさんの書類が必要になります。
仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続を丸ごとおまかせできます。
家族にお世話が必要な方がいて、側を離れられない方からのご相談もお受けしております。
裁判所に提出する書類を作成できるのは、弁護士と司法書士のみです。
弁護士と司法書士でない人は作成代行はできませんから、充分注意しましょう。
遺言書の検認を司法書士に依頼した場合、遺言書検認申立書の作成だけでなく、家庭裁判所への提出もおまかせいただけます。
遺言書を預かっている方や見つけた方はトラブルになる前に、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
尊厳死宣言公正証書で延命治療拒否の意思表示
1尊厳死と安楽死のちがい
高齢化社会が到来して、多くの方は長生きになりました。
現代の医学の発展により、身体状況を管理して、少なからぬ期間の生命維持ができるようになりました。
このような延命治療は苦痛を伴うことが多いです。
大きな苦痛を伴いながら、回復の見込みのない状態で治療を受け続けることは、人間としての尊厳を保てないとも考えられます。
不知の病で回復の見込みのない状態になったとき、過剰な延命治療を避け尊厳を持って自然な死を受け入れることを望む人が増えています。
回復の見込みのない状態になったとき、過剰な延命措置を行わず尊厳を持って自然な死を迎えることを、尊厳死と言います。
本人の自己決定権を尊重すべきという考えの人は、尊厳死を認める考えになりやすいです。
延命治療をしないことは、医療の放棄であるという考えの人は、尊厳死を認めない考えになりやすいです。
どちらも正しく、どちらも間違いではありません。
法律上は、尊厳死を認めると直接定めたものはありません。
日本医師会や学会などは、尊厳死を認める意見です。
苦痛から解放されるために、医師などが薬物などを積極的に使って死を迎える安楽死とは別物です。
尊厳死は、過度な治療を行わないことで、自然な死を迎えるものです。
2尊厳死宣言書を公正証書にするメリット
尊厳死宣言とは、回復の見込みのない状態になったとき、過剰な延命措置を行わず尊厳を持って自然な死を迎える意思を示した文書です。
尊厳を持って自然な死を迎える意思を持っていたとしても、医師や家族に伝えていないと意思はかなえられません。
自力で意思表示ができなくなってからでは、尊厳死の希望はかなえられないのです。
法律上は、尊厳死を認めると直接定めたものはありません。
公正証書でなければならないといったルールがあるわけではありません。
公正証書は、公証人に尊厳死を希望していることを伝えて、公証人が作る公的な書類です。
公証人は、身分証明書などで本人確認をしたうえで、本人の意思を確認して、公正証書を作ります。
本人は尊厳死を希望していなかったのではないかなどとトラブルになることがありません。
尊厳死宣言書原本は、公証役場で保管されます。
尊厳死宣言書が偽造ではないかなどといったトラブルとも無縁です。
公証人の作る公正証書は、極めて信頼性が高いものとされています。
公正証書でない尊厳死宣言書の場合、本人の意思であるのかはっきりしていないという疑いが残ります。
本人の意思であるのかはっきりしていないと、医師は慎重な判断をすることになるでしょう。
何より、公正証書にすることは本人の強い意志を感じさせます。
医師は本人の意思であると信頼するからこそ、尊厳死を実現させてくれます。
実際、95%以上の医師が尊厳死宣言の提出があったら、本人の意思を尊重すると答えています。
尊厳死宣言書に強制力はありませんが、高い確率で尊厳死が実現すると言えます。
3尊厳死宣言書の内容
①尊厳死を希望する意思
法律上は、尊厳死を認めると直接定めたものはありません。
だから、記載内容についてもルールがあるわけではありません。
遺言書と同様に、後日トラブルにならないようにするために作成しておくものです。
おおむね、次のような内容を書きます。
過剰な延命措置をしないで、自然な死を迎えることを希望するという内容です。
死が差し迫ったとき、苦痛を和らげて欲しいこと、安らかに最期を迎えることを希望することを表明します。
尊厳死宣言書の核心で、最も重要な点です。
しないで欲しい具体的な治療内容や治療を中止する条件も、書いておきます。
急に心肺停止状態になったとき、蘇生措置を希望するのか、口から食事がとれなくなったら、どうするのかなど具体的に記載します。
②尊厳死を望む理由
尊厳死を望む理由を書くと、尊厳死を希望することの説得力が増します。
例えば、親族が延命治療を受けたとき、本人にとっても家族にとっても医師にとっても苛酷と思えたからなどです。
③家族の同意
尊厳死を望むのであれば、このことを家族に伝え、家族に理解してもらう必要があります。
95%以上の医師が尊厳死宣言の提出があったら、本人の意思を尊重すると答えています。
事前に家族が何も聞かされていなかったら、気持ちが動揺して延命治療を望むでしょう。
本人が強く尊厳死を望んでも、家族が延命治療の継続を望んだら、医師は無視できません。
家族とのトラブルをおそれて、医療関係者は延命治療を続けるでしょう。
尊厳死宣言書に連名で署名してもらうことは有効です。
尊厳死宣言書作成に家族も同席し、家族の同意書と印鑑証明書を添付してもいいでしょう。
最終的に決めるのは、家族と医療関係者です。
④医師に対する免責
尊厳死の実現に尽力してくれた医師らに法的な責任を問われないようにする内容です。
刑事責任については、警察や検察関係者が判断することですが、最大の配慮を求める内容を書いておきましょう。
賠償責任も問わないことを明示します。
⑤尊厳死宣言書の効力
尊厳死宣言書は本人が元気なときに、作ったものであることを書きます。
本人自ら撤回しない限り有効であることを明らかにします。
5尊厳死宣言は遺言書に書いても意味がない
尊厳死宣言も、遺言書も、いわゆる終活で話題にのぼります。
尊厳死宣言は遺言書に書いておけばよいと考える方もいます。
尊厳死宣言書と遺言書は性質の違うものです。
遺言書に尊厳死宣言を書くことは、おすすめできません。
遺言書は被相続人が死亡した後、効力が発生します。
相続が発生した後、遺言書の内容を確認することになるでしょう。
自筆証書遺言であれば、相続発生後、家庭裁判所で開封してもらいます。
家族が遺言書の内容を知っていたとしても、通常は他の家族に内容を秘密にしておくでしょう。
遺言書を見て、尊厳死宣言がされていると気づいても、遅いのです。
延命治療をしないで欲しいという意思表示は、生きているうちに医師に伝わる必要があります。
遺言書の内容を医師ら医療関係者が確認するのも現実的ではありません。
遺言の内容は、法律関係のことだからです。
遺言書に書いて有効になることは、詳細に決められています。
遺言に書いて有効になることの中にも、尊厳死宣言はありません。
6尊厳死宣言を司法書士に依頼するメリット
生前対策=相続「税」対策の誤解から、生前対策をする人はあまり多くありません。
争族対策として有効な遺言書ですら、死亡者全体からみると10%未満です。
尊厳死宣言は人間としての尊厳を維持したいという希望を文書にしたものです。
元気だった時の姿を知っている家族は、ベッドに横たわるだけの姿を見ると動揺します。
回復の見込みのない状態だと分かっていても、大きな苦痛を伴うことを知っていても、どうするかを判断したくない気持ちになるでしょう。
何も判断したくない、判断を先延ばししたいという気持ちから、延命措置が続けられます。
延命措置が続けられれば、苦痛も続きます。
延命措置が続く間、本人も苦痛が続き、見ている家族も苦痛が続くのです。
家族は、後々になっても、本人を苦しめてしまったのではないかと後悔するのです。
尊厳死宣言は、自己決定権を尊重するものです。
自分がどのような治療や措置を受けたいのか、どのような治療や措置を受けたくないのか、どのような最期を迎えたいのか意思を示すものです。
家族は、本人の意思をかなえてあげることができると救われます。
自分自身のためにも、大切な家族のためにも、意思を示してあげましょう。
大切な家族に面倒をかけないために尊厳死宣言書を作成したい方は、すぐに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
自筆証書遺言書の検認期日に欠席
1遺言書の検認とは
自筆証書遺言や秘密証書遺言を預かっている人や見つけた人は家庭裁判所に届け出る必要があります。
この届出のことを検認の申立てといいます。
遺言書の検認とは、家庭裁判所で遺言書の状態を確認してもらうことです。
遺言書が封筒に入っていて、封がされていることがあります。
封印がしてある遺言書は開封したくなるかもしれませんが、開封してはいけません。
裁判所で、開封してもらいます。
勝手に開封すると、5万円以下のペナルティーになるおそれがあります。
検認は、遺言書の状態や形、書き直しや訂正箇所、日付や署名がどうなっているか裁判所が確認する手続です。
裁判所で遺言書の状態が記録されるから、偽造や変造をすると分かってしまいます。
検認手続は、遺言書の偽造や変造を予防するための手続です。
勝手に開封すると、他の相続人から変造したのではないかなどと言いがかりをつけられるおそれがあります。
トラブルに巻き込まれないようにするため、遺言書の開封は家庭裁判所におまかせしましょう。
うっかり開封してしまっても、遺言書が無効になることはありません。
開封してしまった後、ごまかそうとして、糊付けをしたり余計な小細工をしてはいけません。
そのまま、裁判所に提出しましょう。
ごまかしが明るみに出ると、それこそ他の相続人は開封した人に強い不信感を持ちます。
大きなトラブルに発展してしまうおそれがあります。
正直に事情を説明して、理解を得るようにした方がいいでしょう。
封がしていない遺言書も封筒に入っていない遺言書も、検認は必要です。
相続人全員で検認はしなくていいなどと合意しても、意味がない合意です。
2検認が必要な遺言書とは
①遺言書の種類
遺言書の種類は、民法という法律で決められています。
大きく分けて、普通方式の遺言と特別方式の遺言とあります。
普通方式の遺言は、次の3つです。
(1)自筆証書遺言
(2)公正証書遺言
(3)秘密証書遺言
特別方式の遺言は、次の4つです。
(1)死亡の危急に迫った者の遺言
(2)伝染病隔離者の遺言
(3)在船者の遺言
(4)船舶遭難者の遺言
特別方式の遺言は、ごく稀な遺言です。
生命の危機に迫っている人や航海中など交通できない人が作る特別の遺言だからです。
多くの方にとって遺言というと、普通方式の遺言です。
なかでも①自筆証書遺言②公正証書遺言のいずれかを作成される方がほとんどです。
②自筆証書遺言とは
自筆証書遺言は、遺言者が自分で書いて作った遺言書のことです。
専門家の手を借りることなく手軽に作ることができます。
世の中の大半の遺言書は、自筆証書遺言です。
封筒に入れなければならないといった決まりもありません。
筆記用具や紙に、制約はありません。
書き換えられるおそれが大きいのでおすすめはできませんが、鉛筆で書いても有効です。
ひとりで作ることができるので、作るだけであれば、費用はかかりません。
③法務局保管の自筆証書遺言は検認手続不要
自分で手書きして作った遺言書は、自分で保管するのが原則です。
希望すれば、法務局で預かっておいてもらうことができます。
これが自筆証書遺言保管制度です。
自筆証書遺言は、だれかの手を借りることなく手軽に作ることができます。
遺言書は、大切なものです。
通常は、簡単に人目にさらすようなことはしません。
簡単に人目にさらすことはしませんから、本人が紛失することがあります。
遺言書の保管場所を家族が共有していない場合、遺言書を見つけられなくなるリスクがあります。
自筆証書遺言を家族などが保管する場合、保管している人が廃棄・隠匿・改ざんするリスクがあります。
法務局が保管しているから、廃棄・隠匿・改ざんの心配がなくなります。
法務局は、預かった自筆証書遺言書を厳重に保管しています。
相続人が遺言書原本を受け取ることはできません。
遺言者が預けた遺言書の内容は、遺言書情報証明書で確認することができます。
遺言書情報証明書は、法務局が預かっている自筆証書遺言の内容を証明した書類です。
相続人は遺言書原本を手にすることがないから、偽造や変造はできません。
公正証書遺言は、わざわざ家庭裁判所で検認手続をしてもらう必要がありません。
④公正証書遺言は検認手続不要
公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。
遺言者が公証人に遺言内容を伝えて、証人2人に確認してもらって作ります。
原則として、公証役場に出向く必要があります。
公正証書遺言の原本は、公証役場で厳重に保管されます。
公正証書遺言を作成した場合、渡されるのは正本と謄本です。
遺言書の正本や謄本を偽造しても変造しても、意味はありません。
公正証書遺言の原本が公証役場で厳重に保管されているからです。
相続人などが手にする書面は、原本ではなく正本や謄本です。
公正証書遺言書原本は、公証役場で厳重に保管されているから偽造や変造はできません。
公正証書遺言は、わざわざ家庭裁判所で検認手続をしてもらう必要がありません。
⑤法務局保管でない自筆証書遺言書は検認が必要
検認は、遺言書の状態や形を裁判所が確認して偽造や変造を防止する手続です。
公正証書遺言原本は、公証役場に厳重に保管されています。
法務局保管の自筆証書遺言書は、法務局で厳重に保管されています。
公正証書遺言も法務局保管の自筆証書遺言書も厳重に保管されているから、偽造や変造はできません。
家庭裁判所が検認手続をして、偽造や変造を防止する必要がありません。
法務局保管でない自筆証書遺言書は、検認手続が必要になります。
3検認しても検認しなくても遺言書の効力は変わらない
①家庭裁判所に自筆証書遺言書検認の申立て
自筆証書遺言や秘密証書遺言を預かっている人や見つけた人は、裁判所で検認をしてもらう必要があります。
家庭裁判所は申立てを受け取った後、検認期日を決定します。
相続人全員に対して遺言書が見つかったので検認をしますよというお知らせを出します。
②検認は遺言書の有効無効を判断する手続ではない
検認は、遺言書の状態や形、書き直しや訂正箇所、日付や署名がどうなっているか裁判所が確認する手続です。
封印がしてある遺言書は、検認期日で開封してもらいます。
遺言書の状態や形を確認するだけで、遺言書の有効無効を決める手続ではありません。
検認手続をしても、無効の遺言書が有効になることはありません。
無効の遺言書は、検認手続をしても無効の遺言書です。
③検認をしていないと相続手続ができない
検認手続は、遺言書の有効無効を決める手続ではありません。
遺言書の有効無効と検認手続は、無関係です。
相続手続をする場合、検認が必要な遺言書は検認済証明書が必要になります。
検認済証明書がない場合、相続手続先が相続手続を受け付けてくれません。
4検認期日に欠席してもいい
①自筆証書遺言書検認の申立人は必ず出席
遺言書検認の申立てを受け取った場合、家庭裁判所は検認しますよと相続人全員を呼び出します。
遺言書検認の申立てをする場合、遺言書原本は提出しません。
家庭裁判所が呼出した日に持っていって、検認をしてもらいます。
検認期日は、申立人が遺言書原本を持っていく日です。
申立人は必ず出席して、遺言書原本を持っていく必要があります。
申立人は欠席するわけにいかないから、家庭裁判所がスケジュール調整をしてくれます。
②検認期日に欠席しても不利益はない
申立人以外の人は、遺言書の検認の立会いをするだけです。
仕事や家事で忙しい場合、欠席しても構いません。
検認期日に欠席した場合に、ペナルティーなどの不利益を受けことはありません。
検認しても検認しなくても、遺言書の効力は変わりません。
検認期日に出席しても欠席しても、相続人の権利に影響はありません。
検認期日に出席しても欠席しても、受け取る財産に変わりはありません。
検認期日に出席しても欠席しても、遺言書の有効無効を主張することができます。
5検認の申立てを司法書士に依頼するメリット
自筆証書遺言や秘密証書遺言を預かっている人や見つけた人は家庭裁判所に届け出る必要があります。
遺言書を隠したり捨てたりすると、相続人になることができません。
このような疑いをかけられてトラブルになるのを避けるためにも、すみやかに家庭裁判所に検認の申立てをしましょう。
申立てのためには、たくさんの書類が必要になります。
仕事や家事で忙しい人や高齢、療養中などで手続が難しい人は、手続を丸ごとお任せすることができます。
家族にお世話が必要な人がいて、お側を離れられない人からのご相談もお受けしております。
裁判所に提出する書類を作成できるのは、弁護士と司法書士のみです。
弁護士と司法書士でない人は作成代行はできませんから、充分注意しましょう。
遺言書の検認を司法書士に依頼した場合、遺言書検認申立書の作成だけでなく、家庭裁判所への提出もおまかせいただけます。
遺言書を預かっている方や見つけた方はトラブルになる前に、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
家庭裁判所に収入印紙800円
1家庭裁判所の手数料は収入印紙で納入
①申立書に収入印紙800円貼付
家庭裁判所に申立てを提出する場合、手数料を納入します。
手数料は、現金で納入することはできません。
申立書に収入印紙を貼り付けて、納入します。
収入印紙を貼り付けるのは、申立書の右上部です。
収入印紙貼り付け位置に、800円分の収入印紙を貼り付けます。
②額面800円の収入印紙はない
家庭裁判所に納入する手数料が800円であっても、額面800円の収入印紙は存在しません。
例えば、次のように複数の収入印紙を組み合わせます。
・額面400円の収入印紙を2枚
・額面600円の収入印紙1枚と額面200円の収入印紙1枚
・額面200円の収入印紙4枚
申立書の収入印紙貼り付け位置は、大きなスペースではありません。
たくさんの収入印紙を貼り付けるのは、難しいでしょう。
多くても4枚程度で準備するのが、おすすめです。
2収入印紙を購入できるところ
①郵便局の郵便窓口
郵便局の郵便窓口で、収入印紙を購入することができます。
大きな郵便局には、ゆうゆう窓口が設置されています。
ゆうゆう窓口も、収入印紙を取り扱っています。
ゆうゆう窓口であれば、24時間利用可能です。
好きなときにいつでも、収入印紙を購入することができます。
郵便局の郵便窓口では、クレジットカードや電子マネーを使うことができます。
クレジットカードで、収入印紙を購入することはできません。
②コンビニエンスストア
コンビニエンスストアは、いたるところにあり24時間営業しています。
昼間に時間が取れない人にとって、コンビニエンスストアで購入できるのは便利です。
コンビニエンスストアでは、収入印紙を取り扱っていないことがあります。
取り扱っていても、主に200円印紙のみの取り扱いです。
収入印紙を4枚貼り付けることになります。
手間がかかりますが、貼り付けてあれば差し支えありません。
コンビニエンスストアによっては、電子マネーで支払いをすることができます。
③法務局の印紙売りさばき窓口
法務局の印紙売りさばき窓口で収入印紙を購入することができます。
法務局の業務時間中のみ購入することができます。
④名古屋家庭裁判所では売っていない
家庭裁判所に申立てを提出する場合、窓口に持参することができます。
申立書を自分で作成した場合、窓口で確認してもらえると安心でしょう。
名古屋家庭裁判所に申立書を持参する場合、収入印紙は裁判所で販売していません。
名古屋家庭裁判所の窓口に持参する場合、あらかじめ収入印紙を準備しておく必要があります。
⑤専門家に依頼したら準備してもらえる
家庭裁判所に提出する書類は、自分で作成することが難しいかもしれません。
裁判所に提出する書類作成は、司法書士や弁護士に依頼することができます。
司法書士や弁護士などの専門家に依頼する場合、収入印紙は専門家が準備してくれます。
3家庭裁判所に収入印紙を提出するときの注意点
①収入印紙に消印をしない
申立書を家庭裁判所に提出するときに、収入印紙800円を貼り付けます。
収入印紙800円は、申立ての手数料です。
手数料を受け取った裁判所が、収入印紙に消印を押します。
申立てをする人は、消印を押しません。
一般的に、領収書や契約書などに収入印紙を貼り付けます。
領収書や契約書などに収入印紙を貼り付けるのは、印紙税の課税文書だからです。
収入印紙を貼って消印をすることで、印紙税を納入します。
申立書は、印紙税の課税文書ではありません。
手数料の納入のために収入印紙800円を貼り付けています。
手数料の納入のためだから、申立てをする人は消印を押しません。
②登記嘱託用収入印紙は貼り付けない
家庭裁判所の手続では、手数料以外に収入印紙が必要になることがあります。
例えば、成年後見開始の申立てをする場合、手数料は800円です。
手数料以外に、収入印紙2600円分を提出します。
収入印紙2600円分は、登記嘱託用です。
成年後見制度を利用している場合、後見登記がされます。
後見開始の審判が確定した場合、裁判所書記官が後見登記を嘱託します。
収入印紙2600円分は、登記嘱託をするとき使う費用です。
成年後見開始の申立書に、貼り付けると裁判所の人が困ります。
登記嘱託用収入印紙は、小袋に入れて提出します。
4収入印紙800円が必要になる主な申立て
①相続放棄の申述
相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。
相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する申立てをします。
申立先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
相続放棄の申述をする場合、手数料を納めます。
手数料は、800円です。
被相続人が莫大な借金を抱えていた場合、相続人全員が相続放棄を望むでしょう。
相続放棄は、各相続人が自分で手続する必要があります。
相続放棄の手数料は、相続人1人あたり800円です。
手数料は、収入印紙を申立書に貼り付けて納入します。
②相続放棄の期間の伸長の申立て
相続放棄を希望する場合、期限があります。
相続があったことを知ってから、3か月以内です。
「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。
相続が発生してから長期間経過してから、自分が相続人であることを知ることがあります。
自分が相続人であることを知ってから3か月以内であれば、相続放棄をすることができます。
相続を単純承認すべきか相続放棄をすべきか判断する3か月の期間を熟慮期間と言います。
被相続人の財産状況が分からない場合、相続を単純承認すべきか相続放棄をすべきか判断できないことがあります。
例えば、借金を何度もしていて返済が終わっているのか返済中であるのか不明であるケースです。
債権者に問い合わせても、即答できないでしょう。
取引状況を即答できない債権者がたくさんいると、3か月以内に判断できません。
熟慮期間内に判断できない場合、相続人は相続放棄の期間の伸長の申立てをすることができます。
相続放棄の期間の伸長の申立てが認められた場合、原則として、さらに3か月伸長されます。
相続放棄の期間の伸長の申立てをする場合、手数料を納めます。
手数料は、800円です。
相続放棄の期間の伸長の申立ては、各相続人が自分で手続する必要があります。
相続放棄の期間の伸長は、相続人ごとに判断されます。
相続放棄の期間の伸長の申立ての手数料は、相続人1人あたり800円です。
手数料は、収入印紙を申立書に貼り付けて納入します。
③相続財産清算人選任の申立て
家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。
被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。
子どもが相続放棄をした場合、子どもは相続人でなくなります。
子ども全員が相続放棄をした場合、子どもがいない場合になります。
被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。
相続人になる人は、法律で決まっています。
相続人全員が相続放棄をすることができます。
相続人全員が相続放棄をした場合、相続人がいなくなります。
相続人不存在の場合、相続財産は国庫に帰属します。
被相続人が払うべきお金を払わないまま、死亡することがあります。
被相続人にプラスの財産がある場合、財産からお金を払ってもらいたいと望むでしょう。
相続財産清算人は、相続財産を清算して国庫に帰属させる人です。
相続財産清算人は、プラスの財産からお金を払って清算をします。
家庭裁判所に申立てをして、相続財産清算人を選任してもらいます。
相続財産清算人選任の申立てをする場合、手数料を納めます。
手数料は、800円です。
手数料は、収入印紙を申立書に貼り付けて納入します。
④遺言書検認の申立て
被相続人が生前に遺言書を作成していることがあります。
遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作るケースがほとんどです。
自筆証書遺言は、自分ひとりで書いて作った遺言書です。
自筆証書遺言を作成した後は、原則として、自分で保管します。
作成した自筆証書遺言を法務局に提出して、保管してもらうことができます。
公正証書遺言は、公証人が文書に取りまとめて作る遺言書です。
証人2人に確認してもらって作ります。
公正証書遺言を作成した後は、公正証書遺言原本は公証役場で保管されます。
相続が発生した後、遺言書を見つけることがあります。
自筆証書遺言を見つけた人や預かっている人は、家庭裁判所へ届け出る必要があります。
封がされ得いる遺言書は、家庭裁判所で開封してもらいます。
遺言書を届け出る手続を遺言書検認の申立てと言います。
遺言書検認の申立てをする場合、手数料を納めます。
手数料は、800円です。
手数料は、収入印紙を申立書に貼り付けて納入します。
⑤遺言執行者選任の申立て
自分が死亡した後に自分の財産をだれに引き継いでもらうか、遺言書で決めることができます。
遺言書は作成するだけでは、意味がありません。
遺言書の内容は自動で実現するわけではないからです。
遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。
遺言執行者は、遺言書で指名することができます。
遺言書で指名しても、指名された人からご辞退されることがあります。
指名された人が先に死亡することがあります。
家庭裁判所に申立てをして、遺言執行者を選任してもらうことができます。
遺言執行者選任の申立てをする場合、手数料を納めます。
手数料は、800円です。
手数料は、収入印紙を申立書に貼り付けて納入します。
5裁判所に提出する書類作成を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、家族は大きな悲しみに包まれます。
深い悲しみの中で、葬儀を執り行います。
ここから怒涛のような相続手続が始まります。
だれが相続人になるか家族にとっては当然のことと軽く考えがちです。
相続手続先の人に対して、相続人は客観的に証明する必要があります。
大した財産がないから、相続手続はカンタンに思えるかもしれません。
相続手続は、普段聞き慣れない法律用語でいっぱいです。
相続手続先は、相続人のトラブルに巻き込まれないために慎重に判断します。
想像以上に神経を使って、クタクタになります。
家庭裁判所の申立てが必要な手続をなると、さらに難易度は上がります。
司法書士は、相続人をサポートして相続手続を進めることができます。
裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。
スムーズに相続手続を進めたい方は、司法書士に相談することをおすすめします。
失踪宣告で生命保険の請求
1失踪宣告で死亡と見なされる
①普通失踪は生死不明7年満了で死亡
行方不明になってから長期間経過している場合、死亡している可能性が高いことがあります。
失踪宣告は、死亡した可能性が高い行方不明者を法律上死亡した取り扱いにする手続です。
失踪宣告を受けた人は、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いがされます。
失踪宣告には、2種類あります。
普通失踪と特別失踪(危難失踪)です。
一般的に失踪宣告といった場合、普通失踪を指しています。
生死不明の期間を失踪期間と言います。
普通失踪の失踪期間は、7年です。
普通失踪は、行方不明になってから7年経過後に失踪宣告の申立てをすることができます。
普通失踪は、生死不明7年満了で死亡と見なされます。
②危難が去ってから1年で特別(危難)失踪
行方不明の人が大災害や大事故にあっていることがあります。
大災害や大事故に遭った場合、死亡している可能性が非常に高いものです。
特別失踪(危難失踪)とは、次の事情がある人が対象です。
(1)戦地に行った者
(2)沈没した船舶に乗っていた者
(3)その他死亡の原因となる災難に遭遇した者
死亡している可能性が非常に高いので、失踪期間は短い期間です。
特別(危難) 失踪では、失踪期間が1年です。
特別(危難) 失踪は、危難が去ってから1年経過後に失踪宣告の申立てをすることができます。
特別失踪(危難失踪)では、危難が去ったときに死亡と見なされます。
③失踪届で戸籍に反映
失踪宣告は、家庭裁判所の審判です。
家庭裁判所が失踪宣告の審判をした後、審判が確定しても市区町村役場に連絡されることはありません。
失踪宣告の審判が確定した後に、市区町村役場に届出が必要です。
失踪宣告の審判が確定した後に市区町村役場に提出する届出を失踪届と言います。
死亡したときに提出する死亡届とは別の書類です。
失踪届は、多くの市区町村役場でホームページからダウンロードができます。
失踪届が受理されることで、失踪宣告がされたことが戸籍に記載されます。
失踪宣告が記載された戸籍謄本を提出することで、生死不明の人が法的に死亡した取り扱いがされることを証明できます。
④行方不明のまま認定死亡で死亡届
人が死亡した場合、通常、医師が死亡の確認をします。
海難事故や震災などで死亡は確実であっても遺体を確認できない場合があります。
遺体が見つからない場合、医師が死亡の確認をすることができません。
海難事故や震災などで死亡が確実の場合、行政機関が市町村長に対して死亡の報告をします。
死亡の報告書を添えて、市区町村役場に死亡届を提出することができます。
死亡の報告によって死亡が認定され、戸籍に記載がされます。
行政機関が市町村長に対して死亡の報告をしたら、戸籍上も死亡と扱う制度が認定死亡です。
事実上、死亡の推定が認められます。
⑤単なる行方不明は生存扱い
行方不明の人は、法律上生きている人です。
長期間行方不明になっていても、法律上生きている人のままです。
生きているままだから、生命保険の死亡保険金は支払われません。
単なる行方不明の人は、生命保険の死亡保険金は支払われません。
2失踪宣告で生命保険の請求
①戸籍に反映したら生命保険の請求
失踪宣告の審判が確定した場合、市区町村役場に失踪届を提出します。
認定死亡の場合、市区町村役場に死亡届を提出します。
失踪届や死亡届が受理された場合、戸籍に記載されます。
死亡したことが確認できなくても、死亡と取り扱われます。
失踪宣告や死亡の記載がある戸籍謄本を提出して、生命保険を請求します。
生命保険の死亡保険金は、死亡によって給付されます。
失踪宣告や認定死亡は、死亡と同様の効果があります。
生命保険の死亡保険金は、失踪宣告や認定死亡であっても給付されます。
被保険者の死亡が戸籍に反映したら、生命保険を請求することができます。
②団体信用生命保険で住宅ローン完済
団体信用生命保険とは、住宅ローンの返済に特化した生命保険です。
住宅ローンの債務者が死亡したとき、保険金で住宅ローンが完済になります。
民間の金融機関で住宅ローンを組む場合、団体信用生命保険の加入が条件になっているのがほとんどです。
住宅ローンの債務者が失踪宣告を受けた場合、保険金で住宅ローンが完済になります。
失踪宣告は、死亡と見なす制度だからです。
団体信用生命保険で住宅ローンは完済になります。
③契約が終了していると保険金が支払われない
生命保険の死亡保険金が給付されるのは、契約が継続している場合のみです。
被保険者が死亡と見なされる前に契約が終了している場合、死亡保険金は給付されません。
保険料の納入ができなくても、直ちに契約が終了するわけではありません。
契約内容によって異なるものの、1か月の猶予期間があります。
生命保険の多くは、解約した場合に解約返戻金が支払われるでしょう。
解約返戻金がある保険で猶予期間内に保険料が納入されなかった場合、保険商品によっては自動振替貸付がされます。
自動振替貸付とは、解約返戻金の範囲で保険料を立て替えて契約を維持する制度です。
普通失踪であれば、失踪期間は7年です。
特別(危難) 失踪であれば、失踪期間は1年です。
自動振替貸付を利用できても、デメリットが大きいでしょう。
保険契約を継続させるため、保険料を納入する必要があります。
④普通失踪は災害特約の対象外
普通失踪は、生死不明7年満了で死亡と見なされます。
生死不明の理由は、問われません。
生命保険商品によっては、災害特約がついていることがあります。
災害特約とは、災害で死亡した場合に保険金を増額してもらうことができる特約です。
普通失踪では、災害による死亡とは認められません。
普通失踪は、災害特約の対象外です。
⑤生きていたら保険金は返還
失踪宣告を受けた人は、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いがされます。
失踪宣告がされたけど、実は本人は新天地で元気に生きていたということがあります。
失踪宣告を受けた人が生きていた場合、失踪宣告は取り消されます。
失踪宣告は取り消された場合、受け取った生命保険金は返還しなければなりません。
返す財産は、現に利益を受けている限度においてのみとされています。
手許に現金が残っているのなら、受け取った現金をそのまま返すことができます。
不動産などを購入したのであれば、不動産に形を変えて利益を保有しています。
生活費などで使ったのであれば、その分の預貯金などが減らさずに済んでいるでしょう。
現に利益を受けている限度において、生命保険の保険金を返還しなければなりません。
3生命保険を解約できるのは契約者だけ
①行方不明者が契約していると家族は解約できない
普通失踪であれば、失踪期間は7年です。
特別(危難) 失踪であれば、失踪期間は1年です。
失踪期間経過後に、失踪宣告の申立てができます。
失踪期間経過後に失踪宣告の申立てをしても、失踪宣告がされるとは限りません。
裁判所の調査で、生存が確認されることがあるからです。
失踪宣告がされるまで、保険契約を維持する必要があります。
不確実な死亡保険金をあてにするより、解約返戻金を受け取りたいと考えるかもしれません。
生命保険契約を解約することができるのは、契約者のみです。
契約者以外の人が手続をする場合、契約者から委任状が必要です。
行方不明の人が契約者の場合、契約を解約することはできません。
契約者を差し置いて家族が勝手に解約することはできません。
②不在者財産管理人は解約できる
不在者財産管理人とは、行方不明の人の財産を保存管理する人です。
不在者財産管理人は、家庭裁判所に選任してもらう必要があります。
生命保険契約は、行方不明の人の財産です。
生命保険の解約は、行方不明の人の財産の処分と言えます。
本来、不在者財産管理人は、財産の保存と管理しかできません。
行方不明の人の生命保険を解約するためには、家庭裁判所に権限外行為の許可が必要です。
不在者財産管理人は、家庭裁判所の許可を得て保険契約を解約することができます。
4生命保険契約は調べることができる
①口座の引落記録等で判明
生命保険に入っているはずだが、保険証書がどうしても見つからないこともあるでしょう。
保険証書が見つからなくても、保険契約が無効になることはありません。
保険契約は、保険証書がなくても有効です。
契約の条件を満たせば、保険金は支払われます。
保険証書が見つからなくても、保険会社からの通知が見つかるでしょう。
銀行口座からの引落記録などで、保険会社が判明することも多いものです。
保険会社を探して、相談しましょう。
通常、保険証書には保険の種類や保険の番号が書いてあります。
保険金の支払請求をするとき、保険の種類や番号があると、比較的スムーズに手続できます。
保険の種類や番号が分からない場合、通常より手続に時間がかかります。
②生命保険契約照会制度
保険証書が見つからない場合、どこの保険会社に入っているのかすら分からないこともあるでしょう。
生命保険契約があるかどうか分からない場合、一般社団法人生命保険協会に対して、調査をしてもらうことができます。
調査は、インターネットや郵便で依頼することができます。
調査をしてもらう対象は、一般社団法人生命保険協会に加入している保険会社のみです。
本人が死亡した場合、調査を依頼することができる人は、次のとおりです。
(1)法定相続人
(2)遺言執行者
本人が死亡した場合に必要な書類は、次のとおりです。
(1)調査を依頼する人の本人確認書類
(2)本人と依頼する人の身分関係が分かる戸籍謄本
(3)死亡診断書
調査を依頼するためには、所定の手数料がかかります。
水害や大震災のような災害にあった場合、保険証書が流失したり、焼失することもあります。
自然災害による被害で保険証書を紛失しても、保険契約が無効になることはありません。
多くの方が保険証書を紛失する事態になるので、照会センターが設置されて、特別体制がとられます。
5生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット
行方不明の相続人や長期間行方不明で死亡の可能性の高い相続人がいる例は、少なくありません。
相続人が行方不明の場合、相続手続を進められなくなります。
相続手続を進めたいのに、困っている人はたくさんいます。
自分たちで手続しようとして挫折する方も少なくありません。
失踪宣告の申立てなどは、家庭裁判所に手続が必要になります。
通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になるでしょう。
信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。
被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続を投げ出して知識のない遺族を困らせます。
知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。
税金の専門家なども対応できず、困っている遺族はどうしていいか分からないまま途方に暮れてしまいます。
裁判所に提出する書類作成は司法書士の専門分野です。
途方に暮れた相続人をサポートして相続手続を進めることができます。
自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。
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