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第三者への相続分の譲渡が問題を複雑にする理由

2025-12-01

1第三者に対して相続分を譲渡できる

①自分の相続分は自由に譲渡できる

相続人になる人は、法律で決められています。

相続人が相続する相続分も、法律で決められています。

相続分の譲渡とは、相続分を他の相続人や第三者に譲渡することです。

自分の相続分は、自由に譲渡することができます。

相続分の譲渡では、具体的な財産を譲渡するのではありません。

相続分と言う権利を譲渡します。

②譲渡できるのは遺産分割協議成立前だけ

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人全員の共有財産です。

相続人全員が相続分で、共有していると言えます。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

相続分の譲渡ができるのは、遺産分割協議成立前のみです。

遺産分割協議が成立したら、相続人全員で合意した財産を引き継ぐからです。

遺産分割協議が成立したら、相続分の譲渡はできません。

③相続分の譲渡に同意は不要

自分の相続分は、自由に譲渡することができます。

相続分を譲渡する前に、だれかの許可や同意は不要です。

相続分を譲渡した後に、だれかの許可や同意は不要です。

他の相続人の許可や同意なく、勝手に相続分を譲渡することができます。

④相続分に含まれるもの

相続分とは、相続人が持つ相続財産全体に対して持つ割合的な権利です。

相続財産には、プラスの財産もマイナスの財産があるでしょう。

相続分には、プラスの財産もマイナスの財産も含まれています。

相続分を譲渡すると、プラスの財産とマイナスの財産を含めて割合的な権利が移転します。

相続分は割合的権利に過ぎないから、具体的に引き継ぐ財産は遺産分割協議で決定します。

⑤債権者は相続分の譲渡人に返済請求ができる

相続分の譲渡は、遺産分割に関する内部的な権利義務の移転です。

被相続人が借金を抱えていた場合、債権者は相続人全員に相続分で返済を請求することができます。

相続分を譲渡しても、相続人のままです。

相続分を譲渡しても、借金の返済義務を免れられません。

相続分の譲受人は、相続人ではありません。

相続分を譲り受けただけだから、借金の返済義務はありません。

債権者は、相続分の譲渡人に対して返済請求ができます。

⑥相続人による相続分の買戻しができる

遺産分割協議では、家族のプライベートな内容が話し合われます。

家族以外の人に聞かれたくないと、考えることがあるでしょう。

相続人以外の第三者に相続分を譲渡した場合、他の相続人は相続分を取り戻すことができます。

相続分を取り戻す場合、価額と費用を償還します。

相続分の取戻しは、相続分の譲渡後1か月以内に手続をする必要があります。

相続分の取戻しをする場合、相続分の譲受人の承諾は不要です。

2第三者への相続分の譲渡が問題を複雑にする理由

理由①第三者を含めて遺産分割協議が必要

遺産分割協議成立には、相続人全員の合意が不可欠です。

相続分の譲渡があった場合、譲渡人は遺産分割協議に参加しません。

相続分の譲渡人の合意は、不要です。

相続分の譲渡があった場合、譲受人は遺産分割協議に参加します。

相続分の譲渡人の合意が、必要です。

第三者に相続分を譲渡した場合、第三者が遺産分割協議に参加します。

気心が知れた家族だけで遺産分割協議をする場合、話し合いがまとまりやすいものです。

関係が薄い人がいると、話し合いがまとまりにくくなります。

関係が薄い人がいると、親族間の信頼関係が揺らぐからです。

第三者を含めて遺産分割協議をする必要があるから、遺産分割は難航します。

理由②譲渡人は遺産分割協議に参加しない

相続分を譲渡すると、相続分の譲渡人は遺産分割協議に参加しません。

遺産分割協議で一部の相続人が債務を負担する合意をすることがあります。

相続人間の内部的合意として、有効な合意です。

相続人は債権者に返済した後、内部的合意によって求償することができます。

相続分の譲渡人は遺産分割協議に参加できないから、合意の恩恵を得られません。

相続分の譲渡人と他の相続人間で、トラブルに発展するおそれがあります。

理由③相続分を買う業者は利益目的

相続分の譲受人は、ビジネスで相続分を買っています。

家族のプライベートな事情に、関心はありません。

相続分を買い受ける業者は、遺産分割協議でもビジネスライクに対応します。

ビジネスで相続分を買っているから、利益最大化を目指して行動します。

利益追求して対応するから、家族の事情に配慮する動機がありません。

譲り受けた相続分相当の財産を遠慮なく要求し、譲歩しません。

相続分相当の財産を得られないなら、遺産分割協議に合意しません。

他の相続人に強硬な姿勢で交渉するから、和解することが非常に困難になります。

第三者を含めて遺産分割協議が必要になるから、遺産分割協議が長期化します。

理由④譲渡人であっても相続債務から逃げられない

相続分の譲渡人は相続財産を受け取る権利を失うのに、借金からは逃れられません。

相続分を譲渡しても、相続人のままだからです。

借金の返済を求められた場合、拒むことはできません。

他の相続人は、受け取った財産から返済することができます。

相続分の譲渡人は、返済原資がないまま借金の返済義務だけが残ります。

理由⑤遺産分割協議が金銭交渉に変質する

第三者が相続分の譲渡を受ける場合、金銭が目的です。

家族間の分配調整ではなく、経済的利益の改修に主眼があります。

第三者が遺産分割協議に参加すると、交渉の主軸が現金や清算金の金額や支払条件に移ります。

ビジネス目的だから、現金清算を強く志向します。

交渉力の差が大きく、他の相続人が一方的に負担を背負う結果になります。

理由⑥譲渡人に相続税と譲渡所得税のリスク

相続財産全体が一定以上の規模である場合、相続税の対象になります。

相続分の譲渡をした場合、いったん相続した財産を譲渡したと見なされます。

相続分の譲渡人はいったん相続したと見なされる財産に応じて、相続税が課されます。

相続財産に不動産や株式が含まれる場合、譲渡所得が生じることがあります。

譲渡所得とは、不動産や株式を売却したときに得られる利益です。

譲渡所得を得た場合、譲渡所得税が課されます。

相続分の譲渡人に、相続税と譲渡所得税が課されるリスクがあります。

3第三者がいる遺産分割協議の実態

①家族の事情に対する配慮が期待できない

ビジネス目的の第三者は、家族の事情に配慮する動機がありません。

被相続人の生前に介護貢献があったことや自宅を残したい希望などに、関心はありません。

相続分を買取ったのは、ビジネス目的だからです。

相続人全員の納得よりも、冷徹に利益最大化を目指します。

より多くの利益を得るために、清算金と履行確保を強く要求します。

②紛争が長期化し調停・審判手続に移行

遺産分割協議成立には、譲受人も含め相続人全員の合意が必要です。

相続人間で話し合いがつかない場合、家庭裁判所の助力を受けることができます。

遺産分割調停とは、家庭裁判所の調停委員のアドバイスを受けてする話し合いです。

家庭裁判所の調停委員は中立的立場から、相続分を確保した遺産分割をアドバイスするでしょう。

調停委員のアドバイスを背景に、譲り受けた相続分相当の財産を遠慮なく要求できます。

遺産分割調停で話し合いがまとまらなかったら、遺産分割審判に移行します。

家庭裁判所は、相続分を確保した遺産分割を審判するでしょう。

③不動産が絡むと対立が激化

(1)不動産には評価方法が複数ある

不動産は、金額が大きく分けにくい財産の代表例です。

相続財産に不動産が含まれる場合、遺産分割協議は難航しがちです。

不動産をいくらと考えるのか、評価方法は複数あります。

不動産を取得したい相続人は、不動産の評価額が低いと有利です。

不動産の代わりに代償金を取得したい相続人は、不動産の評価額が高いと有利です。

それぞれが有利な評価方法を主張して、話し合いがつかなくなります。

(2)居住継続を主張すると高額の清算金を要求

相続人の中には、居住を継続したいと望むことがあります。

相続分の譲受人は、現金回収を最優先します。

売却や高額の清算金を要求します。

(3)安易に共有にすると紛争が長期化する

話し合いがつかないと、共有にすればいいと考えるかもしれません。

不動産を共有にした場合、修繕などの管理に共有者の協力が必要です。

相続分の譲受人は、管理負担を嫌がります。

(4)最終的には共有物分割協議で裁判化

共有者の協力が得られない場合、最終的には共有物分割協議をすることになるでしょう。

結局のところ不動産の共有は、問題の先送りにしかなりません。

④弁護士に依頼しても根本的状況は変わらない

当事者だけで話し合いがまとまらない場合、弁護士などの専門家に依頼することは有効です。

第三者に相続分を譲渡した場合、遺産分割協議がまとまらないことが多いでしょう。

弁護士などに依頼しても、構造的問題は解決しません。

弁護士が介入しても、譲渡人の債務はなくなりません。

弁護士が介入しても、ビジネス目的の第三者は譲歩しません。

弁護士に依頼しても、根本的状況は何も変わらないでしょう。

⑤取戻権を行使できない

第三者に相続分を譲渡する場合、他の相続人に取り戻すための資金がないことがほとんどです。

取戻権を行使するためには、譲渡された相続分の価額と費用を償還する必要があります。

現実的には、取戻権は行使できないでしょう。

4第三者への相続分の譲渡を防ぐ方法

①早期に相続人全員で話し合い

相続分の譲渡ができるのは、遺産分割協議が成立するまでです。

早期に相続人全員で、話し合いをするのがおすすめです。

②相続分を譲渡することは早い者勝ちではない

相続分の譲渡は、権利を失うが義務は残る制度です。

相続分の譲渡をすることは、相続人にとって不利益が大きいと言えます。

他の相続人にとっても、大きな不利益があります。

相続分を譲渡することは、早い者勝ちではありません。

相続分の譲受人と弁護士だけが利益を得る仕組みと言えます。

③他の相続人への譲渡が圧倒的に安全

相続分は、相続人や相続人以外の第三者に譲渡することができます。

相続分を譲渡するなら、他の相続人に譲渡するのが安全です。

他の相続人なら、家族の事情にも通じているからです。

家族の事情に配慮した遺産分割協議ができるでしょう。

深刻な相続トラブルに、発展させずに済むからです。

5相続分の譲渡を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われます。

たくさんの手続で疲れていても、相続財産について、相続人全員による分け方の合意が必要です。

相続財産の分け方の合意はトラブルになりやすい手続です。

相続人がたくさんいると、さらにまとまりにくくなります。

相続分の譲渡を上手に使うと、話し合いをする相続人が減って、合意がしやすくなります。

通常の遺産分割で相続手続きを進めることが多いですが、状況に応じて制度を活用できます。

相続手続は、もめないようにするのが重要です。

もめないスムーズな相続手続きのためメリットデメリットを充分検討したい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

一部の財産だけ先に遺産分割協議ができる

2025-11-14

1一部の財産だけ先に遺産分割協議ができる

①相続人全員の合意で遺産分割協議成立

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

相続人全員の合意で、遺産分割協議が成立します。

②相続人全員の合意があれば一部の財産の遺産分割ができる

相続人全員の合意がないと、遺産分割協議が成立しません。

相続人全員の合意があれば、遺産分割協議が成立します。

相続人全員の合意があれば、一部の財産だけの遺産分割協議を成立させることができます。

民法改正で、一部のみの遺産分割ができることが明文化されました。

全財産まとめて合意しなければならないといったルールはありません。

全財産まとめて合意しなくても、遺産分割協議が無効になることはありません。

一部の財産だけであっても、有効に遺産分割協議を成立させることができます。

③一部の財産だけ先に遺産分割をする典型的ケース

ケース(1)生活費確保などで預金を引出し

相続人の中には、被相続人の財産で生活していることがあります。

預貯金などの口座の持ち主が死亡すると、口座が凍結されます。

口座の凍結とは、口座取引を停止することです。

口座が凍結すると、ATMや窓口で引出しなどができなくなります。

生活費の支払いのため、生活費の口座だけ先に遺産分割協議をすることができます。

生活費確保などで預金を引出したい場合、一部の財産だけ遺産分割協議を成立させます。

ケース(2)事業承継に空白期間を防ぎたい

被相続人が事業を行っていることがあります。

事業を引き継ぐ人が事業用財産を引き継ぐ必要があります。

スムーズな事業承継のため、事業用財産だけ先に遺産分割協議をすることができます。

すみやかに事業を引き継ぐ人が事業用財産を引き継ぐと、空白期間を防ぐことができます。

事業承継に空白期間を防ぎたい場合、一部の財産だけ遺産分割協議を成立させます。

ケース(3)相続財産調査途中で判明した財産だけで手続をしたい

被相続人が保有する財産が多種類かつ複数見つかることがあります。

例えば海外不動産や所在不明の財産があると、相続財産調査には非常に時間がかかります。

相続財産の全容が判明しなくても、遺産分割協議を成立させることができます。

相続人全員の合意があれば、一部の財産だけ遺産分割協議を成立させることができるからです。

判明した財産だけで遺産分割協議をし、相続手続を進めることができます。

相続財産調査途中で判明した財産だけで手続をしたい場合、一部の財産だけ遺産分割協議を成立させます。

ケース(4)不動産をすみやかに売却したい

不動産の売却交渉中に、売主が死亡することがあります。

買主が決まって価格交渉が進んでいると、売買契約を急ぐ必要があるでしょう。

売買契約を急ぐ不動産についてのみ、遺産分割協議をすることができます。

不動産をすみやかに売却したい場合、一部の財産だけ遺産分割協議を成立させます。

ケース(5)相続税の納税資金を確保

相続財産全体の規模一定以上である場合、相続税の申告と納税が必要です。

相続税の申告と納税の期限は、相続が発生してから10か月です。

納税期限が迫っている場合、預貯金や有価証券など換金性が高い財産を先に分割することが有効です。

遺産分割協議が成立しなくても、相続税の申告と納税の期限は延長されないからです。

相続税の納税資金を確保するため、一部の財産だけ遺産分割協議を成立させます。

④一部の財産だけ先に遺産分割協議をする注意点

注意(1)相続人全員の合意が不可欠

遺産分割協議成立には、相続人全員の合意が不可欠です。

1人でも反対すると、遺産分割協議が成立しません。

合意内容は、文書に取りまとめます。

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。

相続人全員に合意内容に間違いがないか、確認してもらいます。

遺産分割協議書に、相続人全員の記名と実印による押印が必要です。

一部の財産だけ先に遺産分割協議をする場合であっても、相続人全員の合意が不可欠です。

注意(2)新たに見つかった財産はあらためて遺産分割協議

一部の財産だけ遺産分割協議を成立させた場合、残りの財産は未分割のままです。

新たに見つかった財産は、あらためて遺産分割協議が必要です。

注意(3)相続財産全体で不公平になる可能性

相続財産には、さまざまな種類の財産があるでしょう。

不動産は、分けにくい財産の代表例です。

預貯金や現金は、分けやすい財産の代表例です。

先に分割した財産が分けやすい財産である一方で、後に残る財産が分けにくい財産であることがあります。

不動産は、換金が難しく使いにくいことがあります。

預貯金は、換金しやすく使いやすいでしょう。

先に分割した財産が換金しやすく使いやすい財産である一方で、後に残る財産が換金しにくく使いにくい財産であることがあります。

先に分割した財産の内容が後の遺産分割協議に影響し、相続人間の話合いが進まなくなるかもしれません。

相続財産全体で見ると、不公平になることがあります。

注意(4)一部の財産の遺産分割であることを相続人全員で共有

一部の財産のみ遺産分割をした場合、後日あらためて遺産分割協議が必要になるでしょう。

一部の財産の遺産分割協議であることを相続人間で共有します。

2一部の財産だけの遺産分割協議書で相続手続ができる

①不動産のみの遺産分割協議書で相続登記ができる

被相続人が不動産を保有していた場合、不動産の名義変更をします。

相続登記とは、相続による不動産の名義変更です。

遺産分割協議が成立したら、すみやかに相続登記をします。

不動産のみの遺産分割協議書で、相続登記ができます。

②預貯金のみの遺産分割協議書で口座凍結解除ができる

預貯金などの口座の持ち主が死亡すると、口座が凍結されます。

遺産分割協議が成立したら、口座凍結解除ができます。

預貯金のみの遺産分割協議書で、口座凍結解除ができます。

③株式のみの遺産分割協議書で口座凍結解除ができる

被相続人が株式投資をしていた場合、証券会社などに口座を持っているでしょう。

証券会社などの口座の持ち主が死亡すると、口座が凍結されます。

遺産分割協議が成立したら、口座凍結解除ができます。

株式のみの遺産分割協議書で、口座凍結解除ができます。

④自動車のみ遺産分割協議書で名義変更ができる

被相続人が自動車を保有していた場合、自動車の名義変更をします。

普通車は運輸支局で、軽自動車は軽自動車検査協会で名義変更をします。

自動車のみ遺産分割協議書で、名義変更ができます。

⑤財産ごとに遺産分割協議書を作成できる

一部の財産だけ先に、遺産分割協議をすることができます。

相続人全員の合意ができたら、速やかに合意内容を文書に取りまとめます。

後から一部の相続人が合意はなかったと、言い出すかもしれないからです。

文書にしておかないと、相続人間のトラブルに発展します。

一部の財産だけの遺産分割協議は、有効です。

一部の財産だけ記載した遺産分割協議書は、有効です。

財産ごとに、遺産分割協議書を作成することができます。

財産ごとに遺産分割協議書を作成した場合、遺産分割協議書が複数になります。

遺産分割協議書が複数であっても、まったく問題はありません。

⑥遺産分割調停と併用ができる

一部の財産だけ遺産分割協議が成立した後、残りの財産について合意ができないことがあります。

遺産分割調停とは、家庭裁判所の助力を得てする相続人の話合いです。

残りの財産について、遺産分割調停を利用することができます。

調停申立書には「協議済みの財産は除外し、未分割の財産のみを対象とする」旨を明記します。

相続人のみで話し合いをすると、感情的になって話し合いが難しいかもしれません。

中立的立場の調停委員の客観的なアドバイスを受けると、相手の意見を聞くことができることがあります。

調停委員のアドバイスを受けながら、相続人全員の合意を目指します。

3相続登記義務化で3年以内に相続登記

①3年以内に相続登記をしないとペナルティー

相続登記には、3年の期限が設けられました。

3年以内に相続登記をしないと、ペナルティーの対象になります。

ペナルティーの内容は、10万円以下の過料です。

相続登記義務化は、令和6年4月1日にスタートしました。

令和6年4月1日以前に発生した相続も令和6年4月1日以降に発生した相続も、対象です。

令和6年4月1日以前の相続は、令和9年3月31日までに相続登記をする必要があります。

②一部だけ登記をしても相続登記の義務はある

一部の財産だけ遺産分割協議が成立した場合、遺産分割協議が成立した不動産についてのみ相続登記をすることができます。

一部の不動産だけ相続登記をしても、残りの不動産について相続登記の義務があります。

すべての財産について相続登記をしないと、相続登記の義務を果たしたとは言えません。

③遺産分割未了でも相続登記義務化

不動産は、分けにくい財産です。

不動産の分け方を巡って、相続人の話合いがつかないことがあります。

遺産分割協議成立後に、相続登記をするのが一般的です。

遺産分割未了であっても、相続登記の義務は免れられません。

④相続人申告登記でペナルティーを回避

相続登記義務化によって、相続人申告登記の制度がスタートしました。

相続人申告登記とは、相続人であることを申告する制度です。

相続登記ができなくても相続人申告登記をすると、相続登記の義務を果たしたと判断されます。

相続人申告登記で、相続登記義務化のペナルティーを回避することができます。

4遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

合意がきちんと文書になっているからこそ、トラブルが防止できるといえます。

書き方に不備があると、トラブルを起こしてしまう危険があります。

もともとトラブルの火種があるのなら、いっそう慎重になる必要があります。

遺産分割協議書は公正証書にしなくても済むことが多いものですが、慎重を期して公正証書にした方がいい場合があります。

せっかくお話合いによる合意ができたのに、その後にトラブルになるのは残念なことだからです。

公正証書にするためには、手間と費用がかかります。

公正証書にする手間と費用を惜しむと、裁判をするなど大きな手間と高額な費用を負担することになります。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を公正証書にしたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

公正証書遺言があっても遺産分割協議書が必要になる

2025-10-31

1公正証書遺言があれば遺言書のとおりに遺産分割できる

①遺産分割協議なしで遺産分割ができる

遺言書を作成して、遺産分割の方法を指定することができます。

有効な遺言書があれば、遺産分割協議は不要です。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

遺言書の内容どおりに、遺産分割をすることができるからです。

相続人全員で相続財産の分け方について、話し合いをする必要がありません。

②相続手続は遺言執行者におまかせできる

遺言書は作成するだけでは、意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者は、遺言書で指名することができます。

遺言執行者がいると、遺言者は安心です。

遺言執行者が確実に、遺言書の内容を実現してくれるからです。

遺言執行者がいると、相続人は安心です。

手間と時間がかかる相続手続を遺言執行者におまかせできるからです。

③遺言執行者は家庭裁判所に選任してもらえる

遺言書で遺言執行者を指名しても、辞退されることがあります。

遺言書を確認すると、遺言執行者を指名していないことがあります。

遺言執行者がいなくても、遺言書は無効になりません。

遺言執行者がいない場合、相続人全員の協力で遺言書の内容を実現することができます。

遺言書の内容に不満を持つ相続人がいる場合、協力を得ることが難しいかもしれません。

遺言執行者がいない場合、家庭裁判所に遺言執行者選任の申立てをすることができます。

家庭裁判所が選任した遺言執行者に、相続手続をおまかせすることができます。

2公正証書遺言があっても遺産分割協議書が必要になる

必要①相続人・受遺者が先に死亡

遺言書を作成するというと、財産の分け方について書くことがイメージするでしょう。

財産を受け取る人が遺言者より先に死亡した場合、その条項は無効になります。

受遺者とは、遺贈で財産を受け取る人です。

遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。

財産を受け取る人が遺言者より先に死亡した場合、子どもなどが自動で受取ることはできません。

遺言書の内容は、代襲相続できないからです。

・相続人〇〇〇〇に、財産◇◇◇◇を相続させる

・〇〇〇〇に、財産◇◇◇◇遺贈する

上記の遺言があった場合、財産◇◇◇◇は受取る人がいない財産になります。

受取る人を決めるため、遺産分割協議が必要です。

相続人・受遺者が先に死亡したケースでは、遺産分割協議書が必要です。

必要②相続放棄・遺贈の放棄があった

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

遺言書で遺贈するとあっても、遺贈を単純承認するか遺贈を放棄するか選択することができます。

相続放棄や遺贈の放棄がある場合、その財産を受け取る人はいなくなります。

相続放棄や遺贈の放棄をしたした場合、子どもなどが自動で受取ることはできません。

相続放棄や遺贈の放棄で、代襲相続できないからです。

受取る人がいなくなった財産は、相続人全員の共有財産です。

遺産分割協議で、相続財産の分け方を決定します。

相続放棄や遺贈の放棄があったケースでは、遺産分割協議書が必要です。

必要③遺言書に記載がない財産が見つかった

遺言書を作成した後に、新たに財産を取得することがあります。

遺言書を作成したときに保有していた財産であっても、遺言書に記載していないことがあります。

全財産について記載がない遺言書であっても、遺言書は無効になりません。

遺言書は、一部の財産についてのみ作成することができるからです。

遺言書に記載がない財産が見つかった場合、その財産を受け取る人が指定されていません。

遺言書に記載がない財産は、相続財産です。

遺産分割協議で、相続財産の分け方を決定します。

遺言書に記載がない財産が見つかったケースでは、遺産分割協議書が必要です。

必要④相続人全員の合意がある

遺言書が極端に偏った内容であることがあります。

あまりに偏った内容の遺言書をそのまま執行すると、大きなトラブルになるでしょう。

大きなトラブルになる遺言書なのに、わざわざ執行してトラブルにする必要はありません。

相続人全員の合意で、分け方を決める方が合理的です。

遺言書があっても、相続人全員の合意で遺産分割協議をすることができます。

遺言執行者がいる場合、遺言執行者の合意も必要です。

相続人全員の合意があるケースでは、遺産分割協議書が必要です。

事実上必要⑤金融機関の事務的確認

有効な遺言書があれば、遺言書の内容どおりに遺産分割をすることができます。

金融機関の内部ルールで、相続人全員に対して確認書類を求めることがあります。

金融機関の内部ルールではあるものの、遺産分割協議書同様の書類がないと相続手続が進まなくなります。

金融機関の事務的確認が必要なケースでは、事実上、遺産分割協議書が必要です。

不要⑥遺留分を侵害している

遺留分とは、相続人に認められた最低限の権利です。

被相続人に近い関係の相続人に、遺留分が認められます。

具体的には、配偶者、子ども、親などの直系尊属に認められます。

遺言書の内容を確認すると、一部の相続人の遺留分を侵害していることがあります。

遺留分を侵害しても、遺言書は無効になりません。

遺留分侵害額請求権は、遺留分権利者の権利に過ぎないからです。

遺留分を侵害する遺言書があった場合、遺留分権利者は遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分侵害額請求権は、単なる金銭請求です。

遺留分を侵害した人と遺留分を侵害された人の金銭支払で、解決します。

遺留分を侵害した人と遺留分を侵害された人が金銭支払に合意する場合、当事者のみで合意書を作成します。

他の相続人には無関係な合意文書です。

遺留分侵害額請求があっても、相続財産全体の分け方について変更するものではありません。

遺留分を侵害している遺言書があるケースでは、遺産分割協議書は不要です。

遺留分侵害額請求がある場合、前提として極端に偏った内容の遺言書があるでしょう。

極端に偏った遺言書をそのまま執行するより、遺産分割協議をすることに相続人全員が合意できることがあります。

相続人全員が合意できる場合、遺産分割協議をすることができます。

相続人全員の合意があるケースでは、遺産分割協議書が必要です。

不要⑦遺言書が複数

遺品整理をしていると、遺言書が複数見つかることがあります。

有効な遺言書が複数見つかっても、遺産分割協議は不要です。

複数の遺言書のうち、遺言書の内容が両立できれば遺言書は全部有効です。

遺言書の内容が両立できない場合、日付の新しい遺言書が優先します。

遺言書の方式は、優劣に影響がありません。

自筆証書遺言であっても公正証書遺言であっても、日付の新しい遺言書が優先です。

公正証書遺言は自筆証書遺言より強い効力があるといったことはないからです。

遺言書の効力は日付の先後で決まるから、相続人が分け方を決める必要はありません。

遺言書が複数ケースでは、遺産分割協議書は不要です。

3公正証書遺言作成から備えておく対策

対策①相続人・受遺者の死亡に備えて予備的条項

財産を受け取るはずの相続人や受遺者が先に死亡した場合、遺言が無効になります。

相続人・受遺者の死亡に備えて、予備的条項を定めておくことができます。

予備的条項とは、主たる条項が無効になったときに備えて代替的に効力を持たせる条項です。

予備的条項は、保険をかけておく条項と言えます。

例えば、次のように定めることができます。

・相続人〇〇〇〇に、財産◇◇◇◇を相続させる。

ただし、相続人〇〇〇〇が遺言者より先に死亡した場合、相続人〇〇〇〇の子ども□□□□に、財産◇◇◇◇を相続させる。

上記の遺言がある場合、相続人〇〇〇〇が遺言者より先に死亡しても、相続人〇〇〇〇の子ども□□□□が相続することができます。

遺言書で指定されているから、遺産分割協議は不要です。

対策②遺言書に記載がない財産の分け方を書いておく

遺言書を作成する場合、財産目録を準備することが一般的です。

遺言者自身が忘れている財産や知らない財産が見つかることは、どうしても避けられません。

公正証書遺言を作成する場合、記載がない財産の分け方を書いておくことができます。

例えば、次のように定めることができます。

・本遺言書に記載がない財産が見つかった場合、その財産は相続人〇〇〇〇に相続させる。

上記の遺言がある場合、相続人〇〇〇〇が相続することができます。

遺言書で指定されているから、遺産分割協議は不要です。

対策③遺留分に配慮

遺言の内容が大きく偏っていると、一部の相続人の遺留分を侵害することがあります。

遺留分侵害額請求があると、相続人間でトラブルになりがちです。

各相続人の遺留分に配慮することで、相続人間のトラブルを防止することができます。

対策④遺言書の定期的な見直し

遺言書は、作成したら終わりではありません。

遺言者が元気なときに作成するから、相続人や財産に事情が変わることがあります。

遺言書は、書き直しをすることができます。

遺言書を書き直すときに、相続人や受遺者の同意や承諾は不要です。

遺言者は、何度でも書き直しができます。

遺言の内容が現状と合わなくなると、相続人全員の合意で遺産分割協議が必要になります。

大きな資産変動や家族関係の変化があったとき、遺言書の内容を見直すといいでしょう。

4遺産分割協議書を作成するときの注意点

注意①相続人全員の記名と実印による押印

遺産分割協議書とは、相続人全員の合意内容の証明書です。

一部の相続人を含めずに合意しても、無効です。

遺産分割協議書の内容は、相続人全員が確認します。

間違いがなければ、相続人全員が記名し実印で押印します。

注意②相続人全員の印鑑証明書を添付

遺産分割協議書には、相続人全員の印鑑証明書を添付します。

遺産分割協議書の押印が実印による押印であることを証明するためです。

注意③財産を確実に特定

遺産分割協議書には、財産の分け方を記載します。

相続手続をするとき、相続手続先の人にも分かるように財産を特定することが重要です。

具体的には、次の項目を記載します。

不動産は、登記簿謄本を書き写します。

預貯金は、金融機関名、支店、預金種別、口座番号、口座名義人を書き写します。

注意④遺産分割協議書を公正証書にできる

遺産分割協議書は、相続人間で作成することが一般的です。

重要な遺産分割協議である場合、公正証書にすることができます。

相続人間のトラブルを防止したい場合、公正証書にすることは有効です。

公正証書にする場合、公証人が本人確認のうえ本人の意思確認をするからです。

公正証書には、強制執行認諾文言を入れることができます。

強制執行認諾文言とは、約束を守らなかったとき直ちに強制執行を受けても異議を述べない意思表示です。

裁判などをせず強制執行ができるから、公正証書は心強いと言えます。

5遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

合意がきちんと文書になっているからこそ、トラブルが防止できるといえます。

書き方に不備があると、トラブルを起こしてしまう危険があります。

トラブルの火種があるのなら、いっそう慎重になる必要があります。

遺産分割協議書は、慎重を期して公正証書にした方がいい場合があります。

公正証書にするためには、手間と費用がかかります。

公正証書にする手間と費用を惜しむと、裁判をするなど大きな手間と高額な費用を負担することになります。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を公正証書にしたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

遺産分割協議書に作成期限がなくても早めに作成するべき

2025-10-27

1遺産分割協議書に作成期限はない

①長期間経過しても遺産分割協議ができる

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

遺産分割協議は、相続人全員の合意で成立します。

遺産分割協議は、ときには長引くことがあります。

遺産分割協議の成立に、期限はありません。

相続が発生してから長期間経過した後、遺産分割協議を成立させることができます。

②長期間経過しても遺産分割協議書を作成できる

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。

相続人全員の合意内容を書面に取りまとめて、相続人全員に確認してもらいます。

合意内容に間違いないことを確認したら、相続人全員が記名して実印で押印してもらいます。

遺産分割協議に、作成期限はありません。

遺産分割協議成立してから長期間経過した後、遺産分割協議書を作成することができます。

2遺産分割協議書は早めに作成すべき

①作成期限はない=放置してよいではない

遺産分割協議に、作成期限はありません。

作成期限がないから、先延ばししがちです。

遺産分割協議書作成は急がなくてもいいではなく、後回しにするとタイヘンになります。

遺産分割協議書作成を放置することは、おすすめできません。

口頭の合意やメールの合意は、合意の証拠として認められにくいのが実情です。

遺産分割協議書は、早めに作成すべきです。

わずらわしく感じても、後日のトラブルや再協議を防止する最善の方法だからです。

②遺産分割協議書作成を先延ばしで起こるトラブル

(1)相続人の気持ちが変わる

相続人全員の合意ができたら、遺産分割協議は成立し終了します。

相続人が口頭のみで合意をしても、遺産分割協議は有効です。

遺産分割協議書を作成しないと、合意内容があいまいになります。

長期間経過すると、相続人の気持ちが変わることがあります。

口頭のみの合意では、後日合意はなかったと争いになるおそれがあります。

遺産分割協議書作成を先延ばしで相続人の気持ちが変わると、トラブルになります。

(2)相続人が死亡する

遺産分割協議が成立した後、相続人が死亡しても遺産分割協議は有効です。

死亡した相続人が合意した内容は有効だから、遺産分割協議はやり直し不要です。

遺産分割協議書を作成していないと、合意したことを証明できません。

数次相続人は、遺産分割協議の合意内容を知らないでしょう。

数次相続とは、相続が発生したときに元気だった相続人が後に死亡することです。

遺産分割協議が成立したことを証明できないと、トラブルに発展します。

遺産分割協議をやり直しすることになるからです。

遺産分割協議中に相続人が死亡した場合、数次相続人が遺産分割協議を引き継ぎます。

遺産分割協議をする権利義務は、相続財産だからです。

死亡した相続人に複数の相続人がいると、遺産分割協議はまとまりにくくなります。

単純に人数が増えると、合意がしにくくなるからです。

死亡した相続人の相続人は他の相続人と関係が薄いでしょう。

関係が薄い相続人が含まれると、話し合いがまとまりにくくなります。

遺産分割協議書作成を先延ばしで相続人が死亡すると、トラブルになります。

(3)相続人が認知症になる

遺産分割協議をしたときに元気だったのに、相続人が認知症になることがあります。

認知症になると、物事のメリットデメリットを適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人も多いでしょう。

重度の認知症になると、遺産分割協議書の内容が合意内容と一致しているか判断できなくなります。

判断能力が低下したら、家庭裁判所に成年後見人を選任してもらう必要があります。

成年後見人は、認知症になった相続人がどのような合意をしたか知りません。

遺産分割協議書を作成していないと、合意したことを証明できません。

遺産分割協議が成立したことを証明できないと、あらためて遺産分割協議をすることになります。

成年後見人は、認知症の人に不利益になる遺産分割協議をすることはできません。

たとえ家族が成年後見人になっても、本人の利益を重視する義務があるからです。

成年後見人は認知症の人の利益を保護する人であって、家族の希望をかなえる人ではありません。

たとえ認知症の相続人が合意した内容と同じであっても、不利益な遺産分割協議をすることはできません。

遺産分割協議書がないと、合意内容と同じことが証明できないからです。

遺産分割協議書作成を先延ばしで相続人が認知症になると、トラブルになります。

(4)相続人が行方不明になる

さまざまな家族の事情から、家族と疎遠になることがあります。

家族と連絡を取らないまま長期間経過して、行方不明になることがあります。

遺産分割協議をした後に、相続人が行方不明になることがあります。

相続人が行方不明である場合、家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらうことができます。

不在者財産管理人は、行方不明になった相続人がどのような合意をしたか知りません。

遺産分割協議書を作成していないと、合意したことを証明できません。

遺産分割協議が成立したことを証明できないと、あらためて遺産分割協議をすることになります。

不在者財産管理人は、行方不明の人に不利益になる遺産分割協議をすることはできません。

たとえ家族が不在者財産管理人になっても、本人の利益を重視する義務があるからです。

不在者財産管理人は行方不明の人の利益を保護する人であって、家族の希望をかなえる人ではありません。

遺産分割協議書作成を先延ばしで相続人が行方不明になると、トラブルになります。

③新たな財産が見つかっても成立した遺産分割協議は有効

遺産分割協議が成立した後に、新たな財産が見つかることがあります。

新たな財産が見つかっても、原則としてすでに成立した遺産分割協議はそのまま有効です。

新たな財産が見つかったら、新たな財産だけで遺産分割協議をします。

遺産分割協議が成立したら、一部の財産だけの遺産分割協議書を作成できます。

一部の財産だけの遺産分割協議書であっても、無効にならないからです。

新たな財産が重要な財産である場合、例外として遺産分割協議のやり直しをする余地があります。

重要な財産であれば、相続人が知っているでしょう。

新たな財産が見つかったことで、先の遺産分割協議が無効になるのはレアケースです。

一部の財産だけの遺産分割協議書であっても、早めに作成するのがおすすめです。

④法定相続情報一覧図で代替できない

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。

法定相続情報一覧図で、代替することはできません。

法定相続情報一覧図は、相続人の範囲を証明する書類だからです。

3遺産分割協議書を早めに作成すると相続トラブルの防止になる

①合意内容を明確に残せる

遺産分割協議書は、相続人全員による合意内容の証明書です。

合意内容を文書にするから、行った言わないと争うリスクを大幅に減らすことができます。

遺産分割協議書には、次の内容を記載します。

(1)タイトル

遺産分割協議書と記載します。

(2)被相続人の情報

被相続人を特定するため、氏名、最後の住所、生年月日、死亡日、本籍地などを記載します。

(3)相続人の情報

相続人全員を特定するため、氏名、住所を記載します。

各相続人が実印で押印します。

相続人全員の合意であることが重要です。

一部の相続人を含めないと、遺産分割協議が成立しないからです。

(4)遺産分割の内容

各相続財産の詳細とだれが取得するのか、明記します。

各相続財産を特定できるように記載しないと、相続手続が進まなくなります。

(5)遺産分割協議が成立したこと

遺産分割協議が成立したことを明記します。

(6)日付

遺産分割協議が成立した日付を記載します。

②数次相続が発生しても安心

遺産分割協議書を作成しておくと、数次相続人にも遺産分割協議成立を証明できます。

遺産分割協議のやり直しを求められても、再協議は不要です。

遺産分割協議成立後に相続人が死亡しても、遺産分割協議は無効にならないからです。

無用なトラブルを回避できるから、円滑に相続手続を進めることができます。

③相続人間の感情的トラブルの防止

相続人が口頭のみで合意すると、トラブルに発展しがちです。

長期間経過すると、相続人の記憶があいまいになるからです。

相続人間の解釈のちがいがあると、深刻なトラブルになりかねません。

相続人全員の合意内容を文書に取りまとめることで、感情的対立を最小限にすることができます。

特に兄弟姉妹間や再婚家族がいる場合、合意内容を明確に残すことがトラブルの防止になります。

④相続手続が円滑になる

(1)相続登記

被相続人が不動産を保有していた場合、不動産の名義変更をします。

相続登記とは、不動産の名義変更です。

適切な遺産分割協議書があると、円滑に相続登記をすることができます。

円滑に相続登記ができると、相続登記義務化に対応しやすくなります。

(2)預貯金口座の凍結解除

口座の持ち主が死亡したことを知ると、金融機関は預貯金口座を凍結します。

預貯金口座の凍結とは、口座取引を停止することです。

適切な遺産分割協議書があると、円滑に凍結解除をすることができます。

(3)相続税申告

相続財産全体の規模が一定以上である場合、相続税申告が必要です。

相続税申告には、10か月以内の期限があります。

申告期限までに遺産分割協議書を作成できないと、法定相続で相続税申告をすることになります。

小規模宅地の特例等、有利な特例を適用することができません。

申告期限後3年以内の分割見込書を提出して、修正申告をします。

適切な遺産分割協議書があると、円滑に相続税申告をすることができます。

⑤遺産分割協議書はすみやかに作成

遺産分割協議書は、相続人全員の合意がまとまったら速やかに作成します。

相続人間で作成するのが不安な場合、司法書士などの専門家に依頼することができます。

4遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

合意がきちんと文書になっているからこそ、トラブルが防止できるといえます。

書き方に不備があると、トラブルを起こしてしまう危険があります。

もともとトラブルの火種があるのなら、いっそう慎重になる必要があります。

遺産分割協議書は公正証書にしなくても済むことが多いものですが、慎重を期して公正証書にした方がいい場合があります。

せっかくお話合いによる合意ができたのに、その後にトラブルになるのは残念なことだからです。

公正証書にするためには、手間と費用がかかります。

公正証書にする手間と費用を惜しむと、裁判をするなど大きな手間と高額な費用を負担することになります。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を公正証書にしたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

遺産分割協議は債務不履行で解除ができない

2025-09-17

1相続財産の分け方は5種類ある

分け方①現物分割

相続財産には、いろいろな財産が含まれています。

不動産のように分けにくい財産もあるし、金銭のように分けやすい財産もあります。

相続財産の大部分が、不動産のような分けにくい財産で場合、相続財産の分け方についての合意が難しくなるでしょう。

現物分割とは、広大な土地などを相続人の人数で分割して、相続する方法です。

広大な土地でないと、実現しにくい方法です。

もともと広大な土地であれば、現物分割をしても問題がないでしょう。

極端に小さい土地になると使い勝手が悪くなります。

不動産の価値が下がってしまいます。

あまり現実的ではないかもしれません。

分け方②代償分割

代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続し、残りの相続人は不動産を相続した人からその分のお金をもらう方法です。

土地を分割するわけではないので、極端に小さな土地になって価値が下がる心配はありません。

代償分割では、不動産を相続する相続人が他の相続人に払うお金を用意する必要があります。

不動産は、一般的に重要な財産であることが多いでしょう。

相続財産の大部分が不動産で、かつ、値段の高い不動産だった場合、代償金が用意できないかもしれません。

不動産の値段をいくらと考えてお金を払うことにするのか、話し合いがまとまらないおそれがあります。

相続人のうちだれが現実に不動産を相続することにするのか、話し合いがまとまらないおそれがあります。

分け方③換価分割

換価分割とは、不動産を売却してお金に換えた後、お金を分ける方法です。

実際に売れてから、お金で分ける方法です。

不動産の値段をいくらと考えるか、だれが実際に不動産を相続するのかで話し合いがまとまらないという心配はありません。

せっかく家族が守ってきた不動産を手放すことへの罪悪感にかられるかもしれません。

売却することに対して、相続人全員の話し合いがまとまらないおそれがあります。

売却しようとしたのに買い手がつかないと、相続手続が長引くおそれがあります。

分け方④共有

共有とは、相続人全員で共有する方法です。

共有は、最も公平に見えやすいでしょう。

相続人全員で相続財産の分け方について話し合いによる合意ができない場合、共有が選ばれることがあります。

共有は弊害が多く、安易に共有にする方法はもっとも避けるべきです。

共有にした場合、共有者全員の同意がなければ売却することはできません。

共有者が死亡したら、相続が発生して関係者が増えることが予想されます。

関係者が多くなればなるほど、権利関係が複雑になります。

共有はデメリットが大きいから、後々、共有物分割をしようという話になるでしょう。

結局のところ、問題の先送りになるだけです。

相続トラブルが長期化しますから、家族の絆が壊されてしまいます。

分け方⑤用益権の設定による分割

用益権とは、不動産を自分で使ったり、人に貸して賃料を得たりする権利です。

用益権の設定による分割とは、一部の相続人に使う権利を設定して、他の相続人が使う権利のない所有権を相続する方法です。

家族が守ってきた不動産を手放すことなく相続ができます。

相続人のうち、だれが使う権利を得るのか、話し合いがまとまらないおそれがあります。

使う権利のない所有権をだれが相続するのか、、話し合いがまとまらないおそれがあります。

2債務不履行があっても一方的解除はできない

①代償分割の代償金を払ってくれない

相続財産の分け方について相続人全員の話し合いがまとまった場合、合意内容どおりに相続財産を受け取ります。

不動産のように高額で分けにくい財産を受け取った人は、自己の固有の財産から金銭を支払うことで調整することがあります。

一般的な売買契約において、代金を支払わない場合、契約を解除することができます。

相続財産においては、このような解除制度はありません。

いったん相続財産の分け方を相続人全員で合意した場合、遺産分割協議は終了します。

遺産分割協議が終了した後は、代償金を支払う人と受け取る人の問題になります。

金銭を支払う人と受け取る人の話し合いで解決を図ります。

代償金を支払うと約束した人が支払ってくれなくても、相続財産の分け方の合意をなかったことにはできません。

相続財産の分け方の合意において、代償金の支払が重要な要素であっても債務不履行を理由として解除することはできません。

代償分割の代償金を払ってくれない場合でも、一方的解除はできません。

②遺産分割で決めた負担を履行しない

相続財産の分け方を決める際に、一部の相続人が負担をつけて、他の相続人より多くの財産を受け取る合意をする場合があります。

例えば、親の介護をすることを条件に財産を多く受け取るケースです。

他の相続人より多くの財産を受け取った相続人が負担を履行しない場合があります。

財産を多く受け取った相続人が充分に親の介護をしていないと、不満に思うこともあるでしょう。

親の介護を充分にしていなくても、相続財産の分け方の合意をなかったことにはできません。

いったん相続財産の分け方を相続人全員で合意した場合、遺産分割協議は終了するからです。

遺産分割で決めた負担を履行しない場合でも、一方的解除はできません。

③相続債務の履行をしない

被相続人がマイナスの財産を残していることがあります。

例えば、相続財産に自宅と自宅の住宅ローンがある場合です。

相続財産というと、プラスの財産だけをイメージしがちです。

プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も相続財産です。

自宅と自宅の住宅ローンがある場合、一部の相続人が住宅ローンの支払をすることを約束して自宅を受け継ぐ合意をするでしょう。

自宅を受け継ぐ相続人が住宅ローンの支払いをする約束は、相続人間の内部的合意事項です。

相続人の内輪の合意事項だから、銀行には関係ない話です。

相続人間の合意事項に関係なく、銀行は相続人全員に対して法定相続分で住宅ローンの支払いを請求することができます。

自宅を受け継いだ相続人が住宅ローンを支払う約束をしたからと言って、住宅ローンの支払いを拒むことはできません。

遺産分割協議書に「自宅を引き継ぐ人が住宅ローンを引き継ぐ」と記載して相続人全員が署名して実印押印しても銀行には関係ありません。

自宅を受け継いだのに住宅ローンを支払わない場合であっても、相続財産の分け方の合意をなかったことにはできません。

相続債務の履行をしない場合でも、一方的解除はできません。

3相続人全員で遺産分割協議の合意解除ができる

相続財産の分け方について、相続人全員で合意したら、確定して話し合いは終了になります。

相続人全員で合意して、相続財産の分け方が確定します。

その後に相続人が死亡しても、遺産分割協議のやり直しはできません。

例外は、相続人全員がやり直しに合意している場合です。

相続人全員が別の分け方の方が良かったと納得している場合です。

一部の相続人が遺産分割協議を法定解除をすることはできません。

法定解除とは、契約などで義務を負担する約束をしたのに履行されない場合に相手方が契約を一方的に解除することです。

遺産分割協議で約束したことを履行しない場合、他の相続人は遺産分割協議を一方的に解除することはできません。

遺産分割協議を相続人全員で合意解除をすることができます。

4遺産分割協議のやり直しの注意点

①第三者に渡った財産は取り返せない

当初の遺産分割協議で、財産を受け取った人が第三者に財産を譲渡している場合があります。

相続財産の分け方の合意をやり直すことはできても、第三者に渡ってしまった財産そのものは取り返せません。

当初の遺産分割から長時間経過した後に遺産分割のやり直しをする場合、財産状況が大きく変わっているおそれがあります。

遺産分割のやり直しまでに、財産を受け取った相続人が相続財産を使ってしまうからです。

遺産分割協議は、相続が開始したときの相続財産を前提に話し合います。

財産状況が大きく変わると混乱して、話し合いがつかなくなるおそれがあります。

②やり直しで不動産の名義が変わると名義変更が必要になる

当初の遺産分割協議で不動産に相続登記がされているでしょう。

やり直しをしたことによって別の人が相続することになった場合、あらためて名義変更が必要です。

当初の相続登記を取り消して、新たな遺産分割に基づく相続登記をします。

③税金の負担がある

相続財産の分け方の合意をやり直す場合、当初の課税が撤回されるわけではありません。

それどころか、新たな相続人間の合意は新たな財産の譲渡や贈与があったとされます。

高額な税金が追加で、課税されることになります。

相続財産の分け方について、相続人全員で話し合いによる合意をする必要があります。

新たに高額な課税があることを承知したうえで、相続人全員が合意しておくことが重要です。

5遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

前提として、話し合いによる合意ができていなければ、文書にできません。

内容よりもとにかく文書さえあればいいという意識の低い人がいるのも事実です。

遺言書がなければ、遺産分割協議書は不可欠になると言って差し支えありません。

悪いようにしないからとにかく印鑑を押せとか、相続税の申告期限をちらつかせて押印を迫るとか、他に財産はないからと言われてトラブルになることも多いものです。

有効な話し合いによる合意があって、有効な合意を文書に取りまとめるから、トラブルを防ぐことができるのです。

相続財産を分け方について相続人全員で合意すると、原則としてやり直しができません。

やり直しができる例外を紹介しましたが、他の相続人にとっては、合意を取り消すなど納得できないことも多いでしょう。

このような場合、証拠を用意して裁判所に持ち込むことになるでしょう。

裁判所で争うとなると、一般の人にとっては荷が重いので、弁護士に依頼することになります。

一方に弁護士がついたら、一般の人は対応しきれませんから弁護士に依頼することになるでしょう。

弁護士は依頼人の利益最大化のために働きますから、家族の絆が壊されてしまいます。

悪いようにしないからとにかく印鑑を押せとか、相続税の申告期限をちらつかせて押印を迫るとか、納得できないときには、合意していないことをきちんと伝えましょう。

司法書士は合意を確認して書類を作成しています。

申告期限のために、とにかく書類だけ作るなど絶対にやめましょう。

適切な遺産分割協議書を作り、家族のトラブルを避けたい方は、司法書士などの専門家にサポートを依頼することをおすすめします。

遺産分割協議書に金額を書かない

2025-08-28

1遺産分割協議書の基本的な書き方

①遺産分割協議書は手書きで作ってもいい

遺産分割協議書は、相続財産の分け方について相続人全員の合意内容を取りまとめた文書です。

合意内容が明らかにされればよく、定められた形式はありません。

紙の大きさや厚さなども、制限はありません。

手書きで作ってもパソコン等で作っても差し支えありません。

②遺産分割協議は相続人全員の合意で

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

必ず、相続人全員でなければなりません。

一部の相続人を含めずに、合意をしても無効になります。

疎遠であっても、行方不明であっても、認知症であっても、未成年であっても、相続人全員の同意が必要です。

未成年や認知症などで物事のメリットデメリットを充分判断できない人や行方不明の人がいる場合は家庭裁判所に代わりの人を選んでもらいます。

家庭裁判所に選ばれた人と合意し、記名押印をしてもらいます。

住所と氏名は、印鑑証明書の記載どおり一字一句間違いなく書きます。

遺産分割協議書は、実印で押印します。

印鑑証明書と異なる印影の場合、相続手続が進まなくなります。

実印を持っていない相続人は市町村役場で印鑑登録をして、その印章で押印します。

③不動産と預貯金は別々に遺産分割協議書を作ってもいい

遺産分割協議書は、すべての財産についてまとめて作成してもいいし、一部の財産について作成しても構いません。

まとめて作成した遺産分割協議書も、一部の財産についてだけ作成した遺産分割協議書も有効です。

不動産だけ記載した遺産分割協議書の他に、銀行の預貯金だけ記載した遺産分割協議書があることがあります。

相続登記用の遺産分割協議書の場合、不動産だけ記載した遺産分割協議書を作るのが通例です。

一部の不動産を売却する場合、売却する不動産についてだけ先に合意するでしょう。

売却する不動産だけ記載した遺産分割協議書を作ることはよくあります。

相続財産すべてについて合意したと相続人全員が考えて遺産分割協議書を作成した後で、新たに財産が見つかることがあります。

新たな財産について、あらためて相続人全員で合意します。

新たな財産だけ記載した遺産分割協議書を作成します。

新たな財産が重要財産であって、かつ、新たな財産の存在を知っていたら当初の遺産分割の合意をしなかったと言えるような場合、当初の遺産分割協議は無効になります。

④遺産分割協議書が複数枚に渡る場合は割印・契印

遺産分割協議書を作成する場合、1枚に書き切れないケースがあります。

1枚に書き切れない場合、相続人全員の実印で契印を施します。

袋とじにして、相続人全員の実印で割印・契印をしても構いません。

⑤遺産分割協議書に生命保険の死亡保険金は記載不要

生命保険の死亡保険金は、受取人が相続人になっているでしょう。

生命保険の死亡保険金は、保険契約に基づいて相続人が受け取るものです。

被相続人が生前に、自分の死亡保険金を受け取る権利を取得することはありません。

死亡保険金を受け取る権利は、被相続人から受け継ぐものではありません。

生命保険の死亡保険金を受け取る権利は、相続人の固有の財産です。

相続財産ではないから、相続人で分け方を決めるものではありません。

遺産分割協議書に生命保険の死亡保険金について記載する必要はありません。

2遺産分割協議書に金額を書かない

①遺産分割協議書で相続人全員の合意内容を証明する

遺産分割協議書は、相続財産の分け方について相続人全員の合意内容を取りまとめた文書です。

相続財産の分け方とは、どの財産をどの相続人が相続するかです。

遺産分割協議書には、財産を特定して記載することが重要です。

財産が特定できれば、金額を記載することは重要ではありません。

〇〇銀行〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇〇

例えば、上記のような記載があれば充分に財産を特定することができます。

金額を記載しても金額を記載しなくても、問題はありません。

②少額の現金は遺産分割協議書に書かないことが多い

自宅などに被相続人が手元現金を置いていることがあります。

被相続人の手元現金であれば相続財産だから、分け方の合意が必要です。

少額の現金であれば、わざわざ遺産分割協議書に記載しないことが多いものです。

遺産分割協議書にすべての財産が記載されていなくても、遺産分割協議書が無効になることはありません。

自宅や金庫から大量の現金が見つかった場合、遺産分割協議書に記載した方がいいでしょう。

③遺産分割協議書に金額を書かないときの記載例

相続財産中、次の被相続人名義の財産については、相続人〇〇〇〇が相続する。

金融機関名 〇〇銀行 〇〇支店

預金種別  普通預金

口座番号  〇〇〇〇〇〇〇

金融機関名 〇〇銀行 〇〇支店

預金種別  定期預金

口座番号  〇〇〇〇〇〇〇

金融機関名 ゆうちょ銀行

通常貯金

記号   〇〇〇〇〇

番号   〇〇〇〇〇〇〇

④遺産分割協議書に金額を書くときの記載例

相続財産中、次の被相続人名義の財産については、相続人○○○○が相続する。

金融機関名 〇〇銀行 〇〇支店

預金種別  普通預金

口座番号  〇〇〇〇〇〇〇

令和〇年〇月〇日現在残高〇〇〇〇〇〇円及び相続開始後に生じた利息その他の果実

金融機関名 〇〇銀行 〇〇支店

預金種別  定期預金

口座番号  〇〇〇〇〇〇〇

令和〇年〇月〇日現在残高〇〇〇〇〇〇円及び相続開始後に生じた利息その他の果実

金融機関名 ゆうちょ銀行

通常貯金

記号   〇〇〇〇〇

番号   〇〇〇〇〇〇〇

令和〇年〇月〇日現在残高〇〇〇〇〇〇円及び相続開始後に生じた利息その他の果実

⑤ひとつの預金を複数の相続人が分割して相続するときの記載例

相続財産中、次の被相続人名義の財産については、相続人〇〇〇〇が3分の2、相続人◇◇◇◇が3分の1の割合で相続する。

1円未満の端数があるときは、相続人〇〇〇〇が相続する。

相続人〇〇〇〇が代表して、預金の解約払戻の手続をする。

相続人〇〇〇〇は、相続人◇◇◇◇の相続分を相続人◇◇◇◇が指定する口座に振込の方法により引渡す。

振込手数料は、相続人◇◇◇◇が負担する。

金融機関名 〇〇銀行 〇〇支店

預金種別  普通預金

口座番号  〇〇〇〇〇〇〇

⑥遺産分割協議書に金額を書くときのメリット

遺産分割協議書に金額を記載すると、いくらの財産を受け取ったのか明確になります。

分かりやすくなるのがメリットと言えるでしょう。

相続財産は、現金や預貯金のみではありません。

評価の難しい財産が相続財産に含まれる場合があります。

例えば、不動産をいくらと考えるのか評価方法は何通りもあります。

どの評価方法で不動産を評価するのが適切なのかは、一概に言えません。

例えば、株式など評価額が変動する財産が相続財産に含まれる場合があります。

いつの評価額が適切なのかは、一概に言えません。

相続財産が預貯金や現金のみであれば、分かりやすい遺産分割協議書になります。

現金や預貯金を相続した場合だけ、明確にしてもあまり意味はないでしょう。

⑦遺産分割協議書に金額を書くときのデメリット

遺産分割協議書を作成した後、相続手続をすることになります。

遺産分割協議書を作成した時点と相続手続をする時点で、金額が変動することがあります。

口座凍結がされていなければ、振込や引き落としがあるかもしれません。

利息が付く場合があります。

金額が違う場合、金融機関によっては相続手続ができなくなる場合があります。

そのままで相続手続ができない場合、訂正する手間と時間がかかります。

4 預貯金を代償分割することができる

①代償分割とは

代償分割は、相続財産の分け方のひとつです。

一部の相続人が財産を相続し、残りの相続人は相続した人から、その分のお金をもらう方法

です。

不動産などで代償分割することが多いです。

預貯金などの口座がたくさんある場合、ひとつひとつ分割すると手数がかかります。

代償分割をすると、代表相続人の手間を軽減することができます。

②代償分割であることをはっきり記載する

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

遺産分割協議書にはっきり書くことで、紛争を防止することができます。

代償分割の場合、次のことを明示するといいでしょう。

(1)代償分割でどの相続人が財産を相続するか

(2)代償分割でだれからだれに代償が支払われるか

遺産分割協議書に代償分割をすることをはっきり書くことが大切です。

遺産分割の一環であることを示すことができるからです。

遺産分割協議書に代償分割をすることが書いてない場合、単なる贈与であると判断されかねません。

単なる贈与と判断された場合、金額によっては贈与税が課されることになります。

贈与税は、想像以上に高額になりがちです。

③代償分割するときの記載例

第〇条

相続財産中、次の被相続人名義の財産については、相続人〇〇〇〇が相続する。

金融機関名 〇〇銀行 〇〇支店

預金種別  普通預金

口座番号  〇〇〇〇〇〇〇

第□条

相続人〇〇〇〇は第〇条に記載された財産を取得する代償として、相続人□□□□に対して金〇〇万円を令和□年□月□日限り、相続人□□□□が指定する口座に振込の方法により引渡す。

振込手数料は、相続人□□□□が負担する。

④遺産分割協議書を公正証書にすれば強制執行ができる

代償分割とは、一部の相続人が財産を相続し、残りの相続人は相続した人から、その分のお金をもらう方法です。

相続人同士の関係性が良くない場合、代償金を払うのが惜しくなるかもしれません。

売買契約などで買主が売買代金を支払わない場合、売主は売買契約を解除することができます。

遺産分割協議では、代償金を支払わない場合でも遺産分割協議を解除することはできません。

代償分割をする場合、代償金をきちんと支払ってもらうことが重要になります。

遺産分割協議書を公正証書にした場合、強制執行をすることができます。

代償金の支払いがない場合、裁判で勝訴判決などの債務名義を得なくても強制執行をすることができます。

代償金を支払ってもらう人にとっては、公正証書にすることは心強いものと言えるでしょう。

5遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

合意がきちんと文書になっているからこそ、トラブルが防止できるといえます。

書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。

せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

代償分割で代償金の決め方

2025-07-24

1代償分割で公平な相続が期待できる

①代償分割は代償金を払ってもらう方法

相続財産には、いろいろな財産が含まれています。

不動産のように分けにくい財産もあるし、金銭のように分けやすい財産もあります。

相続財産の大部分が不動産のような分けにくい財産の場合、相続財産の分け方についての合意が難しくなるでしょう。

相続財産の大部分が不動産のような分けにくい財産の場合、代償分割をすることで合意ができる場合があります。

代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続し、残りの相続人は不動産を相続した人から、その分のお金をもらう方法です。

②代償分割のメリット

(1)共有のトラブルを防ぐことができる

不動産のような分けにくい財産を平等に分けたい場合、共有にする方法が思い浮かぶかもしれません。

不動産を共有にした場合、活用方法や処分方法について共有者間で合意ができなくなるおそれがあります。

代償分割をする場合、不動産を単独所有にすることができます。

共有のトラブルを防ぐことができます。

(2)不動産を処分しなくてよい

換価分割の場合、不動産を手放してお金に換えた後、お金で分けます。

不動産に相続人の思い入れのある場合、手放すことに罪悪感を感じてしまうかもしれません。

代償分割では、不動産自体を処分することはありません。

(3)不動産の利活用がしやすい

現物分割の場合、現物の不動産を分割します。

極端に小さな土地になると、利活用が難しくなるでしょう。

利活用できない不動産は、価値が下がる心配があります。

③代償分割のデメリット

(1)不動産の評価額を決めるのが難しい

代償分割をする場合、換価分割と違って実際に不動産を処分するわけではありません。

不動産の評価に対する考え方は、いくつもあります。

不動産をいくらと考えて代償分割をするのか、相続人間の合意がまとまらないおそれがあります。

代償金を払う人から見れば、不動産の価値は低い方が有利です。

代償金を受け取る人から見れば、不動産の価値は高い方が有利です。

(2)代償金を準備する必要がある

代償分割をする場合、不動産を相続する人が代償金を払わなければなりません。

もともと住んでいた自宅の名義書き換えのために、代償金を払うことに納得できなくなるかもしれません。

2代償分割で代償金の決め方

①代償金は相続人全員の合意で決定

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

相続人が相続する財産が相続財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

相続財産の分け方を決めるための相続人全員による話し合いを遺産分割協議と言います。

相続財産を分ける方法は、複数あります。

代償分割は、相続財産を分ける方法のひとつです。

どのような方法で相続財産を分けるのか、相続人全員の合意で決定します。

代償分割をすると決めた後も、代償金をいくらにするのか相続人全員の合意で決定します。

代償金をいくらにするのかは、遺産分割協議の一部だからです。

②代償は金銭以外でもよい

代償金とは、代償分割をするときに支払われる対価です。

対価は、金銭で支払われることが大部分です。

金銭で支払われることが多いので、代償金と言っているだけです。

相続人全員の合意ができるのであれば、金銭に限られません。

有価証券、株式、不動産などでも、差し支えありません。

例えば、代償分割で相続財産から高価な不動産を相続することがあります。

不動産を相続する人が対価として固有の財産から株式を譲渡するケースです。

③不動産の評価方法は複数ある

不動産は、分けにくい財産の代表例です。

相続財産の大部分が不動産である場合、代償分割は有効です。

公平な遺産分割を実現しやすいからです。

不動産の評価方法は、複数あります。

代償分割の対象が不動産である場合、不動産の評価額をいくらと考えるかで話し合いがまとまらないおそれがあります。

不動産には、次の評価方法があります。

(1)公示地価

(2)相続税評価額(路線価方式)

(3)固定資産税評価額

(4)時価

(5)鑑定評価額

どの評価方法を採用するのか、相続人全員の合意で決定します。

どの評価方法を採用するのか決められないと、不動産の評価額をいくらと考えるか決められなくなります。

不動産の評価額をいくらと考えるか決められないと、代償金を決めることが難しくなります。

④高額過ぎる代償金に贈与税

代償金をいくらにするのか、相続人全員の合意で決定します。

相続人全員の合意で代償金を支払う場合でも、実質的に代償金でないことがあります。

代償分割は、分けにくい財産を相続した相続人が他の相続人に代償金を払う分割方法です。

分けにくい財産の評価額を大幅に超える代償金を払う合意をした場合、実質的に代償金とは認められないでしょう。

代償金名目の贈与と判断されるおそれがあります。

例えば、相続財産が自宅1000万円のみで、相続人が長男と次男の2人の場合があります。

自宅を長男が相続した場合、長男が固有の財産から500万円程度の代償金を支払うのであれば問題はありません。

長男が固有の財産から2000万円の代償金を支払う場合、代償金名目の贈与と判断されるでしょう。

例えば、自宅1000万円を長男が相続した場合で、かつ、次男が生命保険の死亡保険金3000万円を受け取っている場合があります。

次男から長男へ1000万円支払うのが平等に見えるかもしれません。

次男が生命保険の死亡保険金を受け取った後、長男に1000万円支払った場合、代償金とは認められないでしょう。

生命保険の死亡保険金は受取人の固有の財産であって、相続財産ではないからです。

相続による遺産分割とは無関係に、贈与があったと言えます。

遺産分割協議書に代償金と明記しても、実質的に代償金とは認められません。

次男が生命保険の死亡保険金を受け取った後、長男に1000万円支払うこと自体はできないことではありません。

自分の固有の財産は、自由に贈与をすることができるからです。

自分の固有の財産を贈与した場合、金額によっては贈与税が課されます。

3代償分割をするときの遺産分割協議書の書き方

①金銭で代償を支払うときの記載例

第1条

相続財産中、次の不動産については、相続人○○○○が相続する。

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 200㎡

第2条

相続人○○○○は前条に記載された財産を取得する代償として、相続人□□□□に対して金○○万円を令和□年□月□日限り、以下の口座に振込みの方法により支払う。

振込手数料は、相続人○○○○が負担する。

□□銀行□□支店

普通預金

口座番号□□□□□□□

口座名義人 □□□□

②固有の不動産で代償を支払うときの記載例

第1条

相続財産中、次の不動産については、相続人○○○○が相続する。

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 200㎡

第2条

相続人○○○○は前条に記載された財産を取得する代償として、相続人□□□□に対して相続人○○○○所有の下記不動産を譲渡する。

所有権移転登記手続は、令和□年□月□日までにする。

登録免許税、司法書士報酬等所有権移転のための費用は、相続人○○○○の負担とする。

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○○番

地目 宅地

地積 ○○平方メートル

③遺産分割協議書に記載がないと贈与税

代償金とは、代償分割をするときに支払われる対価です。

代償金の支払いは、遺産分割の一環です。

代償金の支払いによって、贈与税が課されることはありません。

遺産分割協議書に代償金の支払いである点が明示されていない場合、単なる贈与と判断されるでしょう。

単なる贈与と見なされた場合、贈与税の対象になります。

一般的に、贈与税は想像以上に高額になります。

4遺産分割協議書を公正証書にできる

①遺産分割協議は一方的解除ができない

代償分割は、分けにくい財産を相続した相続人が他の相続人に代償金を払う分割方法です。

代償金を支払ってもらえるから、分け方の合意をしたでしょう。

代償金が高額になる場合、代償金を払うと約束しても実現できなくなることがあります。

代償金を払ってもらえないのなら、合意をしなかったでしょう。

遺産分割協議をやり直したいと考えるかもしれません。

一般的に、売買契約などでは買主が売買代金を支払わない場合、一方的に契約解除をすることができます。

遺産分割協議では、一方的に解除する制度はありません。

代償金を支払ってもらえない場合、当事者間の話し合いになります。

遺産分割協議は、一方的解除ができません。

②公正証書にすると強制執行ができる

相続財産の分け方について相続人全員の合意がまとまった場合、合意内容を書面に取りまとめます。

相続人全員の合意内容を取りまとめた書面を遺産分割協議書と言います。

遺産分割協議書は、当事者が作成することが多いでしょう。

遺産分割協議書は、公証役場で公正証書にしてもらうことができます。

代償分割をする場合、代償金の支払いの合意をしています。

公正証書を作成するときは、公証人が関与します。

遺産分割協議書を公正証書にする場合、公証人が本人確認と本人の意思確認をします。

後になって、だまされたから白紙にしたいと言っても、認められることはほとんどありません。

遺産分割協議書を公正証書にする場合、金銭の支払いをする点だけでなく支払いをしなかったときのことを書いてもらうことができます。

相続人○○が上記金銭の支払いをしなかったときは、直ちに強制執行に服する旨を認諾した。

上記のような文言がある場合、公正証書で強制執行をすることができます。

お金を払ってもらう人にとっては、心強いものと言えます。

公正証書でない遺産分割協議書では、強制執行ができません。

強制執行をするためには、裁判所で訴訟をして勝訴判決などの債務名義を得る必要があります。

約束したお金を払ってもらうために裁判をしなければならないとなるとハードルが高いものです。

遺産分割協議書を公正証書にすると、裁判をすることなく直ちに強制執行することができます。

5金銭以外で代償を支払うときに譲渡所得税

代償分割をするとき、金銭以外で代償を支払うことができます。

不動産や有価証券で代償を支払う場合、譲渡所得税の対象になります。

代償分割で不動産や有価証券を譲渡する場合、相続開始時の時価で売却したとみなされるからです。

不動産や有価証券を取得したときから値上がり益がある場合、譲渡所得の対象になります。

譲渡所得税は、代償として譲渡する人に課されます。

6遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

合意がきちんと文書になっているからこそ、トラブルが防止できるといえます。

書き方に不備があると、トラブルを起こしてしまう危険があります。

もともとトラブルの火種があるのなら、いっそう慎重になる必要があります。

遺産分割協議書は公正証書にしなくても済むことが多いものですが、慎重を期して公正証書にした方がいい場合があります。

せっかくお話合いによる合意ができたのに、その後にトラブルになるのは残念なことだからです。

公正証書にするためには、手間と費用がかかります。

公正証書にする手間と費用を惜しむと、裁判をするなど大きな手間と高額な費用を負担することになります。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を公正証書にしたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

遺産分割協議書の提出先

2025-07-24

1遺産分割協議書は相続人全員の合意内容の証明書

①相続人全員の合意で遺産分割協議成立

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。

一部の相続人を含めずに合意しても、無効の合意です。

相続人全員の合意で、遺産分割協議は成立します。

②遺産分割協議書のコピーは使えない

相続手続をする場合、遺産分割協議書や印鑑証明書を提出します。

遺産分割協議書や印鑑証明書は、原本を提出します。

遺産分割協議書や印鑑証明書のコピーを提出しても、受け付けてもらえません。

③遺産分割協議書の原本は返してもらえる

遺産分割協議書や印鑑証明書を提出した場合、原本は返してもらえます。

原本還付の手続は提出先によって異なるから、確認して対応します。

法務局などではコピーを取って原本に相違ありませんと記載したうえ、記名押印を求められます。

金融機関などでは、次の方法が多いでしょう。

・提出先でコピーを取るので、コピーの提出不要

・コピーを提出するだけで、原本に相違ありませんなどの記載をしない

④提出先ごとに遺産分割協議書を作成できる

遺産分割協議書は、相続財産すべてについて1通で作成することが多いでしょう。

一部の財産の分け方についてだけ記載しても、遺産分割協議書は有効です。

一部の財産の分け方についてだけ、合意することがあるからです。

例えば、不動産の分け方について合意した場合、不動産だけの遺産分割協議書を作成することができます。

他に預貯金があっても、不動産だけの遺産分割協議書は無効になりません。

不動産だけの遺産分割協議書で、相続登記を進めることができます。

預貯金だけの遺産分割協議書で、預貯金口座の凍結解除をすることができます。

さらに、銀行ごとに遺産分割協議書を作成することができます。

預貯金口座の凍結解除では、1か月以上かかることがあります。

銀行ごとの遺産分割協議書を作成すると、同時進行で相続手続を進めることができます。

提出先ごとに遺産分割協議書を作成すると、相続手続が速やかに完了します。

⑤遺産分割協議書だけでは相続手続ができない

相続手続では、たくさんの書類が必要になります。

相続手続では、次の書類が必要になります。

・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本

・相続人全員の現在戸籍

たくさんの戸籍謄本に代わりに、法定相続情報一覧図があると便利です。

法定相続情報一覧図は、戸籍謄本の内容を一目で分かるように家系図状に取りまとめた書類です。

戸籍謄本の内容を一目で分かるから、相続手続がスムーズになります。

2遺産分割協議書の提出先

①相続登記で法務局へ提出

被相続人が不動産を保有していた場合、不動産の名義変更をします。

相続登記とは、相続による不動産の名義変更です。

複数の相続人がいる場合、遺産分割協議で単独所有にするのがおすすめです。

不動産を共有すると、デメリットが大きいからです。

令和6年(2024年)4月1日から、相続登記には3年の期限が決められました。

3年以内に相続登記の義務を果たせないと、ペナルティーの対象になります。

ペナルティーの内容は、10万円以下の過料です。

未登記建物は、市区町村役場で手続します。

②預貯金口座の凍結解除で金融機関へ提出

銀行など預貯金口座の持ち主が死亡したら、口座は凍結されます。

口座凍結とは、口座取引を停止することです。

口座取引には、次のものがあります。

・ATMや窓口での引出

・公共料金などの引落し

・年金などの受取り

口座の預貯金は、相続財産です。

一部の相続人が口座の預貯金を独り占めすることは、許されることではありません。

相続人全員の合意ができるまで、預貯金口座は凍結されます。

預貯金口座の凍結に、期限はありません。

遺産分割協議書を提出するまで、口座凍結は続きます。

③自動車の名義変更で運輸支局へ提出

被相続人が自動車を保有していた場合、自動車の名義変更をします。

自動車の名義変更をする場合、原則として、遺産分割協議書の提出を求められます。

査定額が100万円以下の普通自動車は、遺産分割協議書の提出までは求められません。

遺産分割協議書の代わりに、遺産分割協議成立申立書を提出すれば済みます。

遺産分割協議成立申立書は、自動車を引き継ぐ相続人だけが記名し実印で押印します。

相続人全員の記名や実印での押印が不要になりますから、手続がカンタンになります。

書類の作成がカンタンになるだけで、相続人全員の合意が不要になるわけではありません。

相続人全員の合意は、不可欠です。

遺産分割協議が成立してから、15日以内に名義変更をする必要があります。

被相続人名義のままにすると、車検が受けられなくなり任意保険の更新ができなくなります。

④株式の名義変更で証券会社へ提出

被相続人が証券会社に口座を持っていた場合、相続手続が必要になります。

口座の持ち主が死亡したら、預貯金口座と同様に証券口座も凍結します。

株式の相続手続をする場合、株式を相続する人が口座を開設している必要があります。

証券口座の凍結に、期限はありません。

遺産分割協議書を提出するまで、口座凍結は続きます。

⑤相続税申告で税務署へ提出

相続財産全体の規模が一定以上である場合、相続税の対象になります。

相続税申告が必要になる人は、全体の10%にも満たないわずかな人です。

相続税には、基礎控除があるからです。

基礎控除額は、次の計算式で求められます。

基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の人数

基礎控除額を超す場合、相続税申告が必要になります。

遺産分割協議書などの書類とともに、相続税申告書を税務署に提出します。

相続税を軽減する特例の適用を受けるためには、遺産分割協議の成立が条件になっています。

相続税申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行います。

遺産分割協議が長引いても、期限が延びることはありません。

⑥遺産分割協議書の提出が不要のケース

(1)相続人が1人だけ

相続人になる人は、法律で決められています。

法律で決められた相続人が1人だけの場合、その相続人が相続財産すべて相続します。

遺産分割協議の余地は、ありません。

相続人が1人だけのケースでは、遺産分割協議書不要で相続手続をすることができます。

(2)遺言書で遺産分割

遺言書を作成して、遺産分割の方法を指定することができます。

遺言書がある場合、遺言書の内容どおり遺産分割をすることができます。

遺言書の内容どおり遺産分割をするから、相続人全員で分け方を決める必要はありません。

遺言書で遺産分割するケースでは、遺産分割協議書不要で相続手続をすることができます。

(3)相続人全員が法定相続分で共有

相続人が相続する相続分は、法律で決められています。

相続人全員が法定相続分で共有する遺産分割をすることができます。

相続人全員が共有するのは、デメリットが大きいのでおすすめできません。

相続人全員が法定相続分で共有するケースでは、遺産分割協議書不要で相続手続をすることができます。

(4)家庭裁判所の遺産分割調停や遺産分割審判

相続人全員の合意がないと、遺産分割協議は成立しません。

相続人がそれぞれの主張をして話し合いがまとまらないことがあります。

遺産分割調停とは、家庭裁判所のアドバイスを受けてする相続人全員の話し合いです。

家庭裁判所の調停委員から公平な意見を根拠にしてアドバイスがされると、納得できるかもしれません。

遺産分割調停で相続人全員が合意できたら、合意内容は調停調書に取りまとめます。

遺産分割調停で話し合いがまとまらない場合、遺産分割審判に移行します。

家庭裁判所が審判をして遺産分割をします。

家庭裁判所の遺産分割調停や遺産分割審判のケースでは、遺産分割協議書不要で相続手続をすることができます。

3遺産分割協議でよくあるトラブルと対処法

トラブル①遺産分割協議書に押印しない

(1)相続人が疎遠

相続財産の分け方は、疎遠な相続人も含めて合意する必要があります。

疎遠な相続人が遺産分割協議書に押印を拒むと、トラブルに発展します。

対処法は感情的にならずに、丁寧に話し合いをすることです。

(2)相続人が行方不明

相続財産の分け方は、行方不明の相続人も含めて合意する必要があります。

行方不明の相続人が遺産分割協議書に押印できないと、トラブルに発展します。

行方不明の相続人のため、家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらうことができます。

不在者財産管理人は、行方不明の相続人の代わりに遺産分割協議をすることができます。

対処法は、不在者財産管理人を選任してもらうことです。

(3)相続人が認知症

認知症になると、自分で遺産分割協議をすることができません。

物事のメリットデメリットを適切に判断できないからです。

相続財産の分け方は、認知症の相続人も含めて合意する必要があります。

認知症の相続人が遺産分割協議書に押印できないと、トラブルに発展します。

認知症の相続人のため、家庭裁判所に成年後見人を選任してもらうことができます。

成年後見人は、認知症の相続人の代わりに遺産分割協議をすることができます。

対処法は、成年後見人を選任してもらうことです。

(4)相続人が未成年

未成年者は、自分で遺産分割協議をすることができません。

物事のメリットデメリットを適切に判断できないからです。

未成年者が相続人になる場合、親などの親権者も相続人になるでしょう。

未成年者と親などの親権者が同時に相続人になる場合、親などの親権者は未成年者を代理することができません。

相続財産の分け方は、未成年の相続人も含めて合意する必要があります。

未成年の相続人が遺産分割協議書に押印できないと、トラブルに発展します。

未成年の相続人のため、家庭裁判所に特別代理人を選任してもらうことができます。

特別代理人は、未成年の相続人の代わりに遺産分割協議をすることができます。

対処法は、特別代理人を選任してもらうことです。

トラブル②合意内容に従わない

遺産分割協議で合意したのに、一部の相続人が合意内容に従わないことがあります。

代償分割で合意したのに、代償金を支払わないのが典型的です。

代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続し、残りの相続人は不動産を相続した人から、その分の代償をもらう方法です。

代償金を支払うと約束したから合意したのに、払ってもらえないと深刻なトラブルになります。

公正証書で遺産分割協議書を作成した場合、強制執行認諾文言を入れることができます。

強制執行認諾文言とは「代償金が支払わない場合、直ちに強制執行に服する」といった文言です。

対処法は、強制執行認諾文言入りの公正証書で遺産分割協議書を作成することです。

トラブル③後日新たな財産が見つかる

遺産分割が終わった後で、新たに相続財産が見つかることがあります。

新たに相続財産が見つかっても、前の遺産分割協議は無効になりません。

相続財産全部をまとめて、遺産分割する必要はないからです。

新たな財産だけの遺産分割協議をすることができます。

対処法は、新たな財産だけの遺産分割協議です。

4遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

合意がきちんと文書になっているからこそトラブルが防止できるといえます。

つまり、書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。

せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

遺言書記載の財産が見つからないときの対処法

2025-06-20

1遺言書記載の財産が見つからない原因

原因①財産を把握していないから

遺言書を作成する場合、すべての財産について記載するのが一般的です。

財産の抜け漏れがないように、財産調査をするでしょう。

遺言者が適切に財産を把握していないと、自分の財産でないのに遺言書に記載するかもしれません。

遺言者が適切に財産を把握していないと、遺言書に記載した財産が見つからない原因になります。

原因1つ目は、財産を把握していないからです。

原因②財産を処分したから

遺言書を作成しても、遺言者の財産は遺言者のものです。

遺言者は、自由に自分の財産を処分することができます。

例えば、持っていた不動産を自由に売却することができます。

持っていた預貯金口座を自由に解約することができます。

遺言書を作成した後に財産を処分すると、遺言書に記載した財産が見つからない原因になります。

原因2つ目は、財産を処分したからです。

原因③財産が特定できないから

遺言書を作成する場合、財産を特定して記載することが重要です。

例えば、銀行預金などの記載は、特定できません。

具体的な銀行名、支店名、口座種別、口座番号がないからです。

あいまいな記載をすると、遺言書に記載した財産が見つからない原因になります。

原因3つ目は、財産が特定できないからです。

原因④財産の情報が相続人に伝えてないから

被相続人と相続人が別居していると、被相続人の財産状況を詳しく知らないでしょう。

財産の保管場所や助剤状況について、何も知らないことがあります。

財産の情報が相続人に伝えてないと、遺言書に記載した財産が見つからない原因になります。

原因4つ目は、財産の情報が相続人に伝えてないからです。

原因⑤財産を隠されたから

財産の存在や財産の証拠となる書類が隠されることがあります。

財産を隠されると、遺言書に記載した財産が見つからない原因になります。

原因5つ目は、財産を隠されたからです。

2遺言書記載の財産が見つからないときの対処法

①不動産は名寄帳と登記簿謄本を取得

名寄帳とは、その人が所有する不動産の一覧表です。

名寄帳は、「なよせちょう」と読みます。

不動産を持っていると、固定資産税を納める必要があります。

市区町村は固定資産税を課税するために、固定資産税課税台帳を作成しています。

名寄帳は、固定資産税課税台帳を所有者ごとにまとめた書類です。

名寄帳を見ると、その人が所有する不動産をまとめて確認することができます。

名寄帳は、その人の重要な財産に関する書類です。

機密性の高い個人情報であることを考慮して、名寄帳を発行していない市町村があります。

名古屋市では、令和7年から名寄帳が発行されるようになりました。

名寄帳は、毎年1月1日現在の情報が記載されています。

現在の状況は、登記簿謄本を取得して確認します。

②預貯金は各金融機関に問合わせ

銀行などの預貯金口座は、日常生活に欠かせません。

多くの人が複数の口座を使い分けているでしょう。

希望すれば、銀行などの預貯金口座とマイナンバーを紐づけしておくことができます。

預貯金口座とマイナンバーを紐づけした場合、相続時照会をすることができます。

相続時照会とは、複数の金融機関の口座を一括して調査する制度です。

相続時照会には、手数料が必要です。

銀行などの預貯金口座とマイナンバーを紐づけする制度を預貯金口座付番制度と言います。

預貯金口座付番制度自体の知名度は、あまり高くありません。

預貯金口座付番制度を利用していないことがほとんどでしょう。

預貯金口座付番制度を利用していない場合、複数の金融機関の口座を一括して調査する方法はありません。

預貯金口座付番制度を利用していない場合、地道に各金融機関に口座の有無を確認します。

自宅近辺の金融機関を優先的に調査するといいでしょう。

自宅に保管してある書類や郵便物、メールなどの履歴が手掛かりになります。

③株式は証券保管振替機構へ照会

被相続人が株式投資をしていた場合、証券会社に口座を持っているでしょう。

自宅に保管してある書類や郵便物、メールなどの履歴から、証券会社に連絡するといいでしょう。

証券会社に、預かり資産残高証明書を発行してもらうことができます。

証券会社が見つからない場合、証券保管振替機構に照会することができます。

証券保管振替機構に登録済加入者の開示請求をすると、被相続人名義の証券口座がどこの証券会社にあるのか確認することができます。

④借金は信用情報機関に照会

相続財産には、プラスの財産とマイナスの財産があります。

マイナスの財産がある場合、借用書や借入残高明細書などが見つかるでしょう。

借用書や借入残高明細書から、債権者に連絡するといいでしょう。

債権者が見つからない場合、信用情報機関に照会することができます。

信用情報機関には、次の3つがあります。

・日本信用情報機構(JICC)

・株式会社シー・アイ・シー(CIC)

・全国銀行協会全国銀行個人信用情報センター

信用情報機関に照会すると、どこにどのような借金があるのか確認することができます。

莫大な借金が見つかった場合、3か月以内なら家庭裁判所で相続放棄をすることができます。

⑤司法書士などの専門家に相談

相続財産調査に知識がないと、難航しがちです。

手続が煩雑な場合、司法書士などの専門家に相談するのがおすすめです。

わずらわしい相続財産調査は、司法書士などの専門家におまかせすることができます。

⑥生前に処分された財産は相続できない

遺言書記載の財産が見つからない場合、被相続人が生前に処分していることがあります。

被相続人が生前に処分している場合、遺言書に記載してあっても財産を受け取ることができません。

被相続人が生前に処分したら、遺言書は撤回したと考えられます。

生前に処分された財産は、相続できません。

3遺言書に記載がない財産が見つかったときの対処法

①売却代金は自動で相続できない

遺言書を作成した後に、財産を取得することがあります。

作成後に取得した財産は、遺言書に何も書いてないことがほとんどでしょう。

例えば、「不動産〇〇を相続人〇〇〇〇に相続させる」遺言書が見つかったのに、不動産〇〇を生前に売却していることがあります。

被相続人が生前に処分している場合、遺言書に記載してあっても財産を受け取ることができません。

相続人〇〇〇〇は、不動産〇〇を相続することはできません。

不動産〇〇を生前に売却した場合、被相続人は売却代金を受け取っているはずです。

売却代金は、不動産〇〇とは別の財産です。

相続人〇〇〇〇は、売却代金を自動で受取ることはできません。

売却代金について、遺言書には何も書いてないからです。

②遺言書に記載がない財産があっても遺言書は有効

遺言書を作成して、財産の分け方を指定することができます。

一部の財産についてだけ分け方を指定しても、問題はありません。

遺言書に記載がない財産があっても、遺言書は有効です。

遺言書に記載がない財産だけ、遺産分割協議をすればいいからです。

③遺言書に記載がない財産は遺産分割協議

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方を決めるため相続人全員でする話し合いです。

売却代金の分け方について遺言書に何も書いてない場合、自動で相続できません。

相続人全員の合意があれば、相続人〇〇〇〇が相続することができます。

相続人〇〇〇〇が売却代金を受け取るには、相続人全員の合意が不可欠です。

④債権者は法定相続分で相続人全員に請求できる

遺言書に記載がない借金が見つかることがあります。

債務者が死亡しても、借金は帳消しになりません。

借金は、相続人全員に法定相続分で相続されます。

債権者は、相続人全員に法定相続分で借金の返済を請求することができます。

⑤相続人間で借金の負担割合を決めることができる

借金は、相続財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

借金の分け方は、相続人全員の合意で決定することができます。

借金の負担割合を相続人全員の合意で決めても、相続人間の内部的合意です。

債権者には関係ないから、法定相続分で借金の返済を請求することができます。

借金の負担割合を相続人全員の合意で決めたから借金の返済はしないと、文句を言うことはできません。

債権者に借金を返済した後で、借金を負担する相続人に請求することができます。

4遺言書記載の財産が見つからないトラブルの防止法

①遺言書作成前の財産確認

遺言書は、全財産について記載するのがおすすめです。

遺言書を作成する前に、預貯金、不動産、株式、有価証券などを洗い出します。

預貯金の通帳、権利証や登記簿謄本、預かり資産残高明細書などを準備して、財産を客観的に特定します。

トラブルの防止法1つ目は、遺言書作成前の財産確認です。

②財産を客観的特定できる記載

あいまいな記載をすると、遺言書に記載した財産が見つからない原因になります。

財産を客観的特定できる記載が重要です。

例えば、土地なら、所在と地番を記載します。

建物なら、所在と家屋番号を記載します。

土地や建物の登記簿謄本を取得して、登記簿謄本の記載を書き写します。

預貯金なら、銀行名、支店名、預金種別、口座番号を記載します。

通帳を見て、間違いなく書き写します。

トラブルの防止法2つ目は、財産を客観的特定できる記載です。

③遺言書の定期的な見直し

遺言書は、作成したら終わりではありません。

遺言書を作成しても、財産は遺言者のものだからです。

遺言者は、自分の財産を自由に処分することができます。

遺言書に記載した財産を処分したら、遺言書の書き直しがおすすめです。

遺言書は、何度でも書き直すことができます。

遺言書を書き直すときに、相続人などの同意は不要です。

遺言書を書き直すことで、より良い遺言書にすることができます。

トラブルの防止法3つ目は、遺言書の定期的な見直しです。

④家族と情報共有

財産の所在や遺言書を作成した事実は、家族と共有しておくことがおすすめです。

相続発生後に家族が混乱することを防止できるからです。

トラブルの防止法4つ目は、家族と情報共有です。

⑤専門家のサポートを活用

遺言書の作成は、司法書士などの専門家のサポートを受けることができます。

司法書士などの専門家のアドバイスを受けることで、トラブルになりにくい遺言書を作成することができます。

トラブルの防止法5つ目は、専門家のサポートを活用です。

5財産調査を司法書士に依頼するメリット

相続が発生したら、家族は大きな悲しみに包まれます。

大きい悲しみのなかで、もれなく迅速に相続財産を調査するのは身体的にも精神的にも大きな負担になります。

財産調査を司法書士などの専門家に依頼すれば、家族の疲れも軽減されるでしょう。

被相続人の財産は、相続人もあまり詳しく知らないという例が意外と多いものです。

悲しみの中で被相続人の築いてきた財産をたどるのは切なく、苦しい作業になります。

相続財産調査のためには、銀行などの金融機関からたくさんの書類の提出が求められます。

必要書類の取り寄せも含め、手続をおまかせいただけます。

仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続きを丸ごとおまかせできます。

財産調査でお疲れが出る前に、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

換価分割でよくあるトラブルと解決策

2025-03-31

1換価分割で公平な遺産分割

①換価分割は売却して金銭で分ける方法

相続財産には、いろいろな財産が含まれています。

不動産は、分けにくい財産です。

預貯金は、分けやすい財産です。

大部分が分けにくい財産の場合、相続財産の分け方についての合意が難しくなるでしょう。

分けにくい財産がある場合、換価分割で合意ができることがあります。

換価分割とは、分けにくい財産を売却して金銭に換えた後、金銭を分ける方法です。

換価分割で、公平な遺産分割をすることができます。

②換価分割がおすすめのケース

次のケースでは、換価分割がおすすめです。

(1)相続人間の公平を重視して遺産分割をしたいケース

(2)不動産の共有を避けたいケース

(3)相続税などの出費が予想されるケース

(4)遺産分割協議がまとまらないケース

③換価分割で相続登記は省略できない

相続登記をするためには、手間と時間がかかります。

相続登記を申請すると、登録免許税が課されます。

登録免許税は、不動産の評価額によって決まります。

評価額が高い不動産の相続登記では、登録免許税も高額になります。

相続した不動産を売却する場合、相続登記を省略したいと思うかもしれません。

相続登記を省略して、買主に所有権移転登記をすることはできません。

換価分割で、相続登記は省略できません。

2換価分割でよくあるトラブル

①売却の口約束を守らない

換価分割は、公平な遺産分割ができる方法です。

分けにくい財産を分けやすい金銭に代えて、遺産分割するからです。

売却したら金銭を分けると約束しても、守ってもらえないことがあります。

相続財産の大部分が実家だけであるケースは、少なくありません。

一部の相続人が相続財産である実家に住んでいることがあります

換価分割のため実家を売却すると、住む場所を失います。

売却しなければ、実家に住み続けることができます。

実家に住み続けるため、売却を先延ばしするでしょう。

売却したら金銭を分けると約束したのだから、売却できなければ何もしないでしょう。

実家に住んでいない相続人は、イライラします。

相続人間で大きなトラブルになるでしょう。

換価分割でよくあるトラブル1つ目は、売却の口約束を守らないことです。

②相続人間の合意が崩れる

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方を決める際に、相続人全員の合意で不動産を売却することを決めているでしょう。

一部の相続人は、時間をかけてでも高く売却したいと考えるかもしれません。

一部の相続人は、値下げしてでも早く売却したいと考えるかもしれません。

不動産を売却すると決めていても、長期間売れないと気持ちが揺らぎます。

そもそも売却しない方がいいと、考えるかもしれません。

相続人全員の合意が崩れると、換価分割を進めることができなくなります。

換価分割でよくあるトラブル2つ目は、相続人間の合意が崩れることです。

③売却代金を清算しない

換価分割は、売却代金を相続人で分ける方法です。

不動産を売却して売却代金を手にしたら、分割することが惜しくなることがあります。

他の相続人は売却活動に手間や時間をかけていないと、不満に思うでしょう。

実家に住んでいた相続人は住む場所を失うから、なおさらです。

売却代金で転居費用を支出したり新たな家具を購入したりします。

売却代金の清算を先延ばしすることがあります。

売却したのに約束どおり代金を分けてもらえないと、他の相続人はイライラします。

相続人間で大きなトラブルになるでしょう。

換価分割でよくあるトラブル3つ目は、売却代金を清算しないことです。

④代金を受け取った相続人に贈与税

換価分割では、不動産を売却した後に売却代金を分配します。

売却代金を分配するのは、本来、遺産分割の一環です。

遺産分割協議書が適切に作成されていれば、贈与と判断されることはないでしょう。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

遺産分割協議書は、相続財産の分け方について相続人全員の合意内容の証明書です。

遺産分割協議書が適切に作成されていないと、遺産分割の一環とは判断されないでしょう。

売却代金の分配は遺産分割のつもりなのに、単なる贈与と判断されます。

代金を受け取った相続人に、贈与税が課されるでしょう。

贈与税の基礎控除は、110万円です。

110万円を超えた部分に対して、贈与税が課されます。

贈与税は、想像以上に高額になりがちです。

遺産分割協議書が適切に作成されていないと、贈与税が課されます。

贈与税を回避するため、適切な遺産分割協議書作成が重要です。

換価分割でよくあるトラブル4つ目は、代金を受け取った相続人に贈与税が課されることです。

⑤代金を受け取った相続人に譲渡所得税

相続した不動産は、被相続人が取得してから値上がりしていることが多いでしょう。

不動産を売却すると、値上がり益を得ることができます。

譲渡所得とは、不動産などの財産を譲渡したことによる所得です。

譲渡所得が発生したら、確定申告をして譲渡所得税を納付します。

利益の額によって税金の額が変わるから、正しく申告する必要があります。

不動産の登記名義人にならなかった相続人は、確定申告と納税を怠りがちです。

換価分割でよくあるトラブル5つ目は、代金を受け取った相続人に譲渡所得税が課されることです。

3換価分割でトラブルを予防するヒント

①相続人の合意形成

遺産分割協議は、相続人全員の合意で決定します。

遺産分割協議において相続人の意向や事情を相続人全員で共有します。

相続人の相互理解が充分であると、相続人間の合意が崩れにくくなります。

換価分割でトラブルを予防するヒント1つ目は、相続人の合意形成です。

②詳細な遺産分割協議書を作成

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容を取りまとめた書面です。

不動産を売却する約束をしたら、合意内容に盛り込みます。

単なる売却の口約束は、守ってもらえないことが多いでしょう。

売却方法、価格設定、売却期限など、合意内容は詳細に記載します。

売却後に売却代金の分配方法を決めて、詳細に記載します。

遺産分割協議書に詳細に盛り込んであると、守ってもらいやすくなります。

換価分割でトラブルを予防するヒント2つ目は、詳細な遺産分割協議書を作成することです。

③遺産分割協議書の作成は専門家に依頼

遺産分割協議書は、適切に作成できるのであれば専門家以外の人が作成することができます。

適切に作成していないと、相続登記をすることができなくなるでしょう。

適切に作成していないと、贈与税が課されるでしょう。

換価分割でよくあるトラブルを予防するためには、司法書士などの専門家に作成依頼をすることがおすすめです。

換価分割でトラブルを予防するヒント3つ目は、遺産分割協議書の作成は専門家に依頼することです。

④売却準備に相続人が協力

不動産を売却するためには、さまざまな準備が必要になります。

実家の片付けが必要になることあるでしょう。

物件の修繕が必要になるかもしれません。

相続人が協力して、売却に向けて準備します。

換価分割でトラブルを予防するヒント4つ目は、売却準備に相続人が協力することです。

⑤柔軟な対応を準備

換価分割をすると相続人全員が合意しても、不動産が売れないことがあります。

需要が少なくても、長期間かけることで売却できるかもしれません。

値段を下げることで売却できるかもしれません。

需要がまったくない地域であれば、時間をかけても値下げしても売れないでしょう。

売却できない場合は、換価分割より代償分割がいいかもしれません。

代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続して他の相続人が代償金を受け取る方法です。

売却状況や市場動向について定期的に情報共有をすることで、柔軟な対応ができるでしょう。

柔軟な対応を準備することで、相続人間のトラブルを予防することができます。

換価分割でトラブルを予防するヒント5つ目は、柔軟な対応を準備することです。

4換価分割でトラブル発生時の解決策

①遺産分割協議のやり直し

相続人全員が合意したら、遺産分割協議が成立して話し合いは終了します。

遺産分割協議のやり直しには、相続人全員の合意が必要です。

換価分割の合意をしても、相続人全員の合意で遺産分割協議のやり直しをすることができます。

換価分割より代償分割がいいと相続人全員が納得しているようなケースです。

トラブル発生時の解決策1つ目は、遺産分割協議のやり直しをすることです。

②売却条件の見直し

換価分割をしたいと思っても、不動産が売れないことがあります。

売却が進まないのには、何かしら理由があるでしょう。

価格設定が高すぎるのなら、売却価格を見直します。

物件の状態が悪いのなら、必要な修繕や整理整頓をします。

買い手がつかないのなら、不動産業者を変更するといいかもしれません。

トラブル発生時の解決策2つ目は、売却条件の見直しです。

③家庭裁判所で遺産分割調停・遺産分割審判

遺産分割協議で、相続人が一方的な主張をして話し合いがまとまらないことがあります。

相続人だけで話し合っても、感情的になるだけかもしれません。

家庭裁判所の助力を得て、話し合いをすることができます。

遺産分割調停とは、家庭裁判所の調停委員が話し合いを助けてくれる制度です。

調停委員から公平なアドバイスを受けると、冷静に話し合いができるかもしれません。

遺産分割調停で、相続人全員の合意を目指します。

調停委員からアドバイスを受けても、一方的な主張をすると話し合いはまとまらないでしょう。

遺産分割調停が成立しない場合、裁判官が判断します。

遺産分割審判とは、裁判官が遺産分割を判断する方法です。

トラブル発生時の解決策3つ目は、家庭裁判所で遺産分割調停・遺産分割審判です。

5遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

合意がきちんと文書になっているからこそトラブルが防止できるといえます。

つまり、書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。

せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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