Archive for the ‘遺産分割協議’ Category
換価分割でよくあるトラブルと解決策
1換価分割で公平な遺産分割
①換価分割は売却して金銭で分ける方法
相続財産には、いろいろな財産が含まれています。
不動産は、分けにくい財産です。
預貯金は、分けやすい財産です。
大部分が分けにくい財産の場合、相続財産の分け方についての合意が難しくなるでしょう。
分けにくい財産がある場合、換価分割で合意ができることがあります。
換価分割とは、分けにくい財産を売却して金銭に換えた後、金銭を分ける方法です。
換価分割で、公平な遺産分割をすることができます。
②換価分割がおすすめのケース
次のケースでは、換価分割がおすすめです。
(1)相続人間の公平を重視して遺産分割をしたいケース
(2)不動産の共有を避けたいケース
(3)相続税などの出費が予想されるケース
(4)遺産分割協議がまとまらないケース
③換価分割で相続登記は省略できない
相続登記をするためには、手間と時間がかかります。
相続登記を申請すると、登録免許税が課されます。
登録免許税は、不動産の評価額によって決まります。
評価額が高い不動産の相続登記では、登録免許税も高額になります。
相続した不動産を売却する場合、相続登記を省略したいと思うかもしれません。
相続登記を省略して、買主に所有権移転登記をすることはできません。
換価分割で、相続登記は省略できません。
2換価分割でよくあるトラブル
①売却の口約束を守らない
換価分割は、公平な遺産分割ができる方法です。
分けにくい財産を分けやすい金銭に代えて、遺産分割するからです。
売却したら金銭を分けると約束しても、守ってもらえないことがあります。
相続財産の大部分が実家だけであるケースは、少なくありません。
一部の相続人が相続財産である実家に住んでいることがあります
換価分割のため実家を売却すると、住む場所を失います。
売却しなければ、実家に住み続けることができます。
実家に住み続けるため、売却を先延ばしするでしょう。
売却したら金銭を分けると約束したのだから、売却できなければ何もしないでしょう。
実家に住んでいない相続人は、イライラします。
相続人間で大きなトラブルになるでしょう。
換価分割でよくあるトラブル1つ目は、売却の口約束を守らないことです。
②相続人間の合意が崩れる
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方を決める際に、相続人全員の合意で不動産を売却することを決めているでしょう。
一部の相続人は、時間をかけてでも高く売却したいと考えるかもしれません。
一部の相続人は、値下げしてでも早く売却したいと考えるかもしれません。
不動産を売却すると決めていても、長期間売れないと気持ちが揺らぎます。
そもそも売却しない方がいいと、考えるかもしれません。
相続人全員の合意が崩れると、換価分割を進めることができなくなります。
換価分割でよくあるトラブル2つ目は、相続人間の合意が崩れることです。
③売却代金を清算しない
換価分割は、売却代金を相続人で分ける方法です。
不動産を売却して売却代金を手にしたら、分割することが惜しくなることがあります。
他の相続人は売却活動に手間や時間をかけていないと、不満に思うでしょう。
実家に住んでいた相続人は住む場所を失うから、なおさらです。
売却代金で転居費用を支出したり新たな家具を購入したりします。
売却代金の清算を先延ばしすることがあります。
売却したのに約束どおり代金を分けてもらえないと、他の相続人はイライラします。
相続人間で大きなトラブルになるでしょう。
換価分割でよくあるトラブル3つ目は、売却代金を清算しないことです。
④代金を受け取った相続人に贈与税
換価分割では、不動産を売却した後に売却代金を分配します。
売却代金を分配するのは、本来、遺産分割の一環です。
遺産分割協議書が適切に作成されていれば、贈与と判断されることはないでしょう。
遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。
遺産分割協議書は、相続財産の分け方について相続人全員の合意内容の証明書です。
遺産分割協議書が適切に作成されていないと、遺産分割の一環とは判断されないでしょう。
売却代金の分配は遺産分割のつもりなのに、単なる贈与と判断されます。
代金を受け取った相続人に、贈与税が課されるでしょう。
贈与税の基礎控除は、110万円です。
110万円を超えた部分に対して、贈与税が課されます。
贈与税は、想像以上に高額になりがちです。
遺産分割協議書が適切に作成されていないと、贈与税が課されます。
贈与税を回避するため、適切な遺産分割協議書作成が重要です。
換価分割でよくあるトラブル4つ目は、代金を受け取った相続人に贈与税が課されることです。
⑤代金を受け取った相続人に譲渡所得税
相続した不動産は、被相続人が取得してから値上がりしていることが多いでしょう。
不動産を売却すると、値上がり益を得ることができます。
譲渡所得とは、不動産などの財産を譲渡したことによる所得です。
譲渡所得が発生したら、確定申告をして譲渡所得税を納付します。
利益の額によって税金の額が変わるから、正しく申告する必要があります。
不動産の登記名義人にならなかった相続人は、確定申告と納税を怠りがちです。
換価分割でよくあるトラブル5つ目は、代金を受け取った相続人に譲渡所得税が課されることです。
3換価分割でトラブルを予防するヒント
①相続人の合意形成
遺産分割協議は、相続人全員の合意で決定します。
遺産分割協議において相続人の意向や事情を相続人全員で共有します。
相続人の相互理解が充分であると、相続人間の合意が崩れにくくなります。
換価分割でトラブルを予防するヒント1つ目は、相続人の合意形成です。
②詳細な遺産分割協議書を作成
遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容を取りまとめた書面です。
不動産を売却する約束をしたら、合意内容に盛り込みます。
単なる売却の口約束は、守ってもらえないことが多いでしょう。
売却方法、価格設定、売却期限など、合意内容は詳細に記載します。
売却後に売却代金の分配方法を決めて、詳細に記載します。
遺産分割協議書に詳細に盛り込んであると、守ってもらいやすくなります。
換価分割でトラブルを予防するヒント2つ目は、詳細な遺産分割協議書を作成することです。
③遺産分割協議書の作成は専門家に依頼
遺産分割協議書は、適切に作成できるのであれば専門家以外の人が作成することができます。
適切に作成していないと、相続登記をすることができなくなるでしょう。
適切に作成していないと、贈与税が課されるでしょう。
換価分割でよくあるトラブルを予防するためには、司法書士などの専門家に作成依頼をすることがおすすめです。
換価分割でトラブルを予防するヒント3つ目は、遺産分割協議書の作成は専門家に依頼することです。
④売却準備に相続人が協力
不動産を売却するためには、さまざまな準備が必要になります。
実家の片付けが必要になることあるでしょう。
物件の修繕が必要になるかもしれません。
相続人が協力して、売却に向けて準備します。
換価分割でトラブルを予防するヒント4つ目は、売却準備に相続人が協力することです。
⑤柔軟な対応を準備
換価分割をすると相続人全員が合意しても、不動産が売れないことがあります。
需要が少なくても、長期間かけることで売却できるかもしれません。
値段を下げることで売却できるかもしれません。
需要がまったくない地域であれば、時間をかけても値下げしても売れないでしょう。
売却できない場合は、換価分割より代償分割がいいかもしれません。
代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続して他の相続人が代償金を受け取る方法です。
売却状況や市場動向について定期的に情報共有をすることで、柔軟な対応ができるでしょう。
柔軟な対応を準備することで、相続人間のトラブルを予防することができます。
換価分割でトラブルを予防するヒント5つ目は、柔軟な対応を準備することです。
4換価分割でトラブル発生時の解決策
①遺産分割協議のやり直し
相続人全員が合意したら、遺産分割協議が成立して話し合いは終了します。
遺産分割協議のやり直しには、相続人全員の合意が必要です。
換価分割の合意をしても、相続人全員の合意で遺産分割協議のやり直しをすることができます。
換価分割より代償分割がいいと相続人全員が納得しているようなケースです。
トラブル発生時の解決策1つ目は、遺産分割協議のやり直しをすることです。
②売却条件の見直し
換価分割をしたいと思っても、不動産が売れないことがあります。
売却が進まないのには、何かしら理由があるでしょう。
価格設定が高すぎるのなら、売却価格を見直します。
物件の状態が悪いのなら、必要な修繕や整理整頓をします。
買い手がつかないのなら、不動産業者を変更するといいかもしれません。
トラブル発生時の解決策2つ目は、売却条件の見直しです。
③家庭裁判所で遺産分割調停・遺産分割審判
遺産分割協議で、相続人が一方的な主張をして話し合いがまとまらないことがあります。
相続人だけで話し合っても、感情的になるだけかもしれません。
家庭裁判所の助力を得て、話し合いをすることができます。
遺産分割調停とは、家庭裁判所の調停委員が話し合いを助けてくれる制度です。
調停委員から公平なアドバイスを受けると、冷静に話し合いができるかもしれません。
遺産分割調停で、相続人全員の合意を目指します。
調停委員からアドバイスを受けても、一方的な主張をすると話し合いはまとまらないでしょう。
遺産分割調停が成立しない場合、裁判官が判断します。
遺産分割審判とは、裁判官が遺産分割を判断する方法です。
トラブル発生時の解決策3つ目は、家庭裁判所で遺産分割調停・遺産分割審判です。
5遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット
遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。
合意がきちんと文書になっているからこそトラブルが防止できるといえます。
つまり、書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。
せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。
トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
遺産相続で健康保険料が高くなる
1遺産相続で健康保険料は変わらない
①遺産相続をしても所得ではない
相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。
普段より大きな金額を目にすると、何らかの負担が大きくなるのではないか不安になるかもしれません。
財産を相続したときに、相続税が課されます。
相続税が課されるのは、10%未満のわずかな富裕層です。
90%以上の人は、心配ない税金と言えます。
相続した財産は、収入ではありません。
相続財産を引き継いでも、所得が増えることはありません。
②国民健康保険料は前年の所得で決まる
国民健康保険は、フリーランスや自営業者が加入する公的健康保険です。
国民健康保険の保険料は、次の要素の合計です。
(1)所得割
所得割は、加入者の所得に応じて算定します。
加入者が高所得であれば、健康保険料が高額になります。
(2)均等割
均等割は、世帯当たりの加入者の人数に応じて算定します。
所得の金額に関わらず、1人いくらと計算します。
加入者が多くなれば、健康保険料が高額になります。
(3)平等割
平等割は、国民健康保険に加入する世帯に対して平等に算定します。
所得の金額に関わらず、1世帯いくらと計算します。
加入者が多くなっても、健康保険料が平等です。
多くの市町村で、平等割は廃止されています。
(4)資産割
資産割は、加入者が保有する固定資産に応じて算定します。
資産額が多くなれば、健康保険料が高額になります。
多くの市町村で、資産割は廃止されています。
平等割と資産割は多くの市町村で廃止されているから、所得割と均等割で保険料が決まると言えます。
国民健康保険料額は、前年の所得で決まります。
③会社員・公務員の健康保険料は4~6月の給料で決まる
会社などで雇用されている人は、社会保険料が給料から天引きされています。
社会保険料の一部が健康保険料です。
社会保険料は、標準報酬月額に応じて算定します。
標準報酬月額は、毎年4~6月の給料から算定されます。
給料以外から多額の収入があっても、社会保険料に影響はありません。
標準報酬月額は、給料だけで算定されるからです。
会社員・公務員の健康保険料は、4~6月の給料で決まります。
④遺産相続をしても扶養家族
会社などで雇用されている人が無収入の家族を扶養していることがあります。
扶養されている家族の収入が一定額より低い場合、健康保険の扶養家族に認定されることができます。
相続した財産は、収入ではありません。
多額の財産を相続しても、収入認定されることはありません。
多額の財産を相続しても、他に収入がなければ無収入です。
扶養されている家族が無収入であれば、扶養家族のままです。
遺産相続をしても、扶養家族のままでいることができます。
⑤後期高齢医療保険料は前年の所得で決まる
後期高齢医療保険は、75歳以上の人が加入する公的健康保険です。
生涯現役で高齢者になっても、フリーランスやサラリーマンとして働いている人もいるでしょう。
75歳になると、強制的に後期高齢医療保険に移行します。
国民健康保険の保険料は、次の要素の合計です。
(1)所得割
所得割は、加入者の所得に応じて算定します。
加入者が高所得であれば、健康保険料が高額になります。
(2)均等割
均等割は、世帯当たりの加入者の人数に応じて算定します。
所得の金額に関わらず、1人いくらと計算します。
2遺産相続で収入を得ると健康保険料が高くなる
①収益不動産を相続して賃料収入があると不動産所得
相続した財産は、収入ではありません。
相続財産を引き継いでも、所得が増えることはありません。
賃貸アパートなどの収益不動産を相続することがあります。
相続した賃貸アパート自体は、収入ではありません。
賃貸アパートを相続したら、アパート経営を引き継ぐでしょう。
収益不動産から賃料収入を得ると、不動産所得があると言えます。
遺産相続で不動産所得を得るようになると、所得が多くなります。
国民健康保険や後期高齢医療保険の加入者は、翌年の保険料が高くなるでしょう。
不動産所得を得ても、会社員・公務員の健康保険料は影響されません。
会社員・公務員の健康保険料は、4~6月の給料で決まるからです。
②換価分割で譲渡所得
相続財産には、さまざまな種類の財産が含まれるでしょう。
預貯金や現金は、分けやすい財産の代表例です。
不動産は、分けにくい財産の代表例です。
相続財産に評価額の高い不動産があると、相続財産の分け方について話し合いが難しくなるでしょう。
相続財産の大部分が不動産である場合、換価分割で合意ができることがあります。
換価分割とは、分けにくい財産を売却してお金で分ける方法です。
お金にすると、公平な遺産分割をすることができます。
不動産によっては、取得してから大きく値上がりしていることがあります。
不動産を売却すると、値上がり益を得ることができます。
譲渡所得とは、不動産を譲渡することによって生ずる所得です。
譲渡所得が生ずると、所得が多くなります。
国民健康保険や後期高齢医療保険の加入者は、翌年の保険料が高くなるでしょう。
譲渡所得を得ても、会社員・公務員の健康保険料は影響されません。
会社員・公務員の健康保険料は、4~6月の給料で決まるからです。
③不動産を代償にすると代償分割で譲渡所得
相続財産に評価額の高い不動産があると、相続財産の分け方について話し合いが難しくなるでしょう。
換価分割以外にも、代償分割で合意ができることがあります。
代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続し、残りの相続人は不動産を相続した人から、その分の代償をもらう方法です。
代償金を払ってもらうことで、公平な遺産分割をすることができます。
代償金を受け取っても、所得ではありません。
代償分割は、遺産分割の方法に過ぎないからです。
多額の代償金を受け取っても、健康保険料が高くなることはありません。
代償分割では、代償金を払う必要があります。
代償金は、現金払いが一般的です。
ときには、現金を準備できないことがあるでしょう。
相続人全員で合意できれば、現金以外の財産を代償にすることができます。
例えば、固有の財産である不動産を代償として譲渡することができます。
不動産によっては、取得してから大きく値上がりしていることがあります。
仮に不動産を売却したすると、値上がり益を得ることができます。
不動産を代償として譲渡した場合、不動産は時価で譲渡したと判断されます。
不動産を売却していなくても、値上がり益を得たと判断されます。
不動産の値上がり益は、譲渡所得になります。
譲渡所得が生ずると、所得が多くなります。
国民健康保険や後期高齢医療保険の加入者は、翌年の保険料が高くなるでしょう。
譲渡所得を得ても、会社員・公務員の健康保険料は影響されません。
会社員・公務員の健康保険料は、4~6月の給料で決まるからです。
3所得が生じたら確定申告
①被相続人の所得は準確定申告
所得税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得と税額を計算し、翌年3月15日までに申告と納税をします。
翌年3月15日までにする申告が確定申告です。
年の中途で死亡した場合、1月1日から死亡した日までに生じた所得と税額を計算し、相続人が4か月以内に申告と納税をします。
生きている人の確定申告と区別するため、準確定申告を言います。
準確定申告は、被相続人の確定申告です。
準確定申告が必要になるのは、主に次の人です。
・事業所得や不動産所得があった人
・給与所得が2,000万円を超えている人
・2か所以上から給与所得を受け取っている人
・公的年金による収入が400万円を超える人
・給与、退職金以外で20万円以上の所得があった人
・生前に不動産や株式を売却し、譲渡所得があった人
準確定申告は、被相続人の所得を取りまとめ適切に納税するために行います。
確定申告をするときに、さまざまな控除や特例を利用することがあるでしょう。
準確定申告で控除や特例を申告すると、納め過ぎた税金が還付されることがあります。
準確定申告をする義務はなくても、準確定申告をすることで還付金を得られるかもしれません。
被相続人の所得は、準確定申告をして納税します。
②換価分割で相続人全員確定申告
換価分割とは、分けにくい財産を売却してお金で分ける方法です。
大きく値上がりした不動産を売却すると、値上がり益を得ることができます。
換価分割ではお金で分けるから、値上がり益も分配されていると言えます。
相続人全員が売却手続に参加するのは、手間と時間がかかることが多いでしょう。
多くの場合、代表相続人のみが売却手続に関与します。
売却手続に関与していない他の相続人全員も、確定申告をする必要があります。
お金を受け取った相続人全員が値上がり益を得ているからです。
お金を受け取った相続人全員に譲渡所得が生じているから、相続人全員が確定申告をする必要があります。
譲渡所得が生ずると、所得が多くなります。
国民健康保険や後期高齢医療保険の加入者は、翌年の保険料が高くなるでしょう。
譲渡所得を得ても、会社員・公務員の健康保険料は影響されません。
会社員・公務員の健康保険料は、4~6月の給料で決まるからです。
③居住用不動産の3000万円特別控除を申告
相続した財産に限らず居住用不動産を売却したときに、譲渡所得から最高3000万円控除できる特例があります。
居住用不動産の3000万円特別控除は、所有期間に関係なく受けることができます。
居住用不動産の3000万円特別控除を利用することができるのは、居住していた相続人が売却するときに限られます。
確定申告において、住民票や戸籍の附票を提出します。
当該不動産に居住していたこと証明する必要があるからです。
居住用不動産の3000万円特別控除を使えると、譲渡所得が少なくなります。
ときには譲渡所得が0円になることがあるでしょう。
譲渡所得が0円になると、所得が変動しません。
国民健康保険や後期高齢医療保険の加入者は、翌年の保険料に影響はないでしょう。
会社員・公務員の健康保険料は、もともと影響されません。
④空き家の3000万円特別控除を申告
被相続人の居住用不動産を売却したときに、一定の条件を満たしたら譲渡所得から最高3000万円控除できる特例があります。
空き家の3000万円特別控除を利用することができるのは、相続が発生してから売却まで空き家だったときに限られます。
確定申告において、被相続人居住用家屋等確認書を提出します。
被相続人居住用家屋等確認書は、所在地の市区町村役場で取得することができます。
被相続人居住用家屋等確認書は、相続が発生してから売却まで空き家だったことを確認する書類です。
空き家の3000万円特別控除を使えると、譲渡所得が少なくなります。
ときには譲渡所得が0円になることがあるでしょう。
譲渡所得が0円になると、所得が変動しません。
国民健康保険や後期高齢医療保険の加入者は、翌年の保険料に影響はないでしょう。
会社員・公務員の健康保険料は、もともと影響されません。
4相続対策を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、相続人は悲しむ暇もなく相続手続に追われます。
ほとんどの人は相続手続は不慣れで、聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。
穏やかで温厚な人でも、疲れ果てているとトラブルに巻き込まれがちです。
インターネットの普及によって、たくさんの情報を手にすることができるようになりました。
その中には、適切なものもそうでないものも入り混じっています。
法律の知識がないと適切なのものとそうでないものの区別がつきません。
あいまいな知識で相続人全員の話し合いをすると、合意できることでさえトラブルに発展しがちで
す。
被相続人の希望が尊重されて、相続人全員にとって納得のいく財産分配が行われるのが大切です。
家族をトラブルから守るためには、事前の対策が欠かせません。
まずは相続について、家族の考えを確認してみましょう。
家族がトラブルを起こさないように対策したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
換価分割のメリットデメリット
1換価分割で公平な遺産分割
①換価分割は売却して金銭で分ける方法
相続財産には、いろいろな財産が含まれています。
不動産は、分けにくい財産です。
預貯金は、分けやすい財産です。
大部分が分けにくい財産の場合、相続財産の分け方についての合意が難しくなるでしょう。
分けにくい財産がある場合、換価分割で合意ができることがあります。
換価分割とは、分けにくい財産を売却して金銭に換えた後、金銭を分ける方法です。
換価分割で、公平な遺産分割をすることができます。
②換価分割がおすすめのケース
次のケースでは、換価分割がおすすめです。
(1)相続人間の公平を重視して遺産分割をしたいケース
(2)不動産の共有を避けたいケース
(3)相続税などの出費が予想されるケース
(4)遺産分割協議がまとまらないケース
③換価分割で相続登記は省略できない
相続登記をするためには、手間と時間がかかります。
相続登記を申請すると、登録免許税が課されます。
登録免許税は不動産の評価額によって決まるから、ときには無視できない金額になります。
相続した不動産を売却する場合、相続登記を省略したいと思うかもしれません。
相続登記を省略して、買主に所有権移転登記をすることはできません。
登記は、現在の所有者だけを公示しているわけではないからです。
相続登記を省略すると、登記の信頼が失われます。
実際に被相続人→相続人→買主と、所有権は移転しています。
換価分割で、相続登記は省略できません。
2換価分割のメリット
メリット①公平な遺産分割ができる
不動産などの財産は、物理的に分けにくいでしょう。
相続財産や相続人の一切の事情を考慮して、遺産分割をすることができます。
相続人全員が合意できるのであれば、どのような分け方でもすることができます。
現物分割は、財産をそのままの状態で分割します。
例えば、一部の相続人が不動産を相続し、他の相続人が預貯金を相続することができます。
ときには、不動産は非常に高額で預貯金がわずかな額であることがあるでしょう。
合意できればいいのですが、相続人全員の合意は難しいかもしれません。
換価分割は、いったん売却して金銭に換えた後に金銭を分ける方法です。
金銭だから、公平に分けることができます。
換価分割のメリット1つ目は、公平な遺産分割ができる点です。
メリット②出費に対応できる
不動産を相続したら、名義変更をします。
不動産の名義変更を相続登記と言います。
相続登記をする場合、登録免許税が課されます。
登録免許税は、不動産の価格の1000分の4です。
例えば、固定資産税評価額1億円の不動産であれば、登録免許税は40万円です。
換価分割をすると、不動産などをいったん売却します。
必要な資金を確保しやすくなります。
換価分割のメリット2つ目は、出費に対応できる点です。
メリット③不動産の管理負担がなくなる
不動産をそのまま保有していると、固定資産税が課されます。
必要に応じて不動産の修繕や除草を行う必要があるでしょう。
換価分割では、不動産を手放します。
手放した後は、不動産の管理負担がなくなります。
換価分割のメリット3つ目は、不動産の管理負担がなくなる点です。
メリット④代償金を準備しなくてよい
相続財産の大部分が自宅などの不動産だけという例は珍しくありません。
便利のいい場所にある土地は、わずかな面積であっても高い評価額になるでしょう。
わずかな面籍なのに、土地を現物で分割するのは現実的ではありません。
極端に小さな面積の土地は、使い勝手が良くないからです。
土地の価値が低くなってしまうでしょう。
代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続し、他の相続人は固有の財産から代償を受け取る方法です。
代償分割をする場合、不動産を相続する相続人は代償金を払う必要があります。
いつまでたっても、代償金を払ってもらえないとトラブルに発展するでしょう。
換価分割では、売却してから売却代金を分割します。
代償金を準備する必要はありません。
換価分割のメリット4つ目は、代償金を準備しなくてよい点です。
メリット⑤共有トラブルを回避できる
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
話合いがまとまらない場合、安易に共有が選ばれることがあります。
一見して、公平に見えるからです。
不動産の共有は、デメリットが大きくおすすめできません。
不動産を共有すると、管理や売却の意思決定が難しくなります。
共有者全員の同意が必要になるからです。
共有者全員の同意ができなくなると、共有者間で深刻なトラブルに発展するでしょう。
換価分割では、不動産を売却します。
共有トラブルを回避することができます。
換価分割のメリット5つ目は、共有トラブルを回避できる点です。
3換価分割のデメリット
デメリット①売却益に課税
被相続人が不動産を取取得してから不動産を売却するまでに、値上がりしていることがあります。
不動産を売却すると、譲渡所得を得たと言えます。
譲渡所得に対して、譲渡所得税が課されます。
換価分割のデメリット1つ目は、不動産の売却益に課税される点です。
デメリット②売却価格が市場状況に左右される
不動産などの財産は、市場の状況によって値動きがあります。
売却したいと思っても、相続人が期待するような金額が付かないことがあるでしょう。
換価分割のデメリット2つ目は、売却価格が市場状況に左右される点です。
デメリット③売却条件で相続人トラブル
不動産などの財産は、市場の状況以外にも売却条件によって金額が変わります。
一部の相続人は、金額は安くてもいいから早く売却したいと考えるかもしれません。
一部の相続人は、時間はかかってもいいから高く売却したいと考えるかもしれません。
市場状況が良くない場合、相続人間で話し合いがつかない可能性があります。
換価分割のデメリット3つ目は、売却条件で相続人トラブルになる点です。
デメリット④売却の手間と時間がかかる
換価分割では、不動産を売却するために費用がかかります。
例えば、次のような費用です。
・不動産仲介手数料
・名義変更のための登記費用
・境界確定のための測量費用
・残置物の処理費用
費用以外にも、手間と時間がかかります。
売却条件によっては、売却活動に数か月以上かかるでしょう。
換価分割のデメリット4つ目は、売却の手間と時間がかかる点です。
デメリット⑤感情的に納得できない
不動産が生まれ育った実家であるかもしれません。
相続人の中には、人手に渡ることが感情的に納得できなくなることがあります。
換価分割のデメリット5つ目は、感情的に納得できない点です。
4換価分割における注意点
注意①換価分割は遺産分割協議書に明記
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
遺産分割協議書は、相続財産の分け方について相続人全員の合意内容の証明書です。
不動産を売却して売却代金を分割する場合、遺産分割協議書に明記します。
遺産分割協議書に明記しないと、売却代金の分割が単なる贈与に見えるからです。
代表相続人に名義を取得させるのは、換価分割のためであることを明確にします。
そのうえで売却代金から売却にかかるすべての費用を控除した残金を分配することを明記します。
このような記載があれば、原則として、贈与税の課税はされません。
単なる贈与と判断されたら、贈与税の対象になるでしょう。
贈与税は、想像以上に高額になります。
換価分割における注意点1つ目は、換価分割は遺産分割協議書に明記することです。
注意②長期間売却できないと贈与税
遺産分割協議書に「換価分割のため」「売却代金から売却にかかるすべての費用を控除した残金を分配する」とあれば、原則として、問題になることはありません。
不動産が長期間売却できない場合、売却金の分配が何年も後になることがあります。
売却できなければ、このようなことも止むを得ないことです。
一方で登記名義を得た後、長期間経過してから売却金を分配した場合、実態としては贈与として課税されるおそれがあります。
法律上、換価分割による売却金の分配であって、かつ、遺産分割協議書に記載があっても、課税されるリスクがあります。
このようなリスクを考慮に入れて、代表者名義にすることや売却条件の合意をする必要があります。
換価分割における注意点2つ目は、長期間売却できないと贈与税のリスクがあることです。
注意③換価分割で確定申告
被相続人が不動産を取得してから、値上がりしていることが多いでしょう。
不動産などを譲渡して所得を得た場合、譲渡所得税の対象になります。
登記名義人になった相続人だけでなく、売却代金を受け取った相続人全員が確定申告をします。
値上がり益を得ても、特別控除を適用できれば譲渡所得税は課されません。
重要な特別控除は、2種類あります。
居住用不動産の特別控除と被相続人の居住用不動産の特別控除です。
特別控除を適用できれば、譲渡所得から3000万円を控除することができます。
特別控除適用で、譲渡所得税が課されなくなることがあります。
換価分割における注意点3つ目は、換価分割で確定申告する必要があることです。
注意④相続人間で合意できないと遺産分割調停・遺産分割審判
相続人間で遺産分割協議がまとまらないことがあるでしょう。
家庭裁判所の助力を得て、話合いをすることができます。
遺産分割調停とは、家庭裁判所で調停委員のアドバイスを得ながらする話合いです。
遺産分割調停では、数か月から1年以上かかることが多いでしょう。
弁護士などを代理人に立てると、弁護士費用もかさみます。
遺産分割調停で話し合いがつかない場合、遺産分割審判で裁判官が判断します。
遺産分割調停・遺産分割審判になると、追加で時間と費用がかかります。
換価分割における注意点4つ目は、相続人間で合意できないと遺産分割調停・遺産分割審判になることです。
5遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット
遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。
合意がきちんと文書になっているからこそトラブルが防止できるといえます。
つまり、書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。
せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。
トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
分譲マンションを遺産分割する方法と手続
1相続人を確定して遺産分割
①相続人になる人は法律で決まっている
相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。
相続人になる人は、民法で決められています。
相続人になる人は、次のとおりです。
(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。
(1)配偶者は必ず相続人になる
(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども
(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属
(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹
②相続人は戸籍謄本で証明
家族にとって、だれが相続人になるか当然のことと考えているでしょう。
相続人になる人は、戸籍謄本で客観的に証明する必要があります。
相続人は、戸籍謄本で証明します。
③遺言書があれば遺言書どおりに遺産分割
被相続人が生前に、遺言書で財産の分け方を指定していることがあります。
相続財産の分け方は、被相続人の意思が最も尊重されるべきです。
遺言書があれば遺言書どおりに、遺産分割をすることができます。
④相続人全員で遺産分割協議
遺言書を作成する人は、あまり多くありません。
遺言書がない場合、相続財産の分け方は相続人全員の合意で決定します。
遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話合いです。
一部の相続人を含めないと、遺産分割協議は無効になります。
遺産分割協議は、相続人全員の合意で決定します。
⑤遺言書があっても遺産分割協議
自宅などで遺言書が見つかった場合、家庭裁判所で開封してもらいます。
遺言書の内容が大きく偏っていることがあります。
遺言書をそのまま執行すると、相続人間でトラブルになるおそれがあります。
相続人間でトラブルになるおそれがあるのに、わざわざ執行してトラブルにする必要はありません。
相続人全員で相続財産の分け方を合意した方が合理的です。
遺言書があっても、遺産分割協議をすることができます。
2分譲マンションを遺産分割する方法
方法①現物分割
相続財産には、いろいろな財産が含まれていることが一般的です。
現物分割とは、現物の不動産をそのまま分割する方法です。
相続財産に複数のマンションがあれば、現物分割ができるかもしれません。
複数のマンションがあっても、マンションの価値は大きく異なるでしょう。
分譲マンション1室だけの場合、物理的に現物分割はできません。
あまり現実的ではないかもしれません。
現物分割のメリットは、次のとおりです。
・財産をそのまま引き継げる。
・遺産分割がシンプルになる。
現物分割のデメリットは、次のとおりです。
・公平な分割が難しい。
・相続人間でトラブルになりやすい。
分譲マンションを遺産分割する方法1つ目は、現物分割です。
方法②換価分割
換価分割とは、不動産を売却してお金に換えた後にお金を分ける方法です。
不動産を実際に売却してお金に換えてから分けるので、不動産の値段をいくらと考えるのかで話し合いをする必要はありません。
被相続人が守ってきた財産を手放すことに、罪悪感があるかもしれません。
合理的な方法であっても相続人の感情面から話し合いがつかなくなるおそれがあります。
換価分割のメリットは、次のとおりです。
・公平な分割ができる。
・相続人間のトラブルになりにくい。
・代償金を準備しなくていい。
換価分割のデメリットは、次のとおりです。
・売却の手間と時間がかかる。
・安値での売却になりやすい。
・家族が守ってきた財産を手放す必要がある。
方法③代償分割
代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続し、残りの相続人は不動産を相続した人から代償金を受け取る方法です。
不動産を相続する人は、他の相続人に代償金を支払う必要があります。
相続財産の大部分が不動産であることがあります。
価値の高い不動産である場合、他の相続人に支払う代償金が高額になります。
不動産を相続する人が代償金を準備できないかもしれません。
不動産をいくらと考えるのかについて、基準はいくつかあります。
例えば、次の評価方法があります。
・固定資産税評価額
・路線価
・不動産鑑定評価額
・時価
マンションが高額である場合、相続税の対象になることがあります。
相続税申告では、路線価で評価します。
相続税申告をしても、路線価で遺産分割する必要はありません。
代償金を支払う人は、不動産の値段が低い基準を採用した方が有利です。
支払う代償金が少なくなるからです。
代償金を受け取る人は、不動産の値段が高い基準を採用した方が有利です。
受け取る代償金が多くなるからです。
相続税申告をするから路線価にしなければならないと主張して、話し合いがまとまらないことがあります。
分譲マンションにおいては、路線価と時価は大きく乖離しているからです。
代償分割のメリットは、次のとおりです。
・家族が守ってきた財産を引き継ぐことができる。
・小規模宅地の特例などで相続税負担が軽減される。
代償分割のデメリットは、次のとおりです。
・代償金が準備できない可能性がある。
・不動産の評価方法で話合いがまとまらなくなる。
方法④共有分割
相続人全員で相続財産の分け方について話し合いによる合意ができない場合、共有が選ばれることもあります。
最も公平に見えるからです。
共有は弊害が多く、安易に共有にする方法はもっとも避けるべきです。
共有にした場合、全員の同意がなければ売却することはできません。
共有の不便を解消するため、後々、共有物分割をしようという話になります。
結局のところ、問題の先送りになるだけです。
共有分割のメリットは、次のとおりです。
・公平に分割ができる
共有分割のデメリットは、次のとおりです。
・問題の先送りになる。
・売却ができなくなる。
方法⑤用益権設定による分割
用益権とは、不動産を自分で使ったり、人に貸して賃料を得たりする権利のことです。
配偶者居住権は、用益権のひとつです。
一部の相続人に使う権利を設定して、他の相続人が使う権利のない所有権を相続する方法です。
家族が守ってきた不動産を手放すことなく相続ができます。
用益権設定による分割のメリットは、次のとおりです。
・家族が守ってきた財産を引き継ぐことができる。
用益権設定による分割のデメリットは、次のとおりです。
・不動産を売却できなくなる。
・固定資産税の支払いなどでトラブルになる
3分譲マンションを相続するときの遺産分割協議書の書き方
①遺産分割協議書の書き方
記載例
(一棟の建物の表示)
所在 ○○市○○町○丁目○番地○
建物の名称 ○○○○マンション
(専有部分の建物の表示)
家屋番号 ○○町○丁目○番○の○
建物の名称 ○○○
種類 居宅
構造 鉄筋コンクリート造1階建
床面積 ○階部分 ○○.○○㎡
(敷地権の表示)
符号 1
所在 ○○市○○町○丁目
地番 ○番○
地目 宅地
地積 ○○○.○○㎡
(敷地権の種類)
所有権
(敷地権の割合)
持分 ○○○○○○分の○○○○○○
符号 2
所在 ○○市○○町○丁目
地番 ○番○
地目 宅地
地積 ○○○.○○㎡
(敷地権の種類)
所有権
(敷地権の割合)
持分 ○○○○○○分の○○○○○○
②遺産分割協議書に不備があると相続登記ができない
不動産は、重要な財産であることが多いでしょう。
重要な財産の名義を変更する手続だから、法務局は慎重に審査します。
相続登記は、一般の人が些細なことと思うようなことでやり直しになります。
一般的に、相続登記は相続手続の中でも手間がかかる難しい手続です。
マンションを相続する場合、記載すべき項目がたくさんあります。
マンションの登記簿謄本には、たくさんの項目が登記されています。
登記簿謄本から書き写すだけとは言うものの、簡単なことではないでしょう。
遺産分割協議書の記載が不適切であった場合、相続人全員の合意が不明確になります。
相続人全員の合意が不明確である場合、相続登記ができなくなるでしょう。
遺産分割協議書に不備があると、相続登記ができなくなります。
③マンションのみの遺産分割協議書で相続登記ができる
遺産分割協議書は、相続財産の分け方について相続人全員による合意内容を証明する書類です。
相続人全員が記名し実印で押印します。
遺産分割協議書は、相続財産すべてについて1通に取りまとめることが多いでしょう。
相続財産すべてについて1通の遺産分割協議書にまとめなければならないといったルールはありません。
相続財産の内容によっては、合意がしやすい財産と合意が難しい財産があります。
合意ができた財産についてだけ、遺産分割協議書に取りまとめることができます。
自宅マンションなどを売却して、お金で分けるのが合理的な場合があります。
相続人全員が自宅マンションを売却する方針に合意している場合、自宅マンションについてだけ遺産分割協議書に取りまとめることができます。
他の財産について相続人全員の合意ができていなくても、自宅マンションの遺産分割協議書は有効です。
自宅マンションのみの遺産分割協議書を作成して、売却手続を進めることができます。
自宅マンションのみの遺産分割協議書で、相続登記をすることができます。
4令和6年(2024年)4月1日から相続登記義務化
①令和6年(2024年)4月1日から相続登記は義務
令和6年(2024年)4月1日から、相続登記をする義務が課されました。
相続登記の期限は、3年です。
令和6年(2024年)4月1日以降に発生した相続は、当然に対象になります。
相続があったことを知ってから、相続登記の期限3年がスタートします。
相続登記の期限3年を経過すると、ペナルティーの対象になります。
令和6年(2024年)4月1日以前に発生した相続も、義務化の対象です。
過去の相続は、すでに3年を経過していることが多いでしょう。
過去の相続は、令和9年3月31日が期限になります。
所有者不明の土地の発生を防止するため、相続登記をすることは義務になりました。
②遺産分割未了でも相続登記義務化
相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産です。
不動産を共有するのは、不自由が多いでしょう。
多くの場合、相続人全員で不動産の分け方の合意をします。
さまざまな家族の事情から、分け方の合意が難しいかもしれません。
相続登記には、3年の期限が決められました。
相続財産の分け方に合意ができないから相続登記ができないは、言い訳になりません。
自己のために相続の開始があったことを知って、かつ、不動産を取得することを知っているからです。
相続登記の期限3年が経過すると、ペナルティーの対象になります。
遺産分割未了は、言い訳になりません。
5相続登記の手順
手順①戸籍謄本や住民票の収集
遺言書がないときの必要書類は、次のとおりです。
・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
・被相続人の住民票
・相続人の戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明書
・固定資産税の評価証明書
相続登記の手順1つ目は、戸籍謄本や住民票を収集することです。
手順②遺産分割協議
相続人全員の合意で相続財産の分け方を決めます。
相続人全員の合意がまとまったら、書面に取りまとめます。
遺産分割協議書は、相続人全員が実印で押印します。
相続登記の手順2つ目は、遺産分割協議をすることです。
手順③登記申請書の作成
登記申請書を作成します。
法務局のホームページを見ると、記載例が掲載されています。
必要事項は、正確に記載します。
相続登記の手順3つ目は、登記申請書の作成です。
手順④管轄法務局へ登記申請
登記申請書と必要書類を取りまとめて、管轄法務局へ提出します。
登記申請にあたって、登録免許税が課されます。
登録免許税は、収入印紙で納入します。
相続登記の手順4つ目は、管轄法務局へ登記申請することです。
手順⑤登記完了
登記が完了すると、権利証が発行されます。
相続登記の手順5つ目は、登記完了です。
6相続登記を司法書士に依頼するメリット
大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。
やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。
相続手続は一生のうち何度も経験するものではありません。
だれにとっても不慣れで、手際よくできるものではありません。
相続手続で使われる言葉は、法律用語です。
一般の方にとって、日常で聞き慣れないものでしょう。
知識がない人が登記簿謄本から見落としなく、読み解くのは難しいものです。
相続手続に疲れてイライラすると、普段は温厚な人でもトラブルを引き起こしかねません。
司法書士などの専門家は、遺産分割協議書の作成や相続登記をサポートします。
相続手続でへとへとになったから先延ばしするより、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。
換価分割をするときの遺産分割協議書
1換価分割で公平な遺産分割
①換価分割は売却して金銭で分ける方法
相続財産には、いろいろな財産が含まれています。
不動産は、分けにくい財産です。
預貯金は、分けやすい財産です。
分けにくい財産がある場合、換価分割で合意ができることがあります。
換価分割とは、分けにくい財産を売却して金銭に換えた後、金銭を分ける方法です。
換価分割で、公平な遺産分割をすることができます。
②換価分割がおすすめのケース
次のケースでは、換価分割がおすすめです。
(1)相続人間の公平を重視して遺産分割をしたいケース
(2)不動産の共有を避けたいケース
(3)相続税などの出費が予想されるケース
(4)遺産分割協議がまとまらないケース
2換価分割をするときの遺産分割協議書
①換価分割で相続登記は省略できない
相続登記をするためには、手間と時間がかかります。
相続登記を申請すると、登録免許税が課されます。
登録免許税は不動産の評価額によって決まるから、ときには無視できない金額になります。
相続した不動産を売却する場合、相続登記を省略したいと思うかもしれません。
相続登記を省略して、買主に所有権移転登記をすることはできません。
登記は、現在の所有者だけを公示しているわけではないからです。
相続登記を省略すると、登記の信頼が失われます。
実際に被相続人→相続人→買主と、所有権は移転しています。
換価分割で、相続登記は省略できません。
②共有名義にするメリット・デメリット
〇共有名義にする方法のメリット
・相続の原則にあっている
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
共有名義にするのは、相続の原則にあっていると言えます。
・贈与税のリスクが低い
共有名義人が売却代金を分けるため、贈与税が課されるリスクが低減します。
〇共有名義にする方法のデメリット
・売却手続が煩雑になる
共有名義にした場合、不動産の売却手続に相続人全員が関与しなければなりません。
相続人が遠方に住んでいる場合、日程調整だけでも時間がかかりがちになります。
・固定資産税の相続人代表者指定届
固定資産税の納税通知書は、代表者のもとに届きます。
だれが代表者になって固定資産税の納税通知を受け取るか決めて市町村に届け出る必要があります。
③共有名義にするときの記載例
第1条
次の不動産は換価分割を行うため相続人〇〇〇〇2分の1、相続人◇◇◇◇4分の1、相続人□□□□4分の1の割合で共有取得する。
所在 〇〇市〇〇町〇丁目
地番 〇番〇
地目 宅地
地積 200㎡
第2条
相続人〇〇〇〇、相続人◇◇◇◇、相続人□□□□は共同して、前条の不動産を売却する。
売却代金から売却にかかるすべての費用を控除した残金を各相続人の共有持分割合に従って取得する。
④代表相続人名義にする方法
〇代表相続人名義にする方法のメリット
・売却手続がカンタン
代表相続人名義にした場合、不動産の売却手続に代表相続人だけが関与します。
〇代表相続人名義にする方法のデメリット
・贈与税のリスク
遺産分割協議書が適切に作成されていない場合、換価分割と認めらないでしょう。
売却代金の分配に、贈与税が課されるおそれがあります。
・相続人間の合意不充分でトラブル
代表相続人名義にする場合、売却条件について充分に合意しておくことが重要です。
・代表相続人の使い込み
代表相続人が売却代金をなかなか払ってくれない、売却代金を使い込んだなどのリスクがあります。
・固定資産税の支払い
固定資産税の納税通知書は、代表相続人のもとに届きます。
固定資産税の負担について、相続人間でトラブルになるおそれがあります。
⑤代表相続人名義にする記載例
第1条
次の不動産は換価分割を行うことを目的として相続人〇〇〇〇が取得する。
所在 〇〇市〇〇町〇丁目
地番 〇番〇
地目 宅地
地積 200㎡
第2条
相続人〇〇〇〇は、前条の不動産をすみやかに売却する。
売却代金から売却にかかるすべての費用を控除した残金を次の割合に従って分配する。
相続人〇〇〇〇 2分の1
相続人◇◇◇◇ 4分の1
相続人□□□□ 4分の1
⑥売却代金を受け取らない相続人名義にする方法のメリット
多くの場合、売却代金を取得する相続人が売却手続をします。
例えば、高齢や病気などで売却手続をすることが困難な場合があるでしょう。
他の相続人が売却手続に関与した方がスムーズです。
⑦売却代金を受け取らない相続人名義にする記載例
第1条
次の不動産は換価分割を行うことを目的として相続人〇〇〇〇が取得する。
所在 〇〇市〇〇町〇丁目
地番 〇番〇
地目 宅地
地積 200㎡
第2条
相続人〇〇〇〇は、前条の不動産をすみやかに売却する。
売却代金から売却にかかるすべての費用を控除した残金を相続人◇◇◇◇が取得する。
3換価分割をするときは税金に注意
注意①換価分割は遺産分割協議書に明記
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
遺産分割協議書は、相続財産の分け方について相続人全員の合意内容の証明書です。
不動産を売却して売却代金を分割する場合、遺産分割協議書に明記します。
遺産分割協議書に明記しないと、売却代金の分割が単なる贈与に見えるからです。
代表相続人に名義を取得させるのは、換価分割のためであることを明確にします。
そのうえで売却代金から売却にかかるすべての費用を控除した残金を分配することを明記します。
このような記載があれば、原則として、贈与税の課税はされません。
単なる贈与と判断されたら、贈与税の対象になるでしょう。
贈与税は、想像以上に高額になります。
換価分割における注意点1つ目は、換価分割は遺産分割協議書に明記することです。
注意②長期間売却できないと贈与税
遺産分割協議書に「換価分割のため」「売却代金から売却にかかるすべての費用を控除した残金を分配する」とあれば、原則として、問題になることはありません。
不動産が長期間売却できない場合、売却金の分配が何年も後になることがあります。
売却できなければ、このようなことも止むを得ないことです。
一方で登記名義を得た後、長期間経過してから売却金を分配した場合、実態としては贈与として課税されるおそれがあります。
法律上、換価分割による売却金の分配であって、かつ、遺産分割協議書に記載があっても、課税されるリスクがあります。
このようなリスクを考慮に入れて、代表者名義にすることや売却条件の合意をする必要があります。
換価分割における注意点2つ目は、長期間売却できないと贈与税のリスクがあることです。
注意③各相続人が確定申告
被相続人が不動産を取得してから、値上がりしていることが多いでしょう。
不動産などを譲渡して所得を得た場合、譲渡所得税の対象になります。
登記名義人になった相続人だけでなく、売却代金を受け取った相続人全員が確定申告をします。
値上がり益を得ても、特別控除を適用できれば譲渡所得税は課されません。
重要な特別控除は、2種類あります。
居住用不動産の特別控除と被相続人の居住用不動産の特別控除です。
特別控除を適用できれば、譲渡所得から3000万円を控除することができます。
特別控除適用で、譲渡所得税が課されなくなることがあります。
換価分割における注意点3つ目は、各相続人が確定申告する必要があることです。
注意④換価分割で相続税は変わらない
相続財産の規模が大きい場合、相続税の対象になります。
相続税は、相続発生時の相続財産の評価額に対して課されます。
換価分割をしても換価分割をしなくても、相続税の計算に影響はありません。
換価分割をすると、財産を金銭にします。
換価分割をすることで、納税資金を準備することができるでしょう。
換価分割における注意点4つ目は、換価分割で相続税は変わらないことです。
4換価分割のメリットとデメリット
メリット①公平な遺産分割ができる
不動産などの財産は、物理的に分けにくいでしょう。
換価分割は、いったん売却して金銭に換えた後に金銭を分ける方法です。
換価分割のメリット1つ目は、公平な遺産分割ができる点です。
メリット②出費に対応できる
不動産を相続したら、名義変更などで費用がかかります。
換価分割をすると、不動産などをいったん売却します。
換価分割のメリット2つ目は、出費に対応できる点です。
メリット③不動産の管理負担がなくなる
不動産をそのまま保有していると、不動産の修繕や除草を行う必要があるでしょう。
換価分割では、不動産を手放します。
換価分割のメリット3つ目は、不動産の管理負担がなくなる点です。
メリット④共有トラブルを回避できる
遺産分割協議がまとまらない場合、安易に共有が選ばれることがあります。
不動産の共有は、デメリットが大きくおすすめできません。
換価分割では、不動産を売却します。
換価分割のメリット4つ目は、共有トラブルを回避できる点です。
デメリット①売却益に課税
不動産を売却する場合、譲渡所得を得ることがあります。
譲渡所得に対して、譲渡所得税が課されます。
換価分割のデメリット1つ目は、不動産の売却益に課税される点です。
デメリット②売却価格が市場状況に左右される
不動産などの財産は、市場の状況によって値動きがあります。
売却したいと思っても、相続人が期待するような金額が付かないことがあるでしょう。
換価分割のデメリット2つ目は、売却価格が市場状況に左右される点です。
デメリット③売却の手間と時間がかかる
換価分割では、不動産を売却するために費用がかかります。
費用以外にも、手間と時間がかかります。
売却条件によっては、売却活動に数か月以上かかるでしょう。
換価分割のデメリット3つ目は、売却の手間と時間がかかる点です。
5換価分割の手順
手順①相続登記
相続登記を省略して、買主に所有権移転登記をすることはできません。
登記は、現在の所有者だけを公示しているわけではないからです。
権利移転の過程も、公示しています。
相続登記を省略すると、登記の信頼が失われます。
実際に被相続人→相続人→買主と、所有権は移転しています。
換価分割をする場合、相続登記をして買主に名義変更をします。
登記申請から完了までは、おおむね2週間程度です。
換価分割の手順1つ目は、相続登記です。
手順②不動産売却活動の開始
相続人間で打ち合わせをして、売却価格を決定します。
不動産の売却サイトや広告などで、物件情報を公開します。
購入希望者が内覧を希望することがあるでしょう。
購入希望者と売却条件の交渉や価格交渉をします。
期間は、数か月かかることが多いでしょう。
換価分割の手順2つ目は、不動産売却活動の開始です。
手順③売買契約の締結
契約内容は、相続人全員で確認します。
相続人間のトラブル防止のため、相続人全員が納得していることが重要だからです。
期間は、1~2週間程度かかるでしょう。
換価分割の手順3つ目は、売買契約の締結です。
手順④代金決済と引渡し
売買代金を決済し、不動産の鍵などを引き渡します。
同時に、諸費用を清算し売買代金を相続人に分配します。
換価分割の手順4つ目は、残代金決済と引渡しです。
手順⑤所有権移転登記
通常、残代金決済と引渡しの日当日に、所有権移転登記を申請します。
相続登記のときに発行された登記識別情報が必要になります。
登記申請から完了までは、おおむね2週間程度です。
登記完了すると、買主のために新しい登記識別情報が発行されます。
換価分割の手順5つ目は、所有権移転登記です。
手順⑥確定申告
不動産の値上がりがあると、譲渡所得を得たと言えます。
売却代金を得た相続人は、確定申告をする必要があります。
換価分割の手順6つ目は、確定申告です。
6遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット
遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。
合意がきちんと文書になっているからこそトラブルが防止できるといえます。
つまり、書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。
せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。
トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
遺留分の計算方法
1遺留分は最低限の権利
①遺言書があっても遺留分は保障される
被相続人は、原則として、自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。
財産は、被相続人がひとりで築いたものではないでしょう。
家族の協力があってこそ、築くことができた財産のはずです。
被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすることはできません。
今まで協力してきた家族に、酷な結果となることがあるからです。
被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。
相続財産に対して、認められる最低限の権利のことを遺留分と言います。
遺留分は、法定相続分に総体的遺留分をかけて計算します。
遺言書があっても、遺留分は保障されます。
②遺留分が認められる相続人
相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
相続人になる人は、次のとおりです。
(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。
(1)配偶者は必ず相続人になる
(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども
(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属
(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹
相続人のうち、遺留分が認められる人を遺留分権利者と言います。
相続人でない人は、遺留分権利者になることはありません。
遺留分権利者は、被相続人に近い関係の相続人です。
具体的には、次の人です。
(1)配偶者
(2)子ども
(3)親などの直系尊属
兄弟姉妹は相続人になりますが、遺留分権利者ではありません。
③遺留分放棄をすると遺留分は認められない
遺留分権利者には、相続財産に対して最低限の権利が認められます。
遺留分に満たない財産の配分しか受けられない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。
遺留分放棄とは、相続人自身の意思で遺留分を放棄することです。
遺留分放棄は、相続人の意思が重視されます。
遺留分放棄をすると、相続人は最低限の権利を失います。
相続が発生する前に遺留分放棄をする場合、家庭裁判所の許可の審判が必要です。
家庭裁判所の許可を得て遺留分を放棄した場合、遺留分はなくなります。
遺留分放棄をしても、相続人です。
相続人だから、相続財産を相続することができます。
遺留分放棄をすると、遺留分は認められません。
④廃除された相続人に遺留分は認められない
例えば、被相続人に虐待をした人に、相続をさせたくないと考えるのは自然なことでしょう。
被相続人が相続させたくないと思って、他の相続人にすべての財産を相続させると遺言書を書くことがあります。
遺言書を書くだけで、遺留分を奪うことはできません。
遺留分に満たない財産の配分しか受けられない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。
遺留分侵害額請求をしたら、相続財産のいくらかは虐待した相続人が受け継いでしまいます。
相続人廃除とは、被相続人の意思で相続人の資格を奪う制度です。
相続人の資格を奪うとは、実質的には遺留分を奪うことです。
兄弟姉妹は、遺留分権利者ではありません。
兄弟姉妹を廃除する必要はありません。
兄弟姉妹に相続させたくない場合、遺言書を作成するだけで実現できるからです。
相続人が廃除された場合、代襲相続が発生します。
廃除された相続人の子どもや孫が相続します。
廃除された相続人に、遺留分は認められません。
⑤欠格の相続人に遺留分は認められない
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
同時に、民法では相続人になれない人も決められています。
例えば、被相続人を殺した人が相続することは、社会感情からみても許せない、相続する人としてふさわしくないということは納得できるでしょう。
このような相続人として許せない、ふさわしくない場合、相続人の資格が奪われます。
相続欠格とは、相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度です。
相続欠格は、被相続人の意思とは無関係に相続人の資格を奪う制度です。
裁判所などで手続があるわけでなく、当然に相続資格を失います。
相続欠格になると、遺留分も奪われます。
相続人が相続欠格になる場合、代襲相続ができます。
欠格の相続人の子どもや孫が相続します。
欠格の相続人に、遺留分は認められません。
⑥相続放棄した人の子どもは相続人ではない
相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄するか選択することができます。
相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄の申立てをします。
家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。
相続放棄が認められたら、相続することはできません。
相続放棄が認められたら、遺留分を失います。
遺留分が認められるのは、相続人だけだからです。
相続放棄をしたら、代襲相続は発生しません。
相続放棄をした人の子どもや孫は、相続しません。
2相続分と遺留分の割合
①相続人が配偶者のみ
相続人が配偶者のみの場合、遺留分は相続財産の2分の1です。
例えば、相続財産が6000万円なら、遺留分は3000万円です。
②相続人が配偶者と子ども
相続人が配偶者と子どもの場合、相続分は次のとおりです。
・配偶者の相続分 2分の1
・子どもの相続分 2分の1
子どもが複数いる場合、相続分を平等に分け合います。
相続人が配偶者と子どもの場合、相続人全員の遺留分の合計は相続財産の2分の1です。
相続人全員の遺留分の合計を総体的遺留分と言います。
各相続人の遺留分を個別的遺留分と言います。
個別的遺留分は、総体的遺留分に相続分をかけることで計算することができます。
・配偶者の遺留分 4分の1
・子どもの遺留分 4分の1
子どもが複数いる場合、遺留分を平等に分け合います。
例えば、相続財産が6000万円で相続人が配偶者と長男、長女の場合
・配偶者の遺留分 1500万円
・長男の遺留分 750万円
・長女の遺留分 750万円
長男と長女の遺留分は、それぞれ8分の1です。
③相続人が配偶者と親などの直系尊属
相続人が配偶者と親などの直系尊属の場合、相続分は次のとおりです。
・配偶者の相続分 3分の2
・親などの直系尊属の相続分 3分の1
親などの直系尊属が複数いる場合、相続分を平等に分け合います。
相続人が配偶者と親などの直系尊属の場合、相続人全員の遺留分の合計は相続財産の2分の1です。
個別的遺留分は、総体的遺留分に相続分をかけることで計算することができます。
・配偶者の遺留分 3分の1
・親などの直系尊属の遺留分 6分の1
親などの直系尊属が複数いる場合、遺留分を平等に分け合います。
例えば、相続財産が6000万円で相続人が配偶者と父、母の場合
・配偶者の遺留分 2000万円
・父の遺留分 500万円
・母の遺留分 500万円
父と母の遺留分は、それぞれ12分の1です。
④相続人が親などの直系尊属のみ
親などの直系尊属が複数いる場合、相続分を平等に分け合います。
相続人が配偶者と親などの直系尊属の場合、相続人全員の遺留分の合計は相続財産の3分の1です。
個別的遺留分は、総体的遺留分に相続分をかけることで計算することができます。
例えば、相続財産が6000万円で相続人が父と母の場合
・父の遺留分 1000万円
・母の遺留分 1000万円
父と母の遺留分は、それぞれ6分の1です。
⑤相続人が配偶者と兄弟姉妹
相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合、相続分は次のとおりです。
・配偶者の相続分 4分の3
・兄弟姉妹の相続分 4分の1
兄弟姉妹が複数いる場合、相続分を平等に分け合います。
相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合、相続人全員の遺留分の合計は相続財産の2分の1です。
個別的遺留分は、総体的遺留分に相続分をかけることで計算することができます。
・配偶者の遺留分 2分の1
・兄弟姉妹の遺留分 なし
兄弟姉妹に、遺留分は認められません。
例えば、相続財産が6000万円で相続人が配偶者と兄、姉の場合
・配偶者の遺留分 3000万円
・兄の遺留分 なし
・姉の遺留分 なし
兄弟姉妹は、相続人になることができます。
兄弟姉妹者、遺留分権利者ではありません。
3遺留分の計算方法
①プラスの財産とマイナスの財産
遺留分を計算する場合、遺留分を計算する財産を確認します。
相続財産というと、プラスの財産だけに注目しがちです。
相続財産には、マイナスの財産も含まれます。
遺留分を計算する場合、プラスの財産からマイナスの財産を差引して計算します。
②生前贈与した財産を加算する
被相続人が元気なうちに、相続人に財産を分け与えることがあります。
受け取った財産について何も考慮しないと、財産を受け取っていない相続人は不満に思うでしょう。
一部の相続人だけ特別に得ていた利益を特別受益と言います。
特別受益がある場合、相続財産に持ち戻して遺産分割をすることができます。
特別受益の持ち戻しは、相続人間の公平のための制度です。
遺留分を計算する場合、次の贈与は遺留分を計算する財産に算入します。
(1)特別受益
(2)特別受益以外で、相続開始1年以内にされた贈与
(3)特別受益以外で、遺留分権利者に損害を与えることを知ってされた贈与
③遺留分の割合をかけて計算する
遺留分を計算する財産は、プラスの財産とマイナスの財産と生前贈与等から求めることができます。
遺留分を計算する財産に個別的遺留分をかけて、計算します。
4遺留分を侵害されたら遺留分侵害額請求ができる
①遺留分には期限がある
遺留分は、相続人に認められた最低限の権利です。
遺留分に満たない財産の配分しか受けられなかった場合、遺留分侵害額請求をすることができます。
遺留分を請求しないまま長期間経過した場合、遺留分侵害額請求をすることができなくなります。
遺留分侵害額請求には、時効があるからです。
遺留分侵害額請求の時効は、次のとおりです。
(1)侵害の事実を知ってから1年
(2)侵害されたときから10年
遺留分侵害額請求権は、最短1年で時効消滅します。
②遺留分侵害額請求の順序
遺留分に満たない財産の配分しか受けられなかった場合、不公平な遺言、生前贈与、死因贈与があるでしょう。
遺留分侵害額請求には、順序があります。
遺留分侵害額請求の順序は、遺言→死因贈与→生前贈与の順です。
生前贈与が複数ある場合、日付が新しい生前贈与に遺留分侵害額請求をします。
5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット
自筆証書遺言の多くは、専門家のサポートなしで一人で作ります。
その結果、遺言書の厳格な書き方ルールが守られておらず、無効になってしまいます。
形式的な書き方ルールは守られていても、内容があいまいで遺言書を実現できないことも多々あります。
さらに、相続人の遺留分に配慮されておらず、トラブルに発展する例もあります。
せっかく遺言書を作るのなら確実な公正証書遺言をおすすめします。
司法書士などの専門家は相続人になる予定の人の遺留分にも配慮して、遺言書文案作成から公正証書遺言作成、遺言執行までトータルでサポートします。
司法書士からトータルでサポートを受けると、遺言者は確実な遺言を遺せるので安心できるでしょう。相続発生後も、相続人は面倒な相続手続から解放されます。
遺言者も家族も安心できる公正証書遺言作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。
生命保険を活用した代償分割のメリットと注意点
1代償分割で公平に遺産分割
①代償分割は代償金を払ってもらう方法
相続財産には、いろいろな財産が含まれています。
現金や預貯金は、分けやすい財産です。
不動産は、分けにくい財産です。
相続財産の大部分が分けにくい財産の場合、相続人全員の合意が難しくなるでしょう。
代償分割をすることで、相続人全員の合意が得られることがあります。
代償分割とは、一部の相続人が財産を多く相続し、代わりに他の相続人はお金をもらう方法です。
例えば、一部の相続人が不動産を相続し、代わりに他の相続人は不動産を相続した人から、その分の代償をもらう方法です。
代償金を払ってもらうことで、公平な遺産分割をすることができます。
②代償金は遺産分割協議で決定する
代償分割は、相続財産を分ける方法のひとつです。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
どのような方法で相続財産を分けるのか、相続人全員の合意で決定します。
代償分割をすると決めた後、代償金について相続人全員の合意で決定します。
代償金をいくらにするのかは、遺産分割協議の一部だからです。
代償金をどのような方法で払うのかは、遺産分割協議の一部だからです。
代償金は、遺産分割協議で決定します。
③代償金の支払は遺産分割の一環
不動産は、分けにくい財産の代表例です。
相続財産の大部分が不動産である場合、代償分割は有効です。
公平な遺産分割を実現しやすいからです。
代償金の支払は、贈与ではなく遺産分割の一環です。
代償金を支払っても代償金を受け取っても、原則として贈与税はかかりません。
贈与とは、贈与者が財産を無償で譲渡し受贈者が財産の譲受けに合意することです。
代償金を払う人は、相続財産を多く相続します。
相続財産を多く相続する代償だから、無償で譲渡するとは言えません。
代償金の支払は、遺産分割の一環です。
2代償分割で生命保険を活用するメリット
①生命保険の死亡保険金は受取人の固有の財産
生命保険の死亡保険金は金額が大きいことが多いので、気になる人も多いでしょう。
原則として、生命保険の保険金を受け取る権利は、相続人の固有の財産です。
固有の財産とは、相続財産ではなく、もとからその人の財産であるという意味です。
受取人が「相続人」と指定してあっても、相続で受け取るものではありません。
被相続人の死亡をきっかけにして、死亡保険金を受け取ります。
保険契約によって、受取人が受け取るものです。
被相続人は、生前に生命保険の死亡保険金を受け取る権利を持っていません。
相続によって、被相続人から受け継いだ財産ではありません。
遺産分割協議をしなくても、死亡保険金を受け取ることができます。
遺産分割協議とは、相続財産の分け方を決めるため相続人全員でする話合いです。
生命保険の死亡保険金は、相続財産ではなく受取人の固有の財産です。
②代償分割のトラブル回避
代償分割をする場合、代償金を払う必要があります。
代償金を払う約束をしたのに代償金を払ってもらえないのは、よくあるトラブルです。
生命保険の死亡保険金は、現金で受け取ることができます。
受け取った死亡保険金は、受取人が代償金の支払いに充てることができます。
生命保険を活用した場合、代償分割のトラブルを回避することができるでしょう。
③公平な遺産分割の実現
代償分割は、代償金を払ってもらうことで公平に遺産分割をする方法です。
不動産や事業用財産などは、公平に分割することが難しいでしょう。
一部の相続人が不動産や事業用財産を相続しても、代償金を受け取ることで合意できることがあります。
生命保険を活用して代償分割をすると、公平な遺産分割を実現することができます。
④代償金の準備ができる
公平な遺産分割のため、代償金を支払います。
不動産や事業用財産を相続したのに代償金を支払えないと、トラブルに発展します。
被相続人が生命保険に加入することで、代償金を準備することができます。
生命保険の死亡保険金は、受取人の固有の財産になるからです。
生命保険を活用することで、代償金を準備することができます。
3 代償分割をするときの遺産分割協議書の書き方
①遺産分割協議書は相続人全員の証明書
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
相続人全員の合意がまとまったら、合意内容を書面に取りまとめます。
遺産分割協議書とは、相続財産の分け方について相続人全員による合意内容の証明書です。
合意内容を取りまとめた書面は、相続人全員に内容を確認してもらいます。
合意内容に問題がなければ、相続人全員が記名し実印で押印します。
遺産分割協議書の押印が実印によることを証明するため、印鑑証明書を添付します。
遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。
②代償分割を遺産分割協議書に明記
遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。
遺産分割の一環として代償金を支払う場合、遺産分割協議書に記載があるはずです。
代償金の支払い条項がない場合、代償金の合意はなかったと判断されます。
遺産分割協議書に代償金の記載がないのに金銭の支払があれば、単なる贈与になります。
代償金のつもりで金銭を支払っても、遺産分割の一環とは言えません。
単なる贈与と判断されるから、贈与税の対象になります。
贈与税は、想像以上に高額になりがちです。
4代償分割で贈与税がかかる
①代償金は贈与税ではなく相続税の対象
代償分割をする場合、代償金を支払っても代償金を受け取っても贈与税の対象ではありません。
代償金の支払いは、遺産分割の一環だからです。
相続財産の規模が大きい場合、相続税の対象になります。
代償金を受け取った相続人は、代償金に相続税が課されます。
代償金を支払った相続人は、代償金を差し引いて相続税が課されます。
代償金は贈与税ではなく、相続税の対象です。
②代償金名目の贈与は贈与税の対象
代償分割は、相続財産を分ける方法のひとつです。
代償分割をすると決めた後、代償金は相続人全員の合意で決定します。
代償金をいくらにするのかは、遺産分割協議の一部だからです。
代償分割は、代償金を支払うことで公平な遺産分割を実現する方法です。
価値の高い不動産などを相続する人は、代償金を支払います。
価値の高い不動産などを相続できない人は、代償金を受け取ります。
代償金で調整するから、公平な遺産分割になるはずです。
代償金で調整するから、代償金の金額は不動産などの評価額を超えることはできないはずです。
不動産の評価額を超えた場合、評価額を超えた部分は代償金とは言えないでしょう。
不動産の評価額までは、代償金を見ることができます。
不動産の評価額を超えた部分は、贈与というべきでしょう。
相続人全員の合意で代償金を決めても、実質的に代償金とは言えません。
代償金名目で遺産分割協議書に記載しても、贈与であると判断されます。
不動産の評価額を超えた部分は、贈与と判断されて贈与税の対象になります。
③死亡保険金を分割すると贈与税の対象になる
他の相続人が死亡保険金を受け取った場合、分割して欲しいと考えるかもしれません。
死亡保険金を相続人間で、分割することができないわけではありません。
固有の財産は、自由に贈与することができるからです。
例えば、相続人が長男と長女の2人で相続財産は1000万円の預金のみのケースがあります。
相続人2人で、預金は長女が全額相続すると合意することができます。
遺産分割協議を成立させたときに、贈与税は課されません。
生命保険の死亡保険金3000万円の受取人が長男である場合、長男から長女へ1000万円支払ってもらうと贈与税の対象になります。
固有の財産から支払いをするのは、単なる贈与だからです。
遺産分割協議書に明記しても、単なる贈与であることに変わりはありません。
生命保険の死亡保険金を分割すると、贈与税の対象になります。
5代償分割で生命保険を活用する注意点
①契約内容を適切に設定する
代償分割で生命保険を活用する場合、次のように設定するのが一般的です。
・契約者 被相続人
・被保険者 被相続人
・受取人 相続人
受取人には、代償金を支払う相続人を指定します。
代償金を支払う相続人は、不動産や事業用財産を相続する相続人です。
他の相続人を指定してしまうと、代償分割ができなくなるおそれがあります。
生命保険の死亡保険金は、受取人の固有の財産だからです。
代償分割で生命保険を活用する注意点の1つ目は、契約内容を適切に設定することです。
②相続させる財産に見合う保険金額を設定する
代償分割で生命保険を活用する場合、死亡保険金の額が重要です。
代償金の支払いにあてるために、生命保険を活用するからです。
代償金に不足すると、トラブルに発展するおそれがあります。
財産を評価する方法は、複数あります。
代償金を受け取る人は、高く評価される評価基準を主張するでしょう。
代償金を支払う人は、低く評価される評価基準を主張するでしょう。
相続財産を適切に評価して、充分な死亡保険金を準備する必要があります。
代償分割で生命保険を活用する注意点の2つ目は、相続させる財産に見合う保険金額を設定することです。
③早期の生命保険解約で元本割れ
相続対策のため生命保険契約をしても、解約を選択することがあるでしょう。
生命保険を契約してから間もない時期に解約すると、元本割れをします。
生命保険契約をしたことで、財産を大きく目減りさせる可能性があります。
代償分割で生命保険を活用する注意点の3つ目は、早期の生命保険解約で元本割れすることです。
6生命保険を活用した代償分割の手順
手順①生命保険契約をする
被相続人が生命保険契約をします。
・契約者 被相続人
・被保険者 被相続人
・受取人 代償金を支払う予定の相続人
相続させる財産に見合う保険金額を設定します。
手順②相続の発生
被保険者が死亡したら、死亡保険金を請求します。
死亡保険金は受取人の固有の財産だから、迅速に保険金を受け取ることができます。
手順③遺産分割協議
遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話合いです。
相続人全員の合意内容は、遺産分割協議書に取りまとめます。
代償金の金額や支払方法は、遺産分割協議で決定します。
手順④代償金の支払い
遺産分割協議で決定した方法で、代償金を支払います。
遺産分割協議書の記載どおりに、不動産や事業用財産の相続手続をします。
7遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット
遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。
合意がきちんと文書になっているからこそ、トラブルが防止できるといえます。
書き方に不備があると、トラブルを起こしてしまう危険があります。
もともとトラブルの火種があるのなら、いっそう慎重になる必要があります。
遺産分割協議書は公正証書にしなくても済むことが多いものですが、慎重を期して公正証書にした方がいい場合があります。
せっかくお話合いによる合意ができたのに、その後にトラブルになるのは残念なことだからです。
公正証書にするためには、手間と費用がかかります。
公正証書にする手間と費用を惜しむと、裁判をするなど大きな手間と高額な費用を負担することになります。
トラブルを防止するため、遺産分割協議書を公正証書にしたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
遺産分割協議中に固定資産税
1不動産の所有者に固定資産税がかかる
①1月1日現在の所有者に固定資産税納税義務
固定資産税とは、固定資産に対してかかる税金です。
固定資産税がかかる固定資産には、土地、家屋、製造設備や事業用資産などの償却資産があります。
固定資産が所在する市区町村に対して、税金を納めます。
固定資産税を納める人を納税義務者と言います。
納税義務者は、1月1日現在、土地、家屋、及び償却資産の所有者として、固定資産税課税台帳に登録されている人です。
1月1日現在の所有者は、固定資産税を納める義務があります。
②未払い固定資産税は相続財産
固定資産税は、まとめて一括する方法と年4回の分割払いする方法があります。
例えば、名古屋市では4月、7月、12月、翌年2月に分割払いをすることができます。
年4回の分割払いをしていた人が途中で死亡することがあります。
4月分と7月分を納付した後8月に死亡した場合、12月分と翌年2月分は未納になります。
相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。
被相続人のプラスの財産とマイナスの財産が相続財産です。
被相続人が税金を納める義務を果たさないまま死亡した場合、税金を納める義務は相続財産です。
未払い固定資産税は、相続財産です。
③相続発生で口座凍結
固定資産税は、納付書で納付する方法と口座引き落としで納付する方法があります。
被相続人が固定資産税を口座引き落としで納付していることがあります。
口座の持ち主が死亡したことを金融機関が知った場合、口座を凍結します。
口座の凍結とは、口座取引をできなくすることです。
口座取引ができなくなるから、固定資産税の引落ができません。
固定資産税の口座引き落としができなかった場合、市区町村役場に連絡して納付書で納付します。
2遺産分割協議中に固定資産税がかかる
①相続発生後の固定資産税は相続財産ではない
固定資産税とは、固定資産に対してかかる税金です。
1月1日現在の所有者は、固定資産税を納める義務があります。
所有者が死亡しても、固定資産税はかかります。
所有者が死亡したら、被相続人のものは相続人が相続するからです。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
遺産分割協議が成立するまで、相続財産は相続人全員の共有財産です。
遺産分割が成立しないまま1月1日を迎えた場合、1月1日現在の所有者は相続人全員です。
相続人全員に対して、新年の固定資産税が課されます。
新年に課された固定資産税は、相続財産ではありません。
被相続人は、死亡後の固定資産税を払う義務を負っていません。
被相続人から引き継いだ義務ではないからです。
相続人全員が新たに負担した相続人全員の固有の義務です。
②遺産分割協議中は相続人全員の連帯責任
固定資産税は、相続人全員の連帯責任です。
相続人全員が法定相続分で固定資産税を負担します。
遺産分割協議が長期化すると、固定資産税も高額になります。
③被相続人名義で納税通知書
固定資産税は、1月1日現在の所有者に課されます。
遺産分割協議中であっても新たに固定資産税がかかります。
遺産分割協議中の場合、事実上、不動産の名義変更をすることができません。
相続登記がされない場合、被相続人の住所に被相続人名義で納税通知が送られます。
納税通知が被相続人名義になっていても、固定資産税の納税義務は相続人全員の義務です。
④期限が過ぎると延滞税
被相続人名義で納税通知書が送られても、固定資産税の納税義務は相続人全員の義務です。
被相続人の住所地にだれも住んでいないことがあります。
納税通知に気づかないまま、期限が過ぎてしまうおそれがあります。
納税通知が届けられず、市区町村役場に返送されてしまうことがあります。
固定資産税を納めないまま期限を過ぎてしまったら、延滞税がかかります。
⑤滞納を放置すると代位登記のおそれ
固定資産税等を滞納した場合、滞納処分が開始します。
滞納処分が開始した場合、納税義務者の財産を差押えることができます。
差押の前提として、債権者代位で相続登記をすることができます。
被相続人名義の不動産に対して、相続人の税金で差押をすることができないからです。
相続人の名義にするため、法定相続分で相続登記をします。
債権者が代位登記をする場合、相続人に連絡することはありません。
相続人がどのような遺産分割協議をしているのかお構いなしで代位登記をします。
相続人が知らないところで、勝手に登記を入れてきます。
遺産分割協議が成立したから消して欲しいと文句を言うことはできません。
税金を取り立てるために差押をしたものだからです。
税金の滞納を放置した場合、代位登記がされるおそれがあります。
3固定資産税を含めて遺産分割協議
①相続人代表者指定届を提出しても連帯責任
被相続人の住所地が空き家になっている場合、納税通知に気づかないおそれがあります。
相続人代表者指定届とは、固定資産税の納税通知書を受け取る代表者を指定する届出です。
相続人代表者指定届を提出した場合、納税通知書は代表相続人のところに送られます。
代表相続人のところに送られるから、納税通知に気づかないといったことを減らすことができます。
相続人代表者指定届は、納税通知書を受け取る人を届け出ただけです。
納税通知書には、納付書が同封されます。
納付書が同封されても、代表相続人だけが納税義務者になるわけではありません。
相続財産は、相続人全員の共有財産だからです。
相続人代表者指定届は、納税通知書を受け取る代表者を指定したに過ぎません。
納税義務は、相続人全員の連帯責任です。
相続人代表者指定届を提出しても、納税義務は相続人全員の連帯責任のままです。
②固定資産税を納めても相続人全員の共有財産
1月1日現在の所有者は、固定資産税を納める義務があります。
相続代表者指定届を提出した場合、代表相続人のもとに納税通知書が届きます。
納税通知書には、納付書が同封されます。
代表相続人が納付書で固定資産税を納付しても、所有者になるわけではありません。
固定資産税は、相続人全員に納付義務があります。
代表相続人が納付した場合、他の相続人のため立替払いをしたと言えます。
他の相続人に対して法定相続分で固定資産税を清算してもらうことができます。
固定資産税を納めても、不動産は相続人全員の共有財産です。
③遺産分割協議は相続人全員の合意で成立
相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。
相続財産の分け方は、相続人全員が合意できるのであればどのように分けても差し支えありません。
遺産分割協議中に新たに発生した固定資産税は、相続財産ではありません。
相続人全員の固有の義務だけど、固有の義務を含めて合意をすることができます。
固定資産税は、1月1日現在の所有者に課されます。
例えば、2024年8月に相続が発生した場合、2024年1月1日の所有者は被相続人です。
2024年12月と2025年2月に納める固定資産税は、被相続人が納めるべき固定資産税です。
2024年12月と2025年2月に納める固定資産税は、未払い固定資産税です。
遺産分割協議が成立しないまま2025年1月1日を迎えたら、所有者は相続人全員です。
固定資産税の納税義務者は、相続人全員です。
2025年4月、7月、12月、2026年2月の固定資産税納付義務は、相続人全員にあります。
2025年1月10日に遺産分割協議が成立した場合、その財産を取得する人が固定資産税を負担します。
2025年1月10日に遺産分割協議が成立しても、2025年4月、7月、12月、2026年2月の固定資産税納付義務は、相続人全員のままです。
固定資産税は、1月1日現在の所有者に課されるからです。
2025年1月10日に遺産分割協議が成立した場合、2026年4月以降は不動産を取得する人が固定資産税を負担します。
何となく納得できない気持ちになる人も多いでしょう。
納税義務は納税義務として、相続人全員で実際の負担者を合意することができます。
キチンと納税されれば、実際の負担者についてあれこれ言われることはありません。
不動産を取得する人だけでなく固定資産税の負担についても、まとめて合意するのが合理的です。
4相続放棄をしても固定資産税の納税義務
①未払い固定資産税は払わなくてもいい
相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。
相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する申立てをします。
家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。
家庭裁判所が相続放棄を認めた場合、申立てをした人だけに通知します。
家庭裁判所は自主的に市区町村役場などに相続放棄を認めたことを連絡しません。
被相続人に未払い固定資産税がある場合、税金を払ってくださいと通知してきます。
相続放棄が認められた場合、被相続人の未払い固定資産税は引き継ぎません。
市区町村役場は相続放棄をしたことを知らないから、通知してきただけです。
通知があっても、あわてて納付する必要はありません。
被相続人の未払金を払った場合、単純承認と見なされます。
単純承認をしたら、相続放棄が無効になるからです。
②相続発生後の固定資産税の納税義務を負う可能性がある
納税義務者は、1月1日現在、土地、家屋、及び償却資産の所有者として、固定資産税課税台帳に登録されている人です。
相続発生後の固定資産税は、納税義務者の固有の義務です。
被相続人から相続した義務ではありません。
相続放棄のタイミングによっては、所有者として固定資産税課税台帳に登録されることがあります。
所有者として固定資産税課税台帳に登録された場合、固定資産税の納税義務を負う可能性があります。
5遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット
遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。
合意がきちんと文書になっているからこそ、トラブルが防止できるといえます。
遺産分割協議書の書き方に不備があると、トラブルを起こしてしまう危険があります。
せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。
トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
代償分割で贈与税がかかるケース
1代償分割で公平に遺産分割
①代償分割は代償金を払ってもらう方法
相続財産には、いろいろな財産が含まれています。
現金や預貯金は、分けやすい財産です。
不動産は、分けにくい財産です。
相続財産の大部分が分けにくい財産の場合、相続人全員の合意が難しくなるでしょう。
代償分割をすることで、相続人全員の合意が得られることがあります。
代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続し、残りの相続人は不動産を相続した人から、その分の代償をもらう方法です。
代償金を払ってもらうことで、公平な遺産分割をすることができます。
②代償金は遺産分割協議で決定する
代償分割は、相続財産を分ける方法のひとつです。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
どのような方法で相続財産を分けるのか、相続人全員の合意で決定します。
代償分割をすると決めた後、代償金について相続人全員の合意で決定します。
代償金をいくらにするのかは、遺産分割協議の一部だからです。
代償金をどのような方法で払うのかは、遺産分割協議の一部だからです。
代償金は、遺産分割協議で決定します。
③代償金の支払は遺産分割の一環
不動産は、分けにくい財産の代表例です。
相続財産の大部分が不動産である場合、代償分割は有効です。
公平な遺産分割を実現しやすいからです。
代償金の支払は、贈与ではなく遺産分割の一環です。
代償金を支払っても代償金を受け取っても、原則として贈与税はかかりません。
贈与とは、贈与者が財産を無償で譲渡し受贈者が財産の譲受けに合意することです。
代償金を払う人は、相続財産を多く相続します。
相続財産を多く相続する代償だから、無償で譲渡するとは言えません。
代償金の支払は、遺産分割の一環です。
2遺産分割協議書に記載がないと贈与税がかかる
①遺産分割協議書は相続人全員の証明書
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
相続人全員の合意がまとまったら、合意内容を書面に取りまとめます。
相続財産の分け方について相続人全員の合意内容を取りまとめた書面を遺産分割協議書と言います。
合意内容を取りまとめた書面は、相続人全員に内容を確認してもらいます。
合意内容に問題がなければ、相続人全員が記名し実印で押印します。
遺産分割協議書の押印が実印によることを証明するため、印鑑証明書を添付します。
遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。
②代償分割をするときの遺産分割協議書の書き方
記載例
第1条
相続財産中、次の不動産については、相続人○○○○が相続する。
所在 ○○市○○町○丁目
地番 ○番○
地目 宅地
地積 200㎡
第2条
相続人○○○○は前条に記載された財産を取得する代償として、相続人□□□□に対して金○○万円を令和□年□月□日限り、以下の口座に振込みの方法により支払う。
振込手数料は、相続人○○○○が負担する。
□□銀行□□支店
普通預金
口座番号□□□□□□□
口座名義人 □□□□
③代償金なのに単なる贈与になる
遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。
遺産分割の一環として代償金を支払う場合、遺産分割協議書に記載があるはずです。
上記記載例のうち第1条のみ記載があって第2条の記載がない場合、代償金の合意はなかったと判断されます。
遺産分割協議書に代償金の記載がないのに金銭の支払があれば、単なる贈与になります。
代償金のつもりで金銭を支払っても、遺産分割の一環とは言えません。
単なる贈与と判断されるから、贈与税の対象になります。
贈与税は、想像以上に高額になりがちです。
3高額過ぎる代償金に贈与税がかかる
代償分割は、相続財産を分ける方法のひとつです。
代償分割をすると決めた後、代償金は相続人全員の合意で決定します。
代償金をいくらにするのかは、遺産分割協議の一部だからです。
代償分割は、代償金を支払うことで公平な遺産分割を実現する方法です。
価値の高い不動産などを相続する人は、代償金を支払います。
価値の高い不動産などを相続できない人は、代償金を受け取ります。
代償金で調整するから、公平な遺産分割になるはずです。
代償金で調整するから、代償金の金額は不動産などの評価額を超えることはできないはずです。
不動産の評価額を超えた場合、評価額を超えた部分は代償金とは言えないでしょう。
不動産の評価額までは、代償金を見ることができます。
不動産の評価額を超えた部分は、贈与というべきでしょう。
相続人全員の合意で代償金を決めても、実質的に代償金とは言えません。
代償金名目で遺産分割協議書に記載しても、贈与であると判断されます。
不動産の評価額を超えた部分は、贈与と判断されて贈与税の対象になります。
4生命保険の死亡保険金を分けると贈与税がかかる
①生命保険の死亡保険金は相続財産ではないのに相続税の対象になる
被相続人に生命保険がかけてあった場合、死亡によって死亡保険金が支払われます。
生命保険の死亡保険金は、相続財産ではありません。
被相続人の死亡をきっかけに、受取人が受け取る財産です。
被相続人は、生前に死亡保険金を受け取る権利はなかったはずです。
死亡保険金は、被相続人から引き継ぐことはできません。
生命保険の死亡保険金は、保険契約によって受取人が取得する財産です。
生命保険の死亡保険金は、相続財産ではありません。
相続財産の規模が大きい場合、相続税の対象になります。
相続税を計算するときは、実質的に相続で財産を取得したと見なして相続税の対象になります。
相続財産ではないのに相続税の対象として取り扱う財産を見なし相続財産と言います。
被相続人が保険料を負担して相続人が死亡保険金を受け取ることから、相続財産同様に課税対象になります。
生命保険の死亡保険金は、相続財産ではないのに相続税の対象になります。
②遺産分割をするときは贈与税の対象ではない
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
相続人全員で合意できれば、どのように分けても自由です。
法定相続分に関わらず、自由に決めることができます。
家族の事情を考えて、一部の相続人が全財産を相続する遺産分割協議を成立させることができます。
例えば、相続人が長男と長女の2人で相続財産は1000万円の預金のみのケースがあります。
相続人2人で、預金は長女が全額相続すると合意することができます。
遺産分割協議を成立させたときに、贈与税は課されません。
生命保険の死亡保険金1000万円の受取人が長男である場合、公平な分割と感じるでしょう・
死亡保険金を考慮して、遺産分割をしたからです。
遺産分割をするときは、贈与税の対象ではありません。
③死亡保険金を分割すると贈与税の対象になる
他の相続人が死亡保険金を受け取った場合、分割して欲しいと考えるかもしれません。
死亡保険金を相続人間で、分割することができないわけではありません。
固有の財産は、自由に贈与することができるからです。
例えば、相続人が長男と長女の2人で相続財産は1000万円の預金のみのケースがあります。
相続人2人で、預金は長女が全額相続すると合意することができます。
遺産分割協議を成立させたときに、贈与税は課されません。
生命保険の死亡保険金3000万円の受取人が長男である場合、長男から長女へ1000万円支払ってもらうと贈与税の対象になります。
固有の財産から支払いをするのは、単なる贈与だからです。
遺産分割協議書に明記しても、単なる贈与であることに変わりはありません。
生命保険の死亡保険金を分割すると、贈与税の対象になります。
5遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット
遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。
合意がきちんと文書になっているからこそ、トラブルが防止できるといえます。
書き方に不備があると、トラブルを起こしてしまう危険があります。
もともとトラブルの火種があるのなら、いっそう慎重になる必要があります。
遺産分割協議書は公正証書にしなくても済むことが多いものですが、慎重を期して公正証書にした方がいい場合があります。
せっかくお話合いによる合意ができたのに、その後にトラブルになるのは残念なことだからです。
公正証書にするためには、手間と費用がかかります。
公正証書にする手間と費用を惜しむと、裁判をするなど大きな手間と高額な費用を負担することになります。
トラブルを防止するため、遺産分割協議書を公正証書にしたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
預貯金のみの遺産分割協議書で口座凍結を解除
1遺産分割協議書は相続人全員の合意の証明書
①相続人全員で合意できれば分け方は自由
相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
銀行などの預貯金は、日常生活に欠かせません。
多くの人は、銀行口座を持っているでしょう。
被相続人の口座の預貯金は、相続財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
相続人全員の合意ができれば、相続財産の分け方は自由です。
各相続人の相続分は、法律で決められています。
例えば、配偶者と子どもが相続人である場合、相続分は次のとおりです。
・配偶者 2分の1
・子ども 2分の1
相続人全員で合意できれば、法律で決められた割合に従う必要はありません。
配偶者が全財産を相続する合意をすることができます。
相続人全員の合意ができれば、相続財産の分け方は自由です。
②遺産分割協議書に金額は書かなくていい
相続財産の分け方について相続人全員で合意できたら、合意内容は書面に取りまとめます。
遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。
遺産分割協議書には、どの相続人がどの財産を取得するのか特定して記載します。
どの財産か特定できれば、わざわざ金額を記載する必要はありません。
〇〇銀行〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇〇
例えば、上記のような記載があれば充分に財産を特定することができます。
家族にとって、自宅などの不動産や株式は重要な財産でしょう。
不動産には、複数の評価方法があります。
不動産をいくらと考えるのが適切なのか、一概に決められないことが多いでしょう。
株式などの評価額は、日々大きな変動があります。
株式をいくらと考えるのが適当なのか、一概に決められないことが多いでしょう。
不動産や株式について、金額は書けないでしょう。
相続財産が預貯金のみであれば、金額を書くことに意味があるかもしれません。
相続財産の大部分を占める不動産や株式に金額を書かないのに、預貯金だけ金額を書くのは無意味でしょう。
遺産分割協議書に、金額を書く必要はありません。
③相続発生後の利息を含めて合意ができる
被相続人の財産は、相続人が相続します。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方について、相続人全員による話し合いが長引くことがあるでしょう。
ときには、何年も話し合いがまとまらないことがあります。
長期間話し合いを続けている間に、利息が付くことがあります。
遺産分割協議中に付与された利息は、相続財産ではありません。
利息は、相続人全員の共有財産です。
相続人全員の共有財産である相続財産から発生した財産だからです。
法律上は、各相続人が法定相続分で取得します。
わずかな利息を法定相続分で分けるのは、手間と時間がかかることが多いでしょう。
相続財産ではないものの、相続人全員の合意によって分け方を決めることができます。
相続発生後の利息を含めて、相続人全員で合意することができます。
2預貯金のみの遺産分割協議書で口座凍結を解除
①銀行が死亡を知ったタイミングで口座凍結
銀行などの預貯金は、日常生活に欠かせません。
多くの人は、銀行などに預貯金の口座を持っているでしょう。
口座の持ち主が死亡したことを銀行などの金融機関が知った場合、口座の取引を停止します。
口座の凍結とは、口座取引を停止することです。
・ATMや窓口での引出
・年金の振込
・公共料金の引落
上記は、口座取引の一例です。
口座凍結がされると、口座取引ができなくなります。
口座凍結がされるのは、口座の持ち主が死亡したことを銀行が知ったときです。
人が死亡した場合、医師が死亡診断書を作成します。
市区町村役場に、死亡届を提出します。
病院や市区町村役場が自主的に金融機関に連絡することはありません。
病院や市区町村役場は、死亡した人がどの金融機関に口座を持っているのか知らないはずです。
病院や市区町村役場が金融機関に連絡したら、個人情報の漏洩になります。
病院や市区町村役場が個人情報の漏洩をしたら、責任を問われることになるでしょう。
実際は金融機関が口座の持ち主の死亡を知ったときに、口座は凍結されます。
多くは、被相続人の家族が相続財産の確認や相続手続の方法を問い合わせるでしょう。
問合せを受けたときに、持ち主の死亡を知ります。
被相続人の家族が金融機関に問合わせをしたときに、口座は凍結されます。
銀行が口座の持ち主の死亡を知ったタイミングで、口座は凍結されます。
②口座凍結する理由はトラブルに巻き込まれないため
口座の持ち主が死亡したことを銀行が知ったとき、口座は凍結されます。
相続人間のトラブルに銀行が巻き込まれないために、口座は凍結されます。
口座の持ち主が死亡した場合、口座の預貯金は相続人が相続します。
口座の預貯金は、相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。
一部の相続人が勝手に引き出すことはできません。
勝手に引き出した場合、相続人間で大きなトラブルになるでしょう。
仮に、一部の相続人が勝手に引出しができるとしたら、他の相続人から強い抗議がされるでしょう。
銀行は、相続人間のトラブルに巻き込まれることになります。
被相続人の大切な預貯金を守れないとなったら、銀行の信用は失墜するでしょう。
相続人のトラブルに巻き込まれて信用が失墜するなど、銀行は何としても避けたいはずです。
相続人間のトラブルに巻き込まれないため、口座は凍結されます。
③法定相続分であっても引出しができない
口座の預貯金は、相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。
各相続人の相続分は、法律で決められています。
法定相続分以内であっても、一部の相続人が勝手に引き出すことはできません。
他の相続人との合意がないのに勝手に引き出すと、大きなトラブルになるでしょう。
法定相続分であっても、相続人全員の合意が必要です。
④預貯金のみの遺産分割協議ができる
遺産分割協議を成立させるためには、相続人全員の合意が不可欠です。
相続人全員の合意ができるのであれば、相続財産全部をまとめて分ける必要はありません。
分けやすい財産だけ、相続人全員で合意することができます。
預貯金についてだけ、相続人全員で合意することができます。
相続財産全部の合意でないからと言って、遺産分割協議が無効になることはありません。
一部の財産についての遺産分割協議は、有効な遺産分割協議です。
合意ができた財産から、合意内容を書面に取りまとめます。
相続財産の分け方について合意内容を取りまとめた書面を遺産分割協議書と言います。
一部の財産についての遺産分割協議書は、有効な遺産分割協議書です。
一部の財産についての遺産分割協議は、有効な遺産分割協議だからです。
預貯金のみの遺産分割協議は、有効な遺産分割協議です。
口座の持ち主が死亡したら、口座は凍結されます。
大切な家族が死亡したら、葬儀を出します。
病院や施設の費用を清算します。
葬儀や病院施設の費用は、ある程度まとまった金額になるでしょう。
葬儀や病院施設の費用のために、預貯金のみ遺産分割協議をすることは割とよくあります。
預貯金のみ合意ができたら、預貯金の凍結解除をしてもらえるからです。
口座の凍結解除のため、預貯金のみの遺産分割協議をすることができます。
⑤銀行ごとに遺産分割協議書を作成できる
遺産分割協議書は、相続人の手間を省くため相続財産全部について作成するのが一般的です。
相続財産全部について、まとめて作成しなければならないといったルールがあるわけではありません。
一部の財産についての遺産分割協議は、有効な遺産分割協議だからです。
一部の財産の分け方について合意できたら、合意できた財産について書面に取りまとめることができます。
一部の財産についての遺産分割協議書は、有効な遺産分割協議書です。
遺産分割協議書にしておかないと、後々合意をしていないと言い出す相続人が現れるかもしれないからです。
預貯金のみの遺産分割協議書を作成することができます。
一部の預貯金のみの遺産分割協議書を作成することができます。
一部の財産についての遺産分割協議書は、有効な遺産分割協議書だからです。
預貯金の分け方について、銀行ごとに遺産分割協議書を作成することができます。
凍結口座の解約手続で、銀行に遺産分割協議書を提出します。
預貯金すべてが記載してある場合、他の金融機関の預貯金の存在が知られてしまうでしょう。
預貯金の存在を知ったら、金融商品を販売すべく熱心に営業をするでしょう。
顔見知りの銀行員から熱心に訪問や電話などをされたら、断り切れなくなるかもしれません。
銀行ごとに遺産分割協議書を作成した場合、他の銀行の預貯金について知られることはないでしょう。
銀行ごとに遺産分割協議書を作成することができます。
⑥後日判明した預貯金について遺産分割協議をすることができる
被相続人が契約していた生命保険が分からない場合、生命保険協会に開示請求をすることができます。
被相続人が取引する証券会社が分からない場合、証券保管振替機構に開示請求をすることができます。
被相続人の借金が分からない場合、瀋陽情報機関に開示請求をすることができます。
預貯金が分からない場合、このような調査機関はありません。
被相続人の遺品などから、地道に調べることになります。
ときには、被相続人が忘れていた通帳が見つかるかもしれません。
新たな財産が見つかった場合、見つかった新たな財産について相続人全員で合意ができれば何も問題はありません。
被相続人が忘れていた通帳に大金が入っていることは、あまり考えられません。
わずかな金額のために相続人全員があらためて合意をするのは、わずらわしいことが多いでしょう。
後日判明した預貯金の分け方について、あらかじめ相続人全員で合意することができます。
後日判明した預貯金について、あらかじめ遺産分割協議をしておくことができます。
3 預貯金の仮払い制度で合意前に引出しができる
①預金仮払いの上限額は最大150万円
預貯金の仮払い制度を利用すると、合意前に引出しができます。
銀行などの金融機関に手続をする場合、仮払い上限額の計算式は次のとおりです。
仮払いの上限額=死亡時の預金額×1/3×法定相続分
計算式で求められた上限額が150万円を超えた場合、150万円になります。
預金の金額が少ない場合や法定相続人が多い場合、150万円の仮払いを受けることができません。
②仮払い額は遺産分割協議で調整
預金者が死亡した場合、預金は相続人全員の共有財産になります。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。
相続人全員の合意ができる前に、預金の仮払いを受けていることがあります。
相続財産全体の分け方を決める際に、預金の仮払いを受けたことを考慮することになります。
仮払い額は、遺産分割協議で調整します。
③預貯金の仮払いを受けると相続放棄ができなくなる可能性
相続が発生した後、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。
相続を単純承認した後で、相続放棄をすることはできません。
相続放棄をすることができないように、単純承認も撤回することができないからです。
法律で定められた一定の条件にあてはまるときは、単純承認したとみなされます。
相続財産の名義変更をした、相続財産である銀行の預貯金を引き出して使ってしまった場合が典型的です。
預貯金の仮払いを受けると、相続放棄ができなくなる可能性があります。
4預貯金の相続手続を司法書士に依頼するメリット
口座を凍結されてしまったら、書類をそろえて手続すれば解除してもらえます。
必要な書類は、銀行などの金融機関によってまちまちです。
手続の方法や手続にかかる期間も、まちまちです。
銀行内部で取扱が統一されていないことも多いものです。
窓口や電話で確認したことであっても、上席の方に通してもらえないことも少なくありません。
相続手続は、やり直しになることが多々あります。
口座の解約は、スムーズに手続できないことが多いのが現状です。
日常生活に不可欠な銀行口座だからこそ、スムーズに手続したいと思う方が多いでしょう。
仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続を丸ごとおまかせできます。
家族にお世話が必要な方がいて、お側を離れられない方からのご相談もお受けしております。
凍結口座をスムーズに解除したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
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