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遺言書作成して包括遺贈

2025-01-16

1公正証書遺言がおすすめ

①自筆証書遺言は手軽

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作成することがほとんどです。

自筆証書遺言は、自分で書いて作る遺言書です。

遺言者がひとりで作るから、手軽です。

筆記用具と印章さえあれば、遺言書を作ることができます。

遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。

書き方ルールに違反すると、遺言書が無効になります。

遺言者本人が法律に詳しいことは、あまりないでしょう。

自筆証書遺言は専門家が関与しないで作るから、無効になるケースがたくさんあります。

自筆証書遺言を作成した後、遺言書の保管場所に困りします。

保管場所を家族と共有していないと、相続が発生してから遺言書が見つからないかもしれません。

保管場所を家族と共有していると、遺言書の破棄や改ざんされるかもしれません。

たとえ、破棄や改ざんをしていなくても、遺言書に不満を持つ相続人から疑いの目を向けられるおそれがあります。

自筆証書遺言は、作るだけなら手軽です。

無効になるリスクや相続人間でトラブルになるリスクが大きい遺言書です。

②公正証書遺言は安心確実

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に伝え公証人が書面に取りまとめる遺言書です。

証人2人に確認してもらって作ります。

公証人は、法律の専門家です。

公正証書遺言が書き方ルールの違反で、無効になることは考えられません。

公正証書遺言は公証人が関与するから、高い信頼性があります。

公正証書遺言を作成した後、公正証書遺言原本は公証役場で厳重保管されます。

相続人が破棄や改ざんをすることは、あり得ません。

相続人間のトラブルを防止することができます。

公正証書遺言は、安心確実です。

公正証書遺言は、手間と費用がかかるのがデメリットです。

無効になるリスクが低く相続人間のトラブルを防止できる点が大きなメリットです。

遺言書を作成するなら、公正証書遺言がおすすめです。

③特別方式の遺言は稀

特別方式の遺言とは、通常の遺言書を作成する余裕がないときに利用する特殊な遺言書です。

特別方式の遺言には危急時遺言と隔絶地遺言があります。

危急時遺言は、次の2つです。

・一般危急時遺言

・難船危急時遺言

隔絶地遺言は、次の2つです。

・一般隔絶地遺言

・船舶隔絶地遺言

特別方式の遺言は、稀な遺言書です。

2 特定遺贈と包括遺贈のちがいとメリット

①包括遺贈は割合で指定する

特定遺贈とは、遺言書に、「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。

包括遺贈とは、遺言書に、「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。

遺言書は、遺言者が元気なときに作成します。

遺言者が死亡するまでに、長期間経過することが多いでしょう。

財産内容が大きく変動することがあります。

特定遺贈する予定だった財産を処分するかもしれません。

特定された財産が処分された場合、特定遺贈する遺言の条項は無効になります。

包括遺贈は財産内容が大きく変動しても、一定の割合で遺贈することができます。

包括遺贈は割合で指定するから、財産内容が変動しても遺贈できる点がメリットです。

②相続人以外の人に財産を引き継がせることができる

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人になる人は、法律で決められています。

法律で決められた相続人以外の人は、相続することはできません。

遺贈では、相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことができます。

特定遺贈でも包括遺贈でも、相続人や相続人以外の人に遺贈することができます。

遺言書を作成すれば、相続人以外の人に財産を引き継ぐことができる点がメリットです。

③遺産分割協議で柔軟な遺産分割ができる

特定遺贈では、遺言書で指定された財産だけを引き継ぎます。

包括遺贈では、具体的にどの財産を引き継ぐのか遺言書には書いてありません。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

包括遺贈があった場合、相続人全員と包括受遺者全員で共有しています。

包括受遺者とは、包括遺贈を受けた人です。

相続財産の分け方は、相続人全員と包括受遺者全員の合意で決定します。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員と包括受遺者全員でする話合いです。

包括受遺者は、遺産分割協議に参加して自分の希望を言うことができます。

相続人全員と包括受遺者全員の合意がまとまれば、柔軟な遺産分割が実現します。

包括遺贈をすると、遺産分割協議で柔軟な遺産分割ができる点がメリットです。

④不動産取得税がかからない

不動産取得税とは、不動産を取得したときに1回だけ課される税金です。

有償で取得しても無償で取得しても、課税されます。

登記をしても登記をしなくても、課税されます。

不動産の取得とは、売買、建築、増改築、贈与、交換です。

相続で不動産を取得したとき、不動産取得税は課されません。

相続人に対して、特定遺贈をすることができます。

相続人が不動産を特定遺贈で取得したとき、不動産取得税は課されません。

相続人以外の人が不動産を特定遺贈で取得したとき、不動産取得税は課されます。

相続人以外の人に対して、包括遺贈をすることができます。

相続人以外の人が不動産を包括遺贈で取得したとき、不動産取得税は課されません。

包括遺贈をすると、不動産取得税が課されない点がメリットです。

⑤相続人と同等の権利義務がある

包括遺贈を受けた人は、相続人と同一の権利義務があります。

特定遺贈をした場合、遺言書で特定した財産のみ引き継ぎます。

遺言書で財産を引き継ぐことに対して、相続人が不満に思うことがあります。

包括遺贈では、遺言書で指定された割合で引き継ぎます。

遺言書で指定された割合で、プラスの財産とマイナスの財産を引き継ぎます。

相続人と同等の権利義務があるから、プラスの財産とマイナスの財産を引き継ぎます。

相続人と同等の権利義務があるから、遺産分割協議に参加する権利と義務があります。

相続人と同等の権利義務があるから、相続財産を管理することができます。

相続人と同等の権利義務があるから、公平な遺産分割ができます。

包括遺贈では、相続人と同等の権利義務がある点がメリットです。

3公正証書遺言を作成する手順

手順①相続財産の一覧表を作成

相続させる財産を一覧表形式でメモを作成します。

遺言書を作成するための単なるメモなので、気楽に作成して差し支えありません。

大まかに言って、次の財産が多いでしょう。

・預貯金

・不動産

・株式

公正証書遺言を作成する手順1つ目は、相続財産の一覧表を作成ことです。

手順②相続財産を引き継ぐ人を決める

手順①で準備した一覧表を見ながら、だれに相続させるのか決定します。

自分が死亡した後に財産をだれに引き継がせるか、自由に決めることができます。

相続人がトラブルにならないように、配慮して決定します。

兄弟姉妹以外の相続人には、遺留分があります。

遺留分とは、相続人に認められた最低限の権利です。

遺留分を侵害する遺言書を作成すると、相続人間で深刻なトラブルになるでしょう。

相続人の遺留分に配慮して、遺言書の内容を決めるといいでしょう。

公正証書遺言を作成する手順2つ目は、相続財産を引き継ぐ人を決めることです。

手順③必要書類の準備

公正証書遺言を作成する場合、公証役場に必要書類を提出します。

例えば、次のような書類を提出します。

(1)遺言者の印鑑証明書

(2)相続人の戸籍謄本

(3)受遺者の住民票

(4)不動産の登記簿謄本

(5)不動産の固定資産税評価証明書

(6)預貯金の通帳の写し

(7)株式の預かり資産残高証明書

必要になる書類は、遺言書の内容によって異なります。

公正証書遺言を作成する手順3つ目は、必要書類の準備することです。

手順④公証人と打合せ

遺言書の作成について、公証人と打合せをします。

予約せずに公証役場に出向いても、公証人が出張中かもしれません。

公証役場に出向いて相談する場合は、事前に予約しておくのがおすすめです。

公証人と相談する中で、必要書類は指示されます。

公証人の相談は、書面に取りまとめる相談のみです。

どのように分けるとトラブルにならないかなど、遺言内容については相談できません。

公正証書遺言を作成する手順4つ目は、公証人と打合せをすることです。

手順⑤証人2人に依頼

公正証書遺言は、証人2人に確認してもらって作成します。

証人になる人に、特別な資格はありません。

次の人は、証人になることはできません。

(1)未成年者

(2)相続人・受遺者になる予定の人とその人の配偶者や直系血族

(3)公証人の配偶者、4親等内の親族、書記、使用人

証人は相続に無関係な人で、かつ、秘密を守ってくれる人が適任です。

公正証書遺言を作成する手順5つ目は、証人2人に依頼することです。

手順⑥遺言書文案を確認

公証人と打合せに従って、遺言書の文案が示されます。

文案に問題がなければ、そのまま公正証書遺言になります。

公正証書遺言を作成する手順6つ目は、遺言書文案を確認することです。

手順⑦公正証書遺言の作成

公正証書遺言は、原則として公証役場に出向いて作成します。

健康上の理由などがある場合、病院や施設などへ公証人に出張してもらうことができます。

公正証書遺言を作成するときは、家族は付き添うことができません。

公正証書遺言を作成する手順7つ目は、公正証書遺言の作成することです。

手順⑧公証役場へ手数料の支払い

公正証書遺言を作成する場合、公証役場に手数料を支払う必要があります。

手数料は、財産の額や遺言書の内容によって異なります。

公正証書遺言を作成する手順7つ目は、公証役場へ手数料の支払うことです。

4包括遺贈をするときの注意点

注意①負債も引き継ぐ

特定遺贈は、遺言書で指定された財産を引き継ぐだけです。

包括遺贈は、プラスの財産とマイナスの財産を含めて割合で引き継ぎます。

包括遺贈をするときの注意点1つ目は、包括遺贈では借金も引き継ぐ点です。

注意②遺贈の放棄に3か月の期限

特定遺贈も包括遺贈も、放棄をすることができます。

特定遺贈の放棄には、期限はありません。

包括遺贈の放棄には、遺贈を知ってから3か月以内の期限があります。

包括遺贈をするときの注意点2つ目は、遺贈の放棄に3か月の期限がある点です。

注意③財産規模の変動がある

特定遺贈は、遺言書で指定された財産を引き継ぐだけです。

包括遺贈は割合で引き継ぐから、多額の財産を引き継がせる可能性があります。

多額の財産を引き継がせることに、相続人が不満を覚えるかもしれません。

包括遺贈をするときの注意点3つ目は、財産規模の変動がある点です。

注意④遺産分割協議が必要

包括遺贈では具体的にどの財産を引き継ぐのか、遺言書に書いてありません。

具体的に引き継ぐ財産は、遺産分割協議で決定します。

相続人が遺言内容に不満を持つと、遺産分割協議がまとまらなくなるおそれがあります。

包括遺贈をするときの注意点4つ目は、遺産分割協議が必要である点です。

5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は被相続人の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

実は、民法に遺言書を作ることができるのは15歳以上と定められています。

死期が迫ってから書くものではありません。

遺言書は被相続人の意思を示すことで、家族をトラブルから守るものです。

遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげるものです。

遺贈は簡単に考えがちですが、思いのほか複雑な制度です。

特に、受け継いでもらう財産に不動産がある場合、譲ってもらう人だけでは登記申請ができません。

遺言執行者がいない場合、相続人全員の協力が必要です。

遺言書で遺言執行者を決めておきましょう。

遺言執行には法的な知識が必要になりますから、遺言の効力が発生したときに、遺言執行者からお断りをされてしまう心配もあります。

遺言の効力が発生した後の場合、遺言執行者は家庭裁判所に決めてもらう必要があります。

不動産以外の財産であっても、遺言書の内容に納得していない相続人がいる場合、受遺者に引渡そうとしないこともあります。

家族をトラブルから守ろうという気持ちを実現するために、せっかく遺言書を書くのですから、スムーズな手続を実現できるように配慮しましょう。

お互いを思いやり幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺贈を受けた人に不動産取得税

2025-01-09

1不動産取得税は取得時1回のみ

①不動産を取得する人に課税

不動産取得税とは、不動産を取得したときに1回だけ課される税金です。

有償で取得しても無償で取得しても、課税されます。

登記をしても登記をしなくても、課税されます。

不動産の取得とは、売買、建築、増改築、贈与、交換です。

不動産取得税は、不動産を取得した人に課される税金です。

②不動産を取得したら県税事務所に申告

不動産取得税は、都道府県税です。

不動産を取得したら、都道府県税事務所に申告をします。

申告期限は、都道府県によって異なります。

愛知県は、不動産を取得してから60日以内です。

郵送で申告することができます。

申告期限までに登記がされた場合、原則として申告は不要です。

不動産取得税が軽減される場合、不動産取得税減額等申請書を提出します。

③不動産取得税に免税点

不動産取得税には、免税点があります。

取得した不動産の価格が次の金額未満の場合、不動産取得税は課されません。

(1)土地 10万円

(2)家屋 

新築、増築、改築 23万円

その他 12万円

④納税通知書が届いたら納付

不動産の取得から1年以内に不動産取得税の納税通知書が届きます。

基本的には、納税が必要に人にのみ納税通知書が送られます。

納税通知書に記載された金額を納付します。

不動産取得税がかからないはずなのに、納税通知書が届くことがあります。

納税通知書記載の県税事務所に、納税の必要について確認しましょう。

2遺贈を受けた人に不動産取得税がかかる

①特定遺贈で相続人以外の人が不動産取得は課税

遺贈とは、遺言書を作成した相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。

相続で財産を引き継ぐことができるのは、相続人だけです。

相続人になる人は、法律で決められています。

相続人は、相続で財産を引き継ぐことができるし遺贈で財産を引き継ぐことができます。

相続人以外の人は、相続で財産を引き継ぐことができないけど遺贈で財産を引き継ぐことができます。

遺贈には、2種類あります。

特定遺贈と包括遺贈です。

特定遺贈とは、遺言書に、「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。

包括遺贈とは、遺言書に、「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。

相続人以外の人に不動産を遺贈することができます。

特定遺贈で相続人以外の人が不動産を取得した場合、不動産取得税が課されます。

②相続時精算課税制度で不動産取得は課税

相続時精算課税制度とは、贈与税の制度です。

相続時精算課税を選択すると、2500万円まで特別控除があります。

累計2500万円までの贈与が非課税になります。

贈与した財産を相続財産に算入して、相続税を計算する制度です。

次の条件に該当する場合、相続時精算課税制度を選択することができます。

(1)贈与する人 60歳以上の父母または祖父母

(2)贈与を受ける人 18歳以上の子どもや孫

相続時精算課税制度を適切に利用したら、大きな節税が期待できるでしょう。

相続時精算課税制度を利用して、不動産を取得することができます。

相続時精算課税制度を利用して不動産を取得する場合、不動産取得税が課されます。

相続時精算課税制度を利用して不動産を取得するのは、贈与扱いだからです。

③夫婦間の居住用不動産の特例で不動産取得は課税

夫婦間の居住用不動産の特例とは、贈与税の制度です。

夫婦間の居住用不動産の特例を利用すると、最高2000万円まで配偶者控除を受けることができます。

次の条件に該当する場合、夫婦間の居住用不動産の特例を受けることができます。

(1)夫婦の婚姻期間20年を過ぎた後の贈与

(2)贈与された財産は居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭

(3)贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与を受けた人が現実に居住

夫婦間の居住用不動産の特例を受けることで、大きな節税が期待できるでしょう。

夫婦間の居住用不動産の特例を利用して、不動産を取得することができます。

夫婦間の居住用不動産の特例を利用して不動産を取得する場合、不動産取得税が課されます。

夫婦間の居住用不動産の特例を利用して不動産を取得するのは、贈与扱いだからです。

④死因贈与で不動産取得は課税

遺贈とは、遺言書を作成した相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。

遺言書は、遺言者がひとりで作成することができます。

遺言書を作成するときに、相続人や財産を受け取る人の同意は不要です。

贈与は、贈与をする人と贈与を受け取る人の契約です。

死因贈与は、贈与をする人が死亡したときに効力が発生する贈与契約です。

贈与契約は、贈与をする人と贈与を受け取る人の合意があれば口約束でも成立します。

口約束の贈与契約は立証が難しいのでおすすめしませんが、口約束の死因贈与契約も有効です。

死因贈与で財産を受け取った場合、相続税の対象になります。

死因贈与契約によって、不動産を取得することができます。

死因贈与契約によって不動産を取得する場合、不動産取得税が課されます。

死因贈与契約によって不動産を取得するのは、贈与扱いだからです。

⑤遺産分割協議やり直しで不動産取得は課税

遺産分割協議は、相続人全員の合意があればやり直しをすることができます。

遺産分割協議のやり直しをした場合、相続財産の分け方に変更があるでしょう。

遺産分割協議のやり直しによって、不動産を取得することができます。

法律上は遺産分割協議のやり直しであっても、税務上は贈与の扱いです。

遺産分割協議のやり直しによって不動産を取得する場合、不動産取得税が課されます。

遺産分割協議のやり直しによって不動産を取得するのは、贈与扱いだからです。

3相続人に不動産取得税がかからない

①相続で不動産取得は非課税

相続人になる人は、民法で決まっています。

相続人が相続で不動産を取得することができます。

相続で不動産を取得する場合、不動産取得税が課されません。

相続で不動産を取得する場合、不動産取得税の申告書の提出は不要です。

②特定遺贈で相続人が不動産取得は非課税

遺贈とは、遺言書を作成した相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。

相続人は、相続で財産を引き継ぐことができるし遺贈で財産を引き継ぐことができます。

遺言書を作成して、相続人に不動産を遺贈することができます。

特定遺贈で相続人が不動産を取得する場合、不動産取得税が課されません。

③包括遺贈で不動産取得は非課税

包括遺贈とは、遺言書に、「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。

遺言書を作成して、相続人や相続人以外の人に包括遺贈をすることができます。

遺言書で一部包括遺贈を受けたら、遺産分割協議が必要です。

遺言書には割合だけ書いてあって、具体的財産は書いてないからです。

遺産分割協議で包括受遺者全員と相続人全員の合意で相続財産の分け方を決定します。

遺産分割協議で、不動産を取得することができます。

包括遺贈で不動産を取得する場合、不動産取得税が課されません。

包括遺贈を受けた人が相続人であっても相続人以外の人であっても、不動産取得税が課されません。

④死因贈与で相続人が不動産取得は課税

死因贈与は、贈与をする人が死亡したときに効力が発生する贈与契約です。

被相続人と相続人間で死因贈与契約をすることがあります。

死因贈与契約によって、不動産を取得することができます。

死因贈与契約によって不動産を取得する場合、不動産取得税が課されます。

死因贈与契約によって不動産を取得するのは、贈与扱いだからです。

相続人が不動産を取得する場合であっても、死因贈与契約による場合は不動産取得税が課されます。

4不動産取得税の計算方法

①不動産取得税=不動産価格×税率

不動産取得税は、不動産価格×税率で計算できます。

不動産価格は、原則として固定資産税評価額を用います。

実際の売買価格や建築費用で計算されません。

贈与を受けた場合や交換で不動産を取得した場合、金銭のやり取りはないでしょう。

金銭のやり取りがなくても、不動産取得税は課されます。

不動産取得税には、さまざまな控除があります。

都道府県税事務所や税理士に確認するといいでしょう。

②税率に軽減措置がある

税率は、原則として4%です。

令和9年3月31日までに取得があった不動産については、軽減措置があります。

土地と住宅は、3%に軽減されます。

5不動産取得税以外にも税金がかかる

①登記申請をするときに登録免許税

不動産を取得したら、名義変更をします。

名義変更をする場合、登録免許税が課されます。

遺贈を受けた場合にも、登録免許税を納める必要があります。

遺贈を受けた場合の税率は、次のとおりです。

(1)相続人が遺贈を受けた場合、1000分の4

(2)相続人以外の人が遺贈を受けた場合、1000分の20

②固定資産税は毎年

固定資産税は、固定資産を保有している人に課される税金です。

不動産取得税は1回だけの税金ですが、固定資産税は毎年課されます。

地域によっては、都市計画税も課されます。

③遺贈を受けたら相続税

遺贈を受けた場合、贈与税でなく相続税が課されます。

相続税には、基礎控除があります。

基礎控除額は次の計算式で求めることができます。

基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の人数

相続財産が基礎控除額以内であれば、相続税は課されません。

相続税が課されるのは、全体の10%にも満たないわずかな富裕層です。

6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

民法に遺言書を作ることができるのは、15歳以上と定められています。

死期が迫ってから書くものではありません。

遺言書は遺言者の意思を示すことで、家族をトラブルから守るものです。

遺贈とは、遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげるものです。

遺贈は簡単に考えがちですが、思いのほか複雑な制度です。

特に、受け継いでもらう財産に不動産がある場合、譲ってもらう人だけでは登記申請ができません。

遺言執行者がいない場合、相続人全員の協力が必要です。

遺言書で遺言執行者を決めておきましょう。

遺言執行には法的な知識が必要になりますから、遺言の効力が発生したときに、遺言執行者からお断りをされてしまう心配もあります。

遺言の効力が発生した後の場合、遺言執行者は家庭裁判所に決めてもらう必要があります。

不動産以外の財産であっても、遺言書の内容に納得していない相続人がいる場合、受遺者に引渡そうとしないこともあります。

家族をトラブルから守ろうという気持ちを実現するために、せっかく遺言書を書くのですから、スムーズな手続を実現できるように配慮しましょう。

お互いを思いやり幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

孫に不動産を相続させる方法と注意点

2025-01-09

1孫が相続人になることがある

①子どもが相続人になると孫は相続人にならない

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

子どもが相続人になる場合、孫は相続人になりません。

②子どもが先に死亡すると孫は代襲相続人になる

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

相続人になるはずだったのに、子どもが先に死亡することがあります。

相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

代襲相続とは、相続人になるはずだった人の子どもなどが相続することです。

相続人になるはずだった子どもが先に死亡した場合、孫が代襲相続人になります。

孫が代襲相続人の場合、相続することができます。

③孫と養子縁組をすると孫は相続人になる

養子縁組とは、血縁関係がある親子関係の他に法律上の親子関係を作る制度です。

被相続人が孫と養子縁組をすることができます。

養子縁組をすると、被相続人は養親、孫は養子になります。

被相続人の孫でありながら、同時に被相続人の子どもになります。

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

実子と養子に、区別はありません。

実子がいても、養子は相続人です。

孫と養子縁組をすると、孫は相続人になります。

2遺言書を作成して孫に不動産を遺贈

①相続できるのは相続人だけ

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人になる人は、民法で決められています。

民法で決められた人以外の人は、相続人になりません。

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

子どもが相続人になる場合、孫は相続人になりません。

子どもが相続できるけど、孫は相続することはできません。

相続できるのは、相続人だけだからです。

②遺言書を作成して孫に不動産を遺贈

遺言者は遺言書を作成して、自分の財産をだれに引き継ぐのか自由に決めることができます。

遺贈とは、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。

孫は相続人でないから相続できないけど、遺贈を受けることができます。

相続人でない人に財産を引き継ぐためには、生前対策が欠かせません。

相続人でない孫に財産を引き継ぐため、遺言書を作成して遺贈することができます。

③遺贈を受けると贈与税でなく相続税の対象

相続財産の規模が大きい場合、相続税の対象になります。

相続税の申告納税の義務があるのは、相続や遺贈によって財産を取得した人です。

遺贈を受けた人は、贈与税でなく相続税が課されます。

孫は相続することができなくても、遺贈を受けることができます。

相続財産の規模が大きい場合、遺贈を受けた孫は相続税の申告と納税の義務が課されます。

遺贈を受けると、贈与税でなく相続税の対象になります。

④孫が遺贈を受けても基礎控除の計算に算入できない

相続税大増税!最高税率55%!!などと不安を煽っている専門家がたくさんいます。

相続税申告が必要なケースは、全体のわずか10%未満です。

相続税には、基礎控除があるからです。

相続財産の規模が基礎控除額以内である場合、相続税の申告納税は不要です。

基礎控除額は、次の計算式で求められます。

基礎控除額=3000万円+法定相続人の人数×600万円

遺贈を受けた人は、相続税の申告納税の義務が課されます。

孫は遺贈を受けても、相続人ではありません。

基礎控除額を計算するとき、遺贈を受けた孫を人数に含めることはできません。

孫が遺贈を受けても、基礎控除の計算に算入できない点に注意する必要があります。

⑤孫に課される相続税額は2割加算の対象

孫が遺贈を受ける場合、相続税の対象になります。

相続や遺贈で財産を引き継いだ人が一定の条件を満たさない場合、2割加算の対象になります。

2割加算の対象にならないのは、被相続人の1親等の血族と配偶者です。

相続人になるはずだった子どもが先に死亡した場合、孫が代襲相続人になります。

被相続人の孫は、2親等の血族です。

代襲相続人である孫は、1親等の血族でなくても2割加算の対象になりません。

被相続人が孫を養子とする養子縁組をすることがあります。

養子となった孫は、被相続人の子どもになります。

被相続人の子どもは、1親等の血族です。

養子となった孫は1親等の血族であっても、2割加算の対象です。

2割加算の対象になると、相続税額に相続税額の2割に相当する金額が加算されます。

孫に課される相続税額は、2割加算の対象になる可能性があります。

⑥遺贈で不動産取得税の対象

不動産取得税とは、不動産を取得したときにかかる税金です。

不動産の取得とは、売買、建築、増改築、贈与、交換です。

相続で不動産を取得する場合、不動産取得税が課されません。

相続人が遺贈で不動産を取得する場合、不動産取得税が課されません。

孫に不動産を遺贈する場合、孫は相続人でないことが多いでしょう。

相続人以外の人が遺贈で不動産を取得した場合、不動産取得税が課されます。

遺贈で不動産を取得した場合、不動産取得税の対象になります。

⑦遺言書があっても遺留分侵害額請求ができる

遺言書を作成して、自分の財産をだれに引き継ぐのか自由に決めることができます。

自由に決めることができると言っても、無制約の自由にすることはできません。

遺言者の名義になっていても、遺言者がひとりで築いた財産ではないからです。

家族の協力があってこそ、築くことができたはずです。

無制約の自由にすると、今まで協力してきた家族に酷な結果になるおそれがあります。

被相続人に近い関係の相続人には、最低限の権利が認められます。

遺留分とは、相続人に認められた最低限の権利です。

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

相続財産のほとんどが不動産である場合、孫に遺贈すると相続人の遺留分を侵害するおそれがあります。

遺留分が侵害されると、相続人間で深刻なトラブルになるでしょう。

遺言書を作成するだけで、相続人の遺留分を奪うことはできません。

遺言書があっても、遺留分侵害額請求ができます。

3相続時精算課税を利用して生前贈与

①相続時精算課税を利用して節税

孫に財産を引き継ぐ場合、被相続人の死亡のタイミングに限る必要はありません。

生きている間に、孫に対して財産を贈与することができます。

孫に対して財産を贈与する場合、金額によっては贈与税の対象になります。

相続時精算課税とは、贈与税の特例です。

60歳以上の父母や祖父母から20歳以上の子どもや孫に贈与した場合、相続時精算課税制度を利用することができます。

生前に財産を贈与するときに一部の税金を後回しにして、最終的には相続税としてまとめて支払う仕組みです。

相続時精算課税制度を利用すると、最大2500万円までの贈与について贈与税が非課税になります。

相続時精算課税制度を利用して贈与する財産に、制限はありません。

相続時精算課税制度を利用して、孫に不動産を贈与することができます。

孫に不動産を贈与する場合、相続時精算課税の活用が効果的です。

②相続時精算課税は撤回できない

相続時精算課税を利用する場合、納税地の税務署に対して相続時精算課税選択届出書を提出します。

相続時精算課税を選択したら、撤回することができません。

財産の状況などによっては、相続時精算課税を利用しない方が有利になることがあります。

相続時精算課税を選択すると、撤回ができません。

③小規模宅地の特例が使えない

相続時精算課税を利用した場合、最大2500万円まで非課税で贈与することができます。

相続時精算課税を利用して贈与した財産は、相続が発生したときに相続財産に算入して相続税を計算します。

孫に不動産を贈与する場合、自宅の土地や事業で使っていた土地であることが多いでしょう。

小規模宅地の特例とは、自宅や事業用地について条件を満たせば土地の評価額が大幅に減額される制度です。

相続時精算課税を利用して贈与された土地は、小規模宅地の特例を適用することができません。

小規模宅地の特例は、相続や遺贈で取得した土地が対象だからです。

相続時精算課税を利用して贈与された土地は、相続や遺贈でなく贈与によって取得した土地です。

小規模宅地の特例を利用すると、土地の評価額が最大80%減額できる制度です。

小規模宅地の特例を利用できないのは、相続時精算課税の大きなデメリットです。

相続時精算課税を利用すると、小規模宅地の特例が使えなくなります。

④生前贈与に対して遺留分侵害額請求ができる

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

相続人以外の人に対して生前贈与をした場合、相続が発生前1年間に限って遺留分侵害額請求の対象です。

無条件に遺留分侵害額請求の対象にすると、思わぬ不利益を受けるからです。

生前贈与をするとき、贈与する人と贈与を受ける人双方が遺留分を侵害すると知っていることがあります。

当事者双方が損害を与えることを知っている場合、相続発生1年以上前の贈与も遺留分侵害額請求の対象です。

生前贈与に対して、遺留分侵害額請求をすることができます。

4孫に不動産を引き継ぐメリットとデメリット

メリット①被相続人の希望をかなえることができる

孫に不動産を引き継ぎたい希望がある場合、生前対策でかなえることができます。

メリット1つ目は、被相続人の希望をかなえることができることです。

メリット②一代分の相続をスキップできる

被相続人に子どもがいれば、孫は相続人になりません。

生前対策をすることによって、一代分の相続をスキップすることができます。

一代分の相続をスキップすることで、相続税などの負担を軽減できる可能性があります。

メリット2つ目は、一代分の相続をスキップできることです。

デメリット①親族間でトラブルに発展するおそれ

孫が財産を引き継ぐ場合、他の相続人が不満に思うことがあります。

孫が高額な不動産を引き継ぐ場合、他の相続人の遺留分を侵害するかもしれません。

遺留分を侵害された相続人は、がっかりするでしょう。

相続人間で深刻なトラブルに発展するおそれがあります。

デメリット1つ目は、親族間でトラブルに発展するおそれがあることです。

デメリット②相続税2割加算の可能性

孫に課される相続税額は、2割加算の対象になる可能性があります。

一代分の相続をスキップできると、相続税が少なくなる可能性があります。

相続税の減額を目的にしている場合、2割加算の対象になることは注意が必要です。

デメリット2つ目は、相続税2割加算の可能性があることです。

5遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

遺言執行者は遺言書の内容を実現する人です。

相続人が遺言書の内容に納得していて、手続に協力的であれば、必ずしも、遺言執行者を選任する必要はありません。

子どもの認知など遺言執行者しかできない手続がある場合、遺言執行者を選任しておかないと、相続人に余計な手間をかけさせることになります。

遺言執行者は、相続開始後すみやかに手続を進めることができる時間と知識がある人を選ぶことが重要です。

その意味でも、家族より司法書士などの専門家に遺言執行を依頼する人が増えています。

以前は、遺言執行者は止むを得ない場合だけ、他の人に職務を任せることができるとされていましたが、現在は、止むを得ないなどの理由は不要になりました。

遺言執行者に指名され、職務をしてみたところ、思ったよりタイヘンだという場合、自己の責任で司法書士などの専門家におまかせすることもできます。

今後も、専門家に依頼する人は増えていくでしょう。

遺言執行を司法書士などの専門家に依頼した場合、相続人は基本待っているだけなので、トラブルになることが少なくなるからです。

家族を笑顔にするためにも、遺言書作成と遺言執行者選任しましょう。

家族の幸せのためにも、遺言書作成と遺言執行者選任を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

公正証書遺言を作成して全財産を相続させる

2025-01-06

1一人に全財産を相続させることができる

①相続財産の分け方に制限はない

被相続人は、生前に自分の財産を自由に処分することができます。

遺言書を作成して、自分の死亡後だれに財産を引き継ぐのか自由に決めることができます。

相続人に引き継ぐことも、相続人以外の人に引き継ぐこともできます。

民法では、法定相続分が決められています。

法定相続分どおりに引き継ぐこともできるし、法定相続分とは違う割合で引き継ぐこともできます。

相続財産の分け方に、制限はないからです。

「全財産を〇〇〇〇に相続させる」遺言も、有効な遺言書です。

遺言書を作成して、相続財産の分け方を自由に決めることができます。

相続財産の分け方に、制限はありません。

②一人に全財産を相続させるときの遺言書の記載例

遺言書

遺言者は、以下のとおり遺言をする。

第1条

遺言者は、遺言者の有する全財産を、遺言者の配偶者〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生まれ)に相続させる。

第2条

遺言者は、本遺言書の遺言執行者として、下記の者を指定する。

事務所住所

〇〇県〇〇市〇〇区〇〇町〇丁目〇〇番〇〇号

司法書士〇〇〇〇

昭和〇年〇月〇日生まれ

令和〇年〇月〇日

〇〇県〇〇市〇〇区〇〇町〇丁目〇〇番〇〇号

遺言者 〇〇〇〇 印

③遺言書で財産を列挙する方が分かりやすい

全財産を一人に相続させたい場合、「遺言者の有する全財産を相続させる」と書くことができます。

家族であっても、遺言者がどのような財産を保有しているのか詳細に知らないことがあります。

遺言者の気持ちとしては、当然知っているものと考えているかもしれません。

どこにどのような財産があるのか手がかりがない状態で、相続手続をするのは非常に困難です。

できることであれば、すべての財産を列挙することをおすすめします。

不動産であれば、不動産の登記事項証明書を取り寄せて書き写します。

預貯金であれば、通帳を見て金融機関の名称、支店、預金種別、口座番号を記載します。

財産を客観的に特定できない場合、相続手続ができなくなるおそれがあるからです。

そのうえで記載のない財産が見つかった場合、その財産を〇〇〇〇に相続させると記載するといいでしょう。

財産をひとつひとつ列挙する方が家族にとって分かりやすく、おすすめです。

④全財産を遺贈する記載例

遺言書

遺言者は、以下のとおり遺言をする。

第1条

遺言者は、遺言者の有する全財産を、〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生まれ)に遺贈する。

第2条

遺言者は、本遺言書の遺言執行者として、下記の者を指定する。

事務所住所

〇〇県〇〇市〇〇区〇〇町〇丁目〇〇番〇〇号

司法書士〇〇〇〇

昭和〇年〇月〇日生まれ

令和〇年〇月〇日

〇〇県〇〇市〇〇区〇〇町〇丁目〇〇番〇〇号

遺言者 〇〇〇〇 印

⑤相続人以外の人に遺贈ができる

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人になる人は、法律で決められています。

相続人以外の人が相続することはできません。

疎遠になった相続人より、お世話になった人に財産を引き継ぎたいことがあるでしょう。

遺贈とは、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。

遺言書を作成して、相続人以外の第三者に全財産を遺贈することができます。

遺贈を受ける人は、自然人以外に慈善団体などの法人でも差し支えありません。

遺言書を作成して、相続人以外の人に遺贈ができます。

2公正証書遺言があっても遺留分侵害額請求ができる

①遺留分は最低限の権利

被相続人は、生前自分の財産を自由に処分することができます。

遺言書を作成して、自分の死後にだれに財産を引き継ぐのが自由に決めることができます。

被相続人の財産は、ひとりで築いた財産ではないでしょう。

家族の協力があってこそ、築くことができた財産のはずです。

被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすることはできません。

今まで協力してきた家族に、酷な結果となることがあるからです。

被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。

遺留分とは、被相続人に近い関係の相続人に認められる最低限の権利です。

遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

遺留分を認められる相続人を遺留分権利者と言います。

②遺留分を侵害する遺言書でも無効にならない

被相続人に近い関係の相続人には、遺留分が認められます。

全財産を一部の相続人に相続させる遺言書を作成した場合、他の相続人の遺留分を侵害するでしょう。

遺留分を侵害しても、それだけで遺言書は無効になりません。

全財産を相続させる遺言書は、有効な遺言書です。

遺留分を侵害する遺言書でも、遺言書は無効になりません。

③有効な遺言書であっても遺留分侵害額請求ができる

遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に認められた最低限の権利です。

不公平な遺言書によって配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

全財産を相続させる遺言書は、有効な遺言書です。

有効な遺言書であっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

公正証書遺言であっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分は、最低限の権利だからです。

全財産を相続させる内容で公正証書遺言を作成するだけで、遺留分を奪うことはできません。

有効な遺言書であっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

④遺留分を認めない遺言書に効力はない

遺言書には、さまざまなことを書くことができます。

遺言書に書くことで法律上意味があることも意味がないことも、書くことができます。

家族への感謝の気持ちを持ちながら、伝える機会を逃していることがあります。

遺言書に、家族への感謝の気持ちを書くことができます。

家族への感謝の気持ちに、法律上の意味はありません。

法律上意味がない事項を付言事項と言います。

全財産を相続させる遺言書を見たら、他の相続人はがっかりするでしょう。

不公平な遺言書によって配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分侵害額請求がされたら、相続人間で深刻なトラブルに発展するでしょう。

遺言書で「遺留分を認めない」「遺留分侵害額請求を禁止する」と書くことがあります。

遺言書に書くことで意味があることは、法律で決められています。

遺留分を認めない遺言書に、効力はありません。

「遺留分を認めない」「遺留分侵害額請求を禁止する」と書いた場合、付言事項と考えられます。

遺留分は、遺留分権利者に認められた最低限の権利だからです。

不公平な遺言書を作成するだけで、遺留分を奪うことはできません。

「遺留分を認めない」「遺留分侵害額請求を禁止する」と書いてあっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

付言事項に、法律上の効力はないからです。

遺留分を認めない遺言書に、法律上の効力はありません。

⑤兄弟姉妹に遺留分はない

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹は相続人になっても、遺留分は認められません。

遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に認められる権利だからです。

兄弟姉妹が被相続人より先に死亡した場合、兄弟姉妹の子どもが代襲相続をします。

被相続人の甥姪が代襲相続人になっても、遺留分は認められません。

兄弟姉妹に遺留分がないから、引き継げないのが当然だからです。

全財産を相続させる遺言書を作成しても、遺留分侵害額請求を心配する必要はありません。

例えば、子どもがいない夫婦で一方が死亡した場合、配偶者と兄弟姉妹が相続人になるでしょう。

公正証書遺言を作成して、配偶者に全財産を相続させることができます。

兄弟姉妹は相続人になるから、配偶者に全財産を相続させるためには遺言書が必要になります。

兄弟姉妹が相続人になる場合、兄弟姉妹に遺留分はありません。

3公正証書遺言の作り方

STEP①遺言内容を仮作成

遺言書を作成すると言うと、財産の分け方が真っ先に思い浮かぶでしょう。

遺言者にどのような財産があるのか、だれに引き継ぐのかメモ書きをします。

財産の分け方以外のことも、遺言書に盛り込むことができます。

ステップ1で、遺言内容をメモなどで仮作成します。

STEP②財産に関する書類を準備

遺言書に財産の分け方を書く場合、客観的に特定できる必要があります。

銀行預金などであれば、金融機関名、支店名、預金種別、口座番号、口座名義で特定します。

通帳のコピーを準備するといいでしょう。

家族にとって、自宅は重要な財産でしょう。

「自宅」などの記載は、客観的に特定できるとは言えません。

家族にとって「自宅」は当然のことでしょう。

法務局など第三者にとっては、自宅はどこにあるどの不動産なのか分からないからです。

土地は、所在、地番、地目、地積で特定します。

建物は、所在、家屋番号、種類、構造、床面積で特定します。

自宅の住所は、暗記しているでしょう。

自宅がある土地や建物の所在は、住所と異なることがあります。

登記簿や権利証を確認する必要があります。

ステップ2で、財産に関する書類を準備します。

STEP③証人2人を手配

公正証書遺言を作成する場合、証人2人に確認してもらう必要があります。

証人に特別な資格は、不要です。

次の人は、証人になれません。

(1)未成年者

(2)推定相続人、受遺者、これらの人の配偶者、直系血族

(3)公証人の配偶者、4親等内の親族、書記、使用人

証人を手配するのが難しいときは、遺言書作成をサポートする司法書士に依頼することができます。

証人になる人は、公証役場に本人確認書類を提出します。

ステップ3で、証人2人を手配します。

STEP④公証人と打合せ

公正証書遺言は、原則として公証役場に出向いて作成します。

日本中どこの公証役場でも、公正証書遺言を作成することができます。

病気や身体などの事情で公証役場に出向くことができない場合、公証人に出張してもらうことができます。

公証人を予約して、遺言内容の打ち合わせをします。

公証人との打ち合わせは、適切に書面に取りまとめる点についての打合せです。

遺言者の希望を実現する方法については、事前に考えておく必要があります。

遺言内容によっては、相続人間でトラブルに発展するおそれがあるかもしれません。

トラブル防止について、公証人に相談することはできません。

どのような遺言書を作成するといいのか、司法書士などの専門家にサポートを受けるといいでしょう。

ステップ4で、公証人と打合せをします。

STEP⑤公正証書文案確認

公証人との打ち合わせが終わると、公証人から公正証書文案が示されます。

遺言書の内容が遺言者の希望に沿っているのか、よく確認します。

ステップ5で、公正証書の文案を確認します。

STEP⑥証人立会いで公正証書遺言作成

公正証書の文案に問題がなければ、遺言書の作成日を予約します。

証人2人と一緒に、遺言書作成当日に公証役場に出向きます。

遺言書作成当日は、遺言内容を口授し遺言内容に問題ないか確認します。

問題がなければ、遺言者、証人2人が署名し押印します。

時間は、長くても30分程度です。

ステップ6で、証人立会いで公正証書遺言を作成します。

STEP⑦手数料の支払

公正証書遺言を作成するためには、手数料がかかります。

手数料は、現金の他クレジットカードで支払うことができます。

公証役場に支払う手数料は、公証人手数料令によって決められています。

公証人手数料令第9条別表

公証人に出張してもらったときは、手数料が1.5倍になるうえ日当と交通費実費がかかります。

公正証書遺言作成後に渡される正本と謄本の費用が数千円程度かかります。

ステップ7で、公証役場に手数料の支払います。

4遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

自せっかく遺言書を作るのなら、確実な公正証書遺言がおすすめです。

公正証書遺言を作成するときは、司法書士などの専門家にサポートしてもらうといいでしょう。

相続人になる予定の人の遺留分に配慮し、遺言書文案作成から公正証書遺言作成まで、サポートを受けられるからです。

希望すれば、証人を準備し遺言執行までトータルでサポートしてもらうことができます。

確実な遺言書を作成できるから、遺言者は安心できます。

手間と時間がかかる相続手続から解放されるから、相続発生後に相続人は安心です。

遺言者も家族も安心できる公正証書遺言作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

公正証書遺言が無効になる

2024-12-05

1公正証書遺言は安心確実

①書き方ルールの違反で無効はあり得ない

公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に伝え公証人が取りまとめる遺言書です。

証人2人確認してもらって、作ります。

遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。

書き方ルールに違反した遺言書は、無効になります。

公証人は、法律の専門家です。

遺言書の書き方ルールを熟知しています。

公正証書遺言は、書き方ルール違反で無効になることは考えられません。

自筆証書遺言は、自分で書いて作る遺言書です。

遺言者が法律に詳しいことは、あまりないでしょう。

書き方ルールに違反して無効になる例が少なくありません。

自筆証書遺言と較べると、公正証書遺言は安心確実です。

②公正証書遺言原本は公証役場で厳重保管

公正証書遺言原本は、公証役場で厳重に保管されます。

公正証書遺言作成後に渡されるのは、正本と謄本です。

正本と謄本は、遺言書のコピーです。

遺言者の手元にあるのは遺言書のコピーに過ぎないから、変造や改ざんがあり得ません。

遺言者本人が紛失する心配もありません。

自筆証書遺言は、原則として自分で保管します。

保管場所を家族と共有していないと、相続発生後に家族が見つけられないおそれがあります。

保管場所を家族と共有していると、変造や改ざんのおそれがあります。

保管場所を知っていると、他の相続人から変造や改ざんの疑いをかけられるかもしれません。

遺言書に変造や改ざんの疑いがあると、熾烈な相続人トラブルに発展するでしょう。

公正証書遺言であれば、変造や改ざんがあり得ません。

公正証書遺言原本は、公証役場で厳重に保管されるからです。

相続人トラブルを防ぐことができるから、公正証書遺言は安心確実です。

③家庭裁判所で検認不要

相続が発生したら、公正証書遺言は直ちに執行することができます。

公正証書遺言は、家庭裁判所で検認手続をする必要がないからです。

検認手続とは、自筆証書遺言などを家庭裁判所で開封して確認してもらう手続です。

自宅などで見つけた自筆証書遺言は、検認手続が必要です。

検認手続が必要なのに検認手続をしていない場合、相続手続をすることができません。

遺言書を見つけた家族が家庭裁判所に手続するのは、負担が重いでしょう。

家庭裁判所で検認手続不要だから、公正証書遺言は安心です。

2公正証書遺言が無効になる

①遺言者に遺言能力がないと無効

公正証書遺言といえども、絶対に無効にならないといったことはありません。

ごくまれに、公正証書遺言が無効になることがあります。

遺言書を作成するためには、遺言者に遺言能力があることが必要です。

遺言能力とは、遺言書の内容を理解して遺言の結果を理解する能力です。

例えば、認知症になると物事のメリットデメリットを適切に判断することができなくなります。

重度の認知症になると、遺言能力は失われたと言えるでしょう。

高齢になってから遺言書を作成した場合、遺言能力の有無が争いになることがあります。

遺言書の内容に不満を持つ相続人が現れることがあるでしょう。

不利な遺言書が無効になれば、遺言書どおりに分ける必要はなくなります。

遺言書に不満があると、相続人が遺言者の遺言能力の有無を理由に無効を主張するでしょう。

公正証書遺言の有効無効を争うとき、深刻な相続トラブルになります。

公正証書遺言を作成する場合、公証人が遺言書の意思確認をします。

遺言能力がない場合、意思確認の過程で気付くでしょう。

公正証書遺言では、遺言能力が一定程度担保されていると言えます。

遺言者に遺言能力がないと、公正証書遺言が無効になります。

②証人が不適格で無効

公正証書遺言は、証人2人に確認してもらって作ります。

証人になる人に、特別な資格はありません。

次の人は、証人になれません。

(1)未成年者

(2)推定相続人、受遺者、これらの人の配偶者、直系血族

(3)公証人の配偶者、4親等内の親族、書記、使用人

公正証書遺言を作成する場合、公証人は証人についても本人確認をします。

上記欠格事由に該当しないか、確認されます。

証人が欠格に該当していることを秘密にしていると、不適格なまま公正証書遺言が作成されてしまうでしょう。

証人が欠格事由に該当していると、公正証書遺言が無効になります。

③詐欺強迫で作成されると無効

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

遺言者の真意に基づかない遺言書は、無効です。

遺言者が第三者にだまされて遺言書を作成しても、真意に基づかないことは明らかです。

遺言者が第三者に強迫されて遺言書を作成しても、真意に基づかないことは明らかです。

真意に基づかない遺言書は、無効です。

遺言者が強迫されたり詐欺にあって、作成した遺言書に効力はありません。

遺言者本人が死亡した後に、詐欺強迫が認められるのは非常に困難です。

客観的な証拠がないと、詐欺強迫を証明できないからです。

詐欺強迫で作成されると、公正証書遺言が無効になります。

④口授がないと無効

公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に伝えて作る遺言書です。

口授とは、遺言内容を公証人に伝えることです。

遺言者が高齢である場合、遺言内容をよどみなく伝えるのは難しいかもしれません。

遺言書の内容を読み聞かせて肯定的身振りや否定的挙動をしただけでは、口授があったとは認められない事例があります。

肯定的身振りや否定的挙動には、「うなずく」「首を振る」「手を握る」などがあります。

口授が必要とされる趣旨は、遺言者の真意の確保にあります。

遺言内容における遺言者の真意が確保されている場合、口授があったと認められやすいと言えます。

話すことや聞くことが不自由である人は、筆談や手話を使って口授をすることができます。

身体が不自由であっても、公正証書遺言を作成しやすくなっています。

口授がないと、公正証書遺言が無効になります。

⑤公序良俗に反すると無効

公序良俗に反する法律行為は、無効です。

遺言書の内容は、遺言者が自由に決めることができます。

例えば、不貞相手に全財産を引き継ぐ遺言書を作成することがあります。

不貞相手に全財産を引き継がせる内容であっても、直ちに遺言書が無効になるわけではありません。

不貞関係の維持や継続を目的としており相続人の生活基盤を脅かす場合、公序良俗に反し無効とすべきでしょう。

不貞相手の生活を守るためで相続人の生活を脅かすおそれがない場合、有効とすべきでしょう。

相続人に与える影響を総合的に考慮して判断されます。

公序良俗に反すると、公正証書遺言が無効になります。

⑥遺言者が15歳未満で無効

遺言書を作成すると言うと、高齢者のイメージかもしれません。

15歳に達した人は、遺言書を作成することができます。

15歳未満の人が遺言書を作成しても、無効です。

公正証書遺言を作成する場合、公証人が本人確認をします。

本人確認書類に記載された生年月日は、公証人が必ず確認します。

15歳未満の人が公正証書遺言を作成することは、ほとんどないでしょう。

遺言者が15歳未満であると、公正証書遺言が無効になります。

⑦付言事項に法的効力がない

遺言書には、財産の分け方以外のことを書くことができます。

家族への感謝の気持ちを持ちつつも、伝える機会を逃していることがあるでしょう。

遺言書に、家族への感謝の気持ちを書くことができます。

家族への感謝の気持ちに、もちろん法律上の効力はありません。

遺言書に書くことで法律上有効になることは、法律で決められています。

法律上の効力がないことは、付言事項と言います。

例えば、「遺留分を認めない」「遺留分侵害額請求を許さない」と書いてあることがあります。

遺留分とは、相続人に認められた最低限の権利です。

公正証書遺言を作成するだけで、遺留分を奪うことはできません。

「遺留分を認めない」「遺留分侵害額請求を許さない」と書いてあっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

「遺留分を認めない」「遺留分侵害額請求を許さない」と書いてある場合、付言事項を考えられます。

公正証書遺言であっても、付言事項に法律上の効力はありません。

⑧公正証書遺言があっても遺産分割協議

相続があったら、被相続人の財産は相続人が相続します。

遺言書で相続財産の分け方が指定されている場合、遺言書のとおりに分けることができます。

遺言書が無効である場合、相続財産は相続人全員の共有財産です。

相続人間で公正証書遺言の有効無効が争われると、熾烈なトラブルになります。

公正証書遺言が無効と判断される事例は、めったにないからです。

不公平な遺言書だと感じる相続人は、遺言書の無効を主張するでしょう。

熾烈な相続トラブルに発展する前に、相続人全員で相続財産の分け方を合意した方が合理的です。

公正証書遺言があっても、遺産分割協議をすることができます。

3公正証書遺言が無効にならない

①遺留分を侵害しても有効

公正証書遺言の内容を確認したら、全財産を一部の相続人に相続させる内容であることがあります。

全財産を一部の相続人に相続させる内容であっても、直ちに遺言書が無効になるわけではありません。

他の相続人が遺留分権利者である場合、遺留分を侵害しているでしょう。

遺留分を侵害しても、遺言書は有効です。

遺留分は、権利に過ぎません。

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分権利者は、権利を行使するか行使しないか選ぶことができます。

遺言書の内容に納得できたら、遺留分侵害額請求をしないでしょう。

遺留分権利者は選択できるから、遺言書を無効にする必要がありません。

遺留分を侵害しても、公正証書遺言は有効です。

②一部の財産だけでも有効

遺言書に書いてある財産が一部だけであることがあります。

遺言者が自分の財産全体を把握していなかったのかもしれません。

他の財産には関心がなく、重要な財産だけ書いたのかもしれません。

一部の財産だけ記載されても、遺言書は有効です。

他の財産は、遺言書を作成した後に手放すつもりだったかもしれません。

遺言書作成後に、新たに財産を取得することがあるでしょう。

ひょっとすると、別の遺言書で分け方を指定したのかもしれません。

一部の財産について分け方を指定した場合、その財産について遺言書は有効です。

分け方を指定されていない財産は、相続人全員の共有財産です。

相続人全員で、分け方を決定します。

一部の財産だけでも、公正証書遺言は有効です。

③長期間経過しても時効にならない

遺言書は、遺言者が元気なときに作成します。

遺言書が作成されてから長期間経過して、相続が発生するでしょう。

遺言書が作成された後、長期間経過しても無効になりません。

遺言書に、時効はありません。

遺言者が死亡したときに、遺言書の効力が発生します。

遺言者が死亡した後、長期間経過しても無効になりません。

遺言書を作成後長期間経過しても遺言者が死亡後長期間経過しても、公正証書遺言は有効です。

4遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書があれば、相続財産の分け方について、相続人全員で話し合いによる合意は不要です。

遺言書があれば、家族のもめごとが避けられると言えます。

遺言書の効力を争う場合、法律の知識が不可欠です。

弁護士に依頼して、交渉してもらうことになるでしょう。

一部の相続人が弁護士に依頼したら、他の相続人も弁護士に依頼しないととても太刀打ちできません。

弁護士は、依頼人の利益最大化のために働きます。

家族が争う争族になってしまいます。

家族のトラブルの多くは、遺言書作成時にサポートを受けていれば回避できるでしょう。

遺言書作成のサポートを受けるだけでなく、遺言執行者になってもらうなど遺言の実現についてもサポートしてもらうことがきます。

家族のトラブルを避けるため、公正証書遺言作成を考える方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

一人に全財産を相続させる遺言書

2024-12-05

1一人に全財産を相続させることができる

①遺言書の内容に制限はない

遺言書を作成する場合、民法の書き方ルールが守られている必要があります。

民法には書き方ルールが定められていますが、どのような内容の遺言書を作成するかについて制限はありません。

遺言者は、生前に自分の財産を自由に処分することができます。

遺言者が、自分の死亡後に財産を自由に処分することができます。

自分の財産を相続人に受け継いでもらうことも、相続人以外の人に受け継いでもらうこともできます。

民法では、法定相続分が決められています。

法定相続分どおりに受け継いでもらうこともできるし、法定相続分とは違う割合で受け継いでもらうこともできます。

「全財産を〇〇〇〇に相続させる」遺言も、有効な遺言書です。

②一人に全財産を相続させるときの遺言書の記載例

遺言書

遺言者は、以下のとおり遺言をする。

第1条

遺言者は、遺言者の有するすべての財産を、遺言者の配偶者〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生まれ)に相続させる。

第2条

遺言者は、本遺言書の遺言執行者として、下記の者を指定する。

事務所住所

〇〇県〇〇市〇〇区〇〇町〇丁目〇〇番〇〇号

司法書士〇〇〇〇

昭和〇年〇月〇日生まれ

令和〇年〇月〇日

〇〇県〇〇市〇〇区〇〇町〇丁目〇〇番〇〇号

遺言者 〇〇〇〇 印

③遺言書で財産を列挙する方が家族がラク

遺言書を作成して自分の全財産を一人に相続させたい場合、遺言者の有するすべての財産を相続させると書くことができます。

家族であっても、遺言者がどのような財産を保有しているのか知らないことがあります。

遺言者の気持ちとしては、当然知っているものと考えているかもしれません。

どこにどのような財産があるのか手がかりがない状態で、相続手続をするのは非常に困難です。

できることであれば、遺言者の有するすべての財産と記載するよりすべての財産を列挙することをおすすめします。

不動産であれば、不動産の登記事項証明書を取り寄せて書き写します。

預貯金であれば、通帳を見て金融機関の名称、支店、預金種別、口座番号を記載します。

財産を客観的に特定できない場合、相続手続ができなくなるおそれがあります。

そのうえで記載のない財産が見つかった場合、その財産を〇〇〇〇に相続させると記載するといいでしょう。

2一人に全財産を相続させる遺言書は遺留分に注意

①遺留分とは最低限認められた権利

法定相続分どおりに受け継いでもらうこともできるし、法定相続分とは違う割合で受け継いでもらうこともできます。

「全財産を〇〇〇〇に相続させる」遺言は、有効な遺言書です。

遺言者は、自分の死亡後に自分の財産を自由に処分することができます。

遺言者が築いた財産は、家族の協力があって築くことができた財産のはずです。

家族の協力があって築くことができた財産なのに、遺言者が気ままに処分したら家族にとって酷な結果になることがあります。

自分の財産を自由に処分することができると言っても、一定の範囲の相続人には最低限の権利が認められています。

一定の範囲の相続人に認められる最低限の権利を遺留分と言います。

②遺留分は兄弟姉妹以外の相続人に認められる

遺留分はすべての相続人に認められるわけではありません。

遺留分が認められる相続人と認められない相続人がいます。

遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

被相続人に子どもや親などの直系尊属がいない場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹が被相続人より先に死亡した場合、兄弟姉妹の子どもが代襲相続をします。

兄弟姉妹が被相続人より先に死亡した場合、兄弟姉妹の子どもは兄弟姉妹の相続分と遺留分を相続します。

兄弟姉妹に遺留分が認められないから、兄弟姉妹の子どもにも遺留分は認められません。

配偶者、子ども、親などの直系尊属は、遺留分が認められます。

③遺言書で遺留分を奪えない

「全財産を〇〇〇〇に相続させる」遺言は、有効な遺言書です。

有効な遺言書であっても、他の相続人の遺留分を奪うことはできません。

他の相続人の遺留分を奪う結果になる遺言書も、有効な遺言書です。

相続が発生した場合、遺留分を奪われた相続人は遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分侵害額請求を受けた場合、侵害した遺留分相当額を金銭で支払う必要があります。

相続人に面倒をかけたくない気持ちで遺言書を作るのであれば、遺留分に配慮した遺言書を作るのがおすすめです。

「全財産を〇〇〇〇に相続させる」ではなく、遺留分相当の財産を遺留分のある相続人に相続させる遺言です。

「全財産を〇〇〇〇に相続させる」を実現するために、家族がトラブルになるかもしれません。

家族を幸せにするために生涯をかけて財産を築いてきたはずです。

生涯をかけて築いた財産で家族がトラブルになったら、財産を築いた苦労が報われません。

3遺言書作成は公正証書遺言がおすすめ

①遺言書の種類

遺言書の種類は民法という法律で決められています。

大きく分けて普通方式の遺言と特別方式の遺言とあります。

普通方式の遺言は、次の3つです。

(1)自筆証書遺言

(2)公正証書遺言

(3)秘密証書遺言

特別方式の遺言は、次の4つです。

(1)死亡の危急に迫った者の遺言

(2)伝染病隔離者の遺言

(3)在船者の遺言

(4)船舶遭難者の遺言

特別方式の遺言は、生命の危機に迫っている人や航海中など交通できない人が作る特別の遺言です。

特別方式の遺言は、ごく稀な遺言と言えるでしょう。

多くの方にとって、遺言というと普通方式の遺言です。

なかでも、(1)自筆証書遺言(2)公正証書遺言のいずれかを作成される方がほとんどです。

②自筆証書遺言は無効になるリスクが大きい

自筆証書遺言は遺言者が自分で書いて作った遺言書のことです。

専門家の手を借りることなく手軽に作れるので、世の中の大半は自筆証書遺言です。

自筆証書遺言を作成する場合、筆記用具や紙に制約はありません。

ひとりで作ることができるので、作るだけであれば、費用はかかりません。

自筆証書遺言の多くは、専門家の手を借りずに作られます。

専門家のチェックがない場合、法律上効力のない遺言書になる可能性があります。

認知症など判断能力が不十分なまま遺言書が作られたのではないかという疑いが残ります。

一部の相続人から脅されて作ったのではないかとか、だれかに騙されて作ったのではないかとか疑われることがあります。

「全財産を〇〇〇〇に相続させる」に不満を持つ相続人がいた場合、このような疑いを主張するでしょう。

自筆証書遺言は、相続人間でトラブルに発展する危険性があります。

③公正証書遺言はメリットが大きい

公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。

遺言者が公証人に遺言内容を伝えて、証人2人に確認してもらって作ります。

公正証書遺言は、公証人が書面に取りまとめます。

法律上の不備があって遺言書が無効になるリスクが最も少ないものです。

遺言書の内容を伝えておけば、適切な表現で文書にしてもらえます。

公正証書遺言は、公証人が遺言者の意思を確認して作成します。

遺言者が認知症など判断能力が不十分な場合、公証人は遺言書を作成しません。

一部の相続人から脅されて作ったとか、だれかに騙されて作ったとか疑われることはないでしょう。

公正証書遺言原本は、公証役場で厳重に保管されます。

紛失するおそれがありません。

相続人らに偽造や変造されたり、捨てられたりする心配もありません。

公証役場で厳重に保管されているから、遺言書の検認手続が不要です。

公正証書遺言を作成するためには、費用がかかるのがデメリットです。

公正証書遺言作成の費用がかかることを考えても、家族のトラブルを防ぐ大きなメリットがあります。

4遺言執行者が遺言書の内容を実現してくれる

遺言書は遺言者の意思を示したものです。

遺言書を書いただけでは、意味がありません。

遺言書を書いただけで、自動的に遺言内容が実現するわけではないからです。

遺言書の内容を実現する人が遺言執行者です。

相続人は遺言の内容を見たら、被相続人の意思を尊重し、実現してあげたいと思うでしょう。

「全財産を〇〇〇〇に相続させる」に不満を持つ相続人がいた場合、遺言の実現に協力してくれることは望めません。

協力してくれない場合に備えて、遺言執行者を選任しておくことが有効です。

遺言執行者は遺言の内容を実現するために、必要な行為をする権限があります。

協力しない相続人が遺言執行を妨害した場合、原則として、妨害行為は無効になります。

遺言執行者はいてもいなくても、遺言書の効力に違いはありません。

遺言執行者がいると、確実に遺言者の意思を実現してもらえますから、安心です。

5遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

遺言執行者は遺言書の内容を実現する人です。

相続人が遺言書の内容に納得していて、手続に協力的であれば、必ずしも、遺言執行者を選任する必要はありません。

子どもの認知など遺言執行者しかできない手続がある場合、遺言執行者を選任しておかないと、相続人に余計な手間をかけさせることになります。

遺言執行者は、相続開始後すみやかに手続を進めることができる時間と知識がある人を選ぶことが重要です。

その意味でも、家族より司法書士などの専門家に遺言執行を依頼する人が増えています。

以前は、遺言執行者は止むを得ない場合だけ、他の人に職務を任せることができるとされていましたが、現在は、止むを得ないなどの理由は不要になりました。

遺言執行者に指名され、職務をしてみたところ、思ったよりタイヘンだという場合、自己の責任で司法書士などの専門家におまかせすることもできます。

今後も、専門家に依頼する人は増えていくでしょう。

遺言執行を司法書士などの専門家に依頼した場合、相続人は基本待っているだけなので、トラブルになることが少なくなるからです。

家族を笑顔にするためにも、遺言書作成と遺言執行者選任しましょう。

家族の幸せのためにも、遺言書作成と遺言執行者選任を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺留分侵害額請求を認めない遺言書に効力はない

2024-12-04

1遺留分は相続人の最低限の権利

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②近い関係の相続人に遺留分か認められる

遺言書を作成して、自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。

財産は被相続人がひとりで築いたものではないでしょう。

家族の協力があってこそ、築くことができた財産のはずです。

被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすることはできません。

今まで協力してきた家族に、酷な結果となることがあるからです。

被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。

遺留分とは、相続財産に対して認められる最低限の権利です。

被相続人に近い関係の相続人には、遺留分が認められます。

③兄弟姉妹に遺留分は認められない

相続人のうち、遺留分が認められる人を遺留分権利者と言います。

相続人でない人は、遺留分権利者になることはありません。

遺留分権利者は、被相続人に近い関係の相続人です。

具体的には、次の人です。

(1)配偶者

(2)子ども

(3)親などの直系尊属

兄弟姉妹は相続人になりますが、遺留分権利者ではありません。

④遺留分放棄をした人に遺留分は認められない

遺留分権利者には、相続財産に対して最低限の権利が認められます。

遺留分に満たない財産の配分しか受けられない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分放棄とは、相続人自身の意思で遺留分を放棄することです。

遺留分放棄は、相続人の意思が重視されます。

遺留分放棄をすると、相続人は最低限の権利を失います。

相続が発生する前に遺留分放棄をする場合、家庭裁判所の許可の審判が必要です。

家庭裁判所の許可を得て遺留分を放棄した場合、遺留分はなくなります。

遺留分放棄をしても、相続人です。

相続人だから、相続財産を相続することができます。

遺留分放棄をすると、遺留分は認められません。

⑤廃除された相続人に遺留分は認められない

例えば、被相続人に虐待をした人に、相続をさせたくないと考えるのは自然なことでしょう。

被相続人が相続させたくないと思って、他の相続人にすべての財産を相続させると遺言書を書くことがあります。

遺言書を書くだけで、遺留分を奪うことはできません。

遺留分に満たない財産の配分しか受けられない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分侵害額請求をしたら、相続財産のいくらかは虐待した相続人が受け継いでしまいます。

相続人廃除とは、被相続人の意思で相続人の資格を奪う制度です。

相続人の資格を奪うとは、実質的には遺留分を奪うことです。

兄弟姉妹は、遺留分権利者ではありません。

兄弟姉妹を廃除する必要はありません。

兄弟姉妹に相続させたくない場合、遺言書を作成するだけで実現できるからです。

相続人が廃除された場合、代襲相続が発生します。

廃除された相続人の子どもや孫が相続します。

廃除された相続人に、遺留分は認められません。

⑥相続欠格の人に遺留分は認められない

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

同時に、民法では相続人になれない人も決められています。

例えば、被相続人を殺した人が相続することは、社会感情からみても許せない、相続する人としてふさわしくないということは納得できるでしょう。

このような相続人として許せない、ふさわしくない場合、相続人の資格が奪われます。

相続欠格とは、相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度です。

相続欠格は、被相続人の意思とは無関係に相続人の資格を奪う制度です。

裁判所などで手続があるわけでなく、当然に相続資格を失います。

相続欠格になると、遺留分も奪われます。

相続人が相続欠格になる場合、代襲相続ができます。

欠格の相続人の子どもや孫が相続します。

欠格の相続人に、遺留分は認められません。

⑦相続放棄をした人の子どもは相続しない

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄するか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄の申立てをします。

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄が認められたら、相続することはできません。

相続放棄が認められたら、遺留分を失います。

遺留分が認められるのは、相続人だけだからです。

相続放棄をしたら、代襲相続は発生しません。

相続放棄をした人の子どもや孫は、相続しません。

2遺留分侵害額請求を認めない遺言書に効力はない

①遺言事項は法律で決まっている

遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。

書き方ルールだけではなく、遺言書に書くことで有効になることも法律で決められています。

遺言事項とは、遺言書に書くことで有効になることです。

遺言事項は、次の事項です。

(1)財産に関すること

(2)身分に関すること

(3)遺言執行に関すること

(4)それ以外

②遺言書に効力がないことを書くことができる

遺言事項は、法律で決められています。

遺言書には、遺言事項以外のことを書くことができます。

遺言事項以外のことに、法律上の効力はありません。

実際のところ、法律上の効力がないことを書く人はたくさんいます。

家族への感謝の気持ちがあっても、言葉にしていない人がいるでしょう。

遺言書に、家族への感謝の気持ちを書くことができます。

家族仲良く幸せに暮らして欲しいなどの希望に、法律上の効力はもちろんありません。

被相続人の感謝の言葉や希望を読むと、温かな気持ちになるでしょう。

遺言書に法律上の効力がないことを書くことができます。

③付言事項で遺留分侵害額請求を認めない

遺言書を作成する場合、法律上効力があることだけでなく法律上の効力がないことを書くことができます。

付言事項とは、遺言書に書いても法律上の効力がないことです。

付言事項には、家族への感謝の気持ちや希望を書くでしょう。

遺言書で遺留分侵害額請求を認めないと書くことがあります。

遺留分は、相続人に認められた最低限の権利です。

遺言書を作成するだけで、相続人の遺留分を奪うことはできません。

遺言書に遺留分侵害額請求を認めないと書いてある場合、付言事項と考えられます。

付言事項に、法律上の効力はありません。

遺留分侵害額請求を認めない遺言書に、法律上の効力はありません。

④遺留分侵害額請求を認めない遺言書があっても請求できる

遺言書に遺留分侵害額請求を認めないと書いてある場合、付言事項と考えられます。

付言事項に法律上の効力はないから、被相続人からのお願いと言えます。

相続人は被相続人からのお願いをかなえてもいいし、お願いを拒否しても構いません。

被相続人のお願いを拒否しても、他の相続人は文句を言うことはできません。

付言事項に、法律上の効力はないからです。

遺留分侵害額請求を認めない遺言書があっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

3遺留分を侵害する遺言書でも無効にならない

①遺留分を侵害する遺言書があっても遺留分侵害額請求ができる

遺留分とは、相続財産に対して認められる最低限の権利です。

さまざまな事情から、遺留分を侵害している遺言書が見つかることがあります。

遺留分を侵害しても、遺言書が自動で無効になるわけではありません。

遺留分を侵害する遺言書を作成するだけで、相続人の遺留分は奪われません。

相続人は遺留分侵害額請求をすることも請求しないことも、選択することができます。

遺留分権利者が遺言書の内容に納得しているのなら、遺留分侵害額請求をしないでしょう。

遺留分権利者が遺言書の内容に納得しているのに、遺言書を無効にする必要はありません。

遺留分を侵害する遺言書でも、有効な遺言書です。

遺留分を侵害する遺言書があっても、遺留分侵害額請求ができるからです。

②遺言書で廃除はハードルが高い

遺留分を侵害する遺言書を作成する場合、一部の相続人に相続させたくないことがあります。

遺留分を侵害する遺言書を作成するだけで、相続人の遺留分を奪うことはできません。

廃除された相続人に、遺留分は認められません。

遺言書で、相続人を廃除することができます。

遺言執行者が家庭裁判所に申立てをして、家庭裁判所が判断します。

遺留分は、相続人に認められた最低限の権利です。

廃除されると遺留分がなくなるから、家庭裁判所は非常に慎重に審査します。

家庭裁判所に廃除を認めてもらうには、客観的証拠が重要です。

例えば、被相続人が虐待を受けた場合、証人として家庭裁判所に虐待の頻度や内容を証言することができます。

虐待を受けた本人であれば、リアリティーがある証言ができるでしょう。

遺言執行者は、詳しい家庭内の事情を知らないでしょう。

家庭裁判所を納得させられる証拠を提出するのは、難しいでしょう。

遺言書で廃除するのは、高いハードルがあります。

③遺言書があっても遺産分割協議

遺言書の内容が大きく偏っている場合、相続人の遺留分を侵害しているでしょう。

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

相続人が遺留分侵害額請求をする場合、大きなトラブルになるでしょう。

相続人間でトラブルになる遺言書なのに、あえて執行してトラブルにする必要はありません。

相続人全員で相続財産の分け方を話し合った方が合理的です。

遺言書があっても、相続人全員で遺産分割協議をすることができます。

4遺留分を侵害しない遺言書がおすすめ

①遺留分放棄は強制できない

遺留分放棄をした人は、遺留分侵害額請求をすることができません。

遺留分を侵害する遺言書があった場合、相続人はがっかりするでしょう。

遺留分侵害額請求をすると、相続人間で大きなトラブルになるおそれがあります。

相続させたくない相続人に遺留分放棄をさせれば、トラブルがなくなると考えるかもしれません。

実際のところ、自称専門家は遺留分放棄をさせればいいとアドバイスしています。

遺留分放棄は、相続人の意思が重視されます。

気に入らない相続人に、遺留分放棄を強制するものではありません。

家庭裁判所が遺留分放棄の許可を判断する場合、遺留分放棄をする充分な理由があるか審査します。

遺留分放棄をする充分な理由とは、遺留分放棄に見合う充分な経済的利益を得ていることです。

充分な利益を得ていないのに遺留分放棄をするといっても、家庭裁判所は許可してくれないでしょう。

遺留分放棄は、強制することができません。

②遺留分に配慮して遺言書作成

遺言書を作成する場合、財産の分け方について書くでしょう。

さまざまな事情から、財産の配分が多少偏るのは止むを得ないでしょう。

遺留分は、相続人に認められた最低限の権利です。

遺留分を侵害する遺言書は、相続人間でトラブルになるおそれがあります。

生涯をかけて築いた財産は、家族を幸せにするためだったでしょう。

苦労して築いた財産で家族がトラブルを起こしたら、空しい苦労になります。

遺言書を作成する場合、相続人の遺留分に配慮するのがおすすめです。

5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺留分を侵害した遺言書であっても、無条件で無効になるわけではありません。

遺言書の内容に不満のある相続人からは、無効だと主張されることが考えられます。

高齢になってから遺言書を作成した場合、認知症で判断能力が低下していたからと言われるでしょう。

遺言書が有効であれば、遺言書の内容どおりに相続手続を進めるのが原則です。

遺言書が有効か無効か争っていると、相続手続が滞ってしまいます。

遺言書作成を考えている方は、早めに取り掛かることをおすすめします。

相続人が争うことのないように、遺言書を作る方がほとんどでしょう。

家族を争族にしないために、遺言書を作ることは大切です。

認知症を疑う余地もないほど元気であるうちに、遺言書作成をすることが最善です。

遺言書など縁起でもないなどと言えるのは、元気な証拠と言えます。

まだまだ死なない!と言える今こそ遺言書作成のときです。

遺言書作成を考えている方は、早めに司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続人・受遺者が先に死亡したときの遺言書

2024-11-01

1遺言書は元気なときに作成する

①重度の認知症になると遺言書は作成できない

15歳以上の人は、遺言書を作成することができます。

遺言書を作成するには、遺言能力が必要だからです。

遺言能力とは、遺言書の内容を理解しメリットデメリットを充分に判断する能力です。

遺言書は、判断能力がしっかりしているうちだけ作成することができます。

認知症になると、物事のメリットデメリットを充分に判断することが難しくなります。

初期の認知症で、簡単な内容の遺言書であれば作成できるかもしれません。

重度の認知症になると、物事のメリットデメリットを判断することができなくなるでしょう。

物事のメリットデメリットを判断することができない状態で、遺言書を作成することはできません。

遺言書のつもりで書いても、無効です。

②高齢で遺言書を作成すると相続人間のトラブルを招く可能性

高齢化社会になって、多くの人は長寿になりました。

高齢になると、認知症を発症することがあるでしょう。

80歳後半になると、2人に1人は認知症になっているというデータもあります。

遺言書は、高齢になってから作成するイメージがあるかもしれません。

高齢になってから遺言書を作成するのは、おすすめできません。

重度の認知症になると、遺言書を作成することができなくなるからです。

遺言書を作成する場合、財産の分け方について書くでしょう。

一部の相続人にとって、期待どおりの分け方ではないことがあります。

期待した財産を受け取れないと、がっかりします。

遺言者が認知症になっていて、判断能力がなかったからと考えるでしょう。

期待した財産を受け取れない相続人は、遺言書の無効を訴えるでしょう。

遺言書の無効を争うとき、相続人間で大きなトラブルになります。

遺言書は、元気なときに作成します。

だれから見ても認知症の疑いがないくらい、元気なときに作成するのがおすすめです。

高齢で遺言書を作成すると、相続人間のトラブルを招く可能性があります。

2相続人・受遺者が先に死亡したときの遺言書

①遺言者が死亡したときに遺言書は効力発生

遺言書は、元気なときに作成するのがおすすめです。

遺言者が死亡するまで、遺言書には効力がありません。

遺言者が死亡したときに、遺言書に効力が発生します。

遺言書を作成してから遺言者が死亡するまで、長期間経過することが多いでしょう。

長期間経過しても、遺言書が無効になることはありません。

遺言書に、有効期限はありません。

遺言書に効力が発生するのは、遺言者が死亡したときだからです。

②先に死亡した相続人は相続できない

相続人になる人は、法律で決められています。

相続人になる人は、相続が発生したときに生きている人のみです。

先に死亡した人は、相続人になることはできません。

「相続人〇〇〇〇に財産〇〇を相続させる」

上記のような遺言書を作成しても、遺言者が生きている間は効力がありません。

上記のような遺言書を作成しても、遺言者が生きている間は何の権利もありません。

遺言書に効力が発生するのは、遺言者が死亡したときだからです。

相続が発生したら財産を引き継ぐことができると予想しているでしょう。

遺言者が生きている間は、期待権すらありません。

遺言者が死亡するまで、遺言書に効力が発生しないからです。

先に死亡した人は、相続人になることはできません。

先に死亡した相続人は、財産を引き継ぐことはできません。

相続人が先に死亡した場合、遺言は無効になります。

遺言書に効力が発生したときに、相続人は生きている必要があるからです。

先に死亡した相続人は、相続できません。

③先に死亡した受遺者は遺贈を受けることができない

被相続人は、生前に自分の財産を自由に処分することができます。

遺言書を作成して、自分の死後にだれに引き継ぐのか自由に決めることができます。

遺贈とは、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。

遺贈によって財産を引き継ぐ人を受遺者と言います。

相続人は、相続することができるし遺贈を受けることができます。

遺贈を受けることができるのは、、相続が発生したときに生きている人のみです。

先に死亡した人は、受遺者になることはできません。

「〇〇〇〇に財産〇〇を遺贈する」

上記のような遺言書を作成しても、遺言者が生きている間は効力がありません。

上記のような遺言書を作成しても、遺言者が生きている間は何の権利もありません。

遺言書に効力が発生するのは、遺言者が死亡したときだからです。

先に死亡した人は、受遺者になることはできません。

先に死亡した受遺者は、財産を引き継ぐことはできません。

受遺者が先に死亡した場合、遺言は無効になります。

遺言書に効力が発生したときに、受遺者は生きている必要があるからです。

先に死亡した受遺者は、遺贈を受けることができません。

④遺言書の内容は代襲相続できない

相続人になる人は、法律で決められています。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

相続が発生した時点で、子どもが先に死亡していることがあります。

相続人になるはずだった子どもが先に死亡した場合、子どもの子どもが相続人になります。

子どもの子どもが相続人になることを代襲相続と言います。

相続人が先に死亡した場合、遺言は無効になります。

受遺者が先に死亡した場合、遺言は無効になります。

相続人・受遺者が先に死亡した場合、代襲相続をすることはできません。

遺言書によって財産を受け取る権利は、本人限りだからです。

遺言書の内容は、代襲相続ができません。

⑤受け取る人がいない財産は相続財産

相続人が先に死亡した場合、遺言は無効になります。

受遺者が先に死亡した場合、遺言は無効になります。

相続人・受遺者が先に死亡した場合、代襲相続をすることはできません。

相続人・受遺者が受け取るはずだった財産は、受け取る人がいなくなります。

遺言書で受け取る人の指定がない財産は、相続財産になります。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

相続人になるはずだった人が先に死亡した場合、死亡した相続人の子どもは代襲相続ができます。

死亡した相続人の子どもは代襲相続人として、遺産分割協議に参加します。

死亡した相続人の子どもが代襲相続人であっても、優先権はありません。

遺言は無効になっているからです。

相続人全員の合意が得られれば、その財産を相続することができます。

⑥遺言書自体は有効

遺言者より相続人・受遺者が先に死亡したとき、遺言は無効になります。

無効になるのは、遺言者より先に死亡した相続人・受遺者にかかる部分のみです。

遺言全体が無効になるのではありません。

遺言書自体は、有効です。

遺言者より先に死亡した相続人・受遺者にかかる部分以外は、有効です。

3相続人・受遺者が先に死亡したときの対処方法

①遺言書は何度でも書き直しができる

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

遺言書を作成してから、遺言者が死亡するまでに長期間あるのが通常です。

長期間経過するうちに、財産状況が変わることがあるでしょう。

長期間経過するうちに、相続人や受遺者が先に死亡することがあるでしょう。

遺言者自身が考えを変えることがあります。

遺言書を作成した後に、書き直しをすることができます。

書き直しをするにあたって、相続人や受遺者の同意は不要です。

遺言によって財産を取得することが予想できるとしても、遺言者の生前は期待権すらないからです。

遺言書の書き直しをしないと約束していても、無効の約束です。

遺言書の書き直しをしないと約束していても、遺言書の書き直しをすることができます。

遺言書は、何度でも書き直しができます。

②死亡したときに備えて予備的遺言

相続人が先に死亡した場合、遺言は無効になります。

受遺者が先に死亡した場合、遺言は無効になります。

遺言書を作成する場合、財産を引き継ぐ人は遺言者より長生きすることを想定しているでしょう。

遺言者より若い世代の人であっても、先に死亡する可能性は否定できません。

相続人・受遺者が先に死亡した場合、相続人・受遺者の子どもなどに引き継ぐ希望があることがあります。

財産を引き継ぐ人が先に死亡したときに備えて、二次的に承継先を決めておくことができます。

二次的に承継先を決めておくことで、遺言者が別段の意思表示をしたと言えます。

遺言者が別段の意思表示をした場合、遺言者の意思に従います。

予備的遺言は、遺言者の別段の意思表示です。

予備的遺言について、さらに予備的遺言をすることもできます。

予備的遺言をすると、遺言が複雑になりがちです。

司法書士などの専門家のサポートを受けて遺言書を作成するのがおすすめです。

③家族信託を利用する

家族信託とは、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持つ仕組みです。

本人と信頼できる家族で、家族信託契約を締結します。

家族信託契約において、さまざまなことを決めておくことができます。

例えば、信託する期間や信託が終了したときに残った財産を引き継ぐ人を決めておくことができます。

家族信託で残った財産を引き継ぐ人を帰属権利者と言います。

信託終了時に財産を引き継ぐ人が先に死亡していることがあるでしょう。

先に死亡したときに備えて、予備的帰属権利者を決めておくことができます。

家族信託を上手に利用すると、家族のトラブルを減らすことができます。

4受遺者が後に死亡したときは遺贈は有効

①受遺者が死亡しても名義変更ができる

遺言者が死亡した後に相次いで受遺者が死亡することがあります。

遺贈された財産の名義変更をする前に受遺者が死亡しても、遺贈は有効です。

受遺者が死亡しても、財産の名義変更をすることができます。

例えば、遺贈された財産が不動産である場合、死亡した受遺者名義に変更することができます。

受遺者が生前に不動産の所有者であったことを公示する必要があるからです。

遺言執行者と受遺者の相続人が協力して、所有権移転登記をします。

②受遺者の相続人は遺贈の放棄ができる

遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。

遺言書は、遺言者がひとりで作ります。

遺言書は、相続人などの関与なしで作ることができます。

遺言で遺贈や相続のことを定める場合、遺言者が受け取る人の意見を聞かずに、一方的に決めることができます。

遺言に書いてあるからとは言っても、受け取ると相続人に気兼ねすることがあります。

相続人とトラブルになりたくないから、ご辞退したい場合もあるでしょう。

遺贈は、放棄することができます。

受遺者が相次いで死亡した場合、遺贈の放棄をする権利は相続人に相続されます。

受遺者の相続人は、遺贈を放棄することができます。

5遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

遺言書の書き方ルールは民法という法律で、細かく決められています。

自分が死んだ後のことは考えたくないという気持ちから、先延ばししがちです。

いろいろ言い訳を考えてしまうかもしれません。

不動産は、分けにくい財産の代表例です。

目立った財産がないから、家族がもめ事を起こすことはないという言い訳はよく聞きます。

相続財産は自宅不動産だけの場合、目立った財産がない場合と言えるでしょう。

分けにくい不動産だけの場合、家族がトラブルになりやすいケースです。

家族がトラブルに巻き込まれることを望む人はいないでしょう。

死んだ後のことを考えるのは不愉快などと言えるのは、判断力がしっかりしている証拠です。

まず、遺言書を書くことをおすすめします。

トラブルにならない場合でも、遺言書があると相続手続は格段にラクになります。

状況が変われば、遺言書は何度でも書き直すことができます。

家族を幸せにするために遺言書を作ると考えましょう。

遺言書の書き直しのご相談もお受けしています。

家族の喜ぶ顔のためにやるべきことはやったと安心される方はどなたも晴れやかなお顔です。

家族の幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺言書で臓器提供はできない

2024-10-11

1遺言書で臓器提供はできない

①遺言事項は法律で決められている

日本で臓器移植法が施行されたのは、1997年です。

施行されてから、20年以上経過しています。

臓器移植を希望する人は年々増えていますが、臓器移植の件数は多くはありません。

臓器移植とは、臓器の機能が低下した人に他の人の臓器と取り換えて機能回復を図る医療です。

第三者の善意による臓器提供がなければ、臓器移植をすることはできません。

自分が死亡した後に、最後に社会貢献をしたいと考えることがあるでしょう。

最後の社会貢献として、臓器提供をして社会に役に立ちたいという希望があるかもしれません。

臓器提供をするために遺言書を作成するのは、意味がありません。

遺言書は、厳格な書き方ルールがあります。

遺言書に書くことで法律上意味がある事項は、法律で決められています。

遺言書に書くことで法律上意味がある事項を遺言事項と言います。

遺言事項は、次のとおりです。

(1)財産に関すること

(2)身分に関すること

(3)遺言執行に関すること

(4)それ以外のこと

臓器提供に関することは、遺言事項にありません。

遺言事項は、法律で決められています。

②臓器提供の希望は付言事項

遺言書には、法律上意味がないことを書くことができます。

遺言事項以外のことは、付言事項と言います。

付言事項に、法律上の意味はありません。

例えば、家族への感謝の気持ちや家族仲良く幸せに暮らして欲しいなどの気持ちです。

家族仲良く幸せに暮らして欲しい気持ちに、法的な拘束力はもちろんありません。

臓器提供の希望は、付言事項に過ぎません。

付言事項に、法律上の拘束力はありません。

遺言書に臓器提供の希望を書くことができます。

臓器提供の希望を書いても、法的効力はありません。

臓器提供の希望は、付言事項です。

③遺言書は火葬後に開封される

遺言書は、プライベートな内容が書かれています。

遺言者本人が積極的に家族に見せることは、あまりありません。

家族にとっても、遠慮して見ないことが多いでしょう。

封筒に入った自筆証書遺言は、相続発生後に家庭裁判所で開封してもらいます。

法務局保管の自筆証書遺言は、相続発生後に遺言書保管事実証明書や遺言書情報証明書の発行請求をすることができます。

公正証書遺言は、相続発生後に相続人が謄本請求をすることができます。

遺言者の死亡直後は、家族が遺言書の内容を知らないことが大部分でしょう。

遺言書の内容を知らないまま、火葬されます。

葬儀などがひと段落して落ち着いてから、相続手続の準備を開始します。

家族が遺言書の有無を調べるのは、死亡後1か月以上経過していることが多いでしょう。

遺言書に臓器提供を希望すると書いても、死亡直後に家族は気づきません。

家族から臓器提供を希望することを医師に伝えてもらうことができません。

火葬した後で遺言書の内容を知ったら、家族はショックを受けるでしょう。

本人の希望をかなえてあげることができなかったからです。

確かに、遺言書に臓器提供の希望を書くことができます。

遺言書に臓器提供の希望を書いても、臓器提供ができないことがほとんどです。

遺言書を見た家族は、希望をかなえてあげられなかったと後悔します。

遺言書に臓器提供の希望を書くことは、おすすめできません。

2臓器提供の意思表示の方法

①健康保険証・運転免許証・マイナンバーカードに記入

健康保険証の裏面

臓器移植法が改正され、健康保険証・運転免許証に意思表示欄が設置されました。

マイナンバーカードにも、意思表示欄が設置されています。

健康保険証・運転免許証・マイナンバーカードに記入することで、臓器提供の意思表示をすることができます。

運転免許証の裏面

健康保険証・運転免許証・マイナンバーカードに記入することも記入しないこともできます。

意思表示は、任意だからです。

意思表示欄をよく見ると、「臓器を提供しません」という項目があります。

マイナンバーカード

臓器提供する意思表示も希望しない意思表示もすることができます。

臓器提供する意思表示も希望しない意思表示も、本人の意思表示です。

本人の意思表示が尊重されます。

健康保険証・運転免許証・マイナンバーカードは、身分証明書として提示することがあります。

意思表示の内容を第三者に知られたくないことがあるでしょう。

意思表示欄は、保護シールを貼って人目に触れなくすることができます。

健康保険証・運転免許証・マイナンバーカードに記入することで、臓器提供の意思表示をすることができます。

②インターネットで意思登録

日本臓器移植ネットワークのホームページから臓器提供の意思表示をすることができます。

インターネットで意思登録をしておくと、臓器提供に関する意思が確実に確認することができます。

インターネットで意思登録をすると、意思登録カードが届きます。

臓器提供の意思が変わったら、意思を変更することができます。

意思登録を削除したくなったら、意思登録を削除することができます。

臓器提供に関する本人の意思表示が尊重されるからです。

健康保険証・運転免許証・マイナンバーカードを持ち歩けなくても、インターネットで意思登録をすることができます。

③臓器提供意思表示カードに記入

臓器提供意思表示カード

臓器提供意思表示カードは、次の場所に設置してあります。

・都道府県市区町村役場窓口

・保健所

・運転免許試験場(センター)

・一部のコンビニエンスストア等

入手した臓器提供意思表示カードに記入して携帯します。

臓器提供意思表示カードに記入することで、意思表示をすることができます。

3臓器提供の希望は本人の意思と家族の同意が必要

①本人の意思は尊重される

臓器提供においては、本人の意思が尊重されます。

臓器提供をする意思も臓器提供をしない意思も、本人の意思です。

本人の意思が尊重されます。

本人の意思だけでなく、家族の承諾が必要になります。

本人が臓器提供を拒否している場合、家族が臓器提供をすることはできません。

本人の「臓器を提供しません」という意思が尊重されるからです。

本人の意思が分からない場合、家族が判断します。

本人の意思表示がないまま判断する場合、家族は動揺するでしょう。

臓器提供について家族と話し合って、情報共有をしておくことが大切です。

②親族優先の希望ができる

臓器提供を希望する場合、親族優先提供の希望をすることができます。

親族優先提供を希望の意思表示をしたい場合、「親族優先」と記入します。

親族への優先提供ができるのは、次の条件をすべて満たす場合です。

(1)臓器提供を希望する意思表示に併せて、親族優先提供を書面で表示

(2)親族が移植希望登録をしている

(3)医学的な適合条件に合致している

優先提供がされる親族は、次の人です。

(1)配偶者

配偶者は、法律上の配偶者のみです。

事実婚・内縁の配偶者は、対象外です。

(2)子ども

(3)父母

実の親子だけでなく、特別養子による養親、養子を含みます。

普通養子による養親、養子は、対象外です。

親族が移植希望登録をしていても、医学的適合条件に合わないことがあるでしょう。

対象となる親族がいない場合、親族以外の人に移植が行われます。

優先提供する親族を指名した場合、指名された人を含めた親族全体への優先提供の意思と扱われます。

「〇〇さんにだけしか提供したくない」場合、親族の人を含め提供がされません。

自殺者から親族優先提供は行われません。

臓器提供では、親族優先の希望をすることができます。

③家族の同意がないと臓器提供ができない

臓器提供においては、本人の意思が尊重されます。

本人が臓器提供を拒否している場合、家族が臓器提供をすることはできません。

本人が臓器提供を希望する意思表示をしている場合、最終的に意思決定するのは家族です。

たとえ本人が臓器提供を希望する意思表示をしても、家族が提供しないと判断したら臓器提供をすることはできません。

臓器提供について家族と話し合って、情報共有をしておくことが大切です。

実際の現場では、家族のうち一人でも反対の人がいると臓器提供を断念することになります。

家族の同意がないと、臓器提供ができません。

4遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

遺言書は遺言者の意思を示すことで、家族をトラブルから守るものです。

遺贈とは、遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげるものです。

遺贈は簡単に考えがちですが、思いのほか複雑な制度です。

遺言執行には法的な知識が必要になります。

遺言の効力が発生したときに、遺言執行者からお断りをされてしまう心配があります。

せっかく遺言書を書くのですから、スムーズな手続を実現できるように配慮しましょう。

お互いを思いやり幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

独身者に遺言書作成が重要な理由

2024-10-04

1相続人がいないと財産は国庫帰属

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②絶縁しても絶交しても相続人

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になるかどうかは、法律の定めで決まります。

被相続人と絶縁していても、相続人になるかどうかとは関係ありません。

絶縁していたとか、絶交していたとかいう事情は、法律の定めとは無関係です。

たとえ何十年も音信不通でも、親子は親子です。

何十年も会っていなくても、兄弟姉妹は兄弟姉妹です。

子どもが重大な親不孝をした場合に、親が子どもを勘当にすることがあります。

子どもを勘当にして、絶縁状を作ることがあります。

絶縁状に、法的な効力はありません。

家の敷居をまたぐなとか、お葬式に呼ばないなども法的効力はありません。

生まれる前に父母が離婚したので、一度も被相続人に会ったことがない人もいます。

生まれてから一度も会ったことがなくても、子どもであることには変わりはありません。

③離婚後でも子どもは相続人

現在は独身者であっても、婚姻歴があることがあります。

独身者が離婚するときに、元配偶者が子どもを引き取ることがあります。

離婚時に元配偶者が引き取っても、子どもであることに変わりはありません。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

離婚時に元配偶者が親権を持っていても、子どもは子どものままです。

離婚して元配偶者が子どもを引き取った場合、長年音信不通になることがあります。

長年音信不通であっても、子どもは相続人になります。

父母が離婚しても、子どもは相続人になります。

④相続財産清算人選任の申立てに予納金

相続人になる人は、法律で決まっています。

被相続人が天涯孤独で、相続人になる人がまったくいないことがあります。

相続人になる人がまったくいない場合、相続財産は国庫に帰属します。

何もせずに、国庫に帰属するわけではありません。

被相続人に利害関係がある人がいるかもしれないからです。

例えば、被相続人にお金を貸していた人は、相続財産から返してもらいたいと思うでしょう。

相続財産清算人は、相続財産を清算して国庫に帰属させる人です。

利害関係人からの申立てによって、家庭裁判所が選任します。

お金を貸していた人は家庭裁判所に申立てをして、相続財産清算人を選任してもらうことができます。

相続財産清算人選任の申立てには申立費用、官報掲載費用の他に予納金が必要です。

予納金は、相続財産の管理や相続債権者に対する弁済などの事務負担によって決められます。

一般的な目安は、100万円程度です。

相続財産清算人選任の申立てに、予納金が必要です。

2遺言書作成で遺産分割協議不要

①疎遠な相続人はトラブルになりやすい

被相続人に配偶者がいる場合、配偶者が必ず相続人になります。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人の配偶者と子どもが相続人になる場合、お互いの事情をよく知っているでしょう。

お互いの事情が分かっていれば、思いやることができます。

相続人が被相続人の配偶者と子どもの場合、トラブルになることはあまりありません。

独身者には近い関係の家族が相続人になることは少ないでしょう。

高齢の独身者である場合、親などの直系尊属は先に死亡しているでしょう。

高齢の独身者に相続が発生した場合、相続人は兄弟姉妹になります。

大人になると、連絡を取り合うことも少なくなります。

子どものころは一緒に遊んでいたとしても、お互いの事情が分からなくなります。

兄弟姉妹それぞれに家族があり、それぞれの事情があるでしょう。

兄弟姉妹が先に死亡した場合、兄弟姉妹の子どもが代襲相続します。

兄弟姉妹の子どもと連絡を取り合うのは、より少ないでしょう。

お互いの事情だけでなく、家族の事情も分からなくなるでしょう。

相続人全員が自分の権利を主張して、話し合いがまとまりにくくなります。

関係性のうすい相続人がいる場合、各自が権利を主張をします。

疎遠な相続人がいる場合、トラブルになりやすくなります。

②遺言書で相続人以外の人に遺贈ができる

相続人になる人は、法律で決められています。

法律で決められた人以外の人は、相続人ではありません。

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人以外の人が相続することはできません。

長期間に渡って音信不通になった兄弟姉妹より、お世話になった人に自分の財産を活かしてもらいたい希望があることがあります。

遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。

遺言書なしで遺贈をすることはできません。

お世話になった人に自分の財産を引き継いでもらうために、遺言書を作成することができます。

③兄弟姉妹に遺留分はない

高齢の独身者が死亡した場合、相続人は兄弟姉妹や甥姪になることが多いでしょう。

兄弟姉妹や甥姪は、相続人になっても遺留分はありません。

遺留分とは、一定の相続人に認められた最低限の権利です。

兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

遺留分が認められる相続人を遺留分権利者と言います。

遺言書などで、配分された財産が遺留分に満たないことがあります。

遺留分権利者は、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分侵害額請求がされると、相続人間で深刻なトラブルに発展するでしょう。

兄弟姉妹には、遺留分は認められません。

甥姪が代襲相続人になる場合、引き継ぐべき遺留分はありません。

甥姪には、遺留分がありません。

兄弟姉妹と甥姪には遺留分がないから、遺留分侵害額請求をすることはできません。

遺留分でトラブルになることがないから、自由に財産を配分することができます。

例えば、全財産を慈善団体などに寄付することがあります。

相続人には、財産がまったく配分されません。

たとえ財産がまったく配分されなかったとしても、兄弟姉妹や甥姪は文句を言うことはできません。

兄弟姉妹や甥姪には、遺留分がないからです。

3遺言書作成で相続手続がラクになる

①準備する戸籍謄本が少なく済む

兄弟姉妹が相続人になる場合、準備する戸籍謄本がたくさんになります。

兄弟姉妹が相続人になる場合とは、子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属がいない場合です。

被相続人に子どもがいないことは、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本で証明することができます。

親などの直系尊属がいないことは、親などの直系尊属の死亡の戸籍謄本で証明することができます。

相続人になる兄弟姉妹は、父母両方が同じ兄弟姉妹だけではありません。

父だけが同じ兄弟姉妹、母だけが同じ兄弟姉妹を含みます。

父の子ども全員と母の子ども全員が相続人になる兄弟姉妹です。

父の子ども全員を証明するため、父の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要です。

母の子ども全員を証明するため、母の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要です。

相続人を確定するためには、大量の戸籍謄本を準備する必要があります。

戸籍謄本の取り寄せは、相続手続の最初の難関です。

遺言書を作成した場合、相続人を確定する必要はありません。

遺言者の死亡を確認する戸籍謄本と財産を受け取る人の戸籍謄本のみ準備します。

遺言書を作成した場合、準備する戸籍謄本は少なく済みます。

②遺言執行者に相続手続はおまかせできる

遺言書は、作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書の内容を実現するため必要な権限が与えられます。

遺言執行者がいない場合、遺言書の内容は相続人全員の協力で実現します。

相続人全員が遺言書の内容に納得していれば、協力してくれるかもしれません。

相続人の中には、遺言書の内容に不満を持っていることがあります。

不満を持つ相続人は、遺言書の内容の実現に協力してくれないでしょう。

遺言書の内容に不満はなくても、仕事や家事で忙しいことがあります。

協力する気持ちはあっても、先延ばししがちになるでしょう。

相続手続は、相続以上にわずらわしいものです。

わずらわしい相続手続を負担することで、相続人がトラブルになることがあります。

遺言書を作成するときに、遺言執行者を指名することができます。

遺言執行者がいれば、わずらわしい相続手続をおまかせすることができます。

面倒で手間のかかる相続手続は遺言執行者がやってくれるので、相続人は待っているだけで済みます。

財産を受け取るだけだから、相続人のトラブルを減らすことができます。

遺言執行者がいると、相続手続はおまかせすることができます。

4公正証書遺言がおすすめ

①公正証書遺言は安心確実

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作成することがほとんどです。

自筆証書遺言は、自分で書いて作る遺言書です。

公正証書遺言は、遺言内容を公証人が取りまとめて作る遺言書です。

証人2人に確認してもらって作ります。

遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。

書き方ルールに違反すると、遺言書が無効になります。

遺言者は、法律の勉強をしたことがないでしょう。

公証人は、法律の専門家です。

書き方ルールの違反で遺言書が無効になることは、考えられません。

公正証書遺言は書き方ルールに違反することはあり得ないから、安心確実です。

公正証書遺言を作成したら、遺言書原本は公証役場で厳重保管されます。

相続人などが偽造や変造することはできないし、紛失することもありません。

相続人などが偽造や変造を疑われて、トラブルに巻き込まれることもありません。

公正証書遺言は公証役場で厳重保管されるから、安心確実です。

②認知症を疑われない元気なときに作成

遺言書を作成するのは、高齢者のイメージがあるかもしれません。

遺言書を作成するのであれば、若い元気なうちがおすすめです。

高齢者になると、認知症になるリスクが高まるからです。

重度の認知症などで物事のメリットデメリットを充分に判断できない状態では、遺言書を作成することができません。

遺言書のつもりで作成しても、無効になるでしょう。

公正証書遺言を作成する場合、公証人が遺言者の意思確認をします。

認知症であると判断されたら、遺言書を作成してもらえません。

公正証書遺言は、信用が高い遺言書と言えます。

遺言書に効力が発生するのは、遺言者が死亡したときです。

遺言書の内容に相続人が不満を持ったとき、遺言書は無効だと主張するでしょう。

遺言者は重度の認知症だったから遺言書は無効と、主張するでしょう。

遺言者は死亡しているから、反論することはできません。

相続人間で、大きなトラブルに発展するでしょう。

遺言書は、認知症を疑われないように元気なときに作成するのがおすすめです。

5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

実は、民法に遺言書を作ることができるのは15歳以上と定められています。

死期が迫ってから、書くものではありません。

遺言書はいつか書くものではなく、すぐに書くものです。

遺言書は遺言者の意思を示すことで、家族をトラブルから守るものです。

独身者の場合、遺言書の威力は大きいものです。

遺言書があることで、トラブルから守られます。

お互いを思いやり幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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