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現金を相続するときの注意点

2024-05-10

1現金は相続財産

①現金は遺産分割の対象

相続が発生したら、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

被相続人が手元に現金を残したまま死亡した場合、現金は相続財産です。

相続人全員の共有財産になるから、一部の相続人が勝手に取得することはできません。

現金は、遺産分割の対象です。

②相続財産の分け方は相続人全員の合意で決定

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

現金は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

不動産や預貯金などと同様に、現金の分け方を決めるためには、相続人全員の合意が必要です。

③遺産分割協議書は相続人全員の合意の証明

相続財産の分け方を決めるための相続人全員の話し合いを遺産分割協議と言います。

遺産分割協議で相続財産の分け方について合意ができた場合、相続人全員の合意内容を文書に取りまとめます。

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容を取りまとめた文書です。

相続人全員に内容を確認してもらって記名し実印で押印してもらいます。

遺産分割協議書の押印が実印による押印であることを証明するため、印鑑証明書を添付します。

相続人全員の記名押印は、遺産分割協議書に間違いがないことの証明です。

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。

遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書で、相続人全員の合意内容を客観的に証明することができます。

④現金を黙っていると使い込みトラブル

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

一部の相続人が勝手に取得することはできません。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があるからです。

自宅などに現金が保管されていた場合、相続人で情報共有することが大切です。

他の相続人に何も言わないと、使い込みトラブルになるおそれがあります。

現金は、存在や金額が客観的に分かりにくいと言えます。

預貯金は、入出金履歴を金融機関に照会することができます。

現金の存在を他の相続人が知らなかったら、遺産分割の対象から外すことができてしまいます。

もちろん、相続財産は相続人全員の共有財産です。

現金を隠したり勝手に取得する行為は、刑法上の横領や窃盗になるおそれがあります。

使い込みをしていなくても、相続人が疑心暗鬼になるとトラブルになります。

被相続人の現金を見つけた場合、相続人間で情報共有することが重要です。

2現金を相続するメリット

①現金の相続は名義変更が不要

現金の相続では、名義変更手続は不要です。

銀行などの預貯金は、現金ではありません。

預貯金の相続では、相続手続が必要です。

銀行などの預貯金は、銀行から預貯金を引き出す権利だからです。

銀行から預貯金を引き出す権利をだれが相続するのか、相続人全員で合意する必要があります。

現金を相続する場合も、現金をだれが相続するのか相続人全員で合意する必要があります。

現金であっても銀行の預貯金であっても、相続人全員の合意で分け方を決める必要があります。

相続人全員の合意ができれば、すぐに現金を取得することができます。

相続人全員の合意ができるまで、一部の相続人が勝手に使うことはできません。

現金は名義変更手続が不要である点がメリットです。

②現金はすぐに使うことができる

現金の相続では、名義変更手続は不要です。

遺産分割協議ができれば、すぐに取得することができます。

例えば、不動産を相続した場合、相続登記をする必要があります。

売却してお金で分けたいと合意しても、思うようにいかないことが多いでしょう。

相続人全員が納得するような値が付かないことがあります。

売却することに納得できても、時期がよくないと考えるかもしれません。

現金はすぐに使うことができる点がメリットです。

③公平に分けやすい

相続財産には、いろいろな種類の財産があることが通常です。

現金や預貯金は、分けやすい財産です。

不動産は、分けにくい財産の代表です。

相続財産の大部分が不動産であることがあります。

相続財産の分け方について、相続人全員の合意は難航しがちです。

不動産は、分けにくい財産だからです。

相続財産の分け方は、次の方法があります。

(1)現物分割

(2)換価分割

(3)代償分割

(4)共有

(5)用益権設定による分割

どの方法にも、メリットデメリットがあります。

不動産は、公平に分けることが難しいものです。

現金や預貯金は、1円単位まで簡単に分けることができます。

現金は公平に分けることができる点がメリットです。

④遺留分侵害額請求などに対応しやすい

被相続人は、原則として、自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。

財産は被相続人が1人で築いたものではないでしょう。

家族の協力があってこそ、築くことができた財産のはずです。

被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすることはできません。

今まで協力してきた家族に、酷な結果となることがあるからです。

被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。

相続財産に対して、認められる最低限の権利のことを遺留分と言います。

分配を受けた財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分を侵害した人は、遺留分侵害額請求を拒否することはできません。

遺留分侵害額請求は、遺留分に相当する金銭を請求します。

原則として、すぐに現金で支払いをしなければなりません。

現金を相続した場合、遺留分侵害額請求に対応しやすいでしょう。

現金は遺留分侵害額請求などに対応しやすい点がメリットです。

3現金を相続したときの相続税

①相続税がかかるのは基礎控除額を超えたとき

資産家や有名人が死亡した後に、多額の相続税を納付した話を聞くことがあります。

高額な相続税を想像して、不安になるかもしれません。

相続税がかかるのは、相続財産が基礎控除額を超えたときのみです。

基礎控除額は、次の計算式で求められます。

基礎控除額=3000万円+600万円×相続人の人数

相続財産が基礎控除額に収まっていれば、相続税はかかりません。

相続税の申告をしなければならない人は、実際のところ10%にも満たないわずかな人です。

相続税の申告が必要なだけで、納税は必要ない人もたくさんいます。

相続税がかかるのは、基礎控除額を超えたときのみです。

②配偶者には相続税がほとんどかからない

相続税には、配偶者控除があります。

相続税の配偶者控除は、次のうちいずれか大きい方です。

・1億6000万円

・法定相続分

相続人が配偶者のみである場合、配偶者はすべての財産を相続します。

すべての財産が配偶者控除の対象です。

配偶者は、手厚く保護されています。

配偶者控除を適用すると、配偶者が相続税を納めることは稀です。

配偶者には、相続税がほとんどかかりません。

③現金は相続税対策がしにくい

相続税の対象額は、対象となる相続財産を評価して計算します。

現金を相続する場合、額面そのままの評価額です。

不動産を相続する場合、購入額より低い評価額になることが多いでしょう。

土地の相続税評価額は、時価の80%程度が多いです。

建物の相続税評価額は、時価の70%程度が多いです。

不動産には、相続税を少なくする特例や控除が複数設けられています。

不動産を相続する場合、相続税対策がしやすいと言えます。

現金には、相続税を少なくする特例や控除がありません。

現金を相続する場合、相続税対策がしにくいと言えます。

④自宅で現金が見つかったら

遺品整理をしていると、金庫や家具などから手許現金が見つかることがあります。

被相続人の現金であれば、相続財産です。

相続税の申告が必要な財産規模である場合、手許現金は申告する必要があります。

手許現金は、有無が分かりにくい財産です。

相続税申告をした後に、多額の現金が見つかることがあります。

申告すべき財産を見つけた場合、すぐに修正申告をする必要があります。

自主的に修正申告をした場合、加算税が免除されます。

税務調査などで指摘された後に修正申告をする場合、延滞税や過少申告加算税が課されます。

意図的な財産隠しと認められる場合、さらに重加算税が課されます。

自宅で現金が見つかったら、ただちに修正申告が必要です。

4遺産分割協議証明書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書と遺産分割協議証明書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

前提として、話し合いによる合意ができていなければ、文書にできません。

話し合いによる合意を適切に文書にする必要があります。

書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。

せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続人が生死不明なら失踪宣告

2024-05-09

1遺産分割協議は相続人全員で

相続が発生した後、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産を分けるためには、相続人全員の合意が必要になります。

相続人調査をすると、ときには思いもよらない相続人が判明することがあります。

相続人であることを知っていても、連絡を取ったことがない人が現れることがあります。

相当長期間、行方不明で親族のだれとも連絡を取れていない場合など、死亡の可能性が高い場合があります。

このような場合であっても、相続財産の分け方は、相続人全員での合意しなければなりません。

連絡が取れないからと言って、一部の相続人を含めないで遺産分割協議をしても無効です。

銀行などの金融機関は口座の解約や名義変更に応じてくれないし、法務局も不動産の名義変更に応じてくれません。

被相続人と音信不通だったからとか、お葬式にも来ていないのにという気持ちは分かりますが、相続財産の分け方は相続人全員で合意する必要があるのです。

2失踪宣告とは

①失踪宣告がされると行方不明の人は死亡と見なされる

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

死亡した取り扱いをしますから、失踪宣告がされた人に相続が発生します。

失踪宣告には、普通失踪と特別失踪の2種類があります。

②普通失踪とは

普通失踪とは、行方不明の人について7年間生死不明の場合、申立てができるものです。

普通失踪の申立てをした場合、失踪宣告がされるまでおよそ3か月以上かかります。

家庭裁判所の状況や事件の内容によっては、1年ほどかかる場合もあります。

生死不明になってから7年間経過したときに、死亡したものと見なされます。

③特別失踪(危難失踪)

特別失踪とは、「戦地に行った者」「沈没した船舶に乗っていた者」「その他死亡の原因となる災難に遭遇した者」について、危難が去ってから1年間生死不明の場合、申立てができるものです。

特別失踪の申立てをした場合、失踪宣告がされるまでおよそ1か月以上かかります。

危難が去ったときに、死亡したものと見なされます。

④失踪宣告後生きていることが分かったら失踪宣告の取消

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ生きていても死亡した取り扱いがされます。

行方不明の人に失踪宣告がされた後、本人が帰ってくることがあります。

失踪宣告がされた後、生きていることが分かった場合、失踪宣告を取り消してもらいます。

失踪宣告した日と違う日に死亡していたことが判明する場合があります。

失踪宣告がされた後、失踪宣告した日と違う日に死亡していたことが分かった場合、失踪宣告を取り消してもらいます。

失踪宣告をするときも失踪宣告を取り消すときも、家庭裁判所の関与が必要です。

失踪宣告は、死亡したと扱う重大な手続だからです。

3失踪宣告の申立ての手続方法

①失踪宣告の申立てができる人

(1)行方不明の人の配偶者

(2)相続人にあたる人

(3)債権者などの利害関係人

不在者財産管理人選任の申立ては、検察官が申立てをすることができます。

失踪宣告の申立ては、検察官は申立てすることができません。

失踪宣告は、死亡した取り扱いをするという強力な効果があります。

行方不明の人の帰りを待つ家族の心情に配慮したためです。

②失踪宣告の申立先

失踪宣告の申立先は、行方不明の人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は裁判所のホームページで調べることができます。

③失踪宣告の申立ての添付書類

失踪宣告の申立書に添付する書類は以下のとおりです。

(1)行方不明の人の戸籍謄本

(2)行方不明の人の戸籍の附票

(3)行方不明であることが分かる資料

(4)利害関係の分かる資料

4失踪宣告の手続の流れ

①家庭裁判所が失踪の調査をする

家庭裁判所は、申立書を受け付けた後、独自で調査をします。

申立人にいろいろな書類の提出を求めたり、文書で照会したりします。

ときには、家庭裁判所から呼出がある場合もあります。

②公示催告をする

家庭裁判所は、官報と裁判所の掲示板にお知らせを出します。

お知らせは、以下の内容です。

・失踪宣告の申立てが出されています。

・本人は生きていますと届出を出してください。

・本人の生死を知っている人はその旨届出をしてください。

官報と裁判所の掲示板に出すお知らせの期間は、普通失踪の場合で3か月以上です。

特別失踪の場合で1か月以上です。

③審判

官報と裁判所の掲示板に出すお知らせの期間中に、だれからも届出がなければ家庭裁判所は失踪宣告の審判をします。

④審判の確定

家庭裁判所が審判をした後に、不服を言う人がいなければ失踪宣告の審判は確定します。

家庭裁判所が審判をした後に不服を言うことができる期間は、2週間です。

失踪宣告の審判がされた後、なにごともなく2週間経過すると失踪宣告の審判は確定します。

失踪宣告が確定した場合、家庭裁判所はあらためて官報にお知らせを出します。

このお知らせは「失踪宣告がされました」という意味です。

⑤審判の確定証明書の取得

失踪宣告の審判がされたら、家庭裁判所から審判書謄本が送付されます。

審判書が届いても、審判が確定するわけではありません。

失踪宣告の審判がされた後、2週間は不服を言う人が現れるかもしれないからです。

なにごともなく2週間経過すると失踪宣告の審判は確定します。

確定しても何も連絡はありません。

2週間経過後に家庭裁判所に申請をして、確定証明書を取得します。

確定証明書の請求は、家庭裁判所に出向いて手続をすることもできるし、郵送で手続をすることもできます。

⑥失踪届を提出する

失踪宣告の審判が確定した後でも、家庭裁判所から市区町村役場に連絡がされることはありません。

審判が確定した後、審判書謄本と確定証明書を添えて10日以内に市区町村役場に届出が必要です。

⑦戸籍に失踪宣告が記載される

市区町村役場に届出をして、はじめて戸籍に記載がされます。

相続手続では、失踪宣告の記載のある戸籍が必要になりますから、届出をしないと相続手続が進まなくなります。

戸籍には次のように記載されます。

【死亡とみなされる日】令和〇年〇月〇日

【失踪宣告の裁判確定日】令和〇年〇月〇日

【届出日】令和〇年〇月〇日

【届出人】親族 ○○○○

5失踪宣告されたら相続が開始する

失踪宣告されたら、行方不明の人は死亡した取り扱いをします。

失踪宣告された人は、死亡した取り扱いなので相続が開始します。

失踪宣告された人を被相続人として相続手続をします。

相続が発生する日は、死亡とみなされる日です。

失踪宣告の申立てをした日ではありません。

だれが相続人になるのかよく確認して手続を進めましょう。

6行方不明の相続人に失踪宣告がされたら

①被相続人の死亡日より前に死亡と見なされたら代襲相続

失踪宣告により死亡と見なされる日は、失踪宣告の申立日ではありません。

普通失踪であれば、生死不明になってから7年間経過したときです。

特別失踪であれば、危難が去ったときです。

相当長期間、行方不明になっていた後に失踪宣告がされる場合があります。

行方不明の相続人に失踪宣告がされた場合、被相続人の死亡日より前に死亡と見なされることがあります。

失踪宣告により死亡と見なされる日は、失踪宣告の申立日ではないからです。

被相続人の死亡日より前に死亡と見なされる場合、代襲相続が発生します。

相続手続に参加するのは、失踪宣告がされた人の子どもなど代襲相続人です。

②被相続人の死亡日より後に死亡と見なされたら数次相続

行方不明の相続人に失踪宣告がされた場合、被相続人の死亡日より後に死亡と見なされることがあります。

被相続人の死亡日より後に死亡と見なされる場合、代襲相続が発生しません。

被相続人の死亡日より後に死亡と見なされる場合、数次相続になります。

数次相続が発生した場合、失踪宣告された人の相続人が相続します。

代襲相続ではないから、直系卑属に限られません。

死亡と見なされる日が被相続人の死亡日の前になるのか後になるのかよく確認しましょう。

失踪宣告がされた人の相続人を確定するために、死亡とみなされた日は重要です。

相続手続に参加する人を間違えると手続が無効になりかねません。

7遺言書があれば遺産分割協議は不要

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

何も対策していなかったら、相続人全員で相続財産の分け方についての合意が不可欠です。

相続人の中に、疎遠な人や行方不明の人がいる場合、残されたれた相続人は大変な負担を負うことになります。

遺産分割協議はそうでなくても、トラブルになりやすい手続です。

対策しておけば、遺産分割協議を不要にすることができます。

この対策は、遺言書を書いておくことです。

遺言書があれば、相続財産の分け方について、相続人全員の合意は不要になります。

相続人に行方不明の人がいても、いなくても、遺言書のとおり分ければいいからです。

遺言書は隠匿や改ざんのおそれのない公正証書遺言がおすすめです。

8生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

失踪宣告の申立ては、家庭裁判所に手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続を投げ出して知識のない遺族を困らせます。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。

税金の専門家なども対応できないでしょう。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続した不動産を共有名義にするデメリット

2024-05-06

1相続した不動産を分割する方法

方法①現物分割

相続財産には、いろいろな財産が含まれていることが一般的です。

不動産は、分けにくい財産の代表例です。

現物分割とは、現物の不動産を相続人の人数で分割する方法です。

現物の不動産を分割することは、広大な土地でないと実現できません

極端に小さな土地は、使い勝手が悪くなります。

価値も下がってしまうでしょう。

あまり現実的ではないかもしれません。

方法②代償分割

代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続し、残りの相続人は不動産を相続した人から代償金を受け取る方法です。

現物の不動産を分割しないので、価値が下がることはありません。

不動産を相続する人は、他の相続人に代償金を支払う必要があります。

相続財産の大部分が不動産であることがあります。

価値の高い不動産である場合、他の相続人に支払う代償金が高額になります。

不動産を相続する人が代償金を準備できないかもしれません。

不動産をいくらと考えるのかについて、基準はいくつかあります。

代償金を支払う人は、不動産の値段が低い基準を採用した方が有利です。

支払う代償金が少なくなるからです。

代償金を受け取る人は、不動産の値段が高い基準を採用した方が有利です。

受け取る代償金が多くなるからです。

代償金を決めるとき、どの基準を採用するのか話し合いがまとまらないことがあります。

方法③換価分割

換価分割とは、不動産を売却してお金に換えた後にお金を分ける方法です。

不動産を実際に売却してお金に換えてから分けるので、不動産の値段をいくらと考えるのかで話し合いをする必要はありません。

被相続人が守ってきた財産を手放すことに、罪悪感があるかもしれません。

合理的な方法であっても相続人の感情面から話し合いがつかなくなるおそれがあります。

不動産を売却するつもりであっても、買い手がつかないかもしれません。

売却できるまで相続手続が長引くおそれがあります。

方法④共有

相続人全員で相続財産の分け方について話し合いによる合意ができない場合、共有が選ばれることもあります。

最も公平に見えるからです。

共有は弊害が多く、安易に共有にする方法はもっとも避けるべきです。

共有にした場合、全員の同意がなければ売却することはできません。

共有の不便を解消するため、後々、共有物分割をしようという話になります。

結局のところ、問題の先送りになるだけです。

相続トラブルが長期化しますから、家族の絆が壊されてしまいます。

方法⑤用益権の設定による分割

用益権とは、不動産を自分で使ったり、人に貸して賃料を得たりする権利のことです。

配偶者居住権は、用益権のひとつです。

一部の相続人に使う権利を設定して、他の相続人が使う権利のない所有権を相続する方法です。

家族が守ってきた不動産を手放すことなく相続ができます。

相続人のうち、だれが使う権利を得るのかで、使う権利のない所有権をだれが相続するのかで話し合いがまとまらないおそれがあります。

2相続した不動産を共有名義にするデメリット

デメリット①共有物を処分するには共有者全員の合意が必要

相続が発生した後、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続人のひとりが勝手に処分することはできません。

共有財産は、共有している人全員が合意しないと、処分ができないからです。

相続財産の分け方を「共有する」と決めた後も、同じです。

共有財産は、共有している人全員が合意しないと、処分はできません。

処分するとは、共有物を売却する、第三者に賃貸することなどです。

たくさんの人で共有していると合意がまとまりにくくなります。

売却したい人も賃貸したい人もいるでしょう。

売却するのはいいが時期が良くないと思う人もいるでしょう。

もっと高値で売れるはずだという人もいるでしょう。

賃貸するのはいいが賃貸条件が合意できない人もいるでしょう。

合意できる場合でも、合意するために時間がかかりがちになります。

売却したいという場合でも、合意に時間がかかるとチャンスを逃すことになります。

親族同士であっても共有物の管理方針が違うと、共有者の意見対立が起きやすくなります。

売却する場合も、売却時の重要事項説明や売買契約の締結など共有者全員が手続に参加する必要があります。

遠方に住んでいる共有者には時間と手間がかかります。

共有者がたくさんいると、だれか一人が認知症などになるかもしれません。

認知症などで判断能力が低下する人が現れる確率も上がります。

物事のメリットデメリットを充分に判断できない人は、売却などの合意はできません。

後見人を選んでもらって代わりに判断してもらうことになります。

デメリット②共有者に相続が発生する

共有物を売却するためには、共有者全員の合意が必要になります。

共有者全員の合意がしにくくなると、売却などの判断は先延ばししがちです。

先延ばしにより長期間経過すると、共有者に相続が発生することがあります。

共有者に相続が発生すると、共有者の持分は相続財産になります。

共有者の相続人全員の相続財産になります。

共有者の管理方針が違うことで適切な管理ができない共有物を相続したがらないかもしれません。

このとき、死亡した共有者の共有持分を、複数の相続人が法定相続分で細分化して共有することがあります。

このような相続が何人もの共有者の間で発生すると、共有者がたくさんになり、持分が細分化されます。

適切に相続登記がされないと、だれにどれだけの持分があるのか分からなくなります。

共有者が増えると、共有者同士が顔も見たことない見知らぬ人であることが多くなります。

単純に、たくさんの人で管理や処分の合意をすることは難しいものです。

それが顔も見たことない見知らぬ人である場合、一挙に難易度は上がります。

見知らぬ人何十人もの合意は、現実的には無理でしょう。

共有物の処分は、共有者全員の合意が必要です。

1人でも反対の人がいると、処分はできません。

共有物を売却するには、1人でも反対の人がいると、できないのです。

見知らぬ人何十人で共有すると、共有物の賃貸や売却は、事実上、できなくなります。

デメリット③共有持分を売却するおそれ

共有物全体を売却するためには共有者全員の合意が必要です。

それぞれの共有者が持っている共有持分を売却するためには、他の共有者の合意は不要です。

あまり知られていませんが、共有者が持っている共有持分を買い取る業者がいます。

ひょっとすると、経済的に困っている共有者がいる場合、共有持分を売却してしまうかもしれません。

通常、市場価格よりはるかに低廉な価格でしか売れません。

共有持分を買い取る業者はビジネスですから、遠慮なく共有者としての権利を主張してきます。

共有持分買取請求や共有物分割請求などです。

話し合いで解決できなければ、当然、裁判所に持ち込まれることになるでしょう。

知識のない一般の人では対応できません。

弁護士に依頼することになるでしょう。

3共有を避ける方法

相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続をすることになります。

相続は、何度も経験するものではありません。

どの手続も不慣れで、スムーズに行かないものばかりです。

相続財産の分け方について、相続人全員による話し合いで合意をしなければなりません。

不慣れな手続で疲れが出ていると、丁寧な話し合いは面倒になります。

共有名義にする方法は、とりあえず平等に見えます。

安易に法定相続分で共有するという選択をしてしまうケースが目立ちます。

いったん名義変更をしてしまうと、さらに変更するのは手間も時間も余計にかかります。

共有は、デメリットが大きいのものです。

被相続人が健在なら、家族で今後不動産をどうしていきたいか全員で明確にしましょう。

どの不動産をだれに相続させるか遺言を書くといいでしょう。

共有名義にしてしまってから対策するより、共有名義にしないように対策する方がはるかに簡単ではるかに有効です。

税金の専門家からは、売却する場合に売却益にかかる3000万円の特別控除を共有者の数だけ受けられるから非常に有利などと安易な共有をすすめられます。

相続税の申告までに遺産分割協議を終わらせられる点を大きなメリットとして強調して、共有を強くすすめられるでしょう。

解決を先延ばしすること以外にメリットはわずかしかありません。

デメリットは、家族が引き受けることになります。

デメリットの大きさを十分理解して相続人全員が今後どうしていきたいか明確にしておくことが重要です。

何も決まっていない状態で、とりあえず法定相続で共有は避けるべきです。

小さなメリットに惑わされて、面倒を先延ばしする必要はありません。

相続財産の分け方について相続人全員が合意をする場合、名義変更をした後さらに変更するのは難しいこと、共有にはデメリットが多いことを相続人全員が理解しておく必要があります。

4遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

前提として、話し合いによる合意ができていなければ、文書にできません。

遺産分割協議書があるとトラブル防止になりますが、後々のトラブルが見えていないと、単なる問題の先送りになります。

不動産の共有はその最たるものでしょう。

安易に共有を選ぶと後々トラブルに巻き込まれます。

共有にすることで今後どのような問題が発生するのか、自分達だけではそのリスクは見えにくいかもしれません。

司法書士はこのようなリスクの説明もします。

適切な遺産分割協議書を作り、家族のトラブルを避けたい方は、司法書士などの専門家にサポートを依頼することをおすすめします。

5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は被相続人の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

法律で決まっているから法定相続の共有にすればよい。

家族が仲がいいから、好きなように分ければいい。

言い訳をして、遺言書作成を先延ばししている方も多いものです。

遺言書があることでトラブルになるのは、ごく稀なケースです。

遺言書がないからトラブルになるのはたくさんあります。

遺言書1枚あれば、相続手続は格段にラクになります。

家族を幸せにするために遺言書を作ると考えましょう。

実際、家族の絆のためには遺言書が必要だと納得した方は遺言書を作成します。

家族の喜ぶ顔のためにやるべきことはやったと安心される方はどなたも晴れやかなお顔です。

家族の幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

墓地の相続登記

2024-05-01

1相続財産にならない財産がある

①一身専属権は相続財産ではない

相続が発生すると、被相続人のものは相続人が相続します。

相続人が相続する財産が相続財産です。

被相続人のものでも、相続人が相続しない財産があります。

一身専属権とは、その人個人しか持つことができない権利や資格のことです。

権利行使をするかしないか、本来の権利者個人の意思次第とするのが適当とされる権利です。

一身専属権は、相続人が相続しません。

一身専属権は、相続財産ではありません。

②祭祀用財産は相続財産ではない

祭祀用財産とは、墓地、墓石、仏壇、家系図などの先祖祭祀のための財産です。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産は、相続人全員の合意で分け方を決めます。

墓地、墓石、仏壇、家系図などの財産は、通常の財産と同様にすることはできません。

相続人全員の合意で分け方を決めることは、適切ではないでしょう。

祭祀用財産は、祭祀を主宰すべき人が受け継ぎます。

祭祀を主宰すべき人を、祭祀承継者と言います。

祭祀用財産は、相続財産ではありません。

③相続人固有の財産は相続財産ではない

被相続人の死亡をきっかけに、相続が発生します。

被相続人の死亡をきっかけに、財産を受け取ることがあります。

被相続人の死亡をきっかけに受け取る財産には、相続で受け取る財産以外の財産があります。

例えば、被相続人に生命保険がかけてある場合、死亡保険金が支払われます。

生命保険の死亡保険金は、保険契約で支払われる財産です。

被相続人の生前に死亡保険金を受け取る権利はなかったはずです。

被相続人から相続する財産ではありません。

生命保険の死亡保険金は、受取人の固有の財産です。

受取人が「相続人」であっても、相続財産ではありません。

相続人固有の財産は、相続財産ではありません。

2墓地を所有していたら相続登記が必要

①登記簿謄本で所有者を確認する

被相続人がお墓を購入していることがあります。

被相続人が寺院の檀家になっていて、お墓を引き継いでいることがあるでしょう。

墓地を所有していた場合、相続登記が必要です。

墓地を所有しているのは、寺院や地方自治体であることがあります。

寺院や地方自治体が墓地を所有している場合、墓地を利用する契約をしているでしょう。

墓地を所有していない場合、相続登記は不要です。

墓地の登記簿謄本を取得すると、所有者が判明します。

登記簿謄本を取得して所有者を確認すると、相続登記が必要であるか確認することができます。

②墓地が祭祀用財産なら祭祀承継者が受け継ぐ

祭祀用財産は、祭祀承継者が受け継ぎます。

祭祀承継者は、相続人であることも相続人以外の人であることもあります。

祭祀用財産は、相続人以外の人が受け継ぐことができます。

祭祀用財産は、相続によって受け継ぐものではないからです。

墓地が祭祀用財産の場合、祭祀承継者が受け継ぎます。

③墓地が相続財産なら相続人が相続する

墓地には、祭祀用財産である墓地と相続財産である墓地があります。

祭祀用財産は、先祖祭祀のための財産です。

墓地には、先祖以外の人や神が祀られていることがあります。

先祖以外の人や神が祀られている場合、祭祀用財産とは言えません。

先祖祭祀とは、無関係だからです。

祭祀用財産以外の財産だから、相続財産になります。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

墓地が相続財産の場合、相続人が相続します。

④永代使用権は相続登記不要

お墓を購入した場合、墓地の所有権を得たと思うかもしれません。

通常、霊園には管理規約があります。

お墓を購入するとは、霊園と使用契約を結ぶことです。

霊園の区画を使う権利を得て、使用料や管理料を支払います。

霊園の区画を使う権利のことを永代使用権とか墓地利用権と言います。

永代使用権や墓地利用権は、墓地を利用する権利に過ぎません。

永代使用権や墓地利用権は、登記不要です。

永代使用権や墓地利用権は、霊園の管理規約に基づいて家族が引き継ぎます。

霊園の管理規約によっては、一定の範囲の親族のみが受け継ぐことができると決められています。

墓地の永代使用権は、相続登記不要です。

3墓地が祭祀用財産のときの相続登記

①登記原因は「年月日民法第897条による承継」

祭祀用財産は、祭祀承継者が受け継ぎます。

祭祀承継者が引き継ぐことは、民法第897条によって定められています。

祭祀承継者が墓地を引き継ぐ場合、登記原因は「年月日民法第897条による承継」です。

年月日は、祭祀用財産を引き継ぐ日です。

②相続人全員と祭祀承継者で共同申請

墓地を祭祀承継者に引き継ぐ場合、相続人全員と祭祀承継者の共同申請です。

祭祀承継者を登記権利者、相続人全員を登記義務者として共同で申請します。

祭祀承継者は、遺言書で指名されることがあります。

遺言書で遺言執行者が選任されている場合、遺言執行者が義務者になります。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人だからです。

相続人全員と祭祀承継者が共同申請をする場合、登記申請書に押印をします。

登記申請書の押印は、祭祀承継者は認印による押印で差し支えありません。

相続人全員の押印は、実印による押印が必要です。

相続人全員の押印は、登記義務者の押印だからです。

③必要書類

祭祀用財産の相続登記をする場合、次の書類が必要です。

(1)登記原因証明情報

(2)被相続人の権利証

(3)相続人全員の印鑑証明書

(4)祭祀承継者の住民票

登記原因証明情報は、祭祀用財産の承継があったことの証明書です。

祭祀承継者の決定方法によって、次のような書類を提出します。

(1)被相続人が指定したとき

遺言書、相続人全員による指定内容の証明書

(2)慣習で決まったとき

相続人全員による祭祀承継者を確認した証明書

(3)家庭裁判所が指定したとき

調停調書、審判書と確定証明書

墓地が祭祀用財産である場合、祭祀用財産であることを証明する書類は不要です。

登記官の審査は、形式的審査にとどまるからです。

④登録免許税は非課税

墓地の登記簿謄本を取得すると、地目を確認することができます。

地目が「墓地」である土地は、登録免許税が課されません。

所有権移転登記だけでなく、登記名義人住所変更登記も非課税です。

登録免許税が課されない場合、登記申請書に根拠となる法律の規定を記載する必要があります。

「墓地」である土地の場合、「登録免許税法第5条第10号により非課税」と記載します。

登記地目が墓地であっても、評価証明書などで現況が雑種地になっていることがあります。

登記地目が「墓地」である場合、登録免許税が課されません。

逆に、登記地目が雑種地であっても、評価証明書などで現況が墓地になっていることがあります。

登記地目が「墓地」でない場合、登録免許税が課されます。

4墓地が相続財産のときの相続登記

①登記原因は相続

相続財産は、相続人が相続します。

対象の財産が墓地であっても墓地以外の財産であっても、ちがいはありません。

相続人が墓地を引き継ぐ場合、登記原因は「年月日相続」です。

年月日は、被相続人が死亡した日です。

②相続人が単独申請

墓地を相続人が引き継ぐ場合、相続人の単独申請です。

多くの場合、複数の相続人がいるものの遺産分割協議で相続人のひとりが相続するでしょう。

相続登記は、その不動産を相続する相続人が単独で申請することができます。

財産を相続しない相続人は、申請人になる必要がありません。

相続財産の相続登記する場合、登記申請書に押印をします。

登記申請書の押印は、認印による押印で差し支えありません。

③必要書類

相続財産の相続登記をする場合、次の書類が必要です。

(1)被相続人の住民票の除票

(2)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

(3)相続人全員の現在戸籍

(4)遺産分割協議書

(5)相続人全員の印鑑証明書

(6)相続する人の住民票

(7)評価証明書

④登録免許税は非課税

墓地の登記簿謄本を取得すると、地目を確認することができます。

地目が「墓地」である土地は、登録免許税が課されません。

所有権移転登記だけでなく、登記名義人住所変更登記も非課税です。

登録免許税が課されない場合、登記申請書に根拠となる法律の規定を記載する必要があります。

「墓地」である土地の場合、「登録免許税法第5条第10号により非課税」と記載します。

登記地目が墓地であっても、評価証明書などで現況が雑種地になっていることがあります。

登記地目が「墓地」である場合、登録免許税が課されません。

逆に、登記地目が雑種地であっても、評価証明書などで現況が墓地になっていることがあります。

登記地目が「墓地」でない場合、登録免許税が課されます。

5相続放棄をしても祭祀承継者

①祭祀承継者の主な役割

祭祀承継者は、先祖祭祀を主宰する人です。

先祖祭祀を主宰する人として、お墓や仏壇などの管理が主な役割です。

定期的なお墓参りの他に、霊園への管理料や使用料の支払を負担します。

お墓にだれの遺骨を納めるか、お墓を移転するかなども単独で判断することができます。

祭祀承継者になった場合、一周忌などの法要を主宰して、お布施などの支払をすることになるでしょう。

祭祀承継者になった場合であっても、祭祀を行う法的義務を負うものではありません。

②祭祀承継者は相続のルールが適用されない

相続人のうちのひとりが祭祀承継者になるのが一般的です。

お墓が複数ある場合、それぞれに祭祀承継者がいる場合もあります。

祭祀を主宰すべき人になる資格は、特にありません。

相続人であっても相続人以外の人であっても、祭祀承継者になることができます。

親族であっても親族以外の人であっても、祭祀承継者になることができます。

氏が同じ人であっても氏がちがう人であっても、祭祀承継者になることができます。

相続のルールが適用されるものではありません。

先祖祭祀は、親族の伝統や慣習、考え、気持ちと切り離せないからです。

③祭祀承継者の決め方

祭祀承継者は、次のように決められます。

(1)被相続人の指定に従う

被相続人が祭祀を主宰すべき人として指定する場合、一方的に指定することができます。

トラブル防止のために、本人の同意をもらっておく方がいいでしょう。

(2)慣習に従って決める

(3)家庭裁判所で決定する

被相続人が指定しておらず慣習も明らかでない場合、家庭裁判所が指名します。

被相続人の意思、相続人の身分関係、過去の生活感情、祭祀を主宰する意欲や能力、他の相続人や周りの人の意見を聞いて総合的に判断します。

家庭裁判所は、総合的に考えて最もふさわしい人を祭祀承継者に指名します。

④祭祀承継者は拒否できない

祭祀承継者に選ばれた場合、祭祀承継者になることを拒否することはできません。

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

祭祀承継者には、放棄する制度がありません。

祭祀承継者は、相続のルールが適用されません。

相続放棄をした人が祭祀継承者に指名されることがあります。

祭祀承継者は指名された場合、拒否することはできません。

6墓地の相続登記を司法書士に依頼するメリット

お墓の分譲とかお墓の販売と聞くと、お墓を所有している気持ちになるかもしれません。

現代では、お墓を買うことは永代使用契約をすることです。

単に永代使用契約をして永代使用権を得るだけであれば、登記は無関係です。

墓地埋葬法ができる前から使用している墓地は、現在も各地に存在に存在しています。

新しく墓地を作ることは難しくても、すでにある墓地は使い続けることができます。

墓地を所有している場合、相続登記が必要です。

多くの場合、墓地に固定資産税がかかりません。

墓地を所有している認識がうすいでしょう。

遠方の墓地が不便な場合、お墓のお引越しをしようとすることがあります。

墓じまいをしようとしたときに、登記が必要であることに気がつきます。

ときには、祖父やそれ以前の先祖の名義のままになっていることがあります。

相続登記がされないままになっている場合、難易度は高くなります。

墓地を相続する場合は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

失踪宣告後に相続登記

2024-04-26

1失踪宣告で死亡と見なされる

①単なる音信不通で失踪宣告はされない

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

被相続人や他の相続人と音信不通で連絡先が分からない程度であれば、生死不明とは言えません。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

死亡した取り扱いをしますから、失踪宣告がされた人に相続が発生します。

②失踪宣告には家庭裁判所の調査がある

家庭裁判所は、失踪宣告の申立書を受け付けた後、独自で調査をします。

家庭裁判所は、官報と裁判所の掲示板にお知らせを出します。

申立人にいろいろな書類の提出を求めたり、文書で照会したりします。

ときには、家庭裁判所から呼出がある場合もあります。

失踪宣告は死亡と見なす手続だから、丁寧に調査します。

③失踪宣告の審判が確定したら失踪届

家庭裁判所の調査で生存が確認されることがあります。

生存が確認された場合、失踪宣告の申立ては取り下げることになります。

どこからも届出がなければ、家庭裁判所は失踪宣告の審判をします。

家庭裁判所が審判をした後に不服を言う人がいなければ、失踪宣告の審判は確定します。

家庭裁判所が審判をした後に不服を言うことができる期間は、2週間です。

失踪宣告の審判がされた後なにごともなく2週間経過すると、失踪宣告の審判は確定します。

失踪宣告が確定した場合、家庭裁判所はあらためて官報にお知らせを出します。

このお知らせは「失踪宣告がされました」という意味です。

④市区町村役場に失踪届を提出

家庭裁判所が失踪宣告の審判をした場合、申立人に審判書謄本が送られます。

審判書謄本と確定証明書を添えて市区町村役場に失踪届を提出します。

⑤戸籍に失踪宣告が記載される

市区町村役場に届出をして、はじめて戸籍に記載がされます。

相続手続では、失踪宣告の記載のある戸籍が必要になりますから、届出をしないと相続手続が進まなくなります。

戸籍には次のように記載されます。

【死亡とみなされる日】令和〇年〇月〇日

【失踪宣告の裁判確定日】令和〇年〇月〇日

【届出日】令和〇年〇月〇日

【届出人】親族 ○○○○

2失踪宣告を受けたら相続が開始する

①失踪宣告を受けた人が被相続人になるケース

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告を受けた人は死亡したと扱われますから、相続が開始します。

失踪宣告された人を被相続人として、相続手続をします。

相続が発生する日は、死亡とみなされる日です。

失踪宣告の申立てをした日ではありません。

普通失踪であれば、生死不明になってから7年間経過したときです。

特別失踪であれば、危難が去ったときです。

相当長期間、行方不明になっていた後に失踪宣告がされる場合があります。

失踪宣告を受けた人が死亡とみなされる日に生きていた相続人が後に死亡することがあります。

生きていた相続人が後に死亡した場合、数次相続になります。

失踪宣告を受けた人が死亡とみなされる日に相続人になるはずだった人がすでに死亡していることがあります。

相続人になるはずだった人がすでに死亡している場合、代襲相続になります。

相続手続に参加する人が異なります。

②失踪宣告を受けた人が相続人になるケース

相続人調査をすると、ときには思いもよらない相続人が判明することがあります。

相続人であることを知っていても、連絡を取ったことがない人やどこに住んでいるのか分からない人が現れることがあります。

親族だれも連絡を取っていないまま、長期間行方不明になっていることがあります。

相続人が行方不明になっている場合、相続財産の分け方についての相続人全員の合意ができません。

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

行方不明になっている相続人が失踪宣告を受けた場合、死亡したと扱われます。

失踪宣告を受けた相続人に相続が発生する日は、死亡とみなされる日です。

相当長期間、行方不明になっていた後に失踪宣告がされる場合があります。

行方不明の相続人に失踪宣告がされた場合、被相続人の死亡日より後に死亡と見なされることがあります。

被相続人の死亡日より後に死亡と見なされた場合、数次相続になります。

行方不明の相続人に失踪宣告がされた場合、被相続人の死亡日より前に死亡と見なされることがあります。

被相続人の死亡日より前に死亡と見なされた場合、代襲相続になります。

相続手続に参加する人が異なります。

相続財産の分け方は、相続人全員での合意しなければなりません。

相続手続に参加する人を間違えると、遺産分割協議は無効になります。

3相続財産に不動産があれば相続登記

①失踪宣告を受けて相続が発生しても相続登記は通常どおり

失踪宣告は、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告を受けた人は、死亡とみなされる日に死亡したとみなされます。

失踪宣告を受けた人が不動産を所有していた場合、相続登記をします。

失踪宣告であっても、通常の死亡と変わることはありません。

相続登記をする場合、通常の相続登記と同じです。

行方不明になってから長期間経過しているので、数次相続や代襲相続など複雑な相続になりやすいです。

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産です。

相続手続に参加する人を間違えないようにしましょう。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

相続人全員による分け方の合意ができたら、合意内容を文書に取りまとめます。

相続人全員の合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書と言います。

登記申請書には、通常、相続関係説明図を添えます。

遺言書がない場合、おおむね、次の書類が必要です。

(1)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

(2)相続人の現在戸籍

(3)被相続人の住民票の除票

(4)不動産を相続する人の住民票

(5)遺産分割協議書

(6)相続人全員の印鑑証明書

(7)不動産の固定資産税評価証明書

事例によっては追加書類が必要になる場合があります。

被相続人が失踪宣告を受けた場合、戸籍に失踪宣告の記載がされます。

法務局に提出する戸籍謄本は、失踪宣告の記載がされた戸籍謄本である必要があります。

失踪届を提出した直後に戸籍謄本を請求した場合、失踪宣告の記載がされているか確認しましょう。

②相続人が失踪宣告を受けても相続登記は通常どおり

失踪宣告を受けた人は、死亡とみなされる日に死亡したとみなされます。

被相続人が不動産を所有していた場合、相続登記をします。

相続人が失踪宣告を受けても、通常の死亡と変わることはありません。

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産です。

相続手続に参加する人を間違えないようにしましょう。

相続財産の分け方を決める場合、相続人全員による合意が不可欠です。

相続人全員による分け方の合意ができたら、合意内容を文書に取りまとめます。

相続人全員の合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書と言います。

失踪宣告が確定するまでに、他の相続人で相続財産をどのように分けるか話し合いをしているでしょう。

失踪宣告が確定した後に、相続人全員で遺産分割協議書を作成します。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生した後、早く平穏な日常を取り戻したいでしょう。

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

失踪宣告の申立ては、家庭裁判所に手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続を投げ出して知識のない遺族を困らせます。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。

税金の専門家なども対応できないでしょう。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続手続の期限一覧

2024-04-26

1 【7日以内】死亡届

①死亡診断書(死体検案書)の受取

家族が死亡した後に、最初にすることは死亡診断書(死体検案書)の受取です。

死亡診断書(死体検案書)は、医師が作成します。

死亡診断書と死体検案書は、人の死亡を医学的・法律的に証明する文書です。

死亡診断書は、医師が診療していた傷病に関連して死亡したときに作成されます。

死体検案書は、医師が診療していた傷病に関連して死亡したとき以外に作成されます。

死亡診断書と死体検案書の効力に、ちがいはありません。

②死亡届の提出

死亡届は、戸籍法の定めにより行う届出です。

人が死亡したら、7日以内に死亡届の提出が義務付けられています。

死亡届と死亡診断書(死体検案書)は、1枚の用紙に印刷されています。

左半分が死亡届で、右半分が死亡診断書(死体検案書)です。

死亡届の届出人は、次のとおりです。

(1)同居の親族

(2)その他の同居人

(3)家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人

上記の人は順序に関わらず、届出人になることができます。

死亡診断書(死体検案書)の受取ったら、届出人が死亡届を記入します。

市区町村役場に持って行くのは、届出人以外の人でも差し支えありません。

③埋火葬許可申請

死亡届の提出と一緒に、埋火葬許可証の発行申請をします。

埋火葬許可証とは、死亡した人を埋火葬する許可を証明する書類です。

死亡してから24時間経過した後、火葬します。

埋火葬許可証がないと、火葬を執行することができません。

2【10日以内】年金の死亡届

厚生年金の受給権者が死亡した場合、10日以内に年金受給権者死亡届を提出します。

日本年金機構にマイナンバーが登録されている場合、年金受給権者死亡届を省略することができます。

マイナンバーが登録されているから死亡届の提出を省略する場合でも、未支給年金の請求は必要です。

3【14日以内】健康保険の資格喪失

①健康保険・介護保険の資格喪失

健康保険・介護保険の被保険者が死亡した場合、14日以内に資格喪失手続が必要です。

保険証は、資格喪失届をするときに一緒に返却します。

②年金の死亡届

国民年金の受給権者が死亡した場合、14日以内に年金受給権者死亡届を提出します。

日本年金機構にマイナンバーが登録されている場合、年金受給権者死亡届を省略することができます。

③世帯主変更届

被相続人が世帯主であった場合、原則として、14日以内に世帯主変更届が必要です。

世帯主が死亡したことで世帯に属する人が1人になった場合、世帯主変更届は不要です。

世帯主変更届は、同一世帯の人か新しく世帯主になる人が届出します。

別世帯の人が届出をする場合、委任状が必要になります。

4【3か月以内】相続放棄

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

単純承認とは、被相続人のプラスの財産とマイナスの財産を引き継ぐものです。

相続放棄とは、被相続人のプラスの財産とマイナスの財産を引き継がないものです。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する申立てをします。

相続放棄の申立ての期限は、3か月です。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

相続が発生した後、相続財産を利用・処分した場合、単純承認を見なされます。

単純承認をした後に家庭裁判所から相続放棄が認められても、相続放棄は無効です。

5【4か月以内】準確定申告

準確定申告とは、所得税の申告のひとつです。

所得税は毎年1月1日から12月31日までの所得を計算して、翌年3月15日までに申告と納税をします。

この申告を、確定申告と言います。

1年の途中で死亡した場合、1月1日から死亡した日までの所得を計算して、申告と納税をします。

通常の確定申告と死亡した人の申告を区別するため、準確定申告と言います。

準確定申告は、死亡した被相続人本人に代わって、相続人と包括受遺者が申告と納税をします。

申告と納税をするのは、相続が発生したことを知ってから4か月以内です。

家庭裁判所から相続放棄が認められた場合、準確定申告をする義務はありません。

はじめから相続人でなくなるからです。

それでも税務署から準確定申告をするように通知が来る場合があります。

税務署から通知が来た場合、あわてて準確定申告をする必要はありません。

準確定申告をした場合、相続放棄が無効になります。

準確定申告は、相続人がするものだからです。

自分は相続人であると認めたから、準確定申告をしたと判断されることになります。

6【10か月以内】相続税申告

相続税は、相続した財産の額に応じて課される税金です。

相続税が課される場合、10か月以内に申告納税をします。

相続税申告が必要になるのは、10%未満のわずかな人です。

相続税には、基礎控除があるからです。

基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の人数

相続財産が基礎控除以下である場合、相続税申告は不要です。

7【1年以内】遺留分侵害額請求

遺留分は、相続人に認められた最低限の権利です。

兄弟姉妹以外の相続人に、認められます。

被相続人は自分の死後、財産をだれに引き継がせるか自由に決めることができます。

被相続人の名義になっているとはいえ、無制約の自由を認めることはできません。

財産は家族の協力があってこそ、築くことができたはずだからです。

遺留分に満たない財産の分配しか受けられなかった場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分侵害額請求権を長期間行使しない場合、権利が消滅します。

遺留分侵害額請求権は、最短1年で時効消滅します。

8【2年以内】給付金の請求

①高額療養費の請求

高額療養費とは、健康保険の被保険者が高額な医療費を負担したときに支給される給付金です。

自己負担限度額を超えた場合、超えた分が給付されます。

高額療養費を受け取るためには、2年以内に申請が必要です。

高額な医療を受ける場合、事前に予定されていることが多いでしょう。

医療を受ける前に、限度額適用認定証を取得しておくと便利です。

限度額認定証を病院の窓口に提示した場合、病院は自己負担限度額だけ請求します。

病院への支払いが少なくなるうえに、原則として、高額療養費支給申請が不要になります。

②埋葬料・葬祭費の請求

埋葬料・葬祭費とは、健康保険の被保険者が死亡したときに支給される給付金です。

埋葬を行った人に給付されます。

埋葬料・葬祭費を受け取るためには、2年以内に申請が必要です。

③死亡一時金の請求

死亡一時金とは、国民年金保険料を3年以上納めた人が死亡したときに遺族に給付される給付金です。

年金ではなく、文字どおり一回だけ支給されます。

死亡一時金を受け取るためには、2年以内に申請が必要です。

9【3年以内】相続登記と生命保険の請求

①相続登記

被相続人が不動産を所有していた場合、不動産の名義変更をします。

相続登記とは、不動産の名義変更です。

3年以内に相続登記をしなければなりません。

相続登記を怠ると、ペナルティーが課されます。

相続登記が義務化されるのは、2024年4月からです。

2024年4月以前に発生した相続と2024年4月以降に発生した相続の両方が対象です。

②生命保険の死亡保険金

被相続人が生命保険をかけていた場合、受取人は死亡保険金を受け取ることができます。

生命保険の死亡保険金を長期間請求しない場合、権利が消滅します。

生命保険の死亡保険金の請求権は、3年で時効消滅します。

被保険者が生命保険をかけていたか分からない場合、生命保険協会に照会することができます。

10【5年以内】未支給年金の請求

年金は、死亡の月まで支給されます。

例えば、5月10日に死亡した場合、5月分の年金まで支給されます。

年金は、前2か月分まとめて偶数月15日に支給されます。

例えば、2月分と3月分の年金は、4月15日に支給されます。

金融機関は口座の持ち主が死亡したことを知った場合、口座を凍結します。

口座の凍結とは、口座の取引をできなくすることです。

口座が凍結されたら、年金が振り込まれても受け取ることはできません。

5月分までの年金を受け取れるはずなのに、受け取れなくなります。

これが未支給年金です。

未支給年金は、一定の範囲の家族が受け取ることができます。

未支給年金は、5年以内に請求する必要があります。

一定の範囲の家族は、法律で決められています。

未支給年金を請求することができる人は、相続人とは別の扱いです。

相続放棄をして相続人でなくなった人であっても、未支給年金を請求することができます。

未支給年金は、相続財産ではないからです。

11【5年10か月以内】相続税の更正請求

相続税申告をした後に、申告内容に誤りがあったことに気づくことがあります。

相続税申告のやり直しをして、納め過ぎの税金を返してもらうことができます。

相続税申告のやり直しを更正請求と言います。

更正請求の期限は、相続税の申告期限から5年以内です。

相続税の申告期限は10か月以内だから、更正請求の期限は5年10か月以内です。

12期限はないけど早めに着手した方がいいこと

①相続人調査

相続人になる人は、法律で決まっています。

家族にとって、だれが相続人になるかは当然知っていることでしょう。

家族以外の第三者に対しては、客観的に証明する必要があります。

相続人であることを客観的に証明するとは、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を用意することです。

相続人調査自体に期限はありません。

相続人調査は、期限がある手続の前提として必要になります。

相続人調査は、早めに着手することがおすすめです。

②相続財産調査

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

相続人が相続する財産が相続財産です。

相続財産には、プラスの財産とマイナスの財産の両方があります。

被相続人が第三者の連帯保証人になっていた場合、連帯保証人の義務も相続します。

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

どのような財産が相続財産であるのか分からないと、相続人は判断できないでしょう。

相続財産調査自体に期限はありません。

相続財産調査は、期限がある手続の前提として必要になります。

相続財産調査は、早めに着手することがおすすめです。

③遺産分割協議

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

一部の相続人が勝手に、相続手続をすることはできません。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があるからです。

相続財産の分け方について相続人全員の合意ができたら、文書に取りまとめます。

相続財産の分け方について相続人全員の合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書と言います。

遺産分割協議書の作成自体に期限はありません。

遺産分割協議書の作成を先延ばしすると、合意があいまいになります。

早めに遺産分割協議書を作成することをおすすめします。

13相続手続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生したら、ご遺族は大きな悲しみに包まれます。

相続手続するのは身体的にも精神的にも大きな負担になります。

負担の大きい相続手続を司法書士などの専門家に依頼すれば、遺族の疲れも軽減されるでしょう。

被相続人の財産は、相続人もあまり詳しく知らないという例が意外と多いものです。

悲しみの中で被相続人の築いてきた財産をたどるのは切なく、苦しい作業になります。

調査のためには銀行などの金融機関から、相続が発生したことの証明として戸籍等の提出が求められます。

戸籍謄本等の取り寄せも含め、手続をおまかせいただけます。

仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続を丸ごとおまかせできます。

家族にお世話が必要な方がいて、頻繁に家を空けられない方からのご相談もお受けしております。

相続手続でお疲れが出る前に、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

代襲相続でトラブル

2024-04-24

1代襲相続は相続人が先に死亡したケース

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

相続人になるはずだった人の子どもの子どもが相続することを再代襲相続と言います。

代襲相続ができるのは、相続人になるはずだった人の子どもなど被代襲者の直系卑属だけです。

相続人になるはずだった人を被代襲者と言います。

被代襲者の子どもなど被代襲者の直系卑属以外は、代襲相続ができません。

被代襲者の配偶者も、被代襲者の親などの直系尊属も、被代襲者の兄弟姉妹も、代襲相続ができません。

2代襲相続でトラブルになる

①代襲相続ができることを知らない

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

配偶者や子どもが相続人になることは、多くの人が見聞きしたことがあるでしょう。

被相続人の子どもが被相続人より先に死亡した場合、死亡した子どもの子どもが代襲相続します。

代襲相続について、まったく聞いたことがないかもしれません。

代襲相続ができることを全く知らなくても、代襲相続人であることに変わりはありません。

被相続人の財産は、プラスの財産もマイナスの財産も、相続人が相続します。

被相続人に莫大な借金があることがあります。

相続したくないのであれば、相続放棄の手続をしなければなりません。

相続放棄の手続をしていない場合、莫大な借金を背負うことになります。

代襲相続ができることを全く知らなかったと言っても、意味はありません。

代襲相続ができることを知らないと、相続人間でトラブルに発展しやすくなります。

②代襲相続人と疎遠な関係

相続人の関係が近い場合、気心が知れています。

気心が知れた相続人間では、あまりトラブルに発展しません。

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

被相続人と相続人は面識があっても、相続人間では疎遠な場合があります。

被相続人の兄弟姉妹が相続人になる場合、長い間に疎遠になっていることがあります。

先に死亡した兄弟姉妹とは気心が知れていても、下の世代の代襲相続人とは関係性が薄いことが多いでしょう。

兄弟姉妹の子どもとは、音信不通であることも珍しくありません。

気心の知れた相続人でない場合、トラブルに発展しやすくなります。

③共同相続人が増える

代襲相続が発生した場合、単純に相続人が増えることがあります。

人数が増えると、話し合いによる合意が難しくなりがちです。

共同相続人が増えた場合、トラブルに発展しやすくなります。

④代襲相続人を無視する

代襲相続が発生した場合、下の世代の代襲相続人とは関係性が薄いことが多いでしょう。

代襲相続人の存在を知っているのに、あえて無視することがあります。

関係性の薄い代襲相続人と関わりたくない場合や自分が年長者だから言いなりになって当然だと考えている場合です。

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の話し合いによる合意で決める必要があります。

代襲相続人を無視して、相続財産の分け方の合意をしても無効な合意です。

代襲相続人を無視したら、相続人全員ではないからです。

代襲相続人を無視して相続財産の分け方を合意した場合、大きなトラブルに発展するでしょう。

⑤遺産の全容を教えない

代襲相続人と交流がある場合、代襲相続人を無視して相続手続を進めることは難しいでしょう。

代襲相続人は下の世代の相続人です。

他の相続人と対等に話ができないことがあります。

他の相続人は、年長者でしょう。

年少の代襲相続人は当然言いなりになるべきだと考えていることがあります。

当然言いなりになるべきだと考えていると、話し合いをする気持ちはないでしょう。

当然言いなりになるべきだと考えて、遺産の全容や遺言書の内容を教えないことがあります。

何も聞かされない場合、相続人が疑心暗鬼になります。

遺産の内容を開示すれば、安心して話し合いが進むことも少なくありません。

遺産の全容や遺言書の内容を教えない場合、相続人間で大きなトラブルに発展します。

⑥相続分の放棄を強要

代襲相続人は、若い世代の相続人です。

若い世代の代襲相続人であっても、他の相続人と同様の権利があります。

対等に権利があることに対して、快く思わないことがあります。

下の世代だから上の世代の自分たちに権利を譲るべきだと考えている場合です。

若い代襲相続人に対して、一方的に実印と印鑑証明書を渡すように迫ることがあります。

実印と印鑑証明書を受け取ったら、全権委任を受けたと思うでしょう。

合意もしていないのに、遺産分割協議書を作成して押印するかもしれません。

手間のかかる相続手続を負担してあげたつもりになっていることがあります。

相続分の放棄を強要すると、大きなトラブルになるでしょう。

⑦家族の合意事項を知らない

財産の分け方について、被相続人と相続人が合意していることがあります。

先祖代々引き継いだ不動産は、長男が相続する、親の面倒を見ていた人が自宅を相続するなどの合意です。

関係の近い相続人の場合、合意内容にみんなが納得しているでしょう。

家族間の暗黙の合意事項を知らない相続人がいる場合、自分の利益を主張しがちです。

代襲相続人は下の世代だから、家族間の暗黙の合意事項を知らないかもしれません。

家族間の暗黙の合意事項を知らない場合、トラブルに発展しやすくなります。

3トラブル防止には遺言書が有効

気心が知れた相続人間では、あまりトラブルに発展しません。

代襲相続が発生した場合、関係性の薄い相続人が含まれることになりがちです。

関係性の薄い相続人がいる場合、トラブルに発展しやすくなります。

相続トラブルを防ぐために、被相続人が財産の行き先を決めてあげることが有効です。

遺言書を作成して財産を開示し、財産を受け取る人を指名します。

遺言書がある場合、原則として、遺言書のとおり財産を分ければ済みます。

相続人間で話し合いをしなくても、相続手続を進めることができます。

遺言書を作成する場合、遺言執行者を指名することができます。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する権限が与えられます。

相続手続は、想像する以上に手間と時間がかかります。

遺言執行者がいる場合、わずらわしい相続手続をおまかせすることができます。

相続財産の分け方について合意ができても、相続手続に手間取ってトラブルに発展することがあります。

遺言執行者がいる場合、相続人は相続手続に関与する必要がありません。

遺言執行者は、法律の知識が必要です。

家族などよりは専門家に依頼する方がいいでしょう。

4代襲相続があると戸籍集めがタイヘン

代襲相続とは、相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することです。

相続人調査をする場合、被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本を集めなければなりません。

代襲相続がある場合、先に死亡した人も同様に出生から死亡まで連続した戸籍謄本を取得する必要があります。

家族にとってだれが相続人であるか当たり前のことと軽く考えているかもしれません。

相続手続先に対しては、客観的に証明しなければなりません。

代襲相続人を漏れなく探すため、戸籍謄本を漏れなく準備する必要があります。

代襲相続が発生した場合、収集すべき戸籍謄本がたくさんになります。

5代襲相続がある相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、被相続人のものは相続財産になります。

相続財産は相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方を決めるためには、相続人全員の合意が必要です。

相続人の一部を含めない合意や相続人でない人を含めた合意は、無効になります。

相続財産の分け方の話し合いの前提として、相続人の確定はとても重要です。

代襲相続や数次相続が発生している場合、一挙に難易度が上がります。

インターネットが普及したことで、多くの情報を手軽に得ることができるようになりました。

簡単に情報発信ができるようになったこともあって、適切でない情報も有益な情報もたくさん出回っています。

相続の専門家と名乗っていながら、適切でないアドバイスを見かけることも度々あります。

代襲相続や数次相続が発生している場合、信頼できる専門家のサポートが欠かせません。

スムーズに相続手続を行いたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

失踪宣告を受けた人が生きていたら

2024-04-23

1失踪宣告の申立てとは

長期間、行方不明になっている人の中には死亡している可能性が高い人もいます。

このような場合、条件を満たせば失踪宣告の申立てをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとする手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

行方不明の人を含めず、遺産分割協議をすることができます。

2失踪宣告されても本人は困らない

失踪宣告はたとえ死亡していなくても、死亡した取り扱いをする制度です。

失踪宣告がされたけど、実は本人は新天地で元気に生きていたということがあります。

たとえ失踪宣告がされて死亡した扱いになった場合でも、本人の生活自体にはほとんど影響がありません。

失踪宣告がされて死亡した扱いになった場合でも、権利が制限されることはありません。

死亡した扱いになるからと言って、死者との契約だから無効だと言われることもありません。

元気で生きているから、当然、契約は有効です。

本人の知らないところで、財産が相続されてしまいます。

3失踪宣告の取消は家庭裁判所に手続が必要

失踪宣告をされた人が生きていると分かっても、自動的に失踪宣告が取り消されるわけではありません。

家庭裁判所は失踪宣告された人が、その後、生きているかどうか分からないからです。

失踪宣告された人が生きていることが分かった場合や失踪宣告されたときと異なる時期に死亡したことが判明した場合、家庭裁判所に失踪宣告の取消の審判の申立てをします。

家庭裁判所が失踪宣告を取消した場合、失踪宣告による死亡の効果がなかったことになります。

失踪宣告の取消が確定した場合でも、家庭裁判所から自主的に市町村役場に連絡が行くことはありません。

失踪宣告取消の審判書と確定証明書を添えて、市町村役場に10日以内に届出が必要です。

失踪宣告の取消が確定した場合、家庭裁判所は官報にお知らせを出します。

失踪宣告が確定したときも官報にお知らせを出しますから、取消をしたときもお知らせを出すのです。

4財産は返還しなければならない

①相続財産は返還しなければならない

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとする手続です。

失踪宣告がされると、相続が開始します。

失踪宣告が取り消されると、行方不明者が死亡したことはなかったことになります。

死亡がなかったことになりますから、相続もなかったことになります。

相続によって財産を得た人は、行方不明者に財産を返さなければなりません。

たとえ、行方不明者が生きているとは思わなかったとしても、財産は返す必要があります。

返す財産は、現に利益を受けている限度とされています。

相続人が遊興費などで使ってしまっている場合は、返す必要がありません。

生活費や自分の借金の返済に充てている場合などは、現に利益を受けていると言えます。

その分は、返還が必要です。

現に利益を受けている限度とは、同じ形で残っている意味ではありません。

形を変えて残っている場合も含みます。

生活費として使ったのであれば、自分のお金をその分使わずに済んでいます。

生活費分の利益を得ていると言えます。

失踪宣告取消前に、行方不明者から相続した財産を売却している場合があります。

行方不明者が生きていることを知らずにした行為は、例外的にそのまま効力を持ちます。

失踪宣告が取消されることですべての行為が無効になると、安心して取引ができなくなります。

失踪宣告の事情を知らない第三者にとって、契約が取り消されると不利益が大きいからです。

行方不明者が生きていることを知らずにしたとは、相続人と売買の買主の両方が、行方不明者が生きていることを知らなかった場合です。

相続人が行方不明者の生存を知っていたら、売買の買主は知らなくても取引は無効になります。

失踪宣告によって相続した財産を売却した場合、行方不明者が生きていることを知らずにしたのであればそのまま有効です。

②生命保険も返還しなければならない

死亡により支払われるものとして、生命保険の保険金は高額なものでしょう。

失踪宣告が取り消されると、返還しなければなりません。

住宅ローンを組むときに団体信用生命保険に加入している場合、生命保険金で住宅ローンの残額を支払っているでしょう。

住宅ローンの残額を支払わなくてもよくなったという形で利益が残っていると考えられます。

現に利益を受けていると言えますから、この利益を返還しなければなりません。

5残された配偶者は再婚ができる

失踪宣告がされると、行方不明者は死亡した取り扱いがされます。

行方不明者に配偶者があれば、残された配偶者は再婚ができます。

行方不明者とは死別した取り扱いです。

残された配偶者が再婚していた場合、前婚は復活せず後婚のみ有効という意見が有力です。

後婚のみ有効になるのは、残された配偶者と再婚相手が行方不明者が生きていることを知らなかった場合だけと考えられます。

一方で、残された配偶者と再婚相手の認識を問わず、後婚のみ有効と考える意見もあります。

失踪宣告の取消がされると、前婚が復活して重婚になると考える意見もあります。

最終的には、裁判所の判断によります。

そもそも、再婚するためであれば、必ずしも、失踪宣告をする必要はありません。

3年以上の生死不明であれば、離婚理由に該当します。

婚姻を継続しがたい重大な事由にも、あたります。

悪意の遺棄にあたることもあるでしょう。

離婚事由がある場合、裁判所に離婚の訴えを起こすことができます。

裁判所に認められれば、離婚することができるからです。

6生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

失踪宣告の申立ては、家庭裁判所に手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続を投げ出して知識のない遺族を困らせます。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。

税金の専門家なども対応できないでしょう。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

失踪宣告後は失踪届で戸籍に反映

2024-04-23

1失踪宣告で死亡と見なされる

①残された家族のため失踪宣告

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

行方不明が長期化した場合、家族が困ります。

家族であっても、行方不明の人の財産を処分することができません。

行方不明者の配偶者は、再婚することができません。

残された家族のために、行方不明者を死亡したものと扱う制度が失踪宣告の制度です。

失踪宣告がされると、死亡した取り扱いをします。

失踪宣告がされた人に、相続が発生します。

相続財産は、相続人全員の共有財産になります。

相続人全員の合意があれば、相続財産を自由に分けることができます。

遺産分割協議によって相続した後は、相続人が自由に処分をすることができます。

②失踪宣告には条件がある

失踪宣告には、2種類があります。

普通失踪と特別失踪(危難失踪)です。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

死亡したことが確認できないのに、死亡と見なされます。

死亡と見なされるという強い効果があります。

失踪宣告が認められるためには、次の条件があります。

(1)行方不明の人が生死不明であること

(2)生死不明のまま一定期間継続していること

2失踪宣告は家庭裁判所で審判

①失踪宣告の審判は2週間で確定

家庭裁判所に失踪宣告の申立てをした後、家庭裁判所が死亡と認めていいか調査します。

家庭裁判所が死亡と認めていいと判断した場合、失踪宣告の審判がされます。

家庭裁判所が決定したことについて不服がある人がいる場合があります。

失踪宣告の審判がされた後、不服の受付をします。

不服の受付期間は、2週間です。

失踪宣告の審判がされた後、2週間経過してもだれも不服の申立てがなかったら確定します。

②家庭裁判所から官報公告がされる

失踪宣告の審判が確定した場合、家庭裁判所は官報でお知らせをします。

官報を見ている人は、少ないでしょう。

官報でお知らせするだけで、家庭裁判所は個別に連絡しません。

申立人や利害関係人に、失踪宣告が確定しましたよとお知らせがされることはありません。

市区町村役場に、失踪宣告が確定しましたよとお知らせがされることはありません。

③確定証明書取得は家庭裁判所に申請

家庭裁判所が失踪宣告の審判をした場合、審判書は自動的に送られてきます。

審判書が届いてから2週間だれも不服を申し立てなければ、審判は確定します。

審判が確定しても、自動で確定証明書は送られてきません。

失踪宣告の審判が確定した後、確定証明書が必要になります。

いつ確定するのか確認して家庭裁判所に発行申請をします。

3市区町村役場に失踪届提出で戸籍に反映

①失踪宣告確定後は死亡届でなく失踪届

失踪宣告は、家庭裁判所の審判です。

家庭裁判所が失踪宣告の審判をした後、審判が確定しても市区町村役場に連絡されることはありません。

失踪宣告の審判が確定した後に、市区町村役場に届出が必要です。

失踪宣告の審判が確定した後に市区町村役場に提出する届出を失踪届と言います。

死亡したときに提出する死亡届とは別の書類です。

失踪届は、多くの市区町村役場でホームページからダウンロードができます。

失踪届が受理されることで、失踪宣告がされたことが戸籍に記載されます。

失踪宣告が記載された戸籍謄本を提出することで、生死不明の人が法的に死亡した取り扱いがされることを証明できます。

②失踪届を提出する人

家庭裁判所が失踪宣告の審判をした後、市区町村役場に連絡しません。

審判が確定しても、市区町村役場に連絡しません。

失踪宣告の審判が確定した後、失踪宣告の申立て人は、市区町村役場に失踪届をします。

③失踪届の届出期限

失踪宣告の審判が確定してから、10日以内です。

10日しかないので、すみやかに手続する必要があります。

④失踪届の提出先

失踪届の提出先は次の市区町村役場です。

(1)失踪宣告を受けた人の本籍地

(2)届出人の所在地

⑤失踪届の添付書類

失踪届の添付書類は、次のとおりです。

(1) 失踪宣告の審判書

(2)確定証明書

(3)失踪宣告を受けた人の戸籍謄本

(4)届出人の戸籍謄本

(3)失踪宣告を受けた人の戸籍謄本(4)届出人の戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場に提出する場合は不要です。

⑥失踪宣告がされたときの戸籍の記載例

戸籍には次のように記載されます。

【死亡とみなされる日】令和〇年〇月〇日

【失踪宣告の裁判確定日】令和〇年〇月〇日

【届出日】令和〇年〇月〇日

【届出人】親族 ○○○○

⑦戸籍に反映するには時間がかかる

失踪届を提出しても、戸籍に反映されるまでには時間がかかります。

死亡届を提出しても時間がかかるのと同様です。

⑧失踪届を出しても探してもらえない

失踪届は、失踪宣告の審判が確定した後に市区町村役場に提出する届出です。

市区町村役場は、失踪届を受理したら失踪宣告がされたことを戸籍に記載します。

失踪届を出しても、市区町村役場が生死不明の人を探してくれることはありません。

失踪届は、死亡と扱ってもらうための届出だからです。

生死不明の人を探してもらいたい場合、警察へ行方不明者届を提出します。

行方不明者届は、以前は捜索願と呼んでいました。

失踪届と行方不明者届(捜索願)は、まったく別の届出です。

4失踪宣告で相続が開始する

①相続開始日は死亡と見なされる日

失踪宣告がされると、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

普通失踪では生死不明になってから7年間経過したときに、死亡したものと見なされます。

特別失踪(危難失踪)では危難が去ったときに、死亡したものと見なされます。

たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをするから、相続が開始します。

死亡と見なされる日が、相続が開始する日です。

失踪宣告の手続は、長期間かかります。

相続が開始する日は、失踪宣告の申立てをした日ではありません。

裁判所が失踪宣告をした日でもありません。

相続手続の基準になるのが、死亡と見なされる日です。

②失踪宣告後に相続放棄ができる

莫大な借金をしたまま音信不通になる人がいます。

いつか自分に借金が降りかかってくるのではないかと不安になることでしょう。

被相続人の生前に相続放棄をすることはできません。

行方不明の人は生きていると判断されます。

相続放棄ができるのは、相続人だけだからです。

行方不明なだけで生きているのだから、相続放棄を受け付けてもらえません。

失踪宣告は、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされた場合、相続が発生します。

相続放棄の申立てをする場合、被相続人の戸籍謄本を提出します。

被相続人の戸籍に失踪宣告の記載がされている必要があります。

相続放棄の申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

5生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

失踪宣告の申立ては、家庭裁判所に手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続を投げ出して知識のない遺族を困らせます。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。

税金の専門家なども対応できないでしょう。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

失踪宣告で相続が開始する

2024-04-23

1失踪宣告には2種類ある

①失踪宣告で死亡と見なされる

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

死亡した取り扱いをしますから、失踪宣告がされた人に相続が発生します。

失踪宣告には、普通失踪と特別失踪の2種類があります。

②7年以上生死不明で普通失踪

普通失踪とは、行方不明の人について7年間生死不明の場合、申立てができるものです。

普通失踪の申立てをした場合、失踪宣告がされるまでおよそ3か月以上かかります。

家庭裁判所の状況や事件の内容によっては、1年ほどかかる場合もあります。

生死不明になってから7年間経過したときに、死亡したものと見なされます。

③1年以上生死不明で特別失踪(危難失踪)

特別失踪とは、「戦地に行った者」「沈没した船舶に乗っていた者」「その他死亡の原因となる災難に遭遇した者」を対象にする失踪宣告です。

危難が去ってから1年間生死不明の場合、申立てができます。

特別失踪の申立てをした場合、失踪宣告がされるまでおよそ1か月以上かかります。

危難が去ったときに、死亡したものと見なされます。

④失踪宣告後生きていることが分かったら失踪宣告の取消

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ生きていても死亡した取り扱いがされます。

行方不明の人に失踪宣告がされた後、本人が帰ってくることがあります。

失踪宣告がされた後、生きていることが分かった場合、失踪宣告を取り消してもらいます。

失踪宣告した日と違う日に死亡していたことが判明する場合があります。

失踪宣告がされた後、失踪宣告した日と違う日に死亡していたことが分かった場合、失踪宣告を取り消してもらいます。

失踪宣告をするときも失踪宣告を取り消すときも、家庭裁判所の関与が必要です。

失踪宣告は、死亡したと扱う重大な手続だからです。

2失踪宣告がされると相続が開始する

①相続開始日は死亡と見なされる日

失踪宣告がされると、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

普通失踪では生死不明になってから7年間経過したときに、死亡したものと見なされます。

特別失踪(危難失踪)では危難が去ったときに、死亡したものと見なされます。

たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをするから、相続が開始します。

死亡と見なされる日が、相続が開始する日です。

失踪宣告の手続は、長期間かかります。

相続が開始する日は、失踪宣告の申立てをした日ではありません。

裁判所が失踪宣告をした日でもありません。

相続手続の基準になるのが、死亡と見なされる日です。

②相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どももいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することを代襲相続と言います。

③死亡と見なされる日で相続人を確認

失踪宣告の申立てをしてから、裁判所が失踪宣告をするまで長期間かかります。

相続手続の基準になるのが、死亡と見なされる日です。

死亡と見なされる日に、相続が発生します。

被相続人は、死亡と見なされる日に死亡したと扱われます。

死亡と見なされる日を基準にして、相続人を確認します。

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、代襲相続が発生します。

相続が発生したときに元気だった相続人が被相続人より後に死亡した場合、代襲相続が発生しません。

相続が発生したときに元気だった相続人が後に死亡した場合、数次相続が発生します。

数次相続は、相続人の地位が相続されます。

失踪宣告の前後で家族が死亡した場合、相続人の確認が重要になります。

代襲相続も数次相続も、相続が複雑になります。

だれが相続人でだれが相続人でないか日付をよく確認しましょう。

相続人を間違えると、相続手続がすべてやり直しになります。

④相続人全員で遺産分割協議

失踪宣告がされた場合、相続が発生します。

被相続人のものは、原則として相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員のよる話し合いの合意で決めなければなりません。

相続人なのに合意をしていない人がいる場合、相続人全員の合意があるとは言えません。

相続財産の分け方の合意がないから、相続手続ができません。

死亡と見なされる日を基準にして、相続人を充分に確認しましょう。

⑤失踪宣告後に相続放棄ができる

莫大な借金をしたまま音信不通になる人がいます。

いつか自分に借金が降りかかってくるのではないかと不安になることでしょう。

被相続人の生前に相続放棄をすることはできません。

行方不明の人は生きていると判断されます。

相続放棄ができるのは、相続人だけだからです。

行方不明なだけで生きているのだから、相続放棄を受け付けてもらえません。

失踪宣告は、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされた場合、相続が発生します。

相続放棄の申立てをする場合、被相続人の戸籍謄本を提出します。

被相続人の戸籍に失踪宣告の記載がされている必要があります。

相続放棄の申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

3認定死亡がされると相続が開始する

①認定死亡とは

人が死亡した場合、通常、医師が死亡の確認をします。

海難事故や震災などで死亡は確実であっても遺体を確認できない場合があります。

遺体が見つからない場合、医師が死亡の確認をすることができません。

海難事故や震災などで死亡が確実の場合、行政機関が市町村長に対して死亡の報告をします。

死亡の報告によって死亡が認定され、戸籍に記載がされます。

行政機関が市町村長に対して死亡の報告をしたら、戸籍上も死亡と扱う制度が認定死亡です。

事実上、死亡の推定が認められます。

認定死亡により、相続が開始します。

②認定死亡がされたときは相続が開始する

認定死亡の場合、死亡が確実であっても死亡日が分からないことがほとんどです。

推定令和○年○月○日死亡

推定令和○年○月○日頃死亡

令和○年○月○日から同月○日の間死亡

年月日不詳

戸籍を確認した場合に、上記のような記載がされている場合があります。

このような記載であっても、相続が開始しますから相続手続をすることができます。

相続手続をする場合も、戸籍のとおり記載すれば支障はありません。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

失踪宣告の申立ては、家庭裁判所に手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続を投げ出して知識のない遺族を困らせます。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。

税金の専門家なども対応できないでしょう。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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