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1相続財産とは
相続が発生すると、原則として、被相続人の財産は相続人が相続します。
相続人が相続する財産が、相続財産です。
相続財産はプラスの財産とマイナスの財産があります。
どちらも、相続財産です。
①プラスの財産
一般的に不動産、預金、株式や投資信託などの有価証券、現金などです。
さらに、宝飾品や美術品など価値があるものはプラスの財産といえるでしょう。
多くの方が財産と言われてたときにイメージしやすいものです。
これ以外にも、賃借権や借地権などの権利もプラスの財産になります。
②マイナスの財産
一般的に借金やローンなどです。
未払の税金や未払の入院費用などもマイナスの財産になります。
被相続人が住宅ローンを払っていれば、住宅ローンは相続財産になります。
2敷地権のないマンションと敷地権付マンションがある
分譲マンションのように1棟の建物の一部を独立して所有できる建物を区分建物と言います。
区分建物が建っている土地が敷地です。
敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利を一体化して処分するようにしたのが、敷地権付区分建物です。
敷地権付区分建物の場合、マンションを売買するとき敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利は一緒についてきます。
敷地を使う権利だけ取引することやお部屋だけ担保に差し出すことはできません。
敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利は、命運を共にする運命共同体です。
新しいマンションのほとんどは、敷地権付区分建物です。
敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利は切り離すことができないから、権利証は1つだけです。
古いマンションの中には、敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利を一体化して処分できるルールができる前に建てられた場合があります。
ルールができる前に建てられたマンションは、敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利を一体化していない場合があります。
マンションのお部屋の権利とは別に、敷地を使う権利があります。
多くの場合、敷地を使う権利はマンションのお部屋の持ち主全員で共有しています。
敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利が一体化していないから、敷地の権利証とマンションのお部屋の権利証は別々です。
何筆もの土地の上にマンションが建っている場合、その土地の数の分の権利証があります。
敷地権付区分建物であるか敷地権のない区分建物であるか確認する方法は登記簿謄本を見ることです。
敷地権付区分建物の場合、表題部(専有部分の建物の表示)に続いて、表題部(敷地権の表示)が記載されています。
敷地権のない区分建物の場合、表題部(専有部分の建物の表示)のみで、敷地権の表示は記載されていません。
レアケースですが、同じマンションなのに敷地権付区分建物と敷地権のない区分建物が混在している場合があります。
該当のお部屋の登記簿謄本を見て確認しましょう。
3別で登記されている共用部分は見落としがち
共用部分というと、まず支柱、廊下、階段、エレベーター、電気ガス水道などのライフライン設備などをイメージするでしょう。
これらは、法定共用部分と言います。
法定共用部分は、登記することができません。
構造上、利用上の独立性がないからです。
法定共用部分は、お部屋の権利と一緒に移転します。
共用部分には、法定共用部分の他に、規約共用部分があります。
規約共用部分とは、マンション管理のための施設のことです。
例えば、集会所、管理人室、駐車場、ポンプ室、ごみステーションなどが代表例です。
上記のような施設は、単独で建物として登記することができます。
その後、規約によって共用部分になったことを登記することができます。
規約によって共用部分になったことが登記してあれば、お部屋の権利と一緒に権利が移転します。
共用部分の権利はお部屋の権利と一体化しています。
一体化していれば、共用部分だけ権利が移ったり、お部屋の権利だけ移って共用部分はそのままになることがありません。
規約によって共用部分になったことが登記してない場合、規約共用部分を使う権利とマンションのお部屋の権利が一体化していません。
規約によって共用部分になったことが登記してない場合、規約共用部分がお部屋の持ち主全員で共有しています。
規約共用部分を使う権利とマンションのお部屋の権利が一体化していないから、規約共用部分の権利証とマンションのお部屋の権利証は別々です。
お部屋の権利証とは別に、集会所の権利証、駐車場の権利証など施設の数だけ権利証があります。
権利証が別々になっているかどうかは、登記簿謄本を見て確認することができます。
建物の表題部を見て、「〇年〇月〇日規約設定 共用部分」と記載がある場合、規約によって共用部分になったことが登記されています。
相続登記をするする場合、原則として、権利証は必要ありません。
相続登記で権利証を必要とする例外がありますから、権利証を確認しておくとお部屋と一体化していない権利を見つけられることがあります。
マンションを購入したときにローンを組んでいる場合、抵当権を設定します。
多くの場合、お部屋の権利だけでなくその他の権利も一緒に抵当権を設定します。
登記簿謄本の共同担保目録の欄を確認するといいでしょう。
お部屋の権利と一体化していない場合、他の権利は見落としがちです。
お部屋の権利にだけ注目している場合、一体になっていない権利について分け方の合意を忘れられることが多いでしょう。
相続してから長期間経過してから、一体になっていない権利について分け方の合意をしていないことが発覚します。
分け方の合意をしていない場合、相続人全員の共有財産です。
あらためて、相続人全員で分け方の合意をしなければなりません。
4相続後すぐに売却する場合でも相続登記は必要
不動産そのままでは相続人間で分けようがない場合や遠方で住む予定がない実家を相続した場合など、相続したもののすぐに不動産を売却したい場合もあるでしょう。
相続した後、すぐに売却するのだから登記する費用がもったいないという声を聞きます。
登記するときに国に納める登録免許税は不動産の値段によって決まりますから、値段の高い不動産を相続した人は、なおさら、相続登記を省略したいと思うでしょう。
不動産を相続した後に売却する場合、必ず、相続登記が必要です。
所有権は、被相続人→相続人→買主と移動しているからです。
分譲マンションの場合、お部屋の権利だけに注目しがちです。
敷地を使う権利は別になっているかもしれません。
規約共用部分が別になっているかもしれません。
これらすべてを見落としなく手続する必要があります。
新しいマンションのほとんどは敷地権付区分建物です。
規約によって共用部分になったことが登記してあることが多いでしょう。
お部屋の権利と他の権利が一体化していない場合、注意深く登記簿謄本を読む必要があります。
売却する場合、前提として相続登記は必要です。
相続登記の前提として、相続財産の分け方の合意が不可欠です。
5抵当権の登記の抹消・変更も忘れずに
被相続人がマンションを購入するときに、住宅ローンを組んでいる場合があります。
住宅ローンを組んでいる場合、銀行などに抵当権を設定しているでしょう。
住宅ローンが残っているのであれば、抵当権の債務者の変更の登記が必要になります。
もっとも、住宅ローンを組む場合、債務者が団体信用生命保険に加入しているケースが多いです。
債務者が死亡したことで、団体信用生命保険の保険金が支払われる場合、住宅ローンの残りは保険金で返済されます。
団体信用生命保険の保険金で住宅ローンの支払いがなくなった場合、抵当権は消滅します。
抵当権が消滅しても、抵当権の登記は自動で消えません。
法務局は住宅ローンがなくなったかどうか分からないからです。
相続登記とは別に、抵当権の抹消登記の申請が必要です。
相続登記は、相続人が単独申請をすることができます。
抵当権の抹消登記は、相続人を権利者、銀行を義務者として共同申請をしなければなりません。
6相続登記を司法書士に依頼するメリット
大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。
やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。
相続手続きは一生のうち何度も経験するものではないため、誰にとっても不慣れで手際よくできるものではありません。
相続手続で使われる言葉は、法律用語なので一般の方にとって、日常で聞き慣れないものでしょう。
不動産は重要な財産であることも多いので、登記手続きは一般の方から見ると些細なことと思えるようなことでやり直しになることも多いです。
やり直しで済めば、良かったと言えるかもしれません。
敷地権のない古いマンションの場合、敷地を使う権利が別になっていたり、規約共用部分が別になっていたりします。
一般の方が登記簿謄本から見落としなく読み解くのは難しいものです。
日常のお仕事や家事をこなしたうえに、これらのことがあると、疲労困憊になってしまうことも多いです。
司法書士などの専門家から見れば、トラブルのないスムーズな相続手続であっても、多くの方はへとへとになってしまうものです。
相続手続きに疲れてイライラすると普段は温厚な人でも、トラブルを引き起こしかねません。
司法書士などの専門家はこのような方をサポートします。
相続手続でへとへとになったから先延ばしするより、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。