このページの目次
1 市役所・区役所で相続相談をするメリット
メリット①無料で利用できる
多くの市役所や区役所では、市民へのサービスとして無料法律相談を行っています。
無料法律相談の一環として、相続相談をすることができます。
多くの方にとって、市役所や区役所は身近な役所でしょう。
相続で困っている人にとって、市役所や区役所は身近で頼りになる存在です。
市役所や区役所の相談は無料だから、気軽に相談することができます。
メリット1つ目は、無料で利用できることです。
メリット②地域住民に開かれている
市役所・区役所の法律相談は、次の人が対象です。
・その市町村に住んでいる人
・その市町村にある学校や会社に通っている人
自宅や勤務先などの近くで、相談することができます。
高齢者や情報弱者など幅広い層に、アクセスしやすいでしょう。
地域住民に開かれている身近な市役所や区役所で、安心して相談することができます。
メリット2つ目は、地域住民に開かれていることです。
メリット③初期の情報収集ができる
相続手続を何度も経験することは、あまりありません。
だれにとっても初めてで、分からないことが多いでしょう。
何をしたらいいのか分からない人にとって、最初の方向性をつかむ場として有効です。
20~30分で相続の基本的な知識を概略的に説明してくれるからです。
最初の方向性を知りたい人にとって、おおまかな手順を知ることは大きなメリットです。
メリット3つ目は、初期の情報収集ができることです。
2市役所・区役所で相続相談をする注意点
注意①時間・回数に制限がある
市役所や区役所の法律相談は、時間や回数に制限が設けられています。
多くの住民が利用できるようにするためです。
例えば、名古屋市では各区役所で、無料法律相談を行っています。
名古屋市の無料法律相談は、1回20分の制限があります。
質問する時間と回答してもらう時間を考えると、20分はとても短いと言えます。
20分経過すると話の途中であっても、相談は打ち切りになります。
注意点1つ目は、時間・回数に制限があることです。
注意②曜日・時間帯に制限がある
市役所や区役所の法律相談は、平日の日中のみです。
自治体によっては、曜日や時間帯が決められています。
例えば、名古屋市の各区役所の無料法律相談は、月2回の指定日のみです。
時間帯は、午後1時~4時のみです。
家事や仕事などで忙しい人にとって、スケジュールを合わせるのは難しいでしょう。
相談日や時間帯が限られているから、予約がすぐに埋まります。
希望する日に予約が取れることは、あまりありません。
注意点2つ目は、曜日・時間帯に制限があることです。
注意③専門家を選べない
市役所や区役所の法律相談は、所属会などから派遣された専門家が相談を受けます。
専門家には違いありませんが、どの分野の専門家であるのか選べません。
市役所や区役所の法律相談は、相続の相談だけを受けているわけではないからです。
さまざまな分野の専門家が相談員を担当するから、無意味な相談になる可能性があります。
注意点3つ目は、専門家を選べないことです。
注意④相談のみで依頼ができない
無料法律相談では、その場で依頼することができません。
依頼するように強要されないから、安心して相談できるメリットがあります。
市役所や区役所のルールで、無料法律相談で宣伝活動を禁止していることがあります。
名刺やチラシなどを渡せないから、相談後に依頼したいときに困ります。
事務所を探して、依頼する必要があります。
注意点4つ目は、相談のみで依頼ができないことです。
市役所などの法律相談でできること | 市役所などの法律相談でできないこと |
相続手続の概要説明 | 遺産分割協議書などの作成 |
相続手続の基本的アドバイス | 相続人や相続財産調査の依頼 |
一回限りの相談 | 裁判手続の代行 |
指定された予約日での相談 | 継続的な相談 |
アドバイス後のフォロー | |
休日や夜間の相談 |
3相談をする前に準備しておくこと
①相談内容の整理
市役所や区役所の無料法律相談は、20分などの時間制限があります。
相談内容を整理せずに相談しても、実りある相談はできません。
事実と感情が混ざっていると、相談にならないからです。
何に困っているのか、何を知りたいのか、明確にするといいでしょう。
事実を中心に質問し、法的見解を得ることに集中します。
例えば、次のような事項です。
・だれが相続人なのか、分からない。
・相続財産の調べ方が分からない。
・相続財産の分け方で、合意ができない。
・相続登記の方法が分からない。
・相続税がかかるのか、心配だ。
相談したい内容を要領よく簡潔に話せるように、準備しておくといいでしょう。
相談内容を明確にして1~2点質問すると、答えやすくなります。
相談内容をリストアップして、優先順位を付けておくのがおすすめです。
②戸籍謄本など相続人の資料を準備
できる範囲で戸籍謄本を取得すると、相談がしやすいでしょう。
相続の相談をする場合、口頭だけで人物関係を適切に伝えるのは難しいものです。
相続関係を家系図のように取りまとめて持って行くなどの工夫が必要です。
家系図を示しながら説明すると、スムーズに説明することができます。
③相続財産の概要の資料を準備
主な財産の種類と内容をリストアップします。
分かる範囲で一覧表にしておくと、相談がしやすいでしょう。
複数の不動産が各地にある場合、口頭だけで適切に伝えるのは難しいものです。
一覧表を示しながら説明すると、スムーズに説明することができます。
4市役所・区役所で相続相談をする流れ
手順①予約方法を確認
市役所や区役所の法律相談は、原則として事前予約が必要です。
ホームページや広報紙で「相談日」「予約開始日」「予約方法」を必ず確認しましょう。
予約枠は限られているから、直前の予約ではほとんど取れません。
手順1つ目は、予約方法を確認することです。
手順②法律相談の予約をとる
ウェブや電話で、法律相談の予約を取ります。
名古屋市では、当日は受付していません。
法律相談を希望する人が多いので、希望どおり予約を取るのは難しいかもしれません。
名古屋市の場合、先着順で予約枠が埋まります。
法律相談の予約は、相談の機会を確保するだけです。
解決を保証するものではありません。
手順2つ目は、法律相談の予約をとることです。
手順③資料を準備
市役所や区役所の法律相談は、20~30分程度しかありません。
要領よく簡潔に相談できるように、資料を準備します。
準備不足だと、重要な質問ができないまま終了になります。
手順3つ目は、資料を準備することです。
手順④相談当日
予約時間の10分前には、到着しておくと安心です。
遅刻すると、相談がさらに短くなります。
手順4つ目は、相談当日です。
手順⑤専門家と相談
相談場所は、個室かパーティションで区切られたスペースです。
リラックスできるように気遣ってくれますが、相談時間は20~30分程度です。
のんびり雑談する時間は、ありません。
準備した資料を見せて、10分程度で要点を絞って質問します。
専門家から10分程度で法的なアドバイスを受けます。
相談内容によっては、司法書士や税理士など他の専門家に相談するようにアドバイスされます。
多くの場合、録音や録画は許可されないでしょう。
専門家からのアドバイスは、メモを取っておくと後で役立ちます。
手順5つ目は、専門家と相談です。
手順⑥相談後の対応
市役所や区役所の法律相談は、一般的なアドバイスのみで根本的解決はできません。
必要に応じて、自分で相続手続を専門家に依頼します。
例えば、次の専門家に依頼するといいでしょう。
・相続登記は、司法書士に
・トラブルや訴訟は、弁護士に
・相続税申告は、税理士に
市役所や区役所の法律相談は、何をすべきか方向性を確認する手段として活用します。
手順6つ目は、相談後の対応です。
5市役所の相続相談より専門家の事務所がおすすめのケース
ケース①相続登記が必要なケース
不動産を保有している人が死亡した場合、不動産の名義変更をします。
相続登記とは、不動産の名義変更です。
相続登記は、相続手続の中でも難しい手続です。
市役所や区役所の法律相談では、不動産があるなら相続登記が必要などのアドバイスを得られるでしょう。
相続登記はどのように申請するのか、どのような準備が必要になるのか、具体的な相談は難しいでしょう。
司法書士は、登記手続の専門家です。
市役所の相続相談より、司法書士事務所がおすすめです。
ケース1つ目は、不動産の名義変更が必要なケースです。
ケース②自筆証書遺言が見つかったケース
自宅などで遺品整理をしていると、自筆証書遺言が見つかることがあります。
相続人であれば、内容が気になるかもしれません。
市役所や区役所の法律相談では、自筆証書遺言を見つけたら家庭裁判所で手続が必要などのアドバイスを得られるでしょう。
一般的に裁判所は、身近な役所ではないでしょう。
手続を不安に思っても、代わりに手続をしてもらうことはできません。
市役所や区役所の法律相談では、その場で依頼することができないからです。
司法書士は、裁判所提出書類作成の専門家です。
市役所の相続相談より、司法書士事務所がおすすめです。
ケース2つ目は、自筆証書遺言が見つかったケースです。
ケース③相続放棄を希望するケース
相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄するか選択することができます。
被相続人に莫大な借金がある場合、相続放棄が選択肢になるでしょう。
市役所や区役所の法律相談では、相続放棄を希望するときは家庭裁判所で手続が必要などのアドバイスを得られるでしょう。
相続放棄には、3か月の期限があります。
市役所や区役所の法律相談で予約が取れなくても、3か月は進行します。
相続放棄の期限3か月が経過したら、自動で単純承認になります。
すみやかに、手続を進める必要があります。
市役所の相続相談より、司法書士事務所がおすすめです。
ケース3つ目は、相続放棄を希望するケースです。
ケース④遺言執行者がいないケース
遺言書がある場合、遺言書の内容どおりに遺産分割をすることができます。
遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。
遺言執行者がいなくても、遺言書は有効です。
市役所や区役所の法律相談では、遺言執行者がいなくても遺言書は無効にならないなどのアドバイスを得られるでしょう。
遺言執行者がいない場合、家庭裁判所に申し立てて遺言執行者を選任してもらうことができます。
遺言執行者がいない場合、相続人全員の協力で遺言書の内容を実現させることができます。
どちらがいいのか、家族によって異なるでしょう。
詳しい事情を聞いてもらう必要があるでしょう。
市役所の相続相談より、司法書士事務所がおすすめです。
ケース4つ目は、遺言執行者がいないケースです。
ケース⑤相続人間でトラブルのケース
相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定する必要があります。
市役所や区役所の法律相談では、相続財産の分け方は相続人全員の合意で決定するなどのアドバイスを得られるでしょう。
相続人全員の合意がまとまらなくて困っている場合、解決になりません。
市役所や区役所の法律相談では、中立的な立場からのアドバイスをするからです。
相続人間でトラブルが発生している場合、弁護士に依頼するのがおすすめです。
ケース5つ目は、相続人間でトラブルのケースです。
ケース⑥遺言書の有効無効を争いたいケース
遺言書を有効に作成するためには、遺言能力が必要です。
遺言能力とは、遺言者が遺言の内容を理解し結果を認識できる能力です。
重度の認知症になってから遺言書を作成しても、無効になるでしょう。
遺言能力が失われたと、判断されるからです。
市役所や区役所の法律相談では、重度の認知症の人が作成した遺言書は無効などのアドバイスを得られるでしょう。
被相続人が作成した遺言書が有効なのか無効なのか、具体的な事情を確認してもらう必要があるでしょう。
遺言書の有効無効を争いたい場合、弁護士に依頼するのがおすすめです。
ケース6つ目は、遺言書の有効無効を争いたいケースです。
ケース⑦相続税申告が必要なケース
相続財産全体の規模が一定以上である場合、相続税申告が必要です。
相続税には基礎控除があるから、9割以上の人は心配する必要がありません。
市役所や区役所の法律相談では、基礎控除額の計算方法などのアドバイスを得られるでしょう。
専門的な控除や特例の適用については、対応できないでしょう。
市役所の相続相談より、税理士事務所がおすすめです。
ケース7つ目は、相続税申告が必要なケースです。
6相続手続を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、家族は悲しみに浸る暇もありません。
親戚知人などへの連絡や葬儀の準備から始まって、膨大な相続手続をする必要があるからです。
相続は何回も経験するものではありませんから、だれにとっても不慣れでスムーズに行きません。
大切な家族を失って気力がない中で手続を進めるのは、とても苦しく辛い作業です。
不動産は重要な財産であることが多いので、一般の方からすると些細なことと思えるようなことでやり直しになります。
簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があることもあります。
法務局の登記相談に行っても、何が良くないのか分からなかったというケースも多いです。
司法書士はこのような方をサポートしております。
相続登記を自分でやってみたけど、挫折した方の相談も受け付けております。
相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。