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1養子縁組後の養子の氏は養親の氏
①養子の氏は原則養親の氏
養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。
養子縁組をすると、養子は養親の氏を称します。
養子が養親の氏を称することは、法律で決められています。
養子が自由に選択する制度は、ありません。
例えば、婚姻すると、夫婦の氏を称します。
配偶者に連れ子がいる場合、連れ子の氏は自動で変更されません。
連れ子と養子縁組をすると、連れ子は養親の氏を称します。
連れ子は、法律上の親子になることができます。
養子縁組後の養子の氏は、自動で決まります。
②大人同士の養子縁組で養親の氏
養子縁組は、幼い子どもだけの制度ではありません。
大人同士で、養子縁組をすることができます。
大人同士で養子縁組をしても、養子は養親の氏を称します。
養子が養親の氏を称することは、法律で決められているからです。
養子が大人であっても、氏を自由に選択する制度はありません。
③婚姻後に養子縁組をしても養親の氏
大人同士で養子縁組をしても、養子は養親の氏を称します。
養子になる人が婚姻中に、養子縁組をすることができます。
婚姻中の夫婦は、同じ氏を称します。
婚姻のときに、一方は氏を変更しません。
婚姻のとき氏を変更しなかった人が養子になる養子縁組をした場合、養親の氏を称します。
養親の氏を称するから、養子の配偶者も養親の氏を称します。
婚姻中の夫婦は、同じ氏を称するからです。
婚姻後に養子縁組をしても、養子は氏を選択することはできません。
④複数の養子縁組で最後の養親の氏
養子縁組に、回数制限はありません。
複数の養子と養子縁組をすることができます。
複数の養子全員が養親の氏を称します。
複数の養親と養子縁組をすることができます。
最後に養子縁組をした養親の氏を称します。
養子縁組の順番を選択できるのなら、氏を選択することができます。
⑤養親と養子が同姓でも養親の氏
養子縁組をすると、養子は養親の氏を称します。
養子縁組をする前から、養親になる人と養子になる人が同じ氏を称していることがあります。
同じ氏を称しても、養子は養親の氏を称します。
養子が養親の氏を称することは、法律で決められているからです。
同じ氏を称していると、見た目に変わりはないように見えます。
法律上養親の氏に変更したから、戸籍は作り直しになります。
作り直した新しい戸籍に、養子縁組事項が記録されます。
⑥特別養子の氏は養親の氏
養子縁組には、2種類あります。
普通養子と特別養子です。
普通養子には、年齢制限がありません。
特別養子には、年齢制限があります。
特別養子は、原則として15歳未満です。
特別養子は、未婚未成年のための制度と言えます。
特別養子は、原則どおり養親の氏の氏を称します。
⑦安易に氏の変更はできない
養子縁組後は、養親の氏を称するのが原則です。
元の氏を維持したい場合、家庭裁判所の許可が必要です。
家庭裁判所は、氏の変更に関して正当な理由を求めます。
単に変えたくないなどの軽い事情では、認められないでしょう。
日常生活や社会生活において、重大な事情があることを客観的証拠で示す必要があります。
家庭裁判所は、正当な理由に関して非常に厳格な審査をします。
氏を変えずに済ませるのは、非常に限定的なケースに限られます。
2養子縁組をしても氏を変えたくない
①氏は自由に選択できない
養子縁組をする場合、市区町村役場に養子縁組届を提出します。
養子縁組届に、氏の選択欄はありません。
養子が氏を自由に選択することができないからです。
養子の氏は、法律の定めによって自動で決まります。

②婚姻による氏は養子縁組の氏に優先する
婚姻中の夫婦は、同じ氏を称します。
婚姻のときに、一方が氏を変更します。
婚姻のとき氏を変更した人が養子になる養子縁組をした場合、養親の氏を称しません。
養子は、婚姻による氏を称します。
婚姻による氏は、養子縁組の氏に優先するからです。
婚姻後に養子縁組をしても、養子は氏を選択することはできません。
養子の氏は、法律の定めによって自動で決まるからです。
③養子縁組後に離婚で養親の氏
婚姻によって氏を変更した人は、離婚によって復氏します。
養子縁組をしているので、養子は原則として養親の氏を称します。
離婚の日から3か月以内に届出をすると、婚姻中の氏をそのまま使うことができます。
届出の名称は、離婚の際に称していた氏を称する届出です。
④養子の子どもの氏に変更はない
養子になろうとする人に、子どもがいることがあります。
子どもがいても、養子縁組をして養子になることができます。
婚姻のとき氏を変更しなかった人が養子になる養子縁組をした場合、養親の氏を称します。
子どもがいても、養子縁組をすると養子は養親の氏を称します。
養親の氏を称するから、養子の配偶者の氏も変更されます。
養親の氏に変更されるのは、養子と養子の配偶者のみです。
養子に子どもがいても、子どもの氏はそのままです。
養子の子どもは、養子縁組の当事者ではないからです。
⑤父母婚姻中は入籍届のみで養子の子どもの氏を変更できる
養子縁組をすると、養子の氏は自動で変更されます。
養子に子どもがいても、養子の子どもの氏は自動で変更されません。
養子と養子の子どもの氏が違うと、不都合が多いでしょう。
父母が婚姻中に限り、戸籍法の届出のみで子どもの氏を変更することができます。
養子の子どもが15歳未満である場合、親権者などの法定代理人が代わりに届出をすることができます。
父母が婚姻中に限り、家庭裁判所の許可は不要です。
子どもが成年であっても未成年であっても、家庭裁判所の許可は不要です。

⑥養子の子どもの氏の変更で家庭裁判所の許可
(1)父母が婚姻中でない場合は家庭裁判所の許可が必要
子どもと父母の氏が異なる場合、子どもの氏の変更には家庭裁判所の許可が必要です。
(2)養子の子どもが成年でも家庭裁判所の許可
子どもの氏の変更には、家庭裁判所の許可が必要です。
子どもが成年であっても未成年であっても、家庭裁判所の許可が必要です。
(3)申立先
子の氏の変更の許可の申立ては、子どもの住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。
複数の子どもが同時に申立てをする場合、いずれか1人の住所地を管轄する家庭裁判所に提出することができます。
家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで確認できます。
(4)申立人
子どもが15歳以上のとき、子ども本人が申立てをします。
子どもが15歳未満のとき、親権者などの法定代理人が申立てをします。
(5)必要書類
子の氏の変更の許可の申立書に添付する書類は、次のとおりです。
・子どもの戸籍謄本
・父母の戸籍謄本
(6)費用
子ども1人につき、手数料800円です。
手数料は、収入印紙で納入します。
手数料とは別に、裁判所が手続で使う郵便切手を予納します。
裁判所ごとに、切手の額面や枚数が決められています。
3養子縁組を解消しても氏を変えたくない
①養子縁組解消で復氏
養子縁組をすると、養子は養親の氏を称します。
養子縁組を解消すると、養子は元の氏を復します。
②条件を満たせば氏はそのまま
養子縁組を解消しても、条件を満たせば養子は氏をそのままにすることができます。
養子が氏をそのままにできる条件は、次のとおりです。
・養子縁組の日から7年以上経過
・養子縁組解消から3か月以内に届出
届出の名称は、離縁の際に称していた氏を称する届です。
離縁の際に称していた氏を称する届は、養子離縁届と同時に提出することができます。

③一方の養子縁組継続中で氏はそのまま
夫婦が養親となる養子縁組をすることがあります。
養子は、養父と養母との養子縁組をしたと言えます。
夫婦の一方との養子縁組のみ、解消することができます。
一方との養子縁組を解消しても、他方との養子縁組は継続中です。
他方との養子縁組は継続中だから、養子は継続中の養親の氏を称します。
養親両方との養子縁組を解消したら、養子は元の氏に復します。
4氏と相続は別問題
①養子は養親を相続する
養子縁組は、養親と養子の間に親子関係を作る制度です。
養子は、養親の子どもです。
養親に相続が発生したら、養子は相続人になります。
養親に実子がいても、養子は相続します。
養子は、養親の子どもだからです。
②普通養子は実親を相続する
養子縁組には、2種類あります。
普通養子と特別養子です。
普通養子は、養子縁組後も実親との親子関係が継続します。
特別養子は、養子縁組後に実親との親子関係が終了します。
実親に相続が発生した場合、普通養子は相続人になります。
普通養子は、養親と実親の両方で相続人になります。
養子縁組をしても氏が別であっても、子どもだからです。
③養子の子どもが養親を代襲相続するケースしないケース
養子縁組をした後に、養子が先に死亡することがあります。
代襲相続とは、相続人になるはずの人が被相続人より先に死亡した場合に子どもなどが相続する制度です。
養子が先に死亡した後で養親が死亡した場合、代襲相続ができるケースとできないケースがあります。
養子縁組前に出生した養子の子どもは、代襲相続ができません。
養子縁組後に出生した養子の子どもは、代襲相続ができまます。
養子の子どもの氏は、無関係です。
5養子縁組がある相続を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、被相続人のものは相続財産になります。
相続財産は相続人全員の共有財産ですから、分け方を決めるためには相続人全員の合意が必要です。
相続人の一部を含めない合意や相続人でない人を含めた合意は無効になります。
相続財産の分け方の話し合いの前提として、相続人の確定はとても重要です。
被相続人に養子がいる場合、養子は相続人になります。
代襲相続や数次相続が発生している場合、一挙に難易度が上がります。
インターネットが普及したことで、多くの情報を手軽に得ることができるようになりました。
簡単に情報発信ができるようになったこともあって、適切でない情報も有益な情報もたくさん出回っています。
相続の専門家と名乗っていながら、適切でないアドバイスを見かけることも度々あります。
スムーズに相続手続を行いたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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