遺言書記載の財産が見つからないときの対処法

1遺言書記載の財産が見つからない原因

原因①財産を把握していないから

遺言書を作成する場合、すべての財産について記載するのが一般的です。

財産の抜け漏れがないように、財産調査をするでしょう。

遺言者が適切に財産を把握していないと、自分の財産でないのに遺言書に記載するかもしれません。

遺言者が適切に財産を把握していないと、遺言書に記載した財産が見つからない原因になります。

原因1つ目は、財産を把握していないからです。

原因②財産を処分したから

遺言書を作成しても、遺言者の財産は遺言者のものです。

遺言者は、自由に自分の財産を処分することができます。

例えば、持っていた不動産を自由に売却することができます。

持っていた預貯金口座を自由に解約することができます。

遺言書を作成した後に財産を処分すると、遺言書に記載した財産が見つからない原因になります。

原因2つ目は、財産を処分したからです。

原因③財産が特定できないから

遺言書を作成する場合、財産を特定して記載することが重要です。

例えば、銀行預金などの記載は、特定できません。

具体的な銀行名、支店名、口座種別、口座番号がないからです。

あいまいな記載をすると、遺言書に記載した財産が見つからない原因になります。

原因3つ目は、財産が特定できないからです。

原因④財産の情報が相続人に伝えてないから

被相続人と相続人が別居していると、被相続人の財産状況を詳しく知らないでしょう。

財産の保管場所や助剤状況について、何も知らないことがあります。

財産の情報が相続人に伝えてないと、遺言書に記載した財産が見つからない原因になります。

原因4つ目は、財産の情報が相続人に伝えてないからです。

原因⑤財産を隠されたから

財産の存在や財産の証拠となる書類が隠されることがあります。

財産を隠されると、遺言書に記載した財産が見つからない原因になります。

原因5つ目は、財産を隠されたからです。

2遺言書記載の財産が見つからないときの対処法

①不動産は名寄帳と登記簿謄本を取得

名寄帳とは、その人が所有する不動産の一覧表です。

名寄帳は、「なよせちょう」と読みます。

不動産を持っていると、固定資産税を納める必要があります。

市区町村は固定資産税を課税するために、固定資産税課税台帳を作成しています。

名寄帳は、固定資産税課税台帳を所有者ごとにまとめた書類です。

名寄帳を見ると、その人が所有する不動産をまとめて確認することができます。

名寄帳は、その人の重要な財産に関する書類です。

機密性の高い個人情報であることを考慮して、名寄帳を発行していない市町村があります。

名古屋市では、令和7年から名寄帳が発行されるようになりました。

名寄帳は、毎年1月1日現在の情報が記載されています。

現在の状況は、登記簿謄本を取得して確認します。

②預貯金は各金融機関に問合わせ

銀行などの預貯金口座は、日常生活に欠かせません。

多くの人が複数の口座を使い分けているでしょう。

希望すれば、銀行などの預貯金口座とマイナンバーを紐づけしておくことができます。

預貯金口座とマイナンバーを紐づけした場合、相続時照会をすることができます。

相続時照会とは、複数の金融機関の口座を一括して調査する制度です。

相続時照会には、手数料が必要です。

銀行などの預貯金口座とマイナンバーを紐づけする制度を預貯金口座付番制度と言います。

預貯金口座付番制度自体の知名度は、あまり高くありません。

預貯金口座付番制度を利用していないことがほとんどでしょう。

預貯金口座付番制度を利用していない場合、複数の金融機関の口座を一括して調査する方法はありません。

預貯金口座付番制度を利用していない場合、地道に各金融機関に口座の有無を確認します。

自宅近辺の金融機関を優先的に調査するといいでしょう。

自宅に保管してある書類や郵便物、メールなどの履歴が手掛かりになります。

③株式は証券保管振替機構へ照会

被相続人が株式投資をしていた場合、証券会社に口座を持っているでしょう。

自宅に保管してある書類や郵便物、メールなどの履歴から、証券会社に連絡するといいでしょう。

証券会社に、預かり資産残高証明書を発行してもらうことができます。

証券会社が見つからない場合、証券保管振替機構に照会することができます。

証券保管振替機構に登録済加入者の開示請求をすると、被相続人名義の証券口座がどこの証券会社にあるのか確認することができます。

④借金は信用情報機関に照会

相続財産には、プラスの財産とマイナスの財産があります。

マイナスの財産がある場合、借用書や借入残高明細書などが見つかるでしょう。

借用書や借入残高明細書から、債権者に連絡するといいでしょう。

債権者が見つからない場合、信用情報機関に照会することができます。

信用情報機関には、次の3つがあります。

・日本信用情報機構(JICC)

・株式会社シー・アイ・シー(CIC)

・全国銀行協会全国銀行個人信用情報センター

信用情報機関に照会すると、どこにどのような借金があるのか確認することができます。

莫大な借金が見つかった場合、3か月以内なら家庭裁判所で相続放棄をすることができます。

⑤司法書士などの専門家に相談

相続財産調査に知識がないと、難航しがちです。

手続が煩雑な場合、司法書士などの専門家に相談するのがおすすめです。

わずらわしい相続財産調査は、司法書士などの専門家におまかせすることができます。

⑥生前に処分された財産は相続できない

遺言書記載の財産が見つからない場合、被相続人が生前に処分していることがあります。

被相続人が生前に処分している場合、遺言書に記載してあっても財産を受け取ることができません。

被相続人が生前に処分したら、遺言書は撤回したと考えられます。

生前に処分された財産は、相続できません。

3遺言書に記載がない財産が見つかったときの対処法

①売却代金は自動で相続できない

遺言書を作成した後に、財産を取得することがあります。

作成後に取得した財産は、遺言書に何も書いてないことがほとんどでしょう。

例えば、「不動産〇〇を相続人〇〇〇〇に相続させる」遺言書が見つかったのに、不動産〇〇を生前に売却していることがあります。

被相続人が生前に処分している場合、遺言書に記載してあっても財産を受け取ることができません。

相続人〇〇〇〇は、不動産〇〇を相続することはできません。

不動産〇〇を生前に売却した場合、被相続人は売却代金を受け取っているはずです。

売却代金は、不動産〇〇とは別の財産です。

相続人〇〇〇〇は、売却代金を自動で受取ることはできません。

売却代金について、遺言書には何も書いてないからです。

②遺言書に記載がない財産があっても遺言書は有効

遺言書を作成して、財産の分け方を指定することができます。

一部の財産についてだけ分け方を指定しても、問題はありません。

遺言書に記載がない財産があっても、遺言書は有効です。

遺言書に記載がない財産だけ、遺産分割協議をすればいいからです。

③遺言書に記載がない財産は遺産分割協議

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方を決めるため相続人全員でする話し合いです。

売却代金の分け方について遺言書に何も書いてない場合、自動で相続できません。

相続人全員の合意があれば、相続人〇〇〇〇が相続することができます。

相続人〇〇〇〇が売却代金を受け取るには、相続人全員の合意が不可欠です。

④債権者は法定相続分で相続人全員に請求できる

遺言書に記載がない借金が見つかることがあります。

債務者が死亡しても、借金は帳消しになりません。

借金は、相続人全員に法定相続分で相続されます。

債権者は、相続人全員に法定相続分で借金の返済を請求することができます。

⑤相続人間で借金の負担割合を決めることができる

借金は、相続財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

借金の分け方は、相続人全員の合意で決定することができます。

借金の負担割合を相続人全員の合意で決めても、相続人間の内部的合意です。

債権者には関係ないから、法定相続分で借金の返済を請求することができます。

借金の負担割合を相続人全員の合意で決めたから借金の返済はしないと、文句を言うことはできません。

債権者に借金を返済した後で、借金を負担する相続人に請求することができます。

4遺言書記載の財産が見つからないトラブルの防止法

①遺言書作成前の財産確認

遺言書は、全財産について記載するのがおすすめです。

遺言書を作成する前に、預貯金、不動産、株式、有価証券などを洗い出します。

預貯金の通帳、権利証や登記簿謄本、預かり資産残高明細書などを準備して、財産を客観的に特定します。

トラブルの防止法1つ目は、遺言書作成前の財産確認です。

②財産を客観的特定できる記載

あいまいな記載をすると、遺言書に記載した財産が見つからない原因になります。

財産を客観的特定できる記載が重要です。

例えば、土地なら、所在と地番を記載します。

建物なら、所在と家屋番号を記載します。

土地や建物の登記簿謄本を取得して、登記簿謄本の記載を書き写します。

預貯金なら、銀行名、支店名、預金種別、口座番号を記載します。

通帳を見て、間違いなく書き写します。

トラブルの防止法2つ目は、財産を客観的特定できる記載です。

③遺言書の定期的な見直し

遺言書は、作成したら終わりではありません。

遺言書を作成しても、財産は遺言者のものだからです。

遺言者は、自分の財産を自由に処分することができます。

遺言書に記載した財産を処分したら、遺言書の書き直しがおすすめです。

遺言書は、何度でも書き直すことができます。

遺言書を書き直すときに、相続人などの同意は不要です。

遺言書を書き直すことで、より良い遺言書にすることができます。

トラブルの防止法3つ目は、遺言書の定期的な見直しです。

④家族と情報共有

財産の所在や遺言書を作成した事実は、家族と共有しておくことがおすすめです。

相続発生後に家族が混乱することを防止できるからです。

トラブルの防止法4つ目は、家族と情報共有です。

⑤専門家のサポートを活用

遺言書の作成は、司法書士などの専門家のサポートを受けることができます。

司法書士などの専門家のアドバイスを受けることで、トラブルになりにくい遺言書を作成することができます。

トラブルの防止法5つ目は、専門家のサポートを活用です。

5財産調査を司法書士に依頼するメリット

相続が発生したら、家族は大きな悲しみに包まれます。

大きい悲しみのなかで、もれなく迅速に相続財産を調査するのは身体的にも精神的にも大きな負担になります。

財産調査を司法書士などの専門家に依頼すれば、家族の疲れも軽減されるでしょう。

被相続人の財産は、相続人もあまり詳しく知らないという例が意外と多いものです。

悲しみの中で被相続人の築いてきた財産をたどるのは切なく、苦しい作業になります。

相続財産調査のためには、銀行などの金融機関からたくさんの書類の提出が求められます。

必要書類の取り寄せも含め、手続をおまかせいただけます。

仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続きを丸ごとおまかせできます。

財産調査でお疲れが出る前に、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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