戸籍謄本に子どもの記載がない

1戸籍謄本に子どもの記載がない

①戸籍の改製で作り直しがされる

戸籍は、その人の身分事項が記録される帳簿です。

本籍地の市区町村役場に備えられています。

戸籍の様式や編成基準は、法律で決められています。

法律が改正されると、新しい様式や編成基準に合わせて戸籍が作り直されます。

戸籍の改製とは、法律の改正で戸籍が作り直されることです。

戸籍の改製で、作り直しがされます。

②転籍で戸籍は作り直しがされる

戸籍の筆頭者及び配偶者は、本籍地を変更することができます。

転籍とは、本籍地を変更することです。

同じ市区町村内で本籍地を変更する場合、戸籍は作り直しがされません。

転籍先が現在の本籍地の市区町村と異なる場合、戸籍は作り直しがされます。

別の市区町村に転籍した場合、戸籍は作り直しがされます。

③作り直しで書き写されない項目がある

戸籍の改製があるとき、戸籍が作り直しがされます。

別の市区町村に転籍した場合、戸籍は作り直しがされます。

戸籍が作り直される場合、すべての項目が書き写されるわけではありません。

新しい戸籍に書き写される項目と書き写されない項目があります。

新しい戸籍に書き写される項目は、戸籍法施行規則第39条第1項に定められています。

新しい戸籍に書き写される項目は、次のとおりです。

(1)出生に関する事項

(2)嫡出でない子について、認知に関する事項

(3)養子について、現に養親子関係の継続するその養子縁組に関する事項

(4)夫婦について、現に婚姻関係の継続するその婚姻に関する事項及び配偶者の国籍に関する事項

(5)現に未成年者である者についての親権又は未成年者の後見に関する事項

(6)推定相続人の廃除に関する事項でその取消しのないもの

(7)日本の国籍の選択の宣言又は外国の国籍の喪失に関する事項

(8)名の変更に関する事項

(9)性別の取扱いの変更に関する事項

戸籍が作り直されるとき、新しい戸籍に書き写されない項目があります。

④除籍された子どもは書き写されない

戸籍は、その人の身分事項が記録される帳簿です。

子どもが戸籍を抜けた場合、生きていれば新たな戸籍に身分事項が記録されているはずです。

除籍とは、戸籍を抜けることです。

子どもが戸籍を抜けた後、改製や転籍をすることがあります。

改製や転籍で新たな戸籍が作られた場合、除籍された子どもは書き写されません。

改製後や転籍後の戸籍謄本に、子どもは記載されません。

改製後や転籍後の戸籍謄本だけを見ると、除籍された子どもに気づけないでしょう。

除籍された子どもは、新しい戸籍に書き写されません。

⑤父の戸籍に認知事項が書き写されない

戸籍が作り直されるとき、新しい戸籍に書き写されない項目があります。

書き写される項目は、先に説明したとおりです。

認知とは、婚姻関係にないカップルの間に生まれた子どもについて自分の子どもと認めることです。

認知をして、自分の子どもだと認めるのは一般的には父親です。

通常、母は出産の事実によって母親であることが確認できるからです。

市区町村役場に認知届を提出すると、父の戸籍と子どもの戸籍の両方に記載されます。

認知をした後、改製や転籍をすることがあります。

改製や転籍で新たな戸籍が作られた場合、父の戸籍に認知事項は書き写されません。

改製や転籍で新たな戸籍が作られた場合、子どもの戸籍に認知事項は書き写されます。

新しい戸籍に書き写される項目は、嫡出でない子について、認知に関する事項と決められているからです。

書き写すのは、嫡出でない「子」についてだけです。

嫡出でない「子の親」については、対象外です。

戸籍法施行規則第39条第1項に定められていないから、父の戸籍に認知事項は書き写されません。

改製後や転籍後の父の戸籍謄本に、認知事項は記載されません。

改製後や転籍後の戸籍謄本だけを見ると、認知された子どもに気づけないでしょう。

認知事項は、父の新しい戸籍に書き写されません。

2除籍されても相続人

①婚姻した子どもは相続人

子どもが法律上の婚姻をした場合、新しく夫婦の戸籍が作られます。

親の戸籍から除籍されて、夫婦の戸籍に入ります。

夫婦の戸籍が作られても、親子関係には何も影響はありません。

結婚しても、親子は親子です。

結婚しても、兄弟姉妹は兄弟姉妹です。

結婚で除籍されても、相続人になります。

②養子縁組をしても普通養子なら相続人

養子には、2種類あります。

特別養子と普通養子です。

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。

子どものいない夫婦が養子縁組をする、配偶者の連れ子と養子縁組するといったことは日常的に聞くことあります。

一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

普通養子では、養子縁組をする当事者の合意が重視されます。

当事者が合意をして、市区町村役場に届出をするだけで手続ができます。

特別養子は、子どもの福祉が重視されます。

子どもの福祉のために家庭裁判所が慎重に判断して決定します。

養子は、原則として、養親の戸籍に入ります。

現在の戸籍から除籍されて、養親の戸籍に移ります。

普通養子による養子縁組をした場合、実親との親子関係は継続します。

養親の戸籍に移っても、親子関係には何も影響はありません。

普通養子による養子縁組をしても、親子は親子です。

普通養子による養子縁組をしても、兄弟姉妹は兄弟姉妹です。

普通養子による養子縁組で除籍されても、相続人になります。

養親が戸籍の筆頭者や筆頭者の配偶者でないことがあります。

戸籍の筆頭者や筆頭者の配偶者でない人が養親になる養子縁組をする場合、新しい戸籍が作られます。

養子は、新しい戸籍に入ります。

養子が養親の現在の戸籍に入る場合と養親の新しい戸籍に入る場合があります。

市区町村役場にある帳簿の作り方が違うだけに過ぎません。

養子になる人が婚姻中の場合、養親の戸籍に入ることはありません。

婚姻中の人は、夫婦の戸籍に入っているからです。

戸籍の身分事項に養子縁組をしたことが記録されます。

婚姻中の人が養子になる場合、もともと別の戸籍にいます。

もともと別の戸籍にいても、養子は子どもです。

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度だからです。

実親にとっても子どもで、養親にとっても子どもです。

実親の相続人になるし、養親の相続人になります。

養親の戸籍に移っても、もともと別の戸籍にいても、相続人になります。

③分籍した子どもは相続人

多くの場合、親と未婚の子どもは同じ戸籍に入っています。

分籍とは、届出人を筆頭者とする新しい戸籍を作る手続です。

分籍は、戸籍の筆頭者と筆頭者の配偶者以外の18歳以上の人がすることができます。

分籍をすると、親の戸籍から除籍されて新しい戸籍が作られます。

親の戸籍から抜けて、新しい戸籍が作られるだけです。

市区町村役場にある帳簿が新しくなったに過ぎません。

親子関係には、何も影響がありません。

分籍をしても、親子は親子です。

分籍をしても、兄弟姉妹は兄弟姉妹です。

分籍で除籍されても、相続人になります。

④離婚後も子どもは相続人

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人に離婚歴があることがあります。

離婚の際に、子どもは元配偶者に引き取られることがあります。

元配偶者が引き取った子どもは、被相続人の子どもです。

被相続人が離婚をしても、親子関係には何も影響はありません。

元配偶者が引き取っても、親子関係がなくなることはありません。

被相続人が離婚したとき、子どもが未成年であることがあります。

元配偶者が引き取った子どもの親権は、元配偶者が持つことがあります。

どちらが親権を持っても、親子関係には何も影響はありません。

元配偶者が親権を持っても、親子関係がなくなることはありません。

被相続人が離婚をした場合、元配偶者は除籍されます。

何もしなければ、子どもの戸籍はそのままです。

子どもを引き取った元配偶者が自分と同じ氏を名乗ってほしいと思うことがあります。

子どもの氏は、家庭裁判所の許可を得て変更することができます。

家庭裁判所で氏の変更が認められた後、子どもを自分と同じ戸籍に入れておきたいと思うでしょう。

市区町村役場に入籍届を提出することで、子どもを自分と同じ戸籍に入れておくことができます。

被相続人の元配偶者が子どもを引き取った場合、子どもは元配偶者の戸籍に入っていることが多いでしょう。

戸籍は、単なる帳簿に過ぎません。

被相続人が離婚をしても、親子は親子です。

被相続人が離婚をしても、兄弟姉妹は兄弟姉妹です。

被相続人の離婚で戸籍から除籍されても、相続人になります。

3相続手続で戸籍謄本が必要になる

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②被相続人に出生~死亡の連続した戸籍謄本が必要

戸籍の改製があるとき、戸籍が作り直しがされます。

別の市区町村に転籍した場合、戸籍は作り直しがされます。

戸籍が作り直される場合、すべての項目が書き写されるわけではありません。

死亡時の戸籍謄本だけ見ると、除籍された子どもや認知された子どもを見落としてしまうでしょう。

戸籍を抜けても、被相続人の子どもは相続人になります。

相続人の確認のため、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要になります。

③委任状なしで子どもの戸籍謄本を取得できる

相続人調査をする場合、被相続人の戸籍謄本の他に相続人全員の戸籍謄本を準備する必要があります。

相続が発生した時点で、相続人が生きていることを証明するためです。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

子どもの戸籍謄本が必要になります。

委任状なしで戸籍謄本を取得できる人は、次の人です。

(1)同一戸籍の人

(2)配偶者

(3)直系尊属

(4)直系卑属

戸籍が別になっても、委任状なしで子どもの戸籍謄本を取得することができます。

④広域交付で子どもの戸籍謄本を取得できる

戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場に請求するのが原則です。

戸籍謄本の広域交付とは、本籍地以外の近隣の市区町村役場で戸籍謄本を取得できる制度です。

委任状なしで戸籍謄本を取得できる人は、戸籍謄本の広域交付を利用することができます。

戸籍謄本の広域交付は、窓口請求のみの対応です。

代理人による請求や郵送請求は、対象外です。

戸籍が別になっても、広域交付で子どもの戸籍謄本を取得することができます。

4相続人調査を司法書士に依頼するメリット

本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。

古い戸籍は現在と形式が違っていて読みにくいものです。

手書きの達筆な崩し字で書いてあると、分かりにくいでしょう。

慣れないと戸籍集めはタイヘンです。

本籍地を何度も変更している方や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている方は、戸籍をたくさん渡り歩いているので、膨大な手間と時間がかかることが多くなります。

戸籍には被相続人の結婚や離婚、子どもや養子の存在といった身分関係がすべて記録されています。

家族の方が知らない相続人が明らかになることもあります。

相続人を確定させるために戸籍を集めるだけでも、知識のない一般の人にはタイヘンな作業です。

家族の方が知らない相続人が明らかになると、精神的な負担はさらに大きいものになります。

相続手続のうち、専門家に任せられるものは任せてしまうといいでしょう。

家族の事務負担を軽減することができます。

戸籍謄本や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

相続人調査でお困りの方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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