共有名義人の片方が死亡したときの相続

1他の共有者に影響はない

①死亡した共有者の共有持分は相続財産

被相続人が不動産などを共有していることがあります。

共有名義人の片方が死亡すると、死亡した共有者の共有持分は相続財産です。

死亡した共有者の共有持分は、相続人に相続されます。

②共有名義人の片方が死亡したときの登場人物

共有物をめぐる登場人物は、次のとおりです。

・死亡した共有者

・死亡した共有者の相続人

・他の共有者

配偶者は、常に相続人になります。

例えば被相続人が夫婦で不動産を共有している場合、他の共有者は配偶者です。

配偶者は、他の共有者であると同時に相続人です。

例えば被相続人が第三者と不動産を共有している場合、他の共有者は相続人ではありません。

③他の共有者の持分に影響はない

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

共有名義人の片方が死亡したら、死亡した共有者の相続人が相続手続をします。

他の共有者に、影響はありません。

他の共有者の持分は、何も影響がありません。

共有名義人の片方が死亡したことで、持分が増えることも減ることもありません。

相続人がだれであっても何人であっても、持分が増えることも減ることもありません。

2共有名義人の片方が死亡したときの相続

①他の共有者は何もしなくていい

共有名義人の片方が死亡しても、他の共有者は相続手続に関与しません。

他の共有者は、相続に関与する権利も義務もないからです。

相続人である他の共有者は、相続人として相続手続に関与します。

他の共有者として、相続手続に関与することはありません。

死亡した共有者の相続人は、よく知らない人かもしれません。

不動産を共有していれば、見知らぬ相続人が現れるのは止むを得ません。

共有に内在する当然のリスクと言えます。

相続手続をするため、相続人間で連絡を取る必要があるでしょう。

連絡が取れないなら、相続人間で手段を講じます。

他の共有者は、何かする必要はありません。

相続人が希望すれば、死亡した相続人の共有持分を相続人から買い取ることができます。

相続人と協力できれば、共有不動産全体を売却することができます。

共有名義人の片方が死亡しても、他の共有者に影響はありません。

②共有持分を取得する人は遺産分割協議で決める

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産です。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

被相続人の共有持分は、相続財産のひとつです。

被相続人の共有持分をだれが取得するのか、遺産分割協議で決定します。

相続人全員の合意ができるのであれば、共有者である相続人が相続できるといいでしょう。

相続人全員の合意が難しい場合、安易に共有持分を細分化することはおすすめできません。

不動産の共有は、デメリットが大きいからです。

③他の共有者が自動的に相続するわけではない

被相続人が不動産を共有している場合、被相続人の共有持分は相続人に相続されます。

被相続人が相続人のひとりと不動産を共有していた場合、何となく共有者が相続すると思うかもしれません。

共有者のひとりが相続人である場合、自動的に被相続人の共有持分を相続できるといったことはありません。

他の共有者であっても、優先権はないからです。

自動的に相続できると誤解すると、相続人間で話し合いが付かなくなるおそれがあります。

他の共有者が相続人だから、自動的に相続するといったルールはありません。

④共有持分の相続登記

(1)申請人

遺産分割協議が成立したら、相続登記をします。

共有持分を取得する相続人からの単独申請です。

(2)必要書類

必要書類は、次のとおりです。

・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

・被相続人の住民票の除票または戸籍の附票

・相続人全員の現在戸籍

・不動産を相続する人の住民票

・遺産分割協議書

・相続人全員の印鑑証明書

・固定資産税の評価証明書

共有持分の相続登記をする場合、必要な書類は所有権すべての相続登記をする場合とまったく一緒です。

(3)登録免許税

相続登記をするときに、登録免許税を納めます。

相続登記の登録免許税は、対象になる不動産の固定資産評価額の1000分の4が課されます。

共有持分の相続登記をする場合、固定資産税評価額の持分割合の1000分の4が課されます。

例えば、共有持分が10分の1の場合、固定資産税評価額の10分の1の1000分の4が課されます。

固定資産税評価額が1億円の不動産の場合、移転した持分の価額は1000万円です。

登録免許税は、4万円を納めることになります。

(4)登録免許税が非課税になる

共有持分の評価額が100万円以下になる場合、登録免許税が非課税になります。

固定資産税評価額が500万円の不動産の場合で、かつ、共有持分が10分の1の場合、移転した持分の価額は50万円です。

共有持分の評価額が100万円以下になる場合だから、登録免許税が非課税になります。

申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」明記する必要があります。

⑤相続登記義務化は相続人の義務

令和6年4月1日から相続登記は、3年以内に登記申請をする義務が課されました。

相続登記の期限3年以内に登記申請をしないと、10万円以下のペナルティーの対象になります。

ペナルティーを受けるのは、死亡した共有者の相続人です。

相続登記の義務は、相続人の義務だからです。

たとえ相続人が相続登記をしなくても、他の共有者がペナルティーを受けることはありません。

共有持分の相続登記も、相続登記義務化の対象です。

ペナルティーを払っても、相続登記を代わりにやってくれることはありません。

3死亡した共有者に相続人がいないときの共有持分の行方

①相続債権者に支払われる

被相続人が天涯孤独で、親族がいないこともあります。

配偶者、子ども、親などの直系尊属、兄弟姉妹がだれもいない場合、相続人不存在になります。

相続人がいても、相続放棄をすることがあります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

相続人不存在の場合、相続財産は清算されます。

原則として、相続財産は売却して、相続債権者への支払にあてられます。

被相続人が共有持分を持っていた場合、共有持分は相続財産になります。

共有持分は売却しようとしても、買い手が見つからないのが通常です。

買い手が見つかったとしても、著しく価格が低くなるでしょう。

確かに、共有持分を買い取る業者はいます。

買い取り額は、おおむね時価の1~3割程度です。

多くの場合、他の共有者に買取をお願いすることになります。

被相続人と不動産を共有していた人が対価を支払って、被相続人の共有持分を買い取ることになります。

②家庭裁判所の決定で特別縁故者に分与

特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故があった人です。

特別縁故者に認められるのは、次の人です。

・事実婚・内縁の配偶者

・事実上の養子など被相続人と生計を同じくしていた者

・被相続人の療養看護に努めた者

家庭裁判所の決定で、特別縁故者に対して被相続人の財産が分与されます。

受け取る財産は、家庭裁判所が決めます。

被相続人の財産の全部であることもあるし、一部だけのこともあります。

被相続人がたくさんの財産を残しても、特別縁故者が受け継ぐ財産はほんの少ししか認められないこともあります。

③他の共有者が取得するのはレアケース

被相続人と不動産を共有していた人が共有持分を取得します。

他の共有者が共有持分を取得するのは、費用と時間がかかります。

他の共有者が受け継ぐまで、手続が複雑です。

共有者が特別縁故者と話し合いをしたり財産を勝手に分けたりすることはできません。

家庭裁判所に相続財産清算人を選んでもらうところから、手続がスタートします。

相続財産清算人と家庭裁判所の手を借りて、ひとつひとつ手続をするしかありません。

相続財産清算人を選んでもらうためには、家庭裁判所に予納金を納める必要があります。

予納金は管理する財産の状況によって違いますが、100万円程度かかるのが目安です。

他の共有者が受け継ぐまで、たくさんの費用がかかります。

被相続人が死亡してから、共有者が受け継ぐまで1年以上の時間がかかります。

④遺言書があると手続がラク

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

遺言書を作成して、財産をだれに引き継ぐか決めておくことができます。

共有者に自分の共有持分を受け取ってもらう気持ちがある場合、遺言書は有効です。

遺言書があると、手続がラクになるからです。

遺言書がない場合、家庭裁判所の手を借りて1年以上の時間をかけて手続することになります。

遺言書を作成して、共有持分を遺贈することができます。

遺贈とは、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に、財産を受け取ってもらう制度です。

だれに引き継ぐか、遺言者本人が自分で決めることができます。

4不動産の共有はデメリットが大きい

デメリット①共有物を処分するには共有者全員の合意が必要

共有財産は、共有している人全員が合意しないと、処分はできません。

処分するとは、共有物を売却する、第三者に賃貸することなどです。

たくさんの人で共有している場合、合意がまとまりにくくなります。

共有者の多数決では、ありません。

1人でも反対の人がいると、共有者全員の合意があるとは言えなくなります。

1人でも反対の人がいると、処分はできません。

デメリット②共有者に相続が発生する

共有物を処分するためには、共有者全員の合意が必要です。

共有者が多くなると、共有者全員の合意が難しくなります。

簡単に、合意ができなくなります。

共有者全員の合意ができないから、売却などの判断は先延ばししがちです。

せっかくの資産なのに、事実上、利活用ができなくなります。

判断の先延ばしにより長期間経過すると、共有者に相続が発生することがあります。

共有者に相続が発生すると、共有者の共有持分は相続財産になります。

相続財産とは言うものの、利活用が難しい財産です。

共有者の相続人は、だれも積極的に相続したがらないでしょう。

死亡した共有者の共有持分を、相続人全員が法定相続分で細分化して共有することがあります。

だれもが相続したがらないから、やむを得ないともいえます。

このような相続が何人もの共有者の間で発生することがあります。

さらに共有者がたくさんになり、共有持分がさらに細分化されます。

相続したくない財産だから、相続登記を先延ばししがちです。

だれにどれだけの共有持分があるのか登記簿謄本を見ても、分からなくなります。

デメリット③共有持分を売却するおそれ

共有物全体を売却する場合、共有者全員の合意が必要です。

それぞれの共有者が持っている共有持分を売却する場合、他の共有者の合意は不要です。

あまり知られていませんが、共有者が持っている共有持分を買い取る業者がいます。

共有持分を買い取る業者は、ビジネスです。

遠慮なく共有者としての権利を主張します。

共有者としての権利とは、共有持分買取請求や共有物分割請求などです。

共有者間で話し合いができなければ、当然、裁判所に持ち込まれることになるでしょう。

共有持分を買い取る業者は、弁護士を付けてくるでしょう。

知識のない一般の人では、対応できません。

弁護士に依頼することになるでしょう。

一部の共有者が自分の共有持分を売却した場合、大きなトラブルに巻き込まれることになります。

5遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

不動産を共有している場合、共有者は親子や兄弟などの近い関係の人が多いでしょう。

共有者の片方に相続が発生した場合、共有者が相続人であることが多いでしょう。

共有者だから当然に相続できると誤解していることがあります。

他の相続人から見ると一方的に相続すると言われているのだからいい気持ちはしません。

相続人間のトラブルに発展しがちです。

相続手続は、タイヘンです。

単なる相続人の誤解や無理解で、トラブルに発展するからです。

不動産の共有は、デメリットが大きいのでおすすめできません。

相続人全員が合意できるのであれば、共有者が被相続人の共有持分を相続するのがおすすめです。

相続人全員の合意ができれば、です。

相続人全員が正しい知識があれば、防げるトラブルと言えます。

司法書士は、相続人をサポートすることができます。

適切な遺産分割協議をするために、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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