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1遺言書を作成して遺贈
①相続人になる人は法律で決まっている
相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
相続人になる人は、次のとおりです。
(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。
(1)配偶者は必ず相続人になる
(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども
(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属
(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹
②相続人にも相続人以外にも遺贈ができる
自分が生きている間、自分の財産は自由に処分することができます。
遺言書を作成して自分が死亡した後、自分の財産をだれに引き継いでもらうのか自由に決めることができます。
遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。
相続人になる人は、法律で決まっています。
相続できるのは、法律で決められた相続人のみです。
疎遠になった相続人より、お世話になった人に財産を引き継いでもらいたいことがあるでしょう。
相続人以外の人は、相続できません。
相続人は、相続することができるし遺贈を受けることができます。
遺贈を受ける人を受遺者と言います。
相続人以外の人は、相続することはできないけど遺贈を受けることができます。
遺言書を作成すれば、相続人にも相続人以外の人にも遺贈をすることができます。
2相続人に遺贈するとき単独申請ができる
①令和5年4月1日以降単独申請ができる
相続人は、相続することができるし遺贈を受けることができます。
遺言書に「相続させる」と書いていれば、相続で手続をします。
遺言書に「遺贈する」と書いていれば、遺贈で手続をします。
相続人が不動産を相続する場合、相続登記をします。
相続登記は、相続人の単独申請です。
相続人が不動産の遺贈を受ける場合、遺贈による所有権移転登記をします。
遺贈による所有権移転登記は、権利者と義務者の共同申請です。
令和5年4月1日に、法改正がありました。
相続人が不動産の遺贈を受ける場合、権利者の単独申請ができます。
令和5年4月1日以降に申請する登記は、単独申請が認められます。
令和5年4月1日以前に相続が発生していても、単独申請が認められます。
相続人に遺贈する場合、令和5年4月1日以降は単独申請ができます。
②相続人に遺贈で単独申請するときの登記申請書
記載例
登記の目的 所有権移転
原因 令和〇年〇月〇日遺贈
権利者(申請人) 〇〇市〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇号
〇〇〇〇 印
義務者 〇〇市〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇号
〇〇〇〇
添付情報 登記原因証明情報
住所証明情報
令和〇年〇月〇日申請 〇〇法務局
課税価額 金〇〇〇〇万円
登録免許税 金〇〇〇〇円
③相続人に遺贈するとき権利証と印鑑証明書は不要
相続人に遺贈する場合、単独申請ができます。
義務者の関与は、不要です。
所有権移転登記をする場合、義務者の意思確認のため権利証と印鑑証明書を提出します。
相続人に遺贈する場合、権利証と印鑑証明書は不要です。
④相続人であることは戸籍謄本で証明する
遺贈による所有権移転登記をする場合、権利者と義務者の共同申請が原則です。
相続人に対する遺贈の場合のみ、単独申請が認められます。
単独申請をする場合、受遺者が相続人であることを証明する必要があります。
相続人であることは、戸籍謄本で証明します。
⑤相続人に遺贈するとき登録免許税は1000分の4
所有権移転登記を申請する場合、登録免許税を納める必要があります。
登録免許税は、固定資産税評価額に対して税率をかけて計算します。
遺贈による所有権移転登記をする場合、登録免許税の税率は1000分の20です。
相続人に遺贈である場合、登録免許税の税率は1000分の4に軽減されます。
⑥相続人に遺贈するとき住所変更は不要
不動産を取得したら、登記をするでしょう。
登記簿には、不動産を取得したときの住所が記録されています。
遺贈の登記をする場合、遺言者の住民票の除票を提出します。
遺言者の住民票の除票には、死亡時の住所が記録されています。
登記簿を確認すると、登記簿上の住所と死亡時の住所が異なることがあります。
住民票を移しても、登記簿上の住所は自動で変更されないからです。
登記簿上の住所と死亡時の住所が異なる場合、別人と判断されます。
別人と判断されたら、登記をすることはできません。
相続人に対する遺贈の登記をする場合、前提として住所変更登記をする必要はありません。
登記簿上の住所と死亡時の住所が異なるまま、遺贈の登記をすることができます。
住所変更登記をしなくていいけど、住所の移り変わりを証明する必要があります。
住所の移り変わりは、住民票や戸籍の附票で証明します。
3受遺者を遺言執行者に指名して単独申請
①遺言執行者は遺言書で指名できる
遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。
遺言書を作成するだけでは、意味がありません。
遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。
遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。
遺言書の内容を実現するため、必要な権限が与えられます。
遺言者は、遺言執行者を自由に選任することができます。
遺言執行者は、遺言書で指名することができます。
②受遺者を遺言執行者に指名できる
遺言執行者は、遺言者が自由に指名することができます。
遺言執行者になるのに、特別な資格はありません。
未成年者と破産者が遺言執行者になれないだけです。
遺言執行者として、相続人や受遺者を指名することができます。
不動産を遺贈をする場合、遺贈による所有権移転登記をします。
遺贈による所有権移転登記は、権利者と義務者が共同で申請します。
権利者は、受遺者です。
義務者は、遺言執行者です。
受遺者が遺言執行者である場合、他の人の協力が不要です。
受遺者が遺言執行者である場合、事実上の単独申請になります。
③受遺者が遺言執行者のときの登記申請書
記載例
登記の目的 所有権移転
原因 令和〇年〇月〇日遺贈
権利者 〇〇市〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇号
〇〇〇〇 印
義務者 〇〇市〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇号
亡〇〇〇〇
上記遺言執行者 〇〇市〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇号
〇〇〇〇 印
添付情報 登記原因証明情報
登記識別情報
印鑑証明書
住所証明情報
令和〇年〇月〇日申請 〇〇法務局
課税価額 金〇〇〇〇万円
登録免許税 金〇〇〇〇円
④権利証がないときは遺言執行者の本人確認
相続人に遺贈するとき、権利証と印鑑証明書は不要です。
相続人以外の人に遺贈するとき、権利証と印鑑証明書は必要です。
権利証は、被相続人が不動産を取得したときの権利証です。
印鑑証明書は、遺言執行者の印鑑証明書です。
被相続人が不動産を取得したときの権利証は、被相続人の家族が保管しているでしょう。
権利証の保管場所を家族と共有していないかもしれません。
法務局に権利証を提出できない場合、司法書士が本人確認をします。
相続人以外の人に遺贈するとき、遺言執行者の本人確認をします。
⑤遺言執行者が住所変更登記
登記簿を確認すると、登記簿上の住所と死亡時の住所が異なることがあります。
住民票を移しても、登記簿上の住所は自動で変更されないからです。
登記簿上の住所と死亡時の住所が異なる場合、別人と判断されます。
別人と判断されたら、登記をすることはできません。
相続人に対する遺贈の登記をする場合、前提として住所変更登記をする必要はありません。
相続人以外の人に対する遺贈の登記をする場合、前提として住所変更登記をする必要があります。
遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。
遺言書の内容を実現するため、必要な権限が与えられます。
登記簿上の住所と死亡時の住所が異なる場合、そのままでは遺言書の内容を実現できません。
遺言執行者は、被相続人の住所変更登記をすることができます。
遺言書の内容を実現するため、住所変更登記をする必要があるからです。
登記簿上の住所と死亡時の住所が異なる場合、遺言執行者が住所変更登記を申請します。
4遺言執行者がいないときは相続人全員の協力
①遺言執行者がいなくても遺言書は有効
遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。
遺言執行者は、遺言書の不可欠な内容ではありません。
遺言書の有効無効と遺言執行者の指名の有無は、無関係です。
遺言執行者が指名されていても指名されていなくても、有効な遺言書は有効です。
遺言執行者が指名されていても指名されていなくても、無効な遺言書は無効です。
遺言執行者がいなくても、遺言書は有効です。
②相続人全員の協力で所有権移転登記
遺言執行者がいなくても、遺言書は有効です。
遺言書で遺言執行者を指名しても、遺言執行者に就任する義務はありません。
遺言執行者の就任は、ご辞退することができます。
遺言執行者がいない場合、遺言書の内容は相続人全員の協力で実現させます。
遺言書の内容に相続人全員が納得している場合、相続人全員の協力が得られるでしょう。
遺言書の内容に不満がある相続人は、協力してくれないかもしれません。
相続人全員の協力が得られない場合、相続手続が進まなくなります。
遺言執行者がいない場合、相続人全員の協力が必要です。
③遺言執行者は家庭裁判所で選任してもらえる
遺言執行者がいない場合、家庭裁判所に対して遺言執行者選任の申立てをすることができます。
家庭裁判所に申立てをして、遺言執行者を選任してもらうことができます。
遺言執行者がいない場合、遺言書の内容は相続人全員の協力で実現させます。
相続人の中には、音信不通で協力してくれないことがあります。
行方不明で連絡が取れないこともあるでしょう。
家庭裁判所に遺言執行者を選任してもらった方がラクに手続を進めることができます。
遺言執行者は、家庭裁判所で選任してもらうことができます。
5不動産の名義変更を司法書士に依頼するメリット
大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。
やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いものです。
一般的に不動産は、家族にとって重要な財産でしょう。
登記手続は、一般の方から見ると些細なことと思えるようなことでやり直しになります。
住所変更登記が必要になるか必要にならないかなども、そのひとつでしょう。
相続手続は、一生のうち何度も経験するものではありません。
だれにとっても、不慣れで手際よくできるものではありません。
相続手続で使われる言葉は、法律用語です。
一般の方にとって、日常で聞き慣れないものでしょう。
司法書士は、登記の専門家です。
相続手続も、登記手続も、丸ごとお任せいただけます。
相続手続でへとへとになる前に、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。