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1死亡届は返却されない
①人が死亡したら死亡届
死亡届は、戸籍法の定めにより行う届出です。
人が死亡したら、死亡届の提出が義務付けられています。
死亡届を提出する場合、死亡診断書(死体検案書)が必要になります。
死亡届と死亡診断書(死体検案書)は、1枚の用紙に印刷されています。
左半分が死亡届で、右半分が死亡診断書(死体検案書)です。
死亡届は、届出人が記載します。
死亡診断書(死体検案書)は、医師が記載します。
死亡診断書と死体検案書は、人の死亡を医学的・法律的に証明する文書です。
死亡診断書は、医師が診療していた傷病に関連して死亡したときに作成されます。
死体検案書は、医師が診療していた傷病に関連して死亡したとき以外に作成されます。
死亡診断書と死体検案書の効力に、ちがいはありません。
死亡届を提出すると、戸籍に死亡が記録され住民登録が抹消されます。
②死亡届の提出先
死亡届の提出先は、次の市区町村役場です。
(1)死亡した人の本籍地
(2)届出人の住所地
(3)死亡地
③死亡届の提出期限
死亡届の提出には、提出期限があります。
死亡の事実を知ってから、7日以内です。
国外で死亡した場合は、死亡の事実を知った日から3か月以内です。
④死亡届の届出人
死亡届の届出人は、次のとおりです。
(1)同居の親族
(2)その他の同居人
(3)家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人
上記の人は順序に関わらず、届出人になることができます。
次の人は、届出をすることができます。
(1)同居の親族以外の親族
(2)後見人、保佐人、補助人、任意後見人
(3)任意後見受任者
死亡届の届出義務は、ありません。
⑤届出人が記入した後に使者が市役所に提出できる
死亡届は、届出人が記載します。
死亡診断書(死体検案書)は、医師が記載します。
届出人と医師が記入したら、死亡届はできあがりです。
できあがった死亡届は、だれが市区町村役場に持って行っても構いません。
市区町村役場に持って行く人は、届出人ではなく使者だからです。
葬儀業者の人が使者として市区町村役場に持って行っても差し支えありません。
⑥死亡届提出後に埋火葬許可証
死亡届の提出と一緒に、埋火葬許可証の発行申請をします。
埋火葬許可証とは、死亡した人を埋火葬する許可を証明する書類です。
死亡してから24時間経過した後、火葬します。
埋火葬許可証がないと、火葬を執行することができません。
火葬を執行すると、埋火葬許可証に執行済のスタンプが押されます。
執行済の埋火葬許可証は、納骨のときにも必要になります。
無くさないように大切に保管しましょう。
2死亡届は提出前にコピー
①死亡届のコピーが必要になるケース
死亡届は、提出先の市区町村役場の窓口に提出します。
書類に問題がなければ、受理されます。
受理された後、死亡届は返却されません。
死亡届を提出する前に、コピーを取っておきましょう。
死亡届と死亡診断書(死体検案書)は、セットになっています。
死亡届と死亡診断書(死体検案書)のコピーが必要になるからです。
例えば、次の手続で必要になります。
(1)健康保険の喪失
(2)雇用保険の喪失
(3)労災保険の請求
(4)生命保険の請求
(5)自動車保険・損害保険の手続
(6)携帯電話の解約
(7)国民年金・厚生年金・共済年金の受給
(8)埋葬料・葬祭費の請求
(9)自動車などの名義変更
(10)公共料金の名義変更
上記を参考にして、多めにコピーを取っておきましょう。
②死亡届のコピーをとるタイミング
死亡が確認されたら、医師が死亡診断書(死体検案書)を作成します。
死亡日当日に死亡診断書(死体検案書)が渡されます。
届出人が死亡届を作成します。
死亡届を市区町村役場に提出するのは、死亡日当日か翌日でしょう。
死亡届を提出する場合、一緒に埋火葬許可証の発行申請をします。
火葬するためには、埋火葬許可証が必要です。
火葬場を予約するため、死亡届の提出が最優先になります。
少なくとも死亡日の翌日までに死亡届のコピーを取っておくのがおすすめです。
家族が死亡すると、親戚や知人への連絡で忙しくなります。
死亡届の提出期限は、7日以内です。
火葬することを考えると、余裕はありません。
葬儀業者の人が市区町村役場に提出をしてもらう場合、コピーも一緒に依頼するといいでしょう。
③死亡届のコピーでできない手続がある
生命保険会社や保険商品によっては、死亡届のコピーでは手続ができません。
高額な保険金の請求は、保険会社専用の死亡診断書が必要になるでしょう。
担当の医師に作成してもらえるように、依頼しましょう。
医師に死亡診断書を作成してもらう場合、1か月程度かかることがあります。
3コピーを忘れたら死亡届記載事項証明書を請求
①死亡届記載事項証明書を請求できる人
市区町村役場で死亡届が受理されたら、返却されません。
死亡届のコピーを忘れた場合、死亡届記載事項証明書を発行してもらうことができます。
死亡届記載事項証明書を請求できるのは、利害関係がある人で、かつ、特別な理由がある場合だけです。
死亡届記載事項証明書を請求できる人は、次のとおりです。
(1)配偶者
(2)6親等内の親族
(3)3親等内の姻族
単に、財産上の利害関係があるだけの人は、死亡届記載事項証明書を請求することはできません。
②死亡届記載事項証明書を請求のため特別な理由が必要
上記の人であっても特別な理由がない場合、死亡届記載事項証明書を請求できません。
例えば、特別な理由には次の理由があります。
(1)簡易生命保険の保険受取人であるため、郵便局に提出する
(2)遺族年金の受取人であるため、市町村役場、日本年金機構、共済組合、労働基準監督署に提出する
(3)婚姻や離婚の無効の裁判の申立てのため、家庭裁判所に提出する
(4)戸籍の記載事項の訂正許可の裁判の申立てのため、家庭裁判所に提出する
(5)帰化申請の許可の申立てのため、法務局に提出する
(6)外国人との婚姻を本国政府に報告するため、大使館、領事館に提出する
(7)日本で出生した子どもについて本国にパスポート申請のため、大使館、領事館に提出する
(8)日本で出生した子どもについて本国にパスポート申請の前提として出生登録のため、大使館、領事館に提出する
企業年金の受取人であることは、特別な事由にあたりません。
③死亡届記載事項証明書の請求先
死亡届記載事項証明書の請求先は、市区町村役場か法務局のいずれかです。
死亡届は、死亡者の本籍地の市区町村役場に提出することができます。
死亡者の本籍地の市区町村役場は、1か月間その市区町村役場で保管します。
死亡届は、届出人の住所地や死亡地の市区町村役場に提出されることがあります。
死亡者の本籍地以外の市区町村役場は、1年間その市区町村役場で保管します。
市区町村役場で保管中であれば、死亡届を保管している市区町村役場に請求します。
市区町村役場の保管期間が経過した場合、法務局で保管されます。
法務局は、市区町村役場から送付を受けた年度の翌年から27年間保管しています。
法務局で保管中であれば、死亡届を保管している法務局に請求します。
④死亡届記載事項証明書請求の必要書類
死亡届記載事項証明書請求の必要書類は、次のとおりです。
(1)請求者の本人確認書類
(2)利害関係人であることが分かる戸籍謄本
(3)特別な事由があることが分かる書類
(4)委任状(代理人が請求する場合)
⑤死亡届記載事項証明書の発行手数料
市区町村役場に請求する場合、死亡届記載事項証明書の発行手数料が必要です。
法務局に請求する場合、死亡届記載事項証明書の発行手数料がかかりません。
⑥死亡届記載事項証明書は郵送請求ができる
死亡届記載事項証明書を請求する場合、窓口まで出向いて請求することもできるし、郵送で請求することもできます。
郵送請求をする場合、返信用の切手と封筒を同封しておくと、証明書を送り返してもらうことができます。
4コピーを忘れたら死亡診断書や埋火葬許可証で
市区町村役場で死亡届が受理されたら、返却されません。
死亡届は、原則として、非公開です。
死亡届記載事項証明書を請求できる人は、限られています。
死亡届記載事項証明書を請求できる人であっても特別な理由が認められない場合、発行してもらえません。
死亡届のコピーを忘れた場合、別の書類を提出することができるかもしれません。
手続先に問い合わせてみましょう。
多くの手続先は、死亡の確認がしたいだけでしょう。
死亡の事実を確認する方法は、複数あります。
医師に依頼して、死亡診断書を作成してもらうことができます。
埋火葬許可証や埋火葬許可証発行済証明書を用意できるでしょう。
死亡の記載がある住民票や戸籍謄本を取得できます。
死亡届のコピーを忘れても、手続ができなくなることはありません。
5遺産承継サポート(遺産整理業務)を司法書士に依頼するメリット
家族が死亡した場合、いちばん最初に行う手続が死亡届の提出です。
ここから、たくさんの相続手続が始まります。
多くの場合、大切な家族を失ったら大きな悲しみに包まれます。
悲しみに包まれていても、日常の家事や仕事をする必要があります。
そのうえ、たくさんの用事と相続手続が押し寄せてきます。
相続は一生の間に何回も経験するものではありません。
相続手続で使われる言葉の多くは法律用語です。
聞き慣れない言葉があふれています。
ほとんどの人にとって、相続手続は不慣れなものです。
大切な家族を亡くして、力を落としているでしょう。
相続手続をするのは、大きな負担になります。
事例によっては、家庭裁判所の助力が必要になる場合があります。
専門家のサポートがないと難しい手続があります。
司法書士は家庭裁判所に提出する書類作成の専門家です。
相続手続を丸ごと依頼することができます。
確実に相続手続をしたい方は司法書士などの専門家に遺産整理業務を依頼することをおすすめします。