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1相続人調査で被相続人の戸籍収集
①被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本が必要になる理由
多くの方にとって、相続人がだれなのかは当たり前のことと軽く考えがちです。
家族以外の第三者に対しては、相続人がだれなのか客観的に証明する必要があります。
客観的に証明するとは、具体的には、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を全部揃えることです。
戸籍にはその人に身分関係がすべて記録されているからです。
結婚や離婚、子どもや養子の存在を家族には内緒にしている方もいます。
戸籍には、記録されています。
戸籍謄本をすべて揃えると、秘密にしていたことが明るみに出ます。
多くの人は、複数の戸籍を渡り歩いています。
例えば、結婚すると親の戸籍から夫婦の戸籍に移ります。
戸籍が新しくなったときに、書き写される項目と書き写されない項目があります。
書き写されない項目を確認するために、出生から死亡までの連続した戸籍謄本を全部揃える必要があるのです。
②本籍地が分からないときは住民票を取得
戸籍謄本は、本籍地のある市区町村役場に請求します。
戸籍の請求を受ける市区町村役場は、本籍地と戸籍の筆頭者で戸籍を特定します。
本籍地と筆頭者が分からない場合があるでしょう。
本籍地と筆頭者が分からない場合、住民票を取得すると判明します。
住民票を請求するときに、本籍地と筆頭者の記載に☑を入れて請求します。
何もしないと、本籍地や筆頭者の記載が省略された住民票が発行されるからです。
本籍地や筆頭者は、個人情報です。
プライバシー保護のため、本籍地や筆頭者が省略されてしまいます。
2戸籍の筆頭者が死亡しても筆頭者は変更されない
①戸籍の筆頭者とは先頭に書かれている人
戸籍謄本を見ると、一番上に本籍地と名前が書いてあります。
戸籍の筆頭者とは、一番上に書いてある名前の人です。
戸籍謄本を見ても「筆頭者」と見出しがついているわけではありません。
戸籍の筆頭者は生きている人であることも死亡した人であることもあります。
戸籍の筆頭者が死亡した場合、戸籍の筆頭者が変更にならないからです。
戸籍の筆頭者とは、戸籍の先頭に書かれている人に過ぎません。
先頭に書かれている人が生きていても死亡しても、先頭に書かれている人のままです。
戸籍の筆頭者とは、戸籍の先頭に書かれている人です。
②戸籍の筆頭者は戸籍を特定するための見出し
戸籍の筆頭者は、戸籍の見出しに過ぎません。
戸籍の請求を受ける市区町村役場は、本籍地と戸籍の筆頭者で戸籍を特定します。
結婚などで新戸籍が作られる場合、もともといた本籍地を新戸籍の本籍地に指定することがあります。
複数の兄弟姉妹がもともといた本籍地を新戸籍の本籍地に指定することは割とよくあることです。
同じ本籍地の人がたくさんいる場合、どの人の戸籍を請求するのか特定する必要があります。
戸籍の筆頭者で、戸籍を特定することができます。
筆頭者が生きている人でも死亡している人でも、戸籍を特定することができます。
請求された戸籍を特定できれば、筆頭者が生きている人でも死亡している人でも関係ありません。
戸籍の筆頭者は、戸籍の見出しに過ぎないからです。
③復氏届を提出すると新戸籍で筆頭者になる
戸籍の筆頭者が死亡した場合、筆頭者は変更されません。
戸籍の中の人は、全員戸籍の筆頭者と同じ氏を名乗ります。
婚姻で氏を変更した人で配偶者が死亡した場合、婚姻前の氏に復することができます。
婚姻前の氏に復することを復氏と言います。
復氏をしたい場合は、市区町村役場に復氏届を提出する必要があります。
復氏届を出した場合、新戸籍が作られて筆頭者になります。
戸籍の筆頭者が死亡したからと言って自動的に筆頭者になることはありません。
④姻族関係終了届を提出しても筆頭者は変更されない
配偶者が死亡した場合であっても、死亡配偶者の血族と生存配偶者の姻族関係は終了しません。
生存配偶者が姻族関係を終了させたい場合、市区町村役場に姻族関係終了届を提出する必要があります。
姻族関係終了届を提出した場合であっても、復氏はしません。
復氏しないから婚姻中の氏を名乗り続けます。
復氏を希望する場合、姻族関係終了届とは別に復氏届を提出します。
復氏届を出した場合、新戸籍が作られて筆頭者になります。
姻族関係終了届を提出しただけの場合、氏に影響はありません。
戸籍が新しく作られることはありません。
姻族関係終了届を提出しただけの場合、戸籍の筆頭者が変更されることはありません。
3住民票の世帯主が死亡したら世帯主は変更される
①住民票の世帯主は世帯の代表者
住民票の世帯主は、その世帯の代表者です。
世帯主が死亡すると、世帯主は変更されます。
世帯主が死亡した場合、世帯主変更届を提出します。
世帯主が死亡した後、残った人が1人だけの場合はわざわざ変更届を出さなくても差し支えありません。
残った人が世帯主になるのは、明白だからです。
②世帯主はだれでもよい
住民票の世帯主は、その世帯の代表者です。
代表者になるために、収入などの条件はありません。
多くの場合、一家の生計を支えている人や一家の中心になっている人、年長者が世帯主です。
4戸籍謄本や住民票は郵送で請求できる
①窓口請求なら近くの市区町村役場で
相続人を確定するためには、たくさんの戸籍謄本が必要になります。
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を全部揃える必要があるからです。
戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場に備えられています。
令和6年3月1日から、戸籍謄本の広域交付が始まりました。
広域交付が利用できるのは、次の人です。
(1)その戸籍に記載がある人
(2)記載がある人の直系血族
広域交付制度を利用すれば、本籍地以外の市区町村役場で戸籍謄本を請求することができます。
広域交付制度を利用して、近隣の市区町村役場で戸籍謄本を取得することができます。
②広域交付を利用できないときは郵送で
戸籍謄本等の広域交付を利用できるのは、窓口請求のみです。
仕事や家事で忙しい人は、窓口に出向くことが難しいでしょう。
身体が不自由な人は、代理人に依頼したいかもしれません。
代理にによる請求は、広域交付の対象外です。
広域交付を利用できない場合、戸籍謄本や住民票は郵送で請求することができます。
③発行手数料は定額小為替で納入
戸籍謄本や住民票を発行してもらうためには、発行手数料を納める必要があります。
戸籍謄本や住民票郵送で請求する場合、発行手数料は定額小為替で納入します。
郵便切手や収入印紙は、受け付けてもらえません。
郵便切手や収入印紙は、換金できないためです。
相続手続では、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要です。
本籍地を何度も変更している方や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている方は、戸籍をたくさん渡り歩いています。
手数料が足りなくなることがないように、少し多めに送るといいでしょう。
④定額小為替は郵便局で購入
定額小為替は、郵便局の貯金窓口で購入します。
時間によっては、郵便窓口は開いていても貯金窓口は閉まっていることがあります。
定額小為替を購入するときは、窓口時間を確認しておくといいでしょう。
定額小為替は、銀行やコンビニエンスストアでは購入することができません。
⑤定額小為替の購入に手数料がかかる
定額小為替の購入には、定額小為替1枚につき200円の手数料がかかります。
定額小為替には、6か月の有効期限があります。
6か月を過ぎたら再発行してもらわないと使うことができません。
再発行にも1枚につき200円の手数料がかかります。
5相続人調査を司法書士に依頼するメリット
本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。
古い戸籍は、現在と形式が違っていて読みにくいものです。
古い戸籍は、手書きの達筆な崩し字で書いてあって分かりにくいでしょう。
慣れないと、戸籍集めはタイヘンです。
本籍地を何度も変更している方や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている方は、戸籍をたくさん渡り歩いているます。
戸籍を集めるだけで、膨大な手間と時間がかかります。
役所や法務局の手続では、通常、戸籍謄本や住民票の期限は問われません。
銀行預金の解約など銀行の手続では、銀行独自で期限を設けている場合があります。
集めた戸籍謄本や住民票を手続後、返却してくれる場合、返却してくれない場合があります。
期限があって、かつ、返却してくれるところから優先して手続するといいでしょう。
集めた戸籍謄本や住民票を返却してくれないところをはじめに手続すると、集めた戸籍謄本や住民票の集め直しになるからです。
段取りよく要領よく手続するには、ちょっとしたコツがいります。
仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続きを丸ごとおまかせすることができます。
家族にお世話が必要な方がいて、そばを離れられない方からの相談もお受けしております。
集めてみたけど、途中で挫折したことがあるでしょう。
全部集めたと思ったのに、金融機関や役所からダメ出しされることがあります。
このような場合、司法書士が目を通して、不足分を取り寄せします。
相続人調査でお困りのことがあれば、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
平日の昼間に役所にお出かけになって準備するのは負担が大きいものです。
戸籍謄本や住民票は、郵便による取り寄せもできます。
書類の不備などによる問い合わせは、市区町村役場の業務時間中の対応が必要になります。
負担は、軽いとは言えません。
戸籍謄本や住民票の取り寄せも、司法書士は代行します。
相続人調査でお困りの方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。