失踪宣告の手続で官報公告3か月の位置づけ

1失踪宣告の手続で官報公告3か月の位置づけ

①失踪宣告で死亡と見なされる

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

行方不明が長期化した場合、家族が困ります。

家族であっても、行方不明の人の財産を処分することができません。

行方不明者の配偶者は、再婚することができません。

残された家族のために、行方不明者を死亡したものと扱う制度が失踪宣告の制度です。

②失踪宣告までの流れ

手順(1)必要書類の準備

失踪宣告の申立てでは、次の書類を準備します。

・生死不明の人の戸籍謄本

・生死不明の人の住民票または戸籍の附票

・失踪を証する資料

・利害関係があることを証する資料

手順(2)失踪宣告の申立て

失踪宣告の申立てができるのは、利害関係がある人のみです。

失踪宣告の申立書と必要書類を取りまとめて、家庭裁判所へ提出します。

提出先は、生死不明の人の住所地を管轄する家庭裁判所です。

手順(3)家庭裁判所による調査

失踪宣告の申立書を受付けたら、家庭裁判所は公的機関などに調査をします。

手順(3)家庭裁判所が官報公告

公的機関などに対して調査をしても、生存の痕跡が見つからないことがあります。

家庭裁判所は、届出催告の官報公告を行います。

手順(4)失踪宣告の審判

届出催告の官報公告をしても届出がないときは、失踪宣告の審判がされます。

失踪宣告の審判がされてから2週間経過で、審判が確定します。

手順(5)市区町村役場へ失踪届

市区町村役場に、失踪届を提出します。

失踪届が受理されると、戸籍に失踪宣告が記載されます。

手順(6)相続手続

失踪宣告がされると、死亡と扱われます。

失踪宣告がされた人を被相続人として、相続が発生します。

相続手続には、失踪宣告が記載された戸籍謄本を準備します。

③官報公告は家庭裁判所が手配する

失踪宣告における官報公告は、家庭裁判所が手配します。

申立人や家族は、何もすることはありません。

申立人や家族は、公告費用を払うだけです。

申立人や家族が判断や選択することは、ありません。

④官報公告3か月で死亡にするか確認する

失踪宣告は、重大な影響がある手続です。

家庭裁判所は、慎重に手続を進めます。

失踪宣告の手続で、官報公告が行われます。

官報公告3か月では、死亡になりません。

官報公告3か月は、死亡を前提に家庭裁判所が確認する期間です。

失踪宣告の手続において、透明性を確保するため官報公告を行います。

官報公告は、失踪宣告における重要な手続のひとつです。

官報公告の期間が満了しても、生死不明の人は自動で死亡扱いになりません。

死亡扱いにする手続の途中のひとつに過ぎないからです。

2 失踪宣告の官報公告は2回行われる

①審判前に官報公告

(1)官報公告で情報収集する

失踪宣告の審判前に、1回目の官報公告をします。

失踪宣告の審判前に行う官報公告は、失踪に関する届出の催告です。

官報公告の内容は、次のとおりです。

・次の人に失踪宣告の申立てがありました。

・該当の人や該当の人の生死を知る人は、家庭裁判所に届出をしてください。

・届出がないと、失踪宣告されます。

官報公告をする前に、家庭裁判所は公的機関などに対して調査をしています。

公的機関が知らない情報を持つ人がいる可能性があるので、官報公告で情報収集します。

官報公告は、広く社会全体に呼び掛けて情報収集する手段です。

失踪宣告がされると死亡扱いになるから、家庭裁判所は慎重に調査します。

官報公告は、失踪宣告の要件確認の最終段階です。

(2)普通失踪の公告期間は3か月以上

失踪宣告には、2種類あります。

普通失踪と特別失踪(危難失踪)です。

一般的に失踪宣告といった場合、普通失踪を指しています。

普通失踪の公告期間は、3か月以上です。

(3)特別失踪(危難失踪)の公告期間は1か月以上

特別失踪(危難失踪)は、行方不明の人が大災害や大事故にあっている場合の失踪宣告です。

大災害や大事故に巻き込まれた場合、死亡の可能性が非常に高いものです。

特別失踪(危難失踪)の公告期間は、1か月以上です。

(4)官報公告は家庭裁判所が手配

官報公告は、家庭裁判所が自動で手配します。

申立人や家族が官報公告の申込等をする必要はありません。

公告期間は、法律で決められています。

家庭裁判所が勝手に公告期間を短縮することはできません。

(5)官報公告の費用を負担する

官報公告をするためには、公告費用がかかります。

公告費用は、家庭裁判所の指示があってから納入します。

②審判後に官報公告

(1)失踪宣告の官報公告

だれからも申出がないまま公告期間が経過したら、失踪宣告の審判がされます

失踪宣告の審判後に、2回目の官報公告をします。

失踪宣告の審判後に行う官報公告は、失踪宣告確定のお知らせです。

官報公告の内容は、次のとおりです。

・次の人に失踪宣告の審判がされ、確定しました。

2回目の官報公告は、失踪宣告がされた事実の公表です。

(2)官報公告で透明性と公開性を確保する

失踪宣告がされると、死亡扱いになります。

勝手に死亡扱いにされたと言う不信感を生まないように、官報公告で公開性を確保しています。

事後にトラブルを生まないように、官報公告で手続の透明性を確保しています。

家族間のトラブルだけでなく、債権者や取引関係者等のトラブルを防止する機能があります。

③生存情報があると失踪宣告は却下になる

1回目の官報公告は、生死不明の人に関する情報取集のために行われます。

官報公告による呼びかけに応じて、生存の情報が寄せられることがあります。

失踪宣告前に本人が見つかった場合、失踪宣告はされません。

失踪宣告は、生死不明の状態が継続しているときにされるものだからです。

失踪宣告の要件が欠けるから、家庭裁判所が申立てを却下します。

家庭裁判所が申立てを却下する前に、申立てを取下げることができます。

④失踪宣告の取消も官報公告

(1)失踪宣告後に本人が生きていた

失踪宣告がされたのに、本人は新天地で元気に生きていることがあります。

失踪宣告がされると、戸籍に失踪宣告が記載されます。

何らかの手続で戸籍謄本などを請求すると、失踪宣告がされていることが判明します。

(2)生存が判明しても自動で取消されない

失踪宣告を受けた人は、死亡の扱いがされます。

生存が判明しても、自動で失踪宣告は取消されません。

失踪宣告取消の申立てをして失踪宣告取消の審判が確定するまで、死亡の扱いのままです。

(3)失踪宣告取消に官報公告

失踪宣告取消の審判が確定すると、官報公告がされます。

官報公告の内容は、次のとおりです。

・次の人に失踪宣告取消の審判がされ、確定しました。

失踪宣告の取消がされた事実の公表です。

3失踪宣告確定後の手続

①失踪宣告で相続が開始する

失踪宣告を受けた人は、死亡の扱いがされます。

死亡と見なされる日に、相続が発生します。

失踪宣告の手続は、長期間かかります。

相続が開始する日は、失踪宣告の申立てをした日ではありません。

裁判所が失踪宣告をした日でもありません。

相続手続の基準になるのが、死亡と見なされる日です。

②官報公告があっても相続手続はできない

失踪宣告では、官報公告が行われます。

官報公告が行われても、直ちに相続手続を進めることはできません。

官報公告がされても、戸籍には何も記載されないからです。

相続手続先の人は、官報公告で相続手続ができるか判断しません。

相続手続には、戸籍謄本が必要です。

③失踪宣告後は失踪届で戸籍に反映

失踪宣告の審判がされた後、2週間経過で審判が確定します。

失踪宣告後は、市区町村役場に失踪届を提出します。

失踪届には、失踪宣告の審判書と確定証明書を添付します。

失踪届が受理されると、戸籍に失踪宣告が記載されます。

戸籍に反映されるまで、2週間程度かかります。

④失踪宣告が記載された戸籍謄本で相続手続

失踪宣告がされると、相続が発生します。

失踪宣告がされたことは、戸籍謄本に記載されます。

相続手続には、失踪宣告が記載された戸籍謄本を提出します。

4失踪宣告の官報公告に対する誤解

誤解①家族の感情で官報公告は省略できる

失踪宣告は重大な影響があるから、家族は漠然とした不安を抱きがちです。

家族の感情で、官報公告は省略できると期待するかもしれません。

官報公告は、家庭裁判所が手配します。

家族の感情で、手続を省略することはできません。

家族だけで静かに手続を進めたいなどの希望があっても、官報公告は省略できません。

誤解②官報公告で広く周知される

新しく法律が成立すると、官報で公布されます。

官報で公布するのは、社会に広く周知するためです。

官報は、一般の人が日常的に目にする媒体ではありません。

失踪宣告の官報公告は、形式的な公示に過ぎません。

身の回りの人が官報を見て、あれこれ言うことはほとんどないでしょう。

実質的な周知効果は、限定的だからです。

誤解③官報公告では詳細な個人情報が掲載される

官報公告がされると、家族の事情が詳細に掲載されると不安になるかもしれません。

1回目の官報公告は、生死不明の人や知っている人に対する呼びかけです。

生死不明の人を特定できれば、官報公告の役目を果たすことができます。

家族の事情を公告する意味がありません。

生死不明の人の氏名や生年月日など、プライバシーに該当しない程度の最小限の内容です。

誤解④官報公告で戸籍に死亡が記載される

1回目の官報公告は、単に生死不明の人に関する情報収集の呼びかけに過ぎません。

1回目の官報公告の時点では、死亡扱いはされません。

官報公告の後で、家庭裁判所が失踪宣告の審判をします。

失踪宣告の審判が確定した後に、死亡扱いがされます。

失踪宣告の審判が確定しても、自動で戸籍に記載されません。

申立人が市区町村役場に、失踪届を提出する必要があるからです。

失踪届を提出すると、戸籍には失踪宣告が記載されます。

失踪届は、死亡届とは別の届出です。

失踪宣告で死亡扱いがされても、戸籍には死亡は記載されません。

5生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

失踪宣告の申立ては、家庭裁判所に手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続を投げ出して知識のない遺族を困らせます。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。

税金の専門家なども対応できないでしょう。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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