ネット証券の口座名義人が死亡したときの相続

1ネット証券の口座は名義人死亡で凍結される

①ネット証券とは店舗を持たない証券会社

ネット証券とは、店舗を持たない証券会社です。

IDやパスワードを使って、インターネットだけで取引できます。

パソコンやスマートフォンがあれば、24時間いつでも手軽に取引ができます。

店舗を持つ証券会社と較べると、安い手数料でとても便利です。

ネット証券は、インターネットで完結する安くて便利な証券会社です。

②口座名義人の死亡で凍結される

銀行などの口座名義人が死亡すると、口座は凍結されます。

証券会社の口座名義人が死亡すると、口座は凍結されます。

口座凍結とは、口座取引の停止です。

証券会社の口座が凍結されると、次の取引が停止されます。

・株式などの売買

・口座からの出金

・口座への入金

口座凍結のタイミングは、証券会社が口座名義人の死亡を知ったとき

です。

多くは、家族などが証券会社に問合わせをしたときに、口座名義人の死亡を知ります。

被相続人が複数の証券会社に口座を持っていた場合、各証券会社が知ったときに凍結されます。

一部の証券会社が死亡を知っても、他の証券会社に連絡しません。

証券会社同士で、情報共有する仕組みがないからです。

③ネット証券が分かりにくい理由

理由(1)郵便物がない

ネット証券は、口座開設も取引もインターネットで完結します。

郵便物は、ほとんど来ません。

ネット証券からの連絡は、メールで届きます。

理由(2)モノがない

銀行のように、通帳やキャッシュカードがありません。

銀行の通帳やキャッシュカードは、日常生活の中で自然に目にする機会があるでしょう。

株券なども、電子化されています。

自宅などで保管されるモノがありません。

理由(3)家族が気付かない

ネット証券は、IDやパスワードを共有しないことを前提にしています。

本人以外の人がログインすることは、禁止されています。

本人が積極的に家族と情報共有することは、あまりありません。

④ネット証券は調査できる

被相続人が株式取引を行っていたのに、証券会社が分からないことは少なくありません。

銀行の取引履歴などを丁寧に確認すると、ネット証券への入金記録が判明することがあります。

配当金が入金されているかもしれません。

まったく手がかりがなくても、証券保管振替機構に照会することができます。

株式は完全電子化され、名義変更や移管は証券保管振替機構が集中管理されているからです。

相続人は単独で、証券保管振替機構に照会することができます。

手数料は、5000~6000円程度です。

証券保管振替機構に照会すると、取引していた証券会社が判明します。

2ネット証券の口座名義人が死亡したときの相続

手順①ネット証券を探す

ネット証券は、安くて便利な証券会社です。

複数の証券会社に、口座開設をしていることが少なくありません。

相続人は、どこの証券会社に口座があるのか調べる必要があります。

手順②ネット証券に口座名義人の死亡を連絡

取引がある証券会社が判明したら、口座名義人が死亡したことを連絡します。

ひとまずコールセンターなどに、電話するといいでしょう。

ネット証券が口座名義人の死亡を知った時点で、口座は凍結されます。

手順③預かり資産残高証明書を請求

相続人は、単独で被相続人の預かり資産残高証明書を請求することができます。

ネット証券であっても、郵送請求が一般的です。

発行手数料は、1通1000円程度です。

手順④遺産分割協議書の作成

ネット証券にある株式や有価証券は、相続財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

遺産分割協議とは、相続人全員による相続財産の分け方を決めるための話合いです。

相続人全員による合意がまとまったら、合意内容を書面に取りまとめます。

遺産分割協議書とは、相続人全員の合意内容の証明書です。

合意内容に間違いがないか、相続人全員に確認してもらいます。

間違いがないことを確認したうえで、相続人全員が記名し実印で押印します。

実印による押印であることを証明するため、印鑑証明書を添付します。

手順⑤必要書類の準備

ネット証券に口座名義人の死亡を連絡すると、相続手続の案内がされます。

ネット証券のホームページなどにも、相続手続専用ページが用意されています。

ネット証券から、相続手続の書類や必要書類のリストが届きます。

ネット証券の案内に従って、必要書類を準備します。

遺言書がないときの代表的な必要書類は、次のとおりです。

・証券会社指定の株式名義書き換え請求書

・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

・相続人全員の現在戸籍

・遺産分割協議書

・相続人全員の印鑑証明書

必要書類や手続手順は、証券会社によって若干異なります。

証券会社によって、独自ルールで3~6か月の有効期限を決めていることがあります。

必要な書類が準備できないと、相続手続が進められなくなります。

手順⑥相続人名義の口座開設

被相続人の株式を引き継ぐため、相続する人は証券会社に口座を開設します。

口座開設には、本人確認書類やマイナンバーが分かる書類が必要です。

手順⑦書類提出

必要書類が全部揃ったら、証券会社に提出します。

必要書類が揃っていないと、手続が進まなくなります。

手順⑧移管手続完了

提出書類に問題がなければ、相続人の口座に移管されます。

相続人が売却できるのは、移管された後です。

書類を提出してから、移管手続が完了するまでに1か月程度かかります。

相続人の口座に移管されると、被相続人の口座は閉鎖されます。

手順⑨必要に応じて換価

相続人の口座に移管された後、株式は売却することができます。

遺産分割協議では、相続した株式等を換価して現金で分割する合意をすることができます。

相続した株式等を換価した場合、譲渡所得が発生することがあります。

譲渡所得が発生した場合、確定申告が必要になります。

3相続トラブルを招く危険な行為

①IDやパスワードを共有

ネット証券の口座が凍結されるのは、ネット証券が口座名義人の死亡を知ったときです。

たとえ口座名義人が死亡しても、ネット証券が死亡を知らなければ口座は凍結されません。

IDやパスワードを共有する行為は、相続トラブルを招く危険な行為です。

IDやパスワードを共有した相続人が勝手に売却などができるからです。

株式には、大きな値動きがあります。

勝手な取引で、大きな損失が発生する可能性があります。

たとえ被相続人の判断で取引しても、相続人の勝手な取引で発生した損失と疑われるでしょう。

勝手な取引を疑われると、深刻なトラブルに発展します。

②証券口座の調査不充分

ネット証券は郵便が少ないので、家族には気づきにくいでしょう。

複数のネット証券で口座を持っていることは、少なくありません。

証券口座の調査不充分は、相続トラブルを招く危険な行為です。

家族がネット証券の口座に気づかないと、遺産分割協議の対象から漏れてしまいます。

後から新たな財産が見つかったら、新たな財産について遺産分割協議をします。

新たにネット証券の口座が見つかると、相続人間の信頼関係が壊れがちです。

後から発覚した財産は、隠されたように感じるからです。

財産隠しがあったと疑われると、深刻なトラブルに発展します。

③ネット証券の相続手続を長期間放置

ネット証券には、店舗がありません。

相続手続で疑問があっても、店舗で相談することができません。

電話・メールでの問い合わせが中心で、手続に時間がかかります。

何か分からないことがあると、先延ばししがちです。

ネット証券の相続手続を長期間放置することは、相続トラブルを招く危険な行為です。

相続手続が完了しないと、相続した株式は売却できません。

株式には、大きな値動きがあります。

相続した株式の価値が大きく変動すると、新たなトラブルに発展します。

相続手続を長期間放置すると、深刻なトラブルに発展します。

4ネット証券の相続でトラブルを回避する方法

①証券会社一覧表を作成

ネット証券は、郵便物がほとんどありません。

ネット証券の相続では、家族がネット証券の存在に気づかないことがトラブルの原因です。

取引がある証券会社を一覧表にしておくことがおすすめです。

証券会社一覧表を作成しておくと、隠れ資産を防止することができます。

遺産分割協議のやり直しを防止し、相続人間の信頼関係を維持することができます。

②口座名義人死亡で口座凍結

証券会社が口座名義人の死亡を知ったとき、証券口座は凍結されます。

一部の相続人が連絡することで、口座を凍結してもらうことができます。

口座が凍結されたら、一部の相続人が勝手に売却などはできません。

一部の相続人が勝手に売却すると、深刻なトラブルに発展します。

他の相続人とトラブルにならないため、口座凍結は安心材料と言えます。

③IDやパスワードを共有しない

IDやパスワードを共有すると、相続人間の疑念が一気に発生します。

IDやパスワードなどのログイン情報は、封筒に入れて封印しておきます。

④相続人全員で情報共有

ネット証券の相続手続は、郵送中心です。

ネット証券から届く書類は、相続人全員に情報共有するのがおすすめです。

一部の相続人のみが情報を独占すると、財産を隠されたと感じるおそれがあるからです。

相続人全員で情報共有すると、遺産分割協議のやり直しを防止することができます。

5株式の名義変更を司法書士に依頼するメリット

株取引に関心のない相続人は、現物の株式を受け取ることに不安を覚えます。

株式は日々値段が大きく変わりますから、トラブルになりがちです。

これらのトラブルは、相続人全員で相続財産の分け方を合意するときに、相続人全員で考えておけば防げます。

株式の名義変更でもめごとを起こしたくない方は、司法書士などの専門家に依頼するのをおすすめします。

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