被相続人の住所本籍不明でも相続放棄

1相続放棄とは

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続の放棄は被相続人ごとに判断できますから、例えば、父について相続放棄をするが、母について単純承認するでも差し支えありません。

相続の放棄は相続人ごとに判断しますから、例えば、父の相続人ついて長男は相続放棄するが、長女は単純承認するでも差し支えありません。

2相続放棄は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所で手続

家庭裁判所に対して、必要な書類をを添えて相続放棄をしたい旨の届出をします。

届出をする先の家庭裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は裁判所のホームページで調べることができます。

相続放棄をしたい旨の届出に添える書類は裁判所のホームページに詳しく書いてあります。

①被相続人の戸籍謄本

②被相続人の除票

③相続放棄する人の戸籍謄本

④収入印紙

⑤裁判所が手続で使う郵便切手

基本的には①~⑤の書類を添えて届出をすれば充分ですが、場合に応じてこの他のものが必要になることもあります。

3被相続人の最後の住所は除票を見れば確認できる

被相続人と連絡を取り合っていた場合、相続が発生した後の早い時期に相続手続をすることができます。

生前に連絡をとりあっていなかった場合、相続が発生した後、長期間経過してから相続人であることを知ることがあります。

具体的には、父母が離婚した後に一度も会っていない親や行方不明になっていた叔父や伯母などです。

相続放棄をしたい場合、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して手続をします。

通常は、被相続人の除票を取得すれば最後の住所地が確認できます。

被相続人の戸籍の附票でも確認することができます。

音信不通であった場合、被相続人に関する情報が全く分からないかもしれません。

被相続人に関する情報が全く分からない場合、被相続人の最後の住所地を探さなければなりません。

被相続人に関する情報が全く分からない場合、まず、自分の戸籍謄本を取得します。

戸籍謄本は本籍地のある役所に請求します。

自分の本籍地が分からない場合、本籍地の記載のある住民票を取得すれば判明します。

自分の戸籍謄本を見て、被相続人の戸籍までたどっていきます。

死亡時の戸籍までたどり着いた場合、戸籍の附票を請求すると死亡時の住所が判明します。

4相続放棄3か月のスタートは「知ってから」

相続放棄は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内に届出をする必要があります。

相続があったことを知ってからとは、必ずしも、被相続人の死亡してからではありません。

被相続人が死亡した後3か月以上経過してから、相続放棄の届出をして、認められることもあります。

相続放棄ができる3か月以内のスタートは、相続があったことを知ってからだからです。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

相続があったことを知らなかった場合、相続放棄ができる3か月がスタートしていません。

このポイントは、相続が発生してから3か月以内に届出ができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらうことです。

3か月届出ができなかったのは仕方なかったと家庭裁判所が納得できる理由があるときだけは、家庭裁判所も相続放棄を認めてくれるのです。

債権者や市役所などから手紙が来て相続があったことを知った場合、この通知は大切です。

この手紙を見て相続があったことを知ったという証拠になるからです。

5附票や住民票は保存期間経過で廃棄される

附票や住民票は該当の役所に請求すれば取得することができます。

附票や住民票は永年保管ではありません。

今でこそ保存期間は150年ですが、令和元年までは5年でした。

役所は保存期間を過ぎた書類を順に廃棄します。

必要な書類が廃棄されていると取得できなくなってしまうおそれがあります。

6死亡届の記載事項証明書で確認することができる

人が亡くなった場合、役所に死亡届を提出します。

死亡届の写しが、死亡届の記載事項証明書です。

死亡届には、死亡者の氏名、本籍地の他に住所を記載します。

死亡届を確認したら、被相続人の最後の住所地を確認することができます。

死亡届の提出先になる役所は、次のとおりです。

①死亡者の死亡地

②死亡者の本籍地

③届出人の住所地

提出された死亡届は、一定期間役所で保管された後、法務局に送られます。

保管する法務局は、死亡者の本籍地を管轄する法務局です。

死亡届は、原則として、非公開です。

利害関係がある人で、かつ、特別な事由がある場合のみ、死亡届記載事項証明書を請求することができます。

死亡届記載事項証明書を請求することができる人は、次の人です。

①配偶者

②6親等内の血族

③3親等内の姻族

上記①~③の人であって、かつ、特別な事由がある人が死亡届記載事項証明書を請求することができます。

法務局は、市区町村役場から送付を受けた年度の翌年から27年間保管しています。

死亡届が保管されている市区町村役場か本籍地を管轄する法務局へ請求する必要があります。

附票や住民票が廃棄されてしまった後でも、死亡届が法務局に保管されている可能性があります。

7附票に最後の住所地が記載していないケースがある

死亡時に住民票がない人がいます。

住民票がない人について戸籍の附票を取得した場合、死亡時の住所は記載されていません。

長期間に渡って行方不明の場合、役所が職権で住民票を消除するからです。

役所が住民票を消除した後、帰来した旨の届出をしないまま死亡した場合、死亡時の住所がないケースになります。

不動産を保有していた場合、登記簿謄本を取得すると住所の記載があります。

これらの情報を入手して、家庭裁判所に説明して管轄を確認しましょう。

最期の住所地について手がかりになる資料が全くない場合、東京千代田区として扱われます。

東京家庭裁判所が管轄します。

8相続放棄を司法書士に依頼するメリット

実は、相続放棄はその相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続が発生してから3か月以内に届出ができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらって、はじめて、家庭裁判所は相続放棄を認めてくれます。

通常は家庭裁判所に対して、上申書や事情説明書という書類を添えて、説得することになります。家庭裁判所が知りたいことを無視した作文やダラダラとした作文では認めてもらうことは難しいでしょう。

司法書士であれば、家庭裁判所に認めてもらえるポイントを承知していますから、認めてもらえやすい書類を作成することができます。

さらに、通常の相続放棄と同様に戸籍や住民票が必要になります。

お仕事や家事、通院などでお忙しい人には平日の昼間に役所にお出かけになって準備するのは負担が大きいものです。

戸籍や住民票は郵便による取り寄せもできますが、書類の不備などによる問い合わせはやはり役所の業務時間中の対応が必要になりますから、やはり負担は軽いとは言えません。

このような戸籍や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

3か月の期限が差し迫っている方や期限が過ぎてしまっている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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