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1市役所や区役所で相続相談をするとき気を付けること
多くの方にとって、市役所や区役所は身近な役所でしょう。
公証役場や裁判所に行ったことがない人はたくさんいますが、市役所に立ち寄ったことがない人はまずいません。
市役所や区役所では、市民へのサービスとして無料法律相談を行っていることがあります。
注意①時間・回数に制限がある
市役所や区役所で相談する場合、1回あたりの時間が決められています。
名古屋市でも、法律相談窓口を設けていますが、時間は20分です。
質問する時間と、専門家に回答してもらう時間を考えると、とても短いです。
話の内容を整理してまとめ、問題になる点を要領よく伝えて、問題に対する回答を要領よく聞くことが必要です。
じっくりお話を聞いてもらいたい場合、おおむね1時間程度かかるのが目安です。
複雑な話であったり、要領よく説明ができない場合などは、もっと時間がかかることが多いです。
お話の途中であっても、時間になると打ち切りになります。
多くの場合、同一案件は1回限りです。
継続的な相談ができないのは大きなデメリットでしょう。
何から手を付けたらいいかなど手続の方向性を確認したい場合など、おおまかな手続きの流れを知りたい場合には利用価値があります。
注意②相談できる日や時間が限られている
役所のスケジュールで相談できる日が決まっています。
月に2回程度で、平日の昼間のみのケースが多いです。
お仕事や家事で忙しい人には、相談に行くこと自体が難しいでしょう。
相談できる日や時間が限られているため、予約がすぐに埋まってしまいます。
月に2回程度しか日程がないと、希望どおりに相談できるわけではありません。
注意③相談する相手を選べない
相談員は、所属会などから派遣された専門家です。
専門家には違いありませんが、どの分野の専門家であるのか選べません。
役所はいろいろな相談を受け付けているからです。
専門分野の異なる専門家が相談員の場合、まったく意味のない相談になることもあります。
注意④相談のみで依頼ができない
市民相談の場合、その場で依頼したいと思っても、依頼できないケースが少なくありません。
役所のルールで、その場で受任できないとしているからです。
役所によっては、名刺やチラシを渡すなどの宣伝活動を禁止していることもあります。
依頼したいと思ったら、あらためて、事務所を探して依頼する必要があります。
余計に時間と手間がかかることになります。
依頼するように強要されることはありませんから、安心して相談できるメリットがあります。
2税務署で相続相談をするとき気を付けること
多くの人にとって、税務署は身近ではないものの良く見聞きする役所でしょう。
税務署では、面接相談や電話相談をしています。
相続税申告は被相続人の住所地を管轄する税務署ですが、相談はどこの税務署でもすることができます。
上場していない株式や複雑な不動産がなければ、税務署の相談を活用するのはメリットがあります。
注意①相続税申告が必要な人はわずか10%未満
著名人や芸能人が多額の相続税を納めたニュースを聞いたことがある人も多いでしょう。
相続が発生したら、相続税がかかることを多くの人がご存知です。
一方で、相続税申告が必要な人はわずか10%未満であることはあまり知られていません。
相続税申告が必要な人には、相続税申告が必要なだけで、相続税が課されない人もたくさん含まれています。
相続税申告が必要なだけで、相続税が課されない人を含めても、わずか10%未満です。
相続税が心配という人のほとんどは、相続税が課されないどころか申告すら不要です。
相続税には基礎控除という非課税枠があるからです。
相続税の基礎控除=3000万円+600万円×法定相続人の人数
相続税の基礎控除の枠内であれば、相続税申告は不要です。
「相続についてのお尋ね」という税務署からの質問状が届いても、申告不要であればお返事をして終わりです。
注意②税務署では相続手続の相談はできない
税務署は正しく申告してもらうために、相談をしています。
相続一般について相談するところではありません。
相続人はだれなのか、財産をどうやって探すのか、行方不明の相続人がいるがどうしたらいいのかなど、相談することはできません。
注意③節税についても相談できない
節税についても、基本的にアドバイスはしてもらえません。
注意④時期によっては相談の予約ができない
確定申告シーズンなど税務署が繁忙期になると相談窓口が少なくなります。
相談の予約がほとんど取れなくなります。
予約なしで相談に行っても、相談してもらえないこともあります。
相談には十分な時間を確保する必要があるからです。
3法務局で相続相談をするとき気を付けること
マイホームを購入したときに、登記簿を見た方もいるでしょう。
会社を経営している方の場合、定期的に会社の登記が必要になることがあります。
市役所のように日常的に用事あることはないけど、見聞きしたことはある役所でしょう。
不動産を相続した場合、相続登記をする必要があります。
相続登記は、たくさんある相続手続の中でも難しい手続になります。
最近は、インターネットや書籍からたくさんの情報を得ることができるようになりました。
①法律の知識がある
②調べものが好き
③平日の日中に役所に何度も足を運ぶ充分な時間と根気熱意がある
上記にあてはまる人は、相続登記に向いているかもしれません。
そのうえで、基本的な相続であれば、挑戦してみてもいいでしょう。
④相続人は配偶者と子どものみ
⑤相続人が1人か2人程度
⑥相続人が協力的
これらがすべてあてはまるのであれば、登記完了までたどり着けるかもしれません。
注意①法務局では相続手続の相談はできない
法務局では、登記手続についての相談を行っています。
相続手続一般について相談するところではありません。
相続人はだれなのか、財産をどうやって探すのか、行方不明の相続人がいるがどうしたらいいのかなど、相談することはできません。
後々、トラブルにならないようにするためにどうしたらいいかなどは、基本的に答えてもらえません。
注意②戸籍収集に困っていても何もしてくれない
相続手続をする場合、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍が必要になります。
結婚や戸籍のお引越し(転籍)、戸籍の作り直し(改製)などで、多くの人は何通もの戸籍を渡り歩いています。
戸籍を作り直す際に、書き写しがされる項目と書き写しがされない項目があります。
書き写しがされない項目に、重要なことが書いてある場合があります。
このため、出生から死亡までの連続した戸籍が必要になります。
専門家でない人は、戸籍を取り寄せるだけでも、スムーズには行きません。
戸籍を解読するのは、専門知識が必要になるからです。
法務局の相談で困っていることを訴えても、代わりに取り寄せてくれません。
注意③遺産分割協議で困っていても何もしてくれない
相続人の中には、長期間連絡を取っていない人がいる場合があります。
家族の知らない相続人が判明することもあります。
未成年の人や認知症で物事のメリットデメリットを適切に判断できない人がいるケースもあります。
このようなケースでは、相続財産の分け方の話し合いが難しくなります。
相続財産の分け方の合意は、相続人全員でする必要があります。
一部の相続人を含まずに相続財産の分け方の合意をしても、無効になります。
どうやって合意をしたらいいかについて、アドバイスをもらうことはできません。
注意④相談できるのは登記申請書の書き方だけ
法務局の登記相談で相談できるのは、登記申請書の書き方だけです。
登記申請書を書くところまで、たどり着けずに多くの方は困っています。
登記申請書の書き方についても、基本的なことしか答えてもらえません。
基本的な相続登記でない場合、わざわざ説明して質問しなければ教えてもらうことはできないでしょう。
登記申請に不慣れな人にとっては、何が基本的な相続手続でないのか分からないものです。
登記相談で教えてもらったとおり、登記申請をしても不備を指摘されます。
簡単な不備であれば、法務局に出向いて補正すれば済みます。
重大な不備であれば、登記申請を取り下げてやり直しになります。
法務局の窓口は、平日の昼間のみ業務を行っています。
お仕事や家事で忙しい人は、対応するのが難しいでしょう。
4相続手続を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、家族は悲しみに浸る暇もありません。
親戚知人などへの連絡や葬儀の準備から始まって、膨大な相続手続をする必要があるからです。
相続は何回も経験するものではありませんから、だれにとっても不慣れでスムーズに行きません。
大切な家族を失って気力がない中で手続を進めるのは、とても苦しく辛い作業です。
不動産は重要な財産であることが多いので、一般の方からすると些細なことと思えるようなことでやり直しになります。
簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があることもあります。
法務局の登記相談に行っても、何が良くないのか分からなかったというケースも多いです。
司法書士はこのような方をサポートしております。
相続登記を自分でやってみたけど、挫折した方の相談も受け付けております。
相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。