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1不動産を相続したら相続登記はすみやかに
相続が発生すると、原則として、被相続人の財産は相続人が相続します。
相続人が相続する財産が、相続財産です。
相続財産に不動産が含まれていたら、相続登記が必要です。
相続登記をするには費用と手間がかかります。
すぐに不動産を売却するのでなければ、目に見える不利益に気付きにくいため先延ばししがちです。
先延ばしすればするほど、デメリットは大きくなります。
相続手続は早めに済ませましょう。
相続登記を先延ばしすると、デメリットが大きくメリットはほとんどありません。
2敷地権付マンションと敷地権のないマンションがある
分譲マンションのように1棟の建物の一部を独立して所有できる建物を区分建物と言います。
区分建物が建っている土地が敷地です。
敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利を一体化して処分するようにしたのが、敷地権付区分建物です。
敷地権付区分建物の場合、マンションを売買するとき敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利は一緒についてきます。
敷地を使う権利だけ取引することやお部屋だけ担保に差し出すことはできません。
敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利は、命運を共にする運命共同体です。
新しいマンションのほとんどは、敷地権付区分建物です。
敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利は、切り離すことができないから権利証は1つだけです。
古いマンションの中には、敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利を一体化して処分できるルールができる前に建てられた場合があります。
ルールができる前に建てられたマンションは、敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利を一体化していない場合があります。
マンションのお部屋の権利とは別に、敷地を使う権利があります。
多くの場合、敷地を使う権利はマンションのお部屋の持ち主全員で共有しています。
敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利が一体化していないから、敷地の権利証とマンションのお部屋の権利証は別々です。
何筆もの土地の上にマンションが建っている場合、その土地の数の分の権利証があります。
敷地権付区分建物であるか敷地権のない区分建物であるか確認する方法は登記簿謄本を見ることです。
敷地権付区分建物の場合、表題部(専有部分の建物の表示)に続いて、表題部(敷地権の表示)が記載されています。
敷地権のない区分建物の場合、表題部(専有部分の建物の表示)のみで、敷地権の表示は記載されていません。
レアケースですが、同じマンションなのに敷地権付区分建物と敷地権のない区分建物が混在している場合があります。
該当のお部屋の登記簿謄本を見て確認しましょう。
3別で登記されている共用部分は見落としがち
共用部分というと、まず支柱、廊下、階段、エレベーター、電気ガス水道などのライフライン設備などをイメージするでしょう。
これらは、法定共用部分と言います。
法定共用部分は、登記することができません。
構造上、利用上の独立性がないからです。
法定共用部分は、お部屋の権利と一緒に移転します。
共用部分には、法定共用部分の他に、規約共用部分があります。
規約共用部分とは、マンション管理のための施設のことです。
例えば、集会所、管理人室、駐車場、ポンプ室、ごみステーションなどが代表例です。
上記のような施設は、単独で建物として登記することができます。
その後、規約によって共用部分になったことを登記することができます。
規約によって共用部分になったことが登記してあれば、お部屋の権利と一緒に権利が移転します。
共用部分の権利はお部屋の権利と一体化しています。
一体化していれば、共用部分だけ権利が移ったり、お部屋の権利だけ移って共用部分はそのままになることがありません。
規約によって共用部分になったことが登記してない場合、規約共用部分を使う権利とマンションのお部屋の権利が一体化していません。
規約によって共用部分になったことが登記してない場合、規約共用部分がお部屋の持ち主全員で共有しています。
規約共用部分を使う権利とマンションのお部屋の権利が一体化していないから、規約共用部分の権利証とマンションのお部屋の権利証は別々です。
お部屋の権利証とは別に、集会所の権利証、駐車場の権利証など施設の数だけ権利証があります。
権利証が別々になっているかどうかは、登記簿謄本を見て確認することができます。
建物の表題部を見て、「〇年〇月〇日規約設定 共用部分」と記載がある場合、規約によって共用部分になったことが登記されています。
相続登記をするする場合、原則として、権利証は必要ありません。
相続登記で権利証を必要とする例外がありますから、権利証を確認しておくとお部屋と一体化していない権利を見つけられることがあります。
マンションを購入したときにローンを組んでいる場合、抵当権を設定します。
多くの場合、お部屋の権利だけでなくその他の権利も一緒に抵当権を設定します。
登記簿謄本の共同担保目録の欄を確認するといいでしょう。
お部屋の権利と一体化していない場合、他の権利は見落としがちです。
お部屋の権利にだけ注目している場合、一体になっていない権利について分け方の合意を忘れられることが多いでしょう。
相続してから長期間経過してから、一体になっていない権利について分け方の合意をしていないことが発覚します。
分け方の合意をしていない場合、相続人全員の共有財産です。
あらためて、相続人全員で分け方の合意をしなければなりません。
4マンションの相続登記における不動産の表示
①敷地権付マンションの記載例
(一棟の建物の表示)
所在 ○○市○○町○丁目○番地○
建物の名称 ○○○○マンション
(専有部分の建物の表示)
家屋番号 ○○町○丁目○番○の○
建物の名称 ○○○
種類 居宅
構造 鉄筋コンクリート造1階建
床面積 ○階部分 ○○.○○㎡
価格 金○○○○万円
(敷地権の表示)
符号 1
所在 ○○市○○町○丁目
地番 ○番○
地目 宅地
地積 ○○○.○○㎡
(敷地権の種類)
所有権
(敷地権の割合)
持分 ○○○○○○分の○○○○○○
価格 金○○○○万円
符号 2
所在 ○○市○○町○丁目
地番 ○番○
地目 宅地
地積 ○○○.○○㎡
(敷地権の種類)
所有権
(敷地権の割合)
持分 ○○○○○○分の○○○○○○
価格 金○○○○万円
②敷地権のないマンションの記載例
(一棟の建物の表示)
所在 ○○市○○町○丁目○番地○
建物の名称 ○○○○マンション
(専有部分の建物の表示)
家屋番号 ○○町○丁目○番○の○
建物の名称 ○○○
種類 居宅
構造 鉄筋コンクリート造1階建
床面積 ○階部分 ○○.○○㎡
価格 金○○○○万円
所在 ○○市○○町○丁目
地番 ○番○
地目 宅地
地積 ○○○.○○㎡
持分 ○○○○○○分の○○○○○○
価格 金○○○○万円
所在 ○○市○○町○丁目
地番 ○番○
地目 宅地
地積 ○○○.○○㎡
持分 ○○○○○○分の○○○○○○
価格 金○○○○万円
③附属建物があるときの記載例
所在 ○○市○○町○丁目○番地○
家屋番号 ○○町○丁目○番○の○
種類 集会所
構造 鉄筋コンクリート造2階建
床面積 1階 ○○.○○㎡
2階 ○○.○○㎡
持分 ○○○○○○分の○○○○○○
価格 金○○○○万円
5マンションの相続登記の登録免許税の計算方法
ステップ①固定資産税評価額を調べる
相続登記をするときは、法務局に登録免許税を納めます。
登録免許税は、不動産の評価額を基にして計算します。
固定資産税評価額は、固定資産税評価証明書を取得すると判明します。
マンションを相続した場合、敷地と建物があります。
市区町村役場によっては、土地と建物は別々に固定資産税評価証明書を発行します。
登記申請用の固定資産税評価通知書を発行する場合があります。
登記申請用の固定資産税評価通知書は、多くの市区町村役場は無手数料です。
固定資産税評価証明書、固定資産税評価通知書、課税明細書には、年度が記載されています。
固定資産税評価証明書、固定資産税評価通知書、課税明細書は、毎年4月1日に新年度になります。
相続登記を申請するときに、最新年度の証明書を提出します。
3月中に取得した証明書を添付して、4月に相続登記を申請すると証明書を取り直すように言われます。
新年度になると、固定資産税評価額が変更されます。
ステップ②不動産の評価額を計算する
マンションを相続した場合、敷地と建物があります。
被相続人がマンションのお部屋を単独所有していた場合であっても、土地は共有しています。
敷地権付マンションであれば、敷地権の割合で土地の評価額を計算します。
敷地権のないマンションであれば、土地の共有持分の割合で土地の評価額を計算します。
ステップ③土地の評価額が100万円以下であれば非課税
土地の評価額が100万円以下の場合、非課税になります。
日本中どこの土地でも土地の評価額が100万円以下であれば対象になります。
所有権の持分を相続した場合、土地の評価額×持分の割合で計算した価額が、100万円以下であれば非課税になります。
敷地権付マンションの敷地権が100万円以下であれば、非課税になります。
数筆の土地に対して敷地権がついている場合があります。
一部の敷地権が非課税になって、他の敷地権は課税される場合があります。
土地の評価額が100万円以下になることによって非課税になる場合、、「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載します。
ステップ④土地と建物の評価額を合計する
マンションを相続した場合、敷地と建物があります。
土地の評価額と建物の評価額を合計します。
ステップ⑤1000円未満の端数を切り捨て
登録免許税は、不動産の評価額を基にして計算します。
土地と建物の評価額の合計から、1000円未満の端数を切り捨てます。
ステップ⑥相続登記の登録免許税は1000分の4
相続登記の登録免許税の税率は、1000分の4です。
端数切捨てた額に1000分の4をかけた金額を計算します。
ステップ⑦100円未満の端数を切り捨て
1000分の4をかけた金額を納めるわけではありません。
1000分の4をかけた金額から100円未満の端数を切り捨てます。
100円未満の端数を切り捨てた金額が登録免許税です。
6抵当権の登記の抹消・変更も忘れずに
被相続人がマンションを購入するときに、住宅ローンを組んでいる場合があります。
住宅ローンを組んでいる場合、銀行などに抵当権を設定しているでしょう。
住宅ローンが残っているのであれば、抵当権の債務者の変更の登記が必要になります。
もっとも、住宅ローンを組む場合、債務者が団体信用生命保険に加入しているケースが多いです。
債務者が死亡したことで、団体信用生命保険の保険金が支払われる場合、住宅ローンの残りは保険金で返済されます。
団体信用生命保険の保険金で住宅ローンの支払いがなくなった場合、抵当権は消滅します。
抵当権が消滅しても、抵当権の登記は自動で消えません。
法務局は住宅ローンがなくなったかどうか分からないからです。
相続登記とは別に、抵当権の抹消登記の申請が必要です。
相続登記は、相続人が単独申請をすることができます。
抵当権の抹消登記は、相続人を権利者、銀行を義務者として共同申請をしなければなりません。
7相続登記を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、相続人は悲しむ暇もなく相続手続に追われます。
ほとんどの人は相続手続は不慣れで、聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。
インターネットの普及で多くの人は簡単に多くの情報を手にすることができるようになりました。
多くの情報の中には正しいものも、適切でないものも同じように混じっています。
登録免許税の計算を間違えた場合、法務局から補正指示がされます。
計算間違いで納付不足の場合、追加納付をすれば済みます。
計算間違いで納め過ぎの場合、過誤納額還付請求書を提出すれば、還付してもらえます。
登録免許税が還付されるまでに、1か月程度かかります。
司法書士は登記の専門家です。
スムーズに相続登記を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。